トム ヨシダブログ

第475回 ひと区切り (後)

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2019年5月3日のルノークラブ走行会
右目は快方に向かっている時期
今年は残念ながら中止
来年を楽しみに


5月11日夕刻。スタッフのKから、無事終わりました、とメッセージ。参加したみなさん喜んでました、とも。エンジンドライビングレッスンが初めての方が多かったのが気にかかっていたけど、何事もなく終わったようだ。

1日4回の点眼の時に看護師さんが眼帯を外してくれる。右目が露出しないようにガーゼでおおいテープでしっかり止めてあるから。すると、右目にさ~っと光が差し込む。左目をつむって右目だけで見ようとするけど、明るいだけでなんの像も結ばない。白く半透明な世界。

毎日規則正しい生活を送って2週間も経つのに、森先生と看護師さんの目の届くところにいなければならないほど右目の状態は繊細で微妙だったのだろう。それでも、毎日4種類の目薬を忘れずに1日3回さすこと、寝る時は必ず、支障のない時もできるだけ眼帯して目を保護することと念を押され退院の日がきた。17日間の入院だった。

1人で運転してきていたからクルマは病院の駐車場に置いてあった。病院から自宅まで久しぶりに運転した。眼帯で右目を覆っていると、なんとなく視野が狭くなったような感じで、左右のものを確認する時は頭を振るほうがいいように感じた。

退院して初めてのスクールは5月27日のYRSオーバルスクールFSW。眼帯をしたまま高速道路で東に向かったけど運転に支障はなかった。片目であっても必要な情報を得ることができれば、あとは身体が反応してクルマを動かしているようだ。強いてあげれば少し遠近感が希薄か。

6月に筑波サーキットで開催したエンジンドライビングレッスンに行く時、眼帯を外して高速道路に乗ってみた。右目は相変わらず光を感じるものの一切像は結ばない。流れをリードするぐらいの速さで走りながら、ふと思いついて、右目を手でおおってみた。すると遠くに視線を投げながら運転しているのだけど、突然画面が右にわずかにずれることに気が付いた。えっ、である。右目は何も見ていないはずなのに、右目を開いているのとふさいでいるのでは目に入ってくる絵が動く。何度やっても同じ。もちろん左目だけでも運転はできるけど、右目で光を感じているのといないのでは見えるモノが違う。
あくまでも想像だけど、光を受けた右目の視神経が、像は結ばないものの、左目とバランスをとって視界を創っているのではないかと。右目が光を受けているほうが、モノが見えているのは左目だけだけど、断然見やすい。え~っ、すごいな人間は、と必要ないのに何度も右目をおおったことを覚えている。

この年は退院してから6回の診察をはさんで23回のスクールを片目で開校。次いで、2018年最初の診察で細菌がいたずらしている兆候がなくなったからと、具体的に眼内レンズを入れる話になった。3月に術前検査をして問題がなければ4月に手術の予定。

結局、年明けからスクールとスクールレースを14回片目でこなした後、4月16日に入院。17日手術となった。また目に器具が挿入されると思うと気が重い。痛みを想像しただけでも逃げたくなるけど、2011年に両目の白内障手術をして人工無水晶体眼を入れたら視力が劇的に改善したという成功体験があるから、どこかで手術を待ち望む気持ちもあった。

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入院計画書を状況説明とともにフェイスブックに


1年前と同じように手術台に横になって同じように目を閉じないように器具を装着され、もう2度と体験したくないという痛みに耐え、それでも手術は無事に終わり、数日術後の検査のために入院。21日に退院した。

滋賀医科大学病院の駐車場に向かって歩きながら、なぜか視界が湾曲しているような感じを受ける。両目で見ているせいなのか。左目だけでの生活よりも遠近感が明確に増し、モノの詳細がつぶさにわかるようになった。おもしろいものだから、首を左右に振って目に入るモノを楽しみながら歩いていたから、はたから見たらおかしな人と思われたかも知れない。

4月27日のエンジンドライビングレッスン。久しぶりに両目で見えることに感謝しながら新東名を東に向かった。5月2日。ルノークラブ走行会を控え四国に向かう。去年はこの道を逆方向ではあるけど片目で走ったんだよな、と懐かしくもあった。結局、2018年は両目が見えるようになってから27回のスクールとスクールレースを開催した。


その後、ふた月とおかず澤田先生に右目の状態を確認してもらったのだけど、4月15日の検査で先生が「次に診るのは来年でいいかな」と。それで大丈夫ですか、と聞くと、「目薬を続けていればいいでしょう」。

あ、ということは右目の状態をもう心配しなくてもいいのだな、目に関してはようやくこれでひと区切りだな、と思っていると、先生が「まぁ、ほんとうに良かったよ。いち時はどうなるかと思っていたからなぁ」と笑いながら。    ギクッ! である。    それほど切羽詰まった状況だったということか。自分でもどうなるかと不安でしかたなかったけれど、それほどだったとは。背筋がゾクッとした。

ともあれ、この日の検査で両目とも視力は1.0。矯正視力1.5。改めて右目に視力が戻ったことを素直に喜びたいし、スクールを続けられることが嬉しい。澤田先生と森先生には感謝してもしきれない。


2017年の入院中に片目でアップしたブログは、
第236回 鬼神は実在する 5月12日
第237回 中里さんはチャンピオン その1 5月18日 のふたつ。
2018年に入院した時に右目も使ってアップしたブログが、
第294回 Yさんの場合 4月19日。

右目が見えないことを言い訳にはしたくないけど、2017年のルノークラブ走行会でドタバタしながら撮影した動画を紹介したブログが 第239回 アルプスならぬ四国の山あいを。ホント。吸盤を押さえるために貼ったテープが映り込んだのが悔やまれる。



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