トム ヨシダブログ


第870回 YRSスタッフ練習会

早いものでもうすぐ10月。ユイレーシングスクール27年目を迎える来年の予定をあれこれ考える時期になった。

そこで将来を見越した試みとしてYRSスタッフ練習会を開催した。2023年から2025年にユイレーシングスクールに参加した459名のうち重複分を除いた176名の方に習うのではなく、将来スタッフとして教える立場に立つことを想定して走ってみてはどうかと呼びかけた。応募してくれた17名はいつものYRSオーバルスクールと異なりしゃべりながらの運転に戸惑いつつも、参加者同士が同乗走行をしたりお互いのコミュニケーションを楽しんでいた。

870-1 朝7時集合。オーバルコースのパイロン立ても経験。

870-2 半径22m直掩130mのYRSオーバルFSWロングでリードフォロー。

870-3 いつもよりミーティングの時間を長めに。シニアインストラクターの視点を詳しく開陳。

870-4 せっかくだからオーバルレースの真似事を。2列縦隊でフォーメーションラップ。

870-5 ヨーイドンで我先に。さすがYRS卒業生。初めてにも関わらず破綻なし。

870-6 異なる立場を意識することで確実に客観性が増しますとお話ししました。

870-7 この日集まったルノー乗り全員集合。
くたびれてきてルーテシア3RSを手放そうとしていたスタッフYが、面倒を見てくれそうなショップを見つけ乗り続けることにしたのは朗報。

 

今年のユイレーシングスクールの一般公募のスクールは11月1,2日(土日)開催のYRSツーデースクールFSWを残すだけとなりました。2日間クルマの運転に集中するとふだん見えなかったモノが見えてきます。 YRSツーデースクールFSW開催案内 をご覧の上、ぜひ参加してみて下さい。



第869回 交通統計

公益財団法人 交通事故総合分析センターが毎年発行する交通統計の令和6年版を取り寄せてみた。 過去のブログ(第741回) でも触れたように、全国の警察から警察庁に集められた交通事故のデータがもれなく統計として整理され掲載されている。昭和45年(1970年)に始まったこの統計、最も新しい数字は令和6年度のもの。ひも解けば日本の交通事故の全てがわかるほどの情報が詰まっている。

869b

ユイレーシングスクールが独自に行っているデータ化はまだ先になりそうなので、最新の交通統計から読み取れる事実を抜き出してみたい。

・この年、我が国の自動車保有台数は二輪車から大型特殊車まで公道を走行できる全ての車両を含めると91,514,410台。ちなみ過去最も台数が多かったのは前年、令和5年の91,567,693台だった。
・この年、公道を走行できるあらゆる種類の運転免許証を保有する人の数は81,742,303人。日本の人口は1億2千3百人あまりだった。免許証保有者が最多だったのは2018年で82,314,924人。
・この年、全国で発生したあらゆる交通事故の総件数は290,895件。過去最も交通事故が発生した2004年の952,720件をピークに増減を繰り返しながら減少傾向にある。ちなみに令和5年の総発生件数は307,930件。
・交通統計では交通事故を、人対車両、車両相互、車両単独の3種類に分けて集計している。このうちユイレーシングスクールが注目するのは、相手のいないいわゆる独り相撲での事故。この年の車両単独事故総件数は12,090件。前年の12,459件よりは減少しているし、過去避けようと思えば、あるいは避ける技術があれば起きなかった車両単独事故が最も多かった2001年の53,444件よりは大幅に減少している。
・この年、死亡事故に至った交通事故件数は2,598件。前年の2,618件より減少しているし、また過去最多の10,892件の死亡事故が起きてしまった1992年よりは大幅に減っている。
・この年、しつこいようだが相手がいないのにも関わらず事故が起きた件数が734件。時世を反映しているのか前年の720件より増えている。もっとも死亡事故が最多だった1992年は単独死亡事故も2,803件だったことを考えれば、自動車技術の進歩、道路環境の整備、交通社会の合理化などが奏功した結果だと考えることもできる。
・免許保有者が8千万人以上という数字に対する交通事故の件数自体はごくわずかなものだし、そもそも全ての免許証保有者が運転しているとは限らない。運転免許証保有者が一生の間に交通事故にあう確率は限りなくゼロに近いのかも知れない。
・しかしクルマを運転している以上事故に合わないという保証がないのも事実。
・そこで気になるのが、交通事故総件数に占める単独事故件数の割り合い、そして死亡事故総件数のうちの単独死亡事故件数だ。
・令和6年には全ての交通事故件数に占める単独交通事故件数の割合が4.2%だった。令和5年は4.0%だった。交通事故件数が最も多かった平成16年で5.6%。比率が最も高かったのは統計が始まった昭和45年で7.3%だから、人対車両、車両相互の事故件数にすれば少数派だ。
・ところが死亡事故に限ると話が変わってくる。死亡事故総件数に占める単独交通事故件数は令和6年が28.3%、令和5年が27.5%だった。
・強引に結論を導き出すつもりはないけれど、単独事故は交通事故全体の4%でしかないのに、死亡事故に限ると数字が跳ね上がる。
・100件の交通事故が起きたとして、そのうちの単独事故は4件でしかない。しかし単独事故が起きると10件のうちの3件近くが死亡事故に至ることを数字が示している、という話だ。ちなみにユイレーシングスクールが集計した数字によると令和2年の29.63%が最多記録になる。
・交通事故の件数など免許人口からすれば無視できる数字だ、と言う向きがあるかも知れない。自分は交通事故とは無関係と思っている人がいるかも知れない。
・何もなければそれに越したことはない。しかしここに上げた数字が示すように、交通事故と交通死亡事故が起きる確率はゼロではない。交通環境が進化しても人間の落ち度をカバーすることは難しい場合がある。クルマの安全性能が向上しても、それで人間が傷つくことはないという保証はない。
・何よりも好きなクルマで事故を起こしてほしくない。油断をせずにクルマの運転が上手くなる努力を続けてほしい。ユイレーシングスクールはそう思いながらドライビングスクールを続けている。

※ 交通事故総合分析センターのサイトから1年落ちの「交通統計」(2023年以前の歴年)を無料でダウンロードできます。交通事故がいつ、どんなところで、どのように起きるか。交通事故にまつわる数字がこれでもかと並んでいます。興味のある方は覗いてみてはいかがですか。


第868回 YRSドライビングワークショップFSW

8月のとんでもなく暑い日。富士スピードウエイの広大な駐車場でYRSドライビングワークショップFSWを開催。
午前中にスラロームと大小のブレーキング練習、午後はコーンで作ったオーバルコースでコーナリングの練習をします。クルマの機能は加速、減速、旋回。人間が行う操作がスロットル、ブレーキ、ステアリング。それぞれの関係を確認しながら、クルマを思い通りに動かす練習をします。

868-1
ユイレーシングスクールが主催する全てのドライビングスクールは朝一番の座学から始めります。クルマの動き方をわかりやすく解説。クルマを動かすための操作を合理的に説明します。

868-2
座学の後は教室で説明した操作をするとクルマがどう動くかみてもらうためにデモランを行います。運転にはやってはならない操作とやった方がいい操作、それにやるべき操作があります。操作の違いを見分けることで理論と実践のギャップが縮まります。

868-3
今回唯一のルノー乗りのEさんがビッグブレーキに挑戦します。100キロプラスからできるだけ短い距離でクルマを静止させる練習。ブレーキペダルの踏み方で制動距離が大幅に異なることを体験します。

868-4
Eさんが20m間隔においたコーンのスラロームコースを駆け抜けます。クルマは連続した切り返しが苦手です。切り返しを連続するのではなく一瞬がフラットな状態をはさんでやることでクルマが走りやすい状況を作ります。

868-5
EさんとメガーヌRSトロフィー(MT)。Eさんは今年初めての参加。昨年は5回、一昨年とその前は1回参加してくれた。
Eさんの感想文が載っている過去の記事は、 ・第803回 Eさんの場合(2024/8/1) ・第666回 Eさんの場合(2022/7/21)です。

868-6
ルーテシア3RSのオーナーでもあるGさん(写真右)は2018年5月のYRSオーバルスクールFSWにロードスターに乗って初めて来てくれた。2019年は3回、2020年は1回走りに来てくれていたのだけど、2021年5月のYRSオーバルスクールFSWにルーテシア3RSで参加してくれた。2022年はルーテシア3RSで1回、2022年は5月にルーテシア3RSで走っていたと思ったら9月にはロードスターで現れた。今回は新調したと言う赤いロードスターで、同じ赤いロードスターに乗る弟さんを誘って参加してくれた。
Gさん兄に登場してもらった過去のブログは、 ・第726回 ルノー仲間再来(2023/5/23) ・第681回 YRSオーバルスクールFSWとルノー仲間(2022/10/4) ・第576回 仲間がもう一人(2021/5/13) です。

 

次回のユイレーシングスクールは11月1、2日(土日)開催のYRSツーデースクールFSW。今年最後の一般応募のドライビングスクールです。運転の達人を目指している方はぜひ参加してみて下さい。詳しくは YRSツーデースクールFSW開催案内 をご覧下さい。