トム ヨシダブログ

第59回 YRSツーデースクール

風が強く富士山もかすむ

その昔。子供が生まれたのを機にレース禁止令が出た。出産の1週間前まで大きなお腹を抱えてクルーキャブに乗り込み一緒にレースに行っていたぐらいだから、奥さんもモータースポーツが嫌いというわけではない。我が二人だけのチームには欠かせないクルーチーフでもあった。しかし、異国の地で初めて授かるのが双子ということもあって、なかば自発的に禁止令を受諾(!)した。

ところが、サーキットに行かなくなるとどこか落ちつかない。なんとか合法的に(家庭内の話だが)サーキットの空気を吸うことはできないかと策略をめぐらし、それまでのコネを駆使して始めたのがジムラッセルレーシングスクール日本語クラス。自分で走るのではなくみんなに走ってもらうのだから、と強引な理由で奥さんの承諾を得、ジャック・クチュア校長に日本語クラスの重要性を説き、ワープロ(!)で日本語の教科書を作り、受講生がカリフォルニアにくれば15人乗りのバンを運転して空港に出迎えに行き、レストランでは全員の注文を通訳し、できることは全て自分でやってコストを抑え、なんとか日本では経験できない3日間、初日からフォーミュラカーで練習するカリキュラムを受けてみてほしいと奔走した。

そのかいあって、最終的には延べ230人あまりの人が受講してくれた。中にはふだん乗っているクルマを売って資金にあててくれたた方もいたし、中には日本のレースで好成績をおさめていた方もいた。様々な方に参加してもらったが、3日間クルマのこと以外考えない空間というものはいい経験になり、いい思い出になったはず。

AT車しか乗ったことのない方が緊張の面持ちで挑戦した1日目のスレッシュホールドブレーキング。3日目には立派なレーシングマシン使いになっていた。日本で自動車メーカーのサポートを受けてレースに参加していたドライバーが、アメリカを発つ前に手を差し伸べながら「トム、最高だった。まさに目から鱗」と言ってくれた一言。この他にも、ボクにとってはとてもとても貴重なたくさんの思い出が、ウィロースプリングスレースウエイやラグナセカの光景とともに思い出される。

1日目は快晴 午前の部終了で記念撮影

1999年暮れにユイレーシングスクールを初めた時からジムラッセルレーシングスクールに倣って数日間のドライビングスクールをやりたかったのだが、当時の日本はサーキット走行がブーム。専有時間をとるのもひと苦労。それに、何日もクルマ漬けというのは日本の風習に馴染まないのか、ようやく開催にこぎつけたのが2002年春。筑波サーキットのコース1000とジムカーナ場で、クルマだけに集中してもらう2日間を演出することができた。

2006年からは場所を富士スピードウエイに変更。それ以降、毎年YRSツーデースクールを開催してきた。中にはサーキットを走るのはこのツーデースクールだけと決めている方もいる。年配の方がYRSツーデースクールでサーキットデビューを果たした例も多い。

そして今回。14回目のYRSツーデースクールを開催。28歳から65歳までの青年が2日間いっしょうけんめい無心に走った !!!

ツーデースクールの朝はコース歩行から始まります

クルマという機械を操る運転は頭を使わないと上手くならないけれど、走りながら考えるのは逆効果。走り出したら雑念を捨て、無意識行動で運転することが望ましい。そのためにも、短期間に集中して身体に理屈を叩き込めば、運転はもっと楽しくなるし安全率は飛躍的に向上する。人間、一度身体が感じたことは、おいそれとは忘れない。

今年はあと1回。9月の28、29日の土日にYRSツーデースクールを開催する。ルノーオーナーの方はそれまでに少しだけ出費を抑え、ぜひ自分に投資してみてほしい。

※ 今回はルノー車が2台参加

ピットにならぶ兄弟

ヒラリとコーナーを

ウナリをあげてストレートを

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※ ルノー トゥインゴGTはというと、
デモランで目指すとこをイメージしてもらいます

イメージは無意識行動への近道です

そしてカメラを搭載して活躍。

太いトルクを生かして

ノーズをもたげ

粘る足で地面をとらえます

その時の動画がこれ。

○ ルノー トゥインゴGT 富士スピードウエイショートコースを走る

あくまでも個人的な思いではあるのだけれど、クルマにはサーキットが似合う。サーキットを走るクルマはイキイキしている。

機会があれば、あなたもサーキットを走ってみませんか? 速く走ることが目的ではありません。クルマがのびのびと動く様を感じるためです。


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