トム ヨシダブログ

第349回 4コントロール 同位相

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写真は本文とは関係ありません


高速道路でスピンして中央分離帯に衝突する事故があった。スピンした直接の原因は知らないけど、高速で走行中に急なステアリングを切るとクルマはスピンする傾向にある。高速で走るということは単位時間あたりの移動量が大きくなるから、というのも理由ではあるけれど、実はタイヤのグリップも関係している。

タイヤは路面とズレることでグリップを発生する。ステアリングを切ることで前輪にはスリップアングルが生じる。スリップアングルはタイヤがよれて路面とズレている証しでもある。つまりステアリングを切るということは、結果的に前輪のグリップを増加させることでもある。ステアリングを切る時の速度が高ければ高いほど、ステアリングを切る量が多ければ多いほどスリップアングルは大きくなるから、その分だけ前輪のグリップは大きくなる。

一方。ステアリングの切り始めるまさにその瞬間、後輪のスリップアングルはゼロだ。フロントが変位しクルマがコーナリングを始めるとホイールベース分だけ遅れて後輪にもスリップアングルがつくことにはなるが、前輪のそれを上回ることはもちろん、同等になることも絶対にない。要するに、前後輪のグリップバランスから見ると、前輪のグリップのほうが圧倒的に大きい。逆の見方をすれば、ステアリングを切るという行為は後輪のグリップを低下させることにつながる。

だから、そのステアリングを切るという操作が高速で、大きくかつ急に行われたとしたら。   結果は明白だ。   次の瞬間、前輪に比べて大幅にグリップの低下した後輪はもはや、遠心力を受け止めることはできず、フロントを軸にテールが急激にスライドを始める。これがスピンにいたるメカニズムだ。

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4コントロール 同位相
(画像はカタログから拝借)


4コントロールの同位相は前輪操舵車についてまわる前後輪のグリップの差、特に高速域でのインバランスを機械的に補正することを目的としているはずだ。
前輪にスリップアングルが生じると、その状況をそれこそ複雑な制御回路が計算して、間髪を入れず、後輪に同じ方向の最適なスリップアングルが生まれるように舵角を与えるのだろう。

明確な同位相はまだ、ある時にある場所で一度しか経験したことはないけど、オーバースピードでコーナーに入っても、想像していたほどクルマがロールをしなかった気がする。ターンイン後に横Gが逃げた感じがして、イン側がリフトしないように感じたのも印象的だった。

とは言っても、前後輪のグリップバランスを変える要因はスリップアングルだけではない。前後の過重移動でも前後輪のグリップバランスは変化するのだから、まずはトランジッションで4輪をしっかり路面にはりつける運転を心がけたいものだ。



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