トム ヨシダブログ


第732回 Oさんの場合

「第412回Oさんの場合」「第573回OさんとYRSオーバルスクールFSW」に登場してくれたOさんが先日のYRS筑波サーキットドライビングスクールに来てくれた。例によって終日雨の中をどうやって走ったかOさん自身の走りについて感想をお願いしたのだが、感想文を紹介する前に後日Oさんと交わしたメールのやり取りを。

Q:Oさん、クルマを運転するときに注意していることがありますか?
A:
1) タイヤからのフィードバックをつかみ取る(グリップの様子、滑り出しの感触)
2) 車の挙動を体で感じる(ヨー、ピッチング、ロールの大きさ、回転の中心位置)
3) 自分の操作に対する車の反応の速さと遅れ(反応が遅いときは操作に無理がある)

インストラクターの同乗走行だと、自分の操作幅よりもはるかに大きな操作に驚きますが、自分で真似しようとするとなかなかメリハリのついた操作ができません。ほんのわずかなタメの後の操作のスピードと量が大きいのに対して、自分の場合はタメを意識すると、そのあとの操作のスピードが遅くて挙動変化がダラッとしているのが原因だろうと思いますが、この課題をなかなか克服できずにいます。

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写真は昨年5月26日のYRS筑波サーキットドライビングスクールから
 
 
 
 
 
 
以下Oさんの感想文

2018年夏にメガーヌを手に入れてから、20ン年ぶりのMT車の運転を楽しむようになった一方で、なかなか車の能力を活かせていないことが大きな悩みとなってきました。しばらくあれこれと自分で試行錯誤を繰り返していましたが、一度ちゃんと教わってみようと情報を探したときにユイレーシングのことを知りました。
40年以上前、アメリカの情報を伝える雑誌に、当時カリフォルニア州のシアーズポイントを拠点としていたジム・ラッセル・レーシングスクールの紹介記事が強く印象に残っていたのですが、ユイレーシングの主宰者トム・吉田さんがもともとジム・ラッセルで教えていたということも、このスクールを選択する大きなポイントでした。

2019年のオーバルスクールに初参加して以来、年に数回は必ず顔を出して練習を重ねています。年齢が年齢なので、なかなか体得するのは難しく、同じことを繰り返しながらなんとか体に覚えこませていきますが、次回のスクールでは前回身に着けたと思っていたことがなかなか定着せず、時間をかけて思い出しながら少しずつは進歩しているのだろうと思っています。
ユイさんのスクールで一番いいと感じるのは、しっかりと理屈を教わったうえで、時間をかけて自分なりにわったことを反復練習できる点です。じっくり繰り返すという点ではオーバル、ツーデイズと並んでお気に入りなのが今回参加した筑波のスクールです。ほかの走行会では経験できない、外周をオーバル的に使ったイーブンスロットルとトレイルブレーキングの練習が、ユイさんのカリキュラムの特色を強く出した部分でもあります。

今回は練習開始直前から雨が降り始め、終日雨というコンディションでした。タイムアップという点では残念な部分はありましたが、練習という点ではまたとない機会となります。これまでと少し違い、イーブンスロットルやトレイルブレーキングの練習時に、「最終コーナーを舵角一定で回ることを意識してストレートに入るように」という課題が出されましたが、これが今回はとても大きな収穫につながりました。
イーブンスロットルの練習では、1コーナーのターンインから2コーナーの立ち上がり前まで、4輪にしっかりと均等に荷重がかかる姿勢を意識していきます。フロントに舵角を与えると走行抵抗が増えて必ず減速するので、その分をスロットル操作で補い同時にリアの荷重をしっかりかけてあげることをつかんでいきます。
トレイルブレーキングではストレートで少し早めにアクセルオフをして、減速のやや強めのブレーキングをしてからリリース。ブレーキを引きずりながらステアリングを操作していきますが、クリップに直線的に向かっていきがちなことを無線で指摘されました。練習の合間でインストラクターの方と議論をする中、ターンインの速度に気をとらわれすぎず、1コーナーを過ぎたあたりで全体減速せずに逆に加速するような意識で回ってみてはどうかというアドバイスをもらったところ、より強くイーブンスロットルを意識してのコントロールが少しずつできるようになっていきました。
午前中に2セッション、午後もたっぷりとコース周回を重ね、毎回課題を設定しながら走りこみます。最初のセッションでヘアピンの進入時のコントロールがうまくいかずにアンダーが出てクリップに着けなかったので、進入時の減速に注意しながら早めに減速のブレーキを完了させることを徹底すると、少しずつタイトに回ることができるようになりました。
そのあとのインフィールドセクションはラインどりが悩ましいポイントですが、今回は徹底してコンパクトに回ることに専念しました。
これまで、なかなかうまくまとめることができなくなった最終コーナー進入から立ち上がりの部分ですが、参加者が皆悩んでいるということもあって、トムさんの運転による同乗走行でラインどりをしっかり体感したのちに、自分の運転でそれをトレースしていきます。最終コーナー侵入の手前にステアリング操作でロールを消してからブレーキングをすることは今までもやっていましたが、トムさんが「その前に一度アクセルオンで加速してからブレーキングしている」と教わり、実践してみると直前の緩い左コーナーで生じたロールがアクセルオンで早めに戻り、少しあわただしい操作にはなりますがブレーキングからの進入も安定してくるようになりました。肝心の最終コーナーからの立ち上がり部分ですが、インストラクターの方から「だんだんとクリップからの立ち上がり時点でしっかり車が内側に向いてきた」と言っていただいたのが大きな自信にもつながりました。

筑波のTC1000で一番気持ちがいいのは1-2コーナーで4輪がわずかにスライドする感覚を経験できることです。今回は雨というコンディションで、より微妙なスライドを感じやすかったのも楽しく練習できた部分です。1コーナーから2コーナーの間で軽いアンダーがたときにアクセルオンでリアに仕事をさせることでスッと回り込む感覚は何とも楽しい瞬間です。

トムさんをはじめインストラクターの方がしっかりと見てくださっていて、要所要所で的確なアドバイスをしてもらえるのがユイレーシングスクールの一番のポイントです。ドライビングスキルの維持のためにも、スクール参加を続けていきたいと思っていますので、次回以降もどうぞよろしくお願いします。

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写真は2020年3月のYRSオーバルスクールFSWから

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写真は2021年5月のYRS鈴鹿サーキットドライビングスクールから

 

Oさん また練習に来て下さい。



第731回 YRS筑波サーキットドライビングスクール

梅雨のさなかの先週木曜日。今年1回目のYRS筑波サーキットドライビングスクールはやはり朝から終日雨。時に雨量が多く部分的に冠水する部分も。それでもこの日参加した13名の方はウエット路面をモノともせず、滑りやすい路面でのコントロールを大いに楽しんでいた。
何故って? 滑りやすいから操作の間違いが即クルマの挙動に表れる。操作と挙動の因果関係を感じることができる。理論的に修正する方向は理解しているからギャップを埋める努力が楽しくなる。

座学の後は外周だけを走りながら1コーナーを使ってイーブンスロットルとトレイルブレーキングの練習。トランジッションで何故イーブンスロットルが必要なのか、ターンインで何故トレイルブレーキングが有効なのかの説明を身をもって体験してもらう。

イーブンスロットルの練習では70キロから徐々にペースを上げて最終的には85キロプラスまでノーブレーキで1コーナーへターンイン。トレイルブレーキングの練習ではデモランを見てもらい、スロットルオフから瞬間的なハードブレーキングとブレーキリリース、そしてターンインからのトレイルブレーキングのイメージを作ってもらう。ここまでで筑波サーキットコース1000のタイムアップに大切な1コーナーの攻略法が参加者にとって明確な根拠となる。
あわせてヘアピンを曲がらずに真っすぐ通過し直進状態から最終コーナーに向けてターンイン。実際は3つのRからなる最終コーナーをひとつの大きなRで、しかもイーブンスロットルを維持する練習を繰り返し、同じくタイムアップに重要な直線につながるコーナーの脱出速度を上げることと、長いコーナーの通過速度を上げる練習を繰り返してもらう。

外周を使っての練習が終わり、フルコースの最初のセッションはコースの確認のため追い越し禁止。2回目からは全開で。この日、午前中のセッション、午後の走行時間を半分に分けたセッションを2回。各セッションの参加者の周回数、ベストラップ、ベストラップを記録した周をまとめたのが下の表。数字から各人各様の走り方が見えて興味深い。

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ユイレーシングスクールでは周回数を稼げるミニサーキットを使ってクルマを速く走らせる方法をアドバイスするドライビングスクールを開講しています。いわゆる走行会とは異なります。サーキットを走った経験のない方も安心して受講できるカリキュラムになっています。各ドライビングスクールの開催案内をご覧の上、速く走る=クルマの性能を引き出せる=安全に運転できる、を目指すユイレーシングスクールに参加してみませんか。

・7月20日(木)開催 YRS富士スピードウエイドライビングスクール開催案内
・8月3日(木)開催 YRS筑波サーキットドライビングスクール開催案内



第730回 コーナリング考察

クルマはコーナリングが苦手だ。直進状態から旋回に移る時に起きる荷重移動。それは直進方向の加速度をコントロールすることに集中できる加速や減速とは異なり、それらに加えてターンインの瞬間から横方向の加速度もコントロールする必要が生まれるからだ。しかもクルマは巨大な運動エネルギーを抱えて走っているからその向きを変えることは容易ではない。ターンインの速度が速くなると、かかる横Gの大きさは速度の上昇の二乗に比例して大きくなるからさらにやっかいだ。

ユイレーシングスクールがトランジッションにこだわるのは4輪を使ってできるだけ高い速度からターンインしたいから。コーナリングを始めたクルマは前輪の舵角が走行抵抗になって速度を殺がれる傾向にあるから、速く走ることが目的ならばターンイン時の速度はできるだけ高いほうがいい。しかしながら、高い速度でターンインをしても次の瞬間にアンダーステアを出したりオーバーステアに陥っては本末転倒だ。そこでターンイン時のクルマの姿勢=4本のタイヤにかかる荷重=タイヤのグリップをコントロールすることが重要になる。

次のふたつの動画は加速から減速、ターンインからコーナリングに移る加速度の変化をGセンサーで可視化したものだ。

最初の動画はトレイルブレーキングを使ってターンインをする時に、可能な限り前荷重にならないように。そしてコーナリング中に失速しないように明確なイーブンスロットルを心がけている。

次の動画はラップタイムの向上を狙ってスロットルオフを遅らせ強いブレーキをかけ、踏力を抜きながらターンインをした場合。走っていてアンダーステアは感じないものの、クルマの向きと運動エネルギーの方向が一致していない瞬間がある。つまり現象としてはアンダーステアの手前にあるのも事実。

速く走るためにはタイヤのグリップを有効に使う必要があるのは事実だとして、グリップの限界を維持するために摩擦円の円周をなぞることを目指すのがいいのかどうかは検証してみる必要がある。     【参考リンク】YRS教科書 37頁摩擦円回答

最初の動画はブレーキング後に極力前荷重を抜きターンイン時に前輪に負担がかかっていない状態を実現しようとしている。前後輪のグリップが均等な状態からターンインすることによって、ターンイン後はブレーキを引き摺っているにも関わらず減速Gは発生せず横Gだけが増えることになる。タイヤのグリップをコントロールする際に摩擦円の円周をなぞるのではなく、操作と操作の間に4本のタイヤに均等に荷重がかかっている状態を挟んでいるため、結果的に荷重は摩擦円の内側で十字型のように移動することになる。クルマの性能を引き出しやすいように、ユイレーシングスクールが進めているトランジッションを設ける=挙動と挙動の間でクルマをフラットにする、がこれに当たる。

次の画像は最初の動画に対応していて、横Gが立ち上がる瞬間にクルマが加速も減速もしていない状態にあることを示している。
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下の3枚は2番目の動画からキャプチャーしたもの。ターンインのはるか手前で強く瞬間的なブレーキングを行い、直進状態にあるうちに踏力をゆるめる。
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ブレーキをリリーズするタイミングが遅れた結果、前荷重のままターンインすることになる。
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踏力を減らしているのに前輪の舵角が抵抗になって再度減速Gが増加。ステアリングを切るほどに横Gは増えるものの、グラフ上の白い丸が示しているように加速度=運動エネルギーの方向は斜め前に。摩擦円の円周をなぞってタイヤのグリップを確かめようとする時に見られる対角線上の荷重移動だ。
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クルマは重いからヒョコヒョコとは動かない。減速に続いて加速をすることが速さにつながる保証はなく、減速と加速の間にコーナリングがあるのが普通で、コーナリング中は速度を維持するためにイーブンスロットルの状態=加速も減速もしない状態を高い速度で実現することが求められる。画像はコーナリング中に横Gを受けながらスロットルを小刻みに開けて前荷重になることを避けた瞬間。
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クルマにどういう荷重移動を起こさせるのが速さに結びつくのか。クルマによってもタイヤによっても運転手によっても正解はマチマチだろう。ただ、ユイレーシングスクールではまずクルマの高い性能を見極めるためにも、摩擦円の中で直線的に限界に近づくことができる十字型の荷重移動を練習してもらっている。それがタイヤのグリップ限界をさぐりやすくするからだ。速さを手に入れることができれば、速度が低ければそれだけ安全性が増すことになる。タイヤのグリップを探りながらクルマの限界特性を経験する。それがユイレーシングスクールがオーバルスクールを続けている理由だ。

 

ユイレーシングスクールではいわゆるミニサーキットでこれからサーキットを走る方にうってつけのドライビングスクールを開催します。イーブンスロットル、トレイルブレーキングの練習を徹底しクルマの性能を引き出すコツをお教えします。ワンボックスカーでなければどんなクルマでも参加できます。事前に資料をお送りしますしサーキットを走る際のアドバイスも豊富です。愛車でサーキットを走ってみませんか。

・6月22日(木)開催 YRS筑波サーキットドライビングスクール開催案内
・7月20日(木)開催 YRS富士スピードウエイドライビングスクール開催案内



第727回 YRS+エンジンドライビングレッスン

2003年。ユイレーシングスクールとしてしたためた『所有欲から使用欲への転換』と題した一冊の企画書からエンジンドライビングレッスンは産声を上げた。20年目を迎えた今年。先週開催された2回目が通算74回目。ずいぶんと続いたものだ。

今回の参加者は25名。うちエンジンドライビングレッスンが初めての人が10名でサーキットを走ったことのない方が2名。好天に恵まれ、22歳から64歳までのクルマ好き運転好き青年が経験値に関係なくクルマとの対話を大いに楽しんだ1日になった。

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朝7時半筑波サーキットジムカーナ場
ドライビングレッスン開催の意義などを含め
開会をの辞を述べるエンジン村上編集長

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天気に恵まれたこの日は
胸を張って記念撮影
1日中外にいたスタッフは真っ赤に日焼け
 
photo:Sei Kamimura

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722回で紹介したNさん
趣味のクルマのロードスターでは参加したことがあるけど
メガーヌRSトロフィーでは初参加

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メガーヌⅢRSに乗るKさんは
エンジンドライビングレッスン初参加
それでもサーキット走行の経験が多いだけあって
かなりのペースで走っていた

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コース1000のパドックで
ユイレーシングスクールに参加したことのある顔がチラホラ
見学に来たのだとか
写真はSさん
愛車で午前中の走行を楽しんだのだそう

 

エンジンドライビングレッスンは今年あと1回。10月5日(木)に開催します。午前中にユイレーシングスクールのYRSオーバルスクール、午後にコース1000を使ったYRS筑波サーキットドライビングスクールのエッセンスを凝縮して詰め込んだ1日で2度おいしいドライビングスクールです。みなさんの参加をお待ちしています。ルノー乗りの方はぜひ。



第726回 ルノー仲間再来

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5月のルノー仲間は左から
スタッフのY
Hさん
ワタクシ
Gさん
Sさん
この日は朝から濃霧

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ユイレーシングスクールでは走り方を理論的に説明します
前輪操舵車はなぜ初期アンダーが出るのか
4輪それぞれの軌跡がもたらす影響は
クルマの公転と自転の間に何が起きている
前後輪のスリップアングルを均等にし続けるためには
どうするとクルマが思い通りに動いてくれるか
ホワイトボードに図を描いて説明します

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けっこうな雨量の中
最近はリアタイヤが発熱するようになったSさんが床まで踏みこみます

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ユイレーシングスクールのルーテシア3RSブームに影響されて
購入したGさん
向こうに見える仲間のHさんのほうが早かったかな

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フラッと顔を出したHさん
山中湖に用事があったのか
ちょっと走ってみればと

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かってやっていたトライオーバルはガードレールとの距離がなく
左回りしかできなかった
でも3速全開踏みっぱのコーナリングを体験してほしいから
YRSオーバルFSWロンガーにコーナーをひとつ足してトライオーバルに
4月最後の日曜日に有志に集まってもらい試走会
雨と霧でスロットルを戻す人が多かったけど
次はドライで大きな横Gを感じてもらおう

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試走会に来てくれたKさん

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同じくOさん

 

ユイレーシングスクールが主宰するYRSオーバルスクールFSWはクルマの加速、減速、旋回の3大機能を高い次元でまとめ上げる練習をします。サーキットを走る人も走らない人も1度体験すればクルマとの会話が進みます。次回は6月10日(土)開催。ルノー乗りの方はぜひ参加してみて下さい。

・6月10日(土) YRSオーバルスクールFSW開催案内へのリンク

6月11日(日)にはYRSオーバルスクールを体験された方を対象にYRSオーバルレースFSWを開始します。単独で走って絶対的な速さを追い求めるのも楽しいですが、理論的にクルマを動かそうとする仲間と相対的な速度を追求するのは運転に幅を持たせてくれます。ルノー乗りでYRSオーバルスクールを経験された方は1度ヨーイドンを安全な環境で味わってみて下さい。自分の運転を客観視できるようになりますます運転が楽しくなります。

・6月11日(日) YRSオーバルレースFSW開催案内へのリンク



第721回 YRS鈴鹿サーキットドライビングスクール その2

この日。32歳から79歳まで平均年齢56.7歳のクルマ大好き運転もっと大好きな青年達が、セッション1は29台が473周、セッション2は28台が432周の合計905周を走破。セッション2でスピンの報告が2件あったのが残念だったけどインシデントはそれだけ。鈴鹿サーキットを初めて走った8名の方も大満足。ユイレーシングスクールの面目躍如。

またやりましょう。鈴鹿サーキットを走ったことのない方はユイレーシングスクールのいずれかのスクールを受講してみませんか。そして安全にかつ1日でレーシングコースを十分に味わえるYRS鈴鹿サーキットドライビングスクールに参加してみて下さい。日常とは全く違う世界を覗くことができます。

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第720回 YRS鈴鹿サーキットドライビングスクール

ユイレーシングスクールでは卒業生を対象にYRS鈴鹿サーキットドライビングスクールを開催している。ここで言う卒業生とはユイレーシングスクールが主宰する各種ドライビングスクール、エンジンドライビングスクール、ルノー・ドライビングレッスン、アルピーヌ・ドライビングレッスンを受講された方のこと。今回はルノー組が少ないかわりに昨年開催したエンジン+アルピーヌドライビングレッスンに参加された方が4名走りに来てくれた。

ユイレーシングスクールでサーキットデビューをされた方は多いけど、ほとんどの場合は1周1キロほどのサーキット。だから1度は5速全開で回るコーナーのあるサーキットを心行くまで走ってほしいと思っている。今回は29名が参加。うち8名が鈴鹿サーキットレーシングコース初体験。安全に理にかなった運転を目指すことを目的に、ドライビングポジションの話、ブレーキのかけ方の説明、鈴鹿サーキットを走る上で注意すべき点を網羅した資料を事前に配布。ユイレーシングスクール制作の鈴鹿サーキット車載映像の数々も見てもらって当日を迎えた。

ここ3年雨にたたられたYRS鈴鹿サーキットドライビングスクールだったが今回は晴れ。参加者全員が名うての高速コースを堪能することができた。

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鈴鹿サーキットを占有する場合サーキット走行のルールを徹底するため
鈴鹿サーキット側のブリーフィングがある
 
その後ユイレーシングスクール独自のガイダンス
初心者もベテランも速いクルマもそうでないクルマも
誰もが自分のペースでサーキット走行を楽しむために

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専有走行の場合はサーキットスタッフの完熟走行が必要だけど
ユイレーシングスクールではボクに任せてもらっている
 
鈴鹿を走ったことのない方をリードカーの直後に並んでもらい
ストレートは全開でコーナーは控えめに
リズムを作れるようなペース配分で引っ張る

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YRSツーデースクールやYRSオーバルスクール常連のSさんも
鈴鹿サーキットは初めて
 
それでもセッション終盤には相当速いペースで走っていた

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昨年のエンジン+アルピーヌドライビングレッスンに参加してくれた
Gさん(黄A110)とOさん(青A110)も
鈴鹿サーキット初体験
 
改めてビックリ
A110のストレートスピードの速いこと
もちろんGさんもOさんもかなりのペースで

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香川県からYRSツーデースクールに通ってくれているIさん
YRS鈴鹿ドライビングスクールで鈴鹿は何度も体験済みだけど
新しく手に入れたルノー メガーヌRS トロフィーRでは初めて
 
リードフォローは鈴鹿サーキット未経験者がリードカーの直度に
その後ろに経験者が並びセッション1は2周セッション2は1周の慣熟走行を

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YRSツーデースクールFSWやYRSオーバルスクールFSW常連のOさん
YRS鈴鹿サーキットドライビングスクールにも来てくれました
 
4月末のYRSトライオーバルスクール試走会にも
申し込んでくれています
 
写真3台目のMさん(青A110)は鈴鹿経験者

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ピットロードに参加車が並び
コースオープンのカウントダウンを待ちます

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橙色のIさんポルシェからは
鈴鹿サーキット経験者が並ぶ
 
Iさんはこの日の1番時計

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セッション1が終わり
結果表が届くまで
ピットに設けられたタイミングモニターとにらめっこ

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ちょっと見にくい写真だけれど
セッション中は走行中の全車のラップタイムが
リアルタイムで表示続けられます

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ミーティングが多いのも
ユイレーシングスクール主宰のドライビングスクールの特長
 
セッション間のインターバルには質疑応答
スタッフが気が付いたことをアドバイス
 
サーキットの管制からレポートが上がってくるので
誰がいつどこでコースアウトしたとかわかるシステムになっています

スクールの進行をしながら撮ったから出来はわるいけど。今回のルノー/アルピーヌ組の走行写真。

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Iさん
ルノー メガーヌⅢRS トロフィーR

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Oさん
ルノーメガーヌⅢRS

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Oさん
アルピーヌ」A110S

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Gさん
アルピーヌA110

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Mさん
アルピーヌA110S

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Sさん
ルノー メガーヌⅢRS

 

ルノー/アルピーヌ乗りで鈴鹿サーキットを走ったことのない方。機会があればぜひレーシングコースを全開で走ってみて下さい。間違いなく新しい発見があります。何よりもクルマを動かす喜びを感じられます。クルマも喜ぶはずです。



第715回 YRSツーデースクールFSW

今回が32回目のYRSツーデースクールFSWには27名の方が参加。1日目のブレーキング、スラローム、定常円とオーバル、2日目のショートコースと真剣に楽しく走り回りました。ちなみにショートコースを最も多く周回したのはメガーヌRSに乗るOさんの138周でした。

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全参加者と参加車両

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座学ではクルマの運動特性とそれに対応するクルマの動かし方を説明します
クルマを目的に沿った使い方をするための工夫の仕方を説明します
クルマは弾性体であるゴムでできたタイヤに支えられていることを説明します

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ユイレーシングスクール初参加のTさんのクルマを借りてスラロームのデモラン
ただ左右に切り返すだけではなく
スラロームをできるだけ速く通過するためにはどんな操作が必要か
いい例と悪い例を見てもらいます
クルマは走行抵抗の少ない時=舵角の少ない時に
より加速性能を発揮します

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ブレーキングの練習の目的はできるだけ短い距離での減速
そのためには前輪のグリップを踏力を加え続けて増加させる必要があります
スロットルオフの後でブレーキペダルを一気に踏みこまないように
踏力を加える練習をします
量産車でもスレッショルドブレーキングができれば
マイナス1Gの減速Gを発生させることができます
写真のノーズダイブの大きさに注目

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定常円走行は半径20mの円に沿ってできるだけ速いペースで周回した時
クルマがどんな挙動をするかを確認するのが第1の目的
次にアンダーステアを出さないで速く周回するための
ステアリングワークとスロットルワークの連携を体験します
動いているクルマは常に挙動を変化させています
挙動の変化に対応するためには操作をし続ける必要があります

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3つのコースのデモランを見学した後は参加者自身に
各コースの下見をしてもらいます

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広大な駐車場にコーンでコースを作ります
手前からスラローム、ブレーキ、定常円の各コース

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ユイレーシングスクールでは走行時間を優先するため休憩時間は設けませんが
それぞれの練習の要になるアドバイスをするためのミーティングには時間を割きます

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1日目の午後からはオーバルコースで
加速減速旋回を高い次元でまとめる練習をします
ユイレーシングスクールに初参加のGさんのA110を借りてデモラン
写真はインベタで走っているところ
足のいいA110がテールスクワットで加速します

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2日目は朝1番でFSWショートコースを歩きます
写真は1コーナー
5%のストレートを下ってきてコーナリングする際に何がクルマに起きるかを説明
クルマを前に進めるためにはどんな操作が必要かを理解してもらいます
アンダーステアに陥ればそれはすなわち失速です

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写真は8%の上りのヘアピン(3コーナー)
急な坂を上る時にクルマがどんな動きをするか説明
速く走るために必要な操作をアドバイスします
坂を上りたがらない重たいクルマを間へに進めます

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ユイレーシングスクールでは鈴鹿サーキットは別にして
進行は慌ただしくなりますが
集中力の維持と参加者の運転を振り返る機会を増やすため
サーキット走行のセッションを短くして回数をかせぎます
今回は4グループに分けてショートコースを走行
前のグループがチェッカーを受けるとすぐに次のグループがコースイン
次のグループはピットで待機します

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1コーナーからヘアピンにかけて
2コーナーまでをストレートと考えて走ります

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最終コーナーを立ち上がって5%下りのストレートを駆け抜けます

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FSWショートコースはいくつかのレイアウトを取ることができますが
ユイレーシングスクールでは平均速度が最も高い
1周880mのレイアウトを選んでいます

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午前中の走行が終わったところで集合写真を

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全参加者のラップタイムと周回数サマリ

 

秋のYRSツーデースクールは10月7、8日の週末に開催する予定です。2日間クルマと運転のこと以外考えない時間を楽しむため、ぜひ今から予定に組み込んでおいてはいかがでしょう。



第714回 3月のルノー仲間

今回のYRSツーデースクールには昨年12月に開催したアルピーヌA110ドライビングレッスンに参加した方が来てくれて、初めてのユイレーシングスクールを味わってもらうことができた。
集まったルノー車はメガーヌⅢRSが6台。ルーテシアⅣRSが1台。アルピーヌA110が2台。それにワタクシが借りているメガーヌⅣRSとスタッフYのルーテシアⅢRSの計11台(この際走りのいいA110もルノー仲間ということで)。

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今回もコース上にクルマ並べて記念撮影

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YRSツーデースクールFSWに毎回
四国から来てくれるIさん
次は阿讃サーキットでお会いします

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FSW、鈴鹿、筑波とYRSドライビングスクール総なめ
長野県のOさんはパートナーと

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東京からのOさんもYRSツーデースクールFSWの常連

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YRSツーデースクールFSWに足繫く来てくれるOさんは神奈川県から

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ユイレーシングスクール初参加のGさんは愛知県から
 
以下はGさんからの感想文です

 

まずは2日間、トムさんをはじめスタッフの方々大変お世話になりました。YRSツーデースクールFSWは以前ENGINのイベントの時に知り、今回参加させていただきました。
1日目の座学、スラローム、ブレーキング、定常円で自分の車の基本的な挙動を知る事ができました。オーバルコース走行はかなり奥が深いと感じました。ここでスピンを2回もしましたが、アクセル、ハンドル操作の未熟さが分かりました。2日目のショートコースではトムさんに同乗走行してもらいました。今回の2日間でこの経験が一番印象に残る体験でした。同じように走行できない自分の至らなさを感じました。
今回のスクールでの経験は一般道における安全性の確保や危機回避能力の向上になるものだと感じました。自分の能力の向上が直に感じれますので、楽しかったです。ありがとうございました。 アルピーヌA110 G

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Hさんごめんなさい。連絡ミスで当日の写真がありません。
 
千葉県から参加を続けてくれているHさん
スクールの進行にも気を配ってくれる頼もしい常連です
 
写真は昨年5月のYRS筑波サーキットドライビングスクールで撮影

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最近頻繁に顔を見せてくれるSさんは静岡県から

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時にメガーヌRSを食ってしまう速さを見せたTさんは埼玉県から

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A110ドライビングレッスンが終わって間もなくの昨年12月11日
YRSオーバルスクールFSWロンガーに参加してくれたMさんは大阪からで
ユイレーシングスクール2回目

 

秋のYRSツーデースクールは10月7、8日の週末に開催する予定です。2日間クルマと運転のこと以外考えない時間を楽しむため、ぜひ今から予定に組み込んでおいてはいかがでしょう。



第712回 続・YRSオーバルスクールのススメ

YRSオーバルスクールFSWは次のように進行します。

座学でタイヤは地面と擦れながら回っていることや、タイヤのグリップの変化はクルマの荷重移動によって引き起こされる等、クルマの運動特性についてとクルマの性能をスポイルすることのないように4本のタイヤを使った走り方の説明をします。

その後、下図のようにYRSオーバルFSWをインベタでイーブンスロットルで走る練習をします。
イーブンスロットルはスロットルだけでクルマが加速も減速もしていない状態を作ることです。いわゆるアクセル一定とは違います。ということは前後輪の荷重が均等=前後輪のグリップも均等な状況を走行中に作り出せることになります。インベタで走るのは直線の後に突然円弧が始まるので正確なステアリング操作が必要なので、自身の操作の検証のためです。

2020oval60even

 

次に同じYRSオーバルFSWをトレイルブレーキングを使って走ります。もちろん直線ではスロットル全開。スロットルオフからブレーキングしてターンインに移りますが、直線が短いので到達速度が高くはありません。なので直線で減速のためのブレーキングをすると速度が落ちすぎます。トレイルブレーキングと同じような踏力のかけ方で減速を最小限にしてコーナーの60度付近までブレーキを引き摺ります。
コーナーは最初の3分の1が進入、中3分の1がコーナリング、最後の3分の1が脱出と考えますが、この場合はインベタなので後半の120度がコーナリング=イーブンスロットル区間です。

2020oval60trail

 

YRSオーバルFSWでの練習が終わると直線130mのYRSオーバルFSWロングを走ります。図ではアウトインアウトのラインになっていますが、大きなオーバルをインベタで走る練習もします。
直線が長くなり到達速度が高くなったのでスロットルオフの後には明確なブレーキングが必要になります。続いてトレイルブレーキングに移行するわけですが、オーバルコースを速く走る秘訣は減速のためのブレーキングとフロント荷重を抜かないためのブレーキングを明確に区別することです。

2020oval130

 

トレイルブレーキングはヨーモーメントが発生する位置をホイールベース内におさめるのに有効なため、3速までのコーナーや回り込んだコーナーでより高い速度でターンインする時に効果を発揮します。

YRSオーバルスクールFSWは加速、減速、旋回の手順を高い次元でまとめる練習にうってつけです。サーキットを走る方も走るつもりのない方もコーナリングの極意が学べます。安全な場所で、いつもより高い速度でラジオから流れるアドバイスを聴きながらご自分の運転を見直してみませんか。ユイレーシングスクールからの提案です。

 

・4月2日(日) YRSオーバルスクールFSW開催案内 へのリンク