トム ヨシダブログ


第409回 懐かしきSCCAクラブレーシング

いつもいろいろな情報をもたらしてくれるスタッフのYさんが、今回はお宝映像を掘り出してきてくれた。

遠い昔の話だけれど、1982年11月にカリフォルニアのリバーサイドレースウエイで初めてアメリカのSCCAレースに参加した。クルマはSCCAの規定に合わせて日本で作ってもらったスターレット。6つあるSCCAのカテゴリーの中のGTクラス。ポテンシャルパフォーマンスからGT5クラスに該当した。翌1983年から本格的にレース活動を始め、アリゾナ州やネバダ州のサーキットにも足を運んだ。
スポーツ・カー・クラブ・オブ・アメリカは当時、CAN-AMやTRANS-AMというプロレーシングとアマチュアのためのクラブレーシングを開催していた。クラブレーシングは賞金も出ないレースだけど、全米一の名誉を目指すことができた。全米を7つに分けたデビジョンでポイントランキング3位までになると、当時は秋にジョージア州にある1周4.06キロのロードアトランタで行われる全米選手権(Run Off)に招待され、各デビジョンの上位ランカーと争うという仕組み。賞金は出ないけど招待選手ということでけっこうな金額のトラベルマネーは出た。

レース経験はないに等しかったけれど、渡米前にクルマ関係のライターをやっていたことと6年間鈴鹿サーキットでコースオフィシャルをやっていた経験が役立ったのだと思う。南太平洋地区で2位になりRun Offへの切符を手に入れることができた。
1983年のSCCA Run Off GT5クラスには自費参加の1名を含む22台が終結した。初めてのサーキットではあったけれど、そこはそれ、短時間でレイアウトに慣れコーナリングスピードを上げていく方法は知っていた。SCCAのGTカテゴリーはチューブフレームが許されているのでユニボディにロールバーを組んだだけのスターレットは重心が高かったけど、それなりに操る方法はあった。
アメリカの家には当時の資料が眠っているはず。だけどコースレイアウトやどうやって走ったかは覚えているけど、予選/レースの記憶はほとんどない。Yさんが見つけてくれた動画を見てみてわかったけど予選は12位だったようだ。一般的にアメリカのレースはローリングスタートで始まる。SCCAクラブレーシングもそう。グリーンフラッグが振られて一斉に1コーナーを目指し、5速全開で駆け上る1コーナーに殺到する。そんなスタートで始まった18周のレース。最終的な結果が6位だったこと全米6位のプラックが貼られた小さな大理石をもらったことは、かなり鮮明に覚えている。


1983年のRun Offを追いかけた5つの映像からなるシリーズのPart4。2時間50分近い長い動画ですが33分10秒付近からGT5クラスのコースインが始まります。古き良き時代の記録です。白いボディに日の丸を模した2本のストライプが入ったスターレットの走りを見てやって下さい。

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roadatlanta
日本にいては考えられないほど起伏のあるロードアトランタ
ボクが走った1983年はオリジナルレイアウトだった
イラストの⑧のシケインはその後追加されたもの
そして国際レースをやるための安全規定に従って大幅な変更があって
今や昔の面影はないようだ

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当時日本で行われていたスターレットカップレースの車両をベースにTRDが作ってくれた
車両規則はSCCAのほうがゆるいのでサスペンションは3リンク+パナールロッドから
4リンク+ワットリンクに変更してもらった

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1980年代のグレーターロサンゼルスの人口増加で
住宅地になってしまって今はないリバーサイドインターナショナルレースウエイ(RIR)
ターン6のヘアピンを駆け上がる
リバーサイドインターナショナルレースウエイは
1960年代にF1が開催されたし
CAN-AM最終戦の舞台だったし
NASCARストックカーがロードコースで開催された2つのサーキットのひとつ
(もうひとつはワトキンスグレン)

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RIRのコース図
いろいろなレイアウトがとれるけどSCCAクラブレーシングはターン7A~7Bを使う
年に一度だけ3時間エンデューロの時だけSPIKEが使えた
1~5までのダブルエッセスは5速全開
FIAやJAF公認コースではありえない
楽しかった

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RIRのターン6を立ち上がる

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RIRターン7へのアプローチ
坂を駆け上がってクルマが浮いたところがブレーキングポイント

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RIRターン7AをTRD USAのカスタマーのスターレットと連なって

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SCCA南太平洋地区の南カリフォルニアリージョンの機関紙の表紙になったこともある

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その号の表紙キャプション
エヘン

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Japanese sensation だって

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2年目にはTRD USAがスポンサーを探してくれた

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TRD USAのカスタマーにドライビングを教えながら転戦
後ろの45フィートトレーラーにはスターレットを3台収容することができた
85年に子供を授かったので出産費用になってしまったけれど



第408回 交通統計

今年も、7月に発行された平成30年度版交通統計から数字を拾ってみた。そこから見えてきたものは...。
・交通事故の総件数、単独事故の総件数、死亡事故件数、単独死亡事故件数、交通事故死者数とも平成29年度より減少している。
・全ての交通事故に占める単独事故の件数は2.62%に過ぎないのだが、総死亡事故件数に占める単独死亡事故発生率は24.93%といぜん高い。
・単独死亡事故にいたる原因の1位は電柱標識家屋等の工作物衝突が35.7%、次いで路外逸脱の23.6%、ガードレール等の防護柵衝突が18.7%。
・平成30年度に起きた単独死亡事故は860件で総交通事故件数のたった0.2%ではあるが避けることができたはずの事故に変わりはない。

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表1:全ての交通事故に占める単独事故の割り合いおよび総死亡事故件数に対する単独死亡事故件数の割り合い
表1のpdfファイルダウンロードはこちらから

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表2:単独事故件数の推移および類型別単独事故の割り合い
表2のpdfファイルダウンロードはこちらから

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表3:単独死亡事故件数の推移および類型別単独死亡事故の割り合い
表3のpdfファイルダウンロードはこちらから

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表4:第1当事者から見た類型別死亡事故件数
表4のpdfファイルダウンロードはこちらから


クルマは我々人間の能力を拡大してくれる上、楽しみをもたらしてくれる頼もしい相棒です。畏怖の念を抱きつつ長く付き合い続けたいものです。



第407回 ブレーキペダルとかかと 4

385回で右足の動かし方について触れた。ユイレーシングスクールは日本で活動を開始した1999年12月以来、一貫して右足のかかとをつけたままスロットルペダルとブレーキペダルを踏み換えるようにアドバイスしてきた経緯もあり、ペダルの踏み間違いによる事故が続くのを憂慮して改めて提案した次第。

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ボクはMT/ATに関わらずかかとを床につけたまま50年以上運転しています


ところが自動車教習所ではスロットルペダルからブレーキペダルに右足を移す時に踏み換える、つまりかかとを浮かしてもかまわないと指導していると聞いて驚いたのが 398回 衝撃の事実

数名の読者から感想をいただいたのだけど、右足がペダルに正対しなくてもかかとは床につけておくことに肯定的だった。
Aさんからの 400回 ブレーキペダルとかかと 1
Mさんからの 401回ブレーキペダルとかかと 2
Fさんからの 402回ブレーキペダルとかかと 3

かかとを床につけたまま運転するほうが上体は安定するしプラスマイナスの加速度も感じられるし、ほんの瞬間だったとしてもかかとは浮かしたくないね、と連日独り言をつぶやいていたら、豊富な知識でユイレーシングスクールの活動を支えてくれているYさんから一報。

かかとをつけたままペダルを踏み換えることを勧めているサイトがあります! だと。早速URLを送ってもらって見てみたら、ユイレーシングスクールのアドバイスと同じ操作方法が載っていた。かかとをつけたままの運転が奨励されているではないですか。

どのような内容なのかはあなた自身で、クルマ情報サイトGAZOOの、クルマの運転の基本 ~上手なアクセルとブレーキ操作(オートマ編)~ を読んでみて下さい。そして、どうすると運転が的確になるか、楽になるか、余裕が生まれるかを今一度考えてみてはいかがでしょう。
※当該ページに直接リンクを貼ることに対してはトヨタお客様センターを通して許可を得ています

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実はFさんから届いたイラストにはかかとをつけたままペダルを踏み換えることにバッテンがついている
この教本の発行元は株式会社トヨタ名古屋教育センター
誤解のないように付け加えておくと
同じ企業グループで発信する情報が異なるのを指摘するのが目的ではなく
運転に関してだけでも実にさまざまな情報があるけれど
運転するのはあなた自身なのだから
どうするのが最善なのか吟味して
安全な範囲で試してみることが大切なのかなと



第406回 筑波サーキットビッグオーバル

386回で紹介した筑波サーキットにあるビッグオーバル。本来ならば2016年4月と同じフォーマットで開催したかったのだけど管理者である公益財団法人JKAから30m走路の内側部分を使わないようにとの要請があった。とは言うものの、広い場所があればドライビングスクールでもスクールレースでもやってしまうユイレーシングスクールのことだから、今回は外側部分をい使って開催することにした。パイロンで仕切ったコーナーの半径が65.3m。外側の白線までが17.3m。十分広い。中心線で測って1周636.7mのビッグオーバル。アウトインアウトで走ればこれくらい。

まずは土曜日のYRSオーバルレース筑波。初めてのコース。それもゆうに100Km/hを超す速度からターンインできるからドライバーズミーティングは入念に。バンクがついているとアンダーステアはよりアンダーステアに、オーバーステアはよりオーバーステアに挙動が増幅されるから慎重な操作を促す。

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今回は珍しい参加者が
2008年8月まで頻繁にスクールレースに参加していたSさんと愛車のルーテシア
レース好きが昂じてJAF公認レースに出るためにYRSは不義理
2004年9月の113回で紹介したVITAでレースをしている

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そのSさん
長らく冬眠していたYRS Eプロダクションロードスターを引っ張り出してきた
2014年7月の106回で紹介したEプロダクションロードスター
いつかアメリカでレースがしたいなとアメリカSCCAの規定で卒業生と一緒に作ったもの

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7月あたまのYRSオーバルレースとYRSオーバルスクールに続いて
バンクつきのオーバルを走るんだと今回も参加
397回で紹介したWさんは元気元気


YRSオーバルレース筑波 ロードスタークラスのワンシーン 1周21秒ぐらいで回っていたから平均速度は109Km/hほど

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レース合間にSさんのルーテシア以外のルノー車で記念撮影
右からスタッフYのクリオRS
スタッフKのルーテシアⅢRS
六代目相棒のルーテシアⅣRSトロフィー
WさんのルーテシアR18


日曜日のYRSオーバルスクール筑波は未明の豪雨で始まった。

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集合時間になるころには弱まったけど路面は冠水するほど
やがて雨はあがり徐々に日差しが
土曜日に比べて風がないので
そんなに照らなくてもいいのだけど

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YRSオーバルスクール筑波の参加者はYRSオーバルスクールFSWの経験者だけど
バンクがついているのでそれなりの操作をしなければならないのと
ターンイン速度が高いので
リードフォローからでコースに慣れてもらい単独走行は徐々にペースを上げる
その後2列縦隊で併走の練習
イン側は走行距離が短くアウト側はコーナリング速度が高い
理論的には直線でもコーナーでも横並びで併走できる
併走を続けるうちに走行ラインの自由度が高まる


YRSオーバルスクール筑波 併走の練習(車間距離が広すぎるけど)

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サーキットやオーバルは一面舗装されていて日陰もない
日に焼けるのは当たり前
汗は止まらない
車載温度計を見て納得

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浜松からAさんが来てくれた

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タイヤに水性マーカーで印をつけて
どこまで接地しているかを確認
アンダーステアを出したかどうか一目瞭然

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Yさんも7月上旬のYRSオーバルスクールFSWに続いて参加してくれた

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オフセットが異なるホイールをはいているWさん
ショルダーがインナーフェンダーに当たっていた
しっかりロールしている証拠だ



第405回 エンジンドライビングレッスンとサーキット

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今年2回目のエンジンドライビングレッスン
2003年の第1回から数えると66回目
しばらく顔を見なかった第1回の参加者が来てくれたのには大歓喜
所有欲から使用欲への転換というスローガンに賛同してくれたのか
今回はエンジンドライビングレッスンが初めての方が13名でここ10数年で新記録
最年少46歳の最年長77歳がエンジン編集長が言われる大人の社交場に集合
常連の中にはクルマを乗り換えてきた人もいてやる気まんまん
ルノー・ジャポンが次期相棒を選ばせてくれたので
歳も歳なのでジョンシリウスMのルーテシアRSトロフィーを選択
その六代目相棒をラジオカーに村上編集長がエンジンドライビングレッスンの趣旨を説明


午前中は筑波サーキットのジムカーナ場に作ったオーバルコースで、ユイレーシングスクール独特のイーブンスロットルとイーブンブレーキとトレイルブレーキングの練習。午後はコース1000に移動して初めてサーキットを走る方にコースを案内するバンライド、次いでリードカーの後を自身で走ってもらい徐々にペースを上げてリズムを作るロードフォロー。次いで追い越しのルールを説明後、アンダーステア、オーバーステア、スピンご法度の厳しくも合理的なルールの中で時間いっぱい走ります。

2001年から筑波サーキットから委託されて公式ドライビングスクールを開催した時のカリキュラムのままだけれど、我ながらよくできていると今でも思う。

クルマが好きでクルマの運転が好きな人全員がサーキット走行を体験する必要はもちろんないけれど、高速で走るポテンシャルを抱えているクルマを運転するならば、一度は公道では体験できないクルマの限界というヤツを味わいにサーキットを走ってみるのがいいと思う。サーキットを走ると、ふだんいかにクルマに助けられて動かしているか気づきます。クルマを動かす理屈を頭に入れて練習すれば、その時は上手く操作できなくても、その後は自分で工夫しながら運転を進化させることができます。そうなれば、運転が楽しくならないわけがないではないですか。

クルマはよくできた道具なので使い方があります。間違った使い方では性能を発揮できず危なくもあります。正しい使い方を理論的に口で説明できる指導者がいれば、サーキットを走るたびに収穫があります。あなたもぜひサーキットを走ってみて下さい。

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午前中から蒸し暑かったのだけど
午後の走行が始まってしばらくすると
コース1000のフラッグ台の日陰にある温度計は
な、なんと37.5℃で湿度52%
それでも落伍者は一人も出ず
編集部の差し入れのカキ氷が嬉しかった
写真は翌日の温度計
この日某走行会が行われていたけど
病院に行った人がいたみたい
若い人ばかりだったけど

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お決まりの記念撮影
ドタキャンが数名出たのと早退者がいたので若干さびしげ
新潟から高知からの参加者も笑顔
でも誰もがいい顔しているでしょ


DSC_0400
今回は木曜日がエンジンドライビングレッスンで
土曜日がYRSオーバルレース筑波で
日曜日がYRSオーバルスクール筑波
なので金曜日
筑波近辺では食べたことがなかったので
下妻で美味しいと言われているうなぎ屋さんに
タレはあっさりしていたけど味は好みで大満足



第404回 六代目相棒

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第403回 足して10を超えないように

しばらく前のYRSトライオーバルで撮影した動画とデータロガーの記録。

クルマが走る時、タイヤは路面とズレることでグリップを生み、ズレる量が増えるとグリップも増すのだが、走行中にタイヤが太くなるわけがないから永遠に増加することはなく、おのずとグリップには限界がある。走行中のタイヤのグリップの大きさが常に変化しているものだとは言え、どのみち限界を超えてしまえば、つまりズレる量が過大になればタイヤは路面を摑まえるのをあきらめる。コーナリング中にあきらめられるともろに影響を受けるのが操縦特性で、前輪が先にあきらめるとアンダーステア、後輪が先にあきらめるとオーバーステアに陥る。

逆に、速く走ろうとしているのにタイヤのグリップが余っていて、何がしたいのかわからない場合も見られるけど。

どちらにしろ、走行中に瞬間瞬間のグリップを感じることなどできるわけがないのだけれど、タイヤのグリップが縦方向(進行方向)と横方向に振り分けられながらクルマを走らせていることを考えると、グリップの限界を10とするならば、理論的にはどんな場合にも縦方向と横方向それぞれに使うグリップの和が10を超えないようなタイヤの使い方をすれば安全に走れるし、速く走りたい場合は常に10に限りなく近い状態を維持して操作することができれば最も速く走れることになる。
けれど運転中にそんな計算をしている暇はない。だから、特にクルマの挙動と挙動の間のトランジッションで操作が重ならないようにすることで10を超えないように予防することが大切になる。そうすれば、トランジッションの前後では加速、減速、旋回のいずれかにタイヤのグリップ全てを使いやすくなる。
タイヤは過重によってもグリップが増減するからもちろんグリップの限界は一定ではない(ここでは10と表したが9になるかも知れないし12になることもある)けれど、常に縦方向と横方向に使うグリップの和を限界内におさめようとする意識が重要だ。

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YRSトライオーバルを1周した時のグラフ
青線が速度で赤線が縦方向(進行方向)加速度
横軸の時間0はコース図上の緑点からスタート
マイナスの縦方向加速度が立ち上がって速度が落ち
プラスの縦方向加速度が立ち上がって速度が上昇する
ボトムスピードに達する頃には縦方向のマイナス減速Gが減少している

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同じYRSトライオーバルを1周した時のグラフ
青線が速度で緑線が横方向の加速度
速度が落ちてコーナリングが始まる
横Gが減ると加速が可能になる
横方向加速度の波形の乱れが4コントロールによるものかどうかは定かでない

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全てのデータを同一画面に
青線が速度(40~125キロ/時)
赤線が縦方向の加速度(-1.1G~0.5G)
緑線が横方向の加速度(-0.2G~1.2G)
コース上の×印でこの周の最大マイナス加速度0.890を記録
コーナーのはるか手前からコーナリングに備える


※PIPを入れ替えた動画後半で4コントロールの動きはわずかにわかる程度だが、左リアタイヤとフェンダーの間隔の変化で姿勢変化が見て取れ過重の移動が想像できる。ブレーキングでノーズダイブするけどターンインの前に荷重が後ろに戻っている。ターンインでアウト側前輪に荷重が移動しているのがわかる。


graph2
いつもながらぶっつけ本番の数周で
理想的なラップではないし
理論とのギャップが全くないと言えば嘘になるが
傾向はわかる

0.0~0.4秒:スロットルオフで加速Gは低下を始めているのに車速は上昇していて118.8Km/hMax
0.1秒:減速Gが立ち上がり始める
1.8秒:マイナス0.895Gの加速度を記録
2.0秒:踏力を抜いたため横Gが発生する前に減速Gが最終的に0.52Gまで減少(速度は低下)
3.2秒:ブレーキを残しながらステアリングを切り始め横Gが急激に立ち上がる(速度は低下)
4.0~6.0秒:1G近い横向き加速度を記録(速度は回復傾向)
8.5秒:横向き加速度が減少して加速し最大加速度は0.437G
9.2秒:3速にアップシフトも速度のよどみなし
9.4秒:直進状態にも関わらず横Gはゼロにならず低数値の時間も短い
9.7秒:アンダーステアを嫌いスロットルを少し戻してからターンインで速度の上昇鈍化(全開で4コントロールを試してみれば良かった)
13.4秒:ステアリングを戻して加速し最終コーナー手前で113.4Km/h
13.5秒:ステアリングを戻して横Gを消してからブレーキングで2速にダウンシフト
14.7秒:最大減速加速度は0.860G
13.0~14.4秒:減速Gの立ち上がりを横Gの減少が追い抜いていない
15.7秒:ブレーキを抜いてからターンイン
16.0~17.0秒:ごく薄いブレーキのトレイルブレーキングを使いながらステアリングを切り足す
16.7秒:イーブンスロットルに移りステアリングを切り足す
17.0~20.0秒:減速Gはほぼゼロなのに走行抵抗で車速が低下(スロットルをもっと開けるべきだったかな)
20.0秒:ステアリングを戻した分だけスロットル開け始める(スロットルをもっと開けてみても良かったかな)
21.8:最大化速度は0.4G
22.5秒:3速にシフトアップ
24.4秒:この周のラップタイム

理論的には、YRSトライオーバルにある2ヶ所のブレーキング区間終盤のターンインと重なる区間(円内)で、縦方向と横方向に使うタイヤのグリップをの和が、その瞬間のタイヤのグリップの限界を超えないような操作がクルマを前へ前へと進める。

しかし今回、スロットルをコントロールしてグリップの限界を探るより、もっと積極的にスロットルを開けて4コントロールの奥深さを試してみるべきだった、かなと。ビデオを見返し記憶をたどると、メガーヌRSの限界をさぐるところまで行ってないように感じる。懐の深い足だから4コントロールの恩恵にあずかれず、タイヤのグリップも生かせずに走ってしまったようだ。タイヤのコンタクトパッチを変形させないような走り方が信条とはいえ、もう少し欲を出してもバランスは崩れなかったかも知れない。昔の人は自分で動かしている実感がほしくてマニュアルシフトをしたけど、シフトも機械任せにしたほうが速かったかも、とちょっと後悔。



第402回 ブレーキペダルとかかと 3

398回衝撃の事実 で意見を聞かせてほしいとのお願いに対してメールが届いているので紹介します。今回のメールは長文でイラストも添付されていました。また、かかとを床につけて操作することへの否定的意見も聞きたいと思いますのでよろしくお願いします。

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トムさんこんにちは。Fです。

基本的にはトムさんが推奨しておられる方向に賛成です。夫と息子は「え?自然に(かかと)つくよ」ということで、議論にもなりませんでした。

ユイレーシングスクールに参加し始めて、かかとをつけるペダル操作の話を聞きました。特にかかとをつけるつけないを意識したことがありませんでしたが、先ずはつけていなかったことを認識しました。
30年前に教習所でどう習ったかは情けないかな記憶にありませんでしたが、ユイレーシングスクールの座学等で見聞きしたことで、かかとをつけてペダルを扇型に踏み込む操作をすることで、ブレーキにしろ、スロットルにしろ、踏力調整、それによる車の姿勢制御もしやすいと考えました。

そういう理由で、それが自然になるには少々時間がかかりましたが、かかとをつける様に修正しました。公道もサーキットもオーバルも、操作性は上がりましたし、特に不便や危険を感じたこともありません。
自身は、最終的にドライビングポジションを含めて見直した形になりましたので、かかとだけつければ良いということではありませんでした。

踏み間違いに関しては、両ペダル共にかかとをつけてペダルを扇型に踏み込むことを日常的にしていれば、(この操作法なら考えにくいですが)万が一、踏み間違えたとしても、ペダルを扇型に踏み込んでいれば初動がじわっと出るので、ドライバーがそこを感じ取れれば大きな急発進誤発進には繋がらないのではないかと考えています。

昨年末から今年はじめにかけて、息子と娘が相次いで免許を取りました。先日来何度かに分けて、教習所でブレーキングをどう習ったのか確認をしてみると、
・アクセル操作はかかとをつける、
・ブレーキは足を踏み換えて(かかとをつけているか否かは特に定義なし)踏み込む、
・有事の際はかかとを離してブレーキペダルを強く踏み込め
と習った様です。(あくまでも子供達の記憶です)

口頭で、急ブレーキの時はかかとをつけて踏み込むと止められないので、かかとを離して踏み込むのだと言われたそうです。この件に関しては疑問を感じますが、それが全体の方針かどうかは定かではありません。
教習所では急ブレーキ練習もあるそうです。我が子含め、奥までブレーキを踏めない人も多いそうで、精度はともかくまず奥まで踏んでくれということなのかも知れません。あくまでも想像ですが…。

もしその教わり方で踏み間違えたら、と想像してみると、ブレーキだとおもってアクセルを踏み間違えた人は有事だと思って一気に強く踏み込んでしまって急発進することもあるのではないかと思い、このままでいいのかと疑問を感じます。(教習所というシステムには、親として感謝している部分も多くあります。万人にあの短期間で多岐にわたる内容を教えて練習をするということは大変な事だと思っています。)

あくまで自分比になってしまいますが、自分自身はかかとをつけてブレーキペダルを踏んでも、前より確実に安全に速く止まれています。
かかとをつけることの是非は、車のペダル形状や配置や操作系と着座位置の関係、その人の体格など、さまざまな条件が関係していると思います。

例えば、先日車屋さんからお借りした代車はツーペダルでブレーキペダルが大きく、足元のスペースの都合でペダル間が近すぎて、かかとの位置を変えない踏み換えなしだと両方のペダルに足が乗ってしまいやすく危ないので、両ペダル共かかとはつけて操作しましたが、各ペダルに正対する様に踏み換えました。

理想としての形を知り、運転姿勢や操作で何が大事なのか、その根拠を一人一人が正しく知って、一人一人が自分の操作というものに向き合えば、車との向き合いかたは、その人なり、その車なりの何かしらの途中経過や答えが出る様に思います。そういう事を考える機会を頂けて、ユイレーシングスクールに通って良かったと思っています。


※ 以下はFさんが送ってくれたイラスト。たぶんお子さんの教本から。
※ 3枚目のイラストにはかかとをつけてスロットルペダルとブレーキペダルを踏み換える動作に × がついている。

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どちらが正しいとか間違っているとかではなく、現実にこれだけの踏み間違いによる悲惨な事故が起きているのだから、議論する前にクルマを運転する人は、どうすれば踏み間違いをしないですむか一度真剣に考える時期にきているのではないだろうか。ご意見お寄せ下さい。



第401回 ブレーキペダルとかかと 2

398回衝撃の事実 で意見を聞かせて、とお願いしたところ、さっそくメールをもらったので紹介します。かかとを床につけて操作することへの否定的意見も聞きたいと思いますのでよろしくお願いします。

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Mです。いつもブログを拝見しています。

私は自動車学校に行かなかったのでどのように教えているかは分かりませんが、私自身は最初から踵をつけていました。先入観無しに操作すれば自然とそうなると思います。これに関しては専門的な立場から後ほどお話しします。実は私は神経科学(ちまたでは脳科学ということばを良く聞きますが)や運動生理学を専門にしています。

踵を支点としてアクセルとブレーキを操作するのは操作を確実にするという観点から理にかなっていると思います。ブレーキペダルをつま先で踏む動作を考えます。ブレーキペダルの位置を推定(機械だと実測できますが人間だと運転中は実測できませんので反復練習を行うことによって脳が予測値を獲得していると考えられています)して、つま先の現在の位置(これは人間でも実測していますが、時間遅れがありますので、推定値を用いていると思われます)に対する相対的な位置を計算して、それを元に運動指令を計算する必要があります。

アクセルペダルとブレーキペダルの踏み間違いというのは、つまるところ、上記の課程の中で生じているわけです。特に(頭や体幹を動かすなどして)姿勢を変えた後や途中でブレーキペダルを操作する場合、通常の姿勢でブレーキペダルを操作するのと同じくらいの回数を姿勢を変えた状況で反復練習していれば別ですが、そうでないと、つま先の位置に対するブレーキペダルの位置の計算に誤りが生じているのでしょう。

また、踵を支点としてアクセルとブレーキを操作するのは(股関節を支点とする場合に比べて)操作量を少なくするという観点から理にかなっています。操作量が少ないということはブレが少ないということにつながります。つまり、意図した動作を毎回正確に実行できるということです。これはかなり専門的な話になりますが、脳が運動指令を出す際、(神経系の特性として)その出力の強度に依存したノイズが入る事が知られています。ですから、操作量が少ない、つまり脳からの出力強度が小さいということは、信号に重畳しているノイズも少ないということになります。

最後に、脳はかなりのサボリやさんのようで、目的が達成されれば途中経過は気にせずに消費エネルギーを少なくするという戦略を取っているようです。ですから、何も教えられずにブレーキとアクセルを操作すれば自然と操作量が少なくなる踵を支点とする操作になると思います。

ただ、私の妻のように足が小さいと、踵を支点にするとつま先がブレーキペダルに届かない場合もあるようです。ここらへんの問題は、作り手の論理から使い手の論理へ、さらには真の人間工学を啓蒙していく必要があるでしょうね。

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もっといろいろな方のお話をお聞きしたいと思います。ぜひご意見をお寄せ下さい。
ユイレーシングスクールメールアドレス:yuiracingschool@gmail.com



第400回 ブレーキペダルとかかと 1

398回衝撃の事実 で意見を聞かせてとお願いしたところ、さっそくメールをもらったので紹介します。

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ご無沙汰してます。Aです。ブログ読みました。

かかとを床につけた運転の方がブレーキの精度と踏む力が増すのでみんなそうするべきだと思います。

ただ、きちんと勉強や練習をしてない人がこれだけを心がけた場合、踏み変えに戸惑うか、時間がかかるかもとも思いました。最悪、足がブレーキペダルの下に潜り込んでしまうとか。

要は、慣れていない人のアクセル→ブレーキへの踏み変えは、かかとをつけずにガバッと踏み変えたほうが早いのかも。

結果、早期にABSを作動させることになり、制動距離が伸びますね。公安委員会や自動車メーカーは運転者に積極的にABSを用いるブレーキをしてもらい、”運転者がミスして制動距離が伸びるぐらいだったら、最初から機械に任せてしまえ”という考え方なのかもしれません。

でも個人的に納得行かないのは、機械任せだと、これらの機械がフェールしたときに完全お手上げモードになってしまうので(例えばABSフェール時は完全ABSカット、しかもリア寄りの制動)、車と対話できていないガバガバブレーキのユーザーは大事故に合う可能性が高まると思います。

自動運転関連の仕事をしていますが、益々そういった車になっていきますね。

機械が進化してきている今こそ、きちんとした操作を積極的に学んでおかないと(車が教えてくれないから)、と思っています。