トム ヨシダブログ


第820回 続・カングー ヴァリエテ

高速道路と一般道を合わせて846キロ。カングー ヴァリエテで走った小旅行とヨシダ流傾向と対策を自問自答。

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琵琶湖東岸から西岸を望む

 

・ドライビングポジションの重要性
メガーヌRSウルティムと比べて130Kg重く8Cm長く40Cm背の高いカングー ヴァリエテは、当然ながらウルティムとは異なる動きをする。いくつかの差異があるけど、最たるものは走行中の姿勢変化の大きさだ。
当たり前なのだけどコーナリングすると背の低いクルマと比較して大きくロールして荷重が外側に集中する。少し速いコーナリングをすれば車体が大きく傾く場合もある。そんな派手なコーナリングをするユーザーはいないと思うけど、大きくロールするクルマで気をつけなければならないのがドライビングポジション。シートの上で身体が踊るとステアリングホイールを不必要にこじてみたり、スロットルを緩めるとバランスを崩すようなシーンでスロットルペダルが踏み込めないなど、クルマの動きを乱してしまう可能性がある。
運転操作の基本は、まずクルマの動きを把握するところから始まる。動いているクルマを目的に合わせて操作し続けるのが運転だ。クルマの姿勢変化を正確に知るためにはシートに身体が密着していて、かつ操作が横Gに影響されないドライビングポジションが大切だ。目安としてコーナリング中に横Gを受けながらも必要なだけステアリングを切り足したり戻したりすることができれば、上体は動いていないことになる。
ステアリングホイールのテレスコピックを最大限伸ばして手前に、チルトをステアリングシャフトの延長線が顎か口に向くようにセットした。シートは右足が自由に動く範囲で前に出す。結果として肩を動かさずにステアリングホイールを回すことができて、踵を動かさずにスロットルペダルとブレーキペダルを踏み換えられれば〇。ボクの場合は大きな横Gを受けた時にも背骨がバックレストの中心線から少しもズレずにステアリングホイールを押したり引いたりできれば良し、としている。

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琵琶湖東岸から比良山系を仰ぐ

 

・スロットルオフは早めたい
20年近く前のことだと思う。当時新型のスイフトがスクールにやってきた。同乗走行でオーバルを全開で走った時、スロットルを閉じたのにクルマが加速を続けるという経験をして驚いた記憶がある。後に、濃い混合気がシリンダーに入った後は排気ガスを浄化するためにスロットルペダルをオフにしても電気的な制御でスロットルが開いたままになるから加速したように感じる、と聞いた。スロットルペダルとスロットルが物理的に結ばれていない、スロットルを閉じる=加速が終わらない場合がある時代の到来だった。
カングー ヴァリエテのスロットルも見えないところで電気的、機械的制御が入っているのだろう。スロットルオフ前の状態、定速走行なのか加速中なのか、はたまた平坦地なのか登り坂なのかによってはスロットルオフ直後にエンジンブレーキの効きを全く感じられない瞬間があった。空走する時間を設けて燃費を稼ぐためのシステムが設けられているのかも知れないけれど、エンジンブレーキへの移行=加速の終わりが走行している条件によって異なるから、減速開始の判断を早めるためにも先の先を見て運転して、スロットルを戻すタイミングが来ると思ったらブレーキは踏まないまでも、躊躇せずに右足を浮かしたほうがいい。

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琵琶湖西岸に戻る道
遠くに琵琶湖大橋が

 

・ブレーキ:踏力のかけ方
正しいブレーキのかけ方ではないけれど1度だけブレーキペダルを蹴とばしてみた。瞬間的に制動力を立ち上げることによって、カングー ヴァリエテがどんな姿勢変化を起こすか、どんな減速Gが立ち上がるかの確認したかったから。
結果は、記憶が曖昧な部分もあるけど 先代(ブログ第51回 いいねぇ) と同じでノーズダイブの仕方がカングーらしかった。具体的にはフロントがだらしなく沈むような挙動を見せなかった。背の高いクルマではフロントが沈むと同時にリアがホップするような挙動を見せることがあるけど、その場合はピッチングの中心が前後輪の間にあるような感じの動きになる。対してカングーはそれが後輪付近に中心があって長いスパンの先にあるフロントのマスが穏やかに沈み込む感じ。リアが不安定になる兆候は感じられなかった。珍しくフロントと同じ大径のベンチレーテッドディスクブレーキがリアにおごられているのもひと役かっているのかも知れない。
カングー ヴァリエテのブレーキングでは踏力に変化をつけたい。踏力が一定のブレーキングだと前輪の荷重は大きくならない。フロントの荷重が増えれば前輪のグリップが増し減速Gに対する余裕が生まれる。速度の高いうちに漸進的に踏力を強め、初期の減速が達成できたら踏力を抜いていくほうがブレーキング時の姿勢は安定する。進んでいるうちに車速は落ちるから。
最初に減速Gを大きくしておいてから踏力を抜くわけだから、抜くほどにほんのわずかに車速は落ち続けるけど前後の荷重が同等になろうとする。ブレーキペダルに右足は乗っているのだけど車体はつんのめっていない。クルマ側にしてみれば停まったと感じられないからだろう、アイドリングストップを解除していなくてもエンジンが止まらないまま停止することもできる。それほど減速Gをコントロールできる。

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大津市中心部にて

 

・マニュアルシフトがいいね
Dレンジで走行中にシフトレバーを右に倒すとマニュアルモードになる。スピードメーターの右にあるインジケーター”D”の横に数字が現れるのでそれとわかる。マニュアルモードではシフトレバーを前後することで意識的にギアを選ぶことができるのだけど、ちゃんと加速中のアップシフトは慣性の法則に従ってシフトレバーを後ろにクリック、ダウンシフトは前にとなってるのが嬉しい。そうでないクルマもあるからね。
さて、今回はマニュアルシフトを多用した。と言っても、1速でスタートしてアップシフトやダウンシフトを繰り返しながら走るという使い方ではなく、実際にはある特定の局面でごく短い時間マニュアルシフトに頼った、と言うのが正解。
例えば、上り坂で加速する必要はないけど駆動力を確保しておきたい時。前を走るクルマの速度が落ちて来て、それに合わせた自分のクルマのエンジン回転もパワーバンドから外れそうになった場合とか。スロットルペダルを踏みこんでダウンシフトする手もあるけど、それだと何速下がるかは傾斜の具合や踏みこみ方次第になる。場合によっては2速ダウンシフトして加速しすぎるかも知れない。
シフトレバーを右に倒すと、その速度に応じたギアが選択される。駆動力を得るならシフトレバーを前に押してダウンシフト。ATモードに任せるよりも運転手の意図通りのギアチェンジができる。さらに駆動力が必要ならもう1度シフトレバーを前に押せばすむ。新しいカングーのEDCは7速なのでギア比が分散している。どのギアでも1回のダウンシフトでエンジン回転は500回転ほど上昇するだけだけど、十分に期待するトラクションが得られる。
マニュアルシフトをエンジンブレーキとして利用することもできる。緩やかな下り坂で速度が上昇しがちな時は、ブレーキで速度を落とす換わりにシフトレバーを右に倒してから前に1回押す。ダウンシフト1段ならばエンジンが悲鳴を上げることもない。希望する速度まで落ちたらシフトレバーを左に倒してDレンジにしてもいい。

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ダイアル式のスイッチが受け継がれている
ブラインドタッチができるこれが好き
ルノーのデザイナーの良心
 
他にもスイッチ類の配置や操作が明快で
奇をてらったところがないのが〇
操作系のデザインに遊びはいらないかな

 

・シフトショック
それにしてもカングー ヴァリエテの7速EDCオートマティックトランスミッションには驚いた。Dレンジに入れっぱなしで運転する時間がほとんどだったのだけど、穏やかに走った時はシフトショックが小さすぎて、大げさではなくいつアップシフトしたのか感じられないことがあった。7速と多段化してギア比が分散した効果なのか、それとも他の制御が進化したのか。体感的には6速EDCのウルティムのほうが明確にシフトチェンジを感じる。
Dレンジで走っていてEDCがどのギアを選ぶかは、車速、スロットル開度、路面の状況、加速度など莫大なデータを拾って計算した結果だろうから、これといった決まりがあるはずがない。それこそ天文学的な組み合わせになるに違いない。そしてその恩恵は走行中に如実に。
トルコン式のATだと加速中にスロットルを緩めるとシステムが判断して上位のギアに自動的にアップシフトしてしまうことがあるけど、EDCは基本的に車速に応じたギアにとどまってくれる。例えば市街地の40~50Km/時でマニュアルモードにすると、状況にもよるけどギアは4速か低負荷の時に5速だった。あれこれ試してみたけど、7速はだいたい80Km/時以上が守備範囲のようだった。それでもエンジンは2,000回転も回っていない。多段化したEDCの面目躍如といったところか。80Km/時からでも必要な場合はマニュアルモードにして2段ダウンシフトして大きな加速度を得ることも可能なのも嬉しい。安全性も高まる。

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北小松水泳場(!)から比良山系の遠望

 

・後輪荷重
スクールをやっているとスクール機材を詰め込んで高速道路を長距離移動することが多い。運転が根っから好きなのか長時間の運転も苦にならないけど、神経を使うのが風が強い日の高速道路。特に切通しのある新東名や吹きっさらしの伊勢湾岸では横風にあおられることが多い。そこで、科学的根拠はないし効果を確かめたわけではないけど、重たいものをリアのオーバーハングに積んで後輪荷重を増やして走るのが習慣になっている。前後の輪荷重が均等に近いほうが外乱を受けにくいかな、と。あくまでも想像の範囲を超えないけど。
今回はとんでもない風が吹いていたのと機材がほとんどなかったのでどうなるかなと思ったけど、拍子抜けするほどあおられることもなく進路を乱されることもなかった。
何か理由があるのだろうとウルティムとカングー ヴァリエテの重量配分を車検証からはじき出してみた。数値は車両重量なので実際の走行時にはこれに運転手の体重が加わるから、あくまでも目安にすぎないけれど。
ウルティムの前輪軸重が920Kgで後輪が550Kg。1,470Kgの車重から前後の重量配分を計算すると前62.6%:後37.4%の値。驚いたのはカングー ヴァリエテで、なんと前58.9:後41.1。ウルティムより重量配分がイーブンに近い。それも横風安定性に寄与しているのか、と思いたくもなる。サスペンションのしつけもいいのかも知れないし。いずれにしろあの外乱に対する抵抗力は見事。
で、なぜカングー ヴァリエテのほうが後輪荷重の比率が大きいのか気になって、両車とも前後それぞれの数値は提供されていないから数字の遊びでしかないけれど、前後のオーバーハングの合計を全長で割って、ホイールベースの前後にぶら下がる車体部分の長さがどのくらいの割合か見てみた。すると驚くことにウルティムが0.395でカングー ヴァリエテが0.394。前後オーバーハングの合計は両車とも一定の割合に収まっているのがわかった。FFならではの数値なのだろうか。だからなんだ、という話ではあるけれど。

 

掛け値なしにカングー ヴァリエテの完成度が高いことはわかった。ウルティムと性格こそ違うけど、ウルティムに通じるルノーならではのしなやかな足と必要にして十分な動力性能には感心させられた。おそらく遠い将来にはカングーを相棒にして時間を超越したクルマの使い方を楽しむ日が来るかも知れないけれど、あと5年、スクールを続けてるうちは上手さと速さを拠りどころに運転を続けるのだろうな、と思わせてくれた今回の小旅行だった。

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前回満タンにしてから市街地を225.0キロ走破
と言っても大津市の北部は
ほとんど信号のない郊外みたいなものだけど
 
ハイオク16.86ℓを消費し燃費は13.34Km/ℓ
高速道路と変わらない好数値を示した
7速EDCの成せる業か

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これは気が利いている
お子さんが後席に座った場合のコミュニケーションツール
 
写真は鏡を半分だけ引き出した状態



第819回 カングー ヴァリエテ

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もみじマークをボンネットに貼ろうとしたら
スルリと落ちてしまった
『えっ!』である。

 

クルマのボディは鉄でできている。鉄板むきだしのダッシュボードを経験している世代は何の迷いもなくそう信じているだろうから、マグネット式のもみじマークがくっつかないなどとは決して思わない。まず何かの間違いだと疑う。

そう言えば、メガーヌRSのテールゲートにもみじマークを貼ろうとした時もそうだった。最初は、ホントになんで貼りつかないのかピンとこなかった。しばらくして、「ははん、たぶんアルミ製だからなのだろう」とブログに書いたら、ルノー・ジャポンのUさんが樹脂ですと教えてくれた。貼りつかないのにも驚かされたけど、複雑な形のテールゲートが樹脂でできているなんてワタクシ世代には刺激が大きかった。

ちなみに今回はブログを書く前に調べたら、新しいカングーのボンネットは軽量化のためにアルミでできているとあった。

閑話休題。

首都圏での用事を済ませ東名、新東名、伊勢湾岸、新名神、名神と乗り継いで大津までひとっ走り。風の強い日だったけれど横風にあおられることもなく快適なクルージングだった。自分の周りに大きな空間があって、自分を取り巻く空気全体と一緒に移動している感じがいつもと違ったけど。

新名神では流れをリードする速さでも走ったけど、やはりルノーの足はお世辞抜きにして良い。前も後もタイヤが路面を掴まえている感覚がステアリングホイールから伝わってくる。ブレーキング時の姿勢変化、ブレーキの効きも期待通りだった。

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自宅に近いガソリンスタンドに立ち寄って
トリップメーターは518.6Km

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容量54リッターの燃料タンクは
37.3リッターのハイオクを飲みこんだから
燃費は13.90Km/ℓ
空気抵抗が小さくないガタイの大きさや
走行ペースを考えれば上出来の部類

 
初めてのクルマだし、燃費のことを考えて、ずっとスロットルを抜きながら速度を維持する努力を続けたのが功を奏したのかも知れない。

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給油後には見込みの足の長さが850Km
一般道では難しいかも知れないけど
長距離でも不安がないのは確か

 

3代目カングーの足がこれまた良かったので、過去にしたためたカングーにまつわるブログを紹介します。

・ブログ 第51回 いいねぇ
・ブログ 第243回 カングーがそそる

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第818回 YRS + エンジンドライビングレッスン

2003年。「所有欲から使用欲への転換」を合言葉に始まったエンジンドライビングレッスンの79回目が終了。今回は編集部からの2名を含み25名が参加。うち4名がエンジンドライビングレッスン初参加。

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いつものように村上編集長の挨拶に始まって
午前中はジムカーナ場で徹底的に
イーブンスロットルとトレイルブレーキングの練習
 
午後はコース1000に移動して
1周1キロ強のコースをできる限り速く走ります。
 
みんな一生懸命運転した
エンジンドライビングレッスンの22年目が終了
どの顔も笑顔、笑顔

※ エンジンドライビングレッスンは2025年も3月、5月、10月の3回開催する予定です。



第817回 Nさんの場合

今回ルノー/アルピーヌ以外のオーナーにこのブログに登場してもらったのには訳がある。その訳は改めて述べるとして、初めてユイレーシングスクールに参加してくれたNさんに感想文を書いていただいたのでお披露目したい。

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今回初めてYRSツーデースクールFSWに参加したNです。

今まで3回、自動車雑誌主催で筑波サーキットで行われた1日コースに参加してました。そこで初めてトレイルブレーキングとイーブンスロットルを教わりましたが、なかなか理解・実践することができません。メーカー主催のFSWトレーニングにも参加しまして、本コースで車の性能を高速で試す事ができますが、うまくなった気がしません。

それでYRSのホームページを訪れ、YRS教科書を読み、もっと運転を上手くなって楽しみたいと思いツーデーに参加した次第です。

2日目のショートサーキットを周回するのは楽しいのですが、なかなか思うように行きませんでした。トムさんをはじめインストラクターの方に同乗走行をお願いして、まず走行のメリハリ、走行姿勢の安定性、コーナリングスピードの速さに驚かされました。また僅かに疑問が解けたというか自分の出来ていない部分を(多少ですが)理解できました。さらに他の参加者の方々がも色々アドバイスして頂きました。そのおかげで僅かにタイムも向上したのですが、あらためて初日のスラローム、ビッグブレーキ、スモールブレーキ、オーバル走行の練習がショートサーキットでの走りに大切なんだと気付かされました。

まだまだクルマの物理的な理解やクルマの姿勢変化を感じる力、その対応力など課題はいっぱいですけど、ツーデースクールは本当に楽しいし勉強になります。少しずつの向上を目指してまた参加しますので、その時はよろしくご指導ください。有難うございました。

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Nさんを横にNさんのクルマを借りて
スラローム、ビッグブレーキ、スモールブレーキのデモラン
 
何を目的に練習するのか
どういう結果を導き出したいのか
明確な指針を持って
リアルタイムアドバイス通りに走ると効果絶大です

 

Nさん また走りに来て下さい。日程は未定ながら、来年も春秋2回のYRSツーデースクールFSWを予定しています。



第816回 秋、富士山とYRSと食

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9月21日土曜日 朝7時40分
YRSツーデースクールFSWの1日目
参加者全員が集まる前に富士山を

 

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前日のコース作り用腹ごしらえに例のところに
 
例によってまず地アジ刺し
 
昔は秋口過ぎると地アジが捕れないからと
メニューから消えていた地アジ刺しと地アジ丼
駿河湾で獲れるアジを地アジと呼んでいる
近年は年中あがるみたい
喜ぶべきなのか

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今日はこんな気分
マグロ赤身丼
 
マグロ中トロ丼もあるけど
近年と言っても3年くらいかな
マグロを味わいたい時には赤身に
歳なのかね

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予定では
年内ににもう一度来れるはず
 
えぇ
どうせワタクシ目は
VSOPですとも



第815回 秋、富士山とYRS

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9月20日金曜日
10時3分の富士山を御殿場市山の尻から仰ぐ
 
それにしても稲穂が倒れている
これから刈入れるのだろうか
 
これ後沼津に出向いて食事
その後21、22日のYRSツーデースクールFSWの準備



第814回 Tさんの場合

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Tさんが
YRSトライオーバルFSWのメインストレートで
床まで踏みこみます
 
Tさんに受講した感想文をお願いしました

 

トムさんのスクールは今回が初参加となります。
スクール自体はルノーのブログで存在を知り、同じメガーヌRSトロフィー乗りとして興味を持って拝見していました。

メガーヌ3RSに乗ってからサーキットを走りたいと思うようになり、鈴鹿や富士での体験走行、レッスンに参加。その後メガーヌ4RSトロフィーに乗り換えてから鈴鹿のライセンスを取得、年に数回本コースと南コースを走行していたものの車をうまく操れるような感覚は乏しく。。。ブログやHPで読んでいたトムさんのスクールはどんな感じだろうと参加させていただきました。

まず座学ですが、目から鱗だったのがタイヤが真っ直ぐになっていれば車を押せるけど、少しでも角度がついていると押せないという事実。考えればわかるのですが、走ることと結びついておらず、まさに目から鱗でした。他にもオーバルレースの面白さなどこれまで聞いたことのない話を聞かせていただきました。

走行を始める段階で初参加が私だけだったので、なんとトムさん直々に同乗走行していただけることに。ブレーキングからターンイン、コーナー後半から加速、次のコーナーへのアプローチとこれまで経験したことのない感覚とコーナースピードを体に覚えさせ、いざコースイン。

が、当然同じようには全く出来ず、1つ1つを意識しているつもりでもいつもの走り方をなかなか変えることができずに苦戦しました。しかしさすがはトムさんのスクール、これまで参加した他のレッスンとは違いどんどん走ります。何度も何度も反復練習をすることでいろんなことを試すことができたのです。

正直オーバルをぐるぐる回るのはどうなんだろうと思っていたのですが、いや、むしろオーバルだからこそすぐに同じコーナーが来てさっきやろうと思ったことがすぐに試せるのか、とここでも目から鱗でした。

とはいえ午前中の走行ではコースに慣れるのがやっとで、同乗走行で感じた感覚は全く再現することができないままに終了し午後のレッスンに。午後も四苦八苦しながら(進入スピードが遅いと言われたのは初めて笑、走り過ぎてヘトヘトになってたり)周回を続けるとようやく何周かに1回、部分的ではあるものの同じ感覚で走ることができた気がします。

100km以上しっかり走り込んだところで何とガソリンランプが点灯し最後2回走ることができなかったですが、心地いい疲労と共に家路に着くことができました。

タイヤ4本をしっかり使って走ることを習得したい人にはおすすめのスクールです。

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Tさんは
今週末の
YRSツーデースクールFSWにも
申し込んでくれています

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メガーヌⅢRSからメガーヌⅣRS(MT)
ルノー・スポール大好き人間とお見受けしました



第813回 GPSLaps その後

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ブログ811回 GPSLapsで四者四様 の続き
 
画像はスタッフYのベストラップ23秒545の周
速度と加速度のグラフに走行ラインを加えたもの
今回は走行ラインから4人の走り方の違いを検証
 
計測ライン(白線)でグラフは始まり
1周500m余のコースを走行したデータ

 

・走行ラインの色は
・緑色が濃いほど加速度が大きく
・赤色が濃いほどマイナス加速度が大きく
・その中間の黄色は加速度がイーブンかわずかにマイナス

・走りを俯瞰すると
・計測ライン手前で3速にアップシフトしているので瞬間加速Gがマイナスに
・加速直後にラインが赤くならないのはトランジッションの分
・直進状態で-0.7Gほどのブレーキングを短く
・直進状態で踏力を抜き始め
・ターンイン後は失速しないように限りなく薄いブレーキを引き摺る
・ステアリングを戻すのに比例してスロットルを開ける
・2速で加速しキンクまでに3速にアップシフト
・パーシャルスロットルでキンクを抜け加速
・トランジションを取りながらブレーキングし2速にダウンシフト
・舵角がつく前にブレーキを抜きフロント荷重を減じる
・長い直線での加速を有利にするため
・ブレーキを奥まで引き摺ってヨーモーメントを発生させる
・2速で引っ張り3速にアップシフトで1周

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比較のために4人の走行ラインを並べてみた。左からワタクシ、スタッフY、スタッフF、参加者Fさん。

・ワタクシ
ウエットだとは言えなぜこんなヘロヘロの走りしかできなかったのか記憶にないのだけど、4人の中で1人だけキンクを抜けた後で直線的に加速し直線上で減速するラインをとっている。意図してやっているのだけど横向き加速度のグラフを見ると、キンクで右向きの加速度がかかった直後に左向きの加速度が現れている。ステアリングを戻して直線的に加速した証。その方が速いしクルマの挙動がわかりやすい。

・スタッフY
ワタクシよりコンマ547秒速かったY。下のコーナーはワタクシよりブレーキングが奥で踏力も強い。キンクは踏んでいってるけどキンクを抜けた時に一瞬スロットルを戻しているのはなぜ。

・スタッフF
ワタクシもそうだけどFもYよりアップシフトの時間がYに比べて長いか。下のコーナーのブレーキングを見ると緑から黄色の部分が少なくて赤に変わっているから、ブレーキを蹴とばす傾向にあるのかも。

・参加者Fさん
走行の手順はセオリー通りなので、加速度のグラフで加速度の大きさと立ち上がり方や収束のしかた、走行ラインで各パートの流れを検証すれば次回は間違いなく1秒アップです。また走りに来て下さい。

モニターに映さないと見にくいかもしれないけど、走行ラインの色分けからいろいろなものが見えてくる。スタッフのYとFとはグラフを見ながらあ~でもない、こ~でもないと重箱の隅をつつき合ったものだ。

走り終わった後でどんな操作をしていたか振り返ることができるのは大いに楽しい。掛け値なしの自分と向き合える。理論的に正しいと思ってやっていたことがその通りではなく微妙にズレていたり、何よりも失敗したことが正しく記録に残る。理論とのズレが起きた原因を探り当て、失敗した原因がおおかた欲をかいたからだと自戒することができれば、このワタクシめでもまだ伸びしろがあると確信できるというものだ。

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ユイレーシングスクール25年目の活動は、10月のエンジンドライビングレッスンと12月のポルシェクラブ東京銀座のドライビングレッスン、それとYRS独自のプログラム、YRSツーデースクールFSWとYRSドライビングワークショップFSWを残すのみになりました。

YRSツーデースクールFSWは1日目が駐車場での基礎練習で2日目がショートコースを100周以上走る短期集中型のドライビングスクールです。運転はある意味操作に慣れることが大切なので2日間運転にドップリ浸かることは非常に有効です。

9月21,22日に開催するYRSツーデースクールFSWの申し込みは以下のリンクから行えます。
・9月21/22日(土日)開催 YRSツーデースクール開催案内 & 申し込みフォームへのリンク

YRSドライビングワークショップFSWはクルマを動かす基本操作の質を高めるのが目的で、富士スピードウエイ駐車場を使って午前中はブレーキング練習を2種類とスラローム練習。午後は加速減速旋回を高いレベルでまとめるためのオーバル走行を行います。全ての練習はFMラジオからリアルタイムでアドバイスを受けながら行います。クルマを思い通りに動かすコツを体験できます。

11月2日(土)に開催するYRSドライビングワークショップFSWの申し込みは以下のリンクから行えます。
・11月2日(土) YRSドライビングワークショップFSW開催案内

ルノー乗りの方はぜひ一度参加してみて下さい。ルノー車の良さを再認識すること請け合いです。



第812回 視線と視野

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昔から
どんな場合で
最右車線を走り続けることはない
その必要も感じない

 

高齢者の逆走が頻繁に起きているからか、ドライブレコーダーが普及したからか、ニュースで逆走しているクルマの映像が流れることを目にする機会が増えた。

逆走は交通体系を根本から覆すものだから、してはいけないし防ぐための対策も必要だ。しかし個人的にニュースを見て暗澹たる思いになるのは、高速道路で逆走車を避けたクルマの動きだ。幸いにして事故にはいたらなかったようなのだが、手放しで喜んでいいものでもない。

まず走行車線にクルマがいないのに追い越し車線を走り続けているクルマが多い。逆走車の運転手は自分にとっての走行車線を走っていると勘違いしている可能性が高いのだから、逆走車が向かってくるのは順送車の追越車線。追い越し車線の走行は必要最低限にするべきだ。

次に追越車線(逆走車にとっての走行車線)を向かってくるクルマを認識して回避するタイミングだ。定点カメラは焦点距離が長いからよせ効果で一概に距離感を断定することが難しいけれど、いくつか見たニュースでは追い越し車線を走るクルマが直前まで回避行動をしていないように見える。どこを見て、何を視界に入れて運転しているのか疑いたくなる。自分に置き換えた場合もそうだけれど、もっと早い時点で逆走車を認識してもよさそうにと思う。

ニュースではわざと逆走する人もいると言っていた。言語道断だけど逆走するクルマが現実にいることには変わりがない。それでもクルマを運転するのだから、クルマの動かし方を再考して、どう運転すべきなのか熟慮する必要があるのではないだろうか。

ある意味クルマの運転がどんどん楽になったから、そして運転する側の認識が薄っぺらくなってもクルマを動かすことができるから、逆走が起きるべき事象として起きているのならば、これほどやるせないことはない。

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どこを見て運転しているか
 
正確に表現しようとするならば
どこも見ないで運転している自分がいる
 
あなたは
どこを見て何を見て
運転していますか

視線:眼球の中心点と見る対象とを結ぶ線で目で見る方向
視野:一点を凝視したときに見える外界の範囲

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先週末開催した
ポルシェクラブ東京銀座から委託されて開催している
ドライビングレッスン
今回で12回目
次回は12月
FSWショートコースで開催します

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掛け値なしに言って
会員のみなさん
すごく上手くなりました
クルマさんも間違いなく喜んでいるはずです。

 

※ 走行中の画像はウェアラブルカメラで撮影したものです



第811回 GPSLapsで四者四様

以下に掲げたグラフはルーテシアⅢRS3台にGPSLapsとGPSレシーバーを搭載してYRSトライオーバルFSWを走った時のデータ。例によって上の赤い折れ線グラフは速度を表し、下のグラフは青線が加減速Gで緑線が横Gを表す。

ワタクシ目のルーテシアⅢRSは大津のガレージでお留守番なのでスタッフFのを借してもらって、F自身も走った。スタッフYは自分のルーテシアⅢRS。もう1台はYRSトライオーバルスクールFSWに参加してくれたFさんにご自身のルーテシアⅢRSで走ってもらって、四者四様のデータが収集できたという次第。

男性3人は「YRSトライオーバルのコースをアプリに読み込ませるだけだから…」とか「参考に記録を取るだけだから…」とか言いながらけっこう目が真剣で、セットアップに来てくれたGPSLapsアプリの開発者Kさんも苦笑するしかなかった、はずだ。

ま、将来のYRSトライオーバルスクールで教材に使うためのデータだから遅くては意味がないけれど、結果から言うと速かった順にスタッフY、スタッフF、ワタクシ、参加者Fさん。といううことでシニアインストラクターの面目が、って話になるのだけど、今回はワタクシが走った早い時間は路面コンディションがウエット気味だったとか、ワタクシとスタッフYが4周して3周計測したベストなのに、スタッフFは7周もして6ラップのベストだし、スタッフYは最後の最後に走ったタイムなのだ、と言い訳はしないことにしておこう、と思う。

冗談はさておき、それぞれのルーテシアⅢRSがどのような加速減速旋回を繰り返しているか、グラフから読み取ることができる。加速度の増減の度合や方向に目をやればどういう操作をしたかも推察できる。他人の走り方との比較もできるけど、理論的な走りとの整合性も確認できるのが一番。アンドロイド端末さえあれば、世界中のサーキットとユイレーシングスクールの駐車場コースの走行データが取れるのだからGPSLapsはたいしたものだ。(GPSレシーバーがあったほうがより正確なデータを取ることができる)。

tom
ワタクシ@スタッフFのルーテシアⅢRSのデータ
 
下のコーナーのボトムスピードが遅いのは路面が濡れていた?
下のコーナーの立ち上がりでスロットルを抜いたのはコースアウトしそうだったから?
なぜ3速に上げてから踏んでないのか記憶にない!
上げてから一瞬加速するけど
その後加速も減速もしない時間がある
シフトアップの時に加速度がこれだけマイナスに振れるのは驚き

yam
スタッフY@自身のルーテシアⅢRSでのデータ
 
Yに勧められて乗ったのだけど
スタッフFのルーテシアⅢRSと比べると
格段に足が硬かったのを実感
ルーテシアⅢRS コンプリートだからか

fuk
スタッフF@自身のルーテシアⅢRSでのデータ
 
ワタクシのルーテシアⅢRSの足もこんな感じ

fuj
YRSトライオーバルスクールFSWに
参加してくれたFさん@ご自身のルーテシアⅢRSでのデータ

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それにしても運転って面白い
狙った通りに事が進めばいいけれど
頑張ったり欲をかくとクルマさんにそっぽを向かれる
 
そんな単純なコースをグルグル回ってどこがおもしろいんだ
という声もあるようだけど
単純だからこそミスが誇張されるから気が抜けない
真剣にクルマさんを操っている自分に対峙するのは至極
この楽しみを知らないのはもったいない

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25年目の活動は、ポルシェクラブ東京銀座のドライビングレッスン2回とエンジンドライビングレッスン、それとユイレーシングスクール独自のプログラム、YRSツーデースクールFSWとYRSドライビングワークショップFSWを残すのみになりました。

YRSツーデースクールFSWは1日目が駐車場での基礎練習で2日目がショートコースを100周以上走る短期集中型のドライビングスクールです。運転はある意味操作に慣れることが大切なので2日間運転にドップリ浸かることは非常に有効です。

9月21,22日に開催するYRSツーデースクールFSWの申し込みは以下のリンクから行えます。
・9月21/22日(土日)開催 YRSツーデースクール開催案内 & 申し込みフォームへのリンク

YRSドライビングワークショップFSWはクルマを動かす基本操作の質を高めるのが目的で、富士スピードウエイ駐車場を使って午前中はブレーキング練習を2種類とスラローム練習。午後は加速減速旋回を高いレベルでまとめるためのオーバル走行を行います。全ての練習はFMラジオからリアルタイムでアドバイスを受けながら行います。クルマを思い通りに動かすコツを体験できます。

11月2日(土)に開催するYRSドライビングワークショップFSWの申し込みは以下のリンクから行えます。
・11月2日(土) YRSドライビングワークショップFSW開催案内

ルノー乗りの方はぜひ一度参加してみて下さい。ルノー車の良さを再認識すること請け合いです。