
参加者全員で記念撮影
ユイレーシングスクールは日常の運転中にも、自分の操作が間違っているのか、70%正しいのか、95%正しいのかを受講者自身が判断できる基準を覚えてもらうことを第一義としています。
クルマが加速、減速、旋回の機能を組み合わせて動いている間、人間がスロットル、ブレーキ、ステアリングを必要な時に必要な量だけ必要な速さと必要な方法で操作しているかを検証するわけです。
つまり、操作と挙動の因果関係を反復練習で身につけてもらい、クルマの運転でやってはいけないことの領域を排除しつつ、やったほうがいい領域を少しずつ増やすことで、やらなければならないことを正確にできるようになることを目指します。

加速→減速→旋回
言葉を換えれば、寡黙なクルマさんの主張は聞こえづらいので、その声にならない声を拡大してお届けしようというのがユイレーシングスクールのカリキュラムの主眼です。
このプロセスが最もよく理解できるのがユイレーシングスクールが考えたオーバルスクール。元々はジムラッセルレーシングスクールのインストラクターをやっていた時に始めたものです。

スロットル→ブレーキ→ステアリング
ルノーの、特にRSに乗っているユーザーは、その繊細な動きを理解するためにも、YRSオーバルスクールを受講してみて下さい。

左から東京のTさん、鹿沼のKさん、東京のKさん
今回は3台のルーテシアRSが参加。示し合わせたわけではないのに、朝来てみたら全員が知り合いだったという…。
鈴鹿サーキット国際南コースでドライビングスクールを開催した。

もともとはカートコースとして作られた通称南コース。全長は1,264mで、筑波サーキットのコース1000(1,039m)や富士スピードウエイのショートサーキット(ユイレーシングスクールが使用しているレイアウトは880m)よりは長い。
しかしカートレースを前提としたレイアウトなので、ここを4輪で走るとなるとかなり忙しい。ひとつひとつのコーナーは単純な形だから理論通りに走ればいいはずなのだが、特に前半のテクニカル部分ではコーナーが連続しているので最適な走り方を探すのが難しい。だから練習しがいがある。
速いクルマでも平均速度が70キロ/時にやっと届くぐらいだから絶対的な速度は速くない。速く走るためには『加速できない』区間であるコーナーをいかに速度を乗せて走るかが肝心なので、加速から減速、そしてターンインへの流れの中で、その時の状況に合わせ、かつ速度を高く維持するための操作を見つけ出す必要がある。その意味でドライビングスクールを開催するにはうってつけのレイアウトだ。

で、午前中が雨、午後が晴れという理想的なコンディションで開催できた今年のYRS鈴鹿サーキットドライビングスクール南。参加者が走るセッションの合間にビデオの撮影をした。
今回のテーマは動く足。ほんとうはサスペンションアームの動きを撮りたいのだが小さいトゥィンゴにはカメラを収めるスペースがない。それで前輪の動きから想像してみることにした。
結果はと言うと想像通り。縁石に乗るとかの大きな入力を受けない限り、そしてトランジッションを意識して走る限り、バウンドもリバウンドも最小限。足を締め上げたルノー・スポールだからとも言えるが、上屋を支える足が安定している様は感動モノ。
やっぱり、クルマはスムーズに、途切れなく走らせることが大切なのだなと。
同じラップの外撮り、車載、前輪アップをまとめた動画がこれ
※今だからこそドライビングスクールにうってつけだと思えるけれど、来日中の1989年7月に南コースのオープンに招待されて鈴鹿サーキットが用意したノーマルのシビックで走った時には奥のヘアピンがいやでいやで仕方なかった。なんのことはない。当時は単に低速コーナーが嫌いなだけ!?だったみたい。そんなことを思い出しながらの撮影だった。
※外撮りの動画は東京から参加された中沢 隆さんが撮影してくれました。
※カット写真は大阪から参加された目代英一郎さんが撮影してくれました。

あるテレビ番組で、弓道の学生チャンピオンという女性に弓道を経験したことのあるテレビタレントが挑戦するという企画をやっていた。スポーツ番組と言うよりもエンターテイメント性の高い構成だった。
結果はと言うと、もちろん勝者は学生チャンピオン。にわか仕込みだったり現役を離れて久しい人が、その道を邁進する人に勝てる訳がない。ま、タレントが奮闘した場面もあったから、そのあたりが企画の狙い目だったのだろう。
で、内容は別にして、番組を観ながらいつの間にか真剣になっている自分に気がついた。学生チャンピオンの動作が印象的だったのと、自分にもそんな経験があったからだ。
もちろん弓道の経験はない。弓矢といえば、小さい頃に細く割いた竹とタコ糸で弓を作り割り箸の矢を飛ばした記憶があるぐらい。
それでも「的を射るのは大変なんだろうな」ぐらいの想像はつく。実際、チャンピオン以外の出演者はみな、これでもかと穴の開くほど的を凝視し続けてから矢を放っていた。
が、その女性は的に向かって姿勢を作るところまでは同じなのだが、矢を引く段になると目線を上のほうに泳がせるのだ。つまり的から目を背けることになる。的を見ないで矢を引いてゆき、矢を目一杯引いて静止する頃、矢を放つ寸前にその女性の目線が再び的とらえているように見えた。
サーキットや高速道路など速い速度で運転している時、自分も意識的に目線を目標から外すことがある。もちろん外したままなのではなく、ある時点で目標たるべきものを視野に入れるために目線を戻すのだが、その一連の動作に女性チャンピオンのふるまいが重なった。
その昔。初めは意図せずに無意識のうちに目線をそらせたと思うのだが、戻した時の目に飛び込んでくる景色があまりに鮮明だったので、今ではそのほうが効果的だと思う時にはそうするような段取りを意識してできるようになった。
女性チャンピオンが目線をそらす理由を知るべくもないし、彼女が何を得るためにそうしているのかもわからないが、ひょっとすると自分と同じことを狙っているのではないか、と興味がつのったわけだ。
それにしても、放たれた矢があれほどワナワナと震えながら、しかも矢の先端があれほどブレながら飛んでいって的を射るとは知らなかった。矢の軌跡は理論的に説明がつくようなものではないはずで、ならば最後には人間の感覚が的への道筋を探っているのだとすれば、弓道もとんでもない人間技なんだと思い知しることができた番組だった。
クルマは4本のタイヤでしか地面に接してはいない。
つまり、クルマの性能はタイヤを介してしか発揮することはできない。
と言うことは、人間の行う操作もタイヤを通じてしかクルマに伝わらないということでもある。
だから、タイヤの使い方はクルマを動かす上では非常に大切だ。
クルマの性能が高くてもタイヤの使い方が間違っていればその恩恵にあずかることはできない。
逆に、タイヤのグリップがそこそこでもキチンと使いさえすればクルマはその性能をフルに発揮することができる。
な~んてことを考えているからタイヤがどんな具合に働いているのかをいつも知りたい。なかなかこれといったアングルにたどり着かないのだけれど、今回はタイヤを正面からとらえてみた。
今いちばんの夢。コーナリング中にタイヤのコンタクトパッチがどう変形するか動画で見ること。もちろん不可能な話だろうけど。

すごく感じのいいお店だった
トゥィンゴ ゴルディーニ スノー・スポールのオドメーターが31,000キロを超えた。
先代のトゥィンゴGT同様、スクールの機材を積んで飛び回り、カメラカーとして活躍したり、ビデオの題材になったり、デモランで使ったり大車輪の活躍。まさに、これだけ使い倒せばクルマさんも幸せだろう状態が続いた。
もちろんその間、トラブルは皆無。4,500回転を超えてからの吹き上がりは今もってするどくなりつつある。
しかし、サーキットを含め一般のユーザーよりずっと速いペースで走ることが多かったからだろう、タイヤの硬さが気になってきた。トレッドの溝はあるしスリップサインが出るまでには今までと同じ距離を走れると思うのだが、トレッドの硬さがサスペンションに直接的な衝撃を与えているような気がしてタイヤを交換することにした。

まだ溝は十分残っているのだが

タイヤのイン側とアウト側の減り方が違う

アウト側のエッヂ部分の磨耗が激しい
トゥィンゴ ゴルディーニ ルノー・スポールが履いているタイヤは、コンチネンタル製のコンチスポーツコンタクト3でサイズは195/40R17であちこち探してみた。
で、BSにプレイズ、ヨコハマにSドライブというこのサイズのタイヤがあることは突き止めたのだが、ふと思いついて、最近YRSスクールレース参加者に評判のアジアンタイヤを試してみることにした。
結局、いわゆるハイグリップタイヤと呼ばれるものには興味はないが、トレッドエッジが立っているタイヤが好みなので、ある通販サイトで見つけたインドネシアで作られているPINSOのKスピードというタイヤにした。価格は1本5,290円。これに1本1,050円の送料が加わりタイヤ代は25,360円。
卒業生に通販でタイヤを買いましたと聞いても、そうなるとどこかに持ち込んで組んでもらわなければならないのではと少しばかり気が重かったのだが、この通販サイトでは持ち込みタイヤを組んでくれる全国の整備工場やガソリンスタンドが紹介されていたから大助かり。しかも事前に連絡さえしておけばその店舗にタイヤを送ってくれるという。新しい物流の形なのかなと感心した。
最も近い仰木にあるガゾリンスタンドを指定し、結局、予約した日にクルマを持って行くだけですむことになった。

こんな荷姿でタイヤは届いていた

Kスピードのサイドウォールとトレッドデザイン

リフトアップされ新しい靴を待つ

ボルト装着のホイール脱着の常套手段
扁平率が小さいタイヤは組むのにコツがいるようで作業は小1時間。事前に聞いていた作業工賃15,120円の内訳は、タイヤ組み込み料が8,400円、バランス取りが4,200円、廃タイヤの処分費が2,520円。タイヤを買ったお店で組んでもらうのよりも工賃自体は高めだが、どんなタイヤでも組んでもらえるという利点を考えればむしろ合理的かなと。
最終的に40,480円の出費でトゥィンゴ ゴルディーニ ルノー・スポールに新しい靴を履かせることができた。

出発準備完了
春の予感がする来週からはスクールが続く。人生初のアジアンタイヤがどんな振る舞いをするか、機会があれば報告したい。

こんなんでした。須走の旅館にて。
今年は雪が多い。YRSリトリートでの雪かきも3回を数えた。今も降っている。午前中は気温が高かったので降るそばからシャーベットになっていたけど、冷えてきたら積もりだした。明日は新記録の4回目かな。
で、先週末に今年最初のスクールとスクールレースを開催するはずだったのだけど、金曜日にコースが完成した頃から雲行きが怪しくなってきた。宿に戻っていろいろな天気予報片っ端から見てみたが、肯定的な予報は皆無。コースが水没するくらい雨が降っても決行してきたが、道中のこともあるので涙を飲んで夕刻に中止の告知。
天候不順で中止にしたのは、14年間で2回目。前回も雪だったっけ。
なんとか日曜日のオーバルスクールだけでもと懲りずにタブレットとテレビにかじりつくけど、状況は悪化するばかり。岡崎市からの参加があったこともあり、土曜日午前中に中止を決定。今回はユイレーシングスクールに初めて参加してくれる人が半数にのぼっていたのでぜひやりたかったのだけど、日曜日にコースに行ってみて判断が間違っていなかったことを確信。
翌月曜日は東京で打ち合わせ。未明まで東京方面への東名が御殿場から不通でやきもき。大津に帰るための新東名も三ケ日まで通行止め。「ユキめっ」と思いつつも、こればかりはどうにもならない。何もなかったことを良しとしなければ。

金曜日の朝。コースを作る前には富士山が拝めてたのに。

雪がやんだ日曜日。備品運搬車もトホホ。

本当ならばオーバルコースのストレートなんだけど。

探すのが大変だった。
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ホワイトバレンタインデーかな。
パソコンに向かう前に用事で県庁まで出かけたのだけど、湖西道路も161号線もノロノロ。ふだんの倍の時間がかかってしまった。
遅々として進まないので周囲のクルマの動きを観察した。運転を教える立場の人間としての個人的な意見なのだが、やはりクルマを運転している人はふたつに大別できる。
ひとつ目は、雪が降っていて、たまたま気温が低くないので積もってはいないのだが、晴天や雨天との時と同じような感じで運転している人たち。車間にしてもそうだし、前のクルマが減速を開始した時の反応の遅さもそうだ。雪の日には事故が多いようだが、それは、雪道が滑るのではなく、滑りやすい路面を走っていることに対する意識のしかたに問題があるのではないのか。
ふたつ目は、雪=滑ると思っているのだろうか、やたら慎重になって渋滞の原因になってもおかまいなしの人たち。安全を見越して運転するのは大切なことではあるけれど、交通の流れの中にあって自分がどういう位置に置かれているかを自覚したほうがいいのではないか。個人個人の目的を達成するにも、交通という体系の中に組み込まれなければ始まらないのだから。
ふたつに共通するのは、クルマをなにげなく運転していることだ。少しでも運転について考える時間を作れば、誰でもドライビングポテンシャルは向上するのだけどな。

Uさんという女性がいる。サーキットをクルマで駆け抜けてみたいと思い立ち、運転の基本から習いたいとユイレーシングスクールに参加してくれた。今までに鈴鹿サーキットドライビングスクールやYRSリトリートと呼んでいる拙宅でのYゼミに顔を出してくれた。
そのUさん、本職は乗馬のインストラクター。ご自身も乗馬の選手として競技に参加されていた経験をお持ちだ。
そのUさんから聞いた話。
前々から競馬場を走る馬がなぜあれほどの速さでコーナリングできるのか不思議に思っていたのだが、クルマの運転の話を進めているうちに謎が解けてきた。きっかけは、4本の足で走る馬はさしづめ4輪駆動ですね、とクルマのコーナリング理論から脱線したことだった。
馬の足は基本的に真っ直ぐにしか走れないという。その馬に円弧を描いて走ってもらうには内方という乗り方で馬に曲がってもらうのだと教えてくれた。それは、簡単に言うと、馬の前足と後ろ足の間の胴体を湾曲させ、4本の足自体は直線上を運動しているのにも関わらず、馬全体から見ると曲線的に移動するように仕向けることらしい。まるで4WSではないか。
遠心力はどうやって吸収しているのか、ロールはするのかしないのか、と素人まるだしの質問をぶつけると、Uさんは障害を飛ぶような馬術が専門なので競馬のことはよくわからないと断りながら、騎手が内方姿勢をとることで重心が円弧の内側に移動することで速いコーナリングスピードを実現できるのだと教えてくれた。
馬もすごいけど、それを操る人もすごい。まして馬はクルマと違って意識を持つ生き物だ。
知らないということほど怖いものはなく、4WDに4WSなら乗りこなせれば完璧ですねと相槌を求めると、競馬の場合はそうかも知れないけど乗馬の場合は後2輪駆動と言うべきかも知れないと諭された。走るだけでなく跳躍することも求められる乗馬では、後足が全ての基準になって動きにつながると言う。どうやらテールヘビーの大馬力エンジンを積んだFRのようなものらしい。だから競馬馬と乗馬用の馬では筋肉のつき方も異なるらしい。
さしづめ、有り余るパワーを路面に伝えるためにとんでもなく太いタイヤを履き、後輪のスリップアングルを最優先にセットアップし操作していた昔のF1みたいなものではないか。操るのが大変そうではあるけれど。
いずれにしても、競馬にしろ乗馬にしろ馬が動きやすい環境を整えることで目的を達しているわけで、その意味では馬に乗ることとクルマを運転することの意識の間には共通点があることは間違いない。
実際、120センチの障害を飛べる高い能力を持つ馬でも、乗り手が馬の気持ちになれないともっと低い障害でも飛んでくれなくて自尊心を傷つけられるらしいから、乗り手次第という意味ではまさに同じなんだろうなと。
鈴鹿サーキットや富士スピードウエイといった大きなサーキットでドライビングスクールをやってほしいという要望が前々からあった。
長いストレートならクルマの最高速付近のスピードを体験できるから走っても気持ちがいいに違いない。ドライビングテクニックにしても、高速コーナーや長いストレートの後のブレーキングで正確な操作ができて初めて本物と言えるのも間違いではない。
しかし、ユイレーシングスクールは小さなサーキットや駐車場に設けたコースでドライビングスクールを開催し続けてきた。それは第一義に反復練習の回数が多ければ多いほど練習になると考えているのと、高速で走らなくても基本的な操作は十分に習得できると思うからだ。
と言うのも、高速で走ると単位時間あたりの移動量が大きくなるから、操作の間違いは増幅されて結果に表れる。それは、慣れるまでは危険につながるし、「とにかく速くなくてもいいですから再現性のある操作を身につけて下さい」というユイレーシングスクールのポリシーにも反することになる。もちろん、教える立場からも1周にかかる時間が短いほうがアドバイスしやすい事情もある。
それでも、スピードを出したいという誘惑もわからないでもないので、今年は富士スピードウエイのレーシングコースでドライビングスクールを行うことにした。事前に参加者に配る資料を作っているのだが、その一部を先行公開。クルマが速く走ると、速くなればなるほど不安定になることを知ってもらうための表だ。
人間にしてみれば単にスロットルを開けるだけで達成できることなのだが、タイヤのコンタクトパッチでしか路面と接していないクルマにとって、高速で走る時になぜ繊細さが必要かという数字だ。少しばかり想像すると、なぜ高速域でクルマを安定させることが難しいのかがわかる。

とまぁ、それはそれとして、富士スピードウエイのレーシングコースでドライビングスクールをやるのだからコースを知らないではすまされない。トゥィンゴ ゴルディーニRSを連れ出してある走行会で初体験した時の動画がこれ。『いやぁ、広すぎてどこを走っていいのかわからない』の巻。
※30分のセッションの2周目以降を収めてあるので長編です。

終わってからの記念撮影は笑顔、笑顔
エンジンという雑誌がある。時計やクルマやファッションなど大人の男が心引かれるアイテムに焦点を当てて創られている。読まれた方もいると思う。
そのエンジン誌が主催するのがエンジンドライビングレッスン。実は2003年に当時の編集長だった鈴木正文さんに企画を持っていって実現したものだ。
とにかく、毎号毎号これでもかというほど高性能で魅力的な(しかも高額な)クルマが掲載されている。個人的に大きなクルマは性に合わないのだがそれらのクルマの良さは十分に理解できるし、現実にはそういうクルマを所有している人もいるわけで、そんなクルマを所有している人に運転を上手くなってほしいものだ、と考えるのは自然な流れだった。
編集部近くのお寿司屋さんで昼食をごちそうになりながら、「編集長、クルマは使ってなんぼのもんです。読者が思いっきり愛車を走らせる環境を用意して、読者に愛車を粋に走らせるコツを教える機会を作りましょう。クルマは使わなければもったいない。読者が所有欲を使用欲へ転換できるように促すのもエンジンの使命のひとつです」と熱く訴えたことを覚えている。
2003年暮れ。試験的に開催。これが参加した読者に大好評。聞きたかったことを教えてもらえた。自分の操作が間違っていたことに気づいた。運転がこんなに楽しいものだとは気がつかなかった。クルマは操作次第で安定して走るものだとわかった。等など。編集部が集めたアンケートには、運転に目覚めた人達の声があふれていた。
ということで、2004年からは定期的に開催することになった。年によって開催数は異なるが、10年間で46回、延べ1,204名の読者が受講してくれた。
日本に数台しかないというクルマも参加した。ポルシェばかりが20数台も集まった回もあった。きれいにレストアされた古いクルマにも同乗させてもらった。下は20代から上は70代まで、クルマのことになると話が尽きないといういい大人が丸一日、クルマ以外のことを頭から追い出してクルマを動かすことだけに没頭する。そんなエンジンドライビングレッスンが今年も3回開催される。

順番待ちのクルマを見るだけで壮観
午前中に行うオーバル定常円を走る

アドバイスに耳を傾けるどの顔も真剣

エンジン読者はみな紳士。それでいて熱い

参加車もバラエティに富む

高性能なクルマこそ正確な操作が求められる

参加される方もさまざま

午後は筑波サーキットコース1000を走りっぱなし

心地よい疲労と笑顔。最も嬉しい瞬間

ユイレーシングスクールではこんなクルマも作った

鈴木編集長に試乗してもらったことも
※ロードスターを改造したこのクルマ。アメリカのSCCA車両規則に合わせて作った。夢は卒業生とこのクルマでアメリカのレースに挑戦すること。
※写真は過去に開催したエンジンドライビングレッスンから。撮影は神村 聖さん、版権はエンジン編集部にあります。

最後のスクールの週末。金曜日に仰いだ富士山。
12月8日。ポルシェクラブ千葉のメンバーを対象としたYRSプライベートスクールが終わり、今年予定していた活動の全てが終了した。
今年ユイレーシングスクールに参加されたのは21歳から73歳までの延べ465名。うち86名がユイレーシングスクールを初めて体験された。率で言うと18.5%。ここ10年以上リピーターが9割を超える年が続いていたから、ほんとに久しぶりに新たに参加してくれた方が増えたことになる。
15年目を迎える来年も「モータースポーツをもっと手軽に、もっと楽しく、もっとみんなで」を合言葉に、参加してくれた方々に『クルマの運転って楽しいですね』と言ってもらえるようなドライビングスクールを開催したいと思う。ルノーユーザーを対象としたドライビングスクールも開催できればと思っている。
※クルマの性能を存分に味わうことができるサーキットでのスポーツドライビングも、乗り手に確かな知識と集中力を求めることには違いないのでユイレーシングスクールではひとからげにモータースポーツと定義している。