トム ヨシダブログ


第376回 さてどうするか?

本日、無事にその日を迎えることができた。ただでもらったようなものだけど、今日から資格があるというので少し調べてみた。

と言うのも、ユイレーシングスクールの常連でボクより年上の人が何人かいるのだけれど、高齢者運転標識なるものをつけている人とつけていない人がいる。何故つけて、何故つけないのか改めて聞いたわけではないから理由はわからないけど自分はどうするかなと。

検索して出てきたのが次の一文。

道路交通法第七十一条の五 第3項 = 普通自動車対応免許を受けた者で七十歳以上七十五歳未満のものは、加齢に伴つて生ずる身体の機能の低下が自動車の運転に影響を及ぼすおそれがあるときは、内閣府令で定めるところにより普通自動車の前面及び後面に内閣府令で定める様式の標識を付けて普通自動車を運転するように努めなければならない。

運転に関して言うと加齢に伴う身体機能の低下は全く感じていないが、要するにつけてもつけなくてもどちらでもかまわないらしい。  さて どうするか?

スクールで高齢者運転標識をつけていて幅寄せされた、と聞いたことがある。そんなヤツがいるのかと思った。ま、つけると言うことは少なくとも70歳以上であることを告白するわけだから、好ましくない人の目にとまるのかも知れな
とりあえず、貼る貼らないはおいておいて、貼るならどこに貼ればいいのだろう。  さて どうするか?
半年ほど前に旧タイプの高齢者運転標識を手に入れておいた。新型はなんか全体がぼけているようで、どちらでもいいということなのでまだましな旧タイプを選んだ。

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本来ならこんな感じで貼ることになるのだろうか


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233-06
233-06

つける枚数に制限はないようだからこんなのもありかな

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不勉強が露呈した
テールゲートに貼ろうと思ったら落っこちた
一瞬目を疑ったが
ひょっとしてアルミ?
リアで貼りつくのはここだけ

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本来ならこんな感じで貼ることになるのだろうか
リアウインドウの内側から強力磁石をあててみたけど保持するのが難しかった
写真はテープでとめてある
何か対策が必要だ
内側から貼る吸盤タイプなら大丈夫だろうけど視認性が

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色目からこんなのもいいかなと
もちろんくっつかないから現実的ではないけれど


高齢者運転標識という情報発信のツールを得たのだし、長距離を走る機会があるから、高齢者運転標識をつけているクルマが現代の交通の中にあってどういうポジションなのか機会を見つけて探ってみようと思う。 高齢者イコール運転不適格者ではないことも証明したいからね。



第371回 65回目の所有欲から使用欲への転換

2003年晩夏。クルマをもっと楽しむ環境を創りたいと、「所有欲から使用欲への転換」と題した企画書を携えてエンジン編集部を訪ねた。
印刷媒体からクルマを所有するために役立つ情報を得ることはできるが、クルマを有効に使うためのハウツーを得ることは簡単ではない。だからクルマの運転に興味のある読者を対象に、クルマを思い通りに動かすコツを教えているユイレーシングスクールのカリキュラムに準じたドライビングスクールをやってみませんか、とせつせつと訴えた。

そしてその年の11月に試験的に開催したら、これが満員御礼。継続して開催することになった。いらい16年。一時期開催数を増やしたこともあったが編集部の負担も大きく、ここ数年は年3回の開催で推移している。それでも今年初めてのエンジンドライビングレッスンが65回目。Web主体で展開するユイレーシングスクールと異なるマーケットにアプローチできたのはエンジンのおかげだと感謝している。

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エンジン村上編集長の開会の辞
「誌面から抜け出して読者のみなさんと一緒にクルマとクルマの運転を楽しみたい
クルマを走らせるのは楽しいし
運転が上手くなればもっとクルマが楽しくなる
上手くなるためにはきちんと習うことが大切
安全に楽しく一緒に練習しましょう
エンジンドライビングレッスンは大人の社交場です」
編集長?
もちろん運転が大好きだそうです


間際にキャンセルが相次ぎ、この日集まったのは最年少25歳、最年長75歳、平均年齢52歳の23名。うち11名がエンジンドライビングレッスン初参加。ということは、午前中に行うオーバル走行も初めてで、濡れた路面に少しばかり暗い顔。
それでもイーブンスロットルとトレイルブレーキングのデモランをやって、少しずつペースを上げてもらったら、コース1000に移動する前には全員がクルマをフラットにして走れるように。

コース1000ではバンライド、リードフォロー、同乗走行を繰り返し、リピーターはレベルアップを果たし、初めてサーキットを走る人もそれなりにクルマの性能を発揮できるように。午後2時~4時に3グループに分けた計測セッションをやったのだけど、最も走った人は52周。75歳の青年も50周を走破してこの日のベストタイム。

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今年はあと7月と9月の2回
今回初参加の方は万難を排してまた来てほしいし
運転に興味のある方はぜひエンジン編集部に問い合わせしてほしい


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写真を見てもらったほうが
スクール終了後の雰囲気がわかろうというもの
もっと早くくれば良かった
もっと早くエンジンドライビングレッスンの存在を知りたかった
の声多く
これだからドライビングスクールはやめられない



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ユイレーシングスクールが主宰するドライビングスクールに
初めてアルピーヌがやってきた
参加者にアドバイスしている間にスタッフの K がつばをつけて
オーバルもコース1000も同乗走行をやってしまったから出番なし
乗りたかったよ~



第366回 なんだかなぁ

どうでもいいと言えばどうでもいい話なのだけれど・・・。

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ここは
とある病院の駐車場
雨が降っている
画面右手奥にある照明塔のそのまた奥に駐車場の入り口があって
画面左手のはるか向こうに病院への通路がある
停められる台数は多いけれど通路は広いとは言えず
その上
病院の入り口付近に停めようとする人が徘徊するのでかなり混雑している
病院に近いところはに屋根付きのスペースがあるから混雑に拍車をかける

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予約時間に間があるので目の前を通過するクルマをながめていると・・・。

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画面中央の軽自動車は駐車スペースから出てきたところではない
画面右の黒いワンボックスの右にももう1台分の駐車スペースの列があって
その右に駐車場入り口からの通路がある
かの軽自動車は通路を下ってきて空いているスペースに頭を入れて
その先にもクルマが止まっていなかったから
クルマの間をぬって2列目の通路に出てきたところ
できるだけ病院の入り口に近い空いているスペースを目指すという図

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青いクルマもそう
駐車スペースは本来通路ではないはずなのだけど
通路を迂回するでもなく
空いている駐車スペースを次々に 『 ぬって 』
つまり近道だと思っているのか
できるだけ病院入り口に近いところにクルマを停めようと頑張っている


目の前を通過するクルマ全てではないけど、少ない数ではない。たぶん、20台のうちの4台ぐらい。

なぜ躊躇することなくああいうことをするのか、できるのか理解するのが難しい。

そういう人と関わりになりたくないから聞く気など毛頭ないけど、

「なぜ通路があるのに駐車スペースを走り抜けるのですか?」と聞くと、
「空いているから通ってるんじゃない」「問題ある?」と返ってくる気がして、
たぶん、「ならば通路を使っても問題ないことになりませんか」と言いたいのを飲み込んで、
『 あぁ、この人はいつもこういう運転をしているのだな 』 と再認識することで納得せざるをえないのだろうなと。

交差点で信号が青に変わった途端、直進車の目の前を右折するクルマ。駐車場に入ろうと速度を落としたクルマを、対向車線に出てまで迂回するクルマ。対向車線を逆走してコンビニの駐車場に入るクルマ。例を挙げればきりがないけれど、いつからこんな光景が繰り広げられるようになったのだろう。

クルマが好き、運転が好きな人間としてはいたたまれない気分になってしまう。



第365回 ひょっとして

クルマの特性は速く走らせてみないとわからないことがある。運転操作が正しいかどうか判断するのも速く走ってみないとわからない場合がある。

速く、と言っても、個人的にはタイヤを酷使してまで速く走ろうとは思わない。タイヤのコンタクトパッチが常に同じ形状を維持し続け、そしてタイヤが常に回転方向に転がり続けるのが理想だ。

スクールの進行を邪魔しない範囲で走らせるだけなので、まだメガーヌRSの持ち味を堪能できたとは思っていないが、みぞれ混じりの雨が降るとんでもなく寒い日に開催したYRSオーバルレースの休憩時間に走ってみて、『 ひょっとして 』 と思うところがあった。この日のコースはYRSクワッドオーバル

クルマはコーナリングを開始すると走行抵抗が増えるので失速する。速度の低下は減速と同じだから、ブレーキをかけた時のように前輪に荷重がかかる。もしタイヤの限界付近を使って走っているとしたら、前後輪のグリップが均等ではないのでクルマがバランスを崩す可能性がある。だからスクールでは、コーナリング中はイーブンスロットルを保つようにアドバイスする。スロットルをアンダーステアが出る手前まで開けて速度の低下を防ぐ。クルマが加速も減速もしていないフラットな状態でコーナリングすれば、バランスを崩す確率が大幅に減る。

ところが、タイヤが全くと言っていいほど温まらず、路面に冠水しているところがあるというのに、ある瞬間、イーブンスロットルより多めにスロットルを開けたのにも関わらずアンダーステアが出なかった時があった。
『 ひょっとするとこれが逆位相の効果か 』 と思ったものだ。ならば、イーブンスロットルでコーナリングスピードを維持するのではなく、コーナリング中に加速できるのではないかと。もちろん程度問題ではあるけれど。

もう少し奥深くまでメガーヌRSの特性を試してみたくなった。

※ IE(Internet Explorer)でビデオを視聴するのが困難なようです。Chromeやsafari、Firefoxなどのブラウザをご利用下さい



第357回 情報処理

とある土曜日の昼過ぎ。東名を西に向った。

利用した記憶がない週末の昼間の東名。理由がわからない50キロにも満たないノロノロ運転が延々と続くのには辟易したが、秦野中井を過ぎる頃には速度が回復しだし、御殿場で新東名に乗り換える頃にはいつものペースを保てるようになった。

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クルマでの移動は所要時間が短いに越したことはないと思っているから
部分的にでも制限速度が緩和されたのは評価できる
ただ試行の理由が学識経験者による調査研究委員会の「高規格高速道路での速度規制の見直し提言」だと
27年度のことだと言うけどもっと早くできなかったのかねぇ
全線3車線化を含めてだけど

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パンフレットに
「最高速度が120キロに引き上げられますが、120キロで走行する必要はありません」と書いてあるからと言って

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何も追越車線を100キロプラスで平然と走らなくてもいいと思うのだが
それとも最高速度が引き上げられたのを知らない?
表示が120になった標識を見ていない?


少なくはなったとは言え、まだまだ追い越し車線に出てくるガバナーで制御された遅い大型トラックがいるから、決して流れは順調ではない。とは言え、大昔にアルバイトで直径2mぐらいある重い紙のロールの運搬をしていたから、前につかえた時に追い越し車線に出ても速度を落としたくないという気持ちがわからなくはない。遠くを見て工夫しながら運転してたから流れを阻害するようなことはしなかったけど。


「 もっと気持ち良く走れる日は来るのかな、来ないだろうな~ぁ 」 と考えながら運転していると、第2車線を速くはない速度で走っていた軽自動車が急ブレーキ。大型トラックが軽自動車に幅寄せしたからだ。3車線から2車線に車線が減少する地点でのこと。

軽自動車を運転していた人はさぞかし驚いただろうが、トラックの運転手だけが悪いのではない。

あの地点までに、軽自動車がトラックを追い越していたら、あるいは第3車線に移動していたら、あの事態は起きなかった。軽自動車は交通の流れの中にあって、そうすべきだったのにそうしなかった。そうしなかったのは、そうする必要性を感じていなかったのだろう。
つまり、『 車線が減少するのでトラックが自分が走っている車線に進路を変えてくる 』 ということを認識していなかった、と考えられる。車線減少を予告する標識が何本も立っているというのに。それともトラックにはばまれて標識が見えなかったとでも言うのか。

そんな場面に出くわして、『 高速道路では視界を確保するために横のクルマと併走する時間をできるだけ短くしたほうがいい 』 という意識が軽自動車を運転していた人にあったらなぁ、と思ったものだ。

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3車線から2車線への車線減少の最初の標識は1キロ手前には現れる
場所によっては確か1.5キロ手前にあった
合流地点はまだずっと先だ

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路面には車線変更を促す矢印も
第2車線からも見えないわけではない

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場所によって車線が減少する地点までの数字と標識が置かれている距離は異なるようだが

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ここまで来て横にクルマがいたらどうする
もちろん
もっと早くに双方がお互いを意識すれば
交通がよどむこともなかったはずだけど

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中央分離帯側にも警告標識が経っているから
標識が目に入らなかったはない


クルマの運転は、ある種の情報処理作業だと思っている。

路面の状態を確認したり、煙突からたなびく煙を見て風の強さを想像したり、どのぐらいの割合で前走車に近づいているのか判断したり、等など。
ステアリングホイールを通して伝わるタイヤのグリップや腰で受ける横Gを感じたり、視野の片隅で動くものをとらえたり、等など。
運転中、運転手はごまんとある情報の受け手になる。目、耳、皮膚、体感。意識すれば情報はいくらでも手に入れることができる。

とにかくクルマを安全に快適に効率良く走らせるためには、状況の的確な判断が欠かせない。それには状況を判断するための材料がなければならない。むしろ、材料を手に入れるために貪欲になったほうがいい。材料が多ければ多いほど情報を処理した後の結果が正確になる。

のべつまくなしキョロキョロしなくても一方通行の高速道路では必要な情報を得ることはできるし、横の人と会話しててもラジオを聴いていてもかまわないけれど、必要な材料を手に入れるための努力は怠るべきではない。運転中は安全を確保することが最優先なのだから。



第354回 内輪差の2

ユイレーシングスクールは広い駐車場にパイロンを並べて作ったコースで様々なドライビングスクールを開催している。

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YRSオーバルFSWロングを走る
目標物がパイロンだけだからコース幅14mがにわかには信じがたい

 

楕円形以外のコースもあるけれど、YRSオーバルスクールで使うコースは3つ。半径はどれも同じ22mで、直線の長さだけが違う。
図のようにコーナーの入り口、頂点、出口に緑色のパイロンを置いて目印にしている。緑のパイロンの間には5本の赤いパイロンを等間隔で置く。つまりコーナーのパイロンは15度ごとに置いてある。「コーナーの3分の1までトレイルブレーキングを使って下さい」とアドバイスする時は、「赤い4本目のパイロンが目安です」とも伝える。
コース幅は14m。車線を区分する線が引いてないからわかりにくいが、14mというと高速道路の3車線プラス路側帯より広い。因みに高速道路の1車線は標準で3.5m。アウトインアウトで走れば半径32mほどのコーナリングができるから、速度を上げることができれば1Gに近い横Gを感じることもできる。

2019oval-renault.ai
コーナーの半径はすべて22m
直線長は60m、130m、160mの3種類
ロングとロンガーは2速、3速を駆使して走る

 

練習ではインベタのラインとアウトインアウトのラインを走るのだけど、たまにパイロンを蹴飛ばす人がいる。

パイロン自体はアメリカ製の柔らかいものを使っているからクルマに傷がつく心配はないのだが、特にインベタの走行では入り口の緑のパイロンから数えて2本目の赤いパイロンが犠牲になりやすい。パイロンを見ながら走っているので、まず前輪でパイロンを蹴飛ばすことはない。コーナーに対して内側の後輪で踏んづけたり蹴飛ばしたり巻き込んだりする。

「パイロンを蹴飛ばすのはステアリングをバキッと切ってアンダーステアがでているせいですよ」とアドバイスするのだけど、ペースを上げるとパイロンに触る人が現れる。

インベタ、つまり並んでいるパイロンとずっと等間隔で走ろうとすると緑のパイロンから急にコーナーが始まるわけで、パイロンから離れないようにするために緑のパイロンを過ぎた瞬間にステアリングをバキッと切る人が出てくる。速度が出ていて重たいクルマはステアリングを切っても簡単に方向を変えないから、よけいに一発で決めようという気になる。パイロンを蹴飛ばす人に共通しているのは、ステアリングホイールを回すのが速くて回したとたんに手が止まっていること。
結局のところ、アンダーステアが出て前輪は斜め前方に直線的にインに向って変移していくものだから、前輪についていくしかない後輪は円弧ではなく直線的に前輪の軌跡を追いかける。で、内輪差が大きくなって内側後輪でパイロンを蹴飛ばすことになる。

YRSオーバルスクールに来る大方の人はパイロンを倒さずに走るのだけど、それでは彼らがパイロンから離れたラインを走っているかというとそうではない。倒す人と同じようなところを走っていてもパイロンを倒すことはない。
なぜか。まずステアリングの切り始めが緑のパイロンのはるか手前=だからイニシャルの舵角はステアリングの遊びを消すぐらいの大きさ!  次にステアリングの回し方に違いがある。クルマが進むに従って加速度的に舵角を増やしている。決して『一発で曲がってやろう』なんてことはしていない。コーナリング初期にはゆっくり、奥へ行くほどに後輪を振り出すようにステアリングホイールを回し続けている。そうすることでアンダーステアの発生を抑えることができ、結果として内輪差も小さくできる。

第330回ヨーモーメントでお話した、ステアリングホイールを回す手を瞬間止めるのも有効だ。

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前輪の舵角が大きければ大きいほど内輪差が生じる
問題はコーナーのどこで内輪差が大きくするかだ
コーナーの入り口近くで内輪差が大きくするとどうなるのか
奥で内輪差が大きくするためにはどうやってステアリングホイールを回せばいいのか

 

前輪操舵のクルマには内輪差がつきもの。ステアリングワークは後輪の軌跡を意識して、手前から、最初はゆっくり、じょじょにたくさん、が原則です。

メガーヌRSの4コントロール。逆位相では後輪も円弧を描いてくれます。結果として舵角を少なくすることと、ステアリングを切っている時間を短くすることを可能にしています。ステアリングワークの手助けをしてくれるわけですが、だからと言って『バキ切り』は避けるのが『通』というものです。

 

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左2本が新品で右2本が犠牲者!?

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パイロンがかわいそう

 


第349回 4コントロール 同位相

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写真は本文とは関係ありません


高速道路でスピンして中央分離帯に衝突する事故があった。スピンした直接の原因は知らないけど、高速で走行中に急なステアリングを切るとクルマはスピンする傾向にある。高速で走るということは単位時間あたりの移動量が大きくなるから、というのも理由ではあるけれど、実はタイヤのグリップも関係している。

タイヤは路面とズレることでグリップを発生する。ステアリングを切ることで前輪にはスリップアングルが生じる。スリップアングルはタイヤがよれて路面とズレている証しでもある。つまりステアリングを切るということは、結果的に前輪のグリップを増加させることでもある。ステアリングを切る時の速度が高ければ高いほど、ステアリングを切る量が多ければ多いほどスリップアングルは大きくなるから、その分だけ前輪のグリップは大きくなる。

一方。ステアリングの切り始めるまさにその瞬間、後輪のスリップアングルはゼロだ。フロントが変位しクルマがコーナリングを始めるとホイールベース分だけ遅れて後輪にもスリップアングルがつくことにはなるが、前輪のそれを上回ることはもちろん、同等になることも絶対にない。要するに、前後輪のグリップバランスから見ると、前輪のグリップのほうが圧倒的に大きい。逆の見方をすれば、ステアリングを切るという行為は後輪のグリップを低下させることにつながる。

だから、そのステアリングを切るという操作が高速で、大きくかつ急に行われたとしたら。   結果は明白だ。   次の瞬間、前輪に比べて大幅にグリップの低下した後輪はもはや、遠心力を受け止めることはできず、フロントを軸にテールが急激にスライドを始める。これがスピンにいたるメカニズムだ。

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4コントロール 同位相
(画像はカタログから拝借)


4コントロールの同位相は前輪操舵車についてまわる前後輪のグリップの差、特に高速域でのインバランスを機械的に補正することを目的としているはずだ。
前輪にスリップアングルが生じると、その状況をそれこそ複雑な制御回路が計算して、間髪を入れず、後輪に同じ方向の最適なスリップアングルが生まれるように舵角を与えるのだろう。

明確な同位相はまだ、ある時にある場所で一度しか経験したことはないけど、オーバースピードでコーナーに入っても、想像していたほどクルマがロールをしなかった気がする。ターンイン後に横Gが逃げた感じがして、イン側がリフトしないように感じたのも印象的だった。

とは言っても、前後輪のグリップバランスを変える要因はスリップアングルだけではない。前後の過重移動でも前後輪のグリップバランスは変化するのだから、まずはトランジッションで4輪をしっかり路面にはりつける運転を心がけたいものだ。



第348回 想像力

雪のちらつく朝。湖西道路で工事のための片側交互通行。南行きがストップランプを点けて並んでいる。

かなり長い待機時間の末に車列が動き出した。「このサイクルで行けるかな」と思いながら、前を走るクルマとの間隔をつめる。

赤旗が振られた。2台前のクルマから止まる。もう少しでクリアできたのにと思うがいたしかたない。格別急いでいるわけでもない。

と、反対側の車列をやりすごしてから対向車線に出て赤旗を振っていたか係員が、腰を90度近くに折って誰かに頭を下げている。 『なんだ!』  
そのお辞儀が何度も何度も。何かおかしい。やや間があってまたお辞儀。

何事かと窓を開けると、なにやら大きな声が聞こえる。何をしゃべっているか聞き取れないが。それに応えて係員がお辞儀する。なんなのだろう。考えられるのは、自分を先頭に止められたことに腹を立てているのかな、と。

係員が頭を下げ続けている間、対向車線からクルマがやってくる気配はない !

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写真は対向車が動き出してから撮影した


こういうのは悲しいね。

実は2台前のクルマの前に大型トラックが止まっていた。隊列が動き出してから、大型トラックが視界の中で小さくなっていくのに、前のクルマとその前のクルマのペースは上がらない。車線の端によって前のクルマの前をうかがうと、大型トラックとの車間距離がどんどん大きくなるのにも関わらず悠然と走るクルマが。だから、とりあえず前のクルマとの車間をつめた。
これまた想像だけれど、係員はスペースの空いた大型トラックの後ろで赤旗を振ったのだろう。安全面を考えれば自然な流れだ。

状況が理解できていなかったのは大声を上げていた御仁。あくまでも想像ではあるけれど、片側交互通行で大方の人がやっていることに意識が及ばず、さらには合理的にものを考えたり、流れに乗りながら考える習慣がない方なのかな、と。

たった一人で道路を走っているわけではないのにね。

誰かに見られているからという動機ではなく、自分から交通の一員になる気持ちがあるといいと思うのだけど。



第343回 120キロ制限

3月1日から新東名の森掛川IC~新静岡ICで制限速度が120キロに変更されると聞いた。我が国で初めての試みだ。

YRSトライオーバルスクールFSWとYRSオーバルスクールFSWロンガーを開催するために湖西の自宅から栗東IC経由で御殿場ICまで走った時に、かの区間を意識して運転してみた。時間は午後いち。天候は雨。

すでに制限速度が110キロに緩和されている約50Kmの区間なのにもかかわらず、流れがスムースだとは言いがたい。最たる理由は2車線と3車線が混在しているからだ。第3車線の流れが110キロより速いところもあれば、100キロほどのところもある。車線が減少するところで大型トラックが第2車線に出てくると追い越し車線が80キロなんてこともあった。この調子だと、120キロ制限になったとしても交通の流れにたいした影響はないだろう。

交通の流れを促進するために制限速度を引き上げるのは場当たり的な対応でしかない。動脈としての機能を高めるのならば、制限速度の緩和より何よりも早く全6車線化をすみやかに進めるべきだ。

ひとつ気がかりになったこともある。規制緩和区間を走行中のクルマの速度差だ。かの区間でかなりのクルマが120キロオーバーで走っていた。その程度なら速度違反にとがめられないだろうと思っているのか。まぁ、速く走っても遅く走っても交通の流れという「秩序」を乱さなければいい。

ただ制限速度が引き上げられると130キロオーバーで走行する輩が現れるかも知れない。それでも大型トラックの制限速度は変わらず80キロ。大型トラックが制限速度を守っていることはめったにないが(笑)、もし制限速度で走っていると速度差は50キロになる。

我が家の前の道は4m道路。何か飛び出してこないか慎重に走る道幅だ。経験的に時速30キロなら瞬時に止まれるからそれ以上は出さないことにしている。で、高速道路の1車線の幅は3.5mか3.75m。狭い道を50キロでかっ飛んでいる時、目の前に突然何かが出てくるかも知れませんよ、用心したほうがいいですよ、という話。

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新東名 森掛川付近

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新東名 新静岡付近


それにしても、新名神にしても新東名にしても古い道ではないのにやたらとあちこちに補修箇所。補修が繰り返されているところもある。大きな衝撃を受けるくぼみもある。転圧が足りないのだと思う。日本の土木技術はどうしてしまったのだろうか。



第341回 内輪差の1

今シーズン2回目の雪かきが終わったところでまた降ってきた。

写真は、冬季につけるカーポートの支柱を避けながら自宅前の4m道路に出したフィットに履かせたスタッドレスタイヤの軌跡。思いもかけぬステアリングワークの教材が出現。

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支柱を避けるためにまずは直進してから舵角を与えた前輪の軌跡と
ホイールベース分前輪より手前から弧を描いた後輪の軌跡
実はこれほど内輪差があるものだとは思っていなかった
雪のおかげでまたひとつ勉強になった

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直進した分だけ大回りした前輪の軌跡と
前輪よりはるかに短い距離で前輪の後を追う後輪
気温が高く雪が融け轍が浮き出たのは収穫


ところで、前を走っているクルマが駐車場に入る時や細い道に左折する時、いったん右に振ってから曲がったのを目にしたことはありませんか。直進状態からふつうにステアリングを左に回せばいいのに、です。これは内輪差を意識しているからです。

その人は、クルマの左側後部をこすらないようにとの思いがあって、あるいは過去にこすったことがあったのでそうしているのだと思いますが、実は、コーナリングの初期にステアリングホイールをバキッと一気に回していることを証明というか、白状しているようなものなんです。

後輪に操舵装置がついていないクルマには内輪差がつきものです。内輪差はステアリングホイールの回し方で変化します。初期の舵角が大きければ大きいほど内輪差も大きくなります。
右に振ってから左折する人の場合、一気にステアリングホイールを回してから手を止めてしまう傾向にあります。つまり最初から内輪差が大きい状況を作っているようなものです。

ステアリングホイールは、なにも一気に回す必要はなく、また回している間は回す速度が一定である必要もないのです。切り始めはゆっくり、クルマが旋回を続けるほどに回す速度を速めれば内輪差を少なくすることができます。
右に振ってから左折するのはあまりみっともいいことではありません。ステアリングを切る時の速度を落としても内輪差を少なくできます。もう少し後輪の動きを意識して運転してみてはいかがでしょう。

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前輪操舵のクルマの旋回中心は後輪の鉛直線上にありますから
後輪は常に前輪より小さな弧を描くので内輪差が生まれます