トム ヨシダブログ


第138回 牛さんとクルマさん

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テレビ番組である畜産企業の特集をやっていた。とにかく、そこで育てられた牛は旧来のブランド牛に勝るとも劣らないほど美味しく、日本はもとより海外でも評判だという。
しかも、4,800頭もの牛を育てる畜産企業は日本にひとつしかないという。合理性が畜産業を変えた、というホストのコメントもあった。まさに日本の第一次産業におけるリーディングカンパニーなのだろう。

番組で流れた情報を整理すると、
・従来の小規模農家の殻を破り、牛を育てることを唯一最大の仕事と位置づけ、飼料の供給や小屋の掃除は外部に委託。
・平均年齢25歳、15人の従業員が行なうのは徹底して牛の管理だけ。牛を観察することに最も時間を費やし、あらゆる手段を講じて牛がストレスなく成長できる環境を用意する。
・従業員は牛と向き合い様々な問題を解決していく過程で自身が牛とともに成長できるから、と入社1年目から牛200頭を任される。
まだまだ話は続くが、次から次へと小気味良いほどに合理的なシステムが紹介された。

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キーボードを叩きながら見ていたのだが、ふと、手が止まった。
今までの地方名ではなく自分個人の名前を冠したブランド牛を育てる社長が、育てている牛のことを 『牛さん』 と呼んだのだ。

一瞬、んっと思った。一般的に畜産業は牛を育てるのが仕事だが、やがて牛は我々人間の胃袋に収まる。恥ずかしい話だが、畜産業の方々は牛を商品だと割り切って育てているんだろうな、と勝手に思いこんでいた。でないと切ないな、と。
しかし、どうやらそれは間違いのようだった。

その社長は、なんのてらいもなく『牛さん』と何度も何度も口にした。
その話を聞いて吹き出したホストにはムカッとしたが、社長は大真面目な顔で「牛さんは、かわいがればかわいがるほど自分で美味しくなろうとしてくれるんです」とまで言い切った。

従業員も『牛さん』を撫で回すこと、撫で回すこと。

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んっ、と思ったのには、他にも理由がある。
『牛さん』が過去の記憶とオーバーラップしたのだ。

1999年12月。日本に来て初めてドライビングスクールを開催する数ヶ月前のこと。当時の読者は700人足らずだったと思うが、ドライビングスクールの宣伝も兼ねてアメリカからメールマガジンを発行していた。

参考】 ユイレーシングスクールメールマガジン第1号(1999年9月1日発行)

当時は今ほど運転についての合理的な情報が豊富ではなく、少しでも理にかなった運転を広めたくて始めたのだが、その中で『クルマさん』という言葉を使っていた。昔から車も車と書かずにクルマと書いてきた。
ところがメールマガジンを読んだ方からお叱りのメールがきたことがあった。「車さんという表現が気持ち悪い。車にさんをつけるとは何事」という主旨だった。

以前から執筆する時に使っていた言葉だし、クルマを擬人化しようと思っているわけでもない = 道具として使い倒すことが最大の賛辞だと思っているし、あがめたてているわけでもない = 床の間に飾るなんて考えられないし、あくまでも自分にとってのクルマとの距離を表したかっただけなのだが、不特定多数に配信するメールマガジンゆえ気持ち悪いと受け取る人がいるのだろう。それ以来ほとんど使わないようにしてきた。

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牛さんとクルマさん。生き物と工業製品、生命体と無機物の違いはあるけれど、社長はもちろん従業員の方々まで自然な流れで『牛さん』と口にするのを聞いていて、ボクが使っていた『クルマさん』 と重なるものを感じた。時と場合によっては使うことを躊躇しないほうがいいな、と思えた。

だからと言うわけでもないが、前回のブログで控え目に使ってみた、というお話。


第137回 新・相棒と

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いい景色です

関東で打ち合わせが数件あったので、慣らしを兼ねてYRSルーテシアを連れ出した。

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自分の影が写り込んでいるけど広角で撮りたくて

過去、ルーテシアⅣRSで受講された方が何人もいるのでどんなクルマかおおよそのことはわかったつもりでいたけれど、じっくりと付き合うのは初めて。まずはYRSルーテシアと仲良くなるための儀式。

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今年の富士山は雪が多かった

最近のクルマは慣らし運転が必要ないと言われてるし、初回のオイル交換も10,000キロでかまわないと言われているし、技術はどんどん進歩でしていてクルマは手がかからない道具になりつつある。

しかし、クルマは洗濯機や冷蔵庫とは違う。人を乗せて、時には時速100キロで走る機械だ。人間の言うことを聞かなくなることが致命的な道具だ。

近代の工業製品だから故障とは縁遠いはずだし、キチンと使えば壊れることはないはずだ。それでも、今まのクルマ同様に、必要ないと言われているランニングインをしている。

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去年は見事な桜に挨拶できたのに

クルマさんは「回してもいいヨ」と言っているかも知れないが、「ならお言葉に甘えて」とブン回しては、お互いの関係の始まりとしては、いささか味気ない。
もちろん、クルマさんにこちらの気持ちが伝わることなどあり得ないことだし、伝えることが目的ではない。

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こちらも数日早かった

もちろん、自分流のランニングインが終われば、他のクルマ同様レッドゾーンまでしっかり回してあげられる機会を設けるつもりだ。
それまでの間は、自分のYRSルーテシアに対する思いを整理する期間。少しずつ癖を知りゆっくりと身体になじませるための時間。

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ルージュ フラムを選んで良かった

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お尻のラインが

終の相棒としてて選んだルーテシアⅢRSが嫉妬すると困るけど・・・。


第136回 新・相棒

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比良山系を背景に

ユイレーシングスクールの活動を応援してくれているルノー・ジャポンがルーテシアRSを貸してくれることになった。

ルージュフラムのシャーシースポール。先代のトゥィンゴ ゴルディーニ ルノー・スポール同様にこれから数々のYRSドライビングスクールを牽引してくれることになる。

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遠く伊吹山を望む

実はお借りする前、ありがたいことに仕様についてこちらの希望を聞いてくれた。

で、ルーテシアⅣRSに乗っている方々のブログを拝見すると、シャーシーカップを選んだ人が多いような気がした。それで、ユイレーシングスクールがお借りするのはシャーシースポールにした。

この先、ルーテシアⅣRSシャーシーカップでスクールに来られる方がいるかも知れない。その時にはシャーシースポールを運転してもらうと違いを感じてもらえるかな、と考えた。
ルーテシアRSに2通りの仕様があるのだから、両方を味わってもらえばルーテシアⅣRSの真髄に近づくことができるのではないかと思った。

色は単純に、写真を撮る時に背景に溶け込まないようにルージュフラムをお願いした。

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琵琶湖にもそろそろ春が

最新のホットハッチ、しかもパドルシフト。ワクワクする気持ちを抑えられないでいるが、そんな気持ちをおすそ分けする方法がないか考えた。
今までもお借りしたルノーをドライビングスクール参加者に運転してもらったことはあるが、参加者全員に乗ってもらうのは物理的に不可能だった。

それで、これからルノーユーザーの参加が増えることも期待して、慣らしが終わってからの話なのだが、ルノー車で参加してくれた方に富士スピードウエイの駐車場で開催するドライビングスクールの時にルーテシアⅣRSに乗ってもらおうと思う。

コレオスやカングーに乗っている方には安全な場所でホットハッチがどんなものか味見してほしいと思うし、
トゥィンゴRSやルーテシアⅢRSに乗っている方は最新のホットハッチを体験してほしいと思うし、
RSモデルを体験したことのないルノーユーザーにはルノー・スポールが送り出すクルマを感じてほしいと思う。

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パドルシフトがムフッ

ルノーユーザーだけを特別扱いするわけにもいかないけれど、他の参加者に事情を説明して、ルノー車に乗っている方がお昼ご飯を早めに切り上げてくれれば不可能ではない。時間が足りなければ全てのカリキュラムが終わってからでもいい。

YRSオーバルを体験済みの方はオーバルを走ればいいし、初めてユイレーシングスクールに来られた方は270mx160mの広場でルーテシアRSの加速を体験してみるのもいい。

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慣らしが終わるまではガマン、ガマン

ルノー・ジャポンのご好意でYRSフリートに加わったルーテシアⅣRS。使わなければもったいない。

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お待ちしています

ルノーユーザーの方、安全にクルマを動かすコツを覚えることができるし、運転の楽しさを満喫するヒントがたくさんあるYRSドライビングスクールにぜひおいで下さい。お待ちしています。


第135回 ルノー・スポールそろい踏み

3月15日。ユイレーシングスクールの目玉(?)プログラムのYRSオーバルスクールFSWを開催。
今年から走行時間を増やすために定員を20名にしぼったのだけれど、前日のYRSトライオーバルスクールを受講した人がどうしても続けて練習したいと言うので、カリキュラムを工夫して計22名で開催。

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今回は教室で記念撮影

最近ルノーユーザーの参加が確実に増えてきていて、今回は4台のルノー・スポールが参加してくれた。

クリオに乗るHさんはサーキット走行の経験が10時間。1月のYRSオーバルスクールにも参加してくれた。
ルーテシアⅢに乗るKさんはサーキット走行は未経験でユイレーシングスクールも初体験。
ルーテシアⅣに乗るYさんは1年前のYRSドライビングワークショップに来てくれた。
メガーヌに乗るIさんは欧州車を対象としたレースに参加した経験をお持ちだが、ユイレーシングスクールは初参加。

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3兄弟と先輩といとこが
※スピダーはスタッフの愛車

みんなそれぞれ経験値は異なるけど、不思議なことに、YRSオーバルスクールで1日中楕円形のコースを走り回ると最後にはほとんど同じレベルに達する。
とにかく、午前中の半径22m直線60mのオーバルだと9秒に1回コーナーが現れるから、数えたことはないけれど相当な回数の加速→減速→旋回→加速をこなしているはずだ。
午後の半径22m直線130mのオーバルは3速に入るほど速度域が高く、なおかつ集団で走るものだからいつも理想のラインを通れるわけではないから、それはそれで練習になる。

最終的には1日でかなりの距離を走るのだが、タイヤがボロボロになるとか、ブレーキがフェードするとか、そんな話は全くない

なにしろアンダーステアを出したり突っ込みすぎるとすぐに指摘されるから、クルマが痛む前に間違った操作を修正することができる。

2月ぶりのオーバルを走るHさん。前回より良くなったでしょ、と。
もちろん格段の進歩です。午前中エンジンのかかるのが少し遅かったけど。

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クリオとHさん

クルマを全開で走らせるのが初めてのKさん。難しいですね、と。
でもキチンとできていましたよ。難しいと思うのは、今まで理論的にクルマを動かす機会がなかったからだけなんです。次回はもっと楽しくなると思いますよ。

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ルーテシアⅢとKさん

1年ぶりに来てくれたYさん。やはり、難しいですね、と。
走りは悪くないんです。ただ日ごろからもう少し積極的に運転しようという意思を持つと、もっと楽に運転ができると思います。

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ルーテシアⅣとYさん

初めてYRSに来てくれたIさん。頭を使って走るのは初めてなんで、と。
レースの経験があるだけにスムースに走ってました。でも少し走りがおとなしいかなと。次はもっとメリハリのある運転をされるとクルマの動きが良くわかると思います。

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メガーヌとIさん

クルマはその性能を味わってあげなければもったいない。特にルノー・スポールに乗る人はユイレーシングスクールに遊びに来てほしい。どれだけすごいクルマかがわかります。

※ ユイレーシングスクールのプログラムはどんなクルマでも、サーキット走行の経験がなくてもあっても参加できます。
※ あなたもクルマとの対話の糸口を探しに来てみませんか?


第134回 お疲れさま。 ありがとでした。 元気でね。

旅立ちの時が来た。
鈴鹿サーキット、富士スピードウエイ、筑波サーキット。それと和歌山マリナシティ。
2013年4月からユイレーシングスクールが開催したほとんどのドライビングスクールに大量の荷物を積んで駆けつけ、デモカーとしてリードカーとして走り回り、操作を説明する教材として大活躍してくれたルノー トゥィンゴ ゴルディーニ ルノー・スポール。
ルノー・ジャポンに戻ってからも、誰か運転好きの人が、あの気持ち良さを味わってくれると嬉しい。なんたって、回るようにしつけた1.6リッターエンジンは今が絶好調なんだから。

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YRSのデカールとともに走りに走り回った

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朝起きたらこんなことになっていたことも

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駐車場の雪かきを手伝いなんとか脱出したけれど。

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桜は単純にイイ !

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富士スピードウエイ近くの古木の前でとか

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湖西の桜の下とか

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筑波サーキットへの道すがらにパチリとか

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毎年出迎えてくれる富士スピードウエイ近くの枝垂桜を背景にとか

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筑波サーキットへ向かう時に寄り道した川岸でとか

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守谷市で桜吹雪の下にたたずんだり

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富士スピードウエイの東ゲート脇に寄り道したりして。

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富士山と菜の花とトゥィンゴを愛でたり

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訪れるたびにいろんな顔を見せてくれる富士山にニンマリしたり

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太陽が高くなると富士山の周りに雲が湧くことを知ったり

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ある日コース作りを終えて帰ろうとして神秘的な光景に出会ったり

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箱根の山から太陽が顔を出すころに富士山が染まることを知ったり

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ドライビングスクールの片付けが終わり見上げれば富士山の陰がたなびいていたり

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富士山が雲の中でも振り返れば水墨画のような光景が広がっているのを見つけたり

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富士山から立ち上る、富士山自身の影に圧倒されたり

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富士スピードウエイから富士山が見える日はなぜかハツラツとしているのに気がついたり

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湖西の秋色に思わずトゥィンゴを止めてみたり

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和歌山のリゾートタウンでスクールをやったり

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トゥィンゴで雪を蹴散らし箒で掃きながらコースを作ったり

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夜更けのSAで給油した時にフューエルリッドにキャップを引っ掛けるフックがあることを教えてもらったり

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オイル交換に行ったら同級生も来ていたり

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鈴鹿サーキットのピットで舌なめずりしたり

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鈴鹿サーキット南コースでデモランをやって見せたり

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駐車場にあつらえたパイロンコースで自慢の足を披露したり

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トゥィンゴにカメラを積んでYRSオリジナルビデオを撮影したり
(写真はYRSオリジナルビデオからキャプチャー)

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1速から4速までレッドゾーンの手前まで回したり
(写真はYRSオリジナルビデオからキャプチャー)

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FSWショートコースでカメラカーを追いかけたり
(写真はYRSオリジナルビデオからキャプチャー)

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FSWショートコースでカメラカーに追いかけられたり
(写真はYRSオリジナルビデオからキャプチャー)

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鈴鹿国際レーシングコースを駆け抜けたり
(写真はYRSオリジナルビデオからキャプチャー)

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トゥィンゴを教材に具体的な操作を説明したり

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筑波サーキットのインフィールドから走行中のクルマにアドバイスを飛ばしたり

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エンジンドライビングレッスンに岡崎から来てくれたTさんが乗るいとこと記念撮影したり

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YRSトゥィンゴに刺激されて購入に踏み切ったIさんと写真に収まったり

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増え始めたルノー・スポールユーザーのWさん、Nさん、Hさん(右から)とトゥィンゴの前でポーズしたり

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ルーテシアRSに乗る宮城県白石市のMさんと水戸市から来てくれたTさんのトゥィンゴRSと記念撮影したり

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ホントは、ルノー・スポール以外のカングーやキャプチャーにもスクールに来てほしいんだけど・・・

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まっ、まずはRSに乗る人に運転が楽しいと言ってもらえるようにするのが先決かな

※ 写真も思いでもまだまだたくさんあるから載せきれない。大好きな富士山と桜を中心に選びました。


第133回 YRSツーデイズスクール体験記

2月に富士スピードウエイで開催したYRSツーデースクールを受講してくれたNさん。このブログでユイレーシングスクールのことを知って申し込んでくれたと聞いたものだから、あつかましくも感想文をお願いした。
初めてのサーキットにも関わらず小気味いい走りをしていたNさんの体験記をお届けします。

135-321日目を終えてルノー・スポール仲間と
右からメガーヌのWさん ルーテシアのNさん 左はメガーヌのHさん

133-1b2日目 ストレートを駆け下るNさん

133-2bルーテシアⅣRSで参加してくれたNさん(中央)
左は毎年YRSツーデースクールに来てくれるTさん

============================ NさんのYRS体験記 ===========================

・1日目
免許取得から40年以上の運転暦を重ね、その間15台程の車を乗り継いでそれなりにカーライフを楽しんできたつもりですが、還暦を過ぎてもう一度車好きの原点に立ち返り、運転を楽しみたいと思っていました。
若い頃は見よう見まねで運転技術を習得しマニュアルシフトを楽しんで峠道を走ったりしましたが、家族を持ってからは車種の選択や仕様にも制限がありました。漸くその呪縛から開放され自分が欲しい車種を探し始めた時、目に入ったのがルノー・ルーテシアでした。もともと小型で小気味よく峠道を走るタイプが好きなので、雑誌等で以前から気にはしていましたがニューモデルが発表され、『まさに自分はこれが欲しかったんだ!!』と思いました。
それから購入に向けて情報収集する中で見つけたのがルノー・ジャパンのサイトに掲載されていたユイレーシング・スクールのブログです。『ルノーをサーキットで思い切り走らせたい!』と言う思いが強くなり、ついに富士スピードウェイで開催されたYRSツーデースクールに参加しました。
1日目、富士スピードウェイ駐車場端の教室で受付を済ませ、最初にトム校長の挨拶と白板を使って基本的な理論の説明。講義の中では車の動きとタイヤにかかる荷重の変化について説明されました。車を上手に運転し、効率良く安全に走らせる操作の基本を教わりました。ブレーキングの重要性について説明されましたが、特に印象に残ったのは今回初めて聞く言葉で『トランジション』、車が加速から減速への移行や直進からターンへの姿勢変化の際、移行を十分意識して運転操作をしないと、車は思う通りには走らないと言う事でした。

教室講義の終了後、参加者は3グループに分かれて駐車場内に設定された、スラローム/ブレーキング/8の字セクションでいよいよ運転スキルの練習がスタートしました。受講生はFMラジオで校長から飛ぶアドバイスに従って、それぞれの課題に臨みます。私の最初は8の字から、スタッフのグリーンフラッグの合図で勢いよくスタートあっという間にパイロンが迫りタイヤを軋ませながらコーナリングそして直進のタイミングを計りアクセル全開、ブレーキング、今度は反対方向にステアリングを切りコーナリング、あっという間にフラッグが振られセッション終了。
そして他のグループメンバーの走りを待ち、次の順番に臨みます。同じセクションを何度か繰り返しながら、自分なりに工夫を加えて望みます。最初は恐る恐るアクセルを踏み込んでいましたが、回を重ねると、思い切りべた踏みです。ところが車は自分が思ったようには動いてくれず、アウト側に膨らんだりスムーズな動きになりません。すかさずFMラジオからは校長の大きな声のアドバイス、あっと我に返り冷静さを取り戻し再挑戦。

なかなか難しいなと思っていると課題チェンジの指示、次はスラロームでした。等間隔に並べられたパイロンの間を出来るだけ早く走り抜けます。
ここではステアリング切り方が難しい、素早く左右に切ればいい訳ではなく、切るスピードにポイントが、操作を間違うとコース終盤で車のロールが増幅されて怖い思いをしました。校長からは肩に力をいれずハンドルをゆっくり切り始めるように指導を受ける。何度かスラロームを繰り返しまわりの参加者に比べレベルは低いけれど最後まで崩れることなく走りきれるようになりました。

そして最後が重要課題のブレーキング練習。アクセル全開であっという間にスピードは100キロ近くに達し目印のパイロンで急制動、前方のガードレールが目に入りスリル満点。普段の運転では考えられない急発進、急制動、タイヤが悲鳴を上げている。自分なりには精一杯のつもりだが、校長からはまだまだと厳しい指導の声。それならお手本をとお願いすると、さっと運転席に乗り込んで同乗走行の模範操作をしていただいた。さすがにその違いは歴然、制動距離は半分近く短く、ABSも作動しないのに緊急停止の為ハザードが自動的に点滅、これには本当に驚いた。単純なトレーニングながら夫々の難しさを実感して午前中の基礎練習があっという間に終了した。

午後はパイロンで走行ラインを設定されたオーバルコースを周回するユイレーシング・スクール独自の走行練習でした。午前同様にチーム分けされたグループが隊列を組んで周回、最初は一定速度を保って走ります。4本のタイヤのグリップを全てコーナリングに使うためのイーブンスロットルの練習です。徐々に指示速度が上げられます。車の反応を確かめながらハンドル操作、アクセル操作を繰り返しました。
オーバルコースの周回練習は次の段階へ進み、ハイスピードの周回となりコーナー手前でブレーキング/ハンドル操作/加速と繰り返されるようになり、トレーニングも難易度をまして行きました。ここでもFMラジオからは校長の厳しい指導の声が飛び、午前中の練習を思い起こしてブレーキングに力をこめました。
チーム毎に周回を重ねながら後半はオーバルコースも拡大され、トップスピードも一段とアップしこれまでの操作にシフトチェンジが加わります。セカンドでコーナーを立ち上がり加速してサードにシフトアップ直ぐにブレーキングとシフトダウン目まぐるしい操作で、高まるエンジン音、コーナーリングの横G、車を思いっきり走らせていることを実感しました。
1日目最後はオーバル走行でチーム内レースでした。速いクルマが後に迫ると校長からの指示でコーナーをアウトに膨らまないように立ち上がったり、周りの車にも注意をはらいサーキットの走行を意識した走行練習でした。駐車場内を走り回って繰り返し続けられたオーバル練習、気が付いたらオドメーターは80キロ程、1日目のプログラムを無事に終了しました。

・2日目
FSWショートコースで念願のサーキットデビューの日。雨はあがったものの路面は濡れた状態で不安な気持ちでした。コースに到着するとまずコースを歩きます。コーナーの状況やCPポイントの説明を受けながらコースを一周、サーキットの勾配が想像以上にキツイ事を実感。特にホームストレッチは5%の下り勾配があり第1コーナーへ入る前の姿勢の作り方とブレーキング操作を重点的に指導された。
次に教室でライン取りや走行上の注意点の説明があり、ラップタイム計測用のトランスポンダーを渡されました。いよいよサーキット走行です。

走行準備を終えヘルメットを被り、グループに分かれてピットロードからコースイン。最初はウォーミングアップ走行でコース状態の把握から始まり、グループ毎の周回走行が繰り返された。初めのうちは路面が濡れていることもあり、恐る恐る先行車の後ろについて走行ラインを確認し、徐々にスピードを上げていきました。グループ毎に区切られた時間で、周回走行を交互に繰り返す。これまでの講習で学んだことを意識し、周回毎に課題に挑戦するが、あっという間に午前の走行が終了した。午後は講師の同乗走行から、受講者が助手席に座り講師がコースを模範走行。私も校長の運転でコースを周回。昨日の模範ブレーキング同様に圧倒的な操作で、ゆっくりながら、メリハリがあり操作の意図が車に伝わっていることを実感、自分の運転とは異次元の世界を体感し、まさにこれが本物のサーキット走行、大変参考になりました。続いて午前と同様にグループ毎の周回走行が繰り返され、路面状況も良くなり周回スピードも上がりました。グループ走行ながら速い車に抜かれたり、先行車に追いついて様子を伺いながらパスすることが出来たり、サーキット走行の醍醐味を満喫し時間を忘れて、周回を重ねました。ベテラン受講生のレベルとは比べ物になりませんが、今日のサーキットデビューは最高に楽しく、『ルノーでサーキットを思い切り走る』夢が実現できた素晴らしい一日になりました。無事にサーキット走行を終了し、オドメーターは150程でした。

・所感
思い切ってYRSに参加してとても良かったと思います。これまでもスポーツの講習等様々な指導を受けて来ましたが、その度に感じることは、自分の目標に挑戦する時、その領域の知識や経験のある人の指導を受ける事が、最も速くて効果的な対策だと思います。車を移動手段の道具としか考えない場合は運転を教習所で教わって免許を取ればそれ以上の必要はないかもしれませんが、上手に運転したい、速く走りたい、車の運転を楽しみたい、と思ったら操作については専門の指導が必要です。今回は吉田校長の永年の指導経験から組み立てられた内容や、受講者に繰り返される熱血指導を体感し、特に2日目には『ルノーでサーキットを思い切り走る』という願いも実現できました。2日間の短い時間でしたが充実した内容に大変満足しています。

また性能が良くていい車だと思っていても、一般道路では性能の一部しか感じることは出来ませんでしたが、駐車場やサーキットで思い切り車を走らせた事で、ルノーが素晴らしい車だと言う事も実感、ルノーにして良かったと思いました。ルノーはサーキットイベントやユーザー同士の交流会等も開催していますが、今後は機会があったら参加したいと思います。

高齢者が年甲斐もなく、サーキットを走りたいと思ったのは、これまで様々なスポーツを経験し楽しんできましたが、加齢と共に体力の限界を感じ始めて来たからです。2日間の初挑戦を終えてからは、『まだまだやりたい事がある!』と挑戦する課題を見つけて、前向きな自分を発見しました。

今後も愛車ルノーで、練習を重ね、新しいカーライフを楽しみたいと思います。


第132回 鈴鹿ツインサーキット

131-1久しぶりにレブリミットまで回した

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鈴鹿ツインサーキットGコースはこんなレイアウト

筑波サーキットと富士スピードウエイで開催しているいろいろなカリキュラムを関西でも展開したくて候補地を探していたけど、クルマを動かす基本操作を練習するYRSドライビングワークショップを鈴鹿ツインサーキットGコースで開催することにした。

4月2日(木)に開催するのは、全長1,750mのフルコースの半分を使うGコース。とにかく運転の上達には反復練習が欠かせないので1周40数秒で周回できるのが嬉しい。
と言っても、長さは960mあるし直線は280mもある。コーナーの数は12でコース幅は最低でも10mある。練習にはうってつけ。特にストレートを使ったスレッシュホールドブレーキングの練習は期待大。

クルマの基本的な動かし方、と言っても教習所のそれとは異なり高いレベルでのだが、を体験してみたい方はぜひ参加してみてほしい。
・YRSドライビングワークショップ鈴鹿 開催案内

冬場はほとんど乗らない愛車を引っ張り出して、タイヤのショルダーのイボイボが削れない範囲で走った時の動画がこれ。

ルノー・スポールが作るクルマはやっぱりいい。もっと評価されてしかるべきだと思う。

※動画の中でナビがしゃべっていますが聞き流して下さい。


第131回 YRSツーデースクール

運転の上達のためには短期間に集中して練習するほうが効果的、というジムラッセルレーシングスクールの校長の教えを守って開催するYRSツーデースクール。

今回は4台のルノー・スポールが参加してくれた。


埼玉のTさんと東京のNさん。Nさんはサーキットが初めて


滋賀県から来てくれたWさんと千葉のHさん

YRSツーデースクールは1日目の午前中にブレーキング、スラローム、フィギュア8で基本操作を、午後のオーバルでイーブンスロットルとトレイルブレーキングを練習。うまくできてもできなくても、1日目に経験したことを2日目のサーキット走行に生かすことを最大の目標とする。
手前味噌ではなく、これでみなさんホントに上手くなる。今回はサーキット初体験の方が5名いらしたが、最後には全員がクルマをイキイキと走らせていた。
2日間でクルマの操り方がわかるユイレーシングスクールの目玉商品だ。


ルーテシアRSが全開でストレートを駆け下る


ルーテシアRSがロードホールディングに勝るロードスターを追い詰める


メガーヌRSがいい音を立てて疾走

ここ数年、またサーキットがにぎやかになってきて日程の確保が難しくなってきたけど、なんとか今年中にもう1度ツーデースクールができないかと画策中だ。


第130回 Kさん レースデ ビュー


RSはサーキットが似合う

ルノー・ジャポンのブログでユイレーシングスクールのことを知ったKさん。昨年3月に愛車ルーテシアRSとともにYRSオーバルスクールに参加してくれた。
その後、YRSドライビングワークアウトやYRSトライオーバルスクールなど昨年中に4回、今年に入ってYRSオーバルスクールにも参加してくれた。

Kさんがサーキット走行を楽しまれていることは知っていたから、ことあるごとに「YRSのスクールレースに出ると運転の幅が広がるしスクール以上の効果がありまっせ」とささやき続けたのが功を奏したのだろう、2月のYRSスプリントレースに参加してくれた。

レースと言っても、ドライビングスクールの一環として行なっている卒業生を対象としたスクールのようなもの。一度でもYRSのドライビングスクールを受ければ参加する資格はあるし、クルマにも特別な準備をする必要はない。とにかく、とかく敷居の高い日本のモータースポーツ界にあって、少しでも多くの人にヨーイドンの醍醐味を味わってもらいたいと思って始めたのがYRSスプリントレースとYRSエンデューロレース。
だから、レースでの走り方も教えるしレーシングマナーも教える。サーキットを走ったことがあって、YRS流のクルマを意のままにコントロールする方法を知ってもらった人は誰でも参加できる。

と言っても、レース内容もそれなりかというとそうではない。続けて参加している人のレベルはかなりのもので、彼らが公式なレースに出ようと決心さえすれば上位に食い込むのも難しくはない。
実際、Kさんが今回参加してくれたYRSスプリントレースを卒業してライセンスを必要とするレースに参加し、優勝したりシリーズチャンピオンになった人が何人もいる。

さて、サーキットを走ることには慣れていたKさん。初めてのヨーイドンでどんな振る舞いをするか興味深く見させてもらった。
結果は上出来。結果は別としてしっかりとレースをしていた。

8月に行なうYRSスプリントレースにも参加してくれるそうだし、その前にYRSオーバルスクールにも来てくれるそうだから、その時にでもあと1、2台を食う方法をアドバイスしようと思っている。

後日初めてのYRSスプリントの感想を求めたら、 Kさん自身のブログ にまとめましたと返信があったのを付け加えておこう。


ローリングスタートからヨーイドン
気持ちのいい瞬間


コーナリングスピードに勝るツーシーターを追いかける
気分が透明になったかな?


追って追われて
だけど2台とも突っ込みすぎ!


レース中何を考えているのか?
いや、何も考えてはいないはず


勝とうと思ってレースを走って、レースに勝った人はいない


最初にやるべきことは自分がミスなく走り続けることだ


レース中のラップタイムを見ながら
「フムフム、悪くないんじゃない」

photo:YRS + Rumi Masuda


第129回 クルマだからできること 5


扱い方さえしっていればどんなクルマでもニュートラルステアで走らせることができる

1979年9月。2200台のクルマをお腹いっぱいに詰め込んだ輸出専用船に乗り込み千葉港を出帆。10日目にはバンクーバーで半数のクルマがおろされ、12日目にはポートランド港で続々と埠頭に向かって走るクルマを横目に下船。初めて海路アメリカに渡った。
まだ秋口だというのにアリューシャン列島付近では大時化。船内の傾斜計が30度を示す中、船長はカウンターステアを切って平衡を保つのだと教えてくれた。

双子の息子が4歳になってレースを再開した。大人6人が快適に寝ることができる15mのモーターホームでレーシングカーを載せたトレーラーを引き、800キロ離れたレース場を往復した。モーターホームがなければレース再開の許しは出なかった。

アメリカに拠点を移してから飛行機で199回太平洋を渡った。一度だけ、成田を飛び立って1時間ぐらいして機材の故障で引き返したことがあったが、それ以外は快適な空の旅だった。そして400人の命を乗せて飛行機を操縦するパイロットに、いつも畏敬の念を抱いたものだ。

船、クルマ、飛行機。交通機関の発達は我々人間の生活を、空間的に時間的に精神的に拡大してくれた。ことにクルマはふつうの人々の日々の生活を発展させてくれた立役者ではある。

しかし、人が移動に使う船にしても飛行機にしても、それを操る人はふつうの人ではない。厳しい国家試験に合格した人だけが、人を乗せて移動することを許される。
ところがクルマだけは、動かしたいと思った人はそれほど困難をともなわずに免許証を手にすることができる。人間や物を載せて、人間がとうてい及ばない速さで移動する点では同じなのにだ。

我々は職業運転手ではないと言えばそれまでだが、自分ひとりであっても人を乗せて移動する交通機関を操るという意味に違いはない、というのがユイレーシングスクールの考えだ。

だから、スクールやスクールレースの時におりに触れてこう言うことにしている。

『クルマを運転している時、みなさんは交通体系の中でクルマの性能を損なわない範囲でなら自由を謳歌することができます。しかしその時、みなさんの後ろには誰もいないんです。全ての責任を負わなければなりません。そのことを忘れないようにして下さい。一方でクルマを運転するということは、自分で脚本を書き、自分で演出し、自分で主役を張り、自分が観客になり、自分で自分を称えることができる、社会生活の中でも稀な機会です。大人が一生懸命になる価値があります。粋にクルマを動かすためにも、今一度、これからどのようにクルマと付き合っていくのか、改めて考えてみてはいかがですか』。


クルマは操り方によってはアンダーステアになり


操り方によってはオーバーステアになる

「クルマだからできること」 終わり