トム ヨシダブログ


第608回 エ~ッ !

スクールで留守にしていた間に録画しておいた番組を見ていて思わず声が出た。

今年6月に八街市で抜け道が常態化していた道路で起きたいたましい事故。番組ではその道路に施された様々な安全策が紹介されていた。

事故のことはニュースで知っていたが、驚いたのがこの画面とナレーション。安全のためにそれまでの制限速度60キロを30キロに変更したとの報道。
エ~ッである。今まで制限速度が60キロ、つまり速度規制の標識さえない道が通学路だったなんて信じられない。文字ニュースによるとその道の道幅は7mあるらしけど、当時ニュースで見た事故現場には中央線がなかった。正確なことはわからないけれど、中央線がないということはその区間の幅員が5.5m未満の道である可能性もなくはない。そんな道を子供たちだけで通っていたなんて、誰も危ないと思わなかったのだろうか。誰も子供たちを守る手立てを講じようとはしなかったのか。

当該の道路では安全対策としてガードレールで部分的に車線を1台分に規制したりハンプを設けたりしているが、番組の後半ではそれでもスピードを上げて走るクルマの映像を流していた。物理的な対策も必要だろうけど、最後はやはり運転する人の意識に頼らざるを得ないのが現実だ。番組のサブタイトルも、”仕掛け”で事故は防げるか、だった。
歩行者にとって危険と隣り合わせの道は日本中にあるに違いない。大津市にもクルマの往来が激しいのに中央線のない道がある。我が家の周りは4m道路だ。しかし道路のせいにばかりはしていられない。結局のところ安全はクルマを動かす者次第な部分がのほうが大きい。番組を見終わって、今さらながらに交通弱者に対してこれまで以上の配慮をしたいと強く思った。ステアリングホイールを握る者の責任として。

 


第433回 なぜそうなるのか、理解に苦しむ

この国のシステムは、そのプロセスもさることながら下した結果にしても、合理的ではない場合が多い。今に始まったことではないけれど。
道路の作り方にしても 『なんでこうなるのか。合理的じゃないよね』 という場面に出くわすことが少なくない。道路交通法が安全かつ円滑な交通の実現を目指しているというのに、交通の基盤となる道路に合理性が感じられない場合があるのだから、何をか言わんやだ。
間違っても事故を起こさないように、交通の流れを阻害しないように、と意識しながら運転していると、ここがこうならば事故の可能性が減るし交通の流れもよどまないのにな、と情けなくなる時がある。

湖西道路和邇インターチェンジに隣接して道の駅が2015年8月に完成。その後取り付け道路が整備されて現在の形になったのだけど、どうすればこういうレイアウトになるのか計画した人に聞いてみたい。事前に相談してくれれば、もちろんそんなことはあり得ないだろうけど、もっとスマートな方法を教えてあげたのに。

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京都の衛星都市としての需要か宅地造成が進む湖西
和邇インターチェンジがリニューアルして道の駅が完成
そこまではいいのだけど丸で囲った取り付け道路の部分がいただけない

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現状を数字の順番に写真に収めた
写真は取り付け道路が完成した2017年暮れに撮影
しょうがないねと思って保留にしておいたのだけど
先日中央線を割ってきたクルマにヒヤリとしたので
やっぱり載せておこうと
中央線を割りたくなるようなレイアウトが元凶だと

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湖西道路を京都方面に向かうクルマが和邇ICで降りると写真のように左手から合流

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湖西道路和邇ICの京都方面入り口
冬季のチェーン装着場を兼ねた道の駅駐車場へもここから進入
左手に進むと湖西道路敦賀方面の入り口に

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ここは昔からの歩道
幾度となくここを通っているけど歩行者を見かけたことはない
左手のコーンの先から道路に沿ってかなり深い側溝が続く

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工事区間始まりの看板のところから歩道の舗装が新しく
写真ではわかりにくいが路面が下りながら右に曲がって切るので
側溝に向けて逆バンクのように見える

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歩道の舗装が新しくていいねと思いたいのだけど
歩道が曲がりだすと歩道の幅が広がり始める
片側1車線の道幅は変わらないのに

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さらに進むと歩道の幅は道幅ほどに
誰が歩くのだろう
左手の草の向こうは側溝が

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ここに至っては歩道のほうが完全に道路よりも広い

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ここは変形T字路だから合流に気をつかう
歩道の幅を有効に使えばもっと効果的なレイアウトができると思うのだけど

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できてしまったものは仕方ないけど・・・


たぶん、使用するのに不便はないのだからガヤガヤ言うな、という意見もあるだろう。でも、新設するのだからどうしたら安全で円滑な交通が実現できるかという視点で考えれば、道路法には抵触するかもしれないけどそれはそれで解決するとして、走りやすいレイアウトが見つかるはずなのだが。どこに視点を置くかで合理性は生まれる。

例を挙げればきりがないけど、合理的とは言えない環境でクルマを走らせる我々は、自分自身が合理的な発想で、理にかなった運転をする必要があります。



第312回 遅きに失す

8月10日。中日本高速道路株式会社が次のようなリリースを出した。

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要するに国土交通大臣が事業許可を出したので、さしあたり新東名の御殿場JCT、浜松いなさJCT間を全線片側3車線にしますよ、というお知らせだ。

3車線で工事が完了していながら『猪瀬ポール』なるもので全長145キロの同区間のうち89キロが2車線として使われてきた新東名。55キロは3車線だけど、2車線になったり3車線になったり、2車線になるのが登り区間だったり。「何考えてんだか。ホント、これでお金取るんだから全く」と毒づきながら、日本のことだからと諦めていた。

ま、いいでしょう。部分的とは言えようやく110キロ制限になったことだし、いつになるかわからないけど、これで少しはFSWに快適に行ける日が来るかも知れない。

※浜松いなさJCT、岡崎JCT間も新東名高速道路を名乗っているのだけど、調べてみるとこの区間も暫定2車線となっているから将来3車線になる可能性がありそうに聞こえる。けれど走ってみればわかるが、路肩は明らかに狭くトンネルも高架部分も全て2車線で作られており、この区間が3車線になる可能性はまずない。看板にいつわりありでは、と一言、個人的に言っておこう。

※今回の発表を受けて、『新東名の輸送力がアップする!東京-名古屋をつなぐ大動脈が着々と進化』なんて賛辞で飾られたニュースもあった。長年『猪瀬ポール』を取り上げないで、何を今さらと、個人的に言っておきたい。


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中日本高速道路株式会社の資料

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伊勢湾岸自動車道は豊田JCT、四日市JDT間全てが片側3車線
それでも大型トラックが第3車線を占拠することが多い

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新東名高速道路の岡崎JCT、浜松いなさJCT間はずっと片側2車線
切り通しにしてもトンネルにしてもこの区間が3車線になることは非現実的

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片側2車線区間の路肩には縁石様のものとポールが
縁石までと縁石の向こう側を足せば路肩分を引いても1車線ができそう
先に見えるガードレールが車線側にせり出しているがその裏には同じスペースがある

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同じようにガードレールの裏には1車線分のスペースがあるように思うのだが
3車線にするためにガードレールや縁石を撤去し白線を引きなおすことになるのだろう
その費用と労力を考えるとなんのための2車線供用なのか疑問だ

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清水付近の高架部分
新東名の浜松いなさJCT以東の高架部分とトンネルは全て6車線対応で建設された
資料によると御殿場JCT浜松いなさJCT間145キロの1%が6車線未対応とある

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写真ではわかりにくいけど
3車線から2車線になっても道路の総幅員は変わらない
ガードレールの裏に舗装部分がある
それにしてもこれだけほかっておいてアスファルトがやせないのだろうか

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左の青い看板の先のガードレールの裏には舗装部分がない
わずかだが6車線未対応の部分もある

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縁石を撤去したとして3.5mの1車線と1.75mの路肩が確保できそうにないところもある
ひょっとして6車線化を見越して現在の1車線の幅を広めにしてあるのか
あくまで個人的な想像だけれど


片側3車線で作っておきながら、さらに費用と時間をかけて部分的に2車線にする。あるのに使えない状況を作り出しておきながら、今度はさらに費用と時間をかけて3車線に戻すという。

なんのためのプロセスなのか理解できない自分がいる。



第262回 だめだこりゃ

新東名の森掛川ICと新静岡ICの間で制限速度が110キロに引き上げられた11月1日夜。栗東ICから名神に乗り、新東名経由で御殿場ICに向かった。
高速道路を含め、一般に日本の制限速度は道路環境を考慮しても遅いと思っているから、果たして森掛川ICから先の流れがどうなっているかと大いに興味があったのだが。

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森掛川ICから先には電光式の掲示板が増えていた
写真では見にくいけど
例の丸い制限速度の標識が80と110のふたつに
ただ80の下に「大型等、三輪、けん引」だけの補助標識
110の下には「大型等、三輪、けん引を除く」だけの補助標識のマヌケ

もとより速度抑制装置がついた大型トラックが同じ速度抑制装置のせいで速度を上げられない大型トラックを追い越そうと追い越し車線に出てくるのが高速道路の流れを阻害する最大の要因なのだが、この夜も深夜ほどトラックが多いわけでもないのに相変わらず追い越し車線を占拠する大型トラックが後をたたない(彼らには彼らの事情があるのはわかるが、それは別の話)。
追い越し車線は110キロで走ることが許されたというのに、これでは速度差が大きくなっただけに流れがむしろよどむ可能性、つまり速いクルマと遅いクルマが交錯する可能性が高まり効率は悪いは、危険度も増すではないか。

1年間試行を続けるらしいが、せっかく制限速度を110キロに引き上げ、さらには120キロ制限も視野に入れているというのだから、80キロ車両と110キロ車両の高速道路における住み分けをもっと明確に法制化して取締りを強化すべきではないのか。少なくとも2車線区間でも3車線区間でも80キロ車両が追い越し車線を走ることがないように徹底すべきだ。

※ 追い越し車線を「私は安全運転をしています」と言わんばかりに追い越し車線に居座る普通車の動向については、110キロに引き上げられたのを期に改めて注視したいと思っている。

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制限速度の標識ほど多くはなかった電光掲示板
写真では見にくいけど
[110キロ試行区間]
[車間距離厳守]
とある


それに、『物流と移動の利便性を向上させる』ために制限速度を引き上げたと主張するのであれば、平行して、もとは3車線で建設しながら2車線しか使ってない区間を早急に本来の使い方に戻すことに手をつけるべきではないのか。


静岡県警はつつましく告知しています。

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静岡県警がpdfファイルで用意した『最高速度110キロ試行』のパンフレット全4枚。

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画像は静岡県警のpdfファイルをコピーしました。


第229回 他にやることあるだろうに

年度末が近くなるとそこかしこで道路工事が始まるのは世の常。いろいろと事情があってのことだろうけど、道路の補修や改良ならまだしも、中には目的が理解できないというか、必要性が感じられない工事がある。

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工事はけっこう大がかりなものだった
大物地区への側道から見た工事現場

国道161号線から湖西道路への接続道路。左折すれば湖西道路の京都方面、湖西道路をくぐって、すぐに右折すれば湖西道路の高島方面、くぐってから最も奥の車線を右折すると大物地区への側道、という交差点がある。

そのそれぞれの車線を行き先ごとに色分けする工事が行われていた。結果、京都方面が赤っぽく、高島方面が灰色っぽく、湖西道路を志賀インターチェンジで降りて161号に向かう車線が黄色っぽくオーバーレイされた。

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161号線からの坂を登りきるとこんな景色

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京都方面へのランプに入ったところから振り返った景色

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直進するとこんな景色
一万歩ゆずって色分けを認めるとして
赤色と灰色がこんな風に分断されているのはおかしなデザインだ

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やるならば赤色と灰色半分ずつで車線を塗り分け
それぞれの方向に収束させるべきだろう

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湖西道路をくぐってから振り返った景色
湖西道路を志賀インターチェンジで降りてきたクルマが
一旦停止の標識があるにも関わらず止まることもなく
黄色の車線からはみ出して走っているし
決してきれいな色分けとは言えないし
なんだかなぁ

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高島方面に向かう湖西道路を志賀インターチェンジで降りると広がる景色

何日もかけ、かなりの人数がかかわった工事だから相当なコストがかかっているのだろう。しかしこの工事の結果、誰が恩恵を受けるのだろうかと考えると、実はクルマを運転している我々ではないようだ。色分けされてなくてもそれぞれの方向に誘導する標識は以前から完備していたから。

いろいろな事情があって工事をするなら、意味のない色分けをするより、夜中になると真っ暗になる湖西道路の路側帯との境にキャッツアイを埋め込むとか、道路を使う人の立場に立ってコストをかけるべきなのではないか。

運転を安易にする方向の工事は必要だと思わない。運転するには、注意力を維持したり集中力を保つためにある程度の努力が必要だ。人に楽して運転してもらうのが行政の役目だと思っているなら危ういものがある。
人々が安心して運転に集中できる環境作り、合理的な交通環境の整備にのみコストをかけるべきだ。そうでないとなんのための道路行政かわからなくなる。

写真が見つからないのだが、以前あった話。
湖西道路の路肩にある電話で落下物を通報しようとして扉を開けたら、「現在故障しています」の張り紙。何かあったらどうするのだろう。携帯電話があるから使えなくても問題ない、との判断で放置していたとは思いたくないが。管轄は違うかも知れないが、我々にとっては同じ交通のインフラだ。

交通環境にはやるべきことがたくさんある。色分けのコストも源流をたどれば我々の税金のはず。やったつもりにならず、道路を使う人が「さすが!」と感心するようなコストのかけかたをしてもらいたいものだ。