ユイレーシングスクールの代名詞とも言えるYRSオーバルスクールFSW。スクールでは広大な駐車場にパイロンで作った半径22m直線130m幅員14mのオーバルコースをあえて、少しばかり速いペースで走り、クルマが思い通りに動かない瞬間を積極的に体験します。
人は自分の意思をスロットル、ブレーキ、ステアリングを通してクルマに伝え走らせていますが、ある状況でクルマが意思とは裏腹な動きをすることがあります。それはクルマの動きを読めていない、操作とクルマの動きとの間にズレがあるなどが理由です。そこで加速、減速、旋回を繰り返す中でクルマの動きを感じる感度を上げ、どういう操作をするとクルマがどういう反応をするかという因果関係をできるだけたくさん積み上げ、操作に多様性を持たせると同時に最適な操作を探す努力をします。これが、人間が行うスロットル、ブレーキ、ステアリング操作とクルマの動きとの間の誤差を少なくする最短の方法だと考えるからです。
楕円形のコースをグルグル回るだですが、実はクルマの運転に欠かせない要素の全てをまとめ上げることができるので、市街地や高速道路はもとより、ワインディングロードやサーキットでも応用が効く運転力の向上にうってつけのカリキュラムになっていると自負しています。
次回、富士スピードウエイで開催するYRSオーバルスクールFSWは7月10日(日)に開催します。安全な場所で愛車を思い切り走らせると同時に、ご自身の運転のレベルアップをはかりませんか。
→ YRSオーバルスクールFSWの開催案内と申込みフォームへのリンクはこちらです
第651回で鈴鹿サーキットのコースレイアウトの変遷について書いた。その時にシケインができる前のオリジナルレイアウトのコース図を探したのだけど見つからなかった。その後、鈴鹿サーキットのご厚意で1982年に配布した資料に含まれていた、シケインができる前のコース図のデータを手に入れることができた。オリジナルレイアウトと現在のレイアウトを比較してみると興味深い。
鈴鹿サーキットのオリジナルレイアウト。今でも鮮明に覚えている。1コーナーを抜けると明確な直線があって2コーナーそして曲率の小さくなる3コーナーへと続く。延々と続きいつまでも先の見えず横Gがかかりっぱなしのデグナーカーブ。ひとつ目とふたつ目の下りの区間でしっかり加速する必要があったスプーンカーブ。入り口から出口まで同じ曲率で奥の深い最も通過速度の速い130Rを抜けフル加速。そのままの速度でかなりの角度で下る最終コーナーに飛び込む。類い稀な8の字レイアウトの鈴鹿サーキット。それはそれはダイナミックなコースだった。
自動車技術の進歩はクルマに速さを与えた。レーシングカーもアマチュアドライバーが持ち込むクルマも走行する速度域が上昇。それに合わせてコースの各所に修正が加わったものの、その流れ。鈴鹿サーキットの豪快さは今でも変わらない。今でも海外のメディアが鈴鹿サーキットをオールド・スクール・トラック ≒ 古く佳き教育的サーキット と呼ぶことでも想像できるだろう。走れば何かを学べる。走るだけでも楽しいから、クルマ好き運転好きの人は一度、今年60周年を迎える鈴鹿サーキットを走ることを視野に入れてみてはどうだろう。 おそらく、 否、 間違いなく人生が変わると思うから。
1962年9月に完成した鈴鹿サーキットのオリジナルレイアウト
1982年から数々の改修を経てFIAグレード1を獲得した現在のレイアウト
比較のために鈴鹿サーキットが配布したコース図を加工させてもらいました
上がオリジナルレイアウト
下が現在のレイアウトです
ある日。テレビをつけたままキーボードをたたいていたら、「 人の限界は能力で決まるのではなく想像力で決まると思った 」という声が聞こえてきた。思わず振り返って画面に見入ってしまった。一瞬、運転の話かと思ったものだ。
「人の限界は能力で決まるのではなく想像力で決まる」と思った
遠い昔から運転が上手くなるために必要なものは何だろうかとか、不可欠なものは何だろうと考えるのが常だった。けれどあれこれ考えても、運転という行為が人間の営みの広範囲に及ぶものだからこれといった答えは出ずじまいだった。時間が経ち、クルマを動かす操作そのものが重要なのはもちろんだけど、どのようにクルマを動かすか、どう動かしたいかという思想のほうが大切なのではないかと考えることに比重が移ってきた。
けれど、確かに思想があってもそれに見合った操作ができなければ、クルマの性能を引き出し、目的に沿ってクルマを動かすことは難しいことも認識してはいた。 ある時。はたと気が付いた。人間が抱く概念である思想と、人間の行動の結果である操作の溝を埋めることができるのは想像力ではないかと。想像力を働かせれば運転手の思いをクルマに伝えやすいのではないかと。それがいつ頃だったか覚えてはいないけれど、想像力が豊富なほど運転が上手くなると思い始めた。だからテレビから流れる「 人の限界は想像力で決まる 」というフレーズに思わず反応したのかも知れない。
「想像できることは実現できる」
自分の運動神経が標準より劣るであろうことはたびたび触れてきた。隠す必要もない。だけど自分の運転が下手だとは少しも思ってはいない。想像力を比較する術があるのなら話は別だけれど。
スクールで「 遠くを見て 」、「 物を点で見ないで 」、「 景色の中に入っていくようなつもりで 」 とアドバイスするのは、動くモノを操るには1秒後、2秒後、3秒後、10秒後にクルマがどうなっているかを想像する必要があるからだ。「 はい、何も考えないで走ってみましょう 」、「 ちょっといいかげんに走ってみましょう 」 と言うのは、何かに固執していると全体の絵が見えにくくなるからだ。「 透明な気持ちになって運転してみて下さい 」 と助言するのはかって自分がそうした時にクルマを動かしやすかったからだ。そう、全ては想像力を高めるのための試み。
逆に「 行き当たりばったりの運転はダメです 」、「 直前の路面を見て運転するのはやめましょう 」 と口を酸っぱくして言うのは、それでは想像力が働く暇がないし、先行き想像力を豊かにすることにつながらないからだ。
オーバルコースを走る延べ15,000人以上の運転をこの目で見て来て、誰しもが想像力を豊かにするほど無意識行動でクルマを動かせるようになり、やがてクルマを手足のように操る領域に近づいていったのを目撃してきた。
「想像できるようになったらいりいろなことを変えられる」
ワタクシの思想? それは実現できるかどうかの問題は置いておいて、駆動方式に関わらずクルマが動き出してから止まるまで、前後輪それぞれについたスリップアングルの合計が限りなく等しくなるような運転を絶え間なく目指すことだ。それがクルマさんが望むことだと長年の経験が教えてくれた。だから、今でも運転中の自分の頭の中を覗くことができれば、想像力がワンワンと飛び交っているのが見えるはずだ。
ユイレーシングスクールの代名詞とも言えるYRSオーバルスクールFSW。スクールでは半径22m直線130m幅員14mのオーバルコースを少しばかり速いペースで走り、クルマが思い通りに動かない瞬間を体験します。
人は自分の意思をスロットル、ブレーキ、ステアリングを通してクルマに伝え走らせますが、ある状況でクルマが意思とは裏腹な動きをするのはクルマの動きを読めていない、クルマの動きとの間にズレがあることが理由です。そこで加速、減速、旋回を繰り返す中でクルマの動きを感じる感度を上げ、どういう操作をするとクルマがどういう反応をするかという因果関係をできるだけたくさん積み上げ、操作に多様性を持たせると同時に最適な操作を探す努力をします。これが、人間が行うスロットル、ブレーキ、ステアリング操作とクルマの動きとの間の誤差を少なくする最短の方法だと考えるからです。
楕円形のコースをグルグル回るだですが、実はクルマの運転に欠かせない要素の全てをまとめ上げることができるので、市街地や高速道路はもとより、ワインディングロードやサーキットでも応用が効く運転力の向上にうってつけのカリキュラムになっていると自負しています。
次回、富士スピードウエイで開催するYRSオーバルスクールFSWは6月19日(日)に開催します。安全な場所でご自身の運転を再評価してみませんか。
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クルマの性能を引き出す操作ができれば、結果的にクルマを走らせている時の安全率を高めることができるし、望めば速く走らせることもできる。だから運転操作の検証は誰もがしたほうがいい、というのがユイレーシングスクールの考え。で、自分の操作がクルマの性能を引き出せているかどうかを検証するのには、少しばかり短絡的かも知れないけれど、サーキット走行がうってつけ。適切な操作ができなければ速くは走れないから、速さを軸に自身の操作のブラッシュアップができる。それに、クルマの運転は速く走ってみないとわからないことがたくさんある。
というわけで、YRS筑波サーキットドライビングスクールでは座学でクルマを正確に動かす方法を解説した後、1~2コーナーを使ってイーブンスロットルとトレイルブレーキングの練習を徹底的に行う。その後コース全周を使って走るのだけど、みんなの走りがどんどんスムースになっていく。
参加者全員がインフィールドのストレートに移動して
イーブンスロットルとトレイルブレーキングの練習の手順を再確認
参加者を走行組と見学組に分け
走行組にはFMラジオを通してアドバイス
見学組には直接アドバイスを聴いてもらう
参加者から質問があれば
走行組の走りをサンプルにして応える
この練習の効果はてきめん
参加者は4本のタイヤを使って走れるようになるから
クルマのバランスを崩す可能性が加速度的に減少する
今回参加したルノー仲間は3人
Oさんとメガーヌ3RS Trophy2
Hさんとメガーヌ3RS
Kさんとルーテシア3RS
YRS筑波サーキットドライビングスクールでは短いセッションを何回も走る
クルマの動きを感じることに集中して走り
冷静に走りを振り返り仮説を立て
仮説が正しいか検証するために走るを繰り返す
22名の参加者が午後の計測ラップだけで合計1051周
最後のセッションの3分前までノースピンノーコースアウトだったのに1台がスピン
スピンやコースアウトはしないほうがいいけれど
それも練習のうち
そうなる操作を経験するわけだから
2度とそれをしないようにすれば進歩がある
次回のYRS筑波サーキットドライビングスクールは7月28日(木)に開催します。ルノー仲間の参加をお待ちしています。
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