第365回 ひょっとして
クルマの特性は速く走らせてみないとわからないことがある。運転操作が正しいかどうか判断するのも速く走ってみないとわからない場合がある。
速く、と言っても、個人的にはタイヤを酷使してまで速く走ろうとは思わない。タイヤのコンタクトパッチが常に同じ形状を維持し続け、そしてタイヤが常に回転方向に転がり続けるのが理想だ。
スクールの進行を邪魔しない範囲で走らせるだけなので、まだメガーヌRSの持ち味を堪能できたとは思っていないが、みぞれ混じりの雨が降るとんでもなく寒い日に開催したYRSオーバルレースの休憩時間に走ってみて、『 ひょっとして 』 と思うところがあった。この日のコースはYRSクワッドオーバル。
クルマはコーナリングを開始すると走行抵抗が増えるので失速する。速度の低下は減速と同じだから、ブレーキをかけた時のように前輪に荷重がかかる。もしタイヤの限界付近を使って走っているとしたら、前後輪のグリップが均等ではないのでクルマがバランスを崩す可能性がある。だからスクールでは、コーナリング中はイーブンスロットルを保つようにアドバイスする。スロットルをアンダーステアが出る手前まで開けて速度の低下を防ぐ。クルマが加速も減速もしていないフラットな状態でコーナリングすれば、バランスを崩す確率が大幅に減る。
ところが、タイヤが全くと言っていいほど温まらず、路面に冠水しているところがあるというのに、ある瞬間、イーブンスロットルより多めにスロットルを開けたのにも関わらずアンダーステアが出なかった時があった。
『 ひょっとするとこれが逆位相の効果か 』 と思ったものだ。ならば、イーブンスロットルでコーナリングスピードを維持するのではなく、コーナリング中に加速できるのではないかと。もちろん程度問題ではあるけれど。
もう少し奥深くまでメガーヌRSの特性を試してみたくなった。
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