第149回 ローンチコントロール
ルーテシアRSのローンチコントロール。以前ルーテシアRSシャーシカップでスクールに来てくれたYさんに無理を言ってやらせてもらったことがある(Yさんはまだ試してなかったけど!)。ただ、その時は直線区間が短かったのでスロットルを控え目にして3速まで。美味しいところを味わうまでにはいかなかった。
オドメーターの数字が6000を超えたころから後学のために5速までベタ踏みで加速してみたいなぁと思っていたのだが、富士スピードウエイのレーシングコースで試す機会を得た。
舞台は全長1475mのストレート。トゥィンゴRSの時は、最終コーナー立ち上がりの登り勾配を無視して加速距離をかせぐためにずっと下がったところからスタートしたのだが、今回はローンチコントロールが正確に働くように路面がフラットになるところまで1コーナーよりに進んだところからスタートした。直線区間で加速と減速を終えるには不利になるけれど、ローンチコントロールを体感するのが目的だから。
で、当日は午後になると小雨が降ったりやんだりで路面はウエット。ところどころに水たまりもある。これ幸いとレースモードはまたの機会にして、機械まかせで、しかもウエット路面だとどんな走りをするのか、スポーツモードでの実力を見ることにした。
ローンチコントロールを作動させ、左足でブレーキペダルを踏んで、右足でスロットルペダルを全開にする。
左足をブレーキペダルから瞬間的に滑らせたら、後は右足を床まで踏み続ける。ただそれだけ。
その時の動画を編集してYouTubeにアップしたのがこれ▼。
ホイールスピンは起きるものの、ウエットだというのに想像していたよりはずっと少なく、しかもタイヤの空転が減ると、減った分だけ前に押し出される感じが強くなるような、タイヤが理想とする滑り率で路面をとらえた瞬間に最大加速度が発生するように、ローンチコントロールはそんな計算しつくされたような加速を、『運転手は何もしていないのに』実現してくれた。
すごい。すごいの一言。本来なら、ある程度熟練した人でなければできなかった種類の運転操作を、人間の代わりにクルマがやってくれる。
ルーテシアRSのオーナーはローンチコントロールを試してみるべきだ。現代の自動車技術が、どれほど人間の能力を補ってくれるレベルにまで進んでいるのかがわかる。クルマに対しても運転に対しても、新しい価値観と展望が生まれるはずだ。
ただし、時と場所をわきまえて安全第一で。クルマのおかげですばやい加速ができるようにはなるけれど、それに見合う減速ができるかどうかは確認していないと思うから。
それと、これは運転全般に言えることだけど、その速さがクルマの機能から生まれたものなのか、運転技術が生み出したものかの検証を忘れないようにしたい。そうでないと、クルマに対する畏怖の念が薄れ、本当の運転の楽しさを味わうことが難しくなるから。
ボクはと言えば、レースモードのローンチコントロールを試す前に、ドライ路面だとスポーツモードのローンチコントロールがどんな働きをするか感じてみたくなった。ルーテシアRSは楽しい。
協力:富士スピードウエイ