トム ヨシダブログ


第247回 YRS鈴鹿サーキットドライビングスクール

年に一度、ユイレーシングスクールを受講してクルマの動かし方の基本をマスターした方々を対象に、日本のモータースポーツの聖地である鈴鹿サーキットでドライビングスクールを開催している。

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朝早く着くとピットロードは乾きつつあったけど
砕石舗装のコースはまだ濡れていた


F1開催に伴う改修で安全にはなった代わりにデグナーやスプーンや130Rの面白みが殺がれてしまったけど、一方、FIAルールに準拠したレースを開催しようとする限り、今後は間違いなく鈴鹿サーキットのような挑戦しがいのあるサーキットを作ることは不可能だ。アップダウンに富み、中速コーナーから高速コーナーまで、『さぁ、あなたはどう走るのよ?』と挑んでくるサーキット。走らなければもったいない。

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ということで、とにかく鈴鹿を走ろうと
F1が走るコースを自分のクルマで自分の力量で走る醍醐味


ユイレーシングスクールに来られる方は圧倒的に関東の方が多い。だから、遠く鈴鹿まで足を延ばしてもらうのだからと、YRS鈴鹿ドライビングスクールではいっぱい走ってもらうために1時間のセッションの後にインターバルを設けてもう1時間。合計2時間みっちりと走ってもらうことにしている。

今回は参加者の半数が鈴鹿サーキットを走るのが始めてだったけど、2回目のセッションではそれなりのペースで走っていた。コースを飛び出した人が3名ほどいたがグラベルまで行っちゃった人はいなかったし、スピンしたクルマは皆無だし、それでいてのペースだから上出来だと言える。

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今回参加したルノーユーザーはひとり
東京から来てくれたルーテシアRSに乗るSさん
シフトアップのたびに「ボホッ」と快音を轟かせてストレートを下ります


理にかなった操作ができればどんなクルマでも安全に速く走らせることができるし、状況判断さえ的確ならば初めてのサーキットでも安全に速く走れる、とスクールでは繰り返すのだが、1周が長く目の行き届かない鈴鹿サーキットではそれなりに、参加者の協力がなければドライビングスクールも成り立たない。
2時間なんて長いようだけど1周にかかる時間がながいから、走る前にそれなりのイメージができていないと走りにくいし、走っても楽しくない。

ということで、鈴鹿サーキットドライビングスクールの場合は事前にいろいろな読み物を送る。コース図も送るから目を通してもらって、あれこれ想像してもらってから来てもらうことにしている。今年の場合は、

・明日のためにの1
・明日のためにの2
・明日のためにの3

で、S字の走り方とかデグナーの1個目の入り方とか、スプーンの2個目の抜け方、130Rのターンインでの注意とか、より速くより安全に走るためのコツは鮮明に覚えてほしいから、当日朝のブリーフィングで話すことにしている。

今年参加したクルマの半分は全くのノーマル。サスペンションをいじっていたクルマは4分の1に過ぎない。
どんなクルマでも、たとえレースに参加するつもりはなくても、日常では経験できない環境で走ってみるのも楽しいものだ。
速いサーキットは、『自分が走る』のではなく、『クルマさんに走ってもらう』ことがいかに大切かということを教えてくれる。


今回紹介する動画はふたつ。慣熟走行のリードカーを務めるルーテシアRSと、セッションの合間に参加者の走りを覗き見に行くルーテシアRS。

慣熟走行だからと言ってゆっくり走っては意味がない。もちろん後続車がついてこれなければダメだけど


全ての参加者の走りを見ることは不可能だけど、出くわした参加者の走りに修正したほうがいいところがあれば、セッションの間に伝える。


今年も鈴鹿サーキットドライビングスクールが無事終わった。来年は暑い8月ではなく4月に日程を押さえてくれるように頼んである。
鈴鹿のサーキット走り方を一から教えます。鈴鹿サーキットを走ったことのない方は、ぜひ一度 ユイレーシングスクール を受講してみて下さい。


第246回 湖西道路

福井県敦賀市から滋賀県大津市まで琵琶湖の西側を走る国道161号線。161号線を南下して大津市に入ると間もなく、北小松から161号線のバイパスが始まる。それが湖西道路。正式には区間によって志賀バイパスと呼ばれるそうだが、我々利用者からみればバイパス全てが湖西道路という認識。


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ほとんどの区間が片側1車線の湖西道路
※この頁の写真は全て後日改めて撮った湖西道路です

朝早くはめったに利用しないのだけど、先日は用事があって7時半ごろ志賀インターチェンジから湖西道路に乗った。

と、志賀インターチェンジのランプを駆け上がる頃、遠くから救急車のサイレンが聞こえてきた。救急車の姿は見えないけれど、サイレンの音量が変わらないから同じように南進しているのは間違いない。志賀インターチェンジの北には比良ランプ、近江舞子ランプ、小松ランプがあるから、そのどれかから乗ってきたのか。

本線に合流。ちょうど京都方面に向かうクルマで混雑する時間で、いつもは制限速度を大幅に越える80キロぐらいで流れているのにこの日は50キロにも届かないほど。湖西道路はアップダウンの連続だから気をつけて運転しないとコンスタントな速度で走るのは難しいし、台数が増えれば詰まる度合いが高くなる。

登りながらのゆるい左カーブを走る頃になると10台ぐらい後ろに赤色等を点けた救急車が見える。『 いや~、どこまで行くのかね。急いでいるのだろうけどこの流れじゃ緊急走行の意味もないよなぁ 』と、救急車の中にあって先を急ぎたいであろう人を思うと意味もなく焦る。


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山あいを走る湖西道路は上がったり下がったり右に向いたり左に向いたり、バックミラーを見続けながら運転していても遠くの後続車が視界から消えることもある。後ろに続く車列が遠くまで確認できるところにきて、

『んっ!!!』

救急車の位置が変わっている。さっき救急車の前を走っていたクルマが救急車の後ろにいる。瞬時に悟る。救急車が1車線の道で追い越している。

これはかなり衝撃的な事実。

カーブを抜け直線に入るたびに確認すると、間違いなく救急車は1台、1台と前を走るクルマと位置を変えている。

3台くらい後ろになるとサイレンの音も大きく響き、救急車の動きも手に取るようにわかる。

とある直線区間。片側1車線の道の路肩はそれほど広くなく、路肩の幅も狭くなったりするのだが、救急車の前を走るクルマが白線をまたいで左側に寄る。救急車がそのクルマの右側から追い越す。

止まって緊急車両に道を譲るのではなく、淡々と流れる車列の中にあって速度も落とさずに救急車に先を急いでもらう。

路肩の幅の問題もあるし運転している人の技量もあるから、次から次へと…というわけにはいかず時間はかかるけど、間違いなく救急車は交通の流れよりも早く移動している。

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救急車が真後ろに来るやいなや左にステアリングを切ってスペースをあける。カーブの途中ではあったけれど、だからと言って道幅が狭くなるわけではない。スペースがあるからと言って前後に同じような速度で走るクルマがいるわけで、流れより速い速度で走ることはかなわないが、それでも救急車がゆっくりと追い越しを始める。救急車の鼻っ面が右に見える頃、助手席に座った白衣の人が左手を上げるのが目に入る。なぜか妙な達成感。いや、充実感か。

車線の中央に戻り、救急車の後ろをこんなに近く走るのは初めてだなと不遜なことを考えながら見ていると、少し時間をおいて救急車はその前に。


眼前のまだるっこしく感じられる展開を眺めながら思った。

自分の身近にある湖西道路。混んでいたら混んでいるなりに優先すべきことが優先されるという営みを目の当たりにした。救急車と遭遇する機会はそう多くはないだろうけど、もしそういう場面になって、この営みが当たり前のように繰り返されているのなら、まんざらでもないな、と。

嬉しい発見だった。