第817回 Nさんの場合
今回ルノー/アルピーヌ以外のオーナーにこのブログに登場してもらったのには訳がある。その訳は改めて述べるとして、初めてユイレーシングスクールに参加してくれたNさんに感想文を書いていただいたのでお披露目したい。
今回初めてYRSツーデースクールFSWに参加したNです。
今まで3回、自動車雑誌主催で筑波サーキットで行われた1日コースに参加してました。そこで初めてトレイルブレーキングとイーブンスロットルを教わりましたが、なかなか理解・実践することができません。メーカー主催のFSWトレーニングにも参加しまして、本コースで車の性能を高速で試す事ができますが、うまくなった気がしません。
それでYRSのホームページを訪れ、YRS教科書を読み、もっと運転を上手くなって楽しみたいと思いツーデーに参加した次第です。
2日目のショートサーキットを周回するのは楽しいのですが、なかなか思うように行きませんでした。トムさんをはじめインストラクターの方に同乗走行をお願いして、まず走行のメリハリ、走行姿勢の安定性、コーナリングスピードの速さに驚かされました。また僅かに疑問が解けたというか自分の出来ていない部分を(多少ですが)理解できました。さらに他の参加者の方々がも色々アドバイスして頂きました。そのおかげで僅かにタイムも向上したのですが、あらためて初日のスラローム、ビッグブレーキ、スモールブレーキ、オーバル走行の練習がショートサーキットでの走りに大切なんだと気付かされました。
まだまだクルマの物理的な理解やクルマの姿勢変化を感じる力、その対応力など課題はいっぱいですけど、ツーデースクールは本当に楽しいし勉強になります。少しずつの向上を目指してまた参加しますので、その時はよろしくご指導ください。有難うございました。
Nさんを横にNさんのクルマを借りて
スラローム、ビッグブレーキ、スモールブレーキのデモラン
何を目的に練習するのか
どういう結果を導き出したいのか
明確な指針を持って
リアルタイムアドバイス通りに走ると効果絶大です
Nさん また走りに来て下さい。日程は未定ながら、来年も春秋2回のYRSツーデースクールFSWを予定しています。
第809回 YRSツーデースクールFSW
自分の運転技量を推し量るにはクルマを限界近くで走らせてみることが有効なのですが、日常生活の中ではクルマを限界で走らせることはできない相談です。理にかなった操作をしているかを確認するためにはクローズドコースでクルマを走らせて検証するのが現実的です。
ユイレーシングスクールでは1日目に富士スピードウエイの広大な駐車場で基本操作の練習を行い、2日目にショートサーキットを100周以上走行するYRSツーデースクールFSWを主宰しています。走る距離はおおよそ2倍半ですが、集中して練習するので効果は単日のスクールの10倍は期待できます。ジムラッセルレーシングスクールの3Daysスクールのカリキュラムを凝縮したユイレーシングスクールならではのプログラムをぜひ体験してみて下さい。
9月21,22日に開催するYRSツーデースクールFSWの申し込みは以下のリンクから行えます。
・9月21/22日(土日)開催 YRSツーデースクール開催案内 & 申し込みフォームへのリンク
第806回 続々・GPSLapsから見るコーナリング
おさらいをしておきましょう。ロードコースと呼ばれる周回路を速く走るためには、何よりも優先すべき攻略法がふたつあります。
まず長い直線に続くコーナーの脱出速度を上げること。結果的にストレートエンドの到達速度が速まりストレートの所要時間が短くなります。次に高速コーナーをできるだけ高い速度で旋回すること。単位時間あたりの移動量が多い区間を速く走れれば平均速度の向上=ラップタイムの短縮につながます。
このふたつののアプローチを練習するためには筑波サーキットのコース1000がうってつけです。コーナーの曲率の割にはコース幅が広く、なにしろ回り込んだコーナーが多いので操作の工夫次第ではロードスターがポルシェと同じようなタイムで周回することも不可能ではありません。クルマの速さとは別に、セオリー通りに走ることのできる人が速い、ドライバーズサーキットだとも言えます。最高速度は大きなサーキットほど速くはありませんが。
狭い敷地にレイアウトしたミニサーキットはどこも同じような傾向を持ちますが、例えば富士スピードウエイのショートコースはというと、直線が長くしかも5%とかなり下っているので馬力の大きなクルマが明確に有利になります。その点、コース全体がフラットな筑波サーキットコース1000は周回数も稼げるので操作の理論的合理性を追い求めるのに適しています。
コース1000の全体像を俯瞰するために、 1、2コーナーでイーブンスロットルとトレイルブレーキングの練習をして 、 ドッグレッグでコーナーを捨てることの練習 をしたついでにフルラップした時のデータも取ってみました。
1周1,039mで使うギアは2速と3速のみ
最終コーナーを2速で立ち上がって3速に
1コーナーはブレーキングだけで進入
ヘアピン手前でブレーキングと2速にダウンシフト
インフィードの左を2速のまま薄いブレーキで
インフィールドのストレートで3速に
ドッグレッグまで3速
外周に出る手前でブレーキングと2速にダウンシフト
最終コーナーはボトムスピードを意識して
さて、あなたなら 筑波サーキットコース1000 をどのように走りますか。
ストレートエンドの到達速度を上げる。高速コーナーの通過速度を上げる。どちらもラップタイム短縮には有効ですが、実現するためには常にクルマの性能を引き出す操作が行われていることが前提になります。
例えばコース1000の1コーナーは突っ込みすぎてもバキ切りをしてもコースアウトせずにクリアすることを許してはくれます。しかしながらアンダーステアが出ている状態ではクルマは間違いなく失速しています。前荷重=前後荷重の不均衡=前後輪のグリップの相違はコーナリングスピードを低下させます。速さを追うのならば、クルマの性能をスポイルしていないか=クルマの動きを妨げる操作をしていないか、常に意識しながら操作することが大切です。
どういう操作をしたか、クルマの運動エネルギーが有効に使われていたか、走行後に走行軌跡と合わせて速度とその瞬間の加減速/横向き加速度を検証するにはGPSLapsが有効かも知れません。
8月24日(土)に富士スピードウェイ駐車場で開催するYRSトライオーバルスクールFSWでアプリの開発者を招き GPSLaps の使い方のセミナーを行います。アンドロイド搭載のスマホかタブレットがあれば世界中のサーキットの走行データを収集することができます。ご自身の操作を見直すためにもお勧めです。
当日はトライオーバルの走行データをモニターに出力してご覧いただきます。操作とクルマの動きの因果関係を解明するためにもぜひ参加してみて下さい。
・8月24日(土)開催 YRSトライオーバルスクールFSW開催案内と申込みフォームへのリンク
第795回 ドライビングポジションと情報収集
クルマの運転は情報処理のようなもの、と言ってもさしつかえないだろう。
まずクルマを動かす目的があって、それに沿って走らせるために五感で情報収集をしてクルマの状況を把握。ほぼ同時に理論的見地から最適と思われる操作を行う。クルマが動いた瞬間に再度情報収集を行い、クルマの動きが理想値から外れていれば修正のための操作を繰り出す、合致していれば次への探りを入れる。その繰り返し。
だから、クルマを思い通りに動かすのには正確な情報収集が重要だ。正確な情報収集にはクルマの動きに翻弄されずにクルマと一体になり、クルマと同じ速度で同じ量だけ人間もロールする必要がある。それを実現するのが正しいドライビングポジションだ。
6月27日(木)。ユイレーシングスクールでは車載映像にある富士スピードウエイショートコースを終日使ったスクールを開催します。今からでも申し込むことができます。ご自身のドライビングポジションの確認に走りにきませんか。
第794回 YRSドライビングワークショップFSW
ユイレーシングスクールは富士スピードウエイの駐車場で開催するカリキュラムでは、70歳以上の方の参加費を割引きにしているのだけど、今回は2名の方が利用してくれた。いくつになっても運転を楽しみ極みを目指してほしいから嬉しい限り。
今年2回目のYRSドライビングワークショップFSW。午前中にブレーキングとスラロームの練習。午後は2種類のオーバルコースを走り、クルマの運転にやってはいけないこととやったほうがいいことの仕分けを重ねます。
デモランに先立ち目指すテーマの説明
良い例と悪い例を見てもらうのだが
これが効果てきめん
イメージ作りの大切さ
2月のYRSドライビングワークショップFSWに続いて参加してくれたSさん
A110を豪快に走らせていました
半径22m直線60mのYRSオーバルFSWを
時計回り反時計回りと交互に走ります
YRSオーバルFSWで基本操作を練習した後は
半径22m直線130mのYRSオーバルFSWロングで
3速全開からの減速とターンインの練習をします
走行中もFMラジオでリアルタイムアドバイスを送ります
オーバルコースでもロードコースでも
周回路は直線よりコーナーの方が遅く
いかにコーンリングを組み立てるかが鍵
クルマを安定させて走ることができれば
日常の運転も楽しくなります
2月初めのYRSオーバルスクールFSWと
2月末のYRSドライビングワークショップFSWに
メガーヌRSトロフィーで参加してくれたKさん
YRS3回目の今回はクルマが魅力的なA110に替わっていた
FFからMRに
フルスロットルにするのはこの日が初めてだとか
次回のFSW駐車場を使ったスクールは
7月6日(土)開催のYRSオーバルスクールFSWです
クルマの動かし方を理解するのにうってつけです
第790回 エンジンドライビングレッスン
昨日の朝
村上編集長の挨拶
なぜエンジンドライビングレッスンを続けるのか
その目的も
午前中は筑波サーキットジムカーナ場に作ったオーバルコースで
イーブンスロットルとトレイルブレーキングの練習
速さを科学します
今年で22年目。2024年2回目。第78回目のエンジンドライビングレッスン。今回は4名の方がエンジンドライビングレッスン初参加。ユイレーシングスクール流ティーチングは、もちろん効果がありましたとも。
筑波サーキットコース1000に移動し編集部が用意したお昼を食べてから
コース1000を走ったことのない方を対象にバンライド
その後参加者を動力性能と走行経験で4グループに分けて
短いセッションを繰り返します
4月のYRSツーデースクールFSWを受講してくれた、もともとエンジンドライビングレッスンの常連のIさんとAさんも参加。YRSツーデースクールFSWの効果はありましたかとたずねると、もちろんYES。結果ももちろん。
朝8時から午後4時まで走りづめ
全ての走行が終わってからの記念撮影はみんな笑顔
photo:Sei Kamimura
昨日曇り空でそれほど暑くはなく、43歳から66歳まで平均年齢58.1歳の青年が一生懸命走り回っていました。
【参考資料】
午後の走行は途中で計測を止めます
徐々にペースを上げるのが定石ですが
自身のベストタイムが何周目にでたか検証します
休憩の後は最後まで計測
再度何周目にベストタイムが出たか確認します
この日のベストラップタイム一覧
次回はこの速さからスタートしたいものです
今年のエンジンドライビングレッスンはあと1回。10月3日(木)開催です。
第786回 続・YRSツーデースクールFSW
ユイレーシングスクールのカリキュラムは全て座学から始まります
走行プログラムに先立ち
GさんのA110Sをお借りして理祖的なドライビングポジションの取り方の説明
次いで
午前中に行う3種類の練習のデモランを参加者に見てもらいます
GさんのA110Sをお借りしてスレッショルドブレーキング
最短距離でクルマを止めるコツを
足がよく動くA110Sはここまでノーズダイブします
この時おそらくマイナス1Gあたりの減速Gが
午前中は参加者を3班に分けて3種類の練習をします
写真手前から
20m間隔のパイロンスラローム
ビッグブレーキング
スモールブレーキング
朝いちは完全にウエットだったのに
スラロームの練習をしているうちに
トラックエボリューション!
昼休みをはさんで
オーバル走行の練習
翌日のサーキット走行に備え
スロットル/ブレーキ/ステアリングの操作と
加速/減速/旋回の挙動との
ズレを感じ修正しておきます
最初は半径22m直線60mのYRSオーバルで
イーブンスロットルとトレイルブレーキングの練習
YRSオーバルで
安定したコーナリングと速いコーナリングの手順を練習した後
半径22m直線130mのYRSオーバルロングを走行
まずはリードフォロー
徐々にペースを上げながら
インベタからアウトインアウトへ
YRSオーバルロングでのグループ走行に先立ち
YRSオーバルのコース幅が
高速道路の3車線より広いことをメジャーを使って説明
オーバルコースを
集団で全開で走る時のルールを説明します
1日目終盤はYRSオーバルロングで
追い抜きありの追いかけっこ
とにかく少しでも速くをテーマに
1周20数秒のコースを右回り左回りで
2日目は快晴
FSWショートコースのパドックに参加者が再集合
2日目の始まりはコース歩行
ショートコースの特徴を説明
安全を担保しながら速く走るコツを説明します
コースを歩いて1周してから座学
速さを求める走り方の説明をします
走行時間の最初は
ショートコースを走ったことのない方を対象にリードフォロー
徐々にペースを上げながらリードカーの真似っこをしてもらいます
次いでおさらいの意味でショートコース経験者のリードフォロー
ユイレーシングスクールには基本的に
走行時間を確保するために昼休み以外の休憩時間はありません
ひたすら短いセッションを繰り返します
もちろんクルマと人間の調子に合わせてスキップすることはできます
ただアドバイスが必要な場合は
何度もミーティングを行います
参加者と同伴者全員で記念撮影
この日42歳から76歳まで平均年齢55.9歳の青年が
ショートコースを延べ2,253周し平均で参加者ひとり約122周
最も走った人は149周でした
それでいてこの日のスピンはたったの1回
ユイレーシングスクールの面目躍如というところです
今回のルノー/アルピーヌ仲間は少なく
A100SのGさんと
顔出しNGのルーテシアRSに乗るTさんだけでした
今回はユイレーシングスクールが初めての方が3名
FSWショートコースが初めての方も3名
それぞれの足跡をのこしました
参加者の中には2003年5月に初めてユイレーシングスクールに参加
2012年以降は毎年YRSツーデースクールに参加してくれている方も
ユイレーシングスクールで常々
速く走るためには
クルマの性能を引き出す操作をする必要がある
と説いている
ラップタイムは平均速度の裏返しだから
直線より遅いコーナーをどう抜けるかが速さにつながる
速いラップタイムよりもベストラップが何周目に出たかが肝心
セッションの後半でベストラップが出れば
速さが身体に馴染んでいるはずだから
※セッション1~3のラップタイム表の右端に
そのセッションの何周目にベストラップが出たか示すIn Lapがあります
ユイレーシングスクールでは年2回、2日間クルマの運転に没頭して運転を楽しみながらドライビングパフォーマンスの向上をはかるYRSツーデースクールFSWを開催しています。今年2回目は9月。クルマをもっと楽しみたい方は参加を検討されてはどうでしょう。
第785回 エンジンドライビングレッスン阿讃
今年も5月3日に四国の山あいに
新緑と常緑が織りなす景色に心奪われ
ただ、例年と異なるのは5月3日の午前中に関西で初めてのエンジンドライビングレッスンを開催したこと。今年3月で77回目を迎えたエンジンドライビングレッスンは1回だけ富士スピードウエイで開催したものの、あとは全て筑波サーキットが舞台だったけど、関西でも運転の楽しを伝えたいという村上編集長の意向でエンジンドライビングレッスン阿讃が実現した。
2名のキャンセルが出て
山あいのサーキットに集まったのはちょっとさみしい9名のみ
photo:Shuichi Otanaka
写真では判別しにくいかもしれないけれど
前列左からワタクシ
A110の右は草津市から来てくれたIさん
3月のエンジンドライビングレッスンにも来てくれた堺市のTさん
千葉県は柏市から駆けつけてくれたTさんご夫妻
アルピーヌドライビングレッスンとYRSオーバルスクール経験済みで堺市からのMさん
雑誌エンジン編集長の村上さん
2列目左から
丸亀市からのMさん(YRS CDのお買い上げありがとうございました)
奈良市から参加してくれたIさんご夫妻
広島市から参加のOさん
3列目左から
三田市から100馬力超えのコペンで参加はMさん
岡山県高梁市から来てくれたKさん
それとYRSスタッフY
昼からはルノー徳島主催のルノークラブ走行会が毎年のようになごやかに