トム ヨシダブログ

第52回 非公認ですが、なにか?

こんな競り合いもあって

日本が自動車先進国であることは誰もが認めるところだろうけれど、ことモータースポーツに関しては日本は後進国でしかない。

と言うと、フォーミュラニッポンがあるしGTレースもあるし日本人のF1ドライバーだっているではないか、と反論がありそうだが、少なくともアメリカと比べればその後進性は歴然としている。
確かにモータースポーツのピラミッドらしきものが形成されてはいるものの、そのスポーツの世界ランクレベルを目指す予備軍の数や、そしてそのスポーツを体験したことのある非傍観者の数で比べると日本の現状はいささか悲惨だ。

富士山を横目にレース三昧

モータースポーツ関係者はみんなそれぞれに頑張っているし、それは良くわかってはいるのだが、どこかに理由があるはずなのだ。

そう。個人的に導き出した結論を先に言えば、モータースポーツを司るスポーツ権能が日本にはひとつしかないことに問題がある。FIAの規定で各国のスポーツ権能(ASNと呼ぶ)は原則ひとつと定められているが、モータースポーツを発展させるためにはひとつでは足りないこともある。FIAも例外を認めているくらいだ。
実際、アメリカにはストックカーレースにはNASCARが、インディカーにはIRLが、ドラッグレースにはNHRAといった具合に主だったところだけで6つのスポーツ権能が存在する。それが複数あるのはアメリカだけではない。オーストラリアにもカナダにもイギリスにもだ。

ひとつということは、それ以外は存在しないわけで、そこにピラミッドの底辺が広がらない原因がある。日本のスポーツ権能に認められたものが公認で、されないものは非公認というわけだ。しかも日本のスポーツ権能は、1990年代終わり(ついこの前だ)まで非公認競技も非公認参加者も認めなかったといういささか乱暴な歴史の上に存在する。

1コーナーになだれ込む

ユイレーシングスクールがスクールレースを始めたのは2001年。前々年に国会で取り上げられたことから、非公認競技への締め付けがゆるくなり、その後はなしくずし的に公認、非公認の枠がはずされるだろうとの情報を得たからだ。
ユイレーシングスクールのスクールレースに参加したドライバーが公認のライセンスを剥奪されてはかなわない。いわゆる非公認競技であるYRSスクールレースを開催しようとしたら横槍が入ったでは参加者も集まるわけがない。

狙っていたわけではないが、幸いにしてユイレーシングスクールは「モータースポーツをもっと手軽に、もっと楽しく、もっとみんなで」のスローガンを堂々と掲げながらスタートを切ることができた。

万年青年の大森さん

2001年から非公認競技のタイムトライアルとエンデューロ、スプリントのレースを開催し、満を持して始めたのが2004年のYRSオーバルレースシリーズ。幾度かコースレイアウトを変えながらも9年が経過した。簡単なようで難しい自動車競技だから参加者数が大幅に増えることは期待していないものの、少しずつ仲間も増え始めた。

たとえば大森さん。2000年1月に開催した第2回YRSドライビングスクールを受講してくれたのだけれど、その後ユイレーシングスクールが開催する非公認モータースポーツには全て毎回のように参加してくれている。もう13年になる。クルマも当時のままだから、クルマさんも幸せだ。

日本で最も敷居が低く、もっとも手軽に楽しめるモータースポーツだと自負しているYRSオーバルレース。10年目を迎える来年、みなさんも参加してみませんか?

今年最後のレースを富士山も見送ってくれて

2012年YRSオーバルレースの最終戦。下は27歳から上はン歳まで平均年齢44歳のレーシングドライバーが参加してくれた。
というわけで、そのレースのAクラスの動画をご覧いただきたい。

・セミファイナル

・ファイナルヒート

ところで、『(F1好きの)佐藤さんが音頭をとるなりして、ルノー・ジャポンから可夢偉選手がルノーのシートを手に入れられるように働きかけることはできないものだろうか』と、思うのはボクだけだろうか?


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