トム ヨシダブログ


第579回 レーサーだって歳をとる!

今年の初め、大久保力さんから新年の挨拶に代えてと小冊子が送られてきた。その題名が 『レーサーだって歳をとる!』 ‼

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大久保さんは1963年に開催された第1回日本GPに出走している日本のレーシングドライバーの草分け。現在は日本のモータースポーツに足跡を残したドライバーで構成するLRDC(レジェンドレーシングドライバーズクラブ)の会長を務めておられる。そのLRDCが近年かまびすしい高齢者による交通事故に焦点をあてて、どうすれば事故を減らすことができるかというテーマで討論会を開催。その内容がまとめられたのがこの小冊子。いただいた時、これは多くの人に読んでほしいと思いデータの提供をお願いしておいたのだけど、このほど正式に一般公開されたのでこの場で紹介したいと思います。

人は誰でも歳をとります。誰もが避けられない道を歩んでいるわけです。加齢とともに運転に苦手意識を持たれる方もいるでしょう。自動車を運転することで受ける恩恵を末永くと努力している方もいるでしょう。 第556回で書いたように加齢が高齢者の交通事故の直接的原因ではない と今でも考えていますが、歳を重ねるごとに自分自身のドライビングポテンシャルを検証することは自動車を運転する者としての義務だと思っています。

レーシングドライバーは運転の達人です。若いころから人の何倍も運転に情熱を傾けてきた人達です。今でも運転すれば人後に落ちない方々だと思います。
今若い方もいずれは高齢者になります。高齢の方はご自身との対比ができるかも知れません。運転される方、運転が好きな方は小冊子に登場する12名のレジェンドレーシングドライバーの声に耳を傾けてみてはいかがでしょう。   小冊子へのリンクは下に用意しました。

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LRDCマガジン 『レーサーだって歳をとる!』   pdfファイルでご覧になれます



第566回 高齢者と運転

高齢者の事故のニュースが絶えない。高齢者ばかりが事故を起こしているわけでもあるまいし若者だって、と公益財団法人交通事故総合分析センター発行の交通統計の最新版を開いてみた。

自分なりに理解を進めようと作ったのが次の表。本来ならば交通事故件数でまとめるべきなのだろうけど、ここは悲惨な事故に至った例に注目するために1966年から2019年まで年齢別の交通事故死者数を集計してみた。そして、そこには驚くべき数字が現われた。
令和元年版交通統計によると、2019年の交通事故死者総数3,215人に対して70歳以上の死者数が1,515人で、実に47%を占めることが判明。交通事故で亡くなる人の約半分はお年寄りだという現実を突きつけられた。
下の表にあるように、2010年には70歳以上の人口が全人口に占める割合が16.5%だったのに対し、2020年には22.6%に3割増加。80歳以上の人口になると6.4%から9.4%へと実に4割も増えている。高齢者人口が増えたことも数字を押し上げた要因のひとつだと思うけど、高齢者の入り口に立つ身としてやるせない。

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左の表を印刷するファイルをダウンロードできます
《年齢層別交通事故死者数の推移と割り合い》 pdfファイル (A4横位置2枚)

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総務省統計局が発表している最新の数字から作表
2020年の年齢階層人口を基に2010年と比較
70歳以上の人口は対2010年比で3割
80歳以上の人口は4割超も増加している
 
人口が増えたのと交通事故死者増加の因果関係は果たして

 

警察庁が発表している2019年の免許所得者数は82,158,428人。その年、原付等の2輪車や特殊用途車まで含めると91,383,268台の車両が走り回っている。警察庁が把握している同年の交通事故の総件数は381,237件。負傷者数は461,775人。交通事故件数自体が年々減少しているし、交通事故を起こす可能性は限りなく低いように思えるけれど、決してゼロになるわけではない。誰にでも事故を起こす可能性はある。

高齢者の仲間入りをした身として自分にできることは事故を起こさないように運転することぐらいしかないのだけど、ふだん、他の高齢者の運転を見ていると「この人は運転に集中していないな」、「この人はなにげなく運転しているな」、「この人は横着をきめているな」、「この人は我が儘すぎるな」等と思うことが多い。総じて高齢者ほど結果的に運転をなめている人が多いように思えるのは残念だ。

リタイアしたであろう老夫婦が横を向いてしゃべりながら運転しているのを見ると、事故を起こさなければいいけど、と思わざると得ない。



第559回 Sさん親子

実に様々な人たちがユイレーシングスクールを受講してくれるけど、概して速く走ることに慎重な人たちと速く走ることに抵抗のない人たちに大別できる。

初めてSさんに会ったのは2012年7月のエンジンドライビングレッスン。BMWのツーリングで参加と記録にはあるけど、申し訳ないことにどんな走りだったかは記憶にない。次にSさんと会ったのは2013年6月のYRSドライビングワークショップFSW。ポルシェGT3での参加だった。Sさんはどちらかと言うと後者で、クルマをねじ伏せて走るようなところがあった。いわゆる『何かがあってもどうにかしてしまう』タイプの走り方だった。それが正しい方法かどうかは別にして。それでもYRS鈴鹿サーキットドライビングスクールやYRSスキッドスクールを含めいろいろなカリキュラムに参加してくれているうちに、運転の仕方が穏やかになっていった。と言っても、遅くなったわけではなく、むしろ速度域は上がっていった。ありていに言えば、人間主体の運転からクルマとの共同作業で動かすことに目覚めた始めた、と言うべきか。その後、会社の後輩を何人も何度も連れて参加してくれたり、ユイレーシングスクールのカリキュラムをそれなりに評価してくれているようだった。

いつだったかある時、「きちんと運転できたほうがいいから、今度息子が免許とったら連れてきますから」と。そして言葉通り2016年6月のYRSドライビングワークショップFSWに19歳の息子さんがやってきた。かすかにだけど、運転操作だけではなく、クルマを運転するということについてかみ砕いて話した記憶がある。親父さんが一度はたどった方向には進まないように。

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そして
先週の土曜日のYRSオーバルスクールFSW
今度は免許を取ったばかりの大学生の娘さんと参加してくれた

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どうせ運転するのだから安全に楽しく運転してほしいというSさん
Sさんがユイレーシングスクールの思想をどのくらい理解しているかは?だけど
娘さんに自分なりに伝えたいことがあると言うから
『おかしな走りになったら降りてもらうから』と脅かしておいて助手席に乗ることを許可
 
最初のうちはSさんが話しかけるとペースが乱れることがあったけど
これから先親子で運転についての話題作りになるならと静観

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これは同乗走行中の写真だけど
 
いつもの通りYRSオーバルスクールFSWは短いセッションを繰り返すので
Sさんに『今度は娘さんがひとりで走るのを見ていれば』と無理やり降ろす
それでもセッションを重ねるうちに娘さん
ひとりでも十分クルマの動きを理解した操作ができるようになって
セッションの間に娘さんにどうですかと水を向けるとはにかんで

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これも同乗走行中の写真で
 
具体的な操作を説明しながら
とにかくクルマの動きをこと細かく知ろうと努力してみて下さい
状況が正確に把握できれば正確な対応ができます
と進むべき方向も伝えておいた

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娘さんの走りをビデオに収める父親の図
 
Sさんは車載動画を撮るためにビデオカメラをセットしていただけでなく
ラップタイムが計れるようにロガーも積んでいた

 

週が明けて火曜日にSさんからメール。「2/20のレッスンありがとうございました。日曜に日常走行練習しました。練習の成果が明らかにわかるぐらい、安全に安定した走りになりました。また、レッスンに参加させていただきます」とあった。

メールにはYouTubeに上げた娘さんがひとりで走った時とボクの同乗走行の車載動画のURL。ロガーのデータを落としてラップタイムはもちろん、娘さんがひとりで走ったのか、Sさんが横に乗っていたのか、ボクが乗っていたのか、右回りか左回りかまで、この日娘さんが走った108周の詳細がわかるエクセルファイルが添付されていた。  このブログをアップしたら、動画を見て気が付いた娘さんへのアドバイスをSさんにメールするつもりだ。

親父万歳‼ だね

 

【追記】 Sさんからメールが来た。

メール、ブログ確認しました。身体のブレはシート等もあり仕方がないと思っていました。同乗レッスンのビデオを参考に勉強します。
YRSは誰でもどんなレベルでも、安全に走る基本を教えて頂ける場所と理解しています。スポーツ走行しないので、必要ないと思う人が多い様です。まだ、道路を700km程度しか走っていない娘でも参加できて、安全運転の基礎レベルが向上出来ている事を周りに伝えたいと思っています。また、参加させて頂きます。



第558回 Aさんとの再会

先週のYRSオーバルスクールの申込みフォームを整理していたらAさんの名前が目に飛び込んできた。正直言って嬉しかった。
第431回 でも触れたように、Aさんが乗っていたルーテシアⅢRSに見惚れて試乗もしないで購入し、それが縁でルノー・ジャポンのブログを書かせてもらうようになった経緯がある。けれども 第431回 でAさんがドライビングスクールは卒業です、というようなことを書かれていたのが残念で、クルマは何でもいいからまた遊びに来てくれないかなと思っていたから。

スクール当日の朝早く。申込みフォームの車名欄にNDロードスターとあったからフムフムと思いながらFSWの東ゲートに着くと、既に〇〇ナンバーのNDロードスターが。小走りに駆け寄り窓をノックすると、懐かしいAさんの顔が。「また来ちゃいましたよ」と笑うAさんの笑顔が最高でした。

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『第431回 ルノーとの出会いとAさん』 にも登場する相変わらず柔和なAさん
「やっぱりMTが好きです」と書かれていた通りに選ばれた終のクルマ

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「いや~ 難しい」を連発されるも
何年かぶりのYRSオーバルコースで
本当に久しぶりにFRとMT
破綻しない走りは基本ができているからです

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ご自身は「遅くて遅くて」と言われるけど
ナラシもそこそこで操舵輪と駆動輪が別々のクルマを
あそこまで走らせられば遅くはありません
これからが楽しみというものです
 
お願いしておいた感想文が届いたので紹介します


ユイレーシング ヨシダさま

 前回お世話になったのは2015年5月のツクバと記憶してます。なんと6年も間が空いてしまいました。実はその当時所有していた車両は手放してしまいもう参加することも無いだろうと思っていたのです。

 今回突然に参加させていただいたのはロードスターNDを入手してしまったからです。数年前に70歳を迎えた今、なぜロードスターを入手したかと言えば丁度70歳で免許更新となり高齢者講習が必要となりました。講習には2種類あり通常の高齢者講習とチャレンジ講習があり、前者は受講でOK、チャレンジは試験です。高齢者の事故が話題になっているのでいつまで乗るか、いつ返納するかと考え「そうだ チャレンジを受けて3回受からなかったら免許返納だ」と思い申請しようと7校ほど問い合わせましたが何処も受けつけてもらえずチャレンジは断念となりました。自己判断で返納時期を決めるのは非常に難しいのではないでしょうか?試験で検定員が不合格と判断してくれれば決断できるのではないでしょうか?
 
 そこで多少の無理は承知の上でロードスターにたどり着きます。後がないなら最後の車は基本のFR、MTにしよう。それにアイドルストップはいらないし高齢だから他人は乗せない。それにマツダはドライビング教室も開催してるし30年以上も2シーターを作り続けている。この会社を応援しようと思ってしまった。30年イベントは終わってしまったが次は40年イベント。参加したいな。その時、私は何歳?。

 オーバル参加の当日が初東名です。初ETCは正常に作動するかなんて心配しながらFSWに。東ゲートでヨシダさんに声をかけてもらいました。ロードスターは軽快でしたが他の参加者の速いこと速いこと。どんどんおいて行かれてしまいます。リードフォローなんてついて行かれずリードフォローになりません。後の方、ごめんなさい。同乗走行でヨシダさんのドライブを体験してこんなに速くそしてスムースに車は動くんだって感激でした。前後輪が同じにドリフトするなんてすごい。車にストレスを与えない乗り方です。また 参加させてください。よろしくお願いいたします。

 

 

Aさんは書かれていないし極めて僭越なことだと思うけど、ボクはAさんがロードスターに行きついた理由がわかるような気がする。当日の朝、ゲート前であれこれ話していて、高齢者講習を受けたと聞いたからどんなものかたずねてみた。ボクは来年の春が高齢者講習だから参考にしたいと思って。結局Aさんはチャレンジ講習ではなくて高齢者講習を受けたのだけど、受講者3名と教官が1台のクルマに乗って実技をやったそうだ。その実技がひどかったらしい。縁石に乗り上げるは一旦停止で止まらないは、それでもその人たちは合格だったそうだ。Aさんはこんな人たちと一緒に走るのは怖い、と思ったとのこと。当然だ。何のための講習かとも思ったに違いない。一方で、そんな経験からAさんは改めてクルマを動かすことに真剣に向き合ってみようと思ったのではないだろうか、今いちど運転を楽しんでみようと思われたのではないか。 だから、FRでMTでプリミティブなロードスターでなければならなかったのではないかと想像する。違っているかも知れないけれど。
家族用に万能なカングー、自分用に走りに特化したロードスター。高齢者として理想的なクルマ選びの一例ではないか。

AさんYRSオーバルスクールFSWの70歳以上割引きの特典を使ってまた遊びに来て下さい。7月のYRS筑波サーキットドライビングスクールにもぜひ。ユイレーシングスクールは老いも若きも一生懸命運転する人を応援します。



第547回 またまた適正検査

”地域高齢者の運転事故ゼロ”を目指して
「本気の運転診断」してみませんか

のキャッチが目に止まり、高齢者安全運転診断サービスに申込んでみた。運転に関しては高齢者だという自覚は 全く ないけれども。

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メールで申し込むと
折り返しに受講料振り込みの案内が来るから
税込み33,000円を払うと
宅配便で写真の一式が送られてくる
前後を撮影できるドライブレコーダーと二股のシガーソケットアダプター
取り付け用の小物

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なんと問診票が入っていた
自分で自分の運転を診断するためのものらしい
ちらっと見たら挑戦的な質問が
実はまだ答えてないけど

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同梱されていたドライブレコーダー取り付けマニュアルで取り付けは難しくない
 
機器が貸与されるのは2週間まで
その間に90分以上走行したドライブレコーダー一式を返却すると
後日診断の結果が送られてくるという寸法
 
今週のスクールが終わったら送り返して診断を待つ

 

果たして結果やいかに !!!



第516回 YRSドライビングスクール筑波

まだ8月の暑さが残る筑波サーキットコース1000で今年2回目のYRSドライビングスクール筑波を開催した。6月と同様にフォーミュラカーを体験するYRS FJ1600ライドも併催。

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今回は4名のルノー乗りが集結
右からあちこちいじってある赤いメガーヌⅢRSに乗るOさん
ルーテシアⅢRSのNAエンジンをブン回していたYさん
ひとりおいて
黄色いメガーヌⅢRSでしょっちゅう遊びに来てくれるHさん
どこかいじってあるような白いルーテシアⅣRSに乗るTさん
 
4名全員がFJ1600も味わった


湖西にある自宅から下道で栗東ICに向かい、名神→新名神→伊勢湾岸→新東名→東名→首都高→常磐と高速道路を乗り継ぎ、谷和原ICで降りて下道で筑波サーキットまで583キロ。
長距離を一気に走るし、距離の割にはストップ&ゴーが少ないからエンジンには好都合なはずなのだけど、あたりがつくのはまだ先みたい。相変わらず、どの速度からでも踏めば身体が平行移動するような加速感に包まれるのは変わらないけれど。今回帰宅してオドメーターが10,600キロ。燃費は少しずつ向上しているみたいだ。


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それにしても
筑波サーキットまでいくつのトンネルをくぐったかわからないけど
最近トンネルの中でヘッドライトを点けていないクルマが目立つ
大津から筑波サーキットに通うのはもうすぐ11年になるけど年々増えている気がする
何を考えてのことだか理解に苦しむ
 
そんなクルマに出会った時は制限速度を上回ることになったとしても
極力並走する時間を少なくするようにしている



第513回 交通統計

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毎年7月に前年度の交通情勢を統計的にまとめた交通統計なる書籍が
公益法人交通事故総合分析センターから発行される
数字自体は警察庁交通局が全国の警察からの数字をまとめたものを使っているから
我が国の交通情勢ならびに交通事故の実体を知ることができる
 
クルマの運転を教えているユイレーシングスクールとしては
運転技術の向上が交通安全に役立ってほしいとの思いから
毎年この時期にユイレーシングスクールなりのまとめ方をした資料を公開している
 
クルマが好きで運転が好きな人にはそうあってほしくはないのだが
交通事故件数全体が減少している中で
運転している人に原因があるであろう単独事故も減ってはいるが
単独事故が死亡事故につながる比率は高いまま
運転している人の意識次第で避けられるはずの事故なのに
もっと自分とクルマを大切にしてほしいと願うばかり

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ひところ
年間90万件を超えていた「 交通事故件数 」は40万件以下まで減少した
クルマの走行性能の向上や運転者の意識の向上
それに警察の取り締まり
要因はいろいろあるはずだが交通事故の減少は喜ばしいことだ
 
しかし警察庁が分類する「車両相互」「車両対人」「車両単独」の3つの中で
「単独事故」が事故全体に占める割合は近年3%未満なのに
死亡事故となるとその4分の1が単独事故によるものだというのは
免許人口8千2百万人のごくごく一部の数字だとは言えなんともやるせない

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この統計の自動車には
自家用および事業用の乗用車、貨物車、大型小型特殊、特殊用途車、二輪車の
全ての車両が含まれるから個別の数字はわからないが
単独事故を類型別に見ると転倒と路外逸脱が目立つ
 
転倒の件数が増えているのは2輪の事故が増えているからだろし
路外逸脱が減っているのはクルマの性能が向上したからかもしれない
 
けれど結局はひとり相撲をとったわけなのだから
避けようとする意思があれば避けられた事故に違いはない

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幸いなことに単独事故に起因する死亡事故は減ってきている
免許人口からすれば無いに等しい
けれど現実は決してゼロではない現実
 
自動車は便利な乗り物で生活に欠かせない道具だし
自動車は人間の能力や生活圏を拡大するし
自動車の運転自体が人間にとって楽しいはずなのだから
その自動車が原因で人やモノが傷つくのは不幸なことだ
 
単独事故をもっと減らすことはできない相談なのだろうか

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それが車両対車両であっても車両対人であっても車両単独であっても
それが不注意であっても判断ミスであっても無知がなせる結果であっても
事故は間違いなく運転する人に起因する
止まっている自動車同士は決して事故を起こさない
人間の能力を超えた速度で走るから事故が起きる可能性を生む
運転を教える立場からは自動車の運転には畏怖の念を抱くべきだと言っておきたい
最近交通の流れの中にあってひとりよがりの運転を目にすることが多くなった
ルールを自分の都合に合わせて解釈している人が増えているような気がする
クルマやバイクの都合をも無視して運転していることはないのだろうか
運転している時は他人と他人の目を意識しながら自分を俯瞰し続ける必要がある

 

ボクは、実際にそうであるかどうかは別として、自分の運転が模範的だと思ったことは一度もない。決して自信家ではない。臆病でもある。

ただ、クルマ好き、運転好きの一人として絶対に事故を起こしてはならないという覚悟はしている。あらゆる状況に対応できるだけの知識と運転技術の裏付けを得る努力を続けながら、その一員である交通体系を乱さないことを心がけて、これまでクルマを走らせてきたし、これからもそうするつもりだ。



第509回 続々・運転技能自動評価システム

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評価結果報告書を開いて目が点になって
しばし 絶句
 
総合評価で30~50点のDランク
「 危険意識を向上させましょう 」との総合評価

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約3キロのコースをいつものように運転した
少しだけスピードを控えめにして
少しだけ大げさに左右を確認したつもり
だから
もう少しいい点数を期待していたのだけれど
 
※それぞれの図の緑色の円で囲まれた地点が評価の対象
※時間軸で縦に灰色になっている部分が該当地点にあたる
※赤線が車速
※青線が―で右方向に+で左方向に首を振った角度と時間を表す

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右頁:なぎさ公園前 直進 / 自動評価結果 得点30
[やや注意]やや速度が出ています 38.1Km/h (安全速度35km/h)
[要改善】左確認不足です
 
なぎさ通りは40キロ道路だけどObjetは35キロを安全速度としていた
速度を保つためにイーブンスロットルにしていたけど
右足の動きがアクセルでもなくブレーキでもない例外的な動きとして検知されていた
左から交差する道に対して確認しなかったので減点
青線が首振り角度だけどものの見事に左右に振れず真っすぐを見ている
遠くを見て視野を広くしているから必要な情報は得ているつもりなんだけど
頭を動かして確認したほうがいいのかしらん

自分の運転を可視化して評価されるのは大歓迎。運転している自分がやろうとしていることができていないのがわかったり、自分の操作を客観的に見ることができたり、安全に対して異なる見識を知るのは自分の運転に幅をもたらすはずだ。まずObjetは事故を起こす可能性が最も少ないであろう運転を定義し、各個人の意識や操作から収集したデータとの乖離を数値で表し評価まで下すのだから、負け惜しみでなく、点数が悪くても良くてもそれはそれで受け止めるべきだろう。

だから、ここはそれ、Objetの評価を純粋に見てみることにする。

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左頁:島ノ関西交差点 左折 / 自動評価結果 得点30
[要改善]交差点進入前のバックミラー確認不足です
[要改善]交差点進入前の右方向確認不足です
[注意]交差点侵入前の左巻き込み確認が浅いようです
 
右頁:なぎさ公園前T字路 / 自動評価結果 得点66
一時停止OK
[要改善]交差点侵入前の左確認不足です
交差点進入前の右確認[OK]
交差点進入中の右確認[OK]

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左頁:におの浜一丁目交差点 右折 / 自動評価結果 得点70
[注意]カーブ進入前の進路方向確認が少し浅く確認時間も短いようです
[やや注意]カーブ進入中の自転車確認が少し浅いようです
 
右頁:大津警察署前 左折 / 自動評価結果 得点86
交差点進入前のバックミラー確認[OK]
交差点進入前の右方向確認[OK]
[注意]交差点進入前の左巻き込み確認が浅いようです

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左頁:ピアザびわ湖前T字路 左折 / 自動評価結果 得点93
一時停止OK
[やや注意]交差点進入前の左確認時間が短いようです
交差点進入前の右確認[OK]
交差点進入中の左確認[OK]
 
右頁:におの浜一丁目交差点 帰り右折 / 自動評価結果 得点30
[要改善]カーブ進入前の進路方向確認不足です
[注意]カーブ進入中の自転車確認が浅いようです

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コラボしが21前 直進 / 自動評価結果 得点30
安全速度です 25.8Km/h
[要改善]左確認不足です


試しに自動評価結果の得点を合計してみたら435点。8地点での評価だから平均点は54.375点。これならCじゃないと言いたいけれど、滋賀県警のObjet担当の高岡警部補はしきりに左右の確認が不足のところに赤鉛筆で線を引いてたから、[要改善]が多いと減点が多くなるシステムなのかも知れない。

ちなみにボクの運転は[要改善]が6ヶ所、[注意]が3ヶ所、[やや注意]が3ヶ所あった。自分では十分安全に配慮して運転しているつもりだけれど、Objetが定義する安全運転には及ばなかった。

昨年のブラッシュアップ講習の際は、ブレーキング時に減速Gが大きすぎて減点された。ブレーキング開始から停止までの間を同じような率で速度を落とすより、イニシャルで大きく速度を落としたほうが安全だと思ってやっているのだけど、ブラッシュアップ講習のプログラムはもう少し長い距離でもっとなだらかに減速することを是としていた。
今回の左右確認でも、必要な情報を得るために真っすぐ遠くを見て、どこかに焦点を合わせずに自分が刻々と変わる景色の中に入って行くような感じで運転しているのだけれど、Objetは頭をしっかり振って確認することを是としていた。

自分では危険な目に合わないように運転しているという自負はあるし、点数のことはさておいて、ブレーキングにしても運転中の視線の持っていき方にしてもこれで十分だろうと思っていたけど、「 もっと工夫してみようかな」 と思えたことが2回の講習を通じて得られた収穫になるのだろうね。


自宅に最も近い大津市堅田にある真野自動車教習所に聞いてみたら、Objetを用いた教習コースがあるとのこと。2人1組で受講する運転レベル確認コースがひとりあたり税込み9,900円。ひとりで受講出来て路上運転を2回行う徹底コースが29,700円だとか。
検索すると全国的にObjet講習が行われているようなので、年齢に関係なくご自身の運転を客観視してみたい方は受講してみてはいかがだろう。

滋賀県でしかやっていないけど、65歳以上の方は県警管轄下12か所の警察署で無料でObjetを受講できるのだから、ご自身の運転を客観視するためにもぜひ受けてみてほしいと思う。



第508回 続・運転技能自動評価システム

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受け付けをすませると
さっそく婦警さんがGPSとロガーをダッシュボードの上に取り付けてくれて

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右足のつま先にセンサーをマジックテープで巻いてくれて

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GPSとロガーはこんな感じで

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ツバの上にセンサーがついている帽子をかぶらされて

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滋賀県警察本部出発のコースに乗り出します

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④島ノ関西交差点を左折
交差点を渡ったところに京阪石山坂本線の踏切があるので
通常の信号機の他に踏切用信号が併設されているので注意が必要です

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県道大津草津線を東に進みます
ずっと行くと琵琶湖を渡る近江大橋があります
そのせいか
この道はいつも交通量が多く混雑しています

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⑤島ノ関交差点を左折し細い道を進みます
速度超過で減点されないように慎重に

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⑥一時停止を右折するのですが
県道大津草津線と並行に走っているなぎさ通りの交通量も多く
右折するタイミングがとれません

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おそらく頭の動きも検知しているのだろうと
いつもより大げさに左右確認をしてみたつもりだったのだけど

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⑧NHK前交差点を左折
横断歩道を渡る人がいたので
もちろん手前でしっかり停止
なおかつ後続車の進行を妨げないように配慮して

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なぎさ通りを西に向かい
滋賀県警察本部を目指します
 
高齢者マークが平然と路上駐車をしていました
ボクも高齢者マークですが

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無事帰着で記念撮影
 
本来4月の受講予定がコロナ禍で7月に延期に
受講実現のため高岡警部補(右端)にはお世話になりました

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高齢者交通安全推進室でいよいよ最終面談 ‼️

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机の上にはお土産とアンケートが
走行データの解析を待つ間にアンケートに答えます
 
・身体能力の低下を感じますか? とか
・ふだん運転で気をつけていることは何ですか? とか
・免許を返納するつもりはありますか?
もちろんありませんと答えておきました

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これが結果ですと渡されて中を開いてみると
1F631
 
 
ともあれOjbetは
自分の運転が客観的に見てどうなのかを知るには絶好のツール
全国の警察でObjetを取り入れているのは滋賀県警だけ
滋賀県にお住いの65歳以上の方は受けてみて下さい
無料です

 

※話を聞くと滋賀県内の自動車学校3ヶ所で有料ではあるけどObjetによる講習が行われているとか。調べてみると全国の教習所でもやっているところがあるみたい。全て有料みたいだけれど。興味のある方は問い合わせてみてはどうだろう。

<続く>



第507回 運転技能自動評価システム

年に一度の定期点検に行った病院の待合室に置いてあったパンフレットに目が止まる。「車の運転を見直してみませんか?」の文字が躍っていた。

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パンフレットの裏表
 
第392回
第393回
第394回
第396回
で紹介したブラッシュアップ講習と同じようなもののようだが、
頭と右足にセンサーをつけて操作をより詳しく解析するようだ
 
これはおもしろそうだと早速滋賀県警の高齢者安全運転推進室に電話
運転技能自動評価システム受講の手続きを教えてもらい
滋賀県警のウェブサイトから必要書類をダウンロード

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自分のクルマを持ち込み
GPSロガーを取り付けセンサーを付けて指定されたコースを走り
収集されたデータをコンピュータに入力すると
運転技能を自動的に評価してくれるという
 
滋賀県内12か所の警察署で実施しているけど滋賀県警察本部での受講を選択
コースは図のように大津市の中心部を走る
コースから外れると評価ができないとのこと

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左はコース図と一緒にダウンロードした誓約書
 
Objetと呼ばれる運転技能自動評価システムでは警察官の同乗はなく
親族もしくは知人が乗って道案内するのだそうだ
(おそらく警察官が乗っていると緊張してふだんの運転ができないから?)
 
1人ではだめか聞いてみたらミスコースしなければOKとのこと
そこで作ったのが右のアンチョコ

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大津に越してきて10年
車庫証明の申請以外は全く縁のなかった警察署

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少し緊張して歩を進める
 
果たして結果やいかに!


<続く>