トム ヨシダブログ


第191回 なぜYRSドライビングワークショップなのか 最終回

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ユイレーシングスクールではテキスト形式のメールマガジンを発行しています。以下はその最新号の抜粋です。

『YRSドライビングワークショップでは午前中にスラローム、ブレーキング、フィギュア8の練習をみっちり行い、午後はYRSオーバルスクールのさわりの部分を体験します。午前中に練習した加速、減速、旋回に対するスロットル、ブレーキ、ステアリングの各操作を高い速度で連携させる練習です。

オーバル走行の最後のほうになると、ユイレーシングスクールに来るまでスロットルを全開にしたことがない人も、本人が納得しているかどうかは別として、十分なペースで走行します。たった一日とは言え、参加したみなさんが「失敗の数」を減らそうと努め、「うまくいったかな?の数」や「まぁまぁ成功の数」を増やすことをあきらめなかったからです。

ユイレーシングスクールを受講されたことのない方の中には、『速く走ることと運転が上手くなることと関係があるの?』と疑問に思う方がいるかも知れませんが、速く走ることのできる人は間違いなく運転がうまい人です。
速く走るということは、クルマが動く仕組みを頭で理解できていて、クルマをどう動かしたいかイメージができていて、クルマの動きを残さず身体で感じ、必要な操作を必要な時に必要な量だけ正確に行なえる、ということです。つまり速く走ること自体、ドライビングポテンシャルが高いことの証明です。

かって、YRSオリジナルビデオ用に「ドアンダーを出しているシーン」を悪い例として撮影しようとしました。しかし運転を担当したスタッフは、いつもアンダーステアに悩まされている受講生を身近に見てますから、その気分になってブレーキをドン、ステアリングをバキッとやるのですが、アンダーステアが顔を出すのはほんの一瞬。気をつけて見ていないとわからないレベルで、当然ながらアンダーステアの映像にはならずボツになりました。

つまるところ運転というものは実は考えてやるものではなく、自然に身体が動いてクルマを動かしているわけです。アンダーステアを出すということを、もはやイメージできないスタッフが無意識に修正してしまっていたのも無理からぬことなのです。その域に達することができれば、運転は間違いなく上手いと言えます。

クルマを運転するからには運転が上手いほうがいいに決まってます。そのほうが運転していて楽しいはずですし安全でもあります。楽しいと感じられれば、それだけ運転に必要な情報を取り入れることができます。『その域』に達するのは特別な人だけではありません。ステアリングを握っている人なら、誰でも『その域』に近づくことはできます。

日本ではスピードを出さないことが安全だと言われていますが、それは違います。高速道路を例に取れば、100キロしか出したことのない人が100キロで走るのは危険です。しかし150キロを体験していて、その速度でもクルマを意のままに操れる人が100キロで走るのが安全だとユイレーシングスクールは考えます。そこにクローズドコースであらゆる速度域での操作を練習できるドライビングスクールの存在意義があるのです。

何をもって運転が上手いと感じるかは人さまざまです。上手い下手よりも、「今よりクルマをもっと理解したい」と思っている方はぜひユイレーシングスクールに遊びに来て下さい。』

・YRSオーバルロンガー

クルマの動かし方に興味のある方は6月12日開催のYRSドライビングワークショップに遊びに来てみませんか。


第190回 なぜYRSドライビングワークショップなのか その3

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ユイレーシングスクールではテキスト形式のメールマガジンを発行している。以下はその最新号の抜粋です。

『YRSドライビングワークショップFSWでは午前中にスラローム、ブレーキング、フィギュア8の3つのコースを走ります。参加者を3班に分けて各コースを一定時間でローテーションするので、参加者は常に走りっぱなしです。もちろん、できるだけ反復練習の回数を増やして、「失敗の数」を減らし、「うまくいったかな?の数」や「まぁまぁ成功の数」を増やすためです。今回はフィギュア8についての話です。

二つの円の周りを八の字を描くようにできるだけ速い速度を保って回る。YRSドライビングワークショップのフィギュア8練習です。

速く走るためにはクルマが性能を発揮しやすい状態を創る必要がある。性能を発揮しやすい状況は理論的に最適な操作から生まれる。
加速をしたいのなら舵角はゼロのほうが効率がいい。定常円旋回中は加速ができないから、旋回を始める時の速度が重要になる。円と円を最短距離で結ばないとロスになる。アンダーステアではクルマが前に進まない。

つまり、半径22mの二つの真円を前にして、どう走れば理論的に最も速いかを探る過程でやるべきことが見つかり、それを実行する過程で具体的な操作ができるかできないかを検証し、なぜできないかの疑問を自問する過程で間違いなくクルマと貴方の距離が縮まる。そのために考案したカリキュラムだ。』

・YRS流フィギュア8
※少し長いですが(4分27秒)速くない走り方と速い走り方の違いを比較してみて下さい)

クルマの動かし方に興味のある方はYRSドライビングワークショップに遊びに来てみませんか。


第189回 なぜYRSドライビングワークショップなのか その2

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ユイレーシングスクールではテキスト形式のメールマガジンを発行している。以下はその最新号の抜粋です。

『YRSドライビングワークショップFSWでは午前中にスラローム、ブレーキング、フィギュア8の3つのコースを走ります。参加者を3班に分けて各コースを一定時間でローテーションするので、参加者は常に走りっぱなしです。もちろん、できるだけ反復練習の回数を増やして、「失敗の数」を減らし、「うまくいったかな?の数」や「まぁまぁ成功の数」を増やすためです。今回はブレーキングについてお話します。

ブレーキングの理想は、『そのクルマの制動性能の全てを使い、できるだけ短い距離で減速しクルマを止めること』です。それができれば公道での危険回避にも、サーキットを速く走るのにも役立ちます。

ですから、YRSドライビングワークショップのブレーキング練習は100キロぐらいまで加速して、できるだけ短い距離でクルマを止める練習をします。ところが練習を開始するとブレーキペダルを踏んでいるのに速度が落ちない例や、ABSが作動して制動距離が伸びてしまっている例がたくさん見られます。

実際の操作を見るすべがないのであくまでも想像ですが、「できるだけ短い距離」でという呪文に惑わされてスロットルペダルからブレーキペダルに一気に足を踏みかえると同時に踏み込んでしまった結果ではないかと。これでは制動距離を縮めることはできません。クルマが減速する理屈が無視されているからです。

クルマが減速するためにはタイヤのグリップが必要です。ブレーキローターとブレーキキャリパーが生む制動力よりもタイヤのグリップのほうが重要なのです。タイヤのグリップは加重が抜けていると少なくなっています。加重をかければタイヤのグリップは増しますが、急に加重をかけもそれだけ増加することありません。

理想のブレーキングは、ブレーキペダルにかける力=踏力の増加に比例して減速G=マイナスの加速度が立ち上がること、とも言えます。それを実現するためには、加重移動に敏感になり、加重の移動に合わせて踏力を連続して変化させられるようになる必要があります。

何度も何度もブレーキングの練習ができますから、いろいろ試せばいいのです。「ドカン」とブレーキペダルを蹴飛ばしたらABSが介入した。次は蹴飛ばすのをやめればいいのです。車速が思ったより落ちない。ブレーキング中に踏力を増やせば状況が変わるかも知れません。

試したことは身体が覚えてますから、どんなブレーキペダルの踏み方が《4輪が地面にはりついてクルマがめり込むような制動》をするかを探し続ければ、間違いなくクルマと貴方の距離は縮まります。』

・YRS流ブレーキング (スレッショールドブレーキング)

・YRS流ブレーキング (下手なブレーキング)

・YRS流ブレーキング Ver.2 (右足の動きがご覧になれます)

クルマの動かし方に興味のある方はYRSドライビングワークショップに遊びに来て下さい。


第188回 なぜYRSドライビングワークショップなのか その1

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ユイレーシングスクールではテキスト形式のメールマガジンを発行している。以下はその最新号の抜粋です。

『YRSドライビングワークショップFSWでは午前中にスラローム、ブレーキング、フィギュア8の3つのコースを走ります。参加者を3班に分けて各コースを一定時間でローテーションするので、参加者は常に走りっぱなしです。もちろん、できるだけ反復練習の回数を増やして、「失敗の数」を減らし、「まぁ成功の数」や「うまくいったかな?の数」を増やすためです。順を追って、なぜそのような練習をするかお話します。

まずスラロームです。20m間隔のスラロームでは連続してクルマの向きを変えなければなりません。クルマ側から見ると、一定の時間が経つとロールの方向が連続して逆になるということです。逆にロールするということは、大きなウエイトトランスファーを伴いますからクルマがバランスを崩しやすい状態にあるということです。イーブンスロットルでスラロームを行うならまだしも、少しでも速くスラロームを抜けようとしてスロットルをいじると、クルマには左右のローリングモーションに加えてピッチングモーションが加わります。クルマ側から見ると、絶えず4輪のグリップそれぞれが変化している状態です。と言うことは、そのクルマ本来のロードホールディングが期待できないということです。
そのため、速く走ろうとするとスラロームコースの先のほうで軌跡が変わりパイロンをクリアできなくなったり、それほど速度が高いわけでもないのにテールがスライドしたりするわけです。

ですが、スラロームを速く抜ける方法はあります。正確に言えば、『速度を落とさずにスラロームを抜ける』ことはできます。等間隔でパイロンが並んでいるスラロームでは加速を続けながら走り続けることは不可能ですから、まず1本目にアプローチした速度を維持することを優先します。
ブレーキは一切使いません。ギアは2速。スロットルのオンオフとステアリングだけでパイロンを縫って走ります。この時、対角線の加重移動をできるだけ少なくし、舵角を減らしてタイヤのグリップを加速に振り分けることができれば、速度を落とさずにスラロームを抜けることができます。慣れれば速度を上げながら抜けることもできます。

スラロームの練習の眼目は、「スロットルとステアリングの操作とクルマの動きを連携させること」にあります。
スロットルを開けている時間がほんの少しでも長いとステアリングをバキッと切らなくてはいけなくなります。アンダーステアを出さないためにゆっくりステアリングを切ろうとすれば、速度を落とさざるを得ません。状況は様々です。
クルマの動きを感じながら、どのくらいの瞬間、どのくらい強くスロットルを踏むか。ゆっくり切り始めてどこまでステアリングを回すか。果たして瞬間的にステアリングを戻せるまでに回しているか。

うまくいかなくてもいいんです。クルマが性能を発揮しやすい操作がイメージできて、それに向かう努力を絶え間なくできれば、それから外れないように意識することができれば、外れたと感じたら次の次のパイロンまでに修正する覚悟ができれば、間違いなくクルマと貴方の距離は縮まります。』

・YRS流スラローム動画 その1 (漫然とした操作とクルマが性能を発揮しやすい状況を意識した操作の違いをご覧になれます)

・YRS流スラローム動画 その2 (速度を上がられない走り方と上げられる走り方の違いをスローモーションでご覧になれます)

クルマの動かし方に興味のある方はYRSドライビングワークショップに遊びに来て下さい。


第187回 遊び場と遊び方

クルマを思い通りに操る方法を理論と実技を通して会得してもらうことが第一義的な目的ではあるけれど、それと平行してクルマの運転を楽しむための遊び場作りと遊び方の構築もユイレーシングスクールの大切な役割だ。

今回、筑波サーキットにあるオートレース選手養成所のコースが使えることになったので、YRSオーバルレースとYRSオーバルスクールの開催を計画した。YRSオーバルコースとしては10番目にあたる最も曲率半径の大きなコース。しかも、5%とは言えバンクつきのコースは初めて。

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パイロンの列から右手の白線まで13mあまり

とにかく広いオートレース用のオーバルコース。イン側とアウト側の白線の間が30m。イン側の白線で測ってコーナーの半径は52m。それに対して直線が87m弱しかないから、走ろうと思えば真円に近いラインを選べる。しかしクルマを操る醍醐味は加速減速旋回の流れをどう組み立てるかにあるわけで、今度はどんな遊び場にしようか悩んだけれど、最終的に図のようなレイアウトにすることにした。

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開催案内に添付したYRSオーバル筑波のコースレイアウト

直線もコーナーもイン側の白線から13.3mのところにパイロンを並べることで、コース幅を狭くしてアウト側の曲率半径を小さくした。結果としてターンインで明確な減速が求められることになり、かつパイロンより外側に十分なセーフティゾーンを設けられた。実はアウト側白線の外側にもフラットではあるけど10mのスペースがあるので安全性は十分。

バンクのあるオーバルコースでレースをやるために集まったのは25名。全員がYRSオーバルスクールの卒業生でありYRSオーバルレース経験者。

バンクがついているオーバルコースを走るとクルマの特性が変化する。遠心力が垂直加重によって殺がれるために走りやすくはなるけど、反面、限界付近の挙動が走り方によって変わる。そんなアドバイス聞きながらも、全員が初めてのバンクトオーバルに目がらんらん。みんな、やっぱり走るのが好き。

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メガーヌRSのH4さんとルーテシアRSのKさんも参加

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同じクラスで丁々発止

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動力性能や走行特性だけでは有利にならないのがオーバルの特長

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ロードスタークラスのプラクティス

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ロードスタークラスのヒートレース

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タイヤの負担を考慮して左右両回りで

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オーバルコースでスライドは損なんだけど、たまには先を急ぐあまり

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レースが終われば全員であ~でもないこ~でもない

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で、あちこちで笑顔が炸裂

この日。中心線で測って1周541.8mのYRSオーバル筑波を最も速く周回したのはIさんのポルシェ ケイマン4。17.884秒がベストラップだから平均時速109.063キロになる。参加台数が多かったロードスタークラスのベストはNCに乗るOさんの18.677秒で平均時速が104.432キロ。コーナリング速度が高いだけあって、1Gぐらいの横Gが6~7秒続くのは得がたい体験。
なんだかんだで大いに盛り上がった初のYRSオーバルレース筑波。プラクティスからレースまで、多い人は時計回りに102周半時計回りに122周の合計224周したとか(ということは121キロも走った!?)。
※以前紹介したGPSラップには既にYRSオーバル筑波のコースがロードされているので周回数、ラップタイムの計測が可能です。


◎ そんなYRSオーバルレースを運転席から見ると (Mさんの車載ビデオから)

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翌日はYRSオーバルスクールを同じコースで開催。ユイレーシングスクールに初めて参加する人2名を含む19名がYRS史上初めての高速オーバルコースに挑戦。もちろん全員が運転を楽しみ、終わりごろにはかなりのペースで走れるようになりました。

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サーキットを走ったことのない方も11時間以上のベテランも

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新しいクルマも古いクルマも

2日間。わいわいがやがや楽しいYRSオーバル筑波でした。オーバルレース参加者もオーバルスクール参加者も初めてのバンクトオーバルに大喜び。新しい遊び場と遊び方をすっかり気に入ってくれたようです。


◎ YRSオーバルレースの合間にルーテシアRSで走ってみました
(前を走るのはカメラカーです)

YRSオーバルレース参加者の大森さんにカメラを積んでもらいました

6月11日(土)に富士スピードウエイでまだ参加したことのない方に特典のあるYRSオーバルレース(開催案内)を開催します。興味のある方はぜひ遊びに来て下さい。
翌12日(日)は同じく富士スピードウエイでYRSドライビングワークショップ(開催案内)を開催します。クルマを思い通りに動かす練習をします。安全に粋にクルマを走らせたい方はぜひ遊びに来て下さい。


第183回 鈴鹿サーキットとルーテシアRS

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YRS鈴鹿サーキットドライビングスクールの合間にコースを2周。走行距離は少し短いけどピットアウトからピットインまで6分16秒だから、ルーテシアRSシャシースポールの実力がわかろうというものだ。

ルノー・ジャポンから借りているこのルーテシアRS。タイヤはもちろん、どこもいじっていないけどポテンシャルパフォーマンスがすごく高い。お世辞ではなくて。
ただ、ルーテシアRSシャシースポールの性能を味わうにはそれなりの操作が必要になる。オーナーの方はぜひユイレーシングスクールに来てみてほしい。

※1周目のスプーンを立ち上がってからしきりにリアビューミラーを覗いているのは、ついてきた受講生がコースアウトしたので状況を確認してたから。無事コースに復帰したけど。


第181回 YRSツーディスクール

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風は冷たかったけど空気が澄んでいて

3月最後の週末に開催したYRSツーディスクール。昨年末のYRSツーディスクールには台湾から2名の参加があったが、今回は中国から二人の方が参加してくれた。ユイレーシングスクールも少しずつインターナショナルになってきた(?)

例の通り、1日目は富士スピードウエイの広い駐車場にパイロンで作った4種類のコースで基本的な操作の反復練習を行い、2日目にショートコースを走り回るというカリキュラム。

メガーヌRSを駆り桑名から来てくれてKさん、千葉から来てくれたHさん、ルーテシアⅢRSで埼玉から来てくれたCさん、ルーテシアⅣRSで東京から来てくれたNさんも休む間もなく走り回っていた。

ちなみに、走行距離は1日目の駐車場だけでも100キロ近く、2日目のショートコースとなると計測ラップだけで143周走った人がいるから、リードフォローや追い越し禁止の慣熟走行を含むと170周以上した計算になる。ユイレーシングスクールが使うショートコースのレイアウトだと全長が880mだから、距離にして150キロ。2日間合わせて250キロを真剣に走るのだから、クルマさんと友達になれないわけがない!

とにかくたくさん走る。とりあえずできる範囲の速いペースでコンスタントに走るように心がける。無理はする必要はない。ユイレーシングスクール開校以来一貫した教育方針だ。

とは言え、RSが4台も集まったんだからと休み時間にちょっとの動画


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RSはサーキットが似合う、なんてね

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HさんのメガーヌRS

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KさんのメガーヌRS

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CさんのルーテシアRS

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NさんのルーテシアRS

サーキットを速く走ることだけが目標ではない。日常では経験できない速度域で、日常では味わえない前後左右の加速度と向き合って、クルマという道具の正しい使い方を身につけてもらうのがユイレーシングスクールの目的だ。そして義務だと思っている。


第179回 YRSトライオーバルスクール

ユイレーシングスクールのカリキュラムのひとつにYRSトライオーバルスクールがある。

トライオーバルとはおむずび形のオーバルコースのこと。NASCARストックカーの聖地デイトナインターナショナルスピードウエイも、
世界で最も長く(2.66マイル=4280.9m)最もハイバンク(33度)のタラデガスーパースピードウエイもトライオーバルだ。

ユイレーシングスクールでは操作の練習に役立つように3つのコーナーを全て異なる曲率にしている。下りきったところにある低速の回り込んだコーナー、3速全開でクルマの向きを変えるキンク、2速に落としながらのターンインが求められる中速コーナー。

ここを走ると上手くなると言うよりも、まず走って楽しい。慣れると、もちろんブレーキングやコーナリングの練習をしてからだが、クルマを動かしている実感がヒシヒシと感じられる。

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4代目ルーテシアRSが走る
雨が降ったらメッケモノ

で、3月6日に開催したYRSトライオーバルスクールに2台のルーテシアRSがやってきた。Uさんの2代目ルーテシアRSとSさんの4代目ルーテシアRS。
お二人とも前にもユイレーシングスクールを受講したことがあるから、イーブンスロットルとトレイルブレーキングがなんたるかはご存知だけど、3速全開でターンインするYRSトライオーバルは初めて。午前中にブレーキング区間の最後で前加重を抜く練習をみっちりやって、次いでキンク後にロールを消して再加速するラインを試していざ全開。

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2代目ルーテシアRSが走る
軽さは武器!

昼過ぎから雨が降り出し路面が濡れてもなんのその。他の参加者ともども走る、走る。ウエットだからと言ってバランスを崩す人がいないのは、ユイレーシングスクールの真骨頂。1日で2度美味しいYRSトライオーバルスクールでした。

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右がUさん、左がSさん

ルノー・スポールに乗っているみなさん、愛車を全開で走らせてあげませんか?


◎動画で2台のルーテシアRSの走りをどうぞ。


以下はYRSオリジナルビデオから

・YRSトライオーバルオンボード映像

・YRSトライオーバル外撮り


第178回 急がば…回せ

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ブログの内容と写真は関係ありません

とある右折車線がある片側1車線の交差点。同じく右折車線がある片側1車線の道路と斜めに交わっている。この交差点を右折する場合にはかなり鋭角に曲がらなければならない。高速道路に乗る前に使ういつもの道なのだが、いつも疑問に思うことがある。

かなり往来があるので右折可の矢印が出てから右折することになるのだが、前のクルマについて右折していくと、ほとんどのクルマが交差する道路の右折車線を「踏んで」右折していく。「踏まない」のは交差する道路の右折斜線に、「右折するのを待っているクルマがいる時」だけだ、と言っても過言ではない。

交差道路の右折車線を「踏むこと」が違反にあたるかどうかは別として、疑問に思うのは彼ら(彼女ら)がどんな意識でステアリング操作をしているか、だ。

あくまでも推測の域をでないのだが、行われている操作は「ステアリングをある舵角がつくまで一気に回してそこで手を止めて、右折してからもう一度切り足す」のではないのだろうか。

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ブログの内容と写真は関係ありません

別に右折車線にクルマがいなければかまわないではないかという意見もあるだろうけど、自分の運転と比較しての話だが、それだと右折を終わる頃に最も舵角を大きくして方向を変えなければならないはずなのだ。つまり、コーナリングの半径が最も、かつ必要以上に小さくなるのが右折して直進に移る地点の寸前になる。ということは、結構な高さのある歩道と車道を分ける縁石に向かう角度が深くなるし、右折を終わってからステアリングを戻す量が大きくならざるを得ない。つまり、右折の最終段階でも運転手の目線はまだ外側に向いているはずで、進行方向の遠くを見通せる情況ではない。それでもいいの?という話。

一気に舵角を与えればそれだけ内輪差が大きくなるから、前輪が大きく向きを変えるのと同時に後輪は前輪のはるか内側を通ることになる。
結果として、直線的にコーナリングしてしまうと立ち上がりでのクルマの向きが十分に変わっておらず、従ってエネルギーの方向もクルマの向きよりも外側にある可能性が高い。なのに…。

ここに、、彼ら(彼女ら)の運転に対する意識がうかがえると言ったら言い過ぎか。

もちろん安全に右折できれば、それはそれでかまわないのだろう。しかしどんな状況であろうと、ある操作の結果どういうことが起きるか想像しながら運転している自分にはできないね、と。

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ブログの内容と写真は関係ありません

同じようなことがドライビングスクールでも見られる。例えばオーバルスクール。ふたつの同じ曲率の180度コーナーを直線で結んだ楕円形のコース。受講者一人ひとりの操作を見直すことが目的だから、最初はイーブンスロットルでブレーキは使わずに走ってもらう。

半径22mのコーナーは時速45キロだとどんなクルマでもパイロンに沿って走ることができる。ところが、「それでは50キロにペースを上げて下さい」と言うと、何人かがパイロンに沿って走ろうとしているのにパイロンから離れるようになる。「次に55キロまで加速してみましょう」と言うと、かなりの人がパイロンに沿って走ることができなくなる。パイロンを後輪で踏んづけて倒す人が出てくるのが、「あと2、3キロ速く走ってみましょうか」と言う頃だ。そう、おわかりだろう。ステアリングを「バキッ」と切っているのだ。内輪差などおかまいなしに。

この時の受講生の操作は、鋭角の交差点を曲がる彼ら(彼女ら)のステアリングの回し方に近い。
最初に大きな舵角を与えるものだから、前輪にだけスリップアングルが生じ、後輪はただ前輪の軌跡の内側をたどることになる。ペースを上げてエネルギーが大きくなればなるほど、前輪は外に逃げようとするし、無意識のうちに逃げるのがわかるからさらにステアリングを切り足すようになる。

YRSオーバルスクールではパイロンを15度ごとに置いてある。コーナーの始まりと終わり、それと頂点に緑のパイロン。その間に5本の赤いパイロン。

見ていると、パイロンから遠ざかる人は赤いパイロンの2本目か3本目でステアリングを回す手が止まっている。止まっている位置、つまり舵角も、既にそのコーナーの最終舵角ほどに大きい。それでは高い速度で自分が思い描いた軌跡にクルマを持っていくことは難しい。速度が低ければ何も起こらずにすむかも知れないが、思い描いたところにクルマを持っていくのが難しい状況にあることには変わりない。低い速度だったとしても、晴れなら大丈夫で雨ならだめかも知れない。

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ブログの内容と写真は関係ありません

だから、ユイレーシングスクールでは受講生に煙たがられるのを覚悟でこんなアドバイスをしている。

「クルマが抱えるエネルギーは速度の二乗に比例して増減する。45キロから50キロに10%ペースを上げたとしたら、クルマを真っ直ぐに進ませようとするエネルギーは20%増えているんですよ」、「最初の舵角が大きくなる原因は近くを見て操作しているからで、自分の行きたいところに目線を動かしていないからです」、「クルマにとってコーナリングはストレスになります。ストレスを大きくしないためにも、ステアリング操作の最初はゆっくりと、コーナリング中も手を止めることなくコーナーから次の直線が見えるようになるまでゆっくりと回し続けたほうがクルマさんは喜んでくれます」、と。

さて、あなたはごんな運転をしていますか?


第177回 YRSライディングスクール始動

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歳だからと控えていたけど、またバイクに乗りたくなったね

今年4月。ユイレーシングスクールはバイクユーザーを対象としたYRSライディングスクールを始める。ここ5年ほど暖めていた構想がいよいよ実現。

別に「おっちょこちょいのライダー」に正しいバイクの乗り方を教えよう、と思っているわけではない。4輪と同様に、バイクを所有している人にもっとバイクを楽しむ方法を学んでもらい、バイクに乗っていて良かったなぁ、と思ってもらえればと考えてのことだ。

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練習はやはり、再現性のある操作を最優先にする

去る1月。バイクも持っているYRSスタッフとYRS卒業生でバイクにも乗っている人の協力をあおぎ、カリキュラムの検証を行った。
それは、もちろん座学に始まり、両手を離してのスラロームからブレーキングの練習、8の字でバランスを取る練習をした後に定常円をできるだけ速く走る練習へと続く。

試験的YRSライディングスクールに参加したYRSスタッフとYRS卒業生にからは、「今まで気がつかなかった」、「そんなこと知らなかった」、「運転が楽になった」と好評のカリキュラム。

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こんなスクールがあれば若い頃もっとバイクを楽しめたかも知れない

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追いかけっこも面白かった

路面温度が低いと転倒の危険性があるから寒い時期には開催しない方針なので、第1回は4月8日(金)。まもなく募集を開始する。バイクをお持ちの方はユイレーシングスクールのウェブサイトでの告知をお待ち下さい。


◎ 両手離しのスラローム

◎ 最短距離でバイクを止めるブレーキング

◎ 8の字を何回も何回も

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インストラクターはバイクの経験が豊富で理論に基づく操作の重要性を説く田村さんにお願いする

今までもそうだったし、これからも変わらぬユイレーシングスクールのテーマは所有欲から使用欲への転換だ。そして標語が「モータースポーツをもっと手軽に、もっと楽しく、もっとみんなで」であることも変わらない。