トム ヨシダブログ


第29回 奥比叡ドライブウエイ その2


湖西に雪が降る季節になった。奥比叡は今、どんなヨソオイなんだろ。

昨年。奥比叡ドライブウエイにトゥインゴGTを連れ出した時。せっかくワインディングロードを走るのだからと、データロガーを載せていった。
データロガーと言っても大げさなものではなく、フロントウインドに吸盤で取り付けてシガーライターのソケットに差し込むだけの簡単なもの。ただ、GPSの電波を拾って位置情報からクルマの動きを記録するので、速度はもちろん加減速Gや横G、果ては軌跡や標高など、操作を解析するには十分なデータが残せる。

サーキットでは『なぜタイムがでないのか?』なんて難問を説明する際に役立つデータロガーだが、なにも使い道はクローズドコースに限らない。まして、ワインディングロードじゃなくて市街地でもクルマをどんな風に動かしているかを知ることができる。もっとも、無料のアプリケーションソフトをダウンロードして自分で解析しなければならないが、これはこれで面白く、クルマが『きちんと作られた道具』であることを改めて思い知らされることになる。


ユイレーシングスクールが使うデータロガーのパフォーマンスボックス

自分がどんなイメージでクルマを動かしているのか知るのには、初めて走る奥比叡ドライブウエイは絶好の題材。何度も走って練習すると、学習してうまくまとめてしまうから、今回は、これも初めて走ることになる復路を1回だけ走ってデータを採取。
クルマの運転というものは、つまるところ、いかにクルマを安定させて走るかにつきるわけで、自分が安定させて走っていると確信していても、後からデータを見てみると「あれ~ぇっ」なんてこともある。
今回がいい例で、いささか自信のあった自分の運転を省みるまたとない機会だった。決して操作が間違っているわけではないく、一般的に見ればクルマをきちんと制御している範囲ではあるのだが、『ターンインの手前でノーズを拾った』つもりだったのにまだ前傾姿勢だったり、『ブレーキング区間の最後でマイナスの減速度を限りなくゼロにした』つもりだったのにまだクルマが減速していたり、『初期の舵角を少なくした』つもりだったのに身体には感じないアンダーステアが出ていることがわかったり。自分のイメージと実際のクルマの動きに少なくないズレがあったことはまぎれもない事実。
省みるに、トゥインゴGTのふところが深いサスペンションに気を良くして、ホイールベースの短さを見込まないで操作していたのかも、という結論に至った。安定させることをテーマに操作したつもりだったが、感じられないところで微妙にバランスが崩れていたことになる。正直言って少しばかり落ち込んだが、これもまた勉強。

自慢にはならないし、参考にもならないと思うが、その時のデータの一部を公開。クルマがどんな姿勢で動いていたか想像することはできると思う。
見難いかもしれないが、図は左の座標が加減速Gで赤い折れ線グラフで増減を、右の座標は横Gで青い折れ線グラフで表示している。軌跡上の緑の丸がクルマの位置、グラフの中にある緑の縦線が対応するクルマの加速度を示している。ちなみにグラフでは、加減速Gがゼロを基点に最大0.7Gとマイナス0.6G、横Gは同じくプラスマイナス1.4Gを表示している。


ターンイン手前の減速中。


まさにターンイン。


コーナリング中。


S字コーナーの切り替えし地点。


コーナリング中。

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※ 次回Yゼミは1月28日(土)に開催します。ルノーオーナーの方、ぜひ話を聞きに来て下さい。

・YRS Yゼミ開催案内


第28回 第1回Yゼミ

少しばかり古い話になるが、昨年12月の第1土曜日。YRSリトリートでYゼミを開催。インターネットでの募集に応募してくれた3名が参加。
春に開催したルノースポールゼミに参加した後、富士スピードウエイのユイレーシングスクールまで足を伸ばしてくれたWさん。今回も真っ白なメガーヌRSを駆って現れた。
申込書の車両欄にフィアットパンダと記入されたNさん。実はロータスエリーゼもお持ちで、サーキット走行を楽しんでいるとか。
ダートラ仕様のミラージュで登場のMさん。JAF公認のスピードラリーに参戦中で、上位を目指すために参加してくれた。

キャプション:参加者が全員そろったところで記念撮影。

クローズドコースで開催するユイレーシングスクールのプログラムは、朝いちばんに行う座学で始まる。その日に練習する内容の説明と、練習の目的と、目的を達成するために必要な操作を理論的に説明する。その日のテーマが明確になれば効果的な練習ができる。
1回でもユイレーシングスクールに参加した人がクルマを安定させて走らせることができるのは、この理にかなった運転を説く座学に負うところが大きい。

というわけで、ユイレーシングスクールの特徴である座学だけを抽出したのがYゼミ。
近所の道でトランジッションとイーブンスロットルを体験してもらうために30分ほど走るだけで、あとは朝10時から夜の9時近くまでクルマと運転の話ばかり。当然、実際のドライビングスクールより情報量は多い。
ユイレーシングスクールが用意したビデオや参加者が持って来たビデオを見ながら操作を解説し、わかりにくいところは図を書いて説明する。
その場で運転の練習ができるわけではないけれども、Yゼミで得た知識を実際の運転にあてはめようとするだけでドライビングポテンシャルは間違いなく向上する。なにしろ理論を理解するには想像力が必要だし、想像すればイメージが造れるし、運転に必要な客観性を養うこともできる。そこがYゼミの狙い。今年から少しばかり能動的に運転してみようという方にはYゼミがお勧めだ。

メガーヌRSに乗るWさん。

パンダで登場のNさん。

ダートラ仕様のミラージュをラリー用に改造中のMさん。

話をして、ビデオを見て操作の説明をして、またビデオを見て。

サスペンションが動くモデルを使って姿勢変化と荷重移動の関係を説明する。

初対面同士でもそこはそれ。クルマ談義に花が咲く。

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※ 次回Yゼミは1月28日(土)に開催します。ルノーオーナーの方、ぜひ話を聞きに来て下さい。
・YRS Yゼミ開催案内
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●クルマはよくできた道具なので、性能を発揮させるためにはそれなりの使い方を知る必要があります。ユイレーシングスクールが10周年を記念して制作したCDを聞いてみて下さい。バックグラウンドミュージックもないナレーションだけのCDですが、クルマを思い通りに動かすためのアドバイスが盛りだくさん。クルマ好きにとっては一生ものの5時間34分です。
YRS座学オンCD案内頁


第27回 奥比叡ドライブウエイ その1

天気予報は外れ。朝一番でゲートに入ったのに。

近くにありながら行く機会のなかった比叡山ドライブウエイに行ってきた。と言っても、朝7時のゲートオープンと同時に走ってきたのは正確に言うと奥比叡ドライブウエイ。
比叡山山頂へと続くこのワインディングロードは、実は2つの会社が運営しているとかで、京都方面から山頂を目指す比叡山ドライブウエイと琵琶湖方面から入る奥比叡ドライブウエイとに分かれる。

紅葉真っ盛りと思いきや、ピークは過ぎてしまったようで。

琵琶湖大橋に近い仰木ゲートをくぐりしばらく走ると勾配が急にきつくなる。比叡山自体の斜面が急なのだろう、コーナーの曲率は小さく直線部分はほとんどない。少し走るたびに耳がツーンとしたことでも勾配が急なことがわかる。

町のなかでは少数派の赤いボディカラーも自然の中では麗しく。

天気予報がみごとに外れどんよりとした曇り空を見上ながら走るものの、【晴天・紅葉・トゥインゴ・見晴らし】を実現できると思っていたものだから、いささか意気消沈。今回は仰木ゲートから10キロほどのところにある峰道レストランの駐車場で折り返しすことにした。それでも比叡山の雄大さを感じることはできた。

肉眼では見えた琵琶湖も写真では。

とにかく展望がすごい。急に立ち上がった山だからなのだろう、眼下には手前に湖西の町並が、その向こうに琵琶湖が広がり、対岸の遠くにある山々までが見渡せる。この日は霞んでいて墨絵のようだったが、晴れていればここからの眺めを味わうだけでも少しばかり高い料金の元は十分に取れるはずだ。

データロガーのデータ。

ワインディングロードを走るのだからとデータを取ってみた。右の図は仰木ゲートから峰道レストランの先にある検札所までの軌跡。走った時はもっとたくさんのコーナーをクリアしたように思えたものだが。左の図は標高を示す。仰木ゲートが230mぐらい。7キロで740mまで駆け上がったことがわかる。

晴れていれば背景に琵琶湖が映りこむロケーションなのだが。残念。

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●クルマはよくできた道具なので、性能を発揮させるためにはそれなりの使い方を知る必要があります。ユイレーシングスクールが10周年を記念して制作したCDを聞いてみて下さい。バックグラウンドミュージックもないナレーションだけのCDですが、クルマを思い通りに動かすためのアドバイスが盛りだくさん。クルマ好きにとっては一生ものの5時間34分です。
YRS座学オンCD案内頁:http://www.avoc.com/cd/


第26回 今年もそろそろ終わり

日本に来て最初にドライビングスクールを開いたのが1999年12月9日。間もなくユイレーシングスクールの12年目が終わろうとしている。

今年最後のYRSオーバルスクール&YRSオーバルレースで記念撮影。

今年もクルマが好きで、運転することが好きな方々がユイレーシングスクールを受講してくれた。その数、延べ509名。12月3日のYゼミに2名の申し込みがあるから、合計510名を超えることは間違いない。
アンケートをとっても、受講してくれた方から運転が上手くなったと感じる、運転がより楽しくなったといった声が聞こえてくるから、今年もスクールの目的を達成できたかなと安堵する一方で、少しばかりの不安もある。

受講者数が明らかに減少傾向にあることだ。比較のために例をあげると、最も受講者が多かったのが2003年の1,474名。その年は年間56回の様々なドライビングスクールを開催した(ちなみに最も開催数が多かったのは2004年の年間68回)。しかしながら今年は最後のクローズドコースのスクールが終わっても約3分の1の509名。受講者の需要を見込んで開催したスクールの数も31回に減った。
ユイレーシングスクールの受講者だけが減っているのであれば、スクールにその原因があるのだろうから致し方ないとしても、他のドライビングスクールも、サーキットの走行会も、はてはサーキットを走る人そのものが減っているという。つまりクルマが好きな人でも運転をしなくなった、ということなのかも知れない。
だとすると、極めて残念なことだ。クルマは単なる移動の道具ではなく、操る人の生活に無限の断面を見せてくれる人間の友達でもある。

世の中が運転を楽しむ雰囲気ではないという声も聞こえてはくるが、だからと言って好きなことをすることを放棄するのはもったいない話だ。
省エネだからクルマに乗らないほうがいいという意見も、少しばかり短絡的に思えるし、クルマの運転を楽しみながら省エネに貢献する方法だってある。

日本人はすこしヒステリックかも知れない。日本人であるボクが言うのもおかしなものだが、クルマ以外にもやることがたくさんある時代。結果的に我々は有限資源を使わなければ生活できない立場にあるわけだから、むしろ、クルマが好きか運転が好きかを自分に問い直して、ほんとうに好きならば堂々とクルマの運転を楽しむべきだと思う。
卒業生に勧誘のメールを出しても、その気にならないといった返事が来るにつけ、「クルマ?手放しました」と聞くにつけ、みんなもっと元気をだせよ、と言いたくなる。

来年はより多くのクルマ好き、運転好きがユイレーシングスクールに遊びに来てくれないかなぁと思うこの頃。

Yゼミの会場。現在2名の申し込み。まだ間に合います。

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ユイレーシングスクールでは以下のドライビングスクールを開催します。クルマの使い方に興味のある方は参加してみませんか?トゥインゴGTもお待ちしています。(詳細は以下の案内頁をご覧下さい。)

○ 12月3日(土)YRS Yゼミ 案内頁&申込フォーム

http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=ds&p=y-rs

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●クルマはよくできた道具なので、性能を発揮させるためにはそれなりの使い方を知る必要があります。ユイレーシングスクールが10周年を記念して制作したCDを聞いてみて下さい。バックグラウンドミュージックもないナレーションだけのCDですが、クルマを思い通りに動かすためのアドバイスが盛りだくさん。クルマ好きにとっては一生ものの5時間34分です。
YRS座学オンCD案内頁:http://www.avoc.com/cd/


第25回 YRS プライベートレッスン

参加者とスタッフで記念撮影。
※前夜に撮影した時のASA感度を戻すのを忘れて撮ったために粒子が粗かった。悔しいぃ。

 11月初旬の土曜日。「例年より初冠雪が早かったというのに富士山に雪はないし、山も色づいてないし、やっぱし暖かいのかねぇ。紅葉見れないし、改めて出直してコウヨウ」な~んてスタッフと戯れながら、YRSプライベートレッスンは始まった。
 今回はポルシェクラブ千葉の依頼で開催。楽しみながら運転技術を磨たい、日ごろ性能を発揮させることが難しいクルマを思いっきり走らせてみたい、そんな要望から当日のカリキュラムを決定。
 「いつもの」半径22m直線130mのYRSオーバルロンガーでのイーブンスロットル、トレイルブレーキングを練習し、次に同じオーバルをインターセクションで結んだフィギュア8(8の字型コース)で切り替えしの練習することにした。加えて、性能の高いクルマばかりなので高速コーナリングを体験してもらおうと、全長460mのトライオーバル(おむすび型オーバル)を走ってもらうことにした。
 YRSらしく1000分の1秒までラップタイムを計測して走行中に読み上げるから、全てのカリキュラムをこなすとかなりスポーツした気分にもなれる。
 集まったのは、997GT-2が3台、964カレラ2が2台、ボクスターSが2台、996GT3、997カレラS、997カレラS CAB、997カレラS Tip、ケイマンS、73カレラ(ナロー)がそれぞれ1台。秋晴れのもと、この日ばかりは全員が床が踏み抜けんばかりにスロットルを開けていた。

 前回のレッスンで試してもらった左足ブレーキングに磨きをかけてきた人もいたし、前回よりトランジッションのとり方が上手くなった人もいた。ドライビングスクールをやっていて良かったなぁと思えるのは、そんな参加した方のドライビングポテンシャルの向上を目にした時だ。これだからドライビングスクールはやめられない。

ひと通りのカリキュラムが終わる頃、聞けば全員がお腹いっぱい。予定より早めに切り上げることになったのだが、オーナーにとっては『所有欲』に加えて『使用欲』をも満たしたクルマ漬けの1日だったに違いない。

・YRSプライベートレッスン案内頁

http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=ds&p=ypy

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ユイレーシングスクールでは以下のドライビングスクールを開催します。クルマの使い方に興味のある方は参加してみませんか?トゥインゴGTもお待ちしています。(詳細は以下の案内頁をご覧下さい。)

○ 11月20日(日)YRSオーバルスクール FSW 案内頁&申し込みフォーム

http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=os&p=osf

○ 12月3日(土)YRS Yゼミ 案内頁&申込フォーム

http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=ds&p=y-rs

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●クルマはよくできた道具なので、性能を発揮させるためにはそれなりの使い方を知る必要があります。ユイレーシングスクールが10周年を記念して制作したCDを聞いてみて下さい。バックグラウンドミュージックもないナレーションだけのCDですが、クルマを思い通りに動かすためのアドバイスが盛りだくさん。クルマ好きにとっては一生ものの5時間34分です。
YRS座学オンCD案内頁:http://www.avoc.com/cd/


第24回 Yゼミ開催

 来たる12月3日の土曜日。ユイレーシングスクールは滋賀県大津市のYRSリトリートでYゼミを開催します。
 ビークルダイナミックスから安全運転、サーキットの走り方、クルマのいじり方まで、クルマを楽しむコツをお話します。また、どんな質問にもお答えします。
 正式な開始は午後1時ですが、午前10時からは入場可能です。ただし午前中に到着される方はご自身の昼食をご用意下さい。飲み物、夕食は参加費に含まれています。
 定員4名のところ、現在2名の方の参加を受理しています。ゆったりとした雰囲気の中でクルマ談義に花を咲かせてみませんか。
 

Yゼミの会場、YRSリトリート

・Yゼミ案内頁&申し込みフォーム

http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=ds&p=y-rs

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ユイレーシングスクールでは以下のドライビングスクールを開催します。クルマの使い方に興味のある方は参加してみませんか?トゥインゴGTもお待ちしています。(詳細は以下の案内頁をご覧下さい。)

○ 11月20日(日)YRSオーバルスクール FSW 案内頁&申し込みフォーム

http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=os&p=osf

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●クルマはよくできた道具なので、性能を発揮させるためにはそれなりの使い方を知る必要があります。ユイレーシングスクールが10周年を記念して制作したCDを聞いてみて下さい。バックグラウンドミュージックもないナレーションだけのCDですが、クルマを思い通りに動かすためのアドバイスが盛りだくさん。クルマ好きにとっては一生ものの5時間34分です。
YRS座学オンCD案内頁:http://www.avoc.com/cd/


第23回 YRSツーデースクール

運転の上達には理論としてのビークルダイナミックスを理解することが大切だが、同じくらい操作に慣れることも重要だ。特に操作とクルマの挙動の因果関係を把握するためには、頭でっかちにならないためにも、ある程度の走り込みが必要になる。
ということで、ユイレーシングスクールではドップリ運転に浸かってもらおうと2002年に2日間のドライビングスクールを始めた。YRSツーデースクールだ。途中、開催地に適当な場所がないことから中断していたが、2005年に富士スピードウエイのショートコースが完成したのを機に再開。今年の1回目は震災直後の予定だったため中止したが、先日11回目のYRSツーデースクールを開催した。

2日間たっぷり走ってお腹いっぱい。心地よい疲労と満足感。

どんなクルマが集まったかは下の表を参考にしてもらうとして、北は札幌市から西は西宮市、甲賀市、犬山市、あるいは上田市の遠方からの参加者も含め、27名が大いに走り回った2日間だった。

19歳から64歳まで、サーキット未経験者からレース経験者まで多彩。

ルノー車もメガーヌRSとルーテシアRSが1台ずつ参加。今回は彼らの走りをご覧いただこうと思う。

乾いたサウンドを残して、

5%勾配のストレートを駆け下る。

最終コーナーは後半が下り。スロットルを開けすぎると失速する。

1コーナーからヘアピンまで、リズミカルにクルマを前に進める。

最終コーナー進入。ブレーキングが上り。上りきってフラットになってターンイン。

広いサーキットでも抑揚のあるボディは存在感は十分。

インフィールドから裏のストレートへ。タイムアップの要所。

最後のチェッカーフラッグが振られYRSツーデースクールも幕を下ろす。

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ユイレーシングスクールでは以下のドライビングスクールを開催します。クルマの使い方に興味のある方は参加してみませんか?トゥインゴGTもお待ちしています。(詳細は以下の案内頁をご覧下さい。)

○ 11月20日(日)YRSオーバルスクール FSW 案内頁&申し込みフォーム

http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=os&p=osf

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●クルマはよくできた道具なので、性能を発揮させるためにはそれなりの使い方を知る必要があります。ユイレーシングスクールが10周年を記念して制作したCDを聞いてみて下さい。バックグラウンドミュージックもないナレーションだけのCDですが、クルマを思い通りに動かすためのアドバイスが盛りだくさん。クルマ好きにとっては一生ものの5時間34分です。
YRS座学オンCD案内頁:http://www.avoc.com/cd/


第22回 運転は上手くなればなるほど楽しい

 

昨年からスクール開催日に雨が降ることが多い。年間50数回開催して降られたことがない年もあったのだが。雨の中にたたずむトゥインゴGT。

今年予定しているドライビングスクールも残りわずか。11月にはユイレーシングスクールの12年目が終わる。
12年もの間、よくも受講生に同じことを言い続けてきたものだ、と思う一方で、年々受講者数が減っていることに危機感を覚える。世の中ではクルマ離れとか言われているけれども、その影響なのか。

初参加の方のルーテシアRSと並んで。

ともあれ、ユイレーシングスクールにはまだまだクルマが好きで、運転が大好きな人が集まってくれる。
9月末のオーバルスクールには13名が参加。最年長が63歳。平均年齢44歳と若者とは呼びにけれども、運転を楽しみたいという思いが純粋にあふれている方ばかり。クルマはロードスターからポルシェGT3まで実に様々。

いい天気だし、せっかくだから参加者に並んでもらって記念撮影。

楕円形のコースをぐるぐる回ってどこが面白いの、という声もあるそうだが、今回は5名がユイレーシングスクール初参加。中には8年もオーバルスクールに通ってくれているベテランも。
オーバルスクールの特徴はコースレイアウトが単純だから、走るのに初心者でも敷居が高くないこと。ところが、わずか10数秒の間に2回コーナリングを行うわけで、クルマの加速、減速、旋回の機能を発揮させるのが目的だから、ベテランに言わせれば上手くいくことのほうが稀ということになる。

しかし、しかし。それは考えすぎ。何10回もいろいろな形のオーバルコースを走っているベテランが「気持ちよく回れたラップなんかほとんどない」と嘆いたとしても、四半世紀以上クルマの運転を教えてきた経験からすると、ユイレーシングスクールに参加したことのない人に比べれば、彼らのドライビングポテンシャルは十分に高いと断言できる。
そう。彼らの悩みは、もっと上手くなりたいと思う気持ちの裏返し。十分に上手いのにさらに先を目指す。ひとつのことに集中するのは最近の流行りではないかも知れないけれど、彼らは一生の間好きなクルマで傷ついたり、好きなクルマを傷つけたりはしないはずだ。

初めてオーバルコースを走った人も、まず「上手くいかない」と言う。思うようにクルマが動いてくれないと訴える。しかし心配は無用。1回でもオーバルスクールの洗礼(?)を受けた人は、まずクルマがいやがる操作をしなくなるし、ユイレーシングスクールの目的は操作に正解を求めるのではなく、その人の運転力を目覚めさせることなのだから。
だから、初めての体験に戸惑う参加者には『今日初めてやることだからできなくて当たり前なんです。正解を求めずに、あれも間違いではない、これも間違いではない、それも間違ってはいなかった、なぁんて運転を目指してみて下さい』と言うことにしている。

大好きなクルマが思い通り動いた時が嬉しいのではなく、思い通りに動かしたいという気持ちを持ち続けることこそが楽しい。だから上手くなる。ユイレーシングスクールはそう考えます。

数年前までは数えるほどしか、それも古いルノーばかりだったが、最近ではオーバルスクールでも、

サーキットを使ったドライビングスクールでも見かける頻度が高くなった。実際、このブログを目にして参加を決めた方が多い。

※ルーテシアRSとメガーヌRSに乗っている方。2台ともフロントアクスルに特長があるので、一度ユイレーシングスクールでステアリングワークについてのウンチクを聞かれることをお勧めします。

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ユイレーシングスクールでは以下のドライビングスクールを開催します。クルマの使い方に興味のある方は参加してみませんか?トゥインゴGTもお待ちしています。(詳細は以下の案内頁をご覧下さい。)

○ 11月20日(日)YRSオーバルスクール FSW 案内頁&申し込みフォーム

http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=os&p=osf

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第21回 クルマと自分を制御する


トゥインゴGTで筑波サーキットコース1000のインフィールドを走る。
トゥインゴの足はたいしたもんだ。ちゃんと動くし破綻することがない。
(画像は全て中沢隆志氏撮影)

今年のF1グランプリはいつになく面白い。理由はいくつかあるが、外撮りにしろオンボード映像にしろドライバーがとてつもない次元でクルマをコントロールしているのを見て、ついついソファから立ち上がってしまう。特にセバスチャン・ベッテルのブレーキングやカウンターステアは汗ばむほど刺激的だ。
なぜ彼らはあれほどの速度であのような操作ができるのか。他のスポーツのトップアスリート同様、むしろそれ以上に反射神経がすぐれているからだろう。限界で走りながらも数秒後、いやコンマ何秒後に起きるだろうことを予測する想像力にも秀でているに違いない。最大4Gと言われる加速度にも翻弄されない強靭な身体を持ち、それでいてクルマの動きを連続的に把握することもできるのだろう。
日本のメーカーがF1から撤退してからというもの我が国での露出は減ってしまったが、F1ドライバーの運転はクルマが好きな我々にとってあこがれであることに変わりはない。


富士でも筑波でもサーキットを使ったドライビングスクールではスラロームの練習をする。
狙いはローリングとピッチングを自分の操作で制御すること。

しかし、我々も彼らのようにクルマを思いのままコントロールすることはできる。
もちろん速さも加速度もはるかに及ばない次元での話ではあるが、逆に、彼らの日常にある速度は我々にとって現実的ではない。我々が経験できる速度域ならば、我々もF1ドライバーよろしくクルマを自由に操れるという意味だ。

クルマの運転は、F1も含めて、陸上競技などのスポーツと決定的に違うことがある。それは運転している間は身体のどの部分も地面に接していないことだ。
足が地面に接していれば地面が滑りやすいかどうか感じることができる。スキーをする時もスキー板を通してゲレンデの勾配を感じられる。歩いていれば、向かい風なのか追い風なのか自分が置かれている環境も把握することができる。
ところが、いわば密室であるクルマに乗っていて、なおかつ身体のどこも地面に接していないとなると、自分が動いているという状況を感じることすら難しい。まして、路面の状況を知り、タイヤのグリップの限界を探ろうとすることなど至難の業だ。

そんな現実から逆算すれば、クルマの運転に大切なことが見えてくる。
我々はF1ドライバーではないのだから、類稀な反射神経を備えている必要はない。大切なのは自分が何かの操作をしようとする時に、クルマの状況が把握でき、どれだけの操作をどのタイミングですればいいのか正確に判断ができることだ。
だから、クルマの運転で最も大切なのがドライビングポジションということになる。


もちろん、走行の合間にミーティング。
操作とクルマの動きの因果関係をわかりやすく説明する。

地面に触れていないのだから、クルマの状態や路面の状況を判断するにはシート、床、ステアリングホイールからの圧力の変化と、自分自身で感じる加速度を頼りする以外にない。それなのにシートの上で身体が踊っていたり、ステアリングホイールをぎゅっつと握りしめていたらどうだろう。
少なくとも路面からの情報が正確に伝わらないばかりか、どれだけの操作をしたらいいのか判断もつかないだろう。

速く走ろうとする人が陥る罠がここにある。頑張ろうとする気持ちが身体を硬くして加速度に翻弄されてしまうのだ。
S字コーナーで切り替えしが遅れる人は、まず背骨がシートバックとずれている。オーバルコースや長いコーナーを走っている時に、それまでより肩の位置が高くなる人も同じ。操作をする時に身体も動いてしまっているから、操作のタイミングが遅れるし、操作量も適切ではなくなってしまう。


参加者を乗せての同乗走行。コース1000の最終コーナーを立ち上がる。
同乗走行の目的はクルマが常に安定している状態を身体で覚えてもらうこと。

自動車レースの職業運転手を目指すのでなければ反射神経の鈍さを嘆く必要はない。正確な操作をしやすいドライビングポジションを探し続ける努力をすれば、クルマと一体になれる可能性はある。クルマと一体になった時、クルマの動きがよくわかり、どんな操作をすればいいかが見えてくる。
だから、ユイレーシングスクールではサーキットでのドライビングスクールで高速スラロームをカリキュラムに取り入れている。速い切り替えしを目指すことで力の入れ所、入れ具合がわかってくる。

この高速スラロームを体験した人はいちように「面白かった」と言う。せひ皆さんも体験してほしい。


コース1000の1コーナーを抜ける。写真ではわかりにくいが1G以上の横Gがかかっている。

※ユイレーシングスクールでは運転にまつわる質問にお答えします。匿名でかまいません。クルマの動かし方に疑問のある方は以下のアドレスにお送り下さい。このブログで回答させていただきます。
・ユイレーシングスクール03ma@avoc.com

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ユイレーシングスクールでは以下のドライビングスクールを開催します。クルマの使い方に興味のある方は参加してみませんか?トゥインゴGTもお待ちしています。(詳細は以下の案内頁をご覧下さい。)
特に10月のツーデースクールはオススメ。1日目にジムカーナ場で基本操作を反復練習し2日目にショートサーキットで少し速い速度での走行を体験します。2日間でクルマとの対話が進むことは請け合いです。

○ 9月8、9日(土、日)YRSツーデースクールFSW 案内頁

http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=ds&p=2ds

○ 10月16日(日)YRSドライビングワークショップFSW 案内頁

http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=ds&p=dwf

○ 10月20日(木)YRS筑波ドライビングスクール 案内頁

http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=ds&p=tds

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●クルマはよくできた道具なので、性能を発揮させるためにはそれなりの使い方を知る必要があります。ユイレーシングスクールが10周年を記念して制作したCDを聞いてみて下さい。バックグラウンドミュージックもないナレーションだけのCDですが、クルマを思い通りに動かすためのアドバイスが盛りだくさん。クルマ好きにとっては一生ものの5時間34分です。
YRS座学オンCD案内頁:http://www.avoc.com/cd/


第20回 姿勢を正す


渡米する前からお世話になっていた扇屋旅館。4階にある富士山の全貌が一望できる大浴場がスキ。

クルマを運転するということは、クルマに乗って自分自身も移動しながらスロットル、ブレーキ、ステアリングを操作してクルマを走らせることだ。当たり前のことだが、運転とはそういう行動を指す。
よくできた機械であり無機質のクルマを、あいまいさが身上(?)の人間が操るのが運転でもある。だから運転は楽しいし、奥が深い。

ユイレーシングスクールではクローズドコースを使って速く走るための練習をしている。操作とクルマの動きの因果関係を経験するには、とりあえず速く走って見ることが近道だからだ。
そして過去11年間。ほぼ毎年新しいカリキュラムを導入してきた。リピーターに飽きられないよう(!)に次のステップを用意するためだ。今回、あるクラブ向けにドライビングスクールを行ったのを期に、来年導入を予定している8の字型コースを使ったカリキュラムを試してみた。題してフィギュア8。

ユイレーシングスクールの目玉であるオーバルスクールと異なり左右の切り返しが必要になる分、参加者がどう対応するか少しばかり不安があったが、これが大成功。参加者はクルマの運転を楽しみながら、かなりのレベルまでクルマを安定させて走ることに成功していた。


時間の節約のために2台ずつ走る。

操作自体にも言えることだが、安全な運転と速く走るための運転には共通した思想がある。クルマを常に安定させて走らせなければならない点だ。
クルマは動き出すとスロットル、ブレーキ、ステアリングの操作に反応し、ピッチング、ローリング、ヨーイングの3つの動きをする。結論から言うと、クルマが不安定になるのは2つ以上の動きが重なる場合がほとんどで、操作が重ならないように運転することができればクルマは安定して走るように作られている。
速さをテーマに走ることで少しばかりクルマを不安定にして、そこから逆算してどんな操作がクルマを安定させるかを体験するのがフィギュア8の目的だ。


必要に応じてスタッフが引っ張る(リードフォロー)。

1周27秒ほどの周回の中に2回ないし4回のブレーキングと、少なくとも4回のステアリングワークをしなければならないのだから忙しさは確かにある。しかし人間の学習能力というものは大したもので、周回を重ねるうちに速さに逆行するような操作を自然にひかえるようになる。
つまり、速く走ろうとするからこそ、クルマを安定させるコツがわかるという次第。


走行中のタイムを1000分の1秒まで計測してリアルタイムアドバイスとともに伝える。

ところが、慣れてくると走行中に読み上げられるタイムを縮めようとしたくなる。欲を出して頑張ると、途端にタイムが落ちる。どこかで操作が重なり、クルマが不安定になって失速してしまう。言うまでもなく、速く走ろうとしたあまり、クルマの状態を無視した操作をしてしまったからだ。
それでも広い場所に作ったパイロンコースを走っているのだから危険はない。


追う方と追われるほうがそれぞれにクルマをコントロールする。

2台連なって走ると、これまたクルマのバランスを崩しやすくなる。前を走るクルマに追いつこう、後のクルマを引き離そうとクルマの状態おかまいなしに欲を出した時だ。クルマはよくできた機械だから、操作(入力)された通りに動く。操作が理にかなったものでなければクルマがバランスを崩すのは当然のこと。人間の勝手な欲を受け入れてくれるほどクルマは寛容ではない。

ユイレーシングスクールは安全に配慮した会場でしか開催しないから、操作を間違ってもクルマが傷つくことはない。傷つくのは欲を出した当人の自尊心ぐらいなものだから心配は無用。免許取り立ての人も運転経験豊富な人もぜひ一度ユイレーシングスクールに遊びにきてほしい。

自分でこうしたい、と思ってもクルマがそうならない場面というのは無数にある。そうしたいのならば、クルマがそうなるような手続きを踏む必要がある。その手続きこそ安全運転につながるものであり、ユイレーシングスクールがクルマ好きの人に身につけてほしいと思っている思想だ。
今年12月18日(日)。今回試したフィギュア8を一般向けに開催しようと思っているところだ。

※ユイレーシングスクールでは運転にまつわる質問にお答えします。匿名でかまいません。クルマの動かし方に疑問のある方は以下のアドレスにお送り下さい。このブログで回答させていただきます。
・ユイレーシングスクール03ma@avoc.com

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ユイレーシングスクールでは以下のドライビングスクールを開催します。クルマの使い方に興味のある方は参加してみませんか?トゥインゴGTもお待ちしています。(詳細は以下の案内頁をご覧下さい。)

○ 9月18日(日)YRSオーバルスクールFSW 案内頁

http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=os&p=osf

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●クルマはよくできた道具なので、性能を発揮させるためにはそれなりの使い方を知る必要があります。ユイレーシングスクールが10周年を記念して制作したCDを聞いてみて下さい。バックグラウンドミュージックもないナレーションだけのCDですが、クルマを思い通りに動かすためのアドバイスが盛りだくさん。クルマ好きにとっては一生ものの5時間34分です。
YRS座学オンCD案内頁:http://www.avoc.com/cd/