トム ヨシダブログ

第624回 Grazie Valentino

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2021MotoGP最終戦バレンシアGP
自身432回目で最後となる世界選手権レースを10位で終え
お約束のウィリーで観客に別れを告げる

 

バレンティーノ・ロッシが引退した。1996年から四半世紀以上、26年間にわたり二輪ロードレース世界選手権に参加。出走回数の実に55.3%にあたる235回で表彰台に上り、9回の世界チャンピオンを獲得した伝説のライダー。近年は往時の鋭さこそなりを潜めてしまったが、時折見せるレースに勝つための走り、レースの読み解き方は彼独特のものだった。個人的には、ワタクシを含め世界中で最もファンの多いGPライダーだと思っている。

F1ドライバーをして「MotoGPライダーは頭のネジが1本抜けている」と言わしめる彼らのバランス感覚と張りつめた雰囲気。その中でひとり、いつも笑顔を絶やさなかったバレンティーノ・ロッシ。いつもレースに勝つことを追い求めることに貪欲でありながら心底楽しそうで、チェッカーを受ければこれでもかと全身から無邪気さが漂う。

靴として160Kgは決して軽くはないけれど、彼にとってGPモーターサイクルは両足のようなものだったのだろうね。さしずめ後輪が軸足で、けんけんするぐらいにたやすいことだったのかも知れない。これからは見ることのできない彼のウィリーを。

そして彼の妙技を。

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どこかの動画にバレンティーノ・ロッシがインの段差のある縁石に肘をこするものだから腕が震えていたシーンがあった。肘もバンク角を計るセンサーなのだと解釈した。

とおの昔からF1マシンはダウンフォースを武器に速さを増してきた。今やオポジットロックを見ることもない。一方、MotoGPマシンは動力性能とタイヤの性能向上で速さを身につけてきたけど、操るのはむき身の人間。MotoGPライダーをなんと形容すればいいのか。言葉を失う。

・バレンティーノ・ロッシの引退を惜しむべくMotoGPを統括する Dorna Sport から彼の勇士を記録した動画が次々と配信されている。中でもチャンピオン経験8回のマーク・マルケスとの争いは見もの。  https://www.youtube.com/watch?v=pfmcMjB64NE

・ヤマハ発動機公式チャンネルも16年間ともに世界で戦ったバレンティーノ・ロッシへの感謝を綴っている。2輪ファンではない人にもぜひ見てほしい。稀代の英雄の姿を。  https://www.youtube.com/watch?v=2iVtflczNC8&t=21s

 

※ MotoGPの版権及び肖像権はDorna Sportに帰属します



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