第603回 340万回越え
保存していた2015年MotoGPアメリカラウンドの予選でワールドチャンピオンのマルク・マルケスが見せた感動的なライディングテクニック。やっぱりみんなにも見てもらいたくなって、編集してユイレーシングスクールのYouTubeにアップしたのが2017年5月。
予選終了3分前のストレートでマルク・マルケスのマシンがエンジントラブルでストップ。マシンを止めピットウォールに立てかけ、駆け足でピットに戻りスペアマシンにまたがり残り2分30秒でピットアウト。1周2分はかかるサーキットだから計測されるにはチェッカー前に一度コントロールラインを通過する必要がある。チェッカー8秒前(‼)にコントロールラインを越えたマルク・マルケスは、そこから鬼神の走りを見せる。結果、3つのセクション全てでタイムを更新し、当然ながらポールポジションを手にする。見どころは3点。編集ではその部分をスローモーションにして追加した。
・マシンのテールスライドを腰で止めた
・ハードブレーキングでスライドを始めたリアタイヤをカウンターステアとステップから左足を離してリアタイヤに荷重をかけて修正
・ハードブレーキングで後輪が宙に浮いた状態からバランスをとりながらターンイン
人間が操る乗り物を、我々のレベルではとうてい垣間見ることすらできない領域で操る人たちに対し純粋な畏怖の念を抱く。
自分にできないことを彼らがやってしまうからあこがれているのではなく、現実にそんな人たちが存在することを強く認識する。もちろん彼らに及ぶべくもないけれど、彼らを目指すのだという意識があれば、到底届くことなどないことはわかっているけど、彼らと比べれば笑えるほどわずかなものかも知れないけれど、少しは前に進むことができるのではないかと思い続けてきた。どうすればああゆうことができるのか。持てる知識と経験を総動員してイメージする。全ての乗り物は機械だから物理学的に考えると糸口にたどりつけた。
それ以来、『魂が震える』のタイトルを付けたこの動画。視聴回数が340万回を越えた。コメントも1,000件を越えた。中には動画に挿入した字幕に誤字があることを指摘されたのが何通かあってへこんだけど(泣)、ほとんどはそんなことを気にかけずにタイトルを肯定してくれる内容だったのは嬉しい限り。
昨年第2戦の怪我から復帰したマルケス。12日に行われた2021MotoGP13戦アラゴンGPでは今年2回目の表彰台にのぼったものの、「まだ元のように走れてはいない」とのコメントが気になる。
たくさんのファンがあなたの超人的なライディングをもう一度見たいと思っています。慌てなくても大丈夫ですから、またあの鬼神のような走りを必ず見せて下さい。待っています。
※ 誤字を訂正してアップした動画は https://youtu.be/FPTlfnzruB0 です
※ MotoGPの商標権者は Dorna Sports です