第741回 交通統計令和4年度版から
交通事故総合分析センターから最新版の交通統計(令和4年度版)が届いた。警察庁に集められた全国の交通事故のデータがもれなく統計として整理され掲載されている。詳しくひも解けば日本の交通事故の全てがわかると言っても過言ではない一冊だ。
ユイレーシングスクールでは例年通り膨大なデータからユイレーシングスクールならではの数字を抽出し以下の数表を作成した。そこから見えてきたものは・・・、
・交通事故の発生件数は、2004年度の95万件をピークに連続して減少を続け2022年は30万件に。死亡事故件数も1992年の1万9百件のピークから2022年には2,550件まで減少した。
・交通事故による死者数も近年では1992年の11,452人をピークに年々減少を続け2022年度は2,610人となった。
・2019年度から3年連続で1万1千件を下回っていた単独事故発生件数が2022年度には12,148件に増加。
・2016年度から4年連続で3%を割っていた交通事故総件数に対する単独事故発生件数の割合は、2020年度から3.27%、2021年3.55%、2022年4.04%と増加に転じた。
・死亡交通事故件数に占める単独事故によるものの割合は2009年度から上昇傾向にあり2022年度には28%に達した。
・2022年度、交通事故100件のうち単独事故はわずか4件なのに、死亡事故に限ると100件中28件が単独事故によるものだったことになる。
・警察庁の分類による単独事故類型別割合では、2022年度は駐車車両衝突、路外逸脱、防護柵衝突、分離帯安全島衝突、その他工作物衝突の全てで減少しているのに。転倒だけが前年の42.2%から47.5%に増加。二輪車と四輪車を含めた数字ではあるが、転倒が運転者本人が避けようと思えば避けられたはずの事故の半数に迫る状況にある。
・2022年度の死亡事故に至った単独事故件数の割合を見ると、路外逸脱と防護柵衝突だけが高まっているのが見てとれる。
さて、自分は事故を起こさないと思っていても、事故を起こさないように注意して運転していても、クルマを運転している限り人対車両、車両相互の事故の当事者になる可能性がゼロになるわけではない。相手があることだから、自分ひとりの問題ではありえない。交通法規を守っていれば安全なのではなく、ゆっくり走れば安全というわけでもない。交通という流れの中にあって、自分本位にではなく、常に周囲の中の自分を意識することが大切だ。
ところが単独事故は原因の全てが運転している人間にある。理由はどうあれ、事故にいたる過程をさかのぼって見れば、結果的に事故を避けることができたであろう選択肢が必ず存在するはずだ。そこを見過ごした、あるいはおろそかにしたあまり悲惨なことになった例は枚挙にいとまがない。
交通事故件数にしても交通事故死者数にしても、8千万人という免許人口を比べれば無視してもさしつかえない数字かも知れない。人生で交通事故に遭遇しない人もいるだろう。交通事故を他人事と思っている向きもあるだろう。けれど、自ら事故を起こさないという保証はどこにもない。クルマという便利な道具の恩恵を被るためにも、運転そのものを楽しむためにも自身の運転を俯瞰する習慣をつけ、また運転技術の向上を怠らないようにしたいと、自戒をこめてそう思う。
資料8-01
全ての交通事故に占める単独事故の割り合い
および総死亡事故件数に対する単独死亡事故件数の割り合い
<資料8-01
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資料8-02
単独事故件数の推移および類型別単独事故の割り合い
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資料8-03
単独死亡事故件数の推移
および類型別単独死亡事故の割り合い
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資料8-04
交通統計から見えてくるもの
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※ 交通事故総合分析センターのサイトから1年落ちの「交通統計」(2021年以前の歴年)を無料でダウンロードできます。交通事故がいつ、どんなところで、どのように起きるか。交通事故にまつわる数字がこれでもかと並んでいます。興味のある方は覗いてみてはどうでしょう。