第107回 交通安全
昨年度、自治会の役員を務めた流れで今年度は交通安全委員をおおせつかった。
安全委員といっても交通安全に積極的にかかわるのではなく、地元の交通安全協会のサポートが主な任務。月2回、往来の激しい交差点に立ち登校する児童が交差点を渡るのを見届ける。
子供達は交差点手前の集合場所に集まり全員がそろうと交差点にやってくる。協会の方が信号機のボタンを押し横断歩道側の信号が変わるのを待つ。子供達は、それまではしゃいだり声を出して笑ったりしてたのに、急に寡黙になり横断歩道を渡る。おはようございます、と声をかけてくれる子供も多い。横断歩道を渡りきると再び活発な子供らしさが戻ってくる。
湖西道路が2012年末に近江舞子の先、北小松の南まで伸びたので交通量は減っているようだが、それでも朝の時間帯はひんぱんにクルマが行きかう。決して広くない国道161号線も京阪神と北陸を結ぶ重要な路線の上、通勤のために湖西を南に下るクルマが加わるからだという。
交差点に立っているといろいろな光景が目に飛び込んでくる。
相変わらず携帯電話片手に運転している人。何かを口に運びながら先を急ぐ人。こちらからは見えないと思っているのか大あくびをしながら走り去る人。まさに人それぞれ。それが日常なのだろうが、どこか緊張感が欠けているように映る。
交通安全協会の総会にも出席したが、走行速度の抑制を念頭に朝夕のパトロールカー(交通安全協会の)や交差点での監視やイベントでのビラ配りくらいしか協会としての策はないそうだ。
総会には地元の警察署長も出席していたけど、速く走らなければ安全という短絡的な考え方の域を出ないことには少しばかり失望した。むろん、交通安全のためにこれでいいという決め手がないのも事実なのだろうけど、交通を安全かつ円滑にするためには運転する人間の意識を育てることが一番重要だ。簡単でないことはじゅうじゅう承知しているが。
残念なことにクルマはますます家電化している。悲惨な交通事故のニュースが絶えない今だからこそ、それが日常であれクルマの運転は簡単ではないこと、クルマが安全を与えてくれるわけではないことを説かなければならないのではないだろうか。自動車メーカーの思惑には反するのはわかっているが。