トム ヨシダブログ


第402回 ブレーキペダルとかかと 3

398回衝撃の事実 で意見を聞かせてほしいとのお願いに対してメールが届いているので紹介します。今回のメールは長文でイラストも添付されていました。また、かかとを床につけて操作することへの否定的意見も聞きたいと思いますのでよろしくお願いします。

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トムさんこんにちは。Fです。

基本的にはトムさんが推奨しておられる方向に賛成です。夫と息子は「え?自然に(かかと)つくよ」ということで、議論にもなりませんでした。

ユイレーシングスクールに参加し始めて、かかとをつけるペダル操作の話を聞きました。特にかかとをつけるつけないを意識したことがありませんでしたが、先ずはつけていなかったことを認識しました。
30年前に教習所でどう習ったかは情けないかな記憶にありませんでしたが、ユイレーシングスクールの座学等で見聞きしたことで、かかとをつけてペダルを扇型に踏み込む操作をすることで、ブレーキにしろ、スロットルにしろ、踏力調整、それによる車の姿勢制御もしやすいと考えました。

そういう理由で、それが自然になるには少々時間がかかりましたが、かかとをつける様に修正しました。公道もサーキットもオーバルも、操作性は上がりましたし、特に不便や危険を感じたこともありません。
自身は、最終的にドライビングポジションを含めて見直した形になりましたので、かかとだけつければ良いということではありませんでした。

踏み間違いに関しては、両ペダル共にかかとをつけてペダルを扇型に踏み込むことを日常的にしていれば、(この操作法なら考えにくいですが)万が一、踏み間違えたとしても、ペダルを扇型に踏み込んでいれば初動がじわっと出るので、ドライバーがそこを感じ取れれば大きな急発進誤発進には繋がらないのではないかと考えています。

昨年末から今年はじめにかけて、息子と娘が相次いで免許を取りました。先日来何度かに分けて、教習所でブレーキングをどう習ったのか確認をしてみると、
・アクセル操作はかかとをつける、
・ブレーキは足を踏み換えて(かかとをつけているか否かは特に定義なし)踏み込む、
・有事の際はかかとを離してブレーキペダルを強く踏み込め
と習った様です。(あくまでも子供達の記憶です)

口頭で、急ブレーキの時はかかとをつけて踏み込むと止められないので、かかとを離して踏み込むのだと言われたそうです。この件に関しては疑問を感じますが、それが全体の方針かどうかは定かではありません。
教習所では急ブレーキ練習もあるそうです。我が子含め、奥までブレーキを踏めない人も多いそうで、精度はともかくまず奥まで踏んでくれということなのかも知れません。あくまでも想像ですが…。

もしその教わり方で踏み間違えたら、と想像してみると、ブレーキだとおもってアクセルを踏み間違えた人は有事だと思って一気に強く踏み込んでしまって急発進することもあるのではないかと思い、このままでいいのかと疑問を感じます。(教習所というシステムには、親として感謝している部分も多くあります。万人にあの短期間で多岐にわたる内容を教えて練習をするということは大変な事だと思っています。)

あくまで自分比になってしまいますが、自分自身はかかとをつけてブレーキペダルを踏んでも、前より確実に安全に速く止まれています。
かかとをつけることの是非は、車のペダル形状や配置や操作系と着座位置の関係、その人の体格など、さまざまな条件が関係していると思います。

例えば、先日車屋さんからお借りした代車はツーペダルでブレーキペダルが大きく、足元のスペースの都合でペダル間が近すぎて、かかとの位置を変えない踏み換えなしだと両方のペダルに足が乗ってしまいやすく危ないので、両ペダル共かかとはつけて操作しましたが、各ペダルに正対する様に踏み換えました。

理想としての形を知り、運転姿勢や操作で何が大事なのか、その根拠を一人一人が正しく知って、一人一人が自分の操作というものに向き合えば、車との向き合いかたは、その人なり、その車なりの何かしらの途中経過や答えが出る様に思います。そういう事を考える機会を頂けて、ユイレーシングスクールに通って良かったと思っています。


※ 以下はFさんが送ってくれたイラスト。たぶんお子さんの教本から。
※ 3枚目のイラストにはかかとをつけてスロットルペダルとブレーキペダルを踏み換える動作に × がついている。

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どちらが正しいとか間違っているとかではなく、現実にこれだけの踏み間違いによる悲惨な事故が起きているのだから、議論する前にクルマを運転する人は、どうすれば踏み間違いをしないですむか一度真剣に考える時期にきているのではないだろうか。ご意見お寄せ下さい。



第401回 ブレーキペダルとかかと 2

398回衝撃の事実 で意見を聞かせて、とお願いしたところ、さっそくメールをもらったので紹介します。かかとを床につけて操作することへの否定的意見も聞きたいと思いますのでよろしくお願いします。

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Mです。いつもブログを拝見しています。

私は自動車学校に行かなかったのでどのように教えているかは分かりませんが、私自身は最初から踵をつけていました。先入観無しに操作すれば自然とそうなると思います。これに関しては専門的な立場から後ほどお話しします。実は私は神経科学(ちまたでは脳科学ということばを良く聞きますが)や運動生理学を専門にしています。

踵を支点としてアクセルとブレーキを操作するのは操作を確実にするという観点から理にかなっていると思います。ブレーキペダルをつま先で踏む動作を考えます。ブレーキペダルの位置を推定(機械だと実測できますが人間だと運転中は実測できませんので反復練習を行うことによって脳が予測値を獲得していると考えられています)して、つま先の現在の位置(これは人間でも実測していますが、時間遅れがありますので、推定値を用いていると思われます)に対する相対的な位置を計算して、それを元に運動指令を計算する必要があります。

アクセルペダルとブレーキペダルの踏み間違いというのは、つまるところ、上記の課程の中で生じているわけです。特に(頭や体幹を動かすなどして)姿勢を変えた後や途中でブレーキペダルを操作する場合、通常の姿勢でブレーキペダルを操作するのと同じくらいの回数を姿勢を変えた状況で反復練習していれば別ですが、そうでないと、つま先の位置に対するブレーキペダルの位置の計算に誤りが生じているのでしょう。

また、踵を支点としてアクセルとブレーキを操作するのは(股関節を支点とする場合に比べて)操作量を少なくするという観点から理にかなっています。操作量が少ないということはブレが少ないということにつながります。つまり、意図した動作を毎回正確に実行できるということです。これはかなり専門的な話になりますが、脳が運動指令を出す際、(神経系の特性として)その出力の強度に依存したノイズが入る事が知られています。ですから、操作量が少ない、つまり脳からの出力強度が小さいということは、信号に重畳しているノイズも少ないということになります。

最後に、脳はかなりのサボリやさんのようで、目的が達成されれば途中経過は気にせずに消費エネルギーを少なくするという戦略を取っているようです。ですから、何も教えられずにブレーキとアクセルを操作すれば自然と操作量が少なくなる踵を支点とする操作になると思います。

ただ、私の妻のように足が小さいと、踵を支点にするとつま先がブレーキペダルに届かない場合もあるようです。ここらへんの問題は、作り手の論理から使い手の論理へ、さらには真の人間工学を啓蒙していく必要があるでしょうね。

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もっといろいろな方のお話をお聞きしたいと思います。ぜひご意見をお寄せ下さい。
ユイレーシングスクールメールアドレス:yuiracingschool@gmail.com



第400回 ブレーキペダルとかかと 1

398回衝撃の事実 で意見を聞かせてとお願いしたところ、さっそくメールをもらったので紹介します。

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ご無沙汰してます。Aです。ブログ読みました。

かかとを床につけた運転の方がブレーキの精度と踏む力が増すのでみんなそうするべきだと思います。

ただ、きちんと勉強や練習をしてない人がこれだけを心がけた場合、踏み変えに戸惑うか、時間がかかるかもとも思いました。最悪、足がブレーキペダルの下に潜り込んでしまうとか。

要は、慣れていない人のアクセル→ブレーキへの踏み変えは、かかとをつけずにガバッと踏み変えたほうが早いのかも。

結果、早期にABSを作動させることになり、制動距離が伸びますね。公安委員会や自動車メーカーは運転者に積極的にABSを用いるブレーキをしてもらい、”運転者がミスして制動距離が伸びるぐらいだったら、最初から機械に任せてしまえ”という考え方なのかもしれません。

でも個人的に納得行かないのは、機械任せだと、これらの機械がフェールしたときに完全お手上げモードになってしまうので(例えばABSフェール時は完全ABSカット、しかもリア寄りの制動)、車と対話できていないガバガバブレーキのユーザーは大事故に合う可能性が高まると思います。

自動運転関連の仕事をしていますが、益々そういった車になっていきますね。

機械が進化してきている今こそ、きちんとした操作を積極的に学んでおかないと(車が教えてくれないから)、と思っています。



第398回 衝撃の事実

385回で、『 スロットルペダルとブレーキペダルの踏み間違いを防ぐためには右足のかかとを床から離さないで運転する癖をつけるといい 』、と書いたのだけど、それを読んだ卒業生何人かから「教習所では足を浮かせてブレーキペダルを踏め」と教えられたと聞かされた。

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AT車のツーペダル


エエッ! である。

ということは、まだ確認はしていないが、公安委員会が監修する教本にもそう書いてあるのだろうか。
ということは、自動車教習所を卒業した人はみんなスロットルペダルからかかとを浮かして、浮かしたままブレーキペダルを踏んでいるというのか。
いったい、どんなブレーキのかけ方をしているのだろう。

ということは、ユイレーシングスクールでは自動車教習所と異なる操作方法を教えてきたということなのか。

ユイレーシングスクールに来てくれた人にはかかとを床につけてペダルを踏み換える意味と効果を説明している。中には速く走ろうとブレーキを我慢して奥まで突っ込んでブレーキペダルを蹴飛ばすもんだからかかとが浮いてしまう人もいるけど、おおむねはかかとを床につけたまま操作している、と思ってきた。

言うなれば、世の中の常識と異なることを提案したことになるわけで、かかとを床につけて運転することの是非について、このブログを読んでくださっているみなさんの意見が聞いてみたくなった。かかとを床につけたまま運転することに対するご意見をお聞かせいただけませんか。

ユイレーシングスクールメールアドレス:yuiracingschool@gmail.com



第396回 ブラッシュアップ講習 (4)

313回で触れたように、全国で起きた交通事故の件数は毎年明確に減少している。死亡事故件数も減り続け、1990年代前半には1万件という数字が見られたが、ここ数年は3,000件代に落ち着いてきた。交通事故による死者数も1992年の10,892人をピークに減少を続け2017年度には3,694人になった。
運転免許保有者数は2017年に過去最高の8,200万人あまりになったが、死亡者数に対する指数は0.0045%と1992年の0.0178%から大幅に改善した。
※現時点で警察庁が発表している交通事故データは2017年度が最新

交通事故と交通事故死者はなぜ減ったのか。様々な要因があるはずだけど、そのうち運転者の意識が減少に貢献した分はどのくらいになるのだろう。2017年に交通事故で亡くなった方の4分の1が単独事故によるものだという事実がある以上、交通事故総件数が減ったからといって喜べる状況にはないのだが。


396-2
雑談をしていると
「ブラッシュ講習に含まれてはいないんですけど」と前置きして天野さんが
「運転している時に意識していることを書いてみませんか」と付箋とペンを差し出す
「できるだけ早くたくさん」
ということで書いたのがこれなのだけど
で、出てこない
意識していることはゴマンとあるはずなのに出てこない

396-3
出てこないにイライラしていると
天野さんが
それぞれがどれに該当するかみてみましょうと
教室にあったパネルに貼りだした
その結果がこれ
運転中のそれぞれの操作が何に根ざしているかを整理することができる
自分の運転にどの部分の意識が欠けているかがわかる


これはいい。運転中に何を意識しているかを書き出すだけでも、自分の運転を振り返ることができる。今度改めてやってみよう。


1回目の走行が終わって急ブレーキのダメだしがあって、理想の運転って何だろって頭がレブアップ。一般にホントに急のつく操作はしないほうがいいものだろうかと疑問に思いながら、天野さんとあれこれ話しているうちに結論めいたものが見えてきた。
天野さんも動画でユイレーシングスクールのオーバル走行の様子を見てくれていて、けっこうなスピードで回るんですね、と驚いていた。だから、高速道路で100キロしか出したことのない人は100キロで走ることが限界ですが、130キロを経験したことのある人が100キロで走るほうが安全性は高いと思うのですよ、と付け加えておいた。そして、教習所はものすごく予防的な運転をするように指導するのですねとも。

で、ひとつの結論としてブラッシュ講習とユイレーシングスクールの両方を受講すると、より安全にクルマが運転できるのではないかと思うと伝えた。
実際ボク自身、事故を起こさないように運転しているつもりだけど、経験があるだけに多少速さとか加速度に対して鈍感になっていたことに気づいた。一般の交通社会の中での話。

けれど、ユイレーシングスクールが提唱するクルマを意のままに操るための講習と練習は絶対に必要だ。別にユイレーシングスクールでなくてもかまわないけど、速く走るための操作を教えることで、あらゆる場面で自動車を正確に操る操作方法が理解できる=場合によってはクルマが思い通りに動かなくなることを覚える、につながるのだから、具体的な操作の習得はもちろん、運転に対する意識を覚醒させるためにも必要だ。自動車教習所でやれれば一番いいのだけど。

自動車教習所は予防安全的に運転を深堀できるような講習をする。ユイレーシングスクールはどんな状況でもクルマを自身のコントロール下においておけるために積極安全的な運転を教える。どちらも交通事故が起きてほしくない、という思いは同じ。次は高齢者講習まで自動車教習所を訪れることはないかも知れないし、今回のブラッシュアップ講習の経験をどう展開すればいいかアイディアも今はないけれど、ともかく受講して良かった。


395-4
ある日
嬉しいメッセージが届いたことがあるので紹介
他にも
クルマを全損させる前に
ユイレーシングスクールにくれば良かった
などなど多数のメッセージをもらうから
スクールはやめられない


394-7
中勢自動車学校の天野さんと
天野さん ありがとうございました
教習所でイーブンスロットルを教えることになったら
声をかけて下さい
喜んでお手伝いします


<了>



第394回 ブラッシュアップ講習 (3)

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今回ブラッシュアップ講習を受けた鈴鹿市の中勢自動車学校
近鉄白子駅の近くにある


1回目の走行で赤点を4つももらってしまった。いつもそうしているように、ふだんの運転をしてみたのだが、公安委員会に指定された自動車教習所の指針だと思われる減速度を超えたブレーキングをしてしまったのだ。いわゆる急ブレーキというやつをかけてしまった。しかも4箇所で。

394-3
運転レポートと一緒に渡される走行したルートが記録された地図には4ヶ所の赤枠
何時何分にどこで何キロから何キロへの減速を行ったかが一目瞭然
ブラッシュアップ講習の設定では2秒間に13キロの減速をすると急ブレーキになる
これでおよそマイナス0.3Gの減速度らしいがそれを上回った!
4ヶ所のうち2つ目の一旦停止では2秒間に25キロも落としてしまった
急ブレーキを踏んだ意識は皆無だが40キロ道路をプラスマイナス数キロで走っていて
早めのスロットルオフで長~いブレーキングをしたつもりが
35キロから10キロへの減速が急だったことになる
35キロまでの減速と10キロから停止までの減速は穏やかだったことになる


実は、事前に伺って話を聞いた際、あれこれ質問したものだから窓口の水谷さんから「 どんなお仕事されているのですか 」 と聞かれたけれど、隠す必要もないのでドライビングスクールを主宰していることは伝えた。だから天野さんもご存知で、それを踏まえてあれこれと。
天野さんいわく、免許をとりたての時は運転に慎重なのに、慣れてくると車間距離をとらなくなったり急発進や急ブレーキに抵抗がなくなる傾向にあると。
自動車学校は運転を教える過程で事故を起こすのはもってのほかで、何よりも優先するのが安全だという。だから先を読んで早めに行動を起こすことが非常に大切なのだと繰り返し伝えているという。それでも慣れてくると余裕のない運転になるらしい。

ブレーキングの仕方について、初心者には何回か分けてペダルを踏むことも教えているという。当然速度を落とすまでの時間がかかるから、スロットルオフを手前にする必要がある。また流すという表現を使われたが、スロットルオフからフットブレーキで速度を落とすまでの時間を長くするように指導しているそうだ。前方の信号が変わったとか一旦停止があるとか、遠くを見て前方の確認をしていなければできないことだから、情報を収集する上でも効果的だ。

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なぜ急ブレーキになってしまったのかインターバルの間に考えたら思い当たることが
誰でもやっていると思うけどボクもブレーキング中にかなり大きく踏力を変化させる
慣性力は速度が高いほど大きいのでイニシャルの減速Gを立ち上げたほうが効果的
荷重が前に移動するのを感じながら瞬間ではあるけどジワッと強く踏む
その時にボクは慣れているけど予想外の減速Gが発生したとふんだ
速度が落ちるほどに慣性力は少なくなるから踏力を抜く
結果としてクルマの姿勢がフラットになるから安定して停止できるしコーナリングもできる
そこで2回目は流す距離を長くして踏力が一定になるような踏み方をした
それで2回目の走行を表した地図には赤点はなし


394-5
2回目の運転レポート
急加速急減速回数がともにゼロになって運転評価はEX=エクセレント
ただ必要のない無駄な加速と減速による速度変化の割合を数値化し
無用の速度変化を抑制するのが目的の波状運転指数
なめらかな運転だと指数は低いのだが
・事故を引き起こす可能性は低くなりました。
・穏やかで滑らかな運転が増えています。
に該当するようで5段階の真ん中の評価はB
なので加減速は良かったのに総合評価はAどまり
速度の維持は交通の流れや天候が関係するからねと負け惜しみを言っておこう


運転に携わる者は誰しも、それが運転手当人であっても運転手を管理する人でも運転のいろはを教える人でも、事故は起こしたくない、起きてほしくない。問題は運転する人がどういう意識でどんな運転をしているかだ。運転している人の後ろには誰も控えていてはくれない。運転している人が当事者だ。

今回ブラッシュアップ講習を受講して初めて自動車教習所のシステムに触れることができた。そこでは思っていた以上に安全への意識が高かった。天野さんと話しながら同じ運転を教える者として納得できることが多々あったし、公道を運転する人が千差万別であることを考慮すると、ありとあらゆる場面での対処を容易にするであろう予防的安全策の徹底が欠かせないのことがよくわかった。

そのあたりが運転のいろはのい、なのだと思う。YRSオーバルコースでもサーキットでも行き当たりばったりで運転する人が上手くなった例を知らない。ブレーキを我慢して奥まで突っ込んで悦に入ってる人に速い人はいない。クルマの状態を無視してスロットルを開ける人は速く走れない。運転が好きでユイレーシングスクールをうけに来る人といえども千差万別。

運転免許を持っている人全てがサーキットを走る必要など毛頭ないけれど、こと運転に関してはクルマを安全に走らせることとクルマを速く走らせることの間に思想的な共通点があると改めて確信した。そこがユイレーシングスクールの原点。どんな意識で運転するか。全てはそこから始まる。    < 続く >



第393回 ブラッシュアップ講習 (2)

ブラッシュアップ講習に興味を持ったのは、
どうやって運転を数値化=可視化するかを知りたい
自動車教習所の運転に対する評価の基準を知りたい
自分の運転が教習所の教官にどう評価されるか知りたい   から。

ユイレーシングスクールではクルマの動きを解析するのにパフォーマンスボックスというデータロガーを使っている。だから、おそらくそれに似たものを使っているのだろうと想像はできたけど、軽自動車免許も普通自動車免許も公安委員会の試験場に直接行ってとったので教習所で教わった経験がなく、公安委員会に指定された教習所が運転の良し悪しを判断するたたき台がどのあたりにあるのか知りたかった。最後に、日ごろ不特定多数にの方の運転に接している教習所の教官がボクの運転にどんな印象を持つか知りたかった。

393-1
鈴鹿市白子駅に近い中勢自動車教習所に到着
あいにくの強い雨
打ち合わせには来たことがあるけど
受講者としては初めて自動車教習所という世界の扉を開ける

393-2
建物に入って
まず目に入った数字
三重県は前年同期比でマイナスなんだ

393-3
教室には安全と書かれたパネルが
自動車教習所にとって安全がいかに大切なものか
運転する者にとって安全がいかに大切なものか
このあとわかる

393-4
ブラッシュアップ講習は2時間のカリキュラム
講習内容の説明があって
すぐに教習車に乗って市街地の定められたコースを1周
いったんもどって計測データを元に教官からアドバイス
そのアドバイスを元に操作を修正しながら2回目の走行
再度データを見ながら教官とディスカッション
とい流れ

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中勢自動車学校を出て23号線を北上
途中住宅地へ入り
次いで商店街を抜け
23号線を南下して戻るルート
初めて走る道だけど
特別なことをやっては正確なデータがとれないから
1回目はいつも通りふだんやっている運転をすることにする

393-6
ブラッシュアップ講習で使われているECO-SAM
GPSを利用して1秒毎に
・位置情報/時間情報
・速度情報
・速度=最高速度・速度の分布
・走行軌跡=最高速度・速度の分布
・速度変化=急加減速・波状運転指数
を記録し専用ソフトでグラフとして出力


1回目の走行が終わり教室で待っていると、この日担当してくれた教習主任の天野さんがグラフを持って来て「 こんな感じですね 」。数字やグラフがならんでいるけど、その中に総合評価の項目があって、

えっ !

393-7
評価は4段階で示されるのだけど
なんと1番下のC
コンスタントに走れているか
制限速度を守っているか
などが数値化されているのだが
致命的なのは急減速が4回もあったこと
つまり設定してある減速度を超えると減点
確かにルートを走っていて4回ビープ音が聞こえた


自分としてはいつものようにスロットルを早めに離して早めにブレーキペダルに足を移し(今回の教習車はATだったけど慣れていないクルマだったから右足ブレーキにした)、いつものように踏み込んでいったのだが、交差点や一旦停止で止まる時に、一般的に好ましいと思われる減速Gを上回ってしまっていたようだ。

ステアリングワークはブレがなくて修正もなくすばらしい、と天野さんに褒められはしたけど、『 あなたの運転は改善が必要です 』とあって、ちょっと悔しい1回目の走行となった。    < 続く >



第392回 ブラッシュアップ講習 (1)

かなり前。一年以上前だったか、ニュースでブラッシュアップ講習なるものがあると知った。なんでも運転を数値化=可視化してその人にあったアドバイスをしてくれるというので大いに興味を持った。昔から自分の運転が社会通念上で上手いのか下手なのか知りたいと思ってきたから、客観的な指標に基づいて評価をしてもらえるのならそれに越したことはない、高齢者運転標識がつけられるようになったらブラッシュアップ講習を受けてみようと思っていた。

392-1
ブラッシュアップ講習案内
あまり知られていないのではないだろうか
もっと告知すべきだと思うのだが


ところが、その時にちゃんと調べておけば良かったのだけど、いざ受けようと思ってもすんなりとはいかなかった。

まず、ブラッシュアップ講習は自動車教習所の教科のひとつだというので、最寄の教習所に電話したけど話が通じない。そう。全ての自動車教習所でやっているわけではなかった。しかも滋賀県でブラッシュアップ講習をやっている教習所がひとつもないという事実。※だから死亡事故が多発するとは思っていないが。

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ブラッシュアップ講習を実施している自動車教習所
滋賀県には17の指定自動車教習所があるのに
ブラッシュアップ講習を行っているところは皆無
滋賀県には需要がないということか


それで、湖西から比較的近くかつなじみのある鈴鹿市の白子にある中勢自動車学校がやっているというので訪ねてみた。『 古希を迎えるのでブラッシュアップ講習を受けたいのですが 』 と申し込みたい旨を伝えるものの、窓口で応対してくれた水谷さんに、ブラッシュアップ講習は本来高齢者向けのカリキュラムではなく、運転免許をとってから自分の運転を振り返ったことのない人を対象にしたものだと教わった。高齢者が受けてはいけないことはもちろんないけれど、ブラッシュアップ講習の対象は運転免許証を持っている全ての人だった。※思い違いもすぎる。そうならもっと早くに行けばよかった。

でも、そうならばそれで、全ての免許証所有者がどうどうと受けられるのならそれに越したことはない。日本では運転を習うシステムが試験に合格することに集約されているから、免許証を手にした後、その人の 『 運転力 』 がどの程度のものか測りようがない。自動車運転免許証を持っているというだけで、運転が下手で交通になじめない人がクルマを走らせている現実。もちろん日本だけではないけれど。

おそらく、多分、間違いなく 「 今さらお金を払ってまで自分の運転を見直したいとは思わない 」という意見が多勢を占めるのはわかっているけれど、十年、何十年もクルマを運転してきたのなら、現実と向き合う意味でも一万数千円を投じる価値はある。運転が上手いか下手かを評価されるのは二の次で、年齢に関わらず改めて自分の運転に向き合う気持ちを持つだけでも大いなる意味があるのではないか。

ということで、自分の運転を数値化=可視化してもらうためにブラッシュアップ講習を受講することにした。どんな判定が下されるのか。

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ブラッシュアップ講習のリーフレット

 

強い雨の日。いつになく緊張している自分を笑いながら新名神を鈴鹿に向った。    < 続く >

 


第391回 運転

とあるスーパーマーケットの駐車場。郵便局によってから宅急便を出したかったので早く出たら、開店前に着いてしまった。クルマの中で待つこと10数分。開店時間が近づくにつれて駐車場に入ってくるクルマが増える、
スマホでメールを確認するため目を落としていると突然、ガガーンッという大きくてソリッドな金属音。何事かと顔を上げると、1台の軽自動車がクルマ止めに乗り上げて止まっていた。けっこう高さのあるコンクリートのクルマ止めだから走っていて見えないとは思えないのだけど、どうやら駐車スペースを示す白線を無視しながら入ってきて、スーパーマーケットの入り口近くに進もうとしているうちに照明塔の周り置いてあるブロックに乗り上げてしまったようだ。
助けが必要なら出て行こうと思っていたけど、高齢の女性が降りてきてクルマの下をのぞいていたあとバックしたらクルマ止めから離れたから、音の割には軽傷だったのかも知れない。間違いなく足回りを打ち付けていると思うけど。

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駐車場入り口から白線を無視してスーパーマーケットの入り口近くへ一直線

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こちらもまっしぐら
まだ開店前なのだから遠くに停めて歩くと健康的なのに

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中央左のピンクのクルマがブロックに乗り上げていた
なんとか自走はできるようだ

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照明灯の周りに置かれたブロック
前から止めても後ろから止めてもあたる位置にあるわけではないけど
通過しようとするとあたるかも


さて、別の日のこと。

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続けて2台のクルマが入ってきた

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黄色いクルマは白線を無視して自分の行きたいといころを目指してまっしぐら
白いクルマは白線で区切られた駐車スペースを迂回しながら停めるところを探す
こういうクルマを見るとホッとする
この差はどこからくるのだろうか
ボク?
もちろん後者です
必要がなければ白線を引くことはないだろう
クルマがいなければ白線を無視してかまわないのではなく
白線があることを前提とした運転をすべきだと思うのだが
自分の運転を定常化するためにも
そうすれば意外性を減らすことができる


駐車場での出来事に以外にも、運転をなめているというか、何も考えないで運転しているというか、行き当たりばったりで運転しているというか、この人は偶然、幸いにも事故を起こさずに運転できているのがわからないのだろうか、という人が実に多い。考えたって罰はあたらない、というのに。まるでイヤイヤ運転しているようだ。クルマからは多大な恩恵をこうむっているというのに。

どんな運転をしようとその人の勝手だしとやかく言われたくはないだろうけど、いつでも自分の判断は間違っていなくて、クルマを手足のように操れるとは思わないほうが懸命だ。慣れているであろう広い駐車場ですら見落としがあるのだから。

だけど、それが当たり前だと思って運転している人にとっては、臨機応変に運転して何が悪い、ってことになるのだろうね。いっそ、どこかにこういう運転をするのが好ましい、って参考になる雛形がないものだろうか。『 これが安全面からも効率から言っても好ましい運転です 』 って。
一般的に教習所を卒業したら運転を習う機会はない=教わることはないし、人間って勝手だから、運転経験を積むとともに自分の都合の良いように学習するから、市中を走る人の運転レベルの平均値は下がる一方なのだろうな。昔はいかにもやんちゃとわかる人だけがやっていたことを、今はそこかしこでやっている。
だから、これからはひとりでも多くの人に運転を好きになってもらって、クルマとの付き合い方を今一度見直してもらう必要がある。


391-7
昨夜大津北交通安全協会木戸支部の総会があった
席上6月13日の時点で昨年の同じ期間を18人上回る34名が交通事故で亡くなり
滋賀県交通対策協議会は今年2回目の交通死亡事故多発警報を発令したと報告があった
前年同期比18名増はワースト日本一
ワースト2位が徳島県(12人増)で3位が京都府(9人増)
クルマは何気なく運転するものではない
クルマの運転は一生懸命やるものだと思う



第385回 右足の動かし方

スロットルペダルとブレーキペダルの踏み間違いによる事故が起きている。

高校1年の春から54年。ダッシュボードが鉄板むき出しだった頃からラジアルタイヤが出現して飛躍的にロードホールディングが良くなった時代を経て、クルマにいろいろなアシストがつくようになって、さらには高度に洗練された4輪操舵装置が装着されたクルマが登場した現在まで、プライベートでは日本とアメリカで相当な距離を走ってきたしドライビングスクールでの同乗走行を含むと運転したクルマは数知れず、それでも危ない思いをしないで運転を楽しんできた身としては、ペダルの踏み間違いと言われてもにわかには信じがたい。
レンタカーや借りたクルマなどで操作に慣れていないクルマならいざ知らず、自分が所有するクルマでペダルを踏み間違えるというのは、どうするとそうなるのか想像するのが難しい。クルマを運転することに対して油断があったのではないかと思わざるを得ない。事故を起こされた方には申し訳ないけど。

で、これはあくまでも私見だけれど、ペダルを踏み間違えた方はスロットルペダルとブレーキペダルを踏み換える時にかかとを床から離しているのではないだろうか。さらに言えば、スロットルペダルを踏む時のかかとの位置とブレーキペダルを踏む時のかかとの位置が違うのではないかと。つまりそれぞれのペダルに足裏を正対させるように右足を動かしてはいないか。右足を動かすたびにかかとを浮かしているから、足裏がどこに着地するのか不確かなのではないかと。

ユイレーシングスクールに来てくれる人の中にもペダルを踏み換えるたびにかかとの位置が変わる人がいる。スロットルペダルはまだしも、ブレーキペダルを踏む時にかかとを浮かす人もいる。

そういう人にも何気なくペダルを踏んでいるように見て取れる人にも、『 できればかかとを同じ位置のままスロットルペダルとブレーキペダルを踏み換えるようにしてみて下さい。かかとは尾てい骨から最も遠い身体の支点です。フットレストもフットボードではありませんから左足は突っ張らないようにして下さい。右足と左足のかかとが同じように床にしっかりとついていれば上半身が安定します。スロットルオフからブレーキングに移る時にかかとを床につけたまま踏み換えることができれば、かかとを支点にしてつま先が扇形に動くので繊細で最終的に強い踏力をブレーキペダルにかけることができます。決してブレーキペダルを蹴飛ばしてはいけません。かかとを上げてしまえばそこで踏力が一定になってしまいます。ABSが働けば制動距離が伸びてしまいます 』 と伝えます。

現代のクルマは何気なく運転してもとりあえずの目的は達成できるように作られています。ですから運転する側にどうすれば正確な操作ができるか、換言すればどうしたら操作ミスをしないですむかという工夫があれば、そして運転に集中することができれば、クルマはもっともっと快適で安全な乗り物になります。


下の映像は2013年暮にユイレーシングスクールのYoutubeにアップしたスレッショルドブレーキングを解説したものです。最初のふたつはブレーキペダルの踏み方の悪い場合と良い場合でクルマの姿勢変化に違いがあることがわかります。三つ目は悪い例と良い例のペダルワークを見ることができます。同時に、ブレーキペダルの踏み方で姿勢変化=過重移動が変化することがわかり増す。悪い例ではスロットルオフでかかとを浮かし、浮かしたまま直線的にブレーキペダルを押し込んでいます。※この時、右足のかかとは減速Gを感じることができません。

ペダルの踏み間違いとは直接関係はありませんが、操作を工夫すればよりクルマを効率良く安全に走らせることができるという例です。

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