トム ヨシダブログ


第11回 トゥインゴ試乗会開催

寒波が襲った3月上旬。御殿場の早朝の気温はマイナス8度!!!
前日のスクールでは会場が一面氷に覆われ四苦八苦。
当日は快晴ながらも、こんなに裾野まで雪をかぶった富士山は初めて。

『外観はちっちゃくて、とてもかわいらしいデザイン。乗り込んでみると狭くない。結構ゆったり。そしてハンドルの真ん中に見えるタコメーターがおしゃれ。
今日の試乗コースはYRSオーバルロンガー。走り出すとボディーの重さを感じずスルスルスル~っと加速。アクセルを踏み込めば踏んだだけ勢い良く加速。流石GT!でもターボらしさは感じないセッティングですね。
コーナーに入る。フロントがズルズル~っと逃げていくFFらしい挙動。オーバースピードだったかな?
今度は丁寧に曲がってみる。フロントとリヤの荷重量がつり合うようにアクセルコントロール。結構コントロールについてくる。サンルーフ仕様だけどボディーの剛性感もありますね。
次はコーナー中にあえてラフなアクセル操作をしてみる。直線ではあんなに勢い良く加速するのにエンジンはすごくマイルドに反応。安全な制御が入っているんですね。でも普通に操作している分は違和感は全くなし。
ハンドルさばきの良し悪しをちゃんと表現してくれる一方、ハイパワーにより危険領域に達してしまわぬようにちゃんと制御もされているって感じです。
車高の高さや椅子の高さも手伝いコーナーを頑張る車ではないけれど、街中をキビキビ走るにはとても楽しそうです。』

 3月上旬。今年最初のYRSオーバルレースが開催された日。レース参加者を対象にトゥインゴGTの即席試乗会を開催。上の一文は、当日試乗したオーバルレース参加者からの感想文。

YRSオーバルレースの昼休み。
「トゥインゴの試乗会始めます」の声に集まる、集まる。
もともと運転が大好きな連中。代わるがわるステアリングを握る。

 この日の参加者は最多11台のロードスターを筆頭に、MR-S、BMW Z3、ジネッタG4、ロータスエリーゼ、インプレッサにインプレッサワゴン。
  敷居が低いと言っても、中身は本物の自動車レースなので速いクルマか、振り回せるクルマか、ランニングコストが安いクルマか、過去に参加したFFは10指に満たない。
  FFに乗っている人は少ないが、それでも運転大好きなYRS卒業生でYRSスクールレース参加者は、我先にとトゥインゴの運転席に。
 
  コース幅14メートルのYRSオーバルでドアツードア、スリーワイドの争いを繰り広げる彼らは、間違いなく運転がうまい。操作だけでなく、クルマがどんな状態になっても立て直してやろうという意識が高い。そんな彼らがトゥインゴに対してどんな反応をするか興味深かった。

一人で運転する人がいれば、リアシートからライバル(?)が
どんな運転をするか見てやろうという人まで。
  もうひとつメールを紹介する。この日の参加者の中で紅一点。

『素直で扱いやすい車だと思いました。トルクやパワーは充分です。最近、新型のマーチを試乗したのですが、足が妙に硬くて乗りにくかったです。でも、このトゥインゴは何も考えなくても運転できました。
私はコーナリングが苦手で、特に他人のくるまでは恐怖感があるのですが、トゥインゴは、(ロールが安定しているのか?よくわかりませんが)安定感があって、とても安心してコーナリングできました。予想に反してアンダーもでないし、(私にとっては)ナチュラルステアで楽に運転できました。
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最近はミラ アビイ(私の思う軽の一番おしゃれな車)でも、オプションをつけると込みこみで180万ぐらいします。トゥインゴはそんなに、高くないかもしれませんね。(^_^;)』

  コーナリングが苦手と言うこの人は主婦。実は、ご自身のポテンシャルの高さに気がついていないだけなんです。


加速しているからリアが沈んでいるだけではなく、4人乗車で走っているから。

『トゥインゴの印象。エンジン:低回転からトルクがある。小排気量でもシフトチェンジが忙しくない。サス:FFの小型車にもかかわらず、リアの接地性が良い。車体:重心(着座位置)が高いので、オーバルを走ると、ちょっと違和感がある。』
などの意見も。


レースの準備をしながらもクルマ談義に花が咲く。

  他にもいろいろな印象が届いている。みんなの意見を要約すると、
・ボディ剛性が高い ==> サスペンションがちゃんと動いている
・リアサスペンションのストロークが長い ==> 挙動が乱れない
・出力特性は十分以上 ==> ずぼら運転もできる
・小さいから取り回しが楽 ==>オーバーハングが小さいので見切りが楽
・室内の広さは十分 ==> 室内高があるので圧迫感がない
・着座位置が高い ==> ロールをまともに感じる
・トラクションコントロールを解除できない ==> ちゃんと運転できる人には物足らないしもったいない。
とまぁ、こんなところ。

  車両価格を聞いて驚いた人もいるけど、人それぞれクルマに求める価値が異なるのは当たり前。個体としてのトゥインゴGTに対して否定的な見方をした人はいなかったことを付け加えておく。

寒さのせいかこの日の参加者は少なかったものの、とりあえず全員集合。

YRSオーバルレースに参加しているのはどこにでもいそうなオジサン、お兄さん、おねえさん。
  YRSスクールレース参加者はもちろん、ユイレーシングスクールを訪れる大多数の人がマニュアルシフト車に乗っている。だから、当たり前のことなのでみんなの感想にはでてこなかったけれども、トゥインゴGTがマニュアルシフトであることも評価されるべきだ。
  マニュアルシフトのクルマに乗っている人は、単にシフトするのをいとわない人種なのではない。クルマを動かすという行為の中にギアシフトが含まれていることを自然だと思っている人たちだ。
  この日の参加者は25歳が最年少。あとは30代40代から50代の半ばまで。みんな「クルマを動かすこと」が好きな人ばかり。

  社会がクルマに「気軽」を求めている時代に、昔ながらの運転を「手軽」に楽しめるクルマを供給しているルノー・ジャポンに拍手。


トゥインゴに乗っている時のみんなの顔は笑顔、笑顔、笑顔。
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  ユイレーシングスクールでは以下のドライビングスクールを開催します。クルマの使い方に興味のある方は参加してみませんか?トゥインゴGTもお待ちしています。(詳細は以下の案内頁をご覧下さい。)
   
◆ 4月22日(金) YRSドライビングスクール FSW
http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=ds&p=fds

□ 4月24日(日) YRSオーバルスクール FSW
http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=os&p=osf
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●クルマはよくできた道具なので、性能を発揮させるためにはそれなりの使い方を知る必要があります。ユイレーシングスクールが10周年を記念して制作したCDを聞いてみて下さい。バックグラウンドミュージックもないナレーションだけのCDですが、クルマを思い通りに動かすためのアドバイスが盛りだくさん。一生ものの5時間34分です。
YRS座学オンCD案内頁:http://www.avoc.com/cd/


第10回 クルマの性能は使い方次第

初めに、このたび未曾有の震災にあわれた被災者のみなさまに心からお見舞いを申し上げるとともに、犠牲になられた方のご冥福をお祈り申し上げます。

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  ユイレーシングスクールは卒業生のためにスクールレースを開催している。
  ドライビングスクールやオーバルスクールで基本的な運転操作を教えることはできるのだが、その人のドライビングポテンシャルに幅を持たせることはなかなか難しい。そこで、ひとつの目的に向かって大勢で走ることで運転操作とは別の『運転意識』を養ってもらおうというわけだ。


ルマン式スタートでレースは始まり、

  運転が上達するということは、人間が成長することに似ている。
  子供は伸長期と充実期を繰り返して成長すると言われているが、クルマを運転する時の能力も同じように向上していく。ある程度経験があれば、運転操作はこなれていく。免許証をとったばかりのギクシャクさは影を潜めるはずだ。ドライビングスクールで基本的な操作を学べば、思い通りにクルマを安全に速く走らせる技術はが身につく。例えて言うならば、これが伸長期だ。
  しかし、それだけではクルマの運転は完結しない。我々がたった一人で走る機会などあるわけがないのだから、仮に運転操作に長けていてもそれだけで十分ということはない。同じところを走るにしても日によっては条件が異なるかも知れないし、本人の体調だって同じではないこともある。
  だから。同じ目的を持った人と競い合いながら運転することで、他人を意識することを養ってもらい、同時に自分の思い通りにならない環境でクルマを走らせることで、目的に対する意識を鮮明にすることを期待してスクールレースを開催している。
  どこを走っても同じような速さで走れる。他人と競り合いながらも目的から逆算して、その時に行うべき操作をはじき出す。その練習だ。これが充実期を豊かにする。むろん、運転意識の生長は運転操作のレベルを底上げする効果もある。


我先にとクルマに駆け寄り、

 ユイレーシングスクールが開催しているスクールレースの種類は3つ。YRSエンデューロ、YRSスプリント、YRSオーバルレースだ。今回はその中のYRSエンデューロの話。

  YRSエンデューロは130分の耐久レース。もっとも2001年の開始時には120分だったのだが、卒業生が目標をクリアしてしまったので難易度を上げたしだい。とは言うものの、この難題もクリアしてしまったのだから、まさに運転技術の向上に終わりはない。
  YRSエンデューロのルールはこうだ。レースはチェッカー優先の時間レース。決められた時間を走り切り、なおかつできるだけ遠くまで走った者が勝者になる。これは参加者全員に等しく、過給器つきのクルマもNAのクルマも大排気量車も同等に扱われる。
  つまり、どんなクルマに乗っていようと所定の時間が過ぎてチェッカーが振られた時にコントロールラインを通過できなければ、それまで大量のマージンを築いて独走していようと、周回数は少なくてもチェッカーを受けたクルマよりは上位にならない仕組み。
  そして、競争はコース上だけにしたいのと、ピットでの危険を排除するために、2分半のピットストップを3回義務付ける。ピットロードの制限速度は10キロ。だから、ピットインで順位を上げようとしても徒労に終わる仕組みになっている。
  耐久レースだからチーム参加が原則。当初は卒業生同志でチームを組んで参加することがほとんどだったが、耐久レースの走り方がわかってくると一人で走り切りたいという希望が続出。最近では半数以上のチームがソロエントリ。一人で130分を走り切ってしまう。


一瞬の静寂の後、

  2001年4月28日。第1回YRSエンデューロのその日。1周1キロちょっとの筑波サーキットコース1000のグリッドには7台のクルマが並ぶ。コースの反対側にはイグニッションキーを持ったドライバーが立っている。グリーンフラッグが振り下ろされるやいなや、ドライバーがクルマに駆け寄り、乗り込み、もどかしそうにシートベルトをしてエンジンをかけ、慌てふためくようにグリッドを離れていく。
  それから2時間近くが経過。トップを走るのは赤いロードスター。他のクルマを全て周回遅れにして余裕の走り。
  と、そのロードスターが最終コーナーでスローダウン。フィニッシュまで5分を切っている。137周目のできごと。ピット前のストレートにたどり着いたドライバーがピットクルーとなにやら話している。どうやらガス欠。

  チェッカーを受けなければ、ラップタイムは遅いもののコンスタントに走っている軽自動車のスバルヴィヴィオに追い越されてしまう。
  結局、ドライバーがクルマを押してコントロールラインをまたぎ、最下位になることはまぬがれる。


脱兎のごとくグリッドを後にし、

  時は移り2010年7月31日。ところは同じ筑波サーキットコース1000。この日、35回目のYRSエンデューロが開催された。参加したのは15台。6台がチームエントリで9台がソロエントリ。
  特別ルールが適用され135分の時間レースとして開催されたこのレースを制したのは、170周を走破したロードスター。2位には同じロードスターが169周で入り、同じ距離を走った性能で勝るS2000を押さえ込んだ。
  上位3台が2時間以上全開で走った末に僅差でフィニッシュしたこともレースを大いに盛り上げたが、それ以上に、レース時間が5分延長されたとは言え、1位のクルマが170周、約177キロを走り切ったことが注目された。


ライバルを牽制しながら、

  さて、2001年の137周と2010年の170周。この数字を少し詳しく見てみたい。
  2001年のレース時間は120分。1回3分のピットストップが3回義務付けられていたから、コース上にいた時間は実質111分。それで137周したので時間当たりの周回数は74周。2010年はレース時間が135分で2分半のピットストップが3回義務付けだったから、実際に走行していた時間が127.5分で時間当たり80周したことになる。
  74対80。距離にして時間当たり6キロ強遠くへ走ったことになる。しかも、2001年は燃料を使い切ってしまっていたから、それ以上遠くへ行けなかった。それに対し2010年は燃料タンクにまだガソリンが残っていたから、行こうと思えばまだ先まで走ることができた。
 
  この差はどこから来るのか。


少しでも優位に立とうとペダルが折れんばかりにスロットルを開け続ける。

 たかが6キロの差ではあるが、それが競争という極限状態でクルマを走らせていたら。
 
  速く走ろうとすると、人間は機械に頼りがちになる。速く走ろうと思えばむやみにスロットルを開け、短い時間で減速しようとし、クルマの都合など考えずに目標を達成しようとする。自分の能力ではないのにも関わらず、それが自分の分身のごとく振舞う。
  しかし、サーキットで耐久レースに参加して好成績を修めるというテーマを考えれば、間違いなく運転は合理的でなければならない。ガソリンしかり。タイヤ、ブレーキパッドしかり。クルマの機能を発揮させるために、それを高いレベルで保つためには理詰めのアプローチが必要になる。
  ユイレーシングスクールがモータースポーツ、そしてスポーツドライビングを『知的遊戯』と呼ぶゆえんだ。自動車レースは、決して肉弾戦ではない。


と言ってもプロのドライバーの話ではない。どこにでもいるオジサン、お兄さんが主役だ。

  2001年の第1戦の後。ユイレーシングスクールではYRSエンデューロ参加者に、どうすればより遠くに行けるか、その方法をアドバイスしてきた。時間はかかったが、純粋にクルマを使って楽しんでいる内に、彼らのドライビングポテンシャルは確実に向上した。
  伸長期と充実期を繰り返すことによって、クルマの性能に頼って走るのではなく、クルマの性能を制御しながら目的を達成する方法を身に付けた。
  間違いなく、彼らは市街地であろうと高速道路であろうと、あるいは峠道であろうと、必要最小限の消費で安全に目的を達成する術を知っている。運転操作と運転意識が融合した結果だ。

  第35回YRSエンデューロの優勝者が初めてユイレーシングスクールを受講した時、どうアドバイスしてもアンダーステアを出しながらコーナリングしていたのを思い出す。ドライビングスクールだけでなくスクールレースをやっていて良かったと思う瞬間である。
 
  あなたも少しばかり運転に興味を持ってはいかがですか。


トゥインゴにむらがる運転好きなオーバルレースの常連。詳細は次回。
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  ユイレーシングスクールでは以下のドライビングスクールを開催します。クルマの使い方に興味のある方は参加してみませんか?トゥインゴGTもお待ちしています。(詳細は以下の案内頁をご覧下さい。)
   
◆ 4月22日(金) YRSドライビングスクール FSW
http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=ds&p=fds

□ 4月24日(日) YRSオーバルスクール FSW
http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=os&p=osf
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●クルマはよくできた道具なので、性能を発揮させるためにはそれなりの使い方を知る必要があります。ユイレーシングスクールが10周年を記念して制作したCDを聞いてみて下さい。バックグラウンドミュージックもないナレーションだけのCDですが、クルマを思い通りに動かすためのアドバイスが盛りだくさん。一生ものの5時間34分です。
YRS座学オンCD案内頁:http://www.avoc.com/cd/


第9回 速さと安全

  ユイレーシングスクールが主催するドライビングスクールでは、「今日は自分のイメージより少し速く走る努力をしてみて下さい」と言うことにしている。速く走ることを奨励している。
  もちろん、安全が確保できるクローズドコースで、なおかつ、クルマの動きを見ただけで運転している人がどんな操作をしているかがわかるインストラクターが目を光らせている環境での話。
 
  理由はクルマの運転理論は速く走らないと理解できない部分があるのと、速く走ることによって感じることがあるからだ。
  正確に言うと、速く走ることによって『クルマの挙動を拡大して観察する』ことができるからだ。
 
  クルマを思い通りに動かすためには、何をさておいても、クルマの動きがわかるようにならなければならないのだが、よくできた現在のクルマは、運転手が操作と挙動の因果関係を検証することが難しい、という事情がある。そこで速く走ろうとした時に、速く走れない原因をさがそうというわけだ。その原因こそクルマを動かす時にやってはならないことであり、その原因を取り除くことがクルマを安全に速く走らせることにつながるという仕組み。
 
  もちろん、無制限に速く走ってもらうわけではない。操作の習熟のために作ったカリキュラムの中で、インストラクターが一人ひとりの走りを観察しながらペースを上げていってもらう。決して無秩序に速く走ることを奨励しているわけではない。


YRSオーバルスクール上級編で全員集合。

  2月上旬。この日は過去にYRSオーバルスクールを受講したことのある人を対象に、さらなるドライビングポテンシャルを引き出すための特別カリキュラムを実施。
  通常のYRSオーバルスクールでは半径22m、直線60mのYRSオーバルFSWを運転が最も難しい『インベタ』のラインで走ってもらうのだが、上級編では半径22m、直線130m、幅員14mのYRSオーバルロンガーを使いアウトインアウトのラインで走る。1周400m強のコースでも到達速度は120キロになるから、エネルギーを制御する練習にはうってつけ。ほとんどのクルマが2速と3速を使うから、ブレーキングとターンインとシフトダウンを同時にこなすのが実に気持ちいい。


コース自体は単純だが。

  この日は特別カリキュラムのためにオーバルコースをアウトインアウトのラインで走ってもらったが、通常のオーバルスクールは1日中インベタ(イン側に置かれたパイロンに沿って)で走ってもらう。実は、このインベタで走るほうが難しい。
 
  さて、「今日はオーバルコースを走ります。自分のイメージより少し速く走る努力をしてみて下さい。もちろんできる範囲でかまいませんから」と言われた時、あなたはどうやってオーバルコースを速く走りますか?
 
  オーバルコースはレイアウトこそ単純だが、単純がゆえにクルマの3つの機能をきちんと引き出すことができなければ速くは走れない。ここで言う速さとはラップタイムのこと。1周にかかる時間。1周の平均速度の裏返しでもある。

  例えばYRSオーバルのような楕円形のコースでもいい。ある形をした周回路を走る場合、直線の後に控えるコーナーに進入する時には減速が必要になる。コーナーを回り終えれば加速することができるが、次のコーナーの手前では再び速度を落とさなければならない。その繰り返し。
  速度を上げるにはスロットルを全開にしている時間を長くすればいい。すばやく速度を落とすには急ブレーキをかければいい。速く走ろうとする時、そう考えるのは間違いではない。初めのうちは受講生のほとんどがそう考える。しかし、それだけででは速く走れないばかりかクルマのバランスを崩す可能性が高い。


どこに自分のクルマを持っていくかが難しい。

  少し考えればわかる。周回路を走る時、まず間違いなくストレートよりもコーナーの速度が遅い。速さの目安になるラップタイムは平均速度の裏返しだから、クルマが自由に加速できるストレートではなしに、いかにコーナーの速度を高く保つかが周回路の速さの鍵になる。
  なのに。速く走ろうとする時。人間はできるだけ長くスロットルを開け、短い時間で速度を落とし、コーナリング中もスロットルを開けようとする。
  しかし、それができる人はまずいないし、我々が乗っているクルマはそのような走りをするようには作られていない。そんな走りをする人は、自らクルマの動きを理解して運転していないと白状しているようなものだ。
 
  ストレートを思いきり加速するのはいい。ドライビングスクールでも「クルマをまっすぐにしてスロットルを床までドンと開けて下さい」と言う。ただし、コーナーが迫ってくるのにスロットルを開け続けているのは間違いだ。
  コーナー直前までスロットルを開けているということは、スロットルを閉じてからターンインまでの短い距離で強いブレーキをかけることになる。その時に何が起きるか。
  急ブレーキをかけることで、加速中にリアにかかっていた荷重がフロントに激しく移動する。前輪の荷重が増える。前輪のグリップが高まる。逆に後輪のグリップは低下している。そこへもってきて、コーナー直前の操作に慌ててステアリングを『バキッ』と切る。増えた荷重に苦しみながらも前輪は、コーナリングを開始しようとするものの、舵角が抵抗になってさらにフロントの荷重が増す。特にアウト側前輪は荷重のほとんどを担うことになるから、飽和状態をとうに過ぎているはずだ。

  秀逸なカリキュラムで行うユイレーシングスクールでは見かけないが、ターンイン直後にアンダーステアを出してコーナーを回れなかったり、ターンインするやいなやスピンするクルマがあると聞いたことがある。そんなクルマは、人間がクルマの都合などおかまいなしに操っているわけだ。
  しかし、当の本人は定められたコースを速く走ろうとしていたはずだ。それがスピンしてしまっては速さどころの話ではないではないか。


ターンインからリアがロールを初め、

  コーナリング中にスロットルを開けようとするのも、人間の勝手な思い込み。確かにコーナリング中にスロットルを開けることは速く走る上で必要なのだが、それには根拠が必要だ。
  コーナリング中のクルマのタイヤは、そのグリップのほとんどを遠心力に抵抗することに使っている。つまり、限りあるグリップが主に横方向に使われてしまっている。ただでさえ進行方向のグリップが不足気味のところにもってきて、速く走りたいからとスロットルを開けたら何が起きる。
  スロットルを開けると荷重がリアに移動する。必然。前輪のグリップは減る。開けたとたん、それまでかろうじて円弧を描いていた前輪も、減ったグリップにその舵角では遠心力に抗えずにアウト側に流れる。アンダーステアが発生する。
  速く走ろうとしているのに、アンダーステアを出して大回りするのもどうかと思うが、それよりもコーナリング中にスロットルを開ける気持ちになることのほうが問題だ。
  速く走ろうとして、仮にそのクルマの限界速度でコーナリングしていれば、まずスロットルを開ける気にはならない。わずかなスロットル操作でクルマが姿勢を乱すからだ。何気なくコーナリング中にスロットルを開けられるのは、その時の速度が限界速度よりずっと遅いからだ。
 
  急ブレーキで速度が落ち過ぎたのかどうかは別として、周回路を速く走ろうとしたのだから、行き当たりばったりで運転するのではなく、目標に向かって合理的なアプローチをするべきだと思うのだが。


フロントと同等のロールがリアに発生し、

  コーナリングの後半にスロットルを開けてアンダーステアを誘発してアウトにはらむ人はユイレーシングスクールでも見かける。ストレートが見え始めるとついつい加速を開始したくなる。その気持ちをわからなくはないが、コーナリング中のスロットル操作と同じで、前輪に舵角がついている限りクルマは自由に加速しない。速く走るためにスロットルを開けたいのなら、最初にするべきなのは、コーナリングの後半でステアリングを戻せるラインにまずクルマを乗せることだ。
  ステアリングを戻しただけ、つまり前輪がコーナリングの担当から解かれるほどにクルマは加速できる態勢にになる。
  タコメーターの針が踊っても、エンジン音が高まっても、コーナリング中のクルマは加速しない。速く走っているつもりでも、実車速は上っていない。
 
  自動車メーカーは、できるだけ特別なテクニックを必要とせずに運転できるようにクルマを作っている。誰でも高性能を享受できるように努力を続けている。しかし、それでも最後はクルマを運転する『その人』に全てを委ねなければならない。
  委ねられた人が、もしクルマの扱い方を知らなかったら。その人から運転する楽しさも、安全も、快適さも遠のいていく。


ステアリングを戻してロールを消すとコーナリングが完結する。

  日本では、速く走ることが一律に危険であると喧伝されている。いち時期など、大新聞ですらサーキットを走る人を暴走族と同じに扱っていた。しかし、速く走ることが危険なのではなく、やってはいけない操作を知らないことこそが危険なのだ、とユイレーシングスクールは主張する。
 
  免許証を持っている人全てがサーキット走行を体験することは不可能だろう。それでも、機会があれば、少しでも多くの人に速く走ることに挑戦してほしいと思う。少しだけ速く走ろうとするだけ、自分が気がつかなかったクルマの動きがわかるようになり、クルマを安定させて動かすためにどんな操作をしたらいいのかがわかる。もちろんキチンとしたアドバイスが受けられる環境での話。
 
  それだけでなく、速く走ろうとすることで、むしろ速さと人間の能力を超えたクルマに畏怖の念を抱くことができると思うのだが。


別の日に筑波サーキットで開催したドライビングスクールにやってきた兄弟。
Eさんはサーキットを走るのは初めて。それでも最後には「もっとずっと走っていたい。
自分のクルマがこんなに走るとは思っていなかった。
できるなら明日も走りたいぐらい」と、スポーツドライビングの虜に。

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  ユイレーシングスクールでは以下のドライビングスクールを開催します。クルマの使い方に興味のある方は参加してみませんか?トゥインゴGTもお待ちしています。(詳細は以下の案内頁をご覧下さい。)
  特に3月19/20日に開催するツーデースクールはクルマの動きを理解し、操作と挙動の因果関係を把握するための短期集中カリキュラムとして好評です。
   
■ 3月19、20日(土、日) YRSツーデースクール FSW
http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=ds&p=2ds

◆ 4月22日(金) YRSドライビングスクール FSW
http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=ds&p=fds

□ 4月24日(日) YRSオーバルスクール FSW
http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=os&p=osf
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●クルマはよくできた道具なので、性能を発揮させるためにはそれなりの使い方を知る必要があります。ユイレーシングスクールが10周年を記念して制作したCDを聞いてみて下さい。バックグラウンドミュージックもないナレーションだけのCDですが、クルマを思い通りに動かすためのアドバイスが盛りだくさん。一生ものの5時間34分です。
YRS座学オンCD案内頁:http://www.avoc.com/cd/


第8回 温故致信

  今から30数年前の話なんて、興味がないかも知れないけれど。

  確か1977年ぐらいのことだったと思う。まだ、日本の道にターボチャージャーで過給された乗用車が走っていなかったころの話。
  大阪のある会社がアメリカからターボチャージャーのキットを輸入し、国産車用に転用して販売することになった。その試作品を搭載したスカイラインにドライバー誌の記事を書くために試乗した。もちろんターボチャージャドエンジンは初体験。ずいぶんと前のことだから詳しいことは覚えてないが。それでも、初めて体験したターボチャージャーの『底力』には大いに驚かされ、ますますクルマの運転が楽しくなったことが記憶の片隅に鮮明に残っている。

トゥインゴGTのターボチャージド1,148ccエンジン。くねる吸気パイプ。


ルーテシアRSの1,988ccNAエンジン。

  それはこんなことだった。

  「ターボチャージャーで加給されたレシプロエンジンが、加給されない、いわゆるナチュラルアスピレーションのレシプロエンジンより大きな馬力を発生することは情報として知っていた。排気ポートの下流にタービンを備え、排気ガスの圧力でタービンを回す。同軸上に設けられたコンプレッサーが空気を圧縮して吸気ポートに送り込む。結果として大量の空気が送り込まれることになり、それに見合った燃料が供給されればナチュラルアスピレーションのそれよりも大きな爆発圧力がシリンダー内で発生する。すなわち、ターボチャージャーを装着することで、エンジン本体の構造を大幅に改造することなく大きなパワーを得ることができる」。
  そんな予備知識があって、多分ノーマルのスカイラインよりもパワーが出ているんだろうな、ということは想像で来たが、では実際に大きくなったパワーが何をもたらすのかは未経験ゆえにわからなかった。

  試乗は一般道で行った。御殿場周辺だったはずだ。
  その会社の人からステアリングをまかされ、五感をスロットルペダルに集中して走り出す。レシプロエンジンという原動機は、電気モーターと異なり回転が上がるに連れてパワーが幾何級数的に大きくなるのが特徴で、それが人間の感性をくすぐるところがある。
  回転を上げないで走っている分にはふつうのスカイラインだったクルマが、加速中に少しだけスロットルを開ける時間をながくしたとたんにお尻が沈み込むような加速度をもたらす。2速で回すと手がつけられないような加速を見せる。しかも、3速でも、4速でも回転を上げるようにスロットルを開ければ、それまで感じたことのない頭が後に引っ張られるような加速度を感じる。
  ふつう、低い回転からスロットルを踏み込んでもナチュラリーアスピレーテッドエンジン(NAエンジン)は反応しない。エンジンの回転が上がって、空気を吸い込む量が増えないとだらしないところがある。

  ターボチャージャーをおごられていても、回転が低いとまだるっこしい部分はある。しかしスロットルを踏み込み始めてから、ちょっと辛抱すると突如としてモリモリとパワーが出てくる。これがタイムラグというやつか、と納得。スロットルの開け方いかんによって、その後に続くパワーの出方も異なる。それまでの大きくなったパワーを見てやろうという期待感が、どうすればエンジンの『ツキ』をよくすることができるかという興味に変わった。
  コツが、ガバッとスロットルを踏み込むのではなく、そろっと開けて待つ。回転が上がりだしたころ、探りながら開ける。リニアに反応するのを確かめたら、ドバッと開ける。燃費を考えなくてもいいのなら、ターボチャージャーの目を覚ます方法はこれだと思った。
  過給が始まってからのパワーは、もちろんスカイラインのものではなく、ふたまわり排気量の大きなエンジンを載せたような荒々しささえあるものだった。

  しかし、その試乗で最も感銘を受けたのはターボチャージドエンジンが見せる登坂での『底力』だった。絶対的なパワーが大きくなったことよりも、そのエンジンの『力の出し方』に心を打たれた。

  クルマがいかによくできた道具だとしても、坂を登る時にはそれまでより大きな駆動力がいる。駆動力の源がトルクだ。トルクが細いと坂道にさしかかると回転が落ちてしまう。するとシリンダーが混合気を吸い込む量がすくなくなるから、ますますトルクがやせてしまう。そこでギアを落としてエンジンの回転をあげ、シリンダーに活力剤を注入してしのぐことになる。ところが、ターボチャージドエンジンは、ギアを落とさなくても、一瞬のもたつきはあるものの、ガバッと開けずに少しずつタービンの回転が上昇するようにスロットルペダルを操作すれば、ギアを落とすでもなく、坂道を加速して登ってしまう。
  これには驚いた。パワーが何馬力アップしているとか、トルクの数値はこうなっていますとか言う前に、走行抵抗を受けた時のトルクの出方はNAエンジンでは味わえない開放感だった。
  平坦地や下り坂はストレスがないから、それほどターボチャージャーの恩恵を感じることはない。単に「パワーがあるじゃない」という感じだ。NAエンジンもエンジン回転が上がりやすい状況であればそれなりに加速する。ところが、ターボチャージドエンジンはタイムラグさえ味方につけてしまえば、登坂でさえスロットルを戻さなくてはならないほどキチンと加速する。むしろ負荷がかかっているほうが「力強く」感じる。
  当時の記事が残っていれば書いてあるはずだ。ターボチャージャーの本質はパワーアップとか数値的なことはもちろんだが、エンジンの性格を変えてしまうところにある、と。
  そして、これは書いたかどうか忘れたが、ターボチャージドエンジンを搭載したクルマに乗る時はスロットルコントロールをより繊細にする必要がある。スロットルを開ける時は、常に「戻す」ことを前提にスロットルを開けるようにするべきだと。

  トゥインゴGTのエンジンのことを書こうとあれこれ考えていたら、結局、自分自身のターボチャージドエンジン原体験にいきついてしまった。
  思うに、この時にスロットルをオン/オフ的に操作するのでは、エンジンの特性によってはそぐわない場合があるということに気がついた。加給されたエンジンをコントロールするには、壁についている電灯をつけるオンオフスイッチではなく、ラジオのボリュウムコントロールを回して音を大きくしたり小さくしたりするような、連続的で間断のないスロットル操作が求められることを学習した。おそらく、このことは今に続く自分のドライビングポテンシャルの向上を大いに助けてくれたはずだ。


トゥインゴ3兄弟のエンジン性能曲線。どれも個性にあふれる。

  ドライビングスクールの同乗走行で実に様々なクルマに乗る。軽自動車からSUV。レース仕様に武装したポルシェGT3まで、いろいろなエンジン特性のクルマに乗る。しかし、同乗走行はお手本を示すのが目的だから、走りながらの説明に忙しいこともあり、とりあえず走ってしまうのでそれぞれの性格まで正確に覚えていることは少ない。
  しかし今回、トゥインゴGTがやってきてじっくりと付き合うようになった。そこはそれ、長い付き合いになるのだから相手の性格も知たくなるというもの。
  そこで、ルノー・ジャポンに頼んでカタログを送ってもらった。トゥインゴ3兄弟と兄貴分のルーテシアRSのだ。ついでに最近発表されたばかりのメガーヌRSのカタログも送ってもらった。

  トゥインゴ3兄弟のエンジンは、それぞれ1,000ccNA、1,200ccターボ、1,600ccNA。最大出力はこの順番に75、100、134馬力。最大トルクは同じく、10.9、14.8、16.3Kgm。それぞれ数値は異なるが、クルマを押し出すトルクの出方が違うのがわかる。ちなみにそれぞれの車重は、980、1、040、1,120Kg。(数字は全てカタログ値)

  パワーもトルクも最も小さいトゥインゴは、小さなエンジンをブンブン回してクルマを活発に走らせるのが向いているかも知れない。NAエンジンだからスロットルレスポンスも素直なはずだ。
  エンジンが上まで回るトゥインゴRSは、回るけれどもトルクの山が険しいのでこまめにシフトしてエンジン回転に意識すると運転が楽しいかも知れない。
  エンジンが2,000回転も回っていれば最大トルクの9割がたを発生するトゥインゴGTは、タコメーターを見ずに加速度を感じながら、できるだけ低い回転でシフトアップするとターボチャージドエンジンの快感を覚えることができるかも知れない。

  どんなクルマにもそれぞれの性格があって、それぞれの味付けがなされている。目的に応じた使い方ができれば、クルマという道具を使いこなすことができれば、パワーがあろうとなかろうと、それは問題ではない。この、エンジン性能に結構ドラスティックな違いがある3モデルが用意されたトゥインゴは、どこか、将来のユーザーに対して「あなたはどれをお選びになりますか?それはどんな理由からですか?」なんて聞いてくれているようで心地よい。

  で、3兄弟の中で唯一過給されているトゥインゴGT。カタログを見て思ったのだが、トラクションコントロールを解除できなくて正解だと確信を致した。
  排気量が小さいから絶対的なトルクが小さいとは言え、どんなところからでもクルマを加速させることができるトルク特性だから、間違って開けてはならない場面でスロットルを開けてしまうかも知れない。確信犯的にそうした場合でも、トラクションコントロールの介入がなければ、ひょっとすると操縦性を大きく変えてしまう可能性もある。
  我々がクルマを使う場合、ずっと加速しっぱなしという状況はまずないわけで、加速の後には減速がある。トルクがあり余っていて加速のいいクルマは、少しスロットルを開けている時間が長いだけで内包するエネルギーを増加させる。速度の上昇に対して二乗で、クルマは止まらない、曲がらない道具に変貌する。走行中のクルマが最も安定するのは加速も減速もしていない時だから、もしスロットルを戻すのが遅れて加速の直後に減速という事態になれば、クルマがバランスを崩す可能性が高い。
  うん。やはり、トゥインゴGTには解除できないトラクションコントロールがふさわしい。


ルーテシアRSの1,988ccNAエンジンとメガーヌRSの1,988ccターボチャージドエンジンの性能曲線。

  ターボチャージドエンジンと言えば、今度発表されたメガーヌRSにも搭載されている。魅力的なクルマなので、ぜひオーナーになる方はトルク特性を意識しながら運転してみてほしい。より快適にメガーヌRSを走らせられるはずだ。

  これはターボエンジンに限ったことではないが、スロットルの開け方にちょっとだけ注意を払ってみてはどうだろう。
  右足のかかとをしっかり床につけて、靴の中で足の指を開くようにして、ふくらはぎが緊張する感じでつま先だけを動かしてみる。ベタッとペダルに足を乗せているよりも、自分の意思がダイレクトにスロットルに伝わるような気がするはずだ。
  もちろん、運転中いつもそうしているとくたびれてしまうから、時々やってみればいいし、峠道を走る時とかある条件の時だけでもかまわない。慣れてくると意識しなくてもペダルの操作がこなれてくる。
 
  そして、ターボチャージャーで過給されたクルマに乗る時は、戻すタイミングを間違えないようにスロットルを開けてほしい。よくしつけられた最近のエンジンは、昔みたいな『ドッカンターボ』ではない。しかし、人間の生理で計るのが難しいほどに加速する場合があることを覚えておいておきたい。「確信のもてる範囲」でスロットルをコントロールするのが粋というものだ。


半年ぶりの自宅。いつもの405(フォーオーファイブ)は、
車間距離もそこそこに80マイル/時(120Km/h)で流れる。
速度を出すと危険?車間距離をとらないと危険?

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  ユイレーシングスクールでは2月、3月に以下のドライビングスクールを開催します。クルマの使い方に興味のある方は参加してみませんか?トゥインゴGTもお待ちしています。(詳細は以下の案内頁をご覧下さい。)
  特に3月19/20日に開催するツーデースクールはクルマの動きを理解し、操作と挙動の因果関係を把握するための短期集中カリキュラムとして好評です。
   
■ 2月20日(日)YRSドライビングワークショップ FSW
http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=ds&p=dwf

◆ 2月24日(木) YRSドライビングスクール 筑波
http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=ds&p=tds

■ 3月4日(金) YRSオーバルスクール FSW
http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=os&p=osf

■ 3月19、20日(土、日) YRSツーデースクール FSW
http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=ds&p=2ds
□クルマはよくできた道具だから、性能を発揮させるためにはそれなりの使い方を知る必要があります。ユイレーシングスクールが10周年を記念して制作したCDを聞いてみて下さい。バックグラウンドミュージックもないナレーションだけのCDですが、クルマを思い通りに動かすためのアドバイスが盛りだくさんです。
YRS座学オンCD案内頁:http://www.avoc.com/cd/


第7回 体力測定 その2

  ユイレーシングスクールのドライビングスクールは2月から始まる。その前に、そのうち受講生も操るだろうトゥインゴGTに対する理解度を深めるため(と理由をつけて)2回目の体力測定に連れ出した。
  今度の舞台は、F1グランプリも開催されたことのある富士スピードウエイレーシングコース。先日の筑波サーキットコース1000では基本的な操縦性を確認することが目的だったが、今回は、まだ本来の力ではないのを承知で、動力性能と制動性能を確認することをテーマとした。
  最終コーナーを立ち上がって1コーナーに行くまでのストレートが1.5kmもある世界屈指のハイスピードサーキット。小さなトゥインゴGTがどんなたち振る舞いをするか、ターボをおごられているとは言え、1,200ccの小さなエンジンを載せたかわいらしいホットハッチがどんなポテンシャルを秘めているか、ワクワクしながら、快晴だけれど空気がとても冷たい富士スピードウエイに乗り込んだ。


ゲートをくぐって坂を上っていくと。なんと、絵に描いたような富士山がお出迎え。

  今回はもうひとつ大事なテーマも抱えていた。
  実は、ルノー京都CADONOでトゥインゴGTを受け取った時にトラクションコントロールが解除できないことがわかった。つまり、走らせている間はずっとトラクションコントロールのお世話になることになる。この、常に介入しているトゥインゴGTのトラクションコントロールがどうしつけられているか確認することも、5速全開のコーナーのある富士スピードウエイのレーシングコースに繰り出した理由のひとつ。
  
  ご承知の通り、トラクションコントロールとはある条件下では運転手がスロットルを開けても、開けた分のパワーが駆動輪に伝わらないように制御する装置だ。その時に駆動力がかかると、クルマのバランスを崩す可能性があるとクルマ自身が判断して、スロットルペダルと吸気装置の関連を絶つ。駆動輪にそれ以上の駆動力を与えないか、場合によっては駆動力を減らし、それによって、クルマが思いもよらない動き(これはほとんどの場合危険につながる動きなのだが)をしないようにコントロールしてくれる装置だ。
 
  ここではトラクションコントロールの是非を問うつもりはないし、功罪を語るつもりもない。日本でも遅まきながら数年後には全ての乗用車に備えなければならない装置なのだから、不確かな人間がクルマという能力拡大機械を操る時には必要だと世の中は判断しているのだろう。
  いずれにしろ、  トラクションコントロールが働くということは、それが不注意でそうなったのか、確信犯的にそうしたのかは別として、運転手の意思がクルマに伝わらない瞬間がおとずれる可能性があるということは、クルマを運転する人全てが意識しておくべきだと思う。


富士山は無条件にいい。特に冬の姿はステキ。

  しかし、クルマの運転を教える立場からすると、トラクションコントロールをもろ手を挙げて歓迎するわけにはいかない面もある。  ABSブレーキもそうなのだが、それらのセーフティデバイスが介入することを前提とした運転をする人がいることだ。クルマが運転手のミスを補ってくれるからと、およそ理論的とは言えない運転をしたり、介入することを利用してサーキットを速く走ろうとする。
  クルマの楽しみ方という面からすれば、それを否定することはできないのかも知れないが、『セーフティデバイスに頼らなくてもすむドライビングポテンシャルを身に付けて下さい』と言っている側としては、「ちょっとなぁ」なのである。
 
  幸いなことに、ユイレーシングスクールに来てくれる人達はクルマも自分も、そしてクルマの操り方もとても大切にしてくれる。お行儀の悪い人はいないし、むしろ、もう少し積極的にクルマを走らせてほしいと思う人の割り合いが高い。
  そんなドライビングスクールだが、トラクションコントロールが装着されているクルマで、それが解除できる場合には解除して練習をしてもらう。クルマを思い通りに動かすコツを習いに来ているわけで、そこはそれ、「機械に頼らなくてもクルマのバランスを崩さないような操作を身につけて下さい」と、なかば強制的にトラクションコントロールを切ってもらうことにしている。
 
  クローズドコースとは言え、トラクションコントロールを解除して走らせて危なくないのか、って声があるかも知れない。それだったらユイレーシングスクールには行かない、という人も現れそうだ。しかしご安心を。
  ユイレーシングスクールのカリキュラムではクルマを限界近くで走らせることもあるが、だからといって絶対的な速度が高いわけではない。クルマの特性を考えて、速くなくても運転手が失敗しやすいようなコースを設定しているし、クルマの挙動を見れば何を考えながら走っているかがわかる。全てを把握した環境で練習するのだから、危ないことはない。

  トラクションコントロールを解除して走ってもらうのにはふたつの理由がある。
  ひとつは、当然のことながら、トラクションコントロールに頼らなくてもクルマを速く走らせる方法、それはすなわちクルマをどんな時にもどんな状態でもクルマをコントロールすることにつながるのだが、その方法を学んでもらうこと。
  もうひとつは、自分の意思でトラクションコントロールを解除することで、『ドライビングをミスっても、もうクルマは助けてくれない』という意識を持ってもらうことだ。
 
  「運転中は誰も助けてくれません。どうすれば安全に運転できるか、自分で決めて下さい。自分で無理だと思う速さで走る必要はありません。他人と比較する必要もありません。どんな速度で走るか、いつスロットルを開けるか、いつブレーキをかけるか、自分が確信を持てる範囲から始めて下さい。」と走行前に話すことにしている。
  もちろん、最後に「いざとなればセーフティデバイスに頼ろう、なんてヨコシマなことは考えないように」、とつけ加えるのは忘れない。
  最初は躊躇していた人も、少し走ればその環境に慣れる。人間の学習能力は偉大だ。最後には、『トラクションコントロールを解除しないで走っても、トラクションコントロールが介入しない運転ができるようになる。トラクションコントロールがついているのを忘れるほどに』。すなわち、ある程度の練習は必要だが、人間がミスを犯さなくなる。機械に頼らずに、人間が自立してクルマを運転することができるようになる。


ピットにて。とにかく寒かった。

  話が横道にそれてしまった。
  トゥインゴGTのトラクションコントロールは、できれば解除した時の走りを体験してみたかったのだが、結論としては解除できないほうがいいかな、と思い始めている。
  小さい割に低回転からトルクの盛り上がるトゥインゴGTは、FFということもあって高速コーナーのスロットルオンオフに鈍感ではない。多分、トラクションコントロールではステアリング角度も拾って制御しているのだと思うのだが、万が一、ステアリングを戻さないでスロットルを全開にする人がいたらと考えると、運転手が解除したくてもできないほうがいいかも知れないし、それで不都合があったわけでもない。


陽がかげり、たたずむトゥインゴGT。

  結局、つごう1時間の走行をトゥインゴGTはこともなげにこなしてみせた。全くのノーマル。空気圧だけ5%あげただけ。
  最終コーナーの立ち上がりのできによって、1コーナーのブレーキング手前の到達速度はかなり違ったが、最も速かったのはメーター読みで174キロ。この速度でも外乱を受けずに、神経質ではなく直進性を保っていたシャーシは◎。
  5速170Km/hから2速60km/hまでの減速を25回繰り返しても、フェードもせず悲鳴を上げなかったブレーキに◎。
  3速全開の100R。小さな身体をひねりながら、4本のタイヤで路面をしっかりつかみ、排気量の大きいクルマとの差をつめることができたサスペンションに◎。
  いいことばかりのようだが、気になった点がなかっただけのこと。宣伝をするわけではないが、ドライビングインストラクターの視点からすると、道具としてのトゥインゴGTの完成度は極めて高いと見た。
  ちなみに、ラップタイムはベストで2分35秒ほど。ごくふつうのタイヤを履いた小さなホットハッチとしては悪くない。


頑張った小さなエンジン。まだオイル交換はシ・テ・ナ・イ。
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  ユイレーシングスクールでは2月、3月に以下のドライビングスクールを開催します。クルマの使い方に興味のある方は参加してみませんか?トゥインゴGTもお待ちしています。(詳細は以下の案内頁をご覧下さい。)
  特に3月19/20日に開催するツーデースクールはクルマの動きを理解し、操作と挙動の因果関係を把握するための短期集中カリキュラムとして好評です。
   
■ 2月20日(日)YRSドライビングワークショップ FSW
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第6回 道具を使う

  『包丁という道具があります。モノを切るための道具です。道具としては、包丁を持った人間が直接モノにあてて切るという、極めて単純かつ原始的な機能を備えています。ですがこの包丁にも、これからお話するクルマの運転同様に、理にかなった使い方があります。』
  ドライビングスクールの座学で、そんな話をすることがある。


   
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ほう‐ちょう〔ハウチヤウ〕【包丁/×庖丁】
1 料理に使用する刃物。出刃(でば)包丁・刺身(さしみ)包丁・薄刃包丁などがある。包丁刀。
2 一般に薄刃の刃物の称。畳包丁・紙切り包丁・裁縫用の裁ち包丁など。
3 料理をすること。料理。割烹(かっぽう)。「―始め」
「折ふし御坊は、見事なる鯉を―して御座ある」〈咄・きのふはけふ・上〉
[出典:デジタル大辞泉]
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  さて。みなさんは包丁をどのようにして使うだろうか。包丁を引くか、押すか。どちらかに動かしながら切るのではないだろうか。お刺身のような柔らかいモノを切る時には、ゆっくりと引きながら切るのではないだろうか。
  上から下に切り下ろすよりも、引くか押すか、包丁を動かしながら切る方が切りやすい。経験的にそうしているのかも知れないし、そうすることを誰かに教わったのかも知れない。板前さんの真似をしているのかも知れないが、包丁の使い方としては、それが正解だ。
 
  ところが、なぜそうすると切りやすいのか、その理由を知っている人は意外に少ない。そうすることに疑問を抱いている人はもっと少ない。それは、包丁を使うことが我々の日常の中でごく当たり前の行為になっているからに他ならない。なぜそうするのか理屈を知らなくてもとりあえず包丁を使うことはできるし、知る必要はないと言えなくもない。

  しかし一方で、包丁を動かしながら切ると切りやすい理由を知っていれば、どんな場合でも間違った使い方をしなくてすむのではないか。包丁に対する興味が増すかも知れない。包丁を使うことがもっと楽しくなるかも知れない。包丁の使い方をもっと研究したくなるかも知れない。
 
  という訳で、高校の時に先生に聞いたことの受け売りではあるが、包丁を動かしながら切ると切りやすい理由。
  『包丁を動かしながら切る。つまりモノに対して真下に切り下ろすのではなく、モノに対して包丁が斜めに入るように切ることによって、包丁の刃の厚みを薄くしている』のだ。
  もちろん包丁の刃が現実に薄くなるわけではない。が、動かすことによって実際にモノを切る刃の角度を小さくすることはできる。

 包丁の刃を模した三角柱。実際には刃と直角をなすのが刃の厚みだが、同じ刃でも斜めに計れば角度は小さくなる。

 
  モノを切るにはカミソリのようにごく薄い刃のほうが切りやすい。モノの形も崩れにくい。しかし、包丁がカミソリのようであったならば、刃こぼれをするかも知れないし、耐久性も期待できない。そこで、刃が薄くはない包丁を動かすことで、「人為的に刃の薄い包丁でモノを切っている」、これが包丁を動かす理由にあたる。


 
 時間に余裕のある人は実際に体験してみてほしい。
  りんごを8等分する。くし型になったひとかけらが45度の刃をした包丁だと考える。モノに対して真っ直ぐに切り下ろした場合を想定して、りんごの切れ目に直角に切ってみてほしい。どうだろう。断面は変わらず45度をしているはずだ。
  今度は切れ目に対してできるだけ平行に近くなるように切り、その断面を見てほしい。どうだろう。先ほどより角度が小さくなっているずだ。切れ目に対して浅い角度で切れば切るほど、断面が表す「包丁の刃の厚み」も薄くなる。

  おわかりだろう。なぜ刺身包丁が長いのか。柔らかなお刺身の形を崩さずに切るために、できるだけ浅い角度で、しかも一回のストロークで切るために長めに作られている。
  逆に、出刃包丁は短くて刃に厚みがある。出刃包丁はモノを切るというよりくさびを打ち込むように分断するためのものだから、それなりの形をしている。

  包丁は、それが高級品でなくても、よく研がれていなくても、とりあえずはモノを切る時に引くなり、押すなりして『包丁の長さ』で切ることを意識すれば、その機能を最大限に発揮させることができる。
  道具は、その機能を発揮するための工夫がされている。その機能を引き出すのは使う人の役割だ。

 
 クルマの運転も同様だ。包丁と異なりクルマは複雑な道具ではある。使い方はそれほど難しくはないとも言えるし、ある条件下ではかなり難しいとも言える。どう思うかは、使う人がクルマに対してどういう意識を持っているかで異なる。

  クルマの機能は三つ。加速と減速と旋回。三つしかないとも言える。これらを組み合わせて我々はクルマを目的に応じて走らせている。
  しかし、加速と言ってもただスロットルを開ければいいかというと、そうではない場合がある。ブレーキにしても、どんな時にも同じように踏めばいいというわけではない。ステアリングも、ただ回せばいいというものではない。目的によって回し方は異なる。

  最近の、よくできたクルマは運転することを意識しないで、まるで家電製品を扱うような感覚で走らせることもできる。ある意味では運転という行為から人間が解放されるのだから、道具が進化する方向としては否定できない。
  しかし、『スロットル、ブレーキ、ステアリングをどうやって操作すればクルマの機能を発揮させられるか』ということを知れば、サーキットで速く走りたい人はより速く、安全運転を心がけたい人はより安全にクルマを動かすことができるのも事実だ。
  思い通りにクルマを動かす。その扱い方を知ってほしくてユイレーシングスクールは10年を過ごしてきた。これからも、少しでも多くの人に「なぜそうするとクルマが思い通りに走るのか」を知ってもらうために2巡目の10年を走っている。
 
  クルマは高度な機能が詰め込まれた道具だから、運転は包丁を使うほど単純な作業ではない。しかし、元々が人間の能力を拡大してくれる道具でもあるわけで、間違った使い方は避けたほうがいい。自身のためにも周囲のためにも、自分の運転と一度は向き合ってみる価値はあると思うのだが。いかが。


兄貴分にガレージを占拠され、あわれ雪の下。
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  ユイレーシングスクールでは2月、3月に以下のドライビングスクールを開催します。クルマの使い方に興味のある方は参加してみませんか?トゥインゴGTもお待ちしています。(詳細は以下の案内頁をご覧下さい。)
   
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◆ 2月24日(木) YRSドライビングスクール 筑波
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■ 3月19、20日(土、日) YRSツーデースクール FSW
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第4回 ちょっぴりスポーツしてしまった

  オドメーターの数字が3,000を超えた。正確に言うと、このブログの原稿を書き終えたところで3,276キロ。記録を見ると、走行距離の93%が高速道路を利用している。極力3,000回転を守って走ったから、個人的には理想に近いブレークインができたと思っている。
  最近のエンジンは部品の工作精度が高い上に組み付け時のばらつきがなくなったから、例えそれがレーシングエンジンだとしても、昔みたいに神経質な『慣らし』は必用がない、と著名なエンジンビルダーに聞いたことがある。それでも、しばらくは自分とスクールの足になってくれるトゥインゴだから、できることはやってあげたかった。

慣らし運転のために真夜中の高速道路を走ったりも。

  とは言うものの、全行程でお行儀がよかったわけではない。一度は富士スピードウエイで開催したYRSオーバルレースの時にコースを走ってみたし、3,000キロ間近のとある日にはサーキットを走ってもみた。
 
  YRSオーバルレースとは、YRSオーバルスクールを卒業して、クルマを使って人と競争してみたいと思った人が参加できる日本で一番敷居の低いモータースポーツのことだ。楕円形のコースをぐるぐる回るだけの自動車レースだが、本場アメリカのオーバルレースを知る人間としてはロードレースより奥が深く楽しいと断言できる。
 
  YRSオーバルレースはパイロンを並べて作った半径22メートルの半円を130メートルの直線で結んだコースを使う。コース幅は13.1メートル。3車線の高速道路より2メートルほど広い。ユイレーシングスクールでは便宜上、YRSオーバルFSWロンガーと呼んでいる。そこを何台ものクルマがテールツーノーズ、ドアツードアで走るのだから見ていておもしろいし、走っている当人達はもっと楽しい。
  このコース、1.6リッタークラスのクルマでもコーナリング速度を高く保つことができれば、到達速度は3速100Km/hを超える。そこからブレーキングしながら、シフトダウンしながらステアリングを切り込むことになる。言葉で説明すると難しく聞こえるかも知れないが、1周19秒のコースを何周も何周も走るうちに自然に身体が動くようになるものだ。
 
  トゥインゴのYRSオーバルFSWロンガー初体験はと言うと、慣らし中ということもあって3,000回転を保つにはストレートを4速で走らなければならず、本格的に攻めるのまでにはいたらなかった。とは言うもののコーナリング速度まで遠慮する必要はないわけで、ターンイン直後に失速しないようにできるだけ薄いトレイルブレーキングを心がけた。
 
  YRSオーバルレースに参加するクルマは様々だが、共通しているのはふだん足に使っているクルマであることと、レース用の特別な改造はしていないこと。それでもクルマはよくできた道具だから、理にかなった操作さえすれば想像以上に高い性能を発揮するし安全でもある。そんな卒業生対象のレースだが、1代目、2代目のロードスターが台数的に多い。ツーシーターでコントロールがしやすいという利点の他に、ランニングコストが安いというメリットもあるからだろう。
  そのロードスター。YRSオーバルFSWロンガーをアウトインアウトで走ると、コーナーのアプローチさえ間違わなければコーナーの最も速度が落ちるところでも60Km/hを維持することができる。では、同じくYRSスクールレースに参加しているポルシェカレラやランサーやインプレッサはどうかというと、彼らも60Km/hを割らなければ上出来の部類なのだ。
  1周の速さで計ると、スピードが出るクルマが必ずしも速くないのがオーバルコースの面白いところ。
  加速がよくてロードスターより到達速度が高くても、その分ロードスター以上の減速をしなければならない。加速がよいクルマというのは重たいものだから、いかにロードスターより太いタイヤを履いていてもコーナリングの限界速度は同じようなものになる。
  だから。YRSオーバルレースはクラス分けはない。たった2周で行われる予選のタイム順にクラスを分けることにしている。場合によっては10台ぐらいがコンマ5秒ぐらいの間に並ぶこともある。区切りのよいところでクラス分けを行い、少なくても10台、多ければ20台以上のレースになる。
 
  さて、オーバルレースとなると虚々実々の駆け引きが必用になる。どうやってクルマを使って人と競争するか、ということは別の機会にゆずるとして、まずはオーバルコースを速く走ることを想像してみて欲しい。
 
  走っているクルマはエネルギーの塊だ。慣性力とか、勢いとも言う。
  クルマを思い通り動かそうとすると、このエネルギーと仲良くならなくてはならない。厄介な相手でもある。しかもスピードを出せば出すほど大きくなるからなおさらだ。
 
  60Km/hでエイペックスをかすめて徐々に加速する。クルマが真っ直ぐを向いたらスロットルを床まで踏みつける。2速から3速。クルマは加速を続ける。同時にエネルギーも肥大し続けている。
  この直進方向のエネルギーの向きを換えることが、実は、コーナリングなのだ。ステアリングを切れば確かにクルマは曲がるが、それはあくまでも人間側から見た場合の話であって、クルマの立場からすればエネルギーの方向を変えることこそコーナリングなのだ。
  コーナーが迫ってくる。むろんその速度でコーナリングに移れるわけがない。ブレーキングが必用だ。2速にシフトダウンもしなければならない。どこで、何を、どうする?
  まず考えなければならないのは、タイヤのグリップ。タイヤが路面をつかまえる力だ。加速にしても、減速にしても、旋回するにしてもタイヤのグリップ抜きには実現しない。4本あるタイヤのグリップを損なわないようにすることが、クルマの運転の第一歩。

ブレーキを引きずりながらコーナリングを開始するトレイルブレーキング。

  YRSの卒業生にはいないが、操作に慣れていない人の場合。ステアリングを切ってもクルマが曲がらないことがある。いわゆるアンダーステアの状態だ。逆にステアリングを切った瞬間にテールがスライドすることがある。これをオーバーステアと言う。どちらもクルマのバランスを崩してしまった結果だ。
  もし、その時にその人が速く走ろうとしていたなら、アンダーステアやオーバーステアにおちいることは避けるべきだ。そうならない運転を覚えることが先決だ。やみくもに速く走ろうとするのは、安全性の面からも決して褒められることではない。
 
  直進状態でブレーキング。ある程度スピードを殺す。ブレーキを緩めて前にかかった荷重を抜く。ステアリングをわずかに切り、さらに踏力をゆるめながらシフトダウン。ステアリングを切り足し、リアがロールを始めたのを感じて右足をスロットルに移す。
  リアのオーバーハングが極端に小さいせいなのか、あるいはリアのサスペンションのストロークが十分なのか、トレイルブレーキングを使っている最中の挙動は非常におだやか。FFということもむろん計算に入れる必要はあるが、どちらかというとトゥインゴの「足」はアンダーステア傾向にある。正確には、『極限状態になってもオーバーステアにならないような味付がしてある』と言うべきだろう。 
  来年のオーバルスクールでFFに乗っている受講者に味わってもらう楽しみが増えた。

晩秋に訪れた富士山は雪の装い。

 

*  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *

 2011年2月6日(日)。富士スピードウエイでYRSオーバルスクール上級編を行います。他のオーバルスクールとことなり、YRSオーバルFSWロンガーをアウトインアウトで走る練習をします。原則としてYRSオーバルスクールを以前に受講した方が対象ですが、サーキットを走ったことがあり、かつヒールアンドトーができる場合に限り、このブログの読者の参加を歓迎します。
・YRSオーバルFSWロンガー歴代ラップ一覧
http://www.avoc.com/3result/pt10/yof-longer.shtml
・2011年2月6日YRSオーバルスクールFSWロンガー案内頁 
http://www.avoc.com/1school/guide.php?c=os&p=osf


第3回 トゥインゴGTとの対話が進む

  今年最後のスクールでデモンストレーションをしてやろうという目論見は崩れてしまったが、高速道路を使った慣らし運転と片道400キロ近い富士スピードウエイまでの道のりで、ずいぶんとトゥインゴGTが身体になじんできた。
 
  オートマチックトランスミッション(AT)全盛の時代だが、マニュアルシフトは嫌いではない。確かにATは必要な操作を省くことができるから楽ではある。当然、シフトをする必要がなければないほうがいいと言うが人が多数だろうし、それを否定するつもりもないが、運転を教えている立場からすると、シフトをすることで運転しているという意識が高まるという側面があるということを付け加えておきたい。
 
  いつも走っている道を、あえてゆっくり走ってみる。他人の迷惑にならないような時間に、わざとゆっくり走って見る。その時。いつも目に入ってくる景色はどう映るだろうか。自分の意識の変化に敏感であれば、いつもより集中力が落ちていることに気づくはずだ。ゆっくり走ることによって、速さに対する緊張感が薄れるのが原因だ。人間の行動は環境に大いに左右される。マニュアルシフトが運転力を高めるなどとは言わないが、クルマを選ぶ時、マニュアルシフトが有力な選択肢のひとつであってほしいと思う。
  アメリカで乗っていたシボレーのクルーキャブとサバーバン以外、今まで所有したクルマは全てマニュアルシフト。やがてやってくる新しい相棒も、もちろんマニュアルシフトだ。
 
  マニュアルシフトが好きな理由は他にもある。よほど高級なATでないと、エンジンの力と駆動力がダイレクトにつながっていないもどかしさ、はがゆさを明確に感じてしまうことだ。自動変速機らしくないATはおいそれとは手に入らない。昔で言うところのトルコンスリップを無視して割り切ってしまえばどうってことのない問題なのだが、マニュアルシフトのクルマしか走っていなかった時代に運転の洗礼を受けた者にとっては、ヒールアンドトーができるかできないかはクルマの重要な機能だ。

すっかり色づいた京都。色彩豊か。

  排気量が小さいから下のトルクを期待することは難しい。レバー比の関係なのか、若干ミートポイントがあいまいなクラッチと相まって、ある程度回転を上げておかないと発進時にギクシャクすることがある。実際、ディーラーの敷地でエンストすること4回。いささか自己嫌悪におちいった。
  とは言うものの、「クルマを発進させる時はネ、できるだけ低い回転でクラッチをつなぐのが粋なんだヨ」と教えられた世代だから、低回転での発進を意識し過ぎるのかも知れない。

  走り出してしまうと、この赤い小さなホットハッチの元気さを味わうことができる。
  まだ慣らしが終わっていないので全開にしたことはないが、早く回してみたくなる。そんな気持ちにさせられるのは久しぶりだ。
  40キロぐらいの流れに乗るには、3速で2,100回転まで回せばこと足りる。4速では1,500回転。5速にいたっては1,200回転しかエンジンは回っていない。「どんだけ前の話?」と突っ込まれそうだが、昔の小さなエンジンだと2,000回転は回していないとからきしだらしがなかった。それが5速1,200回転からでもスロットルをゆっくり開けてやるとキチンと加速を始めるのだから、エンジンにとっていいことかどうかは別にして、常用範囲の広さは特筆ものだ。
  1,800回転も回っていればスロットルの開度に反応してターボが効きだす。過給されている加速であることは明確にわかるが、多少スロットルを多めに開けてもドッカンという加速はしない。ただし、3,000回転までしか回していない現時点でも2,500回転を超えてからの加速はこの大きさのクルマのものとは思えないから、加速する時にはいつでも、閉じる準備をしてからスロットルを開けたほうがいい。

街中でなにげなく撮っても絵になる。これがエスプリ?

  料金所を抜けてランプを駆けあがり、合流車線を3速で加速する。2,000回転から3,000回転までの時間は瞬く間。シフトアップが遅れないように気をつける必要がある。4速に上げて3,000回転。77キロ。5速にシフトアップしてメーター読みで3,000回転まで引っ張ると、デジタル数字が100を示す。
  3,000回転をできるだけ維持しながら慣らし運転を行ったが、5速に入れっぱなしでも何の問題もなく、トラックに前をふさがれて80キロに落ちても視界が開ければ5速のまま、他のクルマをリードしながらペースを戻せる。ずぼら運転ができるから長距離も苦にならない。あとは、回せるようになった時にどんな動力性能を感じさせてくれるかだ。

  まだトゥインゴGTの性能の一端を味わっただけだが、ルノージャポンはドライビングスクールにとって理想的な教材を提供してくれた。うまい運転とは、最終的にクルマの性能を自由に引き出したり、制御したりできることと同義だ。少しばかり元気のいい小さなホットハッチは運転の本質を教えてくれるかも知れない。

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  ユイレーシングスクールはスピードを出すことを教えているのでも奨励しているのでもありません。クルマを運転する時、それが公道であろうとサーキットであとうとその場、その時の秩序を守る必要があるのは言うまでもありません。しかし、一方で速度を出さないことが安全だとする風潮には反対です。制限速度を守っていれば安全かと言うと、そうではないと思うのです。
  制限速度を守っていては、ドライビングポテンシャルはそれ以上にふくらみません。制限速度を守り安全に走行していると思っていても、実はポテンシャルの100%で運転しているわけです。クルマは人間が実現できる以上の速さで走ります。速さに畏怖の念をいだくためにも、ドライビングスクールなどでクルマの性能を引き出すことに挑戦してみる価値はあると思います。

どうやったらクルマと一体になれるか。アドバイスが練習走行で生きる。


第2回 トゥインゴGTは小粒で…

 高校1年で軽自動車免許をとってから45年間。数えられないほどのクルマを走らせてきたが、その中でもフランス車はほとんどといっていいほど記憶になく、トゥインゴGTがどのように躾けられているのか大いに興味があった。
 
  ルノー京都CADONOで操作の説明を受け、記念写真を撮ってから京都の町に乗り出す。
  最初の驚きは敷地から八条通りに降り立った時。わすかな段差を乗り越えたのだが、ボディがきしむでもなく、足が(サスペンションが)ボディと独立して動いているのが感じとれる。乗る前のイメージではもっと「ワサッ」という動きをすると思っていたので、これは嬉しい誤算。
  サイズ的にはスクール用品の運搬に使う初代フィットと同じようなもの。フィットの全長/全幅/ホイールベースが3,845/1675/2,450mmでトゥインゴGTが3,600/1,655/2,365mmだから、むしろひとまわり小さい。それでいてボディ剛性が高く足がちゃんと動くのには思わずニンマリ。もっとも車格が同じでも価格には開きがあるから同じ次元で比較することは難しいが、フランスでは小型車もきちんと作りこまれているのかと思うとうらやましさも感じる。
  


↑京都の小型車専用の駐車場にも似合う。京都で乗るにはちょうどいい大きさ。
 

 

  「いいねぇ」とうなづきながら走らせる。
  慣らしが終わるまでは3,000回転までと決めておいたのだが、4速で1,800回転(メーター読みで47Km/h)も回っていれば、スロットルを開けた途端に過給が始まるような加速を見せる。動力性能もスクールカーとして申し分ない。
  「これは慣らしが終わるのが楽しみだな」と流れに乗って走っているたのだが、いくつか細かなことが気になりだす。詳しくは追々述べるが、運転に支障のある類のものではないのでとりあえず慣らしを急ぐことにする。
 
  慣らしは同じような負荷を連続してかけておきたいから高速道路で行う。時間を見つけて走ってはみたものの、今年最後のオーバルスクールに連れ出してもオドメーターは600キロ。泣く泣く体力測定は来年に持ち越し。シーズンオフの間に距離を稼ぐつもりだ。
  
  

高速道路も快適。ボディ剛性が高いせいか3,600mmの全長とは思えないほど安定している。

 
  さて、そのオーバルスクール。今年最後ということもあるのだろう、定員いっぱいの24名が参加。富士スピードウエイの駐車場に設けた直径40mの半円を、100mの直線で結んだオーバルコースを舞台に朝から日没まで走り回った。初めてユイレーシングスクールに参加した人も、初めてオーバルコースを走った人も、初めて自分のクルマのスロットルを床まで踏んだ人も、最後にはかなりのペースでクルマを走らせることができていた。

 
 
  こうして11年目のユイレーシングスクールの活動は全て終了。今年は39回のドライビングスクールとスクールレースを開催し、延べ707名の方に参加していただいた。ひとつの事故もなく無事予定していた全日程を終えることができたのは、参加者一人ひとりの運転に対する意識の高さがあってこそと感謝している。
 
※  クルマはよくできた道具だから、性能を発揮させるためにはそれなりの使い方を知る必要があります。ユイレーシングスクールは来年2月上旬までお休みですが、それまでにクルマの運転が上手になりたいと思う方はユイレーシングスクールが10周年を記念して制作したCDを聞いてみて下さい。バックグラウンドミュージックもないナレーションだけのCDですが、クルマを思い通りに動かすためのアドバイスを詰め込んであります。
YRS座学オンCD案内頁:http://www.avoc.com/cd/


YRS座学オンCDは収録時間5時間34分の大作です。


第1回 ユイレーシングスクール

 日本でクルマの運転を教えるようになってから、もうすぐ11年。安全に思いどおりにクルマを動かすためのコツを、わかりやすく説明するささやかな活動も二巡目に入っている。この10月までにユイレーシングスクールを受講してくださった方は延べ11,111名。幅広い年齢層の方が、じつに様々なクルマで参加してくれた。


   
 

 今までの受講者の最高年齢は68歳。それ以降70歳になる今年も続けて参加してくれている。60歳で初めてスクールに参加された方はクルマの運転がよりいっそう楽しくなり、70歳になる今年もユイレーシングスクールが主催するスクールレースで孫ほどの歳の若者に混ざって優勝争いをくり広げている。
   もちろん若い人が主流ではある。1年間に10回もスクールに参加してくれた大学生もいた。何度かスクールに参加してくれた方が、免許をとる前の息子さんを連れて受講されたこともあった。20代で初めて受講した青年は、スクールとスクールレースに通っているうちに、四捨五入すると40歳になるオジさんになった。
 
  クルマの運転は楽しい。身体能力が高いからと言って、それだけで運転がうまいわけでもない。反射神経が多少衰えたとしても、そのことだけで運転がへたになるわけではない。血気盛んな若者が感じられないクルマの動きを年配者だから感じられることもある。運転技術満点の熟年者でも、集中力や体力では若い人にかなわないこともある。若い人も高齢者も、ことクルマの運転に関しては年齢や性別に関係なく同じ土俵で運転技術を磨くことができる。運転に興味を持てば、一生クルマと楽しくつき合っていける。
 
  ユイレーシングスクールではふだん使っているクルマでスクールに参加してもらう。クルマはなんでもかまわない。ランボルギーニのムルシェラルゴが注目を集めたスクールがあったかと思えば、スズキのジムニーが倒れそうになりながらコーナリングの練習をした日もあった。何度かのメールのやりとりで安心できたからと三菱デリカスポーツギアという背の高いワンボックスカーで来られた方もいた。
 
  クルマはよくできた機械だ。ポルシェと軽自動車の動力性能には確かに大きな隔たりがあるが、基本的な運転操作に変わりはない。運転が好きならば、どちらも同じようにクルマを動かすことを楽しめる。速くなければ楽しくない、というわけでもない。パワーなんてあってもなくても一緒。クルマを走らせる醍醐味は、クルマが思い通りに動いた時の快感なのだから。
 
  老いも若きも、どんなクルマに乗っていようとも、運転を楽しみたいという意識さえあればクルマは大きな喜びを与えてくれる。クルマは単なる移動の手段ではないし、リビングルームの延長でもない。クルマは大の大人が一生懸命になれるほど大きな存在だ。
 
  確かに名前にレーシングの文字が躍るものだから、特殊な運転を教えるのではないかと敬遠されることもあった。どんな内容なのか問い合わせもたくさん頂戴した。しかしクルマの運転は、走るところがサーキットであれ公道であれ操作自体に変わりはない。違いがあるとすれば、走る時の状況が異なるだけだ。具体的なカリキュラムを説明すると、迷っていた方も全員が受講してくれた。

  ユイレーシングスクールが目指すもの。それは、安全にクルマを思いどおりに動かすことのできる運転技術を身につけてもらうこと。そのために初心者からベテランまで楽しく練習できるカリキュラムを用意している。必要があれば車庫入れのアドバイスもするし、ドライビングスクール卒業生を対象にしたスクールレースも開催している。本格的なレースに参加するためのアドバイスもする。「クルマの運転のことなら任せて」という意味でのつけた名前だ。
 
  運転がうまくなるためには練習が必要だが、目的のはっきりしない練習は意味がない。運転操作についての知識も必要だが、知識と実際の運転が連携していなければ役に立たない。
  せっかくのクルマをもっと楽しみたい。それにはまず、運転に興味を持つことだ。
 
  いつもの交差点を曲がる時。あなたがステアリングを切るとクルマがどんな動きをしたか覚えておいでですか?
 
 
※  今年のドライビングスクールはまもなく終了するが、来年2月、ユイレーシングスクールは赤いルノー トゥインゴGTと一緒に12年目のカリキュラムをスタートさせる。このかわいらしいホットハッチ。ドライビングスクールの先導車として、あるいは教習車として使うためにルノー・ ジャポンが提供してくれたもの。大いに活用させてもらうつもりだ。

ユイレーシングスクール:http://www.avoc.com/