トム ヨシダブログ


第396回 ブラッシュアップ講習 (4)

313回で触れたように、全国で起きた交通事故の件数は毎年明確に減少している。死亡事故件数も減り続け、1990年代前半には1万件という数字が見られたが、ここ数年は3,000件代に落ち着いてきた。交通事故による死者数も1992年の10,892人をピークに減少を続け2017年度には3,694人になった。
運転免許保有者数は2017年に過去最高の8,200万人あまりになったが、死亡者数に対する指数は0.0045%と1992年の0.0178%から大幅に改善した。
※現時点で警察庁が発表している交通事故データは2017年度が最新

交通事故と交通事故死者はなぜ減ったのか。様々な要因があるはずだけど、そのうち運転者の意識が減少に貢献した分はどのくらいになるのだろう。2017年に交通事故で亡くなった方の4分の1が単独事故によるものだという事実がある以上、交通事故総件数が減ったからといって喜べる状況にはないのだが。


396-2
雑談をしていると
「ブラッシュ講習に含まれてはいないんですけど」と前置きして天野さんが
「運転している時に意識していることを書いてみませんか」と付箋とペンを差し出す
「できるだけ早くたくさん」
ということで書いたのがこれなのだけど
で、出てこない
意識していることはゴマンとあるはずなのに出てこない

396-3
出てこないにイライラしていると
天野さんが
それぞれがどれに該当するかみてみましょうと
教室にあったパネルに貼りだした
その結果がこれ
運転中のそれぞれの操作が何に根ざしているかを整理することができる
自分の運転にどの部分の意識が欠けているかがわかる


これはいい。運転中に何を意識しているかを書き出すだけでも、自分の運転を振り返ることができる。今度改めてやってみよう。


1回目の走行が終わって急ブレーキのダメだしがあって、理想の運転って何だろって頭がレブアップ。一般にホントに急のつく操作はしないほうがいいものだろうかと疑問に思いながら、天野さんとあれこれ話しているうちに結論めいたものが見えてきた。
天野さんも動画でユイレーシングスクールのオーバル走行の様子を見てくれていて、けっこうなスピードで回るんですね、と驚いていた。だから、高速道路で100キロしか出したことのない人は100キロで走ることが限界ですが、130キロを経験したことのある人が100キロで走るほうが安全性は高いと思うのですよ、と付け加えておいた。そして、教習所はものすごく予防的な運転をするように指導するのですねとも。

で、ひとつの結論としてブラッシュ講習とユイレーシングスクールの両方を受講すると、より安全にクルマが運転できるのではないかと思うと伝えた。
実際ボク自身、事故を起こさないように運転しているつもりだけど、経験があるだけに多少速さとか加速度に対して鈍感になっていたことに気づいた。一般の交通社会の中での話。

けれど、ユイレーシングスクールが提唱するクルマを意のままに操るための講習と練習は絶対に必要だ。別にユイレーシングスクールでなくてもかまわないけど、速く走るための操作を教えることで、あらゆる場面で自動車を正確に操る操作方法が理解できる=場合によってはクルマが思い通りに動かなくなることを覚える、につながるのだから、具体的な操作の習得はもちろん、運転に対する意識を覚醒させるためにも必要だ。自動車教習所でやれれば一番いいのだけど。

自動車教習所は予防安全的に運転を深堀できるような講習をする。ユイレーシングスクールはどんな状況でもクルマを自身のコントロール下においておけるために積極安全的な運転を教える。どちらも交通事故が起きてほしくない、という思いは同じ。次は高齢者講習まで自動車教習所を訪れることはないかも知れないし、今回のブラッシュアップ講習の経験をどう展開すればいいかアイディアも今はないけれど、ともかく受講して良かった。


395-4
ある日
嬉しいメッセージが届いたことがあるので紹介
他にも
クルマを全損させる前に
ユイレーシングスクールにくれば良かった
などなど多数のメッセージをもらうから
スクールはやめられない


394-7
中勢自動車学校の天野さんと
天野さん ありがとうございました
教習所でイーブンスロットルを教えることになったら
声をかけて下さい
喜んでお手伝いします


<了>



第394回 ブラッシュアップ講習 (3)

394-1
今回ブラッシュアップ講習を受けた鈴鹿市の中勢自動車学校
近鉄白子駅の近くにある


1回目の走行で赤点を4つももらってしまった。いつもそうしているように、ふだんの運転をしてみたのだが、公安委員会に指定された自動車教習所の指針だと思われる減速度を超えたブレーキングをしてしまったのだ。いわゆる急ブレーキというやつをかけてしまった。しかも4箇所で。

394-3
運転レポートと一緒に渡される走行したルートが記録された地図には4ヶ所の赤枠
何時何分にどこで何キロから何キロへの減速を行ったかが一目瞭然
ブラッシュアップ講習の設定では2秒間に13キロの減速をすると急ブレーキになる
これでおよそマイナス0.3Gの減速度らしいがそれを上回った!
4ヶ所のうち2つ目の一旦停止では2秒間に25キロも落としてしまった
急ブレーキを踏んだ意識は皆無だが40キロ道路をプラスマイナス数キロで走っていて
早めのスロットルオフで長~いブレーキングをしたつもりが
35キロから10キロへの減速が急だったことになる
35キロまでの減速と10キロから停止までの減速は穏やかだったことになる


実は、事前に伺って話を聞いた際、あれこれ質問したものだから窓口の水谷さんから「 どんなお仕事されているのですか 」 と聞かれたけれど、隠す必要もないのでドライビングスクールを主宰していることは伝えた。だから天野さんもご存知で、それを踏まえてあれこれと。
天野さんいわく、免許をとりたての時は運転に慎重なのに、慣れてくると車間距離をとらなくなったり急発進や急ブレーキに抵抗がなくなる傾向にあると。
自動車学校は運転を教える過程で事故を起こすのはもってのほかで、何よりも優先するのが安全だという。だから先を読んで早めに行動を起こすことが非常に大切なのだと繰り返し伝えているという。それでも慣れてくると余裕のない運転になるらしい。

ブレーキングの仕方について、初心者には何回か分けてペダルを踏むことも教えているという。当然速度を落とすまでの時間がかかるから、スロットルオフを手前にする必要がある。また流すという表現を使われたが、スロットルオフからフットブレーキで速度を落とすまでの時間を長くするように指導しているそうだ。前方の信号が変わったとか一旦停止があるとか、遠くを見て前方の確認をしていなければできないことだから、情報を収集する上でも効果的だ。

394-222
なぜ急ブレーキになってしまったのかインターバルの間に考えたら思い当たることが
誰でもやっていると思うけどボクもブレーキング中にかなり大きく踏力を変化させる
慣性力は速度が高いほど大きいのでイニシャルの減速Gを立ち上げたほうが効果的
荷重が前に移動するのを感じながら瞬間ではあるけどジワッと強く踏む
その時にボクは慣れているけど予想外の減速Gが発生したとふんだ
速度が落ちるほどに慣性力は少なくなるから踏力を抜く
結果としてクルマの姿勢がフラットになるから安定して停止できるしコーナリングもできる
そこで2回目は流す距離を長くして踏力が一定になるような踏み方をした
それで2回目の走行を表した地図には赤点はなし


394-5
2回目の運転レポート
急加速急減速回数がともにゼロになって運転評価はEX=エクセレント
ただ必要のない無駄な加速と減速による速度変化の割合を数値化し
無用の速度変化を抑制するのが目的の波状運転指数
なめらかな運転だと指数は低いのだが
・事故を引き起こす可能性は低くなりました。
・穏やかで滑らかな運転が増えています。
に該当するようで5段階の真ん中の評価はB
なので加減速は良かったのに総合評価はAどまり
速度の維持は交通の流れや天候が関係するからねと負け惜しみを言っておこう


運転に携わる者は誰しも、それが運転手当人であっても運転手を管理する人でも運転のいろはを教える人でも、事故は起こしたくない、起きてほしくない。問題は運転する人がどういう意識でどんな運転をしているかだ。運転している人の後ろには誰も控えていてはくれない。運転している人が当事者だ。

今回ブラッシュアップ講習を受講して初めて自動車教習所のシステムに触れることができた。そこでは思っていた以上に安全への意識が高かった。天野さんと話しながら同じ運転を教える者として納得できることが多々あったし、公道を運転する人が千差万別であることを考慮すると、ありとあらゆる場面での対処を容易にするであろう予防的安全策の徹底が欠かせないのことがよくわかった。

そのあたりが運転のいろはのい、なのだと思う。YRSオーバルコースでもサーキットでも行き当たりばったりで運転する人が上手くなった例を知らない。ブレーキを我慢して奥まで突っ込んで悦に入ってる人に速い人はいない。クルマの状態を無視してスロットルを開ける人は速く走れない。運転が好きでユイレーシングスクールをうけに来る人といえども千差万別。

運転免許を持っている人全てがサーキットを走る必要など毛頭ないけれど、こと運転に関してはクルマを安全に走らせることとクルマを速く走らせることの間に思想的な共通点があると改めて確信した。そこがユイレーシングスクールの原点。どんな意識で運転するか。全てはそこから始まる。    < 続く >



第393回 ブラッシュアップ講習 (2)

ブラッシュアップ講習に興味を持ったのは、
どうやって運転を数値化=可視化するかを知りたい
自動車教習所の運転に対する評価の基準を知りたい
自分の運転が教習所の教官にどう評価されるか知りたい   から。

ユイレーシングスクールではクルマの動きを解析するのにパフォーマンスボックスというデータロガーを使っている。だから、おそらくそれに似たものを使っているのだろうと想像はできたけど、軽自動車免許も普通自動車免許も公安委員会の試験場に直接行ってとったので教習所で教わった経験がなく、公安委員会に指定された教習所が運転の良し悪しを判断するたたき台がどのあたりにあるのか知りたかった。最後に、日ごろ不特定多数にの方の運転に接している教習所の教官がボクの運転にどんな印象を持つか知りたかった。

393-1
鈴鹿市白子駅に近い中勢自動車教習所に到着
あいにくの強い雨
打ち合わせには来たことがあるけど
受講者としては初めて自動車教習所という世界の扉を開ける

393-2
建物に入って
まず目に入った数字
三重県は前年同期比でマイナスなんだ

393-3
教室には安全と書かれたパネルが
自動車教習所にとって安全がいかに大切なものか
運転する者にとって安全がいかに大切なものか
このあとわかる

393-4
ブラッシュアップ講習は2時間のカリキュラム
講習内容の説明があって
すぐに教習車に乗って市街地の定められたコースを1周
いったんもどって計測データを元に教官からアドバイス
そのアドバイスを元に操作を修正しながら2回目の走行
再度データを見ながら教官とディスカッション
とい流れ

393-5
中勢自動車学校を出て23号線を北上
途中住宅地へ入り
次いで商店街を抜け
23号線を南下して戻るルート
初めて走る道だけど
特別なことをやっては正確なデータがとれないから
1回目はいつも通りふだんやっている運転をすることにする

393-6
ブラッシュアップ講習で使われているECO-SAM
GPSを利用して1秒毎に
・位置情報/時間情報
・速度情報
・速度=最高速度・速度の分布
・走行軌跡=最高速度・速度の分布
・速度変化=急加減速・波状運転指数
を記録し専用ソフトでグラフとして出力


1回目の走行が終わり教室で待っていると、この日担当してくれた教習主任の天野さんがグラフを持って来て「 こんな感じですね 」。数字やグラフがならんでいるけど、その中に総合評価の項目があって、

えっ !

393-7
評価は4段階で示されるのだけど
なんと1番下のC
コンスタントに走れているか
制限速度を守っているか
などが数値化されているのだが
致命的なのは急減速が4回もあったこと
つまり設定してある減速度を超えると減点
確かにルートを走っていて4回ビープ音が聞こえた


自分としてはいつものようにスロットルを早めに離して早めにブレーキペダルに足を移し(今回の教習車はATだったけど慣れていないクルマだったから右足ブレーキにした)、いつものように踏み込んでいったのだが、交差点や一旦停止で止まる時に、一般的に好ましいと思われる減速Gを上回ってしまっていたようだ。

ステアリングワークはブレがなくて修正もなくすばらしい、と天野さんに褒められはしたけど、『 あなたの運転は改善が必要です 』とあって、ちょっと悔しい1回目の走行となった。    < 続く >



第392回 ブラッシュアップ講習 (1)

かなり前。一年以上前だったか、ニュースでブラッシュアップ講習なるものがあると知った。なんでも運転を数値化=可視化してその人にあったアドバイスをしてくれるというので大いに興味を持った。昔から自分の運転が社会通念上で上手いのか下手なのか知りたいと思ってきたから、客観的な指標に基づいて評価をしてもらえるのならそれに越したことはない、高齢者運転標識がつけられるようになったらブラッシュアップ講習を受けてみようと思っていた。

392-1
ブラッシュアップ講習案内
あまり知られていないのではないだろうか
もっと告知すべきだと思うのだが


ところが、その時にちゃんと調べておけば良かったのだけど、いざ受けようと思ってもすんなりとはいかなかった。

まず、ブラッシュアップ講習は自動車教習所の教科のひとつだというので、最寄の教習所に電話したけど話が通じない。そう。全ての自動車教習所でやっているわけではなかった。しかも滋賀県でブラッシュアップ講習をやっている教習所がひとつもないという事実。※だから死亡事故が多発するとは思っていないが。

392-2
ブラッシュアップ講習を実施している自動車教習所
滋賀県には17の指定自動車教習所があるのに
ブラッシュアップ講習を行っているところは皆無
滋賀県には需要がないということか


それで、湖西から比較的近くかつなじみのある鈴鹿市の白子にある中勢自動車学校がやっているというので訪ねてみた。『 古希を迎えるのでブラッシュアップ講習を受けたいのですが 』 と申し込みたい旨を伝えるものの、窓口で応対してくれた水谷さんに、ブラッシュアップ講習は本来高齢者向けのカリキュラムではなく、運転免許をとってから自分の運転を振り返ったことのない人を対象にしたものだと教わった。高齢者が受けてはいけないことはもちろんないけれど、ブラッシュアップ講習の対象は運転免許証を持っている全ての人だった。※思い違いもすぎる。そうならもっと早くに行けばよかった。

でも、そうならばそれで、全ての免許証所有者がどうどうと受けられるのならそれに越したことはない。日本では運転を習うシステムが試験に合格することに集約されているから、免許証を手にした後、その人の 『 運転力 』 がどの程度のものか測りようがない。自動車運転免許証を持っているというだけで、運転が下手で交通になじめない人がクルマを走らせている現実。もちろん日本だけではないけれど。

おそらく、多分、間違いなく 「 今さらお金を払ってまで自分の運転を見直したいとは思わない 」という意見が多勢を占めるのはわかっているけれど、十年、何十年もクルマを運転してきたのなら、現実と向き合う意味でも一万数千円を投じる価値はある。運転が上手いか下手かを評価されるのは二の次で、年齢に関わらず改めて自分の運転に向き合う気持ちを持つだけでも大いなる意味があるのではないか。

ということで、自分の運転を数値化=可視化してもらうためにブラッシュアップ講習を受講することにした。どんな判定が下されるのか。

392-3
ブラッシュアップ講習のリーフレット

 

強い雨の日。いつになく緊張している自分を笑いながら新名神を鈴鹿に向った。    < 続く >

 


第391回 運転

とあるスーパーマーケットの駐車場。郵便局によってから宅急便を出したかったので早く出たら、開店前に着いてしまった。クルマの中で待つこと10数分。開店時間が近づくにつれて駐車場に入ってくるクルマが増える、
スマホでメールを確認するため目を落としていると突然、ガガーンッという大きくてソリッドな金属音。何事かと顔を上げると、1台の軽自動車がクルマ止めに乗り上げて止まっていた。けっこう高さのあるコンクリートのクルマ止めだから走っていて見えないとは思えないのだけど、どうやら駐車スペースを示す白線を無視しながら入ってきて、スーパーマーケットの入り口近くに進もうとしているうちに照明塔の周り置いてあるブロックに乗り上げてしまったようだ。
助けが必要なら出て行こうと思っていたけど、高齢の女性が降りてきてクルマの下をのぞいていたあとバックしたらクルマ止めから離れたから、音の割には軽傷だったのかも知れない。間違いなく足回りを打ち付けていると思うけど。

391-4
駐車場入り口から白線を無視してスーパーマーケットの入り口近くへ一直線

391-1
こちらもまっしぐら
まだ開店前なのだから遠くに停めて歩くと健康的なのに

391-2
中央左のピンクのクルマがブロックに乗り上げていた
なんとか自走はできるようだ

391-3
照明灯の周りに置かれたブロック
前から止めても後ろから止めてもあたる位置にあるわけではないけど
通過しようとするとあたるかも


さて、別の日のこと。

391-5
続けて2台のクルマが入ってきた

391-6
黄色いクルマは白線を無視して自分の行きたいといころを目指してまっしぐら
白いクルマは白線で区切られた駐車スペースを迂回しながら停めるところを探す
こういうクルマを見るとホッとする
この差はどこからくるのだろうか
ボク?
もちろん後者です
必要がなければ白線を引くことはないだろう
クルマがいなければ白線を無視してかまわないのではなく
白線があることを前提とした運転をすべきだと思うのだが
自分の運転を定常化するためにも
そうすれば意外性を減らすことができる


駐車場での出来事に以外にも、運転をなめているというか、何も考えないで運転しているというか、行き当たりばったりで運転しているというか、この人は偶然、幸いにも事故を起こさずに運転できているのがわからないのだろうか、という人が実に多い。考えたって罰はあたらない、というのに。まるでイヤイヤ運転しているようだ。クルマからは多大な恩恵をこうむっているというのに。

どんな運転をしようとその人の勝手だしとやかく言われたくはないだろうけど、いつでも自分の判断は間違っていなくて、クルマを手足のように操れるとは思わないほうが懸命だ。慣れているであろう広い駐車場ですら見落としがあるのだから。

だけど、それが当たり前だと思って運転している人にとっては、臨機応変に運転して何が悪い、ってことになるのだろうね。いっそ、どこかにこういう運転をするのが好ましい、って参考になる雛形がないものだろうか。『 これが安全面からも効率から言っても好ましい運転です 』 って。
一般的に教習所を卒業したら運転を習う機会はない=教わることはないし、人間って勝手だから、運転経験を積むとともに自分の都合の良いように学習するから、市中を走る人の運転レベルの平均値は下がる一方なのだろうな。昔はいかにもやんちゃとわかる人だけがやっていたことを、今はそこかしこでやっている。
だから、これからはひとりでも多くの人に運転を好きになってもらって、クルマとの付き合い方を今一度見直してもらう必要がある。


391-7
昨夜大津北交通安全協会木戸支部の総会があった
席上6月13日の時点で昨年の同じ期間を18人上回る34名が交通事故で亡くなり
滋賀県交通対策協議会は今年2回目の交通死亡事故多発警報を発令したと報告があった
前年同期比18名増はワースト日本一
ワースト2位が徳島県(12人増)で3位が京都府(9人増)
クルマは何気なく運転するものではない
クルマの運転は一生懸命やるものだと思う



第385回 右足の動かし方

スロットルペダルとブレーキペダルの踏み間違いによる事故が起きている。

高校1年の春から54年。ダッシュボードが鉄板むき出しだった頃からラジアルタイヤが出現して飛躍的にロードホールディングが良くなった時代を経て、クルマにいろいろなアシストがつくようになって、さらには高度に洗練された4輪操舵装置が装着されたクルマが登場した現在まで、プライベートでは日本とアメリカで相当な距離を走ってきたしドライビングスクールでの同乗走行を含むと運転したクルマは数知れず、それでも危ない思いをしないで運転を楽しんできた身としては、ペダルの踏み間違いと言われてもにわかには信じがたい。
レンタカーや借りたクルマなどで操作に慣れていないクルマならいざ知らず、自分が所有するクルマでペダルを踏み間違えるというのは、どうするとそうなるのか想像するのが難しい。クルマを運転することに対して油断があったのではないかと思わざるを得ない。事故を起こされた方には申し訳ないけど。

で、これはあくまでも私見だけれど、ペダルを踏み間違えた方はスロットルペダルとブレーキペダルを踏み換える時にかかとを床から離しているのではないだろうか。さらに言えば、スロットルペダルを踏む時のかかとの位置とブレーキペダルを踏む時のかかとの位置が違うのではないかと。つまりそれぞれのペダルに足裏を正対させるように右足を動かしてはいないか。右足を動かすたびにかかとを浮かしているから、足裏がどこに着地するのか不確かなのではないかと。

ユイレーシングスクールに来てくれる人の中にもペダルを踏み換えるたびにかかとの位置が変わる人がいる。スロットルペダルはまだしも、ブレーキペダルを踏む時にかかとを浮かす人もいる。

そういう人にも何気なくペダルを踏んでいるように見て取れる人にも、『 できればかかとを同じ位置のままスロットルペダルとブレーキペダルを踏み換えるようにしてみて下さい。かかとは尾てい骨から最も遠い身体の支点です。フットレストもフットボードではありませんから左足は突っ張らないようにして下さい。右足と左足のかかとが同じように床にしっかりとついていれば上半身が安定します。スロットルオフからブレーキングに移る時にかかとを床につけたまま踏み換えることができれば、かかとを支点にしてつま先が扇形に動くので繊細で最終的に強い踏力をブレーキペダルにかけることができます。決してブレーキペダルを蹴飛ばしてはいけません。かかとを上げてしまえばそこで踏力が一定になってしまいます。ABSが働けば制動距離が伸びてしまいます 』 と伝えます。

現代のクルマは何気なく運転してもとりあえずの目的は達成できるように作られています。ですから運転する側にどうすれば正確な操作ができるか、換言すればどうしたら操作ミスをしないですむかという工夫があれば、そして運転に集中することができれば、クルマはもっともっと快適で安全な乗り物になります。


下の映像は2013年暮にユイレーシングスクールのYoutubeにアップしたスレッショルドブレーキングを解説したものです。最初のふたつはブレーキペダルの踏み方の悪い場合と良い場合でクルマの姿勢変化に違いがあることがわかります。三つ目は悪い例と良い例のペダルワークを見ることができます。同時に、ブレーキペダルの踏み方で姿勢変化=過重移動が変化することがわかり増す。悪い例ではスロットルオフでかかとを浮かし、浮かしたまま直線的にブレーキペダルを押し込んでいます。※この時、右足のかかとは減速Gを感じることができません。

ペダルの踏み間違いとは直接関係はありませんが、操作を工夫すればよりクルマを効率良く安全に走らせることができるという例です。

※ IE(Internet Explorer)でビデオを視聴するのが困難なようです。Chromeやsafari、Firefoxなどのブラウザをご利用下さい



第376回 さてどうするか?

本日、無事にその日を迎えることができた。ただでもらったようなものだけど、今日から資格があるというので少し調べてみた。

と言うのも、ユイレーシングスクールの常連でボクより年上の人が何人かいるのだけれど、高齢者運転標識なるものをつけている人とつけていない人がいる。何故つけて、何故つけないのか改めて聞いたわけではないから理由はわからないけど自分はどうするかなと。

検索して出てきたのが次の一文。

道路交通法第七十一条の五 第3項 = 普通自動車対応免許を受けた者で七十歳以上七十五歳未満のものは、加齢に伴つて生ずる身体の機能の低下が自動車の運転に影響を及ぼすおそれがあるときは、内閣府令で定めるところにより普通自動車の前面及び後面に内閣府令で定める様式の標識を付けて普通自動車を運転するように努めなければならない。

運転に関して言うと加齢に伴う身体機能の低下は全く感じていないが、要するにつけてもつけなくてもどちらでもかまわないらしい。  さて どうするか?

スクールで高齢者運転標識をつけていて幅寄せされた、と聞いたことがある。そんなヤツがいるのかと思った。ま、つけると言うことは少なくとも70歳以上であることを告白するわけだから、好ましくない人の目にとまるのかも知れな
とりあえず、貼る貼らないはおいておいて、貼るならどこに貼ればいいのだろう。  さて どうするか?
半年ほど前に旧タイプの高齢者運転標識を手に入れておいた。新型はなんか全体がぼけているようで、どちらでもいいということなのでまだましな旧タイプを選んだ。

376-1
本来ならこんな感じで貼ることになるのだろうか


233-06
233-06
233-06

つける枚数に制限はないようだからこんなのもありかな

376-6
不勉強が露呈した
テールゲートに貼ろうと思ったら落っこちた
一瞬目を疑ったが
ひょっとしてアルミ?
リアで貼りつくのはここだけ

376-5
本来ならこんな感じで貼ることになるのだろうか
リアウインドウの内側から強力磁石をあててみたけど保持するのが難しかった
写真はテープでとめてある
何か対策が必要だ
内側から貼る吸盤タイプなら大丈夫だろうけど視認性が

376-7
色目からこんなのもいいかなと
もちろんくっつかないから現実的ではないけれど


高齢者運転標識という情報発信のツールを得たのだし、長距離を走る機会があるから、高齢者運転標識をつけているクルマが現代の交通の中にあってどういうポジションなのか機会を見つけて探ってみようと思う。 高齢者イコール運転不適格者ではないことも証明したいからね。



第371回 65回目の所有欲から使用欲への転換

2003年晩夏。クルマをもっと楽しむ環境を創りたいと、「所有欲から使用欲への転換」と題した企画書を携えてエンジン編集部を訪ねた。
印刷媒体からクルマを所有するために役立つ情報を得ることはできるが、クルマを有効に使うためのハウツーを得ることは簡単ではない。だからクルマの運転に興味のある読者を対象に、クルマを思い通りに動かすコツを教えているユイレーシングスクールのカリキュラムに準じたドライビングスクールをやってみませんか、とせつせつと訴えた。

そしてその年の11月に試験的に開催したら、これが満員御礼。継続して開催することになった。いらい16年。一時期開催数を増やしたこともあったが編集部の負担も大きく、ここ数年は年3回の開催で推移している。それでも今年初めてのエンジンドライビングレッスンが65回目。Web主体で展開するユイレーシングスクールと異なるマーケットにアプローチできたのはエンジンのおかげだと感謝している。

371-1a
エンジン村上編集長の開会の辞
「誌面から抜け出して読者のみなさんと一緒にクルマとクルマの運転を楽しみたい
クルマを走らせるのは楽しいし
運転が上手くなればもっとクルマが楽しくなる
上手くなるためにはきちんと習うことが大切
安全に楽しく一緒に練習しましょう
エンジンドライビングレッスンは大人の社交場です」
編集長?
もちろん運転が大好きだそうです


間際にキャンセルが相次ぎ、この日集まったのは最年少25歳、最年長75歳、平均年齢52歳の23名。うち11名がエンジンドライビングレッスン初参加。ということは、午前中に行うオーバル走行も初めてで、濡れた路面に少しばかり暗い顔。
それでもイーブンスロットルとトレイルブレーキングのデモランをやって、少しずつペースを上げてもらったら、コース1000に移動する前には全員がクルマをフラットにして走れるように。

コース1000ではバンライド、リードフォロー、同乗走行を繰り返し、リピーターはレベルアップを果たし、初めてサーキットを走る人もそれなりにクルマの性能を発揮できるように。午後2時~4時に3グループに分けた計測セッションをやったのだけど、最も走った人は52周。75歳の青年も50周を走破してこの日のベストタイム。

371
今年はあと7月と9月の2回
今回初参加の方は万難を排してまた来てほしいし
運転に興味のある方はぜひエンジン編集部に問い合わせしてほしい


371-2
写真を見てもらったほうが
スクール終了後の雰囲気がわかろうというもの
もっと早くくれば良かった
もっと早くエンジンドライビングレッスンの存在を知りたかった
の声多く
これだからドライビングスクールはやめられない



371-3
ユイレーシングスクールが主宰するドライビングスクールに
初めてアルピーヌがやってきた
参加者にアドバイスしている間にスタッフの K がつばをつけて
オーバルもコース1000も同乗走行をやってしまったから出番なし
乗りたかったよ~



第366回 なんだかなぁ

どうでもいいと言えばどうでもいい話なのだけれど・・・。

366-1
ここは
とある病院の駐車場
雨が降っている
画面右手奥にある照明塔のそのまた奥に駐車場の入り口があって
画面左手のはるか向こうに病院への通路がある
停められる台数は多いけれど通路は広いとは言えず
その上
病院の入り口付近に停めようとする人が徘徊するのでかなり混雑している
病院に近いところはに屋根付きのスペースがあるから混雑に拍車をかける

366-2
予約時間に間があるので目の前を通過するクルマをながめていると・・・。

366-3
画面中央の軽自動車は駐車スペースから出てきたところではない
画面右の黒いワンボックスの右にももう1台分の駐車スペースの列があって
その右に駐車場入り口からの通路がある
かの軽自動車は通路を下ってきて空いているスペースに頭を入れて
その先にもクルマが止まっていなかったから
クルマの間をぬって2列目の通路に出てきたところ
できるだけ病院の入り口に近い空いているスペースを目指すという図

366-4
青いクルマもそう
駐車スペースは本来通路ではないはずなのだけど
通路を迂回するでもなく
空いている駐車スペースを次々に 『 ぬって 』
つまり近道だと思っているのか
できるだけ病院入り口に近いところにクルマを停めようと頑張っている


目の前を通過するクルマ全てではないけど、少ない数ではない。たぶん、20台のうちの4台ぐらい。

なぜ躊躇することなくああいうことをするのか、できるのか理解するのが難しい。

そういう人と関わりになりたくないから聞く気など毛頭ないけど、

「なぜ通路があるのに駐車スペースを走り抜けるのですか?」と聞くと、
「空いているから通ってるんじゃない」「問題ある?」と返ってくる気がして、
たぶん、「ならば通路を使っても問題ないことになりませんか」と言いたいのを飲み込んで、
『 あぁ、この人はいつもこういう運転をしているのだな 』 と再認識することで納得せざるをえないのだろうなと。

交差点で信号が青に変わった途端、直進車の目の前を右折するクルマ。駐車場に入ろうと速度を落としたクルマを、対向車線に出てまで迂回するクルマ。対向車線を逆走してコンビニの駐車場に入るクルマ。例を挙げればきりがないけれど、いつからこんな光景が繰り広げられるようになったのだろう。

クルマが好き、運転が好きな人間としてはいたたまれない気分になってしまう。



第365回 ひょっとして

クルマの特性は速く走らせてみないとわからないことがある。運転操作が正しいかどうか判断するのも速く走ってみないとわからない場合がある。

速く、と言っても、個人的にはタイヤを酷使してまで速く走ろうとは思わない。タイヤのコンタクトパッチが常に同じ形状を維持し続け、そしてタイヤが常に回転方向に転がり続けるのが理想だ。

スクールの進行を邪魔しない範囲で走らせるだけなので、まだメガーヌRSの持ち味を堪能できたとは思っていないが、みぞれ混じりの雨が降るとんでもなく寒い日に開催したYRSオーバルレースの休憩時間に走ってみて、『 ひょっとして 』 と思うところがあった。この日のコースはYRSクワッドオーバル

クルマはコーナリングを開始すると走行抵抗が増えるので失速する。速度の低下は減速と同じだから、ブレーキをかけた時のように前輪に荷重がかかる。もしタイヤの限界付近を使って走っているとしたら、前後輪のグリップが均等ではないのでクルマがバランスを崩す可能性がある。だからスクールでは、コーナリング中はイーブンスロットルを保つようにアドバイスする。スロットルをアンダーステアが出る手前まで開けて速度の低下を防ぐ。クルマが加速も減速もしていないフラットな状態でコーナリングすれば、バランスを崩す確率が大幅に減る。

ところが、タイヤが全くと言っていいほど温まらず、路面に冠水しているところがあるというのに、ある瞬間、イーブンスロットルより多めにスロットルを開けたのにも関わらずアンダーステアが出なかった時があった。
『 ひょっとするとこれが逆位相の効果か 』 と思ったものだ。ならば、イーブンスロットルでコーナリングスピードを維持するのではなく、コーナリング中に加速できるのではないかと。もちろん程度問題ではあるけれど。

もう少し奥深くまでメガーヌRSの特性を試してみたくなった。

※ IE(Internet Explorer)でビデオを視聴するのが困難なようです。Chromeやsafari、Firefoxなどのブラウザをご利用下さい