晴天なれど、とんでもなく寒くて風の強い日曜日。2回目のメガーヌRSウルティムをフィーチャーしたYRSドライビングワークショップFSWを開催。今さらながらにウルティムの動力性能の高さを実感。参加者が振り回しても音を上げないタフさは驚きだった。

YRSドライビングワークショップFSWはFSW駐車場P2で開催

参加者自身のクルマでスレッショールドブレーキングの練習をした後
参加者はメガーヌRSウルティムに乗り換えてフルブレーキングに挑戦!!

100キロ+からのブレーキング
こんなノーズダイブを何十回と繰り返したけど
何事もなかったように

14m幅のオーバルコースの直線部分に
20m間隔で置いたコーンの間でスラローム
テーマはできるだけ速く駆け抜ける

参加者全員にスポーツモードのMT2速固定で走ってもらった
後ろから見ているとフロントが回り込んだ瞬間
リアが明確に外側に移動するのがわかる
旋回中心がホイールベース内に収まっている証拠
4コントロールならではの動き
ユイレーシングスクールでは3月22/23日(土日)に開催するYRSツーデースクールFSWの2日目。FSWショートコースを終日走るセッションの間にメガーヌRSウルティムに試乗する機会を設ける予定です。ご自身のドライビングポテンシャルの向上にはうってつけの2日間です。メガーヌRSウルティムのような走りを実現されたい方はぜひご参加を。
・YRSツーデースクールFSW開催案内と申込みフォームへのリンクはこちらから
4コントロール装備のメガーヌRSウルティムをフィーチャーした2月のYRSドライビングワークショップFSW。カリキュラムはいつも通り午前中にスラロームと2種類のブレーキング練習。午後は設置したコーンのレイアウトを変更してオーバルコースを走ってもらった。
午前中参加者にはまず自身のクルマで、座学で解説しデモランで披露し最短距離でクルマを止める方法とスラロームをできる限り速く駆け抜ける方法を練習してもらった。次にそれなりにコツが飲み込めたところでウルティムに試乗してもらったのだけど、初めてのクルマなのに全員がけっこうブイブイいわせて走っていた。
ユイレーシングスクールのスラローム練習は20m間隔で置いたコーンの間を縫って走るのだが、いつものスクールではコーンを蹴っ飛ばす人が何人かいる。本人は蹴るつもりはないのだろうけど切り返しで初期アンダーステアを出してしまうと、内輪差が大きくなって後輪でコーンをはねてしまう。その点がウルティムの試乗でも心配だったのだけど・・・。
参加者はウルティムの動力性能に酔ったのか(!)、スポーツモードのマニュアルシフト2速で果敢にスラロームを攻めていた。それを真後ろから見ていてたいそう驚いた。あの速度だとコーンを踏むなと思っていると、これがひっかけもしないない。
前輪操舵車の場合は、極点に言うと、後輪付近にヨーモーメントの中心があって前輪がコーンから離れたところで右に左に半円運動するようなイメージ、つまりフロントが左右に振り子のように動く。当然前輪と後輪の軌跡は異なる。後輪は全員より内側を通るから、アンダーを出してフロントがまっすぐに行くと必然的に後輪は円運動の中心付近を通る。これがコーンを蹴飛ばす理由。
ところが、初めて真後ろから見るウルティムの場合は、実際にそうと確認できるわけはないけど前輪が右に動くと同時に後輪が左に動く感じ。その写真も動画もないのが残念だけど、ホイールベースの中心にある支点がスラロームを駆け抜けているイメージ。おそらく上空から見たらホイールベースの分だけ離れてはいるが前輪と後輪が同じ軌跡を描いているように見えるはずだ。
ブレーキングでもオーバル走行でもウルティムは高い運動特性を見せたけど、今回の目玉はスラローム。参加者が自身のクルマであの速度でスラロームをやったら間違いなくコーンを蹴っ飛ばすであろうシーンで、ウルティムは何事もなかったようにスラロームを駆け抜けた。ここは4コントロールの勝ち。自動車技術が人間の能力を補佐した? 否、上回った! と言うべきか。
前輪操舵車と4輪操舵車のタイヤの軌跡については 『第831回 4コントロールを検証する』 で説明しています。なぜ内輪差が生じるのか、内輪差を少なくするためにはどうすればいいのか、イラストから想像できます。

参加者全員がウルティムの4コントロールを体験
ここはスラロームのスタート地点

かなりの速度でスラロームを駆け抜ける参加者
ステアと同時に一瞬アウト側フロントが沈むが
アンダーステアには陥らない

幅14mのオーバルコースのストレートの真ん中に
20m間隔で10本置いたコーンを右に左に駆け抜ける

前輪操舵車の場合
写真の状況では
まず間違いなく後輪がコーンを蹴飛ばしている

ユイレーシングスクールとしては
ウルティムで実現できたスラロームの走りを
今度は自身のクルマででもできるように
なってくれればと思っている
ルノー・メガーヌRSウルティムに搭載された4コントロールは従来のステアリング装置と異なるモノなのか、何を目指しているのか。そのコーナリングを運動特性とステアリング操作の両面から検証するために、2025年2月に開催するYRSドライビングワークショップFSWではルノー・メガーヌRSウルティムに試乗する機会を用意しました。
下の図は左が従来のシステムを搭載した前輪操舵車のタイヤ4本の軌跡と、逆位相で4コントロールが機能した場合のタイヤ4本の軌跡のイメージです。比較すると見えてくるものがあります。タイヤのトラベル量と個々のタイヤの回転半径にご注目。
以下はクルマのコーナリングの何たるかと4コントロールの機能に触れているブログのバックナンバーです。
第328回 スリップアングル
第329回 自転軸
第330回 ヨーモーメント
第331回 あ~あっ
第346回 YRSトライオーバルスクールFSW
第340回 逆位相
第347回 4コントロール
第349回 4コントロール 同位相
第389回 Megane de YRS Quad Oval
第403回 足して10を超えないように
第496回 クルマを曲げる
第540回 思いもよらず
第542回 縦Gと横G
第706回 続・クルマとの対話が楽しい
・ 2025年2月開催 YRSドライビングワークショップFSW

京都宝ヶ池にある静かなホテルのカフェでお話をうかがった
話をお聞きすると、アウディA4に乗っていたのだけどパッドを換えてもブレーキに満足ができなかったのでクルマを換えようと思った。プジョーとシトロエン等にも試乗したけど次のような理由で最終的にアルカナを選んだとのこと。
・デザインとコンセプトがわかりやすく軽量であること。
・シートの出来が良い。
・以前テスラにも試乗したことがあるが充電時間が長いのとインフラが未完なのを痛感した。
・作業機械の販売を通してBEVの問題点は把握していた。
・ハイブリッドに興味があった。
・ルノーの販売店は日産のバックアップがありサービスが安心。
ワタクシのアルカナに対する印象はというと、アルカナの報道関係者向け発表会の時に小1時間ほどFSWのマルチパーパスドライビングコースを全開で走ったのとルノー栗東からアルカナの新車を代車で借りて4日ほど大津の街を乗り回した経験だけだから、どこまでアルカナの神髄に迫れたかわからないけど、その足と動力性能と走りが自分好みなのは実感できた。傘寿を過ぎたら終の相棒のルーテシアⅢRSと2台持ちにしたいと思ったものだ。
それはそうと、ワタクシがまだアメリカに住んでいた80年代後半、トミーカイラなるR31スカイラインをベースにしたコンプリートカーが発売されたというニュースに触れた。アメリカに渡る直前、六本木のパーティでお会いしてからホントに久しぶりに印象的なお名前との再会だった。量産車を登録前にカスタマイズして販売した(つまり既に市場に存在しているクルマを改造したのではない)というからある意味で自動車メーカーと言えるわけで、既存の大手自動車メーカー以外から自由にデザインされたクルマが発売されたという事実。その先鞭をつけたのが解良さん。日本でもそんなクルマ道を究めることが許されるようになったのかと驚きもしたし、解良さんなら不思議はないなと思ったものだ。
その首謀者たる解良さんがアルカナを高評価したのは頷けるけど、それだけで終わるわけがないことも想像できた。案の定、待ち合わせ場所に表われた解良さんのアルカナのホイールは早くも黒色になっていたし、後日届いた写真には車高の下がった白いアルカナが写っていた。
念のため申し添えておくけど、ワタクシはクルマはストックのまま乗るのが主義。ストックのままのクルマの有り様を受け入れて、その上でクルマの髄までしゃぶりつくすのが楽しいし、なまじの素人がクルマをいじっても賢い人が寄ってたかって作ったクルマの性能を向上させることができるとは思わないから。クルマの持てる性能を余すとこなく引き出す努力にこそ意味があると思っている。
ただ、解良さんほどの経験と知識と洞察力と想像力があったならば、発想が変わるかも知れないなと思った。今からでは遅いけど。

あれこれ乗り比べた結果のアルカナのようだ
レース界はもちろん、クルマ好きの間でも解良さんの名前を知らない人はいないと思う。
その解良さん。小学生時代に、ボクの人生の行く末を定めてくれた人でもある。

もはやこの記事の掲載誌は手元にないが
解良さんが登場した誌面は数知れず

クルマを作るかたわら
自分でも走らせてしまうという
理想的なクルマ好きを絵に描いたような
生活を続けられている解良さん
そんな解良さんがアルカナを選んだのには理由がある

解良さんがルノー・アルカナを買った。解良さんのお眼鏡にかなったようだ。

先月の29日が納車だったとか。時間をやりくりしてくれたので京都まで会いに行ってきた。写真のデータには12日午後1時37分撮影とある。

ブログ 第819回 カングー ヴァリエテ と
第820回 続・カングー ヴァリエテ
をアップしたことをFBに書いたら
ユイレーシングスクールの卒業生のMさんから書き込みがあった
『 私も次の通勤車は所謂dctといわれるツインクラッチ式のミッションにしました。ホンダがかつてつくってたハイブリッドです。フィーリングを楽しみにしています 』
『 Mさん ツインクラッチTMには驚かされっぱなしです。機械が人間の領域に入り込んでくるような錯覚を感じます。個人的にはまだまだ現役ですけど。(笑)820回の続編もどうぞ 』
『 カングーは車自体も現代の車として良くできてるのですね。でも現代の車は良くはできているのだけど、ドライバーは、車をコントロールしているのでなく、車のコンピューターに指令を出していて、車自体はコンピューターが操ってるのかなぁ~と。。。』
『 Mさん 考えさせられる表現ですね。その通りですね。今度使わせてもらいます 』

Mさんは2001年5月のYRS筑波タイムトライアルに初めて参加
以降YRSスプリントやYRSエンデューロYRSオーバルレースなど
速く走る&競争をテーマにしたプログラムに参加してきて
最近は年いちでYRS鈴鹿サーキットドライビングスクールに
Mさんは走るだけでなくクルマへの造詣も深く
今回のやり取りも以下のようなMさんの書き込みに
ボクがコメントしたのがきっかけ
『 通勤車を乗り換えることにしました。これまで使っていたプリウスは、14年12万キロ走ってますが、まだまだ使えそうで、今後も親戚が使用することになってます。実用車としては、素晴らしい車でした。そこでプリウスという車のハイブリッド機構を振り返ってみます。
一番の特徴は、THSの動力分割機構でしょう。電気式cvtとうたっていいますが変速機構を持たない、つまり減速させた分によってトルクを増大させる概念でなく、エンジン回転上げた分は発電機を回しその電気でモータを駆動させトルクを補う考えであってると思います。たぶんね。そして、トルコンもクラッチもありません。発電機を回す抵抗を変化させてるんじゃなかったかな。
で、この機械的に見ると世紀の大発見と言ってもいい分割機構により、シームレスな加速、スロットルをラフに扱ってもあまりギクシャクしないので、妻には大好評でした。通常のcvtが好きな人にはあってるでしょうね。じゃぁ自分はどうだったのかと言うと最初は違和感ありましたけど、慣れれば問題無しですかね。パワーモード使えばレスポンスもいいし、ゼロ発進のモータトルクは強大であの加速は結構病みつきになりますね。
次の車にかわるまでもう少しの間あのトルクを味わいたいと思います。そして次の車はハイブリッド機構が対極の車ですので、その違いが楽しみだなぁ 』

クルマの進化は止まらない
進化の方向性も多様化を重ね続ける
だからクルマの進化は使い手に
さらなる多岐にわたる選択肢をくれる
Mさんの感じるところもわかるけど
いつの時代も人間が主体となってクルマと付き合えば
クルマはずっと相棒でいてくれるはずだ
せっかく登場してくれたのだから、今年のYRS鈴鹿サーキットドライビングスクールに参加した時の Mさんの車載映像 をご覧下さい。
高速道路と一般道を合わせて846キロ。カングー ヴァリエテで走った小旅行とヨシダ流傾向と対策を自問自答。

琵琶湖東岸から西岸を望む
・ドライビングポジションの重要性
メガーヌRSウルティムと比べて130Kg重く8Cm長く40Cm背の高いカングー ヴァリエテは、当然ながらウルティムとは異なる動きをする。いくつかの差異があるけど、最たるものは走行中の姿勢変化の大きさだ。
当たり前なのだけどコーナリングすると背の低いクルマと比較して大きくロールして荷重が外側に集中する。少し速いコーナリングをすれば車体が大きく傾く場合もある。そんな派手なコーナリングをするユーザーはいないと思うけど、大きくロールするクルマで気をつけなければならないのがドライビングポジション。シートの上で身体が踊るとステアリングホイールを不必要にこじてみたり、スロットルを緩めるとバランスを崩すようなシーンでスロットルペダルが踏み込めないなど、クルマの動きを乱してしまう可能性がある。
運転操作の基本は、まずクルマの動きを把握するところから始まる。動いているクルマを目的に合わせて操作し続けるのが運転だ。クルマの姿勢変化を正確に知るためにはシートに身体が密着していて、かつ操作が横Gに影響されないドライビングポジションが大切だ。目安としてコーナリング中に横Gを受けながらも必要なだけステアリングを切り足したり戻したりすることができれば、上体は動いていないことになる。
ステアリングホイールのテレスコピックを最大限伸ばして手前に、チルトをステアリングシャフトの延長線が顎か口に向くようにセットした。シートは右足が自由に動く範囲で前に出す。結果として肩を動かさずにステアリングホイールを回すことができて、踵を動かさずにスロットルペダルとブレーキペダルを踏み換えられれば〇。ボクの場合は大きな横Gを受けた時にも背骨がバックレストの中心線から少しもズレずにステアリングホイールを押したり引いたりできれば良し、としている。

琵琶湖東岸から比良山系を仰ぐ
・スロットルオフは早めたい
20年近く前のことだと思う。当時新型のスイフトがスクールにやってきた。同乗走行でオーバルを全開で走った時、スロットルを閉じたのにクルマが加速を続けるという経験をして驚いた記憶がある。後に、濃い混合気がシリンダーに入った後は排気ガスを浄化するためにスロットルペダルをオフにしても電気的な制御でスロットルが開いたままになるから加速したように感じる、と聞いた。スロットルペダルとスロットルが物理的に結ばれていない、スロットルを閉じる=加速が終わらない場合がある時代の到来だった。
カングー ヴァリエテのスロットルも見えないところで電気的、機械的制御が入っているのだろう。スロットルオフ前の状態、定速走行なのか加速中なのか、はたまた平坦地なのか登り坂なのかによってはスロットルオフ直後にエンジンブレーキの効きを全く感じられない瞬間があった。空走する時間を設けて燃費を稼ぐためのシステムが設けられているのかも知れないけれど、エンジンブレーキへの移行=加速の終わりが走行している条件によって異なるから、減速開始の判断を早めるためにも先の先を見て運転して、スロットルを戻すタイミングが来ると思ったらブレーキは踏まないまでも、躊躇せずに右足を浮かしたほうがいい。

琵琶湖西岸に戻る道
遠くに琵琶湖大橋が
・ブレーキ:踏力のかけ方
正しいブレーキのかけ方ではないけれど1度だけブレーキペダルを蹴とばしてみた。瞬間的に制動力を立ち上げることによって、カングー ヴァリエテがどんな姿勢変化を起こすか、どんな減速Gが立ち上がるかの確認したかったから。
結果は、記憶が曖昧な部分もあるけど 先代(ブログ第51回 いいねぇ) と同じでノーズダイブの仕方がカングーらしかった。具体的にはフロントがだらしなく沈むような挙動を見せなかった。背の高いクルマではフロントが沈むと同時にリアがホップするような挙動を見せることがあるけど、その場合はピッチングの中心が前後輪の間にあるような感じの動きになる。対してカングーはそれが後輪付近に中心があって長いスパンの先にあるフロントのマスが穏やかに沈み込む感じ。リアが不安定になる兆候は感じられなかった。珍しくフロントと同じ大径のベンチレーテッドディスクブレーキがリアにおごられているのもひと役かっているのかも知れない。
カングー ヴァリエテのブレーキングでは踏力に変化をつけたい。踏力が一定のブレーキングだと前輪の荷重は大きくならない。フロントの荷重が増えれば前輪のグリップが増し減速Gに対する余裕が生まれる。速度の高いうちに漸進的に踏力を強め、初期の減速が達成できたら踏力を抜いていくほうがブレーキング時の姿勢は安定する。進んでいるうちに車速は落ちるから。
最初に減速Gを大きくしておいてから踏力を抜くわけだから、抜くほどにほんのわずかに車速は落ち続けるけど前後の荷重が同等になろうとする。ブレーキペダルに右足は乗っているのだけど車体はつんのめっていない。クルマ側にしてみれば停まったと感じられないからだろう、アイドリングストップを解除していなくてもエンジンが止まらないまま停止することもできる。それほど減速Gをコントロールできる。

大津市中心部にて
・マニュアルシフトがいいね
Dレンジで走行中にシフトレバーを右に倒すとマニュアルモードになる。スピードメーターの右にあるインジケーター”D”の横に数字が現れるのでそれとわかる。マニュアルモードではシフトレバーを前後することで意識的にギアを選ぶことができるのだけど、ちゃんと加速中のアップシフトは慣性の法則に従ってシフトレバーを後ろにクリック、ダウンシフトは前にとなってるのが嬉しい。そうでないクルマもあるからね。
さて、今回はマニュアルシフトを多用した。と言っても、1速でスタートしてアップシフトやダウンシフトを繰り返しながら走るという使い方ではなく、実際にはある特定の局面でごく短い時間マニュアルシフトに頼った、と言うのが正解。
例えば、上り坂で加速する必要はないけど駆動力を確保しておきたい時。前を走るクルマの速度が落ちて来て、それに合わせた自分のクルマのエンジン回転もパワーバンドから外れそうになった場合とか。スロットルペダルを踏みこんでダウンシフトする手もあるけど、それだと何速下がるかは傾斜の具合や踏みこみ方次第でクルマ任せになる。場合によっては2速ダウンシフトして加速しすぎるかも知れない。
シフトレバーを右に倒すと、その速度に応じたギアが選択される。駆動力を得るならシフトレバーを前に押してダウンシフト。ATモードに任せるよりも運転手の意図通りのギアチェンジができる。さらに駆動力が必要ならもう1度シフトレバーを前に押せばすむ。新しいカングーのEDCは7速なのでギア比が分散している。どのギアでも1回のダウンシフトでエンジン回転は500回転ほど上昇するだけだけど、十分に期待するトラクションが得られる。
マニュアルシフトをエンジンブレーキとして利用することもできる。緩やかな下り坂で速度が上昇しがちな時は、ブレーキで速度を落とす換わりにシフトレバーを右に倒してから前に1回押す。ダウンシフト1段ならばエンジンが悲鳴を上げることもない。希望する速度まで落ちたらシフトレバーを左に倒してDレンジにしてもいい。

ダイアル式のスイッチが受け継がれている
ブラインドタッチができるこれが好き
ルノーのデザイナーの良心
他にもスイッチ類の配置や操作が明快で
奇をてらったところがないのが〇
操作系のデザインに遊びはいらないかな
・シフトショック
それにしてもカングー ヴァリエテの7速EDCオートマティックトランスミッションには驚いた。Dレンジに入れっぱなしで運転する時間がほとんどだったのだけど、穏やかに走った時はシフトショックが小さすぎて、大げさではなくいつアップシフトしたのか感じられないことがあった。7速と多段化してギア比が分散した効果なのか、それとも他の制御が進化したのか。体感的には6速EDCのウルティムのほうが明確にシフトチェンジを感じる。
Dレンジで走っていてEDCがどのギアを選ぶかは、車速、スロットル開度、路面の状況、加速度など莫大なデータを拾って計算した結果だろうから、これといった決まりがあるはずがない。それこそ天文学的な組み合わせになるに違いない。そしてその恩恵は走行中に如実に。
トルコン式のATだと加速中にスロットルを緩めるとシステムが判断して上位のギアに自動的にアップシフトしてしまうことがあるけど、EDCは基本的に車速に応じたギアにとどまってくれる。例えば市街地の40~50Km/時でマニュアルモードにすると、状況にもよるけどギアは4速か低負荷の時に5速だった。あれこれ試してみたけど、7速はだいたい80Km/時以上が守備範囲のようだった。それでもエンジンは2,000回転も回っていない。多段化したEDCの面目躍如といったところか。80Km/時からでも必要な場合はマニュアルモードにして2段ダウンシフトして大きな加速度を得ることも可能なのも嬉しい。安全性も高まる。

北小松水泳場(!)から比良山系の遠望
・後輪荷重
スクールをやっているとスクール機材を詰め込んで高速道路を長距離移動することが多い。運転が根っから好きなのか長時間の運転も苦にならないけど、神経を使うのが風が強い日の高速道路。特に切通しのある新東名や吹きっさらしの伊勢湾岸では横風にあおられることが多い。そこで、科学的根拠はないし効果を確かめたわけではないけど、重たいものをリアのオーバーハングに積んで後輪荷重を増やして走るのが習慣になっている。前後の輪荷重が均等に近いほうが外乱を受けにくいかな、と。あくまでも想像の範囲を超えないけど。
今回はとんでもない風が吹いていたのと機材がほとんどなかったのでどうなるかなと思ったけど、拍子抜けするほどあおられることもなく進路を乱されることもなかった。
何か理由があるのだろうとウルティムとカングー ヴァリエテの重量配分を車検証からはじき出してみた。数値は車両重量なので実際の走行時にはこれに運転手の体重が加わるから、あくまでも目安にすぎないけれど。
ウルティムの前輪軸重が920Kgで後輪が550Kg。1,470Kgの車重から前後の重量配分を計算すると前62.6%:後37.4%の値。驚いたのはカングー ヴァリエテで、なんと前58.9:後41.1。ウルティムより重量配分がイーブンに近い。それも横風安定性に寄与しているのか、と思いたくもなる。サスペンションのしつけもいいのかも知れないし。いずれにしろあの外乱に対する抵抗力は見事。
で、なぜカングー ヴァリエテのほうが後輪荷重の比率が大きいのか気になって、両車とも前後それぞれの数値は提供されていないから数字の遊びでしかないけれど、前後のオーバーハングの合計を全長で割って、ホイールベースの前後にぶら下がる車体部分の長さがどのくらいの割合か見てみた。すると驚くことにウルティムが0.395でカングー ヴァリエテが0.394。前後オーバーハングの合計は両車とも一定の割合に収まっているのがわかった。FFならではの数値なのだろうか。だからなんだ、という話ではあるけれど。
掛け値なしにカングー ヴァリエテの完成度が高いことはわかった。ウルティムと性格こそ違うけど、ウルティムに通じるルノーならではのしなやかな足と必要にして十分な動力性能には感心させられた。おそらく遠い将来にはカングーを相棒にして時間を超越したクルマの使い方を楽しむ日が来るかも知れないけれど、あと5年、スクールを続けてるうちは上手さと速さを拠りどころに運転を続けるのだろうな、と思わせてくれた今回の小旅行だった。

前回満タンにしてから市街地を225.0キロ走破
と言っても大津市の北部は
ほとんど信号のない郊外みたいなものだけど
ハイオク16.86ℓを消費し燃費は13.34Km/ℓ
高速道路と変わらない好数値を示した
7速EDCの成せる業か

これは気が利いている
お子さんが後席に座った場合のコミュニケーションツール
写真は鏡を半分だけ引き出した状態

もみじマークをボンネットに貼ろうとしたら
スルリと落ちてしまった
『えっ!』である。
クルマのボディは鉄でできている。鉄板むきだしのダッシュボードを経験している世代は何の迷いもなくそう信じているだろうから、マグネット式のもみじマークがくっつかないなどとは決して思わない。まず何かの間違いだと疑う。
そう言えば、メガーヌRSのテールゲートにもみじマークを貼ろうとした時もそうだった。最初は、ホントになんで貼りつかないのかピンとこなかった。しばらくして、「ははん、たぶんアルミ製だからなのだろう」とブログに書いたら、ルノー・ジャポンのUさんが樹脂ですと教えてくれた。貼りつかないのにも驚かされたけど、複雑な形のテールゲートが樹脂でできているなんてワタクシ世代には刺激が大きかった。
ちなみに今回はブログを書く前に調べたら、新しいカングーのボンネットは軽量化のためにアルミでできているとあった。
閑話休題。
首都圏での用事を済ませ東名、新東名、伊勢湾岸、新名神、名神と乗り継いで大津までひとっ走り。風の強い日だったけれど横風にあおられることもなく快適なクルージングだった。自分の周りに大きな空間があって、自分を取り巻く空気全体と一緒に移動している感じがいつもと違ったけど。
新名神では流れをリードする速さでも走ったけど、やはりルノーの足はお世辞抜きにして良い。前も後もタイヤが路面を掴まえている感覚がステアリングホイールから伝わってくる。ブレーキング時の姿勢変化、ブレーキの効きも期待通りだった。

自宅に近いガソリンスタンドに立ち寄って
トリップメーターは518.6Km

容量54リッターの燃料タンクは
37.3リッターのハイオクを飲みこんだから
燃費は13.90Km/ℓ
空気抵抗が小さくないガタイの大きさや
走行ペースを考えれば上出来の部類
初めてのクルマだし、燃費のことを考えて、ずっとスロットルを抜きながら速度を維持する努力を続けたのが功を奏したのかも知れない。

給油後には見込みの足の長さが850Km
一般道では難しいかも知れないけど
長距離でも不安がないのは確か
3代目カングーの足がこれまた良かったので、過去にしたためたカングーにまつわるブログを紹介します。
・ブログ 第51回 いいねぇ
・ブログ 第243回 カングーがそそる


Tさんが
YRSトライオーバルFSWのメインストレートで
床まで踏みこみます
Tさんに受講した感想文をお願いしました
トムさんのスクールは今回が初参加となります。
スクール自体はルノーのブログで存在を知り、同じメガーヌRSトロフィー乗りとして興味を持って拝見していました。
メガーヌ3RSに乗ってからサーキットを走りたいと思うようになり、鈴鹿や富士での体験走行、レッスンに参加。その後メガーヌ4RSトロフィーに乗り換えてから鈴鹿のライセンスを取得、年に数回本コースと南コースを走行していたものの車をうまく操れるような感覚は乏しく。。。ブログやHPで読んでいたトムさんのスクールはどんな感じだろうと参加させていただきました。
まず座学ですが、目から鱗だったのがタイヤが真っ直ぐになっていれば車を押せるけど、少しでも角度がついていると押せないという事実。考えればわかるのですが、走ることと結びついておらず、まさに目から鱗でした。他にもオーバルレースの面白さなどこれまで聞いたことのない話を聞かせていただきました。
走行を始める段階で初参加が私だけだったので、なんとトムさん直々に同乗走行していただけることに。ブレーキングからターンイン、コーナー後半から加速、次のコーナーへのアプローチとこれまで経験したことのない感覚とコーナースピードを体に覚えさせ、いざコースイン。
が、当然同じようには全く出来ず、1つ1つを意識しているつもりでもいつもの走り方をなかなか変えることができずに苦戦しました。しかしさすがはトムさんのスクール、これまで参加した他のレッスンとは違いどんどん走ります。何度も何度も反復練習をすることでいろんなことを試すことができたのです。
正直オーバルをぐるぐる回るのはどうなんだろうと思っていたのですが、いや、むしろオーバルだからこそすぐに同じコーナーが来てさっきやろうと思ったことがすぐに試せるのか、とここでも目から鱗でした。
とはいえ午前中の走行ではコースに慣れるのがやっとで、同乗走行で感じた感覚は全く再現することができないままに終了し午後のレッスンに。午後も四苦八苦しながら(進入スピードが遅いと言われたのは初めて笑、走り過ぎてヘトヘトになってたり)周回を続けるとようやく何周かに1回、部分的ではあるものの同じ感覚で走ることができた気がします。
100km以上しっかり走り込んだところで何とガソリンランプが点灯し最後2回走ることができなかったですが、心地いい疲労と共に家路に着くことができました。
タイヤ4本をしっかり使って走ることを習得したい人にはおすすめのスクールです。

Tさんは
今週末の
YRSツーデースクールFSWにも
申し込んでくれています

メガーヌⅢRSからメガーヌⅣRS(MT)
ルノー・スポール大好き人間とお見受けしました