第159回 YRSドライビングスクール阿讃
5月4日にルノーネクストワン徳島が主催した走行会のお手伝いをした時、会場となった阿讃サーキットがいたく気に入った。
阿讃サーキットは1周1004mと長くはないし、エスケープゾーンはほとんどないに等しい。アップダウンに富んでいてすごく面白いけど、コース後半の下りは回りこんだコーナーの連続で速度は乗らない。路面も決してスムースとは言えない。
なのになぜ気に入ったかと言うと、考えていては速く走ることができない、からだ。
次から次へと迫り来るコーナー。ブレーキングゾーンが登っていたり下っていたり。走行ラインを間違えると立ち上がりが苦しくなったり。1周50秒ちょっとの間、瞬間瞬間で反応して走ることを求められる。まさに、スポーツドライビングに求められる「無意識行動」を養うのには絶好のレイアウト。
あらゆる区間でクルマの性能をキチンと発揮することができないと、単位時間あたりの移動距離が短いから速く走れない。クルマをキチンと動かすために理にかなった操作が必要だけど、それが自然に身につく。大きなサーキットを走った時の爽快感はないかも知れないけど、運転というものが分かっているかどうか確認するにはうってつけ。
そこで、無謀にも連休の中日に四国初のYRSドライビングスクールを試験的に開催してみた。
まずは記念撮影
集まってくれたのは75歳のMさんを初めとする10名。阿讃サーキット経験者が5名、サーキット未経験者が3名。快晴ではない代わりに暑くもない1日、多い人は130周近く阿讃サーキットを走り回った。
もちろん、走行の合間にはアドバイスをしたり質疑応答をしたのだが、この日、一皮むけたのは阿讃サーキットを走りこんでいる最年少25歳のOさん。
あるセッション中に異音が発生したとかで、調べるとエアコンのコンプレッサーからと判明。悪化させたくないから走行をやめると言うOさんに、無理ではなければベルトを外して走ってみないかともちかけた。パワーステアリングのポンプも回しているベルトだから、当然ステアリングにアシストは期待できなくなる。けれど構造上の問題はないし、せっかくのスクールなのだからと。
ベルトを外してコースに出たOさん。戻ってくるなり、「重~い」。で、「じゃぁ、次のセッションではこうやってステアリングを回してみては?」とアドバイス。それで、だいぶ重ステに煩わされることがなくなったようだ。
で、最後のセッション前。ガソリンが少ないから走らないというOさんに、「ならば、こうやってセッションを走ってみてはどうだろう」と提案した。
全ての走行が終わり全車がピットに戻ってきてからOさんに「どうだった?」と聞くと、「これまでのベストタイムを更新しました!」。「やったじゃない」。握手を求めた時のOさんの笑顔が忘れられない。
楽しければ速い遅いはどうでもいいんです
サーキット未経験者も最後には「粋に」クルマを走らせてました
う~ん、運転は楽しいし面白い。