トム ヨシダブログ


第488回 ルノー仲間が増えました

6月11日木曜日。4月、5月と都合5回のドライビングスクールを中止にしたけれど、コロナ禍が沈静しつつあると判断して2か月振りにユイレーシングスクールが主宰するYRS筑波サーキットドライビングスクールを開催した。

この日集まったルノー仲間は6名(YRSドライビングスクール筑波の参加者は26名)。常連の、メガーヌRSに乗るYさん、めちゃくちゃ速い某ダンナグルマからルーテシアⅣトロフィーでルノーユーザに戻った滋賀県のWさん、ルーテシアⅢRSを大切に乗ってくれているTさん、今回は参加者として三重県から来たクリオⅢRSのスタッフのY、迫力あるアピアランスのルーテシアⅣRSに乗るOさん、いつもユイレーシングスクールを支えてくれているルーテシアⅢRSに乗るスタッフのK。

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クルマの配置が悪くて写りが小さくなってしまって申し訳なかったけど
ユイレーシングスクール初参加で
迫力ある外観のルーテシアⅣRSに乗るOさんは2列目左
前列左がYさん
2列目右がYさんで3列目右がTさんで中がKで左がY

 

そのOさんから早速メールが届いた。

昨日はありがとうございました!! 初参加したOです。

これまで数回サーキット走行した事はありますが、どこをどう走っていいのかわからず。。頭でわかってるつもりでいても、アンダーが多かったです。(スピンの経験は少なく。。スピードが出てないんでしょうね)

これまでサーキット走行時にグリップや荷重移動については、読んだり聞いたりした事はありましたが、実行できていなかったように思います。また、イーブンスロットルについては考えた事もありませんでした。ドラポジも指導して頂き、とても有意義な経験でした。

午後は初のウェットであったのも良かったかと思います。限界が低く丁寧にコントロールする事に注意を払い。4輪のスリップアングル、荷重移動や姿勢変化を先読みし、ギリギリのコントロールをする事が出来ました。中身が充実したスクールでした。毎週試行錯誤しながらコントロールを覚える事が出来たと思います。

残念なのはFJ1600に乗れなかった事です。次回機会があれば是非体験させてください!!

知り合いにも本スクールを紹介したいと思います。また次回も参加したいと思います! 取り急ぎ御礼まで。

Oさんは路面が冠水するほどの雨量の中でも十分速くスムースに走らせていました。で、Oさんが残念がったのは、 第477回 で紹介したFJ1600ライド。

20200611fj1600
この日用意したのは4台のFJ1600
募集した16名はすぐにうまり
YRS筑波サーキットドライビングスクールで
イーブンスロットルとイーブンブレーキの練習をした後で
一切の遊びがなく操作がそのまま挙動として現れる
操っている感満載のFJ1600を楽しみました

 

くどいようだけど、レーシングカーは速く走るためにデザインされている。一言で言うなら、常に4輪が地面に均等に張り付くように作られている。だから、なぜレーシングカーがそのように作られているかを知り、そして、乗ってみてピッチングもローリングもしないクルマが速く走るんだということを理解することができれば、自分のクルマの性能を存分に引き出すための道筋が見えてくる。単に、風のあたるマシンを楽しむためではなく、クルマを動かす基本を知ってもらうために、希望が多ければ、また開催したいと思っている。

と書いてきて、ファイルを見直したらありました。スタッフのTがOさんを撮ってくれていました。

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というわけで
ユイレーシングスクール初参加
漆黒で羽の生えたルーテシアⅣRSトロフィーに乗る
Oさんです

 

次回YRSドライビングスクール筑波は9月3日(木)に予定しています。



第487回 ユイレーシングスクール卒業生が織りなす作品 の1

こんな時だから、 良かったらYRSオリジナルビデオをご覧になりませんか。

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ユイレーシングスクールが開催していたスクールレースは
耐久レースのYRSエンデューロと複数のヒートレースからなるYRSスプリント
周回数を稼げる筑波サーキットコース1000とFSWショートコースで開催
写真は2006年YRSスプリント第2戦FSW
ロードスタークラスのローリングラップ
ロードスター20台の競演です


ユイレーシングスクールが先鞭をつけたライセンスのいらないレース(※1)があちこちで開催されるようになった。ある意味で喜ばしいことだ(※2)。

最近ではオーバルレースしか主催していないけど、2001年からユイレーシングスクール卒業生を対象にYRSスプリントとYRSエンデューロのスクールレースも開催していた。ユイレーシングスクールは受講者に「思い通りにクルマを動かして目的を達成する」ことを目指して欲しいと考えているから、それには単に操作の仕方を教えるだけでなく、どんな場面でも置かれている状況とクルマの状態を冷静に把握分析し、五感から得た情報を元に最善の操作を導びき出す作業を、繰り返して身につける環境が必要だと考えていたからだ。それには秩序ある環境で他人と競争してみることが効果的だ。

日本でスクールを始めた当初の参加者はサーキットの走行経験がある人がほとんどだったけど、そのうちにサーキットを走ったことのない人の比率が高まる。運転というものを掘り下げたいというのが受講の理由だった。サーキットを走るつもりはなくて単に運転に磨きをかけたかっただけの人がドライビングスクールでサーキットを体験し、次に速く走ることに目覚めサーキットに通いつめ、思うように走れなかったりタイムアップに行き詰まるとまたユイレーシングスクールに参加する。そんな循環を実現できたのは幸いだった。

だから、けっこうな頻度でサーキットを走り、ユイレーシングスクールに何度も足を運んでくれる人にレースをやりませんかと水を向けたのも自然な流れだった。当初は「レースなんて危なくないんですか」とか「テレビで見たけどぶつかることもあるんですよね」といった反応だったけど、「サーキットを走ること自体危険をはらんでいるんですよ」、「サーキットをちゃんと走れれば大丈夫です」、「ぶつかるのはクルマをコントロールできていないからです」、「危ないと思ったら競うのをやめればいいんですから」としつこく迫ったせいか(笑)、最終的にはロードスターだけで2クラスできるほどの卒業生が参加してくれた。

今回のYRSオリジナルビデオは2006年3月11日にFSWショートコースで開催した2006YRSスプリント第2戦ロードスタークラスの模様。他の主催者の場合は1度にコースに入れる台数が15台と決められているけど、ドライビングスクールやスクールレースでほとんどスピンやコースアウトのないユイレーシングスクールは20台の出走が許されているのでフルグリッドの3ヒートレースが実現した(映像はヒート1)。

・2006YRSスプリント第2戦結果
参加した全クラス全車のラップタイムの記録があります。

車載映像:2006YRSスプリント第2戦 ロードスタークラス ヒート1
(数周のローリングラップが含まれます。お急ぎの方は2分15秒あたりからのフォーメーションラップからご覧下さい)

 
 

(※1) 先進国には複数のASN(国内モータースポーツ権能)があるが、日本にはJAF(日本自動車連盟)がひとつあるだけなので、国内でモータースポーツを開催する場合はJAFに申請して公認されなければならない。つまり日本で行われるモータースポーツは全てJAFの規定に則って開催しなければならず例外はない。過去にはそれに従わなかったという理由で罰則が適用されたこともあった。
いきおい日本で行われてきたモータースポーツは、その規模の大きさこそ異なれ内容は同じようなもので、言い方は適当ではないけどどこを切っても金太郎飴が太いか細いかで、桃太郎飴や長髪の金太郎飴はなく、モータースポーツにおける拡張性に乏しかった。2000年ごろ国内にひとつしかないASN(先進国には複数のASNがありアメリカは6つもある)であるJAFの規定を押し付けるのが独占禁止法に抵触するのではないかという声があがり、最終的に、この表現自体がおかしいのだけど、非公認競技が黙認されるようになった。
ユイレーシングスクールはその流れを確認して、それまでだったら参加者や主催者にペナルティが与えられていた非公認競技を開催することにした。ユイレーシングスクールが実現したかったのはプロのレーサーを目指すのではなく、プロのレーサーを真似するのでもなく、アメリカのように、クルマ好きの隣のおじさんが運転に目覚め、サーキット走行が楽しくなり、やがて好き者同士が顔を見合わせて笑いながらコーナーに並んで突っ込ん行くような光景だった。自動車レースと言っても、ふだん乗っているクルマで参加してできて、レーシングスーツを着る人もまれで、ただただヨーイドンを体験してみたいという人たちが創った社交場。だから参加者の意識を統一するために一度は座学を聴いてもらったユイレーシングスクール卒業生だけを対象に開催した。

(※2)ライセンスのいらないレースもワンメイクレースとか長時間耐久レースとか多岐に渡っている。ユイレーシングスクールの卒業生もそれらのレースに参加している。ただ気になるのが、誰でも参加できるからというのは理由にならないと思うけど、残念なことに事故が実際に起きているという事実。レースでの勝者はひとりだけだから参加者全員が先を争うのはわかるけど、競争するということに対しての共通認識を育むことが必要ではないだろうか。そうでなければ、競争であるはずのレースが闘争になってしまう可能性がある。なので、参加希望者に対して門戸を閉ざすことになったけれど、参加資格をクルマを思い通りに動かそうとする努力を怠らないユイレーシングスクール卒業生に限定した経緯がある。


第486回 ダイダイ三兄弟

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service due が点灯したからルノー栗東で定期点検
ルノー栗東の駐車場に裏から入ったら橙色2台が並んでた
ちょっと色目は違うけどめったにない機会だから
橙色に近い黄色ということにして横に停めてパチリ

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末っ子を真ん中にして三兄弟のそろい踏みでした

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今回の代車は色は違うけど同じルーテシアRSトロフィー
対岸がかすんで見える琵琶湖のほとりで

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和邇漁港にたたずむ赤いルーテシアRSトロフィー
ルノー・ジャポンから借りているルーテシアRSトロフィーより2.5倍の走行距離
乗り心地とシフトフィールに明確な差がある
たぶんこれから熟成が進むに違いない



第485回 交通安全

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大津北交通安全協会から送られてきた
「大津北の交通」と
令和2年度大津北交通安全協会通常総会議案書


地元自治会で交通安全指導員を担当しているので、毎年この時期になると大津北交通安全協会総会のお呼びがかかるのだけど、緊急事態宣言は解除されたものの、安全と安心のために総会は開催せずに書面評決となった。

その議案書と一緒に送られてきた「大津北の交通」の内容は、ユイレーシングスクールが単独事故の実態を把握するために活用している公益財団法人交通事故総合分析センター発行の「交通統計」からの引用のようだけど、滋賀県と大津市に関するデータを抽出してあるから現状を認識する手間が省ける。

それによると、令和元年の滋賀県における交通事故発生件数は前年比13.4%の減少で、全国のそれのマイナス11.5%を上回る結果を残している。負傷者数も滋賀県内では前年比マイナス14.3%と全国のマイナス12.2%を上回るものの、死者数になると39人から57人に増加しプラス46.2%。どうしたのだろ。全国の死者数が3,532人から3,215人へと9.0%減少しているのと好対照だ。
極論になるけど、滋賀県ではいったん事故が起きると悲惨な結果に結びつく可能性が高いということになる。それは、第408回 交通統計 で触れた『避けようと思えば避けられるはずの単独事故』と同じ傾向にある、と言える。時間がある時にでも目を通していただければと思う。

今年も今までより交通事故死のニュースが多いように思うし、交通が少しざわついているようにも感じる。
日常的にクルマを運転しているわけではないけれど、30分ほど離れた堅田付近に行くと、反対車線を逆走して駐車場に入ったり交差点の角にあるコンビニの駐車場をつかってショートカットしたり、右折車線から信号が青に変わると同時に強引に右折したり大きな駐車場の区画を無視して無視しないクルマとこんにちはをする場面に出くわす。もちろん、クルマを運転している人全員がそうではないけれど、大津市内では少なくない人が行儀の悪い運転をしているのも事実。それが交通事故死の多さにつながるかどうかわからないが。


ここ数年、クルマを運転する人の意識が低くなったと感じるのはボクだけではないはずだ。
このブログに目を通してくれている人はそうでないと思うけど、自分の都合に合わせて運転したり、交通法規を自分なりに解釈してしまう人が増えているのは間違いない。ホント、この人は偶然何事も起こさずに走っているけど、クルマに助けられていたり他人の配慮があるから何事も起きないでいるのに気が付かないのかね、という人が多い。クルマが危険をはらんだ乗り物であることを意識していない人、クルマの運転をなめている人が多いのが残念だ。

安全運転しましょうね、とブログで呼びかけるのは虚しいけれど、それは現実だし、みなさんが注意深く運転していても危険な状況に巻き込まれないとも限らないから、クルマを運転する時にはこれまで以上に周囲のクルマがどんな動きをするかに目を配ってほしいと思う。注意して見ているうちに、クルマの動きを通して運転している人の人となりも見えてくる。もちろん、ご自身の運転の仕方にも目を光らせるのも忘れずに。



第484回 皐月晴れ

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御殿場市山之尻から仰ぐ富士山とルーテシアⅣRS。



第483回 続 = 空気の流れが変わる

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第482回 最近の目から鱗 = 空気の流れが変わる をアップしたら、ユイレーシングスクールの常連でYRSオーバルレースにも参加しているKさんから風の流れが変わる理由について以下のようなメールが届いた。

『 ルノーのブログのエアコンの風の件を読ませていただいたのですが、もしコーナーの回り始めであればロールやヨーの加速度で気流が振られている要素も有るのではないかという気がしました 』。

そう言われるとそんな気もする。あなたはどう思われますか。ご意見お聞かせ下さい。 ユイレーシングスクールメールアドレス



第482回 最近の目から鱗 = 空気の流れが変わる

自動車雑誌の原稿を書き始めたころからだから、かれこれ45年あまり。ずっと気になっていたことがある。

夏の暑い日にエアコンを入れてダッシュボードのベントからそよぐ風を身体に感じながら運転していて、コーナーを回り始めると風が身体にあたる位置がコーナーに対して内側に、つまり左コーナーの場合は身体に風があたる位置が左側に移動するのを感じた。「え~っ、右じゃないの? 遠心力を受けているはずなのになぁ。おかしいなぁ」と思ったことが始まり。

それ以来、風の向きが変わるのを感じるたびに、なぜだろ? おかしいよな? と一瞬思うものの、クルマを動かす上で支障になるわけではないし、そのうち調べればいいやになったり、理由を知りたいという気持ちもクルマを動かすことへの興味ほど強くなく、ついぞ自分が持ち合わせている知識に逆行する風の流れの正体を知るには至らなかった。早い話、ほっておいたのだけど。

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ルーテシアⅢRSのセンターベントとサイドベント

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フィットRSのセンターベントとサイドベント

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ルーテシアⅣRSのセンターベントとサイドベント


4月、5月のスクールを立て続けに中止にしたし外出を控えていることもあってふだんできないことをやっているのだけれど、ある日、週1回にしている買い物に行くためにクルマに乗った時にエアコンの風のことを思い出した。

しかし、どう考えても自分の知識と経験だと「風は遠心力を受けて外側にそよぐ」という結論以外には思いあたらず、このままだとまた未解決のままになってしまうという意識も頭の片隅にあって、ここは他力本願だけどネットの質問箱に投書してみようと決めた。

そして、質問を書き込んでから2日目には回答が書き込まれた。恥をさらすようだけど、自分では思いつかない発想だったし、十分納得のいく内容の回答だった。慣性力の話はスクールでも頻繁に話しているというのにだ。

質問: エアコンをかけた車に乗っていてダッシュボードのベントからの風を身体で感じている時ですが、コーナーを曲がるとベントから出る風の向きがコーナーのイン側に変化するのを感じます。コーナーを回っているのですから、本来なら遠心力でコーナーの外側に向かうのではないかと思います。理由がわかる方の回答をお待ちしています。

回答: 空気と人間の体の質量は圧倒的に人間の方が大きい事はあたりまえですよね。遠心力は質量に比例します。と言う事は質量の大きい人間の体の方が圧倒的に強い遠心力を受けます。人間の体のほうが空気より大きな遠心力を受けてアウト側に傾きます。其の時、相対的に動きの遅い空気がイン側に動いたように感じるのです。しかも空気は室内に密閉されている為動きがさらに窮屈になります。結論として人間の体がアウトに流れる為空気がインに流れるように感じるでした。


自分ではそういう自覚はなかったのだけど、いかに人間本位に物事を見ているか、今さらながらに感じた。
風の流れが内側に変わったと感じたのはあくまでも主観であって、状況を客観的に見れば、あるいは俯瞰して見れば、そして相対的な目で見ればその理由にたどり着けたかも知れない。まだまだ精進が必要だと痛感。回答を寄せてくれた Hi-dessan さん に感謝です。



第481回 YRSオーバルスクールとYRSオーバルレース開催

本来なら自転車競技の会場として専有使用されることになっていたので6月から9月まで全面的に使用ができなかった富士スピードウエイだけど、オリンピックとパラリンピックが延期されたことで使えることになった。新型ウイルスの感染拡大防止が叫ばれている中、予断は許されないがユイレーシングスクールは6月20日(土)と21日(日)の2日間富士スピードウエイの駐車場P2を借りてドライビングスクールとスクールレースを開催することにした。

駐車場P2は180mX290mもある広さだし、最近のYRSオーバルレースは参加者が20名に満たないことが多いしYRSオーバルスクールは定員が24名。だから三密を避けることができると考え、次のように通常とは異なる進行で開催することとした。以下がメールマガジンで告知した開催案内の補足です。

・参加確認はドライブスルーで行います。
・荷物を下ろす場所は原則として土手手前のスペースとします。雨天の場合は教室に置くことができますが、一度に教室に入る人数をトイレ側、階段側からそれぞれ1名とします(昼食の搬入もこれに準じます)。撤収も同様に行います。
・YRSオーバルレースFSWのミーティングはYRSバンの周囲で行います。雨天の場合はトイレ前で行います。最後の総括も同様です。
・YRSオーバルスクールFSWの座学は教室では行わず、通常ホワイトボードに描くイラストを印刷したものを配布しFMラジオを通して参加者がクルマに乗ったまま行います。最後の総括も同様です。
・走行開始後は可能な限り参加者がクルマから降りなくてすむよう配慮します。
・トイレに手指消毒用のハンドソープを準備します。参加者自身で複数のトイレ使用を避ける努力をお願いします。
・教室に除菌用のアルコールを用意します。
・スクールレース、オーバルスクール参加中はマスクの着用をお願いします。
・その他三密につながらないように進行に配慮します。

YRSオーバルスクールに参加したことのある方はぜひYRSオーバルレースに、クルマを思い通りに動かしてみたい方はぜひYRSオーバルスクールに参加してみて下さい。

・6月20日(土)開催 YRSオーバルレースFSW開催案内
・6月21日(日)開催 YRSオーバルスクールFSW開催案内


※ YRSオーバルスクールを題材にした過去のブログをお読みいただけます。
第100回 YRSオーバルスクール
第202回 モメンタムレース
第282回 YRSオーバルスクールロンガー



第480回 YRSオリジナルビデオ ローンチコントロール

こんな時だから、 良かったらYRSオリジナルビデオをご覧になりませんか。

今回はルノー・スポールの官能的な加速感をお楽しみ下さい。

トゥインゴ ゴルディーニRS 歌う

トゥインゴ ゴルディーニRS 吠える

Launching Lutecia RS

ルーテシアRS ローンチコントロール

ルーテシアRS ローンチコントロール 筑波

メガーヌRS ローンチコントロール 外撮り

メガーヌRS ローンチコントロール 外撮り = メガーヌRSが沈む

メガーヌRS ローンチコントロール



第479回 人間の操作 vs 自動車の制御

17年ほど前のこと。ある特定のモデルに乗る人たちのグループがあった。ほとんどの人が車高調を組みSタイヤを履いた、いわゆる走り屋仕様に仕上げていた。グループのうちの数名がユイレーシングスクールを受講したことがあったので、スクールレースを開催する時に、グループのメンバーだけでレースがしたいという申し出を、スピンやコースアウトは絶対にしないことをメンバー全員に徹底するという条件で受けることにした。。

レース当日。噂には聞いていたが、彼らの走りを見て申し出を受けたことを後悔した。

サーキットを走りレースに参加するには速さがひとつの指標となる。それはそれで間違いではないのだけれど、速さを手に入れる方法には節度がなければならない、というのがユイレーシングスクールの思想だ。クルマはあくまでも道具であって、その対極に人間がいる。無機質の物体を知識と意思と感情を持ち合わせた人間が操る。運転というものはそんな営みだと思っている。だから、速さを追い求める行為は、ある意味で人間が自身の能力を引き上げることにつながらなければならないはずだ。

しかし彼らは不快な音を残しながら、FSWショートコースの1コーナーのクリッピングポイントまでABSを効かせたまま突っ込んでいた。

コーナーに対してブレーキングを遅らせればストレートエンドの到達速度がわずかだけど上昇するだろう。ラップタイムの向上に少しは影響する可能性がないわけではない。けれど、ブレーキングを遅らせた分ストレートでブレーキングを終えることができないからと言って、ABSを効かせていればステアリングが効くからと言って、ABSを効かせることを前提とした走りは人間が本来求めるべき速さとは異質なものだ。実際、ABSを効かせている間は機械任せなので姿勢を制御することができないからコーナーの最下点速度が遅く、ABSが介入しないように走ってもラップタイムは変わらない。緊急時の衝突回避のために開発されたABSを、安易に速さを求める手段に使うシーンを見るのはつらかった。クルマさんがかわいそうだった。


閑話休題。一時、F1GPのニュースで「ドライバーズエイドが禁止」というフレーズを頻繁に目にした。ドライバーがオートマチックトランスミッション、トラクションコントロール、ローンチコントロールなどのデバイスに頼って速く走るのは、ドライバーが自身の技量でマシンを速く走らせて競い合うというレースの精神に反するという理由で、また開発予算が潤沢なチームだけが優位に立つことを防ぐために、ドライバーを助けるこれらのデバイスの使用や無線を通じてドライバーを有利な状況に持って行こうとするコミュニケーションが禁止された。なんと言っても、F1GPはレーシングドライバー世界選手権なのだから。

一方で、ドライバーズエイドを運転手の負担を軽減する装置、また運転手の操作を積極的に補助する装置と定義をするならば、我々が運転するクルマにも様々なデバイスが装着されている。
運転手が最初に恩恵を被ったデバイスはブレーキアシストとパワーステアリングだろう。ブレーキアシストがついていなかったクルマは大きな踏力をかけないと制動力が立ち上がらなかった。踏力の調整が難しかった。ノンパワーのステアリングは重いだけではなく、運転手の負担を軽減するためにステアリングギア比が大きくなっているからステアリング操作が忙しかった。
次に登場したのが初期のABS(アンチロックブレーキシステム)か。まだクルマの制御がアナログ的だった頃は、ABSの作動が荒々しくて驚いたものだけど、踏力の強さを意識しないですむ点と、思いっきりブレーキペダルを蹴とばしてもタイヤがロックしないのは純粋に人間を補佐してくれていた実感があった。その次が電子制御に頼らないLSD(リミテッドスリップデファレンシャル)か。他にも自動車技術の発達がもたらした列挙できないほどのデバイスが運転の質を変えてきたことによって、現代の自動車が存在していることは間違いない。

ところが自動車技術とコンピュータ技術が発達してクルマの制御がデジタル化されブラックボックス化されると、人間の操作がダイレクトにクルマの挙動につながっていないのではないかという疑問が生じる。なにしろ、今やスポーティモデルならトラクションコントロールやトルクベクタリングが当たり前。

しかし、中には運転支援システムという名の元に、そこまでやらなくてもいいんじゃない、ドライバーの代わりをするようなデバイスは運転に対する人間の能力と集中力を損なうことになるんじゃない、と言いたくなるようなデバイスが登場したり、運転はクルマ任せでいいんですよ、ってイメージしそうになりそうなCMが流れたり。


ま、運転が手軽になったのを誤解して気軽に運転してしまう人は後を絶たないし。もはや運転という行動に畏怖の念を感じないのか、自分のやりたいように走る人が増えているような気がするし。こういうのを時代の流れと言うのだろうか。それでも、個人的にはそんな風潮に抵抗したいので、デバイスを次の3つに分けて溜飲を下げている。

クルマの性能を向上させると言うよりも人間のクルマに対する理解度を上げてくれるモノ。
人間に楽をさせて本来の運転の厳しさをオブラートで包むようなモノ。
人間がミスをしてもなんとかしてくれると思わせるモノ。

は歓迎するが、は個人的にだけど必要だとは思わないし興味がない。は運転教育と対になっていない場合は意義を感じない。

自動車技術の進化がクルマを操る人間に与えてきた影響は大きい。様々なデバイスは人間がクルマを操る上で大きな恩恵を与えてくれた。しかし一方では、本来は慎重の上にも慎重を重ねて運転しなければ大きくて重くて速く走るクルマを操ることなどできないはずなのに、デバイスがその意識を殺ぐことにつながる場合がなくはない。

だから、ユイレーシングスクールを受講してくれた人にはおせっかいを承知で、「この際、これからクルマとどうかかわっていくのか1度考えてみてはどうですか」と言うことにしている。例えば、ドライバーズエイドがついていないクルマに乗っている人には、運転に対して自立性を保つためにもそのクルマを大切に長く乗られたほうがいいと思いますよ、と。ドライバーズエイド満載のクルマに乗っている人には、どんな場面でもデバイスが介入する寸前を察知しデバイスのお世話にならない運転を目指して下さい、やればできます、と。

昨年12月に開催したアルピーヌA110体験試乗の感想文(439回440回441回442回445回447回448回449回)の中にも、走行中にデバイスの介入を経験したという記述があるけど、デバイスが介入したということはその寸前の操作がその場面にふさわしくないとクルマが判断したことになる。
問題はその後で、デバイスが介入した時に「だからデバイス付きのクルマに乗っているのだよ」と思うか、あるいはデバイスが介入していても気づかないほどクルマの動きに無頓着なのか、もしくはあらゆる場面でデバイスが介入しないような操作ができることを目指すか。そのあたりが道具であるクルマと人間がどうかかわっていくかの別れ道になる。せっかく人間能力拡大器であるクルマを所有しているのだから、クルマとのかかわり方に思いめぐらすのも悪くないと思うのだけど。

さらに、クルマにも性格がある。人間が受け身のままでは、そしてクルマとの付き合い方を軽んじると、クルマの本質に触れる機会を逸しているかも知れない。例えば、

474-1
ドライバーズエイドに勝るもの
それはA110をここまで軽量化した自動車技術
慣性力に大いに影響されるクルマの運動性能
質量を小さくして影響力を最小限に押さえつつ
タイヤのコンタクトパッチの変形も最小限に抑える
原理原則を忠実に具現化した
四輪自動車の理想

474-2
本来ならドライバーが精進して身につけなければならないものを
先行してこうすればいいのだよと教えてくれる教育的なメガーヌRSの4コントロール
どう関わるかで価値が決まる
意識しないのか
ゆだねてしまうのか
原理を解き明かし物理学を自分のものにするか
近代自動車技術の手本

747-3
YRSオーバルスクールに来てくれた
Kさんのランチア フルヴィア 1.3に乗せてもらったけど
いつもの5倍ぐらいの力をいれないと効かないし
急に踏力を立ち上げると前輪がロックするノンパワーブレーキに
切り始めても動きにタイムラグがあってノターって感じの重たいノンパワーステアリング
人間が先を読んで先を読んで先手をうつ必要があって
あ~運転しているという気分に目を見開く
人間の四輪自動車との対峙

474-4
YRSツーデースクールに来てくれた
Nさんのマクラーレン600LT
乗せてもらったけどとにかく速い
動きが破綻せずに速い
常に安定しているから自分の上手さかどうか自信が持てない
デバイスが介入していたとしても不自然さはない
F1の技術を拡大解釈するとこうなる


あなたはこれから、クルマさんとどうかかわっていきますか?