トム ヨシダブログ

第623回 やっぱりいい ‼

東京にひとりで住む高齢の母のご機嫌伺いに行くことが多くなり、終の相棒を引っ張り出す機会が増えた。  で、改めて いいねぇ と思う今日この頃。

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夜の都会にたたずむ
無機的な空間
絶え間ない生活音
LEDライトの光
 
その中の柔和なラインと存在感

 

ステアリングホイールに軽く手を添えて新東名を120キロプラスで流す。路面の補修で荒れているところがあるけど直進性は高く、外乱はないに等しい。サーキットではないから押し手でステアリングホイールを3センチほどゆっくりと動かして戻す。進路が変わらないようにノーズが振れる直前にステアリングを素早く戻す。手を動かし始めると間髪を入れずに重みを感じる。『あぁ、タイヤがよれ始めているねぇ。前輪のスリップアングルがわかるなぁ』。ステアリングホイールを握らずに、手のひらの摩擦を利用する感じで滑らせ気味に力を加えると、舵角がつくほどに重さが増すのを感じとれる。しっとりとしていて、それでいて行った操作とクルマの挙動にズレがない。中立付近のフィーリングはノンアシストステアリングギアボックスを装着したダブルウィッシュボーンサスペンションのクルマを思わせる。ダブルアクシスストラットのなせる業。

エアコンを入れるほどもない季節。外気導入にセットしておけば、ブロアーを回さなくてもベンチレーターから心地よい走行風が入ってくる。イグニッションキーはドアロックのオンオフこそリモコンでできるけど、昔ながらの鍵穴にキーを差し込む式。だけど不便は感じない。NAのリッター当たり100馬力は決して非力ではないけれど、きょうびのダウンサイズターボエンジンの電気モーター然としたトルクの出方は味わえない。しかし7500まで回した時の全身で感じる快感。形容するなら、自分の中の全てが解放されるような速さが全身を包む、か。官能的という表現ですら十分ではない。

オーバーフェンダーと本物のフェンダールーバーとNAエンジンに魅せられて、試乗もしないで注文した我が終の相棒。お見合いもしないでお相手の写真を見ただけで結婚したようなものか。でも第1印象が全てを決めることもある。
60歳を過ぎてからの購入が幸いだった。ラジアルタイヤがない時代からクルマに乗り続けてきた身にとっては、そして等身大のクルマにこそ興味があったこともあり、自動車技術の進歩を肌で感じ続けてきたからこそ、10年前にあくまでもプリミティブでありながら先進的なルーテシアⅢRSに出会えたのはこの上ない幸せだった。

ルノー・ジャポンのおかげでひと通りのRSモデルに乗ることができた。ルーテシアⅣRSもよくできたクルマで、個人的な目的を達成するためにはうってつけのクルマだと思う。しかしながら、誤解を恐れずに言えば、個人的にはクルマにもう少し自分の運転を褒めてほしいと思ってしまう。

走りがあまりにも修練されているので、果たして自分の技量でクルマを動かしているのか、クルマがこちらの意図をくんで動いてくれているのか実態がつかみにくい。自分が手を下したことへの実感が薄いと言うか。だから、クルマ好きにとってルーテシアⅣRSはⅢRSより教育的だと思う。ルーテシアⅣRSを運転する人は、その走りが自分が作り出したものなのか、クルマの機能に助けられた結果なのか、巧い運転手になるためにはずっと検証を続ける必要がある。またそれも運転の楽しみではあるけれど。
もし30年ほど遅れて生まれてきて、幼いころからパソコンやスマホというものが身の回りにあって、それまでの歴史でもあった『積み重ねこそが経験値』ではなくなり、張り巡らされているインターネットが水平展開を可能にし自分ひとりで俯瞰し体験できる世界が今のように広かったなら、おそらくルーテシアⅣRSを終の相棒に選んだのではないかと想像したりもする。

ただ、16歳と1か月で軽自動車免許をとってから半世紀以上運転を極めたいと思い続けてきた人間としては、自分の成長と歩調を合わせるようかのように進化し続けてきたクルマの、ある究極の形であるルーテシアⅢRSを伴侶に選ぶことはごく自然な結末だった。

100年に1度の自動車改革が近づいてくる今に思う。

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ある日のこと
西に向かっていると富士山が見えた
これはと思い昔富士山を見たことがある鮎沢PAへと急ぐも
山を登っているうちに富士山は雲の向こうに
しかしなんと酒匂川を渡る頃に雲が沈み富士山が
大急ぎで足柄SAに飛び込んで
照明灯に灯が点る前に撮ったのが粒子の荒いこの写真

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2010年暮れに我が家にやってきた相棒
それ以来雨の日は外出もせず
夜は出歩かず車庫に眠ってきたけれど
最近は外泊することが増えたのでお守りを渡すことにした
 
下の写真左がお守りで右がアダプターと品番
ルーテシアⅣRS用とは異なる
ⅢRS用のほうがスタッドボルトが太い

 

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