第199回 スクールと富士山とまぐろ
第169回 17回目の冬
12月4日(金)
週末にスクールを開催するのでコース作りに富士スピードウエイへ。
御殿場インターを降りてガソリンスタンドに給油に立ち寄ったら、ルーテシアⅣRSも給油していた。目が合ったので会釈すると「走行会ですか?」の問い。こちらはスクールなのだけど「今日走行会があるんですか?」と聞いてみると、ルノー・スポール中心の走行会がショートコースで行なわれるという。時間があれば寄ってみます、と分かれたのだけど、ブログを読んでもらっているというのにお名前を聞くのを忘れた。申し訳ないことをした。兄弟の写真だけは撮影させてもらったけど。
今回は終の相棒を連れ出した。で、いつものように富士スピードウエイに行く途中で寄り道。晴れていたから本当なら、朝日に輝く富士山を拝めたはずなんだけど、富士山の裏側が荒れ模様のようで、しかもとんでもなく強い北風で、次から次へと雲が越えて来るから全貌は拝めず。それでも、勢いよく動き回る雲が朝日に照らされて染まるのを見ることができたのは悪くなかった。
打ち合わせがあったので御殿場に戻る道すがらにもう一度寄ってみたけど、状況は変わらず残念。
久しく終の相棒の写真を撮っていなかったので、お気に入りの場所で。
富士スピードウエイに戻ってショートコースに行ってみると、ルーテシアⅣRSを中心としたルノー・スポールがわんさか。数えてはいないけど60台以上は集まっていた感じ。ルノー・スポールを対象とした走行会があるなんて知らなかった。失礼しました。
風は強かったけど天気は最高。グループに分かれて走っているのか、コース上には絶えずルノー・スポールが。圧巻。
ルノー・スポールが好きな人の集まりなんだろうけど、クルマを共通言語として時間を共有できる機会があるのはスバラシイ。
写真では3色だけだけど、パドックにいるのを含めるとルーテシアⅣRSだけでも実にカラフル。
感心したのは走っていた人がみんなクルマを丁寧に扱っていたこと。RSバッヂがついているクルマは粋に乗りたいからね。
12月5日(土)
YRSオーバルレース最終戦
6時20分の富士山。日の出前に宿を出るから、少し赤みを帯びたところしか撮れなかったのが残念。予報どおり快晴で風もおさまったけど、放射冷却なのか寒いこと寒いこと。フロントウインドは凍っているし車載温度計はマイナス2度。今の時期に凍るとは思っていなかったから、建物に向けて停めなかったのだけど。
前日の寒さに耐えてコースを作ったご褒美か、まれに見る快晴。雲ひとつなし。
YRSオーバルレースの参加者が集まりだした。今回は遠く郡山からの参加も。
YRSスクールレースは、ユイレーシングスクールが主催するいずれかのドライビングスクールに参加したことのある人を対象に開催している。参加者はみな顔見知りだから運営も自主的にしてもらうことが多い。それぞれがどうすればより運転を楽しめるかといつも真剣。
YRSオーバルレースはローリングスタートを採用。フォーメーションラップはこんな感じ ↓
オーバルレースのスタートはこんな感じ ↓
YRSオーバルレースが終わって次の日の準備ができたから、しつこいようだけど富士山を背景にパチリ。
12月6日(日)
ポルシェクラブ千葉の安全運転練習会
朝6時30分の富士山。ずいぶんと明るくなるのが遅くなったんで、出発までに赤富士が撮れるか微妙なところ。この日もなりかけだけ。
恒例の記念撮影。安全運転練習会のインストラクターを仰せつかってから7年。息子さんと一緒に参加する方も増えてきた。みんなきれいにクルマを動かします。「所有欲から使用欲への転換」をしつこく、しつこく訴えてきた結果だと自負しています。
安全運転練習会はこんな感じ ↓
12月8日(火)
満16歳の誕生日。
1999年のこの日。桶川スポーツランドで第1回YRSドライビングワークショップを開催してから16年の月日が流れました。
クルマを運転するのが大好きです
写真左が1999年に作ったディキャル。右が今年作ったディキャル。
クルマという道具の合理的な使い方を知ってほしいと、もっともっとクルマを楽しむ場を用意したいと始めたユイレーシングスクール。
楽しみながら、クルマを思い通りに動かせるようになることを目指して、17年目の活動に入ります。
第153回 ルーテシアRS 筑波サーキットコース1000を駆ける
ルーテシア4RSが来てからというもの、あのヒップラインが気になってしかたがない。理由を聞かれると困るのだけど、あの造形はいい。
で、どうしてもあのヒップライン越しに車載映像を撮りたくて、YRS筑波サーキットドライビングスクールの合間に挑戦してみた。その時の動画がこれ。
※もう少し長いレンズを使って、もう少し後で張り出して撮ったほうがヒップラインが強調できるみたいだから、そのうち再挑戦。
6000キロを超え、おとなしくしてたかいがあったのか、エンジンも軽く回るようになった気がする。燃費も良くなっている気がするし。トランジッションでのピッチコントロールに気をつければ、すごく奥の深い足が体験できそうだし。これからが楽しみ、楽しみ。
第92回 今年初めてのスクール
2月に予定していたスクールが3回とも雪の影響で中止。教えたい病の禁断症状が出始めたところで今年初めてのスクールにこぎつけた。
操作と挙動の因果関係を検証するのが目的のYRSドライビングワークショップ。当日は陽がさしているのに3℃しかない寒い一日だったが、神戸市からの参加してくれたNさんを含め全員が運転の面白さにすっかりはまっていた。
参加者は11名。うち初めてユイレーシングスクールに来られた方が5名。サーキットを走ったことのない方が3名でレースに参加したことのある方が3名。スクール主催者にとっては理想的な配分だった。
ちなみに、どこも改造していないクルマでの参加は4台だった。もちろん、メガーヌRSとルーテシアRSはともにドノーマル。それでも安定して速いのだからたいしたものだ。
で、YRSドライビングワークショップには発進加速の練習はないのだけれど、合間にルーテシアRSの売りのひとつローンチコントロールを試させてもらった。気分はまんま、F1ドライバー。Yさんも初めて試したローンチコントロールに笑顔、笑顔。
※ただしこのデバイスは安全を確保するため、そしてその良さを十分に堪能するためYRSドライビングワークショップなどに参加してクローズドコースで試されることを勧めます。
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3月11日に開催したYRS筑波サーキットドライビングスクールで新しいプログラムを始めた。YRS卒業生を対象に速く走るためだけに作られたレーシングカーを味わってもらうYRSライド。次回は6月。興味のある方はまずYRSオーバルスクールかYRSドライビングワークショップを受講して下さい。
第91回 サルも木から落ちる。 んっ!
タイヤが路面を捉える様子を動画に収めようとしたのだけれども、トラクションコントロールを切ったルノー トゥィンゴ ゴルディーニ ルノー・スポールのスロットルを踏み込むのがほんの少しばかり大きすぎて、ストレートに出た時に10センチだけ外側を走るハメになってしまった。
その結果がこの動画。題して「タイヤは回る」。
※それにしても、弾性体であるタイヤと付き合うのは楽しい。
第90回 東京見聞録
題名は少し大げさかも知れない。しかし、東京に住んでいて東京メトロの副都心線や有楽町線を利用している方は知っているのかも知れないが、東京の地下鉄が平面交差をしていたなんてホントに知らなかったし、ポスターを見て大いに驚いた。
今年の湖西は寒い日が多く春を足音はまったく聞こえない。しかし、千鳥ヶ淵の桜は蕾を膨らませていた。あと数週間ってところだろうか。
東京に用事があったのだけど、2日前にクルマで関東から戻ってきたばかりだし日帰りの予定だったから、新幹線を使った。何年ぶりだろうか。
目的地でも自由に動けるから基本的にどこへ行くにもクルマだが、新幹線も嫌いではない(乗り物はなんでも好き、という意)。
特に、200キロを超える速度で移動しているということを想像するとワクワクする(クルマでこれだけの時間高速で移動することはまず不可能だ)。
来年春からN700系の最高速度が285キロに引きあがられることも発表されたし、決められた地点間しか移動できないものの、新幹線の移動効率はクルマよりくやしいが高い。
座席にすわり発車を待つ。ベルが鳴り終わりゆっくりと動き出す。この時点では背中に感じるシートバックの圧力は停車時とほとんど変わらない。まだ慣性力が小さいのだろう。
ホームを離れるころだろうか、背中がシートに押し付けられる感じが少し強くなる。どんどん速度を増す新幹線。だが、背中に感じる圧力はほぼ一定。ルーテシアRSのスロットルペダルを2速で床まで踏み込んだ時の、爆発的な圧迫感はない。おそらく、その加速度が新幹線を加速させるための最適値なのだろう。
高速で巡航を始める新幹線。車輪が発する周波数がある速度を保っていることを教えてくれる。しかし、たぶんスロットルは一定ではないはずだ。速度が上がっているようにも下がっているようにも思えないのに背中に圧力を感じたり、ふと、上体が自立する感じになったり。モーターのうなりも加わりあきらかに駆動をかけているな、という区間も、今は空走しているな、という区間も背中が教えてくれる。
三半規管でも加速度を感じているのだろうが、それは検証が難しい。新幹線であれば背中とつま先の感覚。クルマであれば背中とかかと、加えて手のひらの感覚に頼るのが現実的だというのが持論。
新幹線のホイールベースは長いし、そんなことが起きるように作られてはいないだろうから挙動変化で加速度を推し量ることはできないが、移動している自分を体感できるのはクルマと同じ。おそらく、マイナス加速度を含め0.2Gほどではないかと思うのだけど、それを感じるのは楽しい。
それから駅で止まる寸前のスピードコントロール。今までの経験からして個性が出ているように思う。絶妙なタイミングでブレーキを抜いてマイナスの加速度がほぼ一定のまま停車することがあると思えば、一旦速度が落ちて止まりそうになってからもう一段ブレーキを抜いて、明らかに停止線までの距離をかせいでいるな、とわかる時があったり。どういう操作をしながら停止線に近づいているのかを想像すると、これまた楽しい。だから新幹線も好き。
人間が自ら作り出せる範囲の加速度は、意識を必要とするまでもなく自分の中で消化してしまう。だけど、乗り物が人間にもたらす加速度には、その乗り物なりの味わいがある。
第37回 景色
琵琶湖の西岸に居を移してから2回目の初夏を迎えた。
山々の木々は少しずつ緑色を深め、山全体のボリュームも心なしか大きくなった。
朝早くから鳥がさえずり、夕日が山に隠れる位置がずいぶんと北に移った。
今までいろいろな景色を目にしてきたけれど、このあたりの景色も悪くない。
生来が出不精のために目的があって訪れたところの記憶しかないが、琵琶湖と比良山地に挟まれて開発のおぼつかない湖西の景色もまんざらでもない。
真冬の朝に須走の旅館から見た真っ赤な富士山。イギリスに向かう途中で立ち寄ったモスクワで見た異様に大きく黄色い太陽。F2レースの取材で訪れたホッケンハイムのただただ深い森。トヨタのCM撮影でかっとびスターレットを走らせたモハビ砂漠やモニュメントバレーの荒涼とした無彩色の世界。ホンダの輸出専用船でバンクーバーに向かう時にマストのてっぺんから見た丸い水平線。SCCA全米選手権で6位に入り涙にかすんだ紅葉真っ盛りのアトランタの森。
季節によってよそおいを変える湖西は、かって目にした景色を思い出させる。景色に心なごむのは歳をとったからなのかも知れないけれど、まだまだ旅は終わりではない。
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※ 斜面にあるたんぼを上から見てみたくて所有者に許可をもらってトゥインゴGTで登ってみました。話を聞いて、平地の少ない湖西にはそれなりの営みがあることを知りました。
第29回 奥比叡ドライブウエイ その2
湖西に雪が降る季節になった。奥比叡は今、どんなヨソオイなんだろ。
昨年。奥比叡ドライブウエイにトゥインゴGTを連れ出した時。せっかくワインディングロードを走るのだからと、データロガーを載せていった。
データロガーと言っても大げさなものではなく、フロントウインドに吸盤で取り付けてシガーライターのソケットに差し込むだけの簡単なもの。ただ、GPSの電波を拾って位置情報からクルマの動きを記録するので、速度はもちろん加減速Gや横G、果ては軌跡や標高など、操作を解析するには十分なデータが残せる。
サーキットでは『なぜタイムがでないのか?』なんて難問を説明する際に役立つデータロガーだが、なにも使い道はクローズドコースに限らない。まして、ワインディングロードじゃなくて市街地でもクルマをどんな風に動かしているかを知ることができる。もっとも、無料のアプリケーションソフトをダウンロードして自分で解析しなければならないが、これはこれで面白く、クルマが『きちんと作られた道具』であることを改めて思い知らされることになる。
ユイレーシングスクールが使うデータロガーのパフォーマンスボックス
自分がどんなイメージでクルマを動かしているのか知るのには、初めて走る奥比叡ドライブウエイは絶好の題材。何度も走って練習すると、学習してうまくまとめてしまうから、今回は、これも初めて走ることになる復路を1回だけ走ってデータを採取。
クルマの運転というものは、つまるところ、いかにクルマを安定させて走るかにつきるわけで、自分が安定させて走っていると確信していても、後からデータを見てみると「あれ~ぇっ」なんてこともある。
今回がいい例で、いささか自信のあった自分の運転を省みるまたとない機会だった。決して操作が間違っているわけではないく、一般的に見ればクルマをきちんと制御している範囲ではあるのだが、『ターンインの手前でノーズを拾った』つもりだったのにまだ前傾姿勢だったり、『ブレーキング区間の最後でマイナスの減速度を限りなくゼロにした』つもりだったのにまだクルマが減速していたり、『初期の舵角を少なくした』つもりだったのに身体には感じないアンダーステアが出ていることがわかったり。自分のイメージと実際のクルマの動きに少なくないズレがあったことはまぎれもない事実。
省みるに、トゥインゴGTのふところが深いサスペンションに気を良くして、ホイールベースの短さを見込まないで操作していたのかも、という結論に至った。安定させることをテーマに操作したつもりだったが、感じられないところで微妙にバランスが崩れていたことになる。正直言って少しばかり落ち込んだが、これもまた勉強。
自慢にはならないし、参考にもならないと思うが、その時のデータの一部を公開。クルマがどんな姿勢で動いていたか想像することはできると思う。
見難いかもしれないが、図は左の座標が加減速Gで赤い折れ線グラフで増減を、右の座標は横Gで青い折れ線グラフで表示している。軌跡上の緑の丸がクルマの位置、グラフの中にある緑の縦線が対応するクルマの加速度を示している。ちなみにグラフでは、加減速Gがゼロを基点に最大0.7Gとマイナス0.6G、横Gは同じくプラスマイナス1.4Gを表示している。
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※ 次回Yゼミは1月28日(土)に開催します。ルノーオーナーの方、ぜひ話を聞きに来て下さい。