第243回 カングーがそそる
現実のクルマの使用目的が『A地点からB地点までできる限り速やかに効率良く移動すること』だとすれば、我が国の交通事情を考えると動力性能があり余るほど高い必要はないけれど、交通の流れを安全にリードしあらゆる状況で高い走行安定性を示すクルマが個人的な選択の対象になる。
しかしたまにだけど、時の流れを気にしないでいい立場にななったらどんなクルマを選ぶのだろうかと想像することがないでもない。何度か代車で借り出したカングーもその対象の1台だ。
初めてカングーに乗った時、日本車にはまず見られないサスペンションの味付けに感激したことは忘れられない。そして、カングーのある景色が、なんかほのぼのとするなといつも思う。もっとも、まだそんな景色に自分が溶け込む歳だとは思っていないのも事実だけど。
デザインのせいかカングーのある風景は温かみがあるというか・・・
カングーが持ち込む色もいい
荷物を運ぶだけじゃないし
だいいち、ディーラーのショールームが華やかだもの
で、突然ですが
カングーで一番気に入っているのがここ
このくびれ
ひとつの連続した面でもいいはずなのに“へこんでいる”。
なぜへこんでいるのか? なぜへこまさなければいけないのか? と考えるのは無意味。
ここの逆Rがあるからこそのカングー。 色っぽいじゃありませんか?
だからと言うわけではないし
多少強引な展開ではあるけれど
カングーにインスパイアされたと言えなくもなく
スマホのケースにも く・び・れ
もちろんこんな持ち方はしないけど
持った時のこの安心感はゆずれない
本稿とは直接関係ないけど
ロック画面にはカングーではないけれどルーテシアRS
話を戻して、
バックドアの面はルーフに続く水平面で始まり
直径の小さな円筒を縦に四等分したような曲面を経て
巨大な半径の凸面を形成しながらくだり
次にリアウインドウ下端あたりでいつの間にか凹面へと逆転し
くぼましたナンバープレートリセスの中間にピークを持ってくる
だけど
くびれた部分に被いをかぶせればバックドアがひとつの大きな凸断面に帰するという
なんという面の使い方
色っぽいと表現する以外の言葉がない
逆Rと言えばボンネットにも
天井のライトひとつがこんな風に
面の置き方が景色を変える
まさにデザインの妙
カングーにそそられる !