第188回 なぜYRSドライビングワークショップなのか その1
ユイレーシングスクールではテキスト形式のメールマガジンを発行している。以下はその最新号の抜粋です。
『YRSドライビングワークショップFSWでは午前中にスラローム、ブレーキング、フィギュア8の3つのコースを走ります。参加者を3班に分けて各コースを一定時間でローテーションするので、参加者は常に走りっぱなしです。もちろん、できるだけ反復練習の回数を増やして、「失敗の数」を減らし、「まぁ成功の数」や「うまくいったかな?の数」を増やすためです。順を追って、なぜそのような練習をするかお話します。
まずスラロームです。20m間隔のスラロームでは連続してクルマの向きを変えなければなりません。クルマ側から見ると、一定の時間が経つとロールの方向が連続して逆になるということです。逆にロールするということは、大きなウエイトトランスファーを伴いますからクルマがバランスを崩しやすい状態にあるということです。イーブンスロットルでスラロームを行うならまだしも、少しでも速くスラロームを抜けようとしてスロットルをいじると、クルマには左右のローリングモーションに加えてピッチングモーションが加わります。クルマ側から見ると、絶えず4輪のグリップそれぞれが変化している状態です。と言うことは、そのクルマ本来のロードホールディングが期待できないということです。
そのため、速く走ろうとするとスラロームコースの先のほうで軌跡が変わりパイロンをクリアできなくなったり、それほど速度が高いわけでもないのにテールがスライドしたりするわけです。
ですが、スラロームを速く抜ける方法はあります。正確に言えば、『速度を落とさずにスラロームを抜ける』ことはできます。等間隔でパイロンが並んでいるスラロームでは加速を続けながら走り続けることは不可能ですから、まず1本目にアプローチした速度を維持することを優先します。
ブレーキは一切使いません。ギアは2速。スロットルのオンオフとステアリングだけでパイロンを縫って走ります。この時、対角線の加重移動をできるだけ少なくし、舵角を減らしてタイヤのグリップを加速に振り分けることができれば、速度を落とさずにスラロームを抜けることができます。慣れれば速度を上げながら抜けることもできます。
スラロームの練習の眼目は、「スロットルとステアリングの操作とクルマの動きを連携させること」にあります。
スロットルを開けている時間がほんの少しでも長いとステアリングをバキッと切らなくてはいけなくなります。アンダーステアを出さないためにゆっくりステアリングを切ろうとすれば、速度を落とさざるを得ません。状況は様々です。
クルマの動きを感じながら、どのくらいの瞬間、どのくらい強くスロットルを踏むか。ゆっくり切り始めてどこまでステアリングを回すか。果たして瞬間的にステアリングを戻せるまでに回しているか。
うまくいかなくてもいいんです。クルマが性能を発揮しやすい操作がイメージできて、それに向かう努力を絶え間なくできれば、それから外れないように意識することができれば、外れたと感じたら次の次のパイロンまでに修正する覚悟ができれば、間違いなくクルマと貴方の距離は縮まります。』
・YRS流スラローム動画 その1 (漫然とした操作とクルマが性能を発揮しやすい状況を意識した操作の違いをご覧になれます)
・YRS流スラローム動画 その2 (速度を上がられない走り方と上げられる走り方の違いをスローモーションでご覧になれます)
クルマの動かし方に興味のある方はYRSドライビングワークショップに遊びに来て下さい。