以前は頻繁にYRSオーバルレースに参加してくれていた阿部さん。綾瀬市でミスタータイヤマンというショップを経営しているのだけど、仕事が忙しくなったとかで顔を見る機会もなかったある日。突然電話がかかってきた。
聞けば、ユイレーシングスクールのカリキュラムを使って社員研修をしたいのだという。喜んで協力する旨を伝えると、改めてメールが届いた。そこには次のように書かれていた。
《今回の趣旨》
正しい理論に沿った運転技術を身に着け、教わった理論・体感した経験を今後のタイヤ、用品の販売に役立てる。
今回トムさんに依頼したきっかけですが、普段スタッフが商品(主にタイヤ)の説明をする際、例えば“雨の日は滑りやすいのでこちらの商品が良いですよ”など説明するのですが、その滑りやすい状況や実際に滑った、危なかったという経験がスタッフによってまちまちで、同じ内容を説明するにしてもスタッフによって一貫していない、説得力に乏しいと感じた事でした。
私の予想ですが、その様な経験が少ないというより普段からその様な事象を意識していない為、少なからず起きていても感じ取っていない、または気のせいにしている、さらには気にしないといった事ではないかと思っております。
私的には実際にタイヤが滑っていく感覚等は誰しもが感じ取っているのではないかと考えております。それを意識しているか、いないかの違いであれば、理論を学びそれを実践していく事で人の感覚と理論が一致するのではとも思っております。
当社の大半のスタッフが自動車に求めているのは移動の手段であり趣味ではないので、今後レースやスポーツ走行をするという可能性は低いです。しかし扱っているタイヤという商品は自動車の性能を決める上で非常に大きな要素が含まれていますので、カタログの内容を意味も分からず説明し販売するという行為が良いとは思えません。
少なくとも私自身がクルマ・バイクが趣味としておりますので、当社を利用頂くお客様にはきちんとした説明をして販売したいという思いがあり、私の会社にいる限り分身であるスタッフにもそうあってほしいという思いもあります。
トムさんのスクール内容はシンプルに見えて、実際は奥の深いところまで教われるというのがとても魅力的です。特に当社にとっても良い点が、タイヤの使い方が中心にあるところです。タイヤをいかに有効に使うか、その解説を皆に聞かせたいのです。
併せて運転操作に対して自分の思った動きをクルマさんがしてくれた時の嬉しさや楽しさを当社のスタッフが一瞬でも感じてくれればという思いです。
私も16歳でオートバイに乗り始めた頃、とても楽しいと感じていました。18歳でクルマに乗り始め、憧れのフォーミュラカーにも乗りましたが、今考えればあまり正しいとは思えない理論をアドバイスされ、運転自体も上手くいかず、資金のやり繰りにも嫌気がさして一度止めてしまいました。
その後、大型のオートバイでツーリングをのんびり?楽しんでいましたが、きまぐれで手に入れたロードスターでレースがしたくなり費用の掛からない草レースの様なものを探していたらユイレーシングと出会いました。
オーバルレースに出たいが為に受けたスクールで、そんな本格的な講義が受けられる(しかも格安)とも思っていませんでしたので(ごめんなさい教科書あんまり読まずに行きましたw)、とてもショックを受けたのを覚えています。当時、数年前までFJに乗っていたので内心自分の運転はうまい、理屈に合ってると思っていたのですが、いざ走ってみたら操作は雑だし、ブレーキは突っ込んでるはで全くタイムも遅く、座学に続いてショックでしたw。
しかしそれも、その後継続してYRSに参加した事でその時の事(初めて受けた時の事)を振り返り、何が悪かったのかを自分なりに分析出来る様になりました。もちろんまだまだ技術は低いですが、それなりのかたちにはなってるのかなとは思える様にはなりました(運転技術向上に終わりはないでしょうから)。それはトムさんはもちろんの事、YRSの仲間のおかげと思っております。
モータースポーツらしきもの?を初めて27年経ちましたが、その中でYRS、レーシングチーム、プロらしき人w、先輩方、色々教わりました。その中で唯一、理論&事象&自分の感覚が一致したのがYRSです。自分の会社のスタッフに“研修”と称して自信をもって受けさせられるのはユイレーシングの他にはありません。
乱文・長文で申し訳ありませんが、今回のレッスンを有意義なものにしたいので、自分の今まで感じた事や感謝を伝えたいと思います。併せて、このレッスンを通してモータースポーツと一般交通社会が近いものと確信できたらと思っております。
余談ですが、最近はオートバイで国際A級ライダーに教わってます。オートバイに対する勤勉さ、取り組み方はトムさんに似ています。ダジャレも大好きですwあと自分が一番速くないと気が済まないところw またお会いした時にお話したいと思います。
暑い日ざしの中
いつもよりは少しばかり真剣にクルマを動かす
終わってみればみんな笑顔
思い通りに動かせれば面白くないわけがない
右から2人目が阿部さん
阿部さんは一日中裏方に徹し、社員のみなさんが走るのをサポートしていた。
こういうのいいね。クルマはよくできた道具だから、使い方さえ覚えれば裏切られることもない。今のタイヤはよくできているから、そんじょのことでは破綻はきたさない。けれど、その理由がわかれば運転に余裕と想像力が生まれる。それらがやがて確信に変わる。