トム ヨシダブログ


第187回 遊び場と遊び方

クルマを思い通りに操る方法を理論と実技を通して会得してもらうことが第一義的な目的ではあるけれど、それと平行してクルマの運転を楽しむための遊び場作りと遊び方の構築もユイレーシングスクールの大切な役割だ。

今回、筑波サーキットにあるオートレース選手養成所のコースが使えることになったので、YRSオーバルレースとYRSオーバルスクールの開催を計画した。YRSオーバルコースとしては10番目にあたる最も曲率半径の大きなコース。しかも、5%とは言えバンクつきのコースは初めて。

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パイロンの列から右手の白線まで13mあまり

とにかく広いオートレース用のオーバルコース。イン側とアウト側の白線の間が30m。イン側の白線で測ってコーナーの半径は52m。それに対して直線が87m弱しかないから、走ろうと思えば真円に近いラインを選べる。しかしクルマを操る醍醐味は加速減速旋回の流れをどう組み立てるかにあるわけで、今度はどんな遊び場にしようか悩んだけれど、最終的に図のようなレイアウトにすることにした。

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開催案内に添付したYRSオーバル筑波のコースレイアウト

直線もコーナーもイン側の白線から13.3mのところにパイロンを並べることで、コース幅を狭くしてアウト側の曲率半径を小さくした。結果としてターンインで明確な減速が求められることになり、かつパイロンより外側に十分なセーフティゾーンを設けられた。実はアウト側白線の外側にもフラットではあるけど10mのスペースがあるので安全性は十分。

バンクのあるオーバルコースでレースをやるために集まったのは25名。全員がYRSオーバルスクールの卒業生でありYRSオーバルレース経験者。

バンクがついているオーバルコースを走るとクルマの特性が変化する。遠心力が垂直加重によって殺がれるために走りやすくはなるけど、反面、限界付近の挙動が走り方によって変わる。そんなアドバイス聞きながらも、全員が初めてのバンクトオーバルに目がらんらん。みんな、やっぱり走るのが好き。

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メガーヌRSのH4さんとルーテシアRSのKさんも参加

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同じクラスで丁々発止

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動力性能や走行特性だけでは有利にならないのがオーバルの特長

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ロードスタークラスのプラクティス

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ロードスタークラスのヒートレース

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タイヤの負担を考慮して左右両回りで

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オーバルコースでスライドは損なんだけど、たまには先を急ぐあまり

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レースが終われば全員であ~でもないこ~でもない

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で、あちこちで笑顔が炸裂

この日。中心線で測って1周541.8mのYRSオーバル筑波を最も速く周回したのはIさんのポルシェ ケイマン4。17.884秒がベストラップだから平均時速109.063キロになる。参加台数が多かったロードスタークラスのベストはNCに乗るOさんの18.677秒で平均時速が104.432キロ。コーナリング速度が高いだけあって、1Gぐらいの横Gが6~7秒続くのは得がたい体験。
なんだかんだで大いに盛り上がった初のYRSオーバルレース筑波。プラクティスからレースまで、多い人は時計回りに102周半時計回りに122周の合計224周したとか(ということは121キロも走った!?)。
※以前紹介したGPSラップには既にYRSオーバル筑波のコースがロードされているので周回数、ラップタイムの計測が可能です。


◎ そんなYRSオーバルレースを運転席から見ると (Mさんの車載ビデオから)

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翌日はYRSオーバルスクールを同じコースで開催。ユイレーシングスクールに初めて参加する人2名を含む19名がYRS史上初めての高速オーバルコースに挑戦。もちろん全員が運転を楽しみ、終わりごろにはかなりのペースで走れるようになりました。

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サーキットを走ったことのない方も11時間以上のベテランも

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新しいクルマも古いクルマも

2日間。わいわいがやがや楽しいYRSオーバル筑波でした。オーバルレース参加者もオーバルスクール参加者も初めてのバンクトオーバルに大喜び。新しい遊び場と遊び方をすっかり気に入ってくれたようです。


◎ YRSオーバルレースの合間にルーテシアRSで走ってみました
(前を走るのはカメラカーです)

YRSオーバルレース参加者の大森さんにカメラを積んでもらいました

6月11日(土)に富士スピードウエイでまだ参加したことのない方に特典のあるYRSオーバルレース(開催案内)を開催します。興味のある方はぜひ遊びに来て下さい。
翌12日(日)は同じく富士スピードウエイでYRSドライビングワークショップ(開催案内)を開催します。クルマを思い通りに動かす練習をします。安全に粋にクルマを走らせたい方はぜひ遊びに来て下さい。


第186回 四国再訪 阿讃サーキット

ルノー・ネクストワン徳島の一宮さんからお呼びがかかったのでゴールデンウィークのさなかに四国まで足を伸ばした。
昨年に続き、一宮さんが主催する阿讃サーキット走行会でサーキットを速く走るコツとクルマを思い通りに動かす方法についてお話した。

昨年の様子

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淡路島に渡り

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大鳴門橋を渡り

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ルノー・ネクストワン徳島を表敬訪問

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そしたらスピダーに乗せてもらえることになって徳島の山の中を満喫
もう最高 幸せ!

ウインドシールドのないスピダーは初めて。ウインドディフレクターのおかげで50キロも出せば顔に風があたらない。これは拍手もん。ディフレクターのアウトレットに手をかざせば走行風が真上に立ち上がるのがわかる。

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翌日、讃岐山地を登り

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阿讃サーキットに到着

この日参加したのはルノー・ネクストワン徳島とルノー松山のお客様とその仲間。みなさんそれなりにサーキット走行の経験がおありで、これといった攻略法のない独特のサーキットに果敢に挑戦していた。

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今年の阿讃サーキット走行会には20台が参加

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とにかく平坦なところがない。

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上りながらブレーキングしてターンインとか、曲がりながら下ってる最中にブレーキングとか、ここを走ると上手くなる。


阿讃サーキットオンボード映像

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サーキット未経験者は1名だけ。アドバイスをしたり同乗走行をしたりで、最後には経験者に劣らないペースで走っていました。

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原則的にルノー車が対象の走行会だからかこんなお茶目なクルマも

来年の話をするには早すぎるけど、2017年は5月3日に開催するそうです。


第185回 54回目のエンジンドライビングレッスン

エンジンという雑誌がある。クルマや時計やファッションなどライフスタイルを提案している。

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エンジン6月号

2003年秋。初代編集長の鈴木正文氏に企画書を送った。企画書のタイトルは「所有欲から使用欲への変換」。要するに、いいクルマばかりが誌面をにぎわしているけど、読者がそれらを買っても使わなければ宝の持ち腐れですよね、とつっこみを入れたわけだ。

鈴木さんも運転が嫌いではないので、運転を理解することでクルマをより楽しめるのならばやりましょう、ということになって、その年の晩秋に第1回を開催した。

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6月号のドライビングレッスンレポート

以来、足掛け13年。4月上旬に開催した今年初めてのエンジンドライビングレッスンが54回目だった。

第1回から間をおかずに通ってくれている読者がいる。最初に参加したときからずっと同じクルマで遊びに来てくれている人がいる一方で、短い期間にかなりのペースでクルマを乗り換えている人もいる。息子を連れて参加する人が出てきた。サーキットを走るのはエンジンドライビングレッスンだけと決めている人もいる。

総じて参加者の年齢は高いほうだと思うけど、エンジンドライビングレッスンではユイレーシングスクールのいつもの体育会系乗りで休みなしに走りまわってもらっている。年齢も、乗っているクルマも、社会的立場も、可処分所得の違いも関係ない。参加者が目指すのはただただ『クルマを使い倒す』ことだけ。

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今回は早退者が多くてさみしい記念撮影に

今年は、午前中に筑波サーキットのジムカーナ場でイーブンスロットルとトレイルブレーキングの練習をして、午後からコース1000を走る通常のエンジンドライビングレッスンがあと3回。
それに加えて夏に富士スピードウエイの駐車場を使ったエンジンオーバルスクールも計画されている。興味のある方は編集部に問い合わせてみてはいかがだろう。

最後に、6月号で4月のドライビングレッスンを現編集長の村上 政さんがレポートしているのでぜひ目を通してほしい。

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村上さんのレポート


※エンジンドライビングレッスンはユイレーシングスクールのプログラムと違って昼食付きです。