トム ヨシダブログ


第793回 遠い昔の思い出 4

カリフォルニア州にあるベンチュラレースウエイをミヂェットで走ります

※試乗時はドライスリックトラックだったのでミヂェット本来の速さは実現できませんでした

当時、日本オフロードレース協会の事務局を担当してた関係で、今から48年前の1976年に初めてアメリカに取材に行った。
目的はメキシコの統治地区だったカリフォルニア半島のバハカリフォルニアで行われたBAJAインターナショナルオフロードレースに日本人として初めて出場した池沼純一選手の戦いぶりを記事にすることだったけど、滞在中の経験がその後の自分の人生を大きく変えることになる。

メーカーの広報を通じて手配し現地の日本車を何台かロサンゼルス周辺で試乗した。どのクルマも国内仕様よりパワフルだった。パワーがないとアメリカでは売れないのか、日本国内向けにはパワーがなくてもいいのかね、と思ったものだ。

土曜の夜にはガーデナにあったスコットパークにダートトラックレースを見に行った。少しばかりトイレがビール臭かったけど、ストレートでもカウンターステアを当てたまま轟音を上げてハーフマイルダートトラックを駆け抜ける30台あまりのスプリントカーに頭を強烈に小突かれた。全てが新鮮だった記憶がある。

オフロードレースにしてもダートトラックレースにしても、その実体は日本にいては推し量ることができない。その規模といい迫力といい日本のモータースポーツとは大きな開きがある。本気度と言うか伝わってくる本物度がまるで日本と違う。アメリカの、なんというか活発さというか、ダイナミックさは1974年にしばらく滞在したイギリスでは感じられなかった。使い古された表現だけど、アメリカがまぶしかった。到着した日にハリウッドで食べて虜になったアービーズのローストビーフサンドイッチもアメリカにいればいつでも食べられるのにな。そんな思いを抱いた初めてのアメリカだった。

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CG誌 1994年2月号

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オープンホイールのダートトラックレーシングは基本USACが統括しているが
同様のルールの元で派生したシリーズもある
その主なカテゴリーを列記すると以下のようになる
 
クォーターミヂェット(5歳から参加可能)
ハーフミヂェット(主にバイクのエンジン流用)
スリークォーターミヂェット(1,000㏄のバイクのエンジン流用)
ミヂェット(320馬力:CG誌面のマシン)
スプリントカー(V8の600馬力エンジン搭載)
アウトロー(V8の800馬力エンジン搭載で巨大なウイングを背負う)

 

アメリカのモータースポーツは統括団体(我が国だとJAFにあたる)だけでも7つあってレースカテゴリーに至っては星の数ほどありそうなので、少しばかり古い話になるけど、とりあえずレース場の数を当たってみようと1998年にその年にレースを開催したレース場の数を調べてみたことがある。

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レース場の総数は1,320ヶ所で内訳は多い順に
オーバルコース1,029ヶ所/ドラッグストリップ242ヶ所/ロードコースがたったの49ヶ所
オーバルコースがアメリカンモータースポーツの根幹をなすことがわかる
 
オーバルコースのうち772ヶ所がダートトラックで257ヶ所がペイブドトラック
そのうち1周1マイル(1.6キロ)以上のオーバルコースは40ヶ所しかなく
ダートにしろペイブドにしろ
クォーターナイルからハーフマイルのダートオーバルトラックが主流だ

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日本のモータースポーツはダートトラックレーシングと縁がないように見えるけど
実は日本にもクォーターマイルダートトラック(400m)と
クォーターミヂェット用の180mペイブドオーバルがあった
今の人は知らないかも知れないけれど
 
日本発アメリカングラスルーツモータースポーツの舞台として
冒頭のビデオで走っているベンチュラレースウエイを完全にコピーした
ダートオーバルトラックが確かにあった
そのインフィールドにクォーターミヂェット用のオーバルがあった

 

当初インディーカーやNASCARストックカーの招聘を見据えていたツインリンクもてぎの立ち上げに携わっていた関係で、小林初代社長に1周2.4キロのスーパースピードウエイだけではアメリカンモータースポーツを標榜するのは片手落ちなのではないか、トップカテゴリーに加えてアメリカのグラスルーツモータースポーツも導入しませんかと訴えて、日本初の本場アメリカのダートトラックのレベルに匹敵するクォーターマイルオーバルが実現した。

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ミヂェットの醍醐味をふつうのクルマの運転と比較するのは難しい
ブレーキをかけてもスロットルを空けてもテールがルーズ(ブレイク)して
カウンターステアを駆使してマシンを前に前に進めるセッティングだから
言うなれば物理学に逆らう運転になる
 
スクールで運転は物理学です
理にかなった操作が大切ですとくどいほどに言うのだけれど
ことミヂェットは物理学に反するというか
あるいは超越した運転が求められる醍醐味がある

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ミヂェットにはダートトラック用とぺイブメント用の2種類があるが
主流はダートトラック
 
鋼管スペースフレームのシャシーに前後ソリッドアクスルを吊るサスペンション
前輪ブレーキは左のみ
ミヂェットの後輪は右側のほうが直径が大きく
試乗車の場合左側タイヤとの外形差は17.5センチもあった
 
だからアクセルを踏むと左向きに進み
ブレーキをかけても左向きに進む

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サタデーナイトレースで知り合ったロン・ブランデルから多くのことを教わった
なぜダートトラックでほこりが立たないのとか
ダートトラックの創り方とか
ミヂェットのセッティングの仕方とか
 
この取材から数年して試乗したミヂェットを日本に送りロンにも訪日してもらい
ツインリンクもてぎの関係者の前でデモラン兼試乗会を開催した
 
車重514Kgに285馬力のマシンで
鈴鹿サーキットの2輪用ダートオーバルや
ツインリンクもてぎのできたてホヤホヤのダートトラックを走ったのが懐かしい

※ CG誌面の写真は過去に幸田サーキットドライビングスクールに参加してくれたFさんの蔵書を撮らせていただいた。



第740回 遠い昔の思い出 4

アメリカンモータースポーツの頂き    長文です。よろしかったら最後までお付き合い下さい。

小林可夢偉選手がNASCARストックカーレースに参加した。ニュースでも紹介されテレビでも大々的に放映されたからご存知の方も多いと思う。

簡単に言うと、アメリカにはストックカーレース、ドラッグレース、インディカーレースの3つの大きなレースシリーズがある。この順に人気度が高く、すそ野まで含んだ競技参加人口が多く、またカテゴリーも日本では想像もつかないほど多く従ってシリーズ全体の開催数は多い。今回可夢偉選手が参加したNASCARカップカーレースはストックカーレースのトップカテゴリーだ。つまりアメリカのモータースポーツにあって頂点に君臨するレースシリーズだ。今回はインディアナポリスレースウエイのロードコースでのレースだったけど、可夢偉選手にはぜひつばぜり合いの連続のショートオーバルや大迫力のスーパースピードウエイのカップレースにも挑戦してほしいと思う。今年もカップカーレースは年間36戦もあるのだから。

しかしながらその昔。アメリカ的なオーバルレースやストックカーレースが日本では馴染みのないものであったことも事実。1990年代終わりには日本で唯一のスーパースピードウエイとしてツインリンクもてぎがオープンすることが決まっていたし、NASCARストックカーレースを招聘することも織り込み済みだった。アメリカに住みストックカーレーシングのお膝元にいたクルマ好きとして、なんとかカップシリーズの実体を少しでも日本に伝えたいとCG誌に寄稿した。時は流れ、記事にしたのは1993年のことではあるが。

当時も今もアメリカを代表するスポーツではあるけど、レーシングカー作りの技術も進歩しNASCARのレギュレーションも変わったから、記事の内容は現代のカップカーと異なる点は多いことをお断りしておく。それでも記事にあるカップカーが、1980、1990年代にまぎれもなくアメリカのモータースポーツをけん引していたことは間違いない。

※ 写真はユイレーシングスクール卒業生のFさんが保存していたカーグラフィックのバックナンバー1994年10月号、『アメリカンレーシングスクール体験入学記 280Km/hのコーナリングにしびれる』の頁を撮らせていただいたもの。

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※ こちらから記事中のリード、ネーム、注釈をpdfファイルで読むことができます

 

以下は記事から写真の抽出とキャプションを文字起こししたもの。

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念願かなってカップカーのシボレー・ルミナのコクピットに座る.ストックカーのドライビングポジションはたいていの場合こんなもの.窮屈そうに見えるかも知れないが,これが微妙な操作を可能にする秘訣.ペンスキー・チームのラスティ・ウォレスなんてもっとステアリングホイールに近い.手前に見えろ箱はラップタイマーで,上級クラスでインストラクターが横|こ乗った時|こ生徒を監視するためのもの.ドライバー横のセーフティネットはアメリカで全てのレースに義務づけられる.安心感が増すと同時に,それらしい雰囲気で身がしまる思いがする,

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24度のパンクだといっても具体的なイメージはわかないだろう.しかも見るのと,足で登るのと,カップカーで走るのとどれも感じ方が違うから,正確なところは伝え難い.ということで,この記事を読まれた方は自分で体験されることを薦める.

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2日目にリチャード・ペティが登場.インストラクターが僕が最初に40秒を切ったと告げるとつかつかとそぱに寄ってきて,「スーパースピードウェイの経験はあるの?えっ,ない.うーん,なかなか.コンスタントにタイムも縮まっているし,いいヨ,君.そうだ,記念にサインしてあげよう」.すっかりi-ハー気分まで堪能してしまった.
 
 
リチャード・ペティがどんな人なのか調べてみて下さい
それとデイル・アーンハートも

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カップカーに窓から乗り込むのを一度はやってみたかった.ピットウォ-ルに設置されているのは夜間照明用ライト.影を作らないために,反射角度を任意に変えられる鏡を持つ間接照明である.同様のライトはコースの全周にみられる.シャーロットモータースピードウエイは世界で初めて,ヘッドライトなしのナイトレースを可能にしたレース場だ.

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これがシャーロット・スーパースピードウェイ.トライオーバルを舞台にしたストックカー・レースはオーバルトラック・レーシングの頂点こ位置している.
(CMS photo)

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270km/hでパンクを駆け抜ける.傾斜角24度のバンクでは速度が上がるほどに視野が狭くなるのを実感する.本来なら相当の横Gがかかるはずなのだが,ショートトラックより感じない.パンクでは縦Gと相杖されるのか.それでも速度を上げるほどにヘルメットが重くなる.

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特別に許可を得て,カメラマンを助手席に押し込んで撮ってもらったのがこのカット.写真では緊迫感が薄れるが,いやでも壁が目に入ったというカメラマンは青い顔をして降りてきた.速いラップだと瞬間的にだが,ウォールから50cmまで寄ることになり,あまり気持ちのいいものではない.

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カップカーの5.8lのV8ブッシュロット・エンジン.タイアがエンジン・ベイに露出したチューブラーフレームの有様がわかる.エンジンはフルチューンではないが,それでも600馬力強.優にリッターあたり100馬力を超す実力を備える.

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簡素なコクピット.エキパイの熱を遮断する断熱パッドが床に敷かれているが,それでも右足は赤い痣が残るほど熱い.かつてペティがウェスタンブーツで乗っていた理由がわかった.シフトレバ-のストロークはとんでもなく大きいが,一旦走り出したらギアチェンジする必要はない.

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講師のあとについてパンクを走る.この距離だと前車をウインドシールド越しに捉えることができるが,この倍だとバンク通過中は視界から消える.講師用のカップカーはペティプルーに塗られたポンティアック.92年までリチャード・ペティ白身が乗っていた車そのものだ.

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左側のタイアを比べると,前輪に明確なポジティブキャンバーがついているのがわかる.レーシングカーはすぺてネガティブキャンバーが似合う(注9)と信じていると大間違い.後輪はリジッドアクスルだからキャンパーはゼロとして,シャーロットでは前輪に3.5度ものポジティブキャンパーがつけられる.

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今回使われたカップカー用のタイア(メイクはグッドイヤー).アウト側用はイン側用に比較してコンマ5インチ直径が大きい.つまり左右のタイアの外周の差は約1.5インチだという.インナーライナーを持つ二重構造のタイアが義務付けられているので,ホイールにはエア注入用パルプが2本ある.

 

カップカーを頂点としたアメリカのモータースポーツのルーツでもあるストックカーレーシング。そのピラミッドの大きさを伝えたいと寄稿したこともある。 ブログ 第274回 遠い昔の思い出 2 CG誌1994/3号 ストックカーレースの門を叩く/アメリカンレーシングスクール体験入学記

 

【独白】
1980年秋から米国トヨタのOさんとアメリカでトヨタがモータースポーツ活動を行うための準備に入った。それまで得た知識を総動員して最も現実味のあるIMSA(インターナショナル・モーター・スポーツ・アソシエーション)のGTUクラスへの参入を提案し採用された。並行してSCCA(スポーツ・カー・クラブ・オブ・アメリカ)のクラブレースに参加を認めてもらうためにトヨタ車のホモロゲーション(車両認定)の取得に奔走した。
ラリー以外のモータースポーツ活動を一切していなかったトヨタが初めてアメリカでレースに打って出るというので期待は高く、米人の間では当然NASCAR参戦を希望する声もあった。しかしこの時代、アメリカのビッグ3以外がアメリカンオリジナルのストックカーレーシングに参加することは絶望的に不可能だった。それは、NASCARに参加の打診をした時の回答が、「トヨタはOHVエンジンを作っていないだろ。NASCARに参加するならOHVエンジンを作ることだ」だったことに集約されていた。吸排気効率を向上させるためにOHCからDOHCへの進化が当たり前の日本の技術に対するホームタウンデシジョンのようなものだった。

そんな時代があり、NASCARもアメリカのモータースポーツも様変わりした。個人的にはトヨタがNASCARカップレースで勝ち、日本人ドライバーがカップレースに挑戦する。あの時代からすれば考えられないことだ。そして自分にとってアメリカを初体験した1976年以前の日本と、アメリカのあの時代、そして21世紀の日本を経験できたことは大いなる学びがあり、そこから得ることができた幸せを今かみしめている。



第707回 2月の富士山とFSWと食

東京での所用を終えて木曜日午後に御殿場入り。土日がスクールだから金曜日にコース設定をする予定だった。ホテルの部屋で2週間天気とナウキャストをパソコンで見ているといやな予感。

翌朝カーテンを開けてさぁ大変。やっぱり。雪が舞ってるし地面がどんどん白くなっていく。

前日富士スピードウエイのコース営業の担当者とどうなるかね、って話していたけどどうにかなってしまいそう。慌てて身支度してFSWへ向かう。246号線はところどころシャーベット。走れなくはない。小山工業団地に上る道もシャーベット。試しにドンとスロットルを開けると前輪が空転。下りで瞬間的に制動力を立ち上げるとツツツツッって。8時半。なんとかFSWに到着するして遠くを眺めると、東ゲートの先の上り坂が真っ白。東ゲートの駐車場はかなりの水深のシャーベット。事務所前の駐車場は積雪。これは無理だなと、土曜日は朝から晴れの予報だから朝一番にコースを作ってもいいし、と担当者に伝えるも、「明日の営業の判断は昼過ぎに」と。降り続く雪の中をホテルに取って返す。
午後になって担当者から「明日の営業は中止です」と電話。FSWを後にしてからずいぶんと降ったみたい。2022年2月のスクールも雪で中止になったけど。2月は鬼門か。急いで参加申込みをした人に連絡。YRSオーバルスクールFSWの中止を伝える。

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金曜日朝8時
ホテルの駐車場に出たらこの通り
粉雪が舞う
どうなる!

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土曜日
快晴
様子を見にFSWに向かう途中
御殿場市山の尻から8時55分の富士山を仰ぐ

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土曜日だから沼津港は混んでいるに違いないと
今回は海鮮料理をあきらめて
御殿場インター近くの大和田さんに

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白焼き
胆も焼いてあります

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うな重
胆はお吸い物ではなく焼いて出てきます

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土曜日の夕食の写真はなし
6時20分
日曜日の朝食
須走の扇屋旅館さんで

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このところ頻繁に来てくれているSさん
実は土曜日のYRSオーバルスクールFSWにも申し込んでくれていた

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日曜日は予報が外れ終日曇り
その上風が強い
それでもYRSオーバルレースFSW参加者は全開に次ぐ全開

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パワーが武器のFFか
計量が利点のFFか
SさんとAさんのバトル



第607回 秋 と ヨーイドン

9月29日の朝6時15分
首を垂れた黄金色の稲穂と、朝日を浴び黄金色に輝くメガーヌRS@御殿場市山の尻

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4月10日以来のYRSオーバルレース。平日だったから参加者は少なかったけど、やっぱりヨーイドンは楽しい。今年はあと1回、12月に開催。



第510回 YRSオーバルレースとKさん

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お盆のさなかの土曜日だし暑いし
まだ外出を自粛している人も多く
YRSオーバルスクール卒業生を対象としていることもあって
2020YRSオーバルレース第4戦の参加申込みは4名のみ
 
なのに何故5台走っているかというと
朝のミーティングをしていると
Kさんがふらっと現れたのでレースに加わってもらったという次第

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そしてしばらくすると
姫路から茨城の実家に帰っていたHさんが帰り道に顔を出してくれてので
Hさんにも加わってもらって6台でのレースに
もちろんKさんもHさんもYRSオーバルレース経験者です
 
それにしても暑さが尋常じゃない
メガーヌRSの車載温度計が40度
一面舗装だから照り返しが半端じゃない

510-3
この日はNさんとOさんがYRSオーバルレースデビュー
Nさんは2009年4月のYRSエンデューロ筑波を最後に顔を見なかったのだけど
仕事が落ち着いたとかでまた遊びにきてくれた
Oさんは2014年5月のYRSオーバルスクールに初めて来てくれて
その後頻繁に顔を見せてくれています
 
2人ともYRSオーバルスクール経験者です

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氷を詰めたクーラーボックスにお茶とお水を用意して
塩分を摂るためのタブレットも用意して
テントの下で休みながら
「 こんな日にはふつうやらないよね 」
「 そうだよね 」
と自嘲気味の会話
 
それでも8周のヒートレースを16回もやったのだから決して嫌いではない証左

510-5
入り口を閉じてあったのに見知らぬクルマが駐車場に入って来たので
FSWで色々なイベントをやっていたから間違ってしまったのかなと思ってたら
真新しいルーテシアⅣRSトロフィーから降り立ったのは
第130回 に登場してもらったKさん
ルーテシアⅢRSはどうしたのと聞くと
エンジン内部にトラブルが見つかって
直すのに時間がかかりそうなので増車しましたと涼しそうに言うものだから
ならレースに出てしまえばと




第442回 アルピーヌA110の感想 オーバルレース編 4/4

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アルピーヌA110のシートにおさまるだけでみんな笑顔笑顔
軽いクルマ特有の加速感とハンドリングを味わった後も笑顔笑顔
ごく短時間でしたがアルピーヌA110を味わったオーバル走行のベテラン達
YRSオーバルレース最終戦参加者の感想文/体験記を紹介します

※ 車名の後の有、無は改造の有る無し。数字は改造度を示します。4からショック変更、5以上がスプリング変更で7以上が車高調装着です。

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Yさん ルノー ルーテシアⅢRS 有 7
自分は普段ルーテシア3RSを乗る身長185cm、体重78kg、体型普通の46歳です。
まず乗りこんでドライビングポジションを作るとステアリング、ペダル、シートが好みの位置に調整できてニンマリです。
私の身長ですと普通に好みのポジションを取れるクルマは限られますので。アルピーヌはルノーと共通してこの点は素晴らしいです。特にかかとの位置を決めるとアクセル、ブレーキが楽に操作できる位置にきます。私にとって二重丸です。
次に走りだすと軽さを強く感じます。加速、減速に大きな恩恵。
また、静粛性が高く想像以上の速度に達しています。
ブレーキは一の位置(パッドのあたり始め)が明確に分かり、その時の姿勢変化も穏やかだけど明確に伝わってきます。
踏み込み量と荷重変化がリニアに起こりコントロールした入力に対して車から返ってくる情報が分かりやすかったです。
トレイルブレーキ時も車の応答が分かりやすく感心しました。
コーナー中のアクセルレスポンスも非常に良く、足の動きにピッタリついて来ます。コーナー中のイーブンスロットルが楽しい。
意図的にコーナーリング中にブレーキを何段階か踏み込み、又は緩める操作をすると、くるまが穏やかに、しかし確実に軌跡が変わり操る喜びが感じられます。
コーナーのアプローチ時に薄いトレイルブレーキを実行すると、リヤが穏やかにわかりやすく、積極的に旋回します。ヨーをコントロールすることがやり易い(間口が広い)。
今日の試乗では、まだまだ奥に楽しみがあることを感じさせる貴重な体験をできました。
ユイレーシングスクール、トムさん、アルピーヌジャポンの皆様に感謝します。

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Wさん ルノー ルーテシアⅣRS 無 0、ポルシェ 911
・タイトなコックピットがまず気に入りました。
・コーナーで頭がよく入ります。
・Dでのギアシフトがスムース。
・ディスプレイのギア位置表示が明確で見やすい。
・重心が低く自分の位置がよく分かる(走行中の)。
・個人的にはピュアの方が気に入った。
・ブレーキの効き安心感。
・ブレーキ時に前につんのめらない。
・速い、よく曲がる、気持ちいい。
・自分の運転が上手くなったかな?と思う。
・安心してコーナーに入れる。それなりのスピードで。

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Kさん ロータス エリーゼ 無 7
2台とも非常に扱いやすい印象を持った。自分の車エリーゼと比較すると、フロントのロールセンターが高い(又は、リアのロールセンターが低い)印象。進入時にリアが安定しているのでついダイアゴナルにロールさせてしまいます。
足とタイヤのバランスはリネージの方が好印象でした。リネージを基準に考えると、ピュアはスタビを固めたいかもです。
ブレーキは効き、タッチ共に文句なし。
ただし、リネージはシートポジションが高いようで、このコースだと進入時にエイペックスがルームミラーで見えません。

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Mさん ロータス エリーゼS 有 7
長所
・軽やかに加速する。
・ロールやピッチングが小さく感じる。
・コーナリングで安定していてリアが唐突にブレイクする感じがしない。
短所
・車が速く走ってくれる感じ。
・操作とレスポンス、その結果としてのフィードバック情報の間に少し厚い膜がある感じ。
・もう少しダイレクトな情報(特に路面の状態やロール/ピッチなどがフィードバックされても良いのでは。


限られた時間でアルピーヌA110の特性を味わうにはオーバル走行がうってつけだと考えた。1周20秒に満たないコースで加速、減速、旋回での挙動をスロットル、ブレーキ、ステアリングの操作で感じることができる。
YRSオーバルレース参加者の感想文は試乗の合間にしたためてもらったもの。人によって受け取り方も表現の仕方も異なるけど、試乗した全員がアルピーヌA110の運動性能の高さのとりこになったことは間違いないし、この経験が彼らの運転に好影響を与えるであろうことを確信している。



第441回 アルピーヌA110の感想 オーバルレース編 3/4

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コーナーが奥の深いオーバルはクルマの特性を確認するのにうってつけ
ブレーキングからトレイルブレーキングそしてイーブンスロットル
全ての区間でそのクルマの特性を拡大して感じられます
ごく短時間でしたがアルピーヌA110を味わったトレイルブレーキングの達人達
YRSオーバルレース最終戦参加者の感想文/体験記を紹介します

※ 車名の後の有、無は改造の有る無し。数字は改造度を示します。4からショック変更、5以上がスプリング変更で7以上が車高調装着です。

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Eさん マツダ ロードスター NB8 有 7
リネージ:適度なロールとタイヤのバランスが良く、とても素直なフィーリング。シートもホールドが良く走りが楽しい。タイヤへの荷重のかけ方で思ったとおりに車が動くので操作が楽しい。ブレーキのタッチはキツクないのでコントロールしやすい。でも少しスポーツ感は薄い。
ピュア:ロール少なくタイヤのグリップの限界が低く感じてしまった。しかしこちらはリネージに比べ操作に対する車の動きがより素直だった。
A110の良さは、ドライバーの操作に対して車がきちんと反応してくれる所である。それだけに危険な領域に入りやすいのでスクール等の練習は必要だと思う。

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Mさん マツダ ロードスター NC 有 9
普段はNCロードスターに乗っています。機会をいただいてアルピーヌに試乗させてもらいました。
まず、シートに座ってポジションを合わせてみると、思ったより低い位置まで下がるシートと、テレスコのお陰でかなり理想的な姿勢をとることができました。
走り出してみると、まず何より背中を押されるような加速に驚き、狭いコースでは全開にしていいものか軽く迷うレベルでした。ふだんほぼ同じ車重で170psの車に乗っているので、この軽い車にこの馬力はかなり魅力です・・。
またコーナーリンクについても、かなり電子的な介入を感じるもののニュートラルなハンドリングに感じました。
何より、ノーマルの足回りでかなり姿勢変化が抑制されていたことが好印象で、ロードスターのノーマル仕様のようにスピードを上げてくと姿勢変化が大きすぎて制御が難しいって事にならないのが、なにより素晴らしいと感じました。
アンダーにせよオーバーにせよ本格的なアンダーオーバーになる前に、電子制御が入る様に感じました。電子制御を全部オフにすればアンダーもオーバーも出るかなり面白そうな車なのでは・・、という予感を感じます・・。

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Iさん マツダ ロードスター ND 有 9
私自身はオーバルレースに何度も自分のロードスターで参加しており、慣れたコースで車の特性を試せると考えていたが、実際に試乗してみると、特性云々以前に初めて乗る車を操る難しさを感じました。
先に乗ったピュアの方は、正直なところ、雰囲気に飲まれてしまい狙い通りのラインをトレースできたかもよくわからなかった。普段の車と比べて加速が良く、高い速度に一気に達するため、減速が間に合わないのではないかと感じたが、逆に早く車速が落ちすぎて加速開始まで空走させてしまったり、コーナー立ち上がりで加速が立ち上がるタイミングを読み誤ってアクセルを踏みすぎて挙動を乱したりと、本来試したかったことを試す前に時間となってしまいました。
次に乗ったリネージュは、その失敗を反省して、最初はややゆっくりと行きたいラインを走らせて車の反応を見てから徐々にペースを上げて、 を走らせて車の反応を見てから徐々にペースを上げてちょうど を走らせて車の反応を見てから徐々にペースを上げてちょうど狙った速度姿勢でクリッピングポイントに付き、加速を立ち上げつつステアリングを戻す、望み通りのラインをトレースできたか、あるいはできなかったか試すことができた。それ故、2台の違いというよりは私自身の習熟度の違いと言えるかもしれないが、後から乗ったリネージの方が、運転の成功失敗の差をわかり易く感じ取ることができ、うまくいた時は、タイヤの限界の一歩手前にコーナリング速度を保ちながら、狙ったラインに乗せられる手応えを感じることができました。
もちろん、自分の車よりも速いため、アクセルを控えめに操作する必要は感じましたが、性能の差に比べ、もて余すことなく走らせ方を探って行ける楽しいさを短い試乗時間の中でも感じることができたと思います。このような機会を与えていただき良い経験になりました。ありがとうございます。
以下は後で作成したメモです。
・最後は燃料警告灯が点灯したので、アクセルを全開にしないで走行した。
 その方が、車の挙動が分かりやすかった。
 ブレーキコントロールで車の向きを変えてクリッピングポイントにアプローチするときの感覚を試すことが出来た。
・ローリングもピッチングも少ないという事前説明があったが、確かに少ないものの操作に対する反応のインフォメーションは分かりやすかったと思う。
・コーナー進入時のノーズの入りやすさはニュートラルで扱いやすかった。自分の車はもっと鋭く反応するが、
 ハンドルをどんどん切り増す必要があるというようなことは無く、反応が鈍いとは思わなかった。
・加速力の大きさに反して、スクワットがほとんど無いため、感覚以上のスピードにすぐに達する。ブレーキもよく効く上にノーズダイブが少なく、オーバースピードでコーナーに進入しても不安を感じることなく曲れてしまう。
このことは、結果として運転が粗くなってしまい、本来試してみたかったことを試せない原因の一つだったと思う。
・実際、最初に乗ったピュアでは、最初からペースを上げ過ぎてしまい、非常に高い速度からでもコーナーを破綻せずに通過できる
 こと以外、「よく分からなかった」というのが感想だった。
・次に乗ったリネージュでは、ゆっくりしたペースでイメージしたラインをトレースすることから始めることが出来たので、
 コーナリング中のブレーキコントロールで思ったラインを走れるようになった。
・自分の車と比べてどうか?
– ローリング、ピッチングが少なく、高いコーナリングスピードでも不安が無い、安定性が高い。
– 車重が1100kgとロードスターのNC型とほぼ同じだが、NCは特にブレーキングや加速のし始めで重さを
 意識するのに対し、A110は軽々と加速し、もたつくことなく減速する上、反応が敏感過ぎることもない。
– ATやABS、トラクションコントロールの制御が巧みで、不満を感じたり、楽しさを削がれることが無かった。
– 短い時間の試乗でも、製品の完成度としては素晴らしいのがよく分かった。
– 欠点とは呼べないが、ハイパワー過ぎるため、せっかくの性能をストレス無く使い切れるステージの選択肢は
 サーキットの中でも高速コースが主体になるのではないかと思った。タイヤサイズも特殊で前後で異なる
 ため、一定の銘柄に限られるであろうし、本体価格だけでなく、楽しむためのコストもかかると思われた。
– 今回の試乗コースでの運転の楽しさは自分の車の方が上回っている点が多いと感じた。
 コースが短いので、必要以上のパワーがあるということは、アクセルを抑えなくてはならない
 ということであり、スムーズに走らせるには我慢を強いられる。
– 車との対話という点では、イメージ通りに出来なかった時でもA110は大きく失速したり破綻したりしないので、
 悪く言うと「,失敗をうやむやにしてしまう」ところがある。ATやABSはもとよりトラクションコントロールも
 介入したのをドライバーがはっきりと感じ取れないぐらい巧みに制御されており、ロードスターであれば
 明らかに失敗と分かる乗り方でもA110ではそれほど大失敗ではないと思わせてしまう程度の結果で済んでしまう。
– 3~4分の試乗を3回させてもらったが、残念ながら、人馬一体と感じるほど乗りこなすには時間が足りなかった。
 しかし、最後の走行で、スキール音が発生しないギリギリの状態をキープしつつ早めにアクセルを
 開けられるタイミングを探し当てることができたので、慣れるのに長い時間は必要ないかもしれないと思った。

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Kさん マツダ ロードスター ND 有 4
・加速感が軽くて速い。
・リアウィンドウの視界が狭い。
・自分は車を乗り換えると慣れるのに時間がかかるほうだが、アルピーヌは初めてでもすぐに走れたので、割と癖がなくて乗りやすい車だと思う。
・コーナーの中で何かが介入していた感じがしたので操作の下手さをカバーしてくれていたのだと思う。
・直線スピードにコーナリングスピードが比例するわけではないので、乗り換えてすぐにはオーバースピードになりがち。
・オーバースピードでもターンインできる?(曲がらなくてもまっすぐに行かず、ターンインはするが何かその後で補正されている感じがする。(そうでなかったらすぴんしてそう。ロードスターの場合オーバースピードだとターンインさせず直進させる方向に介入が入る?)
・慣れのせいかも知れないが、後に乗ったリネージのほうが挙動が穏やかで乗りやすかった。

15
Oさん マツダ ロードスター RF 有 7
何もしなくても速い。座ってアクセルを踏むだけで、モーターのように車速が伸びる。かなりの速度でコーナーをまわっても、安定感があって怖さは感じない。ミッドシップは癖があるかと思ったが、違和感は感じなかった。この点は2台共通。どちらも、誰が乗っても速く走れる車だと思う。
自分にとっては、ピュアが好ましい。リネージのシートは高級感があるが、サーキットのような所で遊ぶにはバケットタイプのほうが合っているし、足回りもしっかりしている気がした。ブレーキもストロークが長く、コントロールし易いように思う。


< 続 >



第440回 アルピーヌA110の感想 オーバルレース編 2/4

439-01
足がいいとか軽やかだとかの評判に興味津々
デュフューザーが気になってのぞき込んだり
ごく短時間でしたがアルピーヌA110を味わったハイスピードコーナリングのベテラン達
YRSオーバルレース最終戦参加者の感想文/体験記を紹介します

※ 車名の後の有、無は改造の有る無し。数字は改造度を示します。4からショック変更、5以上がスプリング変更で7以上が車高調装着です。

06
Kさん ルノー ルーテシア3RS、フィアット バルケッタ 有 4
文章を書くのが苦手なので、感じたことを箇条書きにしてみます。
・まずさいしょに、やはりこの車は試乗してはいけない車だなと思った。何故ならスポーツカーとしての完成度が高く欲しくなってしまうからだ。
・リネージとピュアの違いについては、両方ともスポーツカーとしての資質は十二分にあるが、リネージは多少乱暴に運転しても車が補完してジェントルに動かしてくれる。それに対してピュアは、名前の通り車として純粋に出来ている。上手く操作すれば、この上なく楽しく運転することが出来る。これは、電子制御でがんじがらめになっている現代の車においては驚異的なことではないかと思う。・アルピーヌA110は、アルピーヌが現代の車に向けたアンチテーゼではないかと感じた。

07
Iさん ポルシェ 911(991.2)カレラS 無 0
軽い。乗った時一番感じた。
アクセルを踏んだだけ、ステアリングを切っただけ、軽やかに動いてくれる印象だった。
車の挙動が思いのほかリアルに感じとれ、意のままに動かせられる、その気にさせてくれたように思えた。ブレーキの効きも十分で、ペダルの感触が良く、コントロールしやすかった。
限界近くに近く感じるようなフィーリングで、この先どうなるのかな、そう思わせる楽しさがあった。
その反面、安定感の点で、自分の車との違いを感じる。そういう意味で、高速域で同じ様に楽しさを感じられるのか、不安もある。
車の挙動を感じやすいこともあり、気軽に楽しむ車としては良いのかも。1台ならばポルシェが全てで楽しいと思う。
が、気軽に楽しめて、練習にもなって、上達しそうな気にさせ車としてセカンドカーとして欲しい車だと思う。
追加:こういう走行を体験しないとこの良さはわからないでしょう。

08
Gさん マツダ RX-8 TypeS 有 7
どっかに飛んでいってしまうんじゃないか、最初の3分間はちょっと怖かった。
と言っても、走行を終えて振り返ってみればいきなり荒い操作をしていたと思える。A110のほうから「その運転じゃだめだ」と言われたような感じだ。
その証拠に二度目に走った時には探るように徐々にアクセルやブレーキの踏み込み量増やしていったら、とても気持ち良く走っていると感じるようになった。
自分はRX-8に乗っているが、比べるとパワー感がハンパ無い。持てあますか、あまさないが限りなく持てあましそうになるレベルのパンチ力がうらやましい。
またハンドリングはエイトも良いんですよと自負するところであるけれど、このA110の反応やインフォメーションは、より車が自己主張してくる感じで、速く走るというよりは(いや、もちろん速く走らせたいけど)車との対話を楽しみたい感じだ。
車の物理的側面で言えば、大きくなく、小さすぎもせずジャストなサイズで乗りやすいし、運転席におさまった時もヘッドクリアランスも問題ないし、むしろ快適空間だった。
そうそうあとエキゾーストノートも心地良い音質音量で良いと思った。
スムースに吹け上るエンジン回転だけは我がRX-8のほうが良いかな。

09
Kさん マツダ ロードスター NA6 有 7
普段はNA6ロードスターに乗っています。1.6Lの小さなエンジン、重ステ、ABSナシ。最新のスポーツカーに試乗するのは初めての体験でした。
・加速にビックリ
近頃は500馬力だ、600馬力だとよく聞きますが、1.8Lターボ250馬力の全開加速は十分スゴかった。
・ブレーキよく効く
しっかりした深さのペダルストロークがあってわかりやすい。
・結局何事も起こらない
失敗してもスピンしないしコースアウトもしない電子制御の車を初めて体験しました。ABSが入ったことやアンダーステアが出てることは伝わってくる。
辛口すぎて手に負えないほどスゴイという感じではなく、ガンバレばどうにかなりそうな雰囲気がある。ESCの世話にならずに、250馬力と7速ミッションを使いこなせる様になるまで長く楽しい道のりを感じさせる。
1.8Lで250馬力で地味なエクステリアで800万って高くないか?と思ったけど、乗ったらカッコよく見えてきましたよ。

トムさんがよく言う、現代のよくできたクルマ。ステアリングこじっても曲がるクルマ。ブレーキケトバシても止まるクルマ。操作の間違いを助けてくれるクルマ。間違いに気づかなければ、いつ裏切られるかわからない、という話。こういうクルマで誰でも無自覚に速度が出せるのにはどうしたものか。トムさんのやりたい事、言いたい事、よく解りました。
欲しいのはグレーのピュア。右ハンドル。

10
Tさん マツダ ロードスター NB8 有 7、スバル レガシィ
A110を試乗する機会を設けていただき、ありがとうございます。まさかスポーツドライビング、それもオーバルで乗れる機会があろうとは・・・夢のような時間でした。
以下、ロードスター(NA8/NB8)、レガシィ(BH5)と比較しての感想。
外見
・サイズ的にはロードスターと変わらない感じ(実際の寸法を比較したことはない)
・見た目は、エッジが効いてて厳つい印象
・ピュアのブルーはもっと薄い色だと思っていたが濃いのに驚いた
・ライトはデイライト、ウィンカーともにかっこいい(運転していると見えないのだが)
・持ち帰ったカタログを嫁に見せたら、嫁の一番のこだわりの後ろ姿が最高にかっこいいとのこと

ドライビングポジション
・座った瞬間に窮屈と感じたが、腿の裏側をサポートするクッションが有無によるものだと後で気が付いた
・サポートがある方が姿勢維持は楽なのだが、ないのに慣れてしまっていたため、窮屈に感じた
・シートのスライド可能な幅は広いのだが、足の短い私はほぼ一番前まで牽いた状態じゃないとアクセル、ブレーキがしっかり操作できない感じ
・リクライニングができれるリネージなら窮屈な思いをしないで快適に寝れそう(ダイヤル調整なので面倒だが)
・それに合わせてステアリングを調整したが、静止状態でこれなら力が入れらると思った高さは高すぎだった
・ロードスターはパワーアシストなしの操作の感覚で合わせると高すぎた模様
・助手席に座ってみたが、リネージの助手席は快適そのもの
・足がちゃんと踏ん張れるし、サイドサポートも効いているから、助手席からのクレームが軽減されると思う
・後方視界は信じられないくらい薄くて狭い
・結構大きめのリアウィンドウなのに、バックミラーに移るウィンドは縦に圧縮されてて、「このミラーは凹レンズ?」というくらい縦に狭い視界
・これなら後方からのライトがまぶしくなくてよいのかも(車高が低い車は一般車両のビームのようなライトがまぶしくて仕方がないので)

走り
・軽やかで柔らかい (しなやかという方が適切?)
・とがった部分がなくスムーズに足が動くからなのか、とにかく軽やかでしなやか
・ターボのなのにターボの効きがニュートラルで、大排気量のNAのように制御しやすい
・レガシィのどかーーんって効くターボとは違うし、車体が重いことからくる重量物が吹っ飛んで行っている恐怖がない
・そんな状態で相乗的な曲線で速度があがる感じで加速し続けるので、これはやばい
・こんな快楽には修行僧じゃないと抗えないと思う
・電子制御とは思えないほど、アクセスの重み、微妙な踏み込みができて制御しやすい
・ペナペナなロードスターのアクセルと比較にならないくらい操作しやすい
・電子制御が嫌いで普段の移動用のレガシィも未だに3世代目に乗り続けているが、ここまで手の込んだ電子制御ならいいなぁと考えを改めるくらいアクセルの感じがよかった
・目からくる体感速度と実際の速度が違うので、とんでもない速度でコーナーに進入してしまう
・それでもなんとかなってしまう ピュアには驚いた
・やばい!!!これはやばいと気が付いてもちょっとRを大きくするだけで速度を維持したまま収束してくれる感じ
・スポーツモードの排気音にあおられて欲望のままピュアを振り回してたら、どんどんドライビングスキルが低下しそうなくらいなんとかなってしまう
・リネージはアンダーはアンダー、オーバーはオーバーと教えてくれる感じがあるので教育的な気がした
・着座時の目の高さはロードスタートそんなに変わらないと思うので、着座位置の高さからくる体感速度のずれではない気がする
・あまりにスムーズに動くから、不安感を感じさせるものがないことがこの体感速度の原因
・加速時・減速時も無理を強いているのにスムーズに足が動き過ぎて、ロードスターで感じる恐怖がない
・ブレーキングは、ちゃんと踏力に合わせて効くので、ちゃんと踏まないと逆に効かない

走行後、リネージのテールランプに水蒸気がたまっていたのをみて、日本製じゃありえないなぁと思った。クレームを入れれば交換してくれるだろうし、それが走りに影響するものではないから、どうでもよいのかも。


< 続 >



第439回 アルピーヌA110の感想 オーバルレース編 1/4

439-00
YRSオーバルレースの常連はクルマを曲げるのが得意
ごく短時間でしたがアルピーヌA110を味わった
YRSオーバルレース最終戦参加者の感想文/体験記を紹介します

※ 車名の後の有、無は改造の有る無し。数字は改造度を示します。4からショック変更、5以上がスプリング変更で7以上が車高調装着です。

01
Uさん BMW M3 セダン 有 4
良い点:自分の車(E90 M3セダン)と比較すると車重が500Kgも軽いため、非常に軽快に走ります。コーナリングが楽しい。懐が深い感覚があります。自分の運転では限界まで持っていくのは無理だと思います。ピッチング/ローリングがわかりやすい。→自分がダメな姿勢でコーナリングさせていることがわかってしまう。数値以上のパワー感があります。これも車重が軽いためだと思いますが必要にして十分だと思います。車体の剛性感も高い。シートのフィット感はリネージュの方が自分には良かったです(自車にはフルバケットシートを装着)。
気になった点:シフトダウンが自分の意図したタイミングでできない事が何度かあった(エンジン保護の為だとは思いますが)。左ハンドル車は慣れの問題もあると思いますが左前方の視界が悪く感じた(コーナリング中にAピラーが視界に入って煩わしい)。最後にこれで価格が500万台なら真剣に購入対象として考えます。

02
Tさん アウディ A1 無 0
マイカーはアウディA1(1.4L、120馬力 FF)
A1とはあまりにも正確とパワーが違うので比較というよりアルピーヌについての気づきをレポートします。
車重という意識がなく、自分の背中~お尻がシートにしっかり密着し、車との一体感が自然に感じられることに先ず驚きます。走りはじめると、4つのタイヤがヤモリのごとく路面にへばりつき、しっかりとステアリング操作にすばやく反応し安定したコーナリングに導いてくれます。但し、少しでもステアリング操作を誤ると途端にアンダーとなりますが、ステアリングを修正するとすぐに車も反応し挙動を修正してくれました。コーナリングの立ち上がりもアクセルを踏みこむと上手に加速してくれ立ち上がりからストレートへの加速では安心して素早くスピードアップしてくれました。リネージとピュア。個人的にはピュアのほうがハードでキビキビする動きが好きです。
その他:シートポジション→今回の試乗ではシート取付位置がいちばん後ろだったので、パッドを数枚使いました。先日ディーラーでシート取付位置をいちばん前にして試乗し、なんとか公道でのドライビングは問題無さそうですが、スポーツ走行ではパッドが1枚必要な感じです。
タイヤ→現状では純正のみのタイヤしか合わないようなので、長く乗ることを考えるとタイヤの選択肢が無いことに不安を覚えます。カラー→アルピーヌの戦略かもしれませんが、カラーの種類が少ないと感じます。
スポーツ走行用に4点式以上のシートベルトの取り付けが無いのが残念です。せっかくバケットシートが純正なので、純正でまたはオプションで4点式以上ベルトの取付ができるようになっていれば完璧でした。

03
Oさん スズキ スイフトスポーツ 有 3
軽さ:軽いというか重さを感じない。普段ロードスターとスイフトスポーツに乗っていてどちらもA110より軽いはずなのにA110の方が軽やか。
ブレーキ:効きも素晴らしいが、コントロール性が高く、ペダルの剛性感もあるので楽しい。
コーナリングスピード:進入も速いがボトムスピードが相当速く感じた。前後のグリップバランスを考えながら走るのがとても楽しい。
パワー:個人的にはここまでパワーなくてもいいかな。ノンターボで200馬力くらいのエンジンでもいいかも…
その他:無理と分かっていてもMTが欲しい! ピュアのバケットがだいぶメタボなわたしでもサポートが緩いかも。意外とリネージュの方がフィットした。シフトパドルが固定式なのでターンインしながらシフトダウン出来ないのが惜しい。
まとめ:本当に欲しくなってしまう素晴らしいハンドリング。ノーマルのままでも、ドライビングを楽しみながら練習できる。この車を上手く操れたら最高だろうなあという気持ちになりました。

04
Mさん スバル BRZ 有 7
自分のクルマ: スバルBRZ 前期型
リネージュ・ピュア共通に感じたこと:非常にパワフルであり、コーナーのどこから踏んでもクルマが加速してゆくと感じた。エンジンのトルクのみならず、いかなる姿勢にあってもトラクションを路面に伝える能力が高いのではないか。これに比べるとBRZはアクセルを床まで踏んでいても加速してゆかない不感帯みたいなものがある。車体の慣性が非常に低く、ステアリグに機敏に反応する。コーナリング中の修正舵への応答が非常に敏感。ブレーキは、最初に乗ったときは効きは悪いと感じた。思ったよりも減速できず、そのためコーナーの奥まで行ってっしまうことがあった。2回めに乗ったときには効きには違和感はなく、踏んでゆく際の踏力のかけ方、抜き方、引っ張り方など、もう少し付き合ってみたいと感じた。1回目と2回めの違いを考えているうちに、最初乗ったときにはブレーキが臭っていたことを思い出した。走り出して最初の何周かはたしかに様子を見ていたけれど、その後はフェードの可能性を忘れていた。効かないという印象を持った時点でブレーキに風を当ててやるなど対処すべきだった。安全に直に関わる部分でもあり、今後自分のクルマでもお借りしたクルマでも、これは絶対に気をつけなくてはいけないポイントと反省している。
パワフルであり、かつ、コーナリング中にステアリングでの修正も効く。このような特性が揃えば運転していて楽しいはずだが、自分の運転の荒い部分、未熟な部分を拡大してはっきりと見せられたと感じ、正直少し落ち込んだ。4分2回の試乗では、このクルマの能力を引き出していると感じることは出来なかった。コーナリングスピードはもう少し高めることができるはずだが、そのために入り口での姿勢の作り方、その後のコーナリング前半へのトランジションを、もっと丁寧に、意図をもって、緻密に、おこなわなくてはと感じた。YRSでこれまで学んできたこと、また、自分がアタマでは分かっていると思っていることを、これまでよりも1桁2桁上の精度と確実さで行う必要があるようだ。
リネージュとピュアの違い:コーナリング中の姿勢はピュアのほうが安定しており、また姿勢に関する情報もわかりやすいと感じた。
最初にリネージュに乗った際には、コーナリング中に「どこに行ってしまうか分からない」という感覚が少し残り、自分には難しいクルマと感じた。2回めに乗ったときにはそのような感覚は消えたが、一度しか乗っていないピュアの記憶を呼び起こして比較するに、やはりピュアのほうがコーナリング中の接地感が高かった。一般道でのリネージュとピュアの乗り心地の違いはどうだろうか?もし買うなら、やはりピュアかな。

05
Sさん スバル WRX STI 無 0
今回はALPINE A110へのYRSオーバルでの試乗という貴重な機会を設けて頂いたこと、感謝します。
バックグラウンド:自分の車歴では、1990年以降ほぼずっと、EJ20エンジン搭載のスバル車を運転。現在は、WRX STI Type S(6MT)を所有、ほぼ毎日の通勤で往復2時間弱、都内で使用。モータースポーツとの関わりは2000年頃から。B/Aライセンスを取得し、2006年まで県戦レベル以下のジムカーナに参戦。並行し、YRSでのスクール・レース(スプリント・耐久・オーバル)へ参加し、時には臨時スタッフとして手伝いでも参加。
試乗順序:LINEAGE -> PURE -> PURE 設定:SPORTモード
所有車とA110との対比:シート:所有車はRecaro製電動リクライニングで、フルバケットに比べてかなりホールド感が少ないのに対し、LINEAGEのシートはPUREのと比べても良くホールドされていた。
ブレーキ:最初に乗ったLINEAGEはまだ走行距離も短かったためなのか、非常にしっかりしたタッチ。PUREのはより自然な感じ。所有車のも同じブレンボ製(6POT)で似ているとも感じた。コーナー前での大きな減速から薄いトレーリングブレーキまで、滑らかに連続的に効き、走行のほぼ最初から、効きへの不安感が全く無かった。
加速能力:所有車にはさすがに及ばないのだが、これはギア比の問題もあるかもしれない。それでも、2速全開時の加速感は楽しいし、車内音が魅力的。
姿勢変化:所有車はボディ高が高く、前後荷重バランスが前850kg・後600kg程とよろしくはないので、同じオーバルコースを走っても、その姿勢変化はA110とはかなり異なる。結果として、所有車ではアンダーステアにならないように非常に気を使うのに対し、A110では楽々と、多分より高速度で、コーナーを回れたと感じる。いくつかの異なるラインでコーナリングする際も無理なく狙ったところへ入れるのは気持ち良い。他の参加者の走行時での加減速・コーナリング時の姿勢変化を見ても、特に前者での変化が少ないと見えた。運転時でもローリングは少ない印象。グリップの限界が高そうで、その先は?
トルクベクタリング:所有車とA110で共通の機能にこれがある。所有車でこれが効くのはまだ意識できないし、むしろこの機能を止め、かつデフロックをかけた方が速いと以前より考えている。今回の試乗では最初にLENEAGEに乗った際にこれが動作したように感じたことがあった。だが、これを効かせないように操作する方がより良いのかとも思われる。
ドア:軽量な車両として甘んじることなく?、値段相応の重圧感のあるドア開閉音と感じた。所有車のも悪くはないがさすが、と思う。
視界確保:2シーター・MRという構造上仕方ないのだが、ルームミラーはほぼ使えない感じ。これは所有車、スバル車の良くできている点。
LINEAGEとPUREの差:リム幅(+重量?)の差は意識できなかった。コーナーでのローリングに差があったようにも感じたが、PURE乗車時により慣れて速度が上がっていたためかもしれない。
デュアルクラッチ車:今回のオーバルコースで走行経験があるのはゴルフGTi(2005-2006)だけだが、MT派の自分でもA110のミッションはよくできていると感じた。GTiは操作しにくかったが、このパドル操作(ダウンシフトのみ使用)は良いし、加速時の3速への入り方もちょうど良い。でも、より軽くなるであろう3ペダルのMT車はA110に加わらないのか?現在のも「楽で」良いのではあるが。


< 続 >



第437回 アルピーヌA110を味わい尽くす

437-1
YRSオーバルレース常連の43歳から79歳まで
平均年齢56歳の若者の目がらんらんで虎視眈々

YRSオーバルレース最終戦の参加者が、駐車場に設けた半径22m直線130m幅員14mのYRSオーバルFSWロングでアルピーヌA110の軽さとダブルウィッシュボーン式サスペンションのロードホールディングを堪能しました。全員がオーバル走行のベテランなので、動画ではスムースに走っているように見えますが、実際は想像以上のペースで周回しています。
平行移動しているような加速、ノーズダイブとテールスクワットが抑えられたサスペンション、操舵関係のイナーシャが少なく路面からの情報が把握しやすい軽いばね下。スポーツカーはかくあるべき、という見本のようなクルマでした。

クルマの性能を引き出すために必要な操作とやってはならない操作、やったほうがいい操作があります。その仕分けをしながら練習しようというのがユイレーシングスクールです。アルピーヌA110はピュア、リネージともリニアリティが非常に高いので、操作がこなれてくるとこうしたいと意識するだけで思い通りに動いてくれる教育的なクルマでもあります。今まで練習してきたことがそのまま増幅されたように感じた参加者もいるはずです。なによりも、ポンと乗ってあれだけの速度で走れたというのは、各人のドライビングポテンシャルの向上につながったはずです。

参加者全員が笑顔で試乗を終えました。アルピーヌA110ピュアとリネージを貸してくれたアルピーヌ・ジャポンに改めて感謝いたします。

下の動画はピュアにカメラを取り付け、スポーツモードで走った19名全員の車載動画を短く編集したものです。

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