アメリカではオーバルレースのことをモメンタムレースと形容することがある。
momentum 【名詞】〔力学〕運動量; 惰性; はずみ,勢い.
反時計回りのコーナーしかないオーバルコースでは、つまり、常に左コーナーを回ることになる。
コーナーが2つのオーバルコースに始まって、デイトナインターナショナルレースウエイのようなコーナーが3つのトライオーバルコース、インディアナポリスレースウエイのようなコーナーが4つあるレキュタンギュラーオーバルがあるけれども、どれも最高速に達するであろうストレートエンドの速度ではターンインできないという宿命にある。
そこで、コースオーナーはコーナリング速度を高めるためにコーナーにバンクをつけてハイスピードのレースを実現する。オーバルレースに参加するチームは、右側後輪を大きくしたり右前輪にマイナスキャンバー左前輪にプラスキャンバーをつけたり、規則で許される範囲であらゆる手を使いマシンが左コーナーだけをより速く走れるようにする。しかし、それでもコーナーに入るのには減速するかコーストしなければならない。
だから、オーバルレースで勝つのにはできるかぎり直線での速度を保ったままコーナーに入りコーナーを抜けることが重要になる。しかも、ほとんどの場合オーバルレースはコーナーが回りこんでいるのがふつうで、速度域が高く空気抵抗も走行抵抗も大きいから、一旦速度を落としすぎると回復するのは不可能に近い。
それで、『ストレートで蓄えたエネルギーをできるだけ殺がずにコーナリングにつなげる』ためのクルマのセットアップが重要になり、それを生かすための走り方が求められる。そんな思想を表したのがモメンタムレースという言葉だ。
因みに、ロードレースのことはトラクションレースと形容することがある。
ユイレーシングスクールがスクールやスクールレースで使っているオーバルコースは、高々130キロぐらいしか出ないけれど、そこを速く走るためには加減速よりも慣性エネルギーを意識する必要がある。加速時間を長くしたり、減速時間を短縮して速さを狙うとます失敗する。
実際、ほんの些細なことで失速するから操作より走り方、意識がラップタイムの向上につながる。だからロードスターがポルシェを「食う」なんてこともありうるから、オーバルコースは面白い。オーバルレースでは、優位に立っていたドライバーがリアビューミラーに大きくなった後続車を見つけたとたんにリズムを崩して後退するなんてことが頻発するから、オーバルレースは面白い。
◎ YRSトライオーバルFSWのオンボード映像
◎ YRSトライオーバルFSWを走るインカーカメラの映像
◎ 9月18日YRSオーバルスクール
◎ 9月17日YRSオーバルレース
速度はそれほど高くないし、セーフティゾーンも広すぎるぐらいだから、ご自身のクルマを目いっぱい加速させてスピードを落とさずにコーナリングしてみたい人にはうってつけのYRSオーバルスクールと、ヨーイドンから最後まで集中を切らしたら終わり、駆け引きを存分に楽しめるYRSオーバルレースです。
みなさん、お待ちしています。
SさんがルーテシアRSトロフィーを購入
さっそく記念撮影
郡山に住むSさんが初めてスクールを受講したのは、2013年4月4日に筑波サーキットで開催したエンジンドライビングレッスン。いささか暴力的な加速を見せるC63AMGに乗ってやってきた。
スポーツドライビングが好きだと言うSさん。その後もユイレーシングスクールのオーバルスクールやツーデースクールやオーバルレースに参加してくれていたのだが、11回目を数えた2014年11月27日のYRS筑波サーキットドライビングスクールを最後に顔を見なくなった。
C63AMGを速く走らせようとするとフロントタイヤのショルダーを削ってしまうことになる。クルマが重いからある程度は仕方ないんですよ、と言ったのがいけなかったのかと。
2015年9月12日に富士スピードウエイで開催したYRSトライオーバルスクールの申し込みフォームにSさんの名前を見て安心したのだが、クルマはケイマンGTSに変わっていた。
富士は遠いんですよねぇ、と言うSさんはそれでも、2015年に富士スピードウエイで開催したスクールに6回参加してくれた。
今年8月。半年ぶりに富士スピードウエイのYRSドライビングワークアウトに顔を出したSさんは、ずいぶんと気持ちよく独特の排気音を響かせて走っていた。
で、帰り際。片づけが終わってルーテシアRSに荷物を積んでいるところにやってきたSさん。ルーテシアRSを指差しながら『これ買ったんです』。一瞬なんのことかわからなかったけれど、『トムさんがいいって言ってたので』と言われて思い出した。そうだ、以前、ルーテシアRSのことを聞かれたから「いいクルマですよ」と答えたのだった。
9月。前日に予定していた今年3回目のエンジンドライビングレッスンを台風のせいで中止にしたのだけど、翌日のYRS筑波サーキットドライビングスクールは快晴。Sさんが強い日差しに映える純白のルーテシアRSトロフィーでやってきた。
さっそうと最終コーナーを立ち上がる
さっそうと1コーナーを目指す
さっそうとヘアピンをクリアする
(ちょっとアンダーだけど)
オドメータはまだ1600Kmだけどパワーが上がってシフトが速くなったというトロフィーをここぞとばかりに味見
ようこそRSファミリーに
ミッドシップもFFも難なく乗りこなすSさん。でもまだ先があります。また遊びに来て下さい。
8月最後のスクール、YRSドライビングワークアウトの参加者は6名だけ。昨年に比べると全般的に減っているが、それでも今年に入ってからの受講者は323名にのぼる。で、今年12月にユイレーシングスクール17年目が終われば延べ1万5千人あまりの方に運転の楽しさ、面白さをお伝えしたことになる。
YRS教科書プリフェイス
ここ数年、初めてユイレーシングスクールを受講してくれる人が増えているのが大きな励みだが、数あるドライビングスクールの中でユイレーシングスクールを選んだ理由を聞いてみると、「教科書を読んで納得がいった」とか「教科書から方針が読み取れた」とか、ユイレーシングスクールの教科書が直接間接の動機付けになっているようだ。
なんでも合理的にモノが運ぶアメリカから日本に来てドライビングスクールを始めるにあたって、どの道、屋内制手工業的なスクールになるはずだったから、ユイレーシングスクールの主張をはっきりさせるために教科書を作って公開した。
84頁にわたるそれは、それまでの経験から、道具というクルマを動かす時のルールのようなものを自分で再確認するように作ったものだ。
遠方の人は教科書を呼んでユイレーシングスクールのCDを買って運転が上手くなったとメールをくれた。全頁をプリントアウトしてスクールの合間に読んでいた人がいた。実際のスクールを受けると教科書に書いてあったことが理解できたと喜んでくれた人がいた。
そんなユイレーシングスクールの教科書。もっとたくさんの人に読んでもらえると嬉しいと思い、ブログ200回目のテーマにした。
YRS教科書目次
YRS教科書3頁
YRS教科書29頁
YRS教科書37頁
YRS教科書41頁
YRS教科書49頁
YRS教科書67頁
YRS教科書83頁
はっきり言って、時間のある時にでも読んで損はないと思います。そして知識と実技のギャップを埋めるのが練習です。教科書の内容を理解しやすいカリキュラムを用意しているユイレーシングスクールにも遊びに来て下さい。