第34回 自動車レースと人
1880年代後半に最初に自動車が発明されてからわずか10年後。世界で初めての自動車レースが開催された。以来、自動車の発達は常に技術革新を求められる自動車レースとともにあった。
自動車レースはまた、すぐれたドライバーを育てることに寄与した。彼らの運転技術は現代へと受け継がれ、多くの人々に安全で快適なクルマ生活をもたらした。
実際、体系的なドライビング理論が確立してのは1960年代初めで、アメリカでインストラクターをやっていたジムラッセルレーシングスクールも、もちろんユイレーシングスクールも基本的にはその理論を応用させてもらっている。
自動車が市民の足として定着するのと平行して、やがて自動車レースはエンターテイメントとしての側面を充実させる。アメリカではストックカーレースがメジャーリーグベースボールを超える観客を動員し、インディカーレースは常にNBAなみの高視聴率を誇っている。
ヨーロッパとアメリカでは若干モータースポーツの発展形態は異なるが、クルマを道具するスポーツとして確立している点に差はない。しかし、自動車を走らせることをスポーツまでに昇華させた立役者はアメリカだ。特に1948年創立でストックカーレースを「ボールゲーム」並みのステータスまでに押し上げたNASCARと、1956年に創設されて以来インディ500を頂点とするアメリカンオープンホイールレーシングを育てあげたUSACはアメリカンモータースポーツの父と母と言える。
しかし残念ながら、我が国では自動車レースが認知されているとは言い難い。速度を競う自動車レースと、速度を出さないことが安全とする道路交通の施策が相入れないことにも原因の一端があるのだろう。
一般的に、自動車レースに参加する人や自動車レースに興味を持つのは一部の特殊な人達と思われているのも事実だ。クルマが好きでも自動車レースには興味がないという人もいる。かって大新聞が自動車レースに参加する人と暴走族を混同して報道したことが尾を引いているのだろうか。
しかし、ガソリンの値上がりが懸念される今日も世界を見回せば自動車レースに興味を抱き、自動車レースに参加し続ける人々がいるのもまぎれもない事実。世の中にクルマが存在する限り自動車レースが市民に受け入れられるのは自然な姿であり、我々に快適な移動を約束してくれる自動車は、そうやって130年余りの歴史を作ってきた。
そして自動車の発達が自動車レースと密接な関係にあるように、自動車レースはまた、人々に夢と昂揚感を与え続けている。
ユイレーシングスクールがスクールレースを始めたのは、ドライビングスクールを受講した人にもう一歩運転の幅を広げてほしいかったからなのだが、実はアメリカのように、どこにでもいるオジさんやオニイさんが自動車レースに参加できる環境を創るのが本当の狙いだった。
実際、YRSドライビングスクールを受講した時、「自動車レースに興味はありません」と言っていた人達が、ふだん乗っているクルマでYRSスクールレースに参加してくれるようになった。数は多くないけれども、彼らは今、もはや自動車レースが一部の人のものだとは少しも思ってはいない。むろん彼らは暴走族ではないし、むしろ安全にクルマを運転することに関しては達人の域にあると言ってもさしつかえない。
クルマと人との関係を濃密にすることのできる自動車レース。F1をはじめ様々なモータースポーツに参画しているルノーが、日本でふつうの人のためにふつうのクルマで参加できる自動車レースを開催してくれないものだろうか。
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ユイレーシングスクールでは以下のドライビングスクール、スクールレースを開催します。クルマの使い方に興味のある方は参加してみませんか?トゥインゴGTもお待ちしています。(詳細は以下の案内頁をご覧下さい。)
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●クルマはよくできた道具なので、性能を発揮させるためにはそれなりの使い方を知る必要があります。ユイレーシングスクールが10周年を記念して制作したCDを聞いてみて下さい。バックグラウンドミュージックもないナレーションだけのCDですが、クルマを思い通りに動かすためのアドバイスが盛りだくさん。クルマ好きにとっては一生ものです。
YRS座学オンCD案内頁