トム ヨシダブログ


第19回 費用対効果

今住んでいるところから最も近いスーパーマーケットにクルマを使わずに行こうとすると。

まず、早足でも25分はかかる湖西線志賀駅まで歩いて180円の切符を買い、平日の昼間だと1時間に3本しかない京都行きの電車に乗り、ふたつ目の和爾駅を目指すことになる。スーパーマーケットは和邇駅から歩いて2分ほどのところにあるから、向こうに着いてしまえばそれほど痛痒を感じることはない。
しかし、両手にレジ袋を下げて志賀駅から自宅まで歩いて戻る姿を想像すると、それも雨の日もあることだし、それを実行する可能性は極めて低い、と自らを説得する自分がいる。

有限の化石燃料を使わずに自転車で行くという手もあるが、歩道が整備されてない昔風の狭い国道161号線を走るのも、何かあってはと気が進まない。結局、なんだかんだと理由をつけては、いちばん手軽なクルマで行くことを躊躇なく選んでしまう自分がいる。

ようやく日本でもセルフ給油式のガソリンスタンドが増えてきた。

オドメーターで計った数字だから正確ではないが、自宅からそのスーパーマーケットまでの距離は161号線を使った場合で7.7キロ。数字的にはそれほどでもない。繰り返しになるが、化石燃料を使わずとも行って来れる距離のように思えるのが正直なところではある。
ところがここからがクルマが持つ魔力で、なんの迷いもなくクルマで買い出しに行く自分がいる。


 

自分でノズルを持つと、ついつい燃費コンシャスに。

慣らしが終わり快調に走るトゥインゴGTの燃費は、この夏の暑い日にエアコンを入れて走ってもリッターあたり14キロ代。極力過給しないように走っているのだが、どこかでガソリンを吹いているのだろう。それはともかく、大雑把な計算ではあるが、スーパーマーケット往復が約15.4キロとして、リッターあたり14キロ走るとしてトゥインゴGTが消費するガソリンが1.1リッター。一昨日給油したいつものガソリンスタンドのハイオクがリッター154円だから、スーパーマーケット往復で約170円。JRに払う半分のお金で買いだしをすることができる計算だ。

近くのスーパーマーケットに行くのにも自動車専用道路を使う。

安くすむは、電車の半分しかかからないは、雨の日でもおっくうではないし、重い荷物を持つ必要もない。
いろいろ理由をつけて他の方法で行くことを忘れようとしている自分がいるのも確かだけど、そうしないまでもクルマを選ぶ正当な理由があるのも事実。効率を考えれば、いやがおうでも選択肢はクルマしかない。
そう考えると、クルマは偉大だ。今さら言うことでもないかも知れないが、個人レベルで効率を求めることになるとクルマの存在価値は大きい。そう主張している自分もいる。

買い物用にあつらえたリュックサックを横目に、自転車を磨ながら思った。涼しくなったら、クルマの価値を認めた上で、クルマ以外の手段にも挑戦してみようと。
外気温が35度を過ぎる日が続いていたが、ここへきてようやく涼しくなった。中庭から見上げれば大量のトンボ。まもなく、大津に越してきて初めての秋を迎える。

京都に行ったついでにDプラスカフェに寄ってみた。

79年の秋。当時住んでいたロサンゼルスで童夢P2の長期テストを任された。日本初のスーパーカーはハリウッドで、サンタモニカで人々の目を惹いた。
その童夢ゆかりのカフェが京都にある。店内にはウェッジシェイプがが特徴の童夢P2も飾ってある。牛すじカレーが逸品。

・ディープラス カフェ ホームページ

http://www.depluscafe.com/

※ユイレーシングスクールでは運転にまつわる質問にお答えします。匿名でかまいません。クルマの動かし方に疑問のある方は以下のアドレスにお送り下さい。このブログで回答させていただきます。
・ユイレーシングスクール03ma@avoc.com

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ユイレーシングスクールでは以下のドライビングスクールを開催します。クルマの使い方に興味のある方は参加してみませんか?トゥインゴGTもお待ちしています。(詳細は以下の案内頁をご覧下さい。)

○ 8月28日(日)YRSドライビングワークショップFSW 案内頁

http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=ds&p=dwf

○ 8月30日(火)YRSドライビングスクール筑波

http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=ds&p=tds

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●クルマはよくできた道具なので、性能を発揮させるためにはそれなりの使い方を知る必要があります。ユイレーシングスクールが10周年を記念して制作したCDを聞いてみて下さい。バックグラウンドミュージックもないナレーションだけのCDですが、クルマを思い通りに動かすためのアドバイスが盛りだくさん。クルマ好きにとっては一生ものの5時間34分です。
YRS座学オンCD案内頁:http://www.avoc.com/cd/


第18回 タイヤを使う

  オドメーターは13,000キロを超え、トゥインゴGTはますます快調。
  街中を4速で走行中にわずかにスロットルを開けてやると聞こえる、かすかに聞こえる「ヒュィーン」という過給の開始を告げる音が心地よい。

久しぶりの奥伊吹スキー場。木々の緑も深まり夏。

  さて、7月に開催した今年2回目のYRSオーバルスクール奥伊吹の合間に、トゥインゴGTにデータロガーを取り付けて走ってみた。
  YRSオーバル奥伊吹はパイロンを並べて作った半径21.5mの半円を60mの直線で結んだ楕円形のコース。加速、減速、旋回が繰り返されるオーバルコースを速く走ろうとした時、クルマにはどんな加速度が生まれているか検証する。
 
  搭載したデータロガーはパフォーマンスボックスと呼ばれるGPSからのデータを記録。パソコンにダウンロードしたソフトで解析するもの。シガーライターを電源とする簡単なものだが、走り方を解析するには十分なデータを提供してくれる。

 

ウインドシールドの裏側に吸盤で取り付けるだけの簡単なデータロガー

  ユイレーシングスクールではスクールのたびに「どんなに高性能なクルマでもタイヤのグリップを超えて速く走ることはできない」、「安全に走るためにもタイヤのグリップを維持する技術を身につける必要がある」と説明する。またクルマ側から見ればタイヤのグリップとは4本のタイヤのフリップの総和のことだから、4本全てのタイヤのグリップを損なわないような操作をする必要がある、とも説いている。
  どんな時にグリップを損ないやすいか、という話は別の機会にゆずるとしてデータを見てみよう。下の図はYRSオーバル奥伊吹をインベタで走った1周260数メートルの速度と走行位置を示している。それにその時々のクルマの状態を描き加えたものだ。

 

縦軸に速度。横軸に距離を示す。右の図はクルマの位置を示す。

  40数キロでコーナリングしたトゥインゴGTはコーナーが終わる頃から徐々にスピードを上げ、このコースの最高速度70数キロに達する。
  60mの短いストレートのなかばで加速から減速に転じ、トレイルブレーキングを使いながらコーナーに進入。テーマが『できるだけコンスタンとに速いペースで走る』ことだから、コーナーの中で失速しないようにスロットルとステアリングを慎重に操作する。
  どの位置で、どの位スロットルを開けると『クルマが前に進む』かを感じながら、次のストレートに向けてスロットルを開ける。
  たかが1周16秒弱の箱庭みたいなコースではあるけれども、テーマを持って走ると見えなかったものが見えてくる。
 
  余談ながら、YRSオーバルスクールでは同じようなコースを1日に70周以上する。140回以上のコーナリングの練習をする。コーナリングの仕方だけでなく、タイヤのグリップを探る方法を知りたい方はぜひ参加してみてほしい。

  次の図は全く同じ周回のグラフに横Gのデータを取り込んだものだ。クルマの位置関係がわかりにくいかも知れないが、前の図と照らし合わせてみてほしい。

 

赤い線が速度。青い線が横Gを示す。

  図から0.7~0.8Gほどの横向加速度を受けながらコーナリングしているのがわかる。ちなみに最初のコーナーの横Gが比較的小さ目なのはこのコーナーの部分が駐車場で最も低いからだ。
  トレイルブレーキングを使ってコーナーに進入し、コーナリングの姿勢ができたら右足をスロットルペダルに戻してクルマをイーブンスロットルの状態にする。前後の荷重を均一にして4本のタイヤのグリップ全てをコーナリングに振り分けるためだ。

  次の図は同様に速度を表すグラフに加減速Gのデータを読み込んだものだ。

 

赤い線が速度。青い線が加減速Gを示す。

  コーナーを抜けて加速する。加速度はおおむね0.3Gほど。次のコーナーを回れる速度まで落とす時のマイナス加速度が0.5Gほど。
  コーナリング中の加速度に波があるが、これはヨーモーメントが発生していることを示す。原因としては、舵角とスロットルの修正に路面からの外乱が加わり、さらにトゥインゴGTの場合はトラクションコントロールの介入もある。
  しかし波はあるもののその区間の速度がほぼ一定だから、クルマ自体は安定してコーナリングしていることを示している。

  さて、この2つのグラフには安全にクルマを動かすために必要な操作のヒントが全て込められている。クルマ側からの視点に長けていれば、2つのグラフからそんな操作をしたらいいのか導きだせるはずだ。時間がある時にでも、あれこれ想像してみてはどうだろう。走り方を考えるのもクルマを動かす楽しさの一部だ。

  で、今回のまとめ。
  ■加速性能はクルマで決まる。とりあえず加速に関してタイヤのグリップが不足することはない。あるとすれば、発進加速の時か雪道を走る時だ。安心してスロットルを床まで踏んでもかまわない。なぜならば、タイヤの回転する方向と加速度の向きが一致しているからだ。
  ■どんなにすぐれた制動性能を備えたクルマでも、基本的な減速性能は運転手の技術によるところが大きい。制動性能をいくら大きくしても、それが大きなマイナス加速度とイコールになるわけではない。減速時にはタイヤの回転方向と加速度の向きが正反対だから、制動力の立ち上げかた(=踏力のかけかた)しだいでタイヤは簡単に限界を超える。
  ■コーナリングの速さは、間違いなく運転手の技量によって決まる。コーナリングでは加速度がタイヤの回転方向に直角に働く。しかし動いているクルマには加減速の加速度も加わっている。この2種類の加速度を合計すると、ほんのわずかな操作が原因でいとも簡単にタイヤのグリップの限界を超える場面に出くわす。
  ■タイヤには静的なグリップと動的なグリップがある。もちろんクルマを走らせているのは動的なグリップだ。しかし動的なグリップは絶えず変化する。タイヤにかかる全ての加速度の合計が、『その瞬間のタイヤのグリップ』を超えないような操作がクルマを安全に走らせる。

  クルマを運転する人全員が速く走る必要はない。しかしクルマを安全に走らせるためには、タイヤのグリップを超えない操作を知る必要がある。タイヤのグリップの範囲内でクルマを動かせるようになるためには、その人が速く走るつもりのない人であっても、今のところ、速く走る方法からひも解く以外にはない。だからドライビングスクールが有効なのだ。

※ユイレーシングスクールでは運転にまつわる質問にお答えします。匿名でかまいません。クルマの動かし方に疑問のある方は以下のアドレスにお送り下さい。このブログで回答させていただきます。
・ユイレーシングスクール03ma@avoc.com

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  ユイレーシングスクールでは以下のドライビングスクールを開催します。クルマの使い方に興味のある方は参加してみませんか?トゥインゴGTもお待ちしています。(詳細は以下の案内頁をご覧下さい。)

○ 8月28日(日)YRSドライビングワークショップFSW 案内頁
http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=ds&p=dwf

○ 8月30日(火)YRSドライビングスクール筑波
http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=ds&p=tds

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●クルマはよくできた道具なので、性能を発揮させるためにはそれなりの使い方を知る必要があります。ユイレーシングスクールが10周年を記念して制作したCDを聞いてみて下さい。バックグラウンドミュージックもないナレーションだけのCDですが、クルマを思い通りに動かすためのアドバイスが盛りだくさん。クルマ好きにとっては一生ものの5時間34分です。
YRS座学オンCD案内頁:http://www.avoc.com/cd/


第17回 クルマはタイヤでしか走らない

 
  田植えも終わり、富士山も初夏の装い。 

 ず~っと昔。「クルマはタイヤで走ります」というタイヤメーカーのCMがあったと記憶する。
  そのメーカーが何を意図してそのCMを流したかはわからないが、クルマを運転する者はみな、このフレーズを頭に入れておいたほうがいいし、ドライビングスクールを主宰する身としては、そんなCMが復活してほしいとさえ思っている。 

  

サスペンションの第一機能はタイヤを地面に貼り付けること。  

 
  クルマにはタイヤの存在が不可欠なのは誰にでもわかるが、その性能を発揮するのにはタイヤが路面をつかまえる力=グリップが必用なことをきちんと認識している人は少ない。
  グリップがいいタイヤを履けば速く走れると単純に信じていたり、その特性を知らずにかっこうだけを理由に超扁平タイヤを履いてみたり、グリップの本質から離れたところでタイヤと向き合っている。タイヤはクルマが機能するために欠かせないものではあるが、それでも、クルマを構成する部品のひとつ。それだけをいじってもクルマの性能が向上するわけではない。まして、クルマを走らせるのが『曖昧な人間』ときているから、人間が間違いを犯せば、いくらグリップのいいタイヤを履いていてもクルマが言うことを聞いてくれるとは限らない。
  「今度はグリップのいいタイヤを履いたからタイムアップは間違いなし」と言い切ったのに、それまでのラップタイムを更新できなかった人。小さくなった扁平率が操縦性にどんな影響を与えるか、考えもしないでアンダーステアを出しまくっている人。ユイレーシングスクールではほとんど見かけないが、日常的にそんな例は枚挙にいとまがない。  

 


 タイヤの使い方によるコーナリング3態。 

 
  クルマが走る時。クルマには必ず加速度が働いている。加速中にはプラスの加速度。減速中にはマイナスの加速度。旋回中には遠心力。その加速度は速度とともに変化し、それに車重を加えた大きなエネルギーを支えながらタイヤは仕事をしている。
  路面をつかまえることがタイヤの仕事の全てだ。しかし、タイヤのグリップは無限ではない。加速度の大きさと向きによってはタイヤが支えきれない場合があってもおかしくない。人間がそうしたいと思っても、そうならない場合があるのはそのためだ。
  だから、発想を変えて、どうしたら『グリップを損なわない』操作ができるかという視点でクルマを動かすと、クルマは人間の言うことを聞きやすい。特に、1輪だけでなく4輪全てのグリップを常に維持することを念頭におけば、クルマにとって正解となる操作の方法が見つけやすい。 

 


 走行状態によっても前後タイヤのグリップレベルは変化する。 

 
  昔に比べてクルマが高性能になり、タイヤの性能が格段によくなった。確かに我々人間にとっては嬉しいことだが、だからと言ってクルマ任せ、タイヤ任せでクルマを走らせられると思うのは間違いだ。逆に、高性能と安全という言葉が人間に油断をさせてはいないかを考えてみる必要がある。

  クルマの運転はそれだけで無条件に楽しい。しかし、クルマの動かし方、それはタイヤの使い方であり、4輪のグリップを維持する方法なのだが、それを知れば運転はもっと楽しくなる。

  ひとりでも多くのクルマ好きに運転の楽しさを知ってほしい。それがワンボックスであろうと、SUVだろうと、タイヤが4本ついていればどれも同じ。タイヤの使い方を知りたい人、もっと楽しく運転したい人。ぜひユイレーシングスクールに参加してみてほしい。 

 


 訪れるたびに違った表情で出迎えてくれる富士山。いいね。 

 
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  ユイレーシングスクールでは以下のドライビングスクールを開催します。クルマの使い方に興味のある方は参加してみませんか?トゥインゴGTもお待ちしています。(詳細は以下の案内頁をご覧下さい。)
   
■ 7月23日(土)YRSオーバルスクール奥伊吹 案内頁
http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=os&p=oso

◆ 7月28日(木)YRSドライビングワークショップFSW 案内頁
http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=ds&p=dwf

■ 7月29日(金)YRS + エンジン ドライビングレッスン
エンジン(03-3267-9681)編集部にお問い合わせ下さい。

■ 7月30日(土)YRSオーバルレースFSW
http://www.avoc.com/2race/guide.php?c=sr&p=yor

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●クルマはよくできた道具なので、性能を発揮させるためにはそれなりの使い方を知る必要があります。ユイレーシングスクールが10周年を記念して制作したCDを聞いてみて下さい。バックグラウンドミュージックもないナレーションだけのCDですが、クルマを思い通りに動かすためのアドバイスが盛りだくさん。クルマ好きにとっては一生ものの5時間34分です。
YRS座学オンCD案内頁:http://www.avoc.com/cd/


第16回 YRS + エンジン ドライビングレッスン

ユイレーシングスクールはエンジン編集部とタイアップしてドライビングレッスンを開催している。初めて開催したのが2003年だから、かれこれ9年続いている。5月末には38回目のエンジンドライビングレッスンを開催した。
 
  この企画を持ち込んだのは、大人の遊び心の増幅に力点を置く雑誌エンジンの読者に、『所有欲から使用欲への転換』を訴えてみたかったからだ。
 
  編集部には、『クルマをただ所有するだけでなく、クルマは道具なのだからトコトン使い倒す方法を教えることを読者サービスにしませんか』と提案した。ご自身も走ることが好きな鈴木編集長の快諾を得て、日本ではまれな、雑誌を母体としたクルマの楽しさを存分に味わう場を提供することになった。

リードフォローにトゥインゴGT大活躍の図。
 

  エンジンドライビングレッスンのカリキュラムは、当時筑波サーキットの委託を受けて開催していた筑波サーキットドライビングスクールをアレンジしたもの。午前中にジムカーナ場にパイロンで作ったオーバルコースをひたすら回り、クルマを安定させて走るための操作に慣れ、午後は1周1キロメーター強のコース1000に移動してサーキット走行。
 
  クルマを速く走らせたことのない人も、最初のオーバル走行でアンダーステアを経験し、操作によってはクルマが曲がらないことを覚える。1周14秒ぐらいのコースだから7秒に1度はコーナリングをするわけで、加速・減速・旋回の流れが身体にしみ込む。
  コース1000を走ったことのない人をクルマに乗せて、サーキットを走る時の注意点などを話ながらバンライド。自分で運転しているのではないから、サーキットの景色がよく見える。続いてインストラクターが運転するクルマの後に連なって、ライン取りやブレーキングポイントのタイミングを練習するリードフォロー。できるだけ車間距離をつめて走ってもらい、自分で考えずに前のクルマの「真似」することに集中してもらう。

セッションごとのベストラップを集計。傾向を把握し、さらにカリキュラムを練る。
 

  一連の流れの中で、サーキットを走ったことのない人もそれなりに走れるようになる。それなりにというのは、ラップタイム自体は遅くても、クルマを安定させて走れるという意味。気負わずに、クルマと対話しながら走るから、クルマの高い性能の恩恵にあずかることができる。結果としてエンジンドライビングレッスンではコースアウトやスピンはほとんどない。そして、安定して走らせることを身体が覚えれば、次のステージに進むことができる。
  ベテランの人も、ひとつずつステップを踏むことでリズムができるから、以前の経験を引き出しやすい。セッションが進むにつれて、短時間で運転がこなれていく。

  クルマはこうしようと思っても、そうならない場合がある。それは、こうしようと思った時に人間側がそうする準備をしていなかったり、クルマ側がそうなる状態になっていないから。クルマの動きを感じ、クルマにそう動いてもらうための手続きさえ怠らなければ、クルマは意のままに動いてくれる。だから自動車。

  速く走ることが危険なのではなく、クルマの動かし方を知らないまま運転することのほうが危ない。速く走るためにはクルマをキチンと操作することが求められるわけだから、その意味で、速く走ろうと努力することは安全に運転することにつながる。だから、自由に速く走れるサーキットで運転の練習をする。
  速く走ったことのある人は、クルマの運転でやってはいけないこととやらなければならないことを身につけるから、日常の運転に余裕が生まれる。速く走らなくても、クルマが動いている状態がわかるから、運転していて楽しい。

 

 新旧2台のルーテシアも参加。
   

悩みというと怒られそうだが、他のユイレーシングスクールのスクール同様リピーターが多い。少しでも大勢の人に運転の楽しさを味わってもらいたいのだが、基本的な流れは1回参加してくれた人がまた参加してくれる。
  今回のエンジンドライビングレッスンは、いつもより多い5名が初参加。残りはリピーター。中には10回以上参加してくれている人もいる。
  もちろん、中には運転をつきつめることが苦手な人もいるかも知れない。それでも、仕事で、あるいは余暇にクルマを動かすことのある人は、一度安全な環境で速く走ってみることをお勧めしたい。


レッスンが終わって全員集合。心地よい疲労感と達成感とともに笑顔、笑顔。

 

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  我が家のトイレに置くゴミ箱を探しに、信楽の里まで久しぶりにトゥインゴGTの兄弟を連れ出した。ずら~っと並んだ陶器はひとつひとつの表情が全て異なり、選ぶのにたいそう苦労した。それでも10件近くのお店を回ったおかげで、ぴったりの植木鉢を見つけることができた。

 

 大きな狸がお出迎え。少しビックリ。
 

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  ユイレーシングスクールでは以下のドライビングスクールを開催します。クルマの使い方に興味のある方は参加してみませんか?トゥインゴGTもお待ちしています。(詳細は以下の案内頁をご覧下さい。)
   
■ 7月23日(土)YRSオーバルスクール奥伊吹 案内頁
http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=os&p=oso

◆ 7月28日(木)YRSドライビングワークショップFSW 案内頁
http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=ds&p=dwf

■ 7月29日(金)YRS + エンジン ドライビングレッスン
エンジン(03-3267-9681)編集部にお問い合わせ下さい。

■ 7月30日(土)YRSオーバルレースFSW 案内頁
http://www.avoc.com/2race/guide.php?c=sr&p=yor

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●クルマはよくできた道具ですから、性能を発揮させるためにはそれなりの使い方を知る必要があります。ユイレーシングスクールが10周年を記念して制作したCDを聞いてみて下さい。バックグラウンドミュージックもないナレーションだけのCDですが、クルマを思い通りに動かすためのアドバイスが盛りだくさん。クルマ好きにとっては一生ものの5時間34分です。
YRS座学オンCD案内頁:http://www.avoc.com/cd/


第15回 YRSオーバルスクール奥伊吹

  ゴールデンウィーク中の最後の土曜日。奥伊吹スキー場の駐車場でYRSオーバルスクールを開催した。昨年9月に試験的に開催したことはあったが、正式には関西で初めてのYRSドライビングスクール。
  山を切り崩して整地したこの駐車場。地形通りに作られているから、かなり形はいびつ。それでも最も長い部分で175.1m.幅が112.3m(数値は奥伊吹スキー場提供の工事図面から)あるから、走路の幅は多少狭いが富士スピードウエイで開催しているYRSオーバルスクールFSWと同じ大きさのオーバルコースを設定することが可能だ。だから、延べ1,070名のYRSオーバルFSWのデータと比較することができる。
  もちろん。オーバルスクールでは速く走ることだけが目的ではないが、どんなクルマでどんな運転経験のある人が、どのくらいのラップタイムを記録しているのか参考になる。ロードコースとは異なり、ちょっとしたミスでも直接速さに影響するオーバルコースでは、速く走ろうとしても速く走れるわけではない。ラップタイムはあくまでも、1周の間ずっとクルマの性能を引き出す操作ができたかどうかの結果だ。1周のラップタイムが良くても、セッションを通じての平均ラップが遅ければどこかにクルマの性能をスポイルしている部分があるいはずだ。
  高いお金を払って参加してくれる人が、自分なりの目標とテーマを持てるように、この歴代ラップタイムは重要な意味を持つ。

奥伊吹スキー場の駐車場にパイロンでオーバルコースを設置。

  連休中の開催だったので申し込みは低調。1名がクルマのトラブルで不参加だったので最終的に8名で開催。24名までは消化できるカリキュラムなのだが、今回は人数が少ないので大サービス。とにかく徹底的に走り込んでもらった。
  ちなみに、8名中4名が過去にユイレーシングスクールに参加したことがあるのでオーバル走行を経験済み。残りの4名はオーバルコースを見るのも走るのも初めて。

YRSルノー・スポールゼミに参加してくれたWさんも愛車とともに。

  ユイレーシングスクールではYRSオーバルスクールに参加してくれた方が記録したラップタイムを表にして送っている。計測した全てのラップタイム、ベストラップタイム、アベレージラップタイム、ワーストラップタイムをはじき出してある。さらに、ベストとアベレージの差、アベレージとワーストの差も計算してある。どんな表なのかは下の画像を見てほしいのだが、セッションの欄にあるRは右回り、Lは左回りを示している。

<参考>YRSオーバルFSW1733名の記録
http://www.avoc.com/cgi/laptime.cgi?yof,b,01


参加者に送った計測データの1部。

  ユイレーシングスクールでは参加してくれた方に、折りに触れてアンケートを行っている。みなさんがどんな感想を抱いたか知ることによって、カリキュラムの修正や追加をすることができるし、公開することでユイレーシングスクールの有り様もわかって欲しいからだ。
  今回はそのアンケートの回答をそのまま引用する。ユイレーシングスクールの実態に触れてもらえればと思う。

トゥインゴGTもリードフォローで大活躍。

  アンケートの設問は以下の通り。
(1)ユイレーシングスクールのオーバルスクールをどう思われますか?
(2)ユイレーシングスクールの教え方をどう思われますか?
(3)ユイレーシングスクールはあなたの運転の上達に役に立ちましたか?
(4)役に立ったとすればどんなところでしょう?

  少し長くなりますが、以下が参加者からの回答(参加8名中7名が回答)です。設問の番号を回答の頭につけてあります。お名前の後のデータは、参加車両/改造の有無/サーキット走行時間/YRSオーバルスクール参加歴、です。

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○ Tさん GTR/有(サスペンション他)/レース経験/有
(1)昨日はお世話になりました。自分の次のステップが見つかったような気がします。関西ではまだ知名度は低いですが、一見単純な様で実はかなり奥の深いスクールだと思います。スポーツ走行未経験者から上級者まで、根本とするところは同じでもそれぞれのレベルに合った課題を提供してもらえて、その課題をクリアしていく。とても効果のある練習方法だと思います。関東ではリピーターが多い理由が納得できました。
(2)自分は公道での安全な運転技術を学ぶ為にスポーツドライビングを始めたので、自分の考える所とピッタリと合いました。また、あまり語られる事の無かった「ドライビング理論」について、実技を通してここまで詳細に学べる所は無かったのではないでしょうか。
(3)とても役に立ちました。
(4)荷重のコントロールをみっちり練習したことによりイーブンスロットルはひたすら我慢することでは無く、微細な荷重移動を行って積極的に向きを変え、脱出時のアクセルオンの開始位置を手前にすることができました。
今まで自分の車は、トルクバンドがかなり高回転よりになっているので、脱出後にトルクバンドから外れることが多く、車のせいにしていましたが、運転の方法で脱出時にトルクバンドに乗せる方法がある事を知りました。

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○ Yさん スバル ヴィヴィオ/ノーマル/11時間/初めて
(1)単純なコースレイアウトだが、上手に走行するのが中々難しく奥が深い。1日中走っても飽きることなく楽しく走行できた。
(2)ラジオを使用して、その都度指摘してもらえるので、良かった所、悪かった所が印象に残りわかりやすい。
(3)役に立った。
(4)ブレーキ、ハンドル操作等自分の運転の仕方の間違っている箇所がわかった。

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○ Wさん ルノー メガーヌRS/ノーマル/経験なし/初めて
(1)土曜日はとてもよい経験をさせていただきました。どうもありがとうございました。今になって思い返せば、せっかく丁寧なアドバイスを頂いたのに、ガツンとブレーキを踏みグイッとステアリングを切りドカンとアクセルを踏む、全く悪い見本のような走りだったように思います(苦笑)。でも楽しくって(笑)。もう自由に走らせていただいてありがとうございました。
次回はタイムの呪縛から解かれもっとジェントルな運転を身につけるべく周回を重ねたいと思います。ただ今回も、スムーズに周回出来た周の方がギリギリまで頑張った周回よりタイムがよい、ということの片鱗を見たような気はしました。
ホームページの印象からは、理論的な、悪く言えば堅苦しいスクールをイメージしそうですが実際はむしろエモーショナルな、本能に訴えかけるようなスクールでした。それは「内燃機関のおもしろさ」をまず最初に語られたことに通じるように思いました。
(2)今回は参加者の構成に合わせられたのか、理論よりは実践!的な進行だったのでしょうか。確かに運転は実践であることからしても、また私個人的にもたくさん走れて充実の一日でした。ただ、もし可能であれば、自分の走行をビデオで見てそれにコメントをいただく、というような機会があればもっとわかりやすいかなと思いました。もっとも1日のスケジュールでは難しいかもしれませんね。
(3)非常に役に立つと思います。
(4)車と自分の限界付近での挙動を垣間見れたこと、逆に雑多な目的とレベルの混在した一般公道で限界に近づくことの危険性を再認識したこと。思い通りに車をコントロールするためにはやはりそれなりの訓練を積み重ねないと難しいということがよくわかったこと(頭でわかっていてもその通りに行うことは、いろいろと、難しいものですね。精神修養が必要です(笑)そして同じ課題に取り組む他のドライバーの走りを間近にみられたこと。

参加車はGTRからワンボックス、SUV、軽自動車まで多彩。

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○ Fさん シルビア/有(シート)/11時間/初めて
(1)オーバルコース走行により、基本的な動作の確認ができる(悪い部分を確認できる)ので良いと思います。
(2)FMでのリアルタイムな指摘があるのがよいと思います。
(3)役に立つと思います。
(4)タイヤ4輪を使った(安定した)車の動作が重要である点。また、コーナリング出口でのインストラクターのハンドルの戻し方(一気に戻すことで車のロールを消す)が印象的でした。

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○ Hさん スズキ スイフト/有(サスペンション他)/10時間/有
(1)ブレーキング、コーナリングの技術向上、に非常に役に立つと思います。
(2)実際に車を運転しているときに、リアルタイムでアドバイスをいただけるので、その場で悪い操作を修正できる良い指導方法だと思います。
(3)私にとっては非常に役に立ったと思います。
(4)車の挙動や、姿勢をコントロールする方法、スムーズに走る方法など、独学ではまず理解できない事を教えていただきました。まだ、頭では理解できても、体で理解できていないところがあるので、体に覚えさせる練習をしていき、またスクールに参加していきたいと考えています。

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○ Nさん スバル アウトバック/ノーマル/経験なし/初めて
(1)レース経験のない人でも参加できる所が良いと思います。私は友人から教えてもらって参加したのですが、それまでまったくこのスクールの事を知りませんでした。なんとかもっと幅広く宣伝できればもっと参加者が増えると思うのですが・・・
(2)同乗してくれるのが、とても良かったです。運転操作を見ることが出来る機会はなかなか無いので、それを見ることが出来るのは、自分の中でイメージを作りやすかったですね。
(3)とても勉強になりました。だれかに運転を教わるのは、自動車教習所以来です(笑)オーバルということで、複雑な操作が必要なく、反復練習し易かったです。教わった技術は普段の運転時に練習出来るし、その場だけでは終わらないのが良いですね。
(4)特にアクセルワークとステアリング操作の相互関係でしょうか。早めにトラクションをかけることが、安定性に結びつく事は感覚的に解っていますが、より洗練出来そうです。

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○ Hさん トヨタ ノア/ノーマル/2時間/有
(1)ドライビングスキルアップに非常に役立つスクールだと思います。
(2)悪いところをすぐにフィードバックしてもらえるところが良い。それと説明がわかり易いのも良いです。もうひとつ、自分の車を運転してもらえるところがわかりやすくて良いです。
(3) 間違えなく役立ちます。
(4)特にトレイルブレーキングとステアリング操作について役立ちました。

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パイロン、光電管、送信器、机、椅子、パソコン、巻尺などなど。必要な機材を全て積んでもまだ余裕。トゥインゴGT大活躍の図。
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  ユイレーシングスクールでは以下のドライビングスクールを開催します。クルマの使い方に興味のある方は参加してみませんか?トゥインゴGTもお待ちしています。(詳細は以下の案内頁をご覧下さい。)

□ 5月29日(日) YRSオーバルスクール FSW
http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=os&p=osf

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●クルマはよくできた道具なので、性能を発揮させるためにはそれなりの使い方を知る必要があります。ユイレーシングスクールが10周年を記念して制作したCDを聞いてみて下さい。バックグラウンドミュージックもないナレーションだけのCDですが、クルマを思い通りに動かすためのアドバイスが盛りだくさん。クルマ好きにとっては一生ものの5時間34分です。
YRS座学オンCD案内頁:http://www.avoc.com/cd/


第14回 YRS ルノー・スポールゼミ


YRSルノー・スポールゼミに集まったRS。

このブログでも紹介したように、ルノー・スポールオーナーを対象としたYRSゼミを開催した。開催日がゴールデンウィークの最中だったこともあり参加者は3名。さみしくはあったけれど、それはそれで充実した時間を過ごせた(と思う)。


白がWさんのメガーヌ。

 納車されてから2週間しかたっていない白いメガーヌRSで現れたWさんは、このブログでゼミの開催を知り申し込んでくれた。ごくふつうのセダンや、ごくふつうのSUVを乗り継いできたというWさん。クルマの運転を楽しみたいという思いに駆られて購入を決めたそうな。だから、メガーヌは大切に乗っていきたいと。だから。通勤にクルマを使うのを止め、運動を兼ねて自転車で通っていると言う。
  いいね。こういう話は。クルマとの付き合い方に覚悟がある。クルマさんも幸せだ。

 ユイレーシングスクールの「座学オンCD」も買ってくれたWさん。実は連休中に開催される関西で2回目のYRSオーバルスクール奥伊吹にも参加してくれる。そのWさんからのメール。

  『湖畔のカフェレストランを会場に、様々なエピソードを交えつつお話いただいたドライビング理論の講義は大変充実したものでした。YRSの講義CDにも匹敵するような4時間超にも及ぶ(!)お話の内容は、一度聴いたぐらいでは消化しきれるものではありませんでしたが、その中でも繰り返しお話され印象に残ったのが「走る・曲がる・止まる」を「荷重移動」という観点から連続的なものとしてダイナミックに解説されたことでした。ややもすると「点」でとらえそうになる運転技術を、一連の流れのものとして意識することが、なめらかかつ安全なドライビングにつながるものなのだと理解できました。
 最後に場所を駐車場に移して各自の車でドライビングポジションのチェックを受け、基本的な操作の注意点を説明してもらいました。オーバルスクールまで日常の運転で感じ取るべき宿題もいただき、当日が楽しみになりました。理論の後は実践あるのみと心ははやりますが、本日はここまで。実践は1週間後の奥伊吹オーバルスクールまでお預けです。』


青がUさんのルーテシア。

 マニュアルシフト車は3台目。レガシイB4から乗り換えたというUさんは、ルノー京都の案内を見て参加してくれた。青いルーテシアRSに乗り換えた理由は、試乗した時のカッチリした操作や動きが気に入ったからだとか。昨年7月の納車以来既に1万キロ以上を走行。聞けば、毎日の30キロに及ぶ通勤の足として使っているとのこと。

  いいね。こういう話は。大好きなクルマが日常の生活に溶け込む。クルマさんも幸せだ。

  以下は、YRSオーバルスクール奥伊吹の日が仕事で参加できないUさんからのメール。

  『荷重の話やドライビングポジションの話は日ごろ聞く機会がなかったので、大変勉強になりました。帰路和邇から自宅まで運転する中で今日教わったことを意識しながらステアリングの切り方やアクセルの踏み方を注意すると、車の動きがいつもと違うような感じがしました。今までは漫然と運転することも多かったですが、これからは課題を持って運転していきたいと思います。機会があれば実際のスクールにも参加してみたいと思います。
  今日はヨシダさんの運転するルーテシアRSの助手席に乗せていただいて「こういう風に運転したら良いのか!」と思う点も多く、大変勉強になりました。またこのような機会があれば是非参加させて頂きたいと思います。』

 実はUさんからのメールの中にギアシフトについての質問も含まれていた。ボクのルーテシアに4人乗車でカフェ・スマイルの付近を走り、ユイレーシングスクールシニアインストラクターが公道でどういう運転をするか見てもらったのだが、その操作の方法についての質問だった。
  早速思いつく限りのアドバイスを送ったところ、Uさんからは通勤時に試してみますとの返事。どんな質問で、どんなアドバイスだったかはナ・イ・シ・ョ・だけれど。


銀がボクのルーテシア。

  スバルフォレスターで参加したKさんは、社用車がルノー・カングー。ルノー・スポールでなくてもいいですか、という問い合わせをもらい、ぜひぜひと参加してもらった。
  当日の話の中で、「4本タイヤがついていれば背の高いクルマだって基本的な操作は同じです」、「背の高いクルマだから運転が楽しくないということはありません」、「理由はかくかくしかじかです」と説明すると、次は実際のスクールに参加してくれると約束してくれた。


今回の会場となったカフェ・スマイルの駐車場に羊の皮をかぶった狼が3台。

  ユイレーシングスクールの拠点がまだ完成していない部分もあり、カフェ・スマイルさんに無理を言って関西初のYRSゼミを開催した。拠点が完成すればビジュアルな情報も盛り込んだゼミを開催する予定だ。
 
  最後にもう一度Wさんのメール引用する。

  『さて今回は試験的なカフェでのイベントとのこと。ゴールデンウィーク最初の土曜ということもあってか参加者はやや少なかったようです。ルノースポールをブランドイメージの中心に据えるのであれば、ルノージャポンにも積極的にコミットしていただいて、このようなドライビングスクールを応援していただきたいと、ルノースポールオーナーの一人として感じました。』
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2月のYRS筑波サーキットドライビングスクールに参加してクルマを操る快感の虜になったKさん。4月末に富士スピードウエイで開催したYRSオーバルレースにもはるばる宇都宮から参加してくれた。もちろん。ルーテシアの性能を満喫していたのは言うまでもない。
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 ユイレーシングスクールでは以下のドライビングスクールを開催します。クルマの使い方に興味のある方は参加してみませんか?トゥインゴGTもお待ちしています。(詳細は以下の案内頁をご覧下さい。)

□ 5月29日(日) YRSオーバルスクール FSW
http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=os&p=osf

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●クルマはよくできた道具なので、性能を発揮させるためにはそれなりの使い方を知る必要があります。ユイレーシングスクールが10周年を記念して制作したCDを聞いてみて下さい。バックグラウンドミュージックもないナレーションだけのCDですが、クルマを思い通りに動かすためのアドバイスが盛りだくさん。クルマ好きにとっては一生ものの5時間34分です。
YRS座学オンCD案内頁:http://www.avoc.com/cd/


第13回 クルマの運転は科学だ

富士スピードウエイの周りの桜は散りかけていたが、

それでも桜はいい。

満開の桜には空間を、

地面に舞う花びらには時間を感じる。

 ===> 以下、過去に発行したユイレーシングスクールメールマガジンからの転載 です===>

 ある日のスポーツ新聞に興味深い記事が載っていた。それは競争馬の速さにまつわる話なのだが、クルマの運転ともまんざら関係なくはなさそうだった。筆者は競馬をやらないし見たこともないので、競馬に関しては全くの無知だ。競馬が速さを競うものなのは知っているが、その速さはどうやってはかるものかはわからない。だからあくまでも記事を元にしてしたためてある。

 自動車レース同様に、競馬も当時の裕福な人たちが自慢の馬で速さを競い合ったのが始まりだと言われている。もちろん、その始まりは競馬の方が先なのだが。
  近代競馬の発祥の地はイギリス。有史以前から競馬に似たようなものはあったらしいが、馬を使って純粋な速さを競う近代競馬は16世紀に始まったという記述があるらしい。やがて1620年代。競馬がイギリスの植民地だったアメリカに渡った。現存する記録では1540年にイギリスで世界初の競馬場が建設され競馬が行われ、イギリスの植民地であったアメリカでは1665年に初の常設競馬場が完成したとある。

 イギリスで生まれた競馬だが、当初騎手は馬の背中にべったりと座って乗っていたという。アメリカに渡った競馬は、そこで騎手が中腰で乗る方法があみ出される。その乗り方が革新的だったのか、結果としてレース記録が短縮したと言う。
 1897年。アメリカで生まれた中腰の前傾姿勢で乗馬する方法がイギリスにも普及し、1897年~1910年の間に7%ものレース記録を短縮。アメリカでは1890年から1899年までの間に5%のレース記録が短縮されたとある。
 
  イギリスのロンドン大学の研究チームは乗り方に記録短縮の鍵があるとの仮説を立て、騎手と馬にGPSと慣性センサーを取り付けて計測した。その結果、仮説が正しいものであるとの裏づけを得たという。
  時速約70キロで走る競馬馬の重心移動は上下約15センチ、前後約10センチ。あの巨体がこれだけの重心移動だけで疾走していることにも驚かされるが、これに対し騎手にいたっては上下約6センチ、前後約2センチというごくわずかな重心移動しかしていなかったという。馬の上で騎手が自らの重心移動を少なくすると同時に、馬の重心移動と逆向きの動きで馬の重心移動そのものも軽減し走行を安定させていることがわかった、とあった。
  馬体重は440~552キロ(今年の天皇賞から筆者が引用)。騎手は規定により54~57キロ。10分の一の質量の騎手が馬の上で微妙な重心移動を心がけることにより、馬自体の重心移動が減り馬本来の脚力が発揮された、と見ることはできないか。

 馬は騎手が乗らなければ走らない。馬は当然のことながら、騎手という重量増を抱えて走らなければならない。馬にとっては負担になる。その騎手が乗り方を変えたことにより馬の負担が減り、馬がより速く走れるようになったという話だ。

 それにしても、500キロはある馬にまたがり70キロ近くで走りながら馬の動きに翻弄されることなく、自らの動きを最小限にとどめるのは正直言ってすごい話だと思った。騎手によって馬が速くなるという話を聞いた時に半信半疑だったが、もし仮に騎手の最大の役目が『馬の重心移動の制御』にあるのだとしたら、それは大いにありえる話だ。

 クルマを運転するのは馬を走らせることとは違うが、それぞれの機能を発揮させるという意味では共通したテーマがあるようだ。重心の移動が少ないということをクルマに例えれば、ピッチングが少ないことに置き換えられる。クルマが前後のタイヤのグリップレベルを変化させてアンダーステアやスピンにおちいりバランスを崩すのは、状況としてはクルマがピッチングしているからだ。言うまでもなく、ピッチングはクルマの重心が前後に移動することによって起きる。ピッチングにより前後タイヤのグリップが変化することで、どちらかのタイヤの路面をつかまえる力が不足することが直接の原因だ。

 もし、クルマの重心が動かないように気をつけながら運転したらどうだろう?クルマの場合は馬のように重心の上下動は無視できる範囲だろう。その代わり、クルマを走らせる時にはヨーモーメントの発生が不可欠になる。それでもできるだけ重心が動かないような操作に集中すれば。

  もちろん、加速、減速、旋回を繰りかえすクルマは、ある瞬間には大きな重心移動が起きていて不思議ではない。ただその重心移動がふたつ以上重なるとクルマはバランスを崩しやすくなる。スクールで「トランジッションを意識して」と口を酸っぱくして言うのも、別の言い方をすれば「操作を重ねないで下さい」、という意味だ。

  『クルマがある動きして重心が移動したらその移動した重心を元の位置に戻すような操作をして、あるいは重心が元に戻るのを待ってから次の操作をする。クルマを安定させるためにはそんなイメージが大切だ』。こじつけに近いかも知れないが、的外れでもないだろう。次のスクールではそんなアドバイスをしてみるのも悪くはないな、とあれこれ想像しながらスポーツ紙の小さな囲み記事を何度も読み直した。

【余話】
  近代競馬の発祥の地はイギリスだが、自動車のオーバルレーシングが生まれたのはアメリカだ。1896年9月7日。ニューヨーク郊外ロードアイランドにある1周1マイルの競馬場を使って初めての自動車レースが開催された。イギリスより先にオーバルコースで自動車レースが行われた。自動車の国アメリカならではの話だ。
  同じ楕円形のコースを使う競技だが、競馬のようにオーバルレーシングが全世界に普及するようなことはなく、カナダとオーストラリアで開催されているのが現状だ。
  アメリカのオーバルレーシングには様々な形態がある。大別すればインディ500に代表されるオープンホイールレーシングとデイトナ500が有名なストックカーレーシングだ。コースにいたっては、1周320mのダートコースから2.66Kmのスーパースピードウエイまで多様。全米に1,000ヶ所以上のオーバルコースがある。
 
  アメリカでは全てのオーバルレーシングが左回りで行われる。最初に競馬場でレースを行うことになった時、競馬場の馬をつないでおくピットが走路に対して斜め左を向いていた。当時のアメリカの競馬が左回りで行われていたからだという。ピットに入れるのが馬ではなく自動車になっても、便宜上同じ方向に走ったのでアメリカのオーバルレーシングは左回りになったのだとものの本には書いてある。
  カナダのオーバルレーシングは左回りだが、オーストラリアのそれは右回り。オーストラリアが長く競馬発祥の地イギリスの植民地であったことに関係があるのか、左側通行だからなのかは調べていないのでわからない。
  ちなみに、ツインリンクもてぎにある1周2.4Kmのスーパースピードウエイ。日本で唯一のオーバルコースも左回りで使われている。しかし日本で売られている自動車が右ハンドルなので、運転する人がコーナーの内側にくるように右回りも計画段階から考えられていた。そのためコースにある信号機が回転軸に取り付けられていて反転するようになっていて、左回りでも右回りでも対処できるようになっている。

                                           <=== ここまで転載 <===

  最近、テレビでやっている競馬のCMをご覧になった方もいるだろう。疾走している競馬馬を横から撮ったものだ。ボクは見るたびに、その美しさに感動している。

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  ユイレーシングスクールでは以下のドライビングスクールを開催します。クルマの使い方に興味のある方は参加してみませんか?トゥインゴGTもお待ちしています。(詳細は以下の案内頁をご覧下さい。)

□ 5月29日(日) YRSオーバルスクールFSW
http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=os&p=osf

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●クルマはよくできた道具なので、性能を発揮させるためにはそれなりの使い方を知る必要があります。ユイレーシングスクールが10周年を記念して制作したCDを聞いてみて下さい。バックグラウンドミュージックもないナレーションだけのCDですが、クルマを思い通りに動かすためのアドバイスが盛りだくさん。クルマが好きな人には一生ものの5時間34分です。
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第12回 オイル交換

  琵琶湖の西岸。比良山のふもとに拠点を移してから、相変わらず大津市と関東をクルマで往復する生活が続いている。最低でも月に1回、多い時は3回。それがドライビングスクールの開催であればトゥインゴの出番だ。
  当然高速道路を使うのだが、そんな時にトゥインゴGTが大活躍。自宅から御殿場インターチェンジまでちょうど440キロあるのだが、それをノンストップで走っても疲れない。流れをリードするペースで走っても、燃費はリッター15キロを割ることはない。
 
  走っている間は他にすることがないので考えてみた。どちらかというとクルマにはギアシフトが欠かせないとかたくなに思っている部類に属するのだが、トゥインゴGTだとその回数が極端に少なくなる。もともと回転ではなくてトルクで走るタイプの動力性能を備えるから、シフトダウンの必要性は高くない。初めのうちは長年の癖で左手が勝手に動いてしまっていたのだが、5速に入れっぱなしでも痛痒を感じることが少ないのが身にしみると、しだいにズボラになってきた。それではいけない、と言う自分がどこかにいるのだが・・・。
  なりいきで運転すると集中力を欠くようで生理的に受け付けないところがあったのだが、手抜きに慣れると、それはそれでいいのかも知れないと思えるようになった。それが疲れない原因なのかも知れない。

  少なくとも、今のところ長距離の移動が億劫ではなく、むしろ楽しいのはトゥインゴも一役かっている。
  と言うことで、当初の予定より遅れてしまったが、よく働いてくれる相棒をいたわることにした。


京都にあるルノー京都CADONOに到着。

  トゥインゴGTには純正で合成油が使われていると言う。いつのころか、確かあれはモービルが最初に合成油を発売したのだと記憶するが、エンジンオイルと言えば鉱物油か植物油しかなかった時代を知っている人間には、いまだに合成油を使うことに抵抗がある。
  含浸と言うらしいが、鉱物油は金属によくなじむ(浸透する)ので油膜が切れにくいという話を昔聞いたことがあるからだろう。
  とは言ってもメーカーが指定しているのだからクルマに悪いはずもなく、今回はモチュールを選びオイルフィルターと一緒に交換してもらった。


リフトアップされた相棒を下から見せてもらう。もちろん工場の許可を得た上でだ。


初めて見るトゥインゴGTの下回り。
フロントサスペンションのロアアームはIアームではなくてAアームだった。
エキゾーストパイプが1,200ccにしては太め、かな。


オドメーターが8,000キロを超えていたこともあり、抜いたオイルは若干疲れ気味。
とは言え、スクールカーのフィットやロードスターよりはましなほう。

  初回点検も同時にしてくれたが、どこも異常なし。次の出番は4月末の富士スピードウエイで開催するYRSドライビングスクール,
  YRSオーバルスクール。5月7日に奥伊吹スキー場で2回目の開催となるYRSオーバルスクール奥伊吹だ。


蓬莱山を仰ぎながら湖西道路を走る。山々もそろそろ春のよそおい。

  ところで。ユイレーシングスクールでは4月30日(土)に琵琶湖のほとりにあるカフェ・スマイルで、ルノー・スポールオーナーを対象としたYRSドライビングゼミを開催します。時間は午後4時から8時まで。カフェスマイルの美味しい料理を食べながら、どうすればルノー・スポールの性能を引き出すことができるか、安全に快適にクルマを操るコツをお話します。会費は食事と飲み物がついて4,000円。定員は10名です。ルノー・スポールをイキイキと走らせたい方はぜひご参加下さい。

・YRSルノー・スポールゼミ 案内頁
http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=ds&p=y-rs


今回のルノー・スポールゼミの会場。琵琶湖畔にたたずむカフェ・スマイル。
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  ユイレーシングスクールでは以下のドライビングスクールを開催します。クルマの使い方に興味のある方は参加してみませんか?トゥインゴGTもお待ちしています。(詳細は以下の案内頁をご覧下さい。)
   
◆ 4月22日(金) YRSドライビングスクール FSW
http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=ds&p=fds

□ 4月24日(日) YRSオーバルスクール FSW
http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=os&p=osf

◇ 5月7日(土) YRSオーバルスクール奥伊吹
http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=os&p=oso

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●クルマはよくできた道具なので、性能を発揮させるためにはそれなりの使い方を知る必要があります。ユイレーシングスクールが10周年を記念して制作したCDを聞いてみて下さい。バックグラウンドミュージックもないナレーションだけのCDですが、クルマを思い通りに動かすためのアドバイスが盛りだくさん。一生ものの5時間34分です。
YRS座学オンCD案内頁:http://www.avoc.com/cd/


第11回 トゥインゴ試乗会開催

寒波が襲った3月上旬。御殿場の早朝の気温はマイナス8度!!!
前日のスクールでは会場が一面氷に覆われ四苦八苦。
当日は快晴ながらも、こんなに裾野まで雪をかぶった富士山は初めて。

『外観はちっちゃくて、とてもかわいらしいデザイン。乗り込んでみると狭くない。結構ゆったり。そしてハンドルの真ん中に見えるタコメーターがおしゃれ。
今日の試乗コースはYRSオーバルロンガー。走り出すとボディーの重さを感じずスルスルスル~っと加速。アクセルを踏み込めば踏んだだけ勢い良く加速。流石GT!でもターボらしさは感じないセッティングですね。
コーナーに入る。フロントがズルズル~っと逃げていくFFらしい挙動。オーバースピードだったかな?
今度は丁寧に曲がってみる。フロントとリヤの荷重量がつり合うようにアクセルコントロール。結構コントロールについてくる。サンルーフ仕様だけどボディーの剛性感もありますね。
次はコーナー中にあえてラフなアクセル操作をしてみる。直線ではあんなに勢い良く加速するのにエンジンはすごくマイルドに反応。安全な制御が入っているんですね。でも普通に操作している分は違和感は全くなし。
ハンドルさばきの良し悪しをちゃんと表現してくれる一方、ハイパワーにより危険領域に達してしまわぬようにちゃんと制御もされているって感じです。
車高の高さや椅子の高さも手伝いコーナーを頑張る車ではないけれど、街中をキビキビ走るにはとても楽しそうです。』

 3月上旬。今年最初のYRSオーバルレースが開催された日。レース参加者を対象にトゥインゴGTの即席試乗会を開催。上の一文は、当日試乗したオーバルレース参加者からの感想文。

YRSオーバルレースの昼休み。
「トゥインゴの試乗会始めます」の声に集まる、集まる。
もともと運転が大好きな連中。代わるがわるステアリングを握る。

 この日の参加者は最多11台のロードスターを筆頭に、MR-S、BMW Z3、ジネッタG4、ロータスエリーゼ、インプレッサにインプレッサワゴン。
  敷居が低いと言っても、中身は本物の自動車レースなので速いクルマか、振り回せるクルマか、ランニングコストが安いクルマか、過去に参加したFFは10指に満たない。
  FFに乗っている人は少ないが、それでも運転大好きなYRS卒業生でYRSスクールレース参加者は、我先にとトゥインゴの運転席に。
 
  コース幅14メートルのYRSオーバルでドアツードア、スリーワイドの争いを繰り広げる彼らは、間違いなく運転がうまい。操作だけでなく、クルマがどんな状態になっても立て直してやろうという意識が高い。そんな彼らがトゥインゴに対してどんな反応をするか興味深かった。

一人で運転する人がいれば、リアシートからライバル(?)が
どんな運転をするか見てやろうという人まで。
  もうひとつメールを紹介する。この日の参加者の中で紅一点。

『素直で扱いやすい車だと思いました。トルクやパワーは充分です。最近、新型のマーチを試乗したのですが、足が妙に硬くて乗りにくかったです。でも、このトゥインゴは何も考えなくても運転できました。
私はコーナリングが苦手で、特に他人のくるまでは恐怖感があるのですが、トゥインゴは、(ロールが安定しているのか?よくわかりませんが)安定感があって、とても安心してコーナリングできました。予想に反してアンダーもでないし、(私にとっては)ナチュラルステアで楽に運転できました。
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最近はミラ アビイ(私の思う軽の一番おしゃれな車)でも、オプションをつけると込みこみで180万ぐらいします。トゥインゴはそんなに、高くないかもしれませんね。(^_^;)』

  コーナリングが苦手と言うこの人は主婦。実は、ご自身のポテンシャルの高さに気がついていないだけなんです。


加速しているからリアが沈んでいるだけではなく、4人乗車で走っているから。

『トゥインゴの印象。エンジン:低回転からトルクがある。小排気量でもシフトチェンジが忙しくない。サス:FFの小型車にもかかわらず、リアの接地性が良い。車体:重心(着座位置)が高いので、オーバルを走ると、ちょっと違和感がある。』
などの意見も。


レースの準備をしながらもクルマ談義に花が咲く。

  他にもいろいろな印象が届いている。みんなの意見を要約すると、
・ボディ剛性が高い ==> サスペンションがちゃんと動いている
・リアサスペンションのストロークが長い ==> 挙動が乱れない
・出力特性は十分以上 ==> ずぼら運転もできる
・小さいから取り回しが楽 ==>オーバーハングが小さいので見切りが楽
・室内の広さは十分 ==> 室内高があるので圧迫感がない
・着座位置が高い ==> ロールをまともに感じる
・トラクションコントロールを解除できない ==> ちゃんと運転できる人には物足らないしもったいない。
とまぁ、こんなところ。

  車両価格を聞いて驚いた人もいるけど、人それぞれクルマに求める価値が異なるのは当たり前。個体としてのトゥインゴGTに対して否定的な見方をした人はいなかったことを付け加えておく。

寒さのせいかこの日の参加者は少なかったものの、とりあえず全員集合。

YRSオーバルレースに参加しているのはどこにでもいそうなオジサン、お兄さん、おねえさん。
  YRSスクールレース参加者はもちろん、ユイレーシングスクールを訪れる大多数の人がマニュアルシフト車に乗っている。だから、当たり前のことなのでみんなの感想にはでてこなかったけれども、トゥインゴGTがマニュアルシフトであることも評価されるべきだ。
  マニュアルシフトのクルマに乗っている人は、単にシフトするのをいとわない人種なのではない。クルマを動かすという行為の中にギアシフトが含まれていることを自然だと思っている人たちだ。
  この日の参加者は25歳が最年少。あとは30代40代から50代の半ばまで。みんな「クルマを動かすこと」が好きな人ばかり。

  社会がクルマに「気軽」を求めている時代に、昔ながらの運転を「手軽」に楽しめるクルマを供給しているルノー・ジャポンに拍手。


トゥインゴに乗っている時のみんなの顔は笑顔、笑顔、笑顔。
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  ユイレーシングスクールでは以下のドライビングスクールを開催します。クルマの使い方に興味のある方は参加してみませんか?トゥインゴGTもお待ちしています。(詳細は以下の案内頁をご覧下さい。)
   
◆ 4月22日(金) YRSドライビングスクール FSW
http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=ds&p=fds

□ 4月24日(日) YRSオーバルスクール FSW
http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=os&p=osf
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●クルマはよくできた道具なので、性能を発揮させるためにはそれなりの使い方を知る必要があります。ユイレーシングスクールが10周年を記念して制作したCDを聞いてみて下さい。バックグラウンドミュージックもないナレーションだけのCDですが、クルマを思い通りに動かすためのアドバイスが盛りだくさん。一生ものの5時間34分です。
YRS座学オンCD案内頁:http://www.avoc.com/cd/


第10回 クルマの性能は使い方次第

初めに、このたび未曾有の震災にあわれた被災者のみなさまに心からお見舞いを申し上げるとともに、犠牲になられた方のご冥福をお祈り申し上げます。

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  ユイレーシングスクールは卒業生のためにスクールレースを開催している。
  ドライビングスクールやオーバルスクールで基本的な運転操作を教えることはできるのだが、その人のドライビングポテンシャルに幅を持たせることはなかなか難しい。そこで、ひとつの目的に向かって大勢で走ることで運転操作とは別の『運転意識』を養ってもらおうというわけだ。


ルマン式スタートでレースは始まり、

  運転が上達するということは、人間が成長することに似ている。
  子供は伸長期と充実期を繰り返して成長すると言われているが、クルマを運転する時の能力も同じように向上していく。ある程度経験があれば、運転操作はこなれていく。免許証をとったばかりのギクシャクさは影を潜めるはずだ。ドライビングスクールで基本的な操作を学べば、思い通りにクルマを安全に速く走らせる技術はが身につく。例えて言うならば、これが伸長期だ。
  しかし、それだけではクルマの運転は完結しない。我々がたった一人で走る機会などあるわけがないのだから、仮に運転操作に長けていてもそれだけで十分ということはない。同じところを走るにしても日によっては条件が異なるかも知れないし、本人の体調だって同じではないこともある。
  だから。同じ目的を持った人と競い合いながら運転することで、他人を意識することを養ってもらい、同時に自分の思い通りにならない環境でクルマを走らせることで、目的に対する意識を鮮明にすることを期待してスクールレースを開催している。
  どこを走っても同じような速さで走れる。他人と競り合いながらも目的から逆算して、その時に行うべき操作をはじき出す。その練習だ。これが充実期を豊かにする。むろん、運転意識の生長は運転操作のレベルを底上げする効果もある。


我先にとクルマに駆け寄り、

 ユイレーシングスクールが開催しているスクールレースの種類は3つ。YRSエンデューロ、YRSスプリント、YRSオーバルレースだ。今回はその中のYRSエンデューロの話。

  YRSエンデューロは130分の耐久レース。もっとも2001年の開始時には120分だったのだが、卒業生が目標をクリアしてしまったので難易度を上げたしだい。とは言うものの、この難題もクリアしてしまったのだから、まさに運転技術の向上に終わりはない。
  YRSエンデューロのルールはこうだ。レースはチェッカー優先の時間レース。決められた時間を走り切り、なおかつできるだけ遠くまで走った者が勝者になる。これは参加者全員に等しく、過給器つきのクルマもNAのクルマも大排気量車も同等に扱われる。
  つまり、どんなクルマに乗っていようと所定の時間が過ぎてチェッカーが振られた時にコントロールラインを通過できなければ、それまで大量のマージンを築いて独走していようと、周回数は少なくてもチェッカーを受けたクルマよりは上位にならない仕組み。
  そして、競争はコース上だけにしたいのと、ピットでの危険を排除するために、2分半のピットストップを3回義務付ける。ピットロードの制限速度は10キロ。だから、ピットインで順位を上げようとしても徒労に終わる仕組みになっている。
  耐久レースだからチーム参加が原則。当初は卒業生同志でチームを組んで参加することがほとんどだったが、耐久レースの走り方がわかってくると一人で走り切りたいという希望が続出。最近では半数以上のチームがソロエントリ。一人で130分を走り切ってしまう。


一瞬の静寂の後、

  2001年4月28日。第1回YRSエンデューロのその日。1周1キロちょっとの筑波サーキットコース1000のグリッドには7台のクルマが並ぶ。コースの反対側にはイグニッションキーを持ったドライバーが立っている。グリーンフラッグが振り下ろされるやいなや、ドライバーがクルマに駆け寄り、乗り込み、もどかしそうにシートベルトをしてエンジンをかけ、慌てふためくようにグリッドを離れていく。
  それから2時間近くが経過。トップを走るのは赤いロードスター。他のクルマを全て周回遅れにして余裕の走り。
  と、そのロードスターが最終コーナーでスローダウン。フィニッシュまで5分を切っている。137周目のできごと。ピット前のストレートにたどり着いたドライバーがピットクルーとなにやら話している。どうやらガス欠。

  チェッカーを受けなければ、ラップタイムは遅いもののコンスタントに走っている軽自動車のスバルヴィヴィオに追い越されてしまう。
  結局、ドライバーがクルマを押してコントロールラインをまたぎ、最下位になることはまぬがれる。


脱兎のごとくグリッドを後にし、

  時は移り2010年7月31日。ところは同じ筑波サーキットコース1000。この日、35回目のYRSエンデューロが開催された。参加したのは15台。6台がチームエントリで9台がソロエントリ。
  特別ルールが適用され135分の時間レースとして開催されたこのレースを制したのは、170周を走破したロードスター。2位には同じロードスターが169周で入り、同じ距離を走った性能で勝るS2000を押さえ込んだ。
  上位3台が2時間以上全開で走った末に僅差でフィニッシュしたこともレースを大いに盛り上げたが、それ以上に、レース時間が5分延長されたとは言え、1位のクルマが170周、約177キロを走り切ったことが注目された。


ライバルを牽制しながら、

  さて、2001年の137周と2010年の170周。この数字を少し詳しく見てみたい。
  2001年のレース時間は120分。1回3分のピットストップが3回義務付けられていたから、コース上にいた時間は実質111分。それで137周したので時間当たりの周回数は74周。2010年はレース時間が135分で2分半のピットストップが3回義務付けだったから、実際に走行していた時間が127.5分で時間当たり80周したことになる。
  74対80。距離にして時間当たり6キロ強遠くへ走ったことになる。しかも、2001年は燃料を使い切ってしまっていたから、それ以上遠くへ行けなかった。それに対し2010年は燃料タンクにまだガソリンが残っていたから、行こうと思えばまだ先まで走ることができた。
 
  この差はどこから来るのか。


少しでも優位に立とうとペダルが折れんばかりにスロットルを開け続ける。

 たかが6キロの差ではあるが、それが競争という極限状態でクルマを走らせていたら。
 
  速く走ろうとすると、人間は機械に頼りがちになる。速く走ろうと思えばむやみにスロットルを開け、短い時間で減速しようとし、クルマの都合など考えずに目標を達成しようとする。自分の能力ではないのにも関わらず、それが自分の分身のごとく振舞う。
  しかし、サーキットで耐久レースに参加して好成績を修めるというテーマを考えれば、間違いなく運転は合理的でなければならない。ガソリンしかり。タイヤ、ブレーキパッドしかり。クルマの機能を発揮させるために、それを高いレベルで保つためには理詰めのアプローチが必要になる。
  ユイレーシングスクールがモータースポーツ、そしてスポーツドライビングを『知的遊戯』と呼ぶゆえんだ。自動車レースは、決して肉弾戦ではない。


と言ってもプロのドライバーの話ではない。どこにでもいるオジサン、お兄さんが主役だ。

  2001年の第1戦の後。ユイレーシングスクールではYRSエンデューロ参加者に、どうすればより遠くに行けるか、その方法をアドバイスしてきた。時間はかかったが、純粋にクルマを使って楽しんでいる内に、彼らのドライビングポテンシャルは確実に向上した。
  伸長期と充実期を繰り返すことによって、クルマの性能に頼って走るのではなく、クルマの性能を制御しながら目的を達成する方法を身に付けた。
  間違いなく、彼らは市街地であろうと高速道路であろうと、あるいは峠道であろうと、必要最小限の消費で安全に目的を達成する術を知っている。運転操作と運転意識が融合した結果だ。

  第35回YRSエンデューロの優勝者が初めてユイレーシングスクールを受講した時、どうアドバイスしてもアンダーステアを出しながらコーナリングしていたのを思い出す。ドライビングスクールだけでなくスクールレースをやっていて良かったと思う瞬間である。
 
  あなたも少しばかり運転に興味を持ってはいかがですか。


トゥインゴにむらがる運転好きなオーバルレースの常連。詳細は次回。
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  ユイレーシングスクールでは以下のドライビングスクールを開催します。クルマの使い方に興味のある方は参加してみませんか?トゥインゴGTもお待ちしています。(詳細は以下の案内頁をご覧下さい。)
   
◆ 4月22日(金) YRSドライビングスクール FSW
http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=ds&p=fds

□ 4月24日(日) YRSオーバルスクール FSW
http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=os&p=osf
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●クルマはよくできた道具なので、性能を発揮させるためにはそれなりの使い方を知る必要があります。ユイレーシングスクールが10周年を記念して制作したCDを聞いてみて下さい。バックグラウンドミュージックもないナレーションだけのCDですが、クルマを思い通りに動かすためのアドバイスが盛りだくさん。一生ものの5時間34分です。
YRS座学オンCD案内頁:http://www.avoc.com/cd/