明石海峡大橋を渡り
淡路ハイウエイオアシスから本州を望み
大鳴門橋をわたり
阿波パーキングエリアでひと休み
高速を降りて東みよし町の山あいに分け入り
阿讃山脈を駆け上がり
阿讃サーキットに到着
5月4日にルノーネクストワン徳島が主催した走行会のお手伝いをした時、会場となった阿讃サーキットがいたく気に入った。
阿讃サーキットは1周1004mと長くはないし、エスケープゾーンはほとんどないに等しい。アップダウンに富んでいてすごく面白いけど、コース後半の下りは回りこんだコーナーの連続で速度は乗らない。路面も決してスムースとは言えない。
なのになぜ気に入ったかと言うと、考えていては速く走ることができない、からだ。
次から次へと迫り来るコーナー。ブレーキングゾーンが登っていたり下っていたり。走行ラインを間違えると立ち上がりが苦しくなったり。1周50秒ちょっとの間、瞬間瞬間で反応して走ることを求められる。まさに、スポーツドライビングに求められる「無意識行動」を養うのには絶好のレイアウト。
あらゆる区間でクルマの性能をキチンと発揮することができないと、単位時間あたりの移動距離が短いから速く走れない。クルマをキチンと動かすために理にかなった操作が必要だけど、それが自然に身につく。大きなサーキットを走った時の爽快感はないかも知れないけど、運転というものが分かっているかどうか確認するにはうってつけ。
そこで、無謀にも連休の中日に四国初のYRSドライビングスクールを試験的に開催してみた。
まずは記念撮影
集まってくれたのは75歳のMさんを初めとする10名。阿讃サーキット経験者が5名、サーキット未経験者が3名。快晴ではない代わりに暑くもない1日、多い人は130周近く阿讃サーキットを走り回った。
メガーヌRSで参加のFさんがストレートを駆け上る!
Fさん1コーナーに飛び込むの図
ルノーネクストワン徳島のIさんも元気、元気
もちろん、走行の合間にはアドバイスをしたり質疑応答をしたのだが、この日、一皮むけたのは阿讃サーキットを走りこんでいる最年少25歳のOさん。
あるセッション中に異音が発生したとかで、調べるとエアコンのコンプレッサーからと判明。悪化させたくないから走行をやめると言うOさんに、無理ではなければベルトを外して走ってみないかともちかけた。パワーステアリングのポンプも回しているベルトだから、当然ステアリングにアシストは期待できなくなる。けれど構造上の問題はないし、せっかくのスクールなのだからと。
ピットで出番を待つOさん
ベルトを外してコースに出たOさん。戻ってくるなり、「重~い」。で、「じゃぁ、次のセッションではこうやってステアリングを回してみては?」とアドバイス。それで、だいぶ重ステに煩わされることがなくなったようだ。
で、最後のセッション前。ガソリンが少ないから走らないというOさんに、「ならば、こうやってセッションを走ってみてはどうだろう」と提案した。
全ての走行が終わり全車がピットに戻ってきてからOさんに「どうだった?」と聞くと、「これまでのベストタイムを更新しました!」。「やったじゃない」。握手を求めた時のOさんの笑顔が忘れられない。
IさんのルーテシアRSとFさんのメガーヌRSとパチリ
楽しければ速い遅いはどうでもいいんです
サーキット未経験者も最後には「粋に」クルマを走らせてました
標高が高いのでパドックにはもう秋の気配
う~ん、運転は楽しいし面白い。
YRSスクールレースの合間に撮影。今回はYRS卒業生のEさんに追いかけてもらった。
サーキットで全開にした時の、あの腹に響く音は最高。ところが室内で録音しているのにも関わらず、耳に届く音と再生した音の質が微妙に違う。あの気持ちのいい音を忠実に再現する方法はないのだろうか?
エンジンドライビングレッスンの朝は早く7時集合
エンジンという雑誌があって、男が憧れるクルマや時計やファッションがこれでもかと載っていた。
あくまでも個人的な意見だけど、ことクルマに関しては所有するだけではもったいない、というのが持論。
仲間が参加していたのでパチリ
だから、憧れのクルマを手に入れた人が飾っておくだけでなく、そのクルマを使い倒せる場所を提供しましょうよと編集部に提案した。
企画書の題名は『所有欲から使用欲への転換』。
読者限定の企画として開催する意義は大きいとなって、2003年に第1回目のエンジンドライビングレッスンを開催した。
村上編集長がドライビングレッスンの主旨とクルマを楽しむ極意を語る
あれから12年。9月3日に52回目のエンジンドライビングレッスンを無事終了。
リピーターが多くもう何年も通ってくれている人も多い。1回目から30回近く来てくれているYさんは、当時に比べて12歳も年をとった。
一方、初めてエンジンドライビングレッスンに参加してくれる人も増えている。今回は29名中10名が初めてオーバルコースでイーブンスロットルとトレイルブレーキングを練習した。
ユイレーシングスクールのカリキュラムと同じで、おべんちゃらは言わないけれどどうすればクルマを思いのままに動かすことができるか、そのコツは徹底してお話している。
遠く山形から初めて参加してくれたルーテシアRS乗りのKさんもそのひとり。時々二本松にあるエビスサーキットを走っているそうだけど、エンジンドライビングレッスンに参加してクルマの動かし方がわかった、と嬉しい一言。
KさんのルーテシアRSが最終コーナーを立ち上がる
編集長は早引けで参加者2名も早退だけど恒例の本誌掲載用記念撮影
ルノー・ジャポンのブログを読んでいてくれたKさんと
この日、初めてサーキットを走った人。もう50時間以上サーキットを走っている人。乗っているクルマも違えば経験も違うけど、共通しているのはクルマが、運転が好きなこと。
エンジンドライビングレッスンでは、「運転は一生モノです。運転に興味を持つのは早くても遅くてもかまいません。自分の中に積み上げたものが多いほどクルマの動きを理解しやすくなります。やってはいけないことがわかって、やったほうがいいことを自然にできるようになると運転が楽しくなります。また機会があれば遊びに来て下さい」と結びます。