第745回 9月の富士山とFSWと食
9月のスクールはYRSオーバルスクールFSWとYRSドライビングワークショップFSW
YRSオーバルスクールFSWの朝一で小さなオーバルをインベタ走行
イーブンスロットルとトレイルブレーキングの感触を確かめます
走行中の参加者にリアルタイムでアドバイス
「前のめりでターンインしています」
「イニシャルの舵角が大きいですね」
「スロットルオフを手前にしてみませんか」
理論的に整合性のある操作を目指してもらいます
今回の参加者は全員が常連で顔見知り
そこで急遽座談会を開催
ユイレーシングスクールから得たものがありますか
運転に対する意識が変わりましたか
次から次へといろいろな意見を聞くことができました
ひと通りオーバル走行の練習が終わり
次のステップへの足掛かりにと
最もペースの速い人を最後尾シングルファイルでヨーイドン
全員を抜いたらゴールというルールで
それまで見られなかった参加者の走りが随所に
結局
全車を追い抜いたUさんが1位
チェッカーフラッグをかざしてウイニングランの図
今回YRSドライビングワークショップFSWに参加したルノー仲間
全員が過去に受講した経験が
顔出しNGのMさん
大阪から来てくれてストレートを駆け抜けます
須走の朝はいつも健康
アメリカに行く前からお世話になっている扇屋さん
最近は土日のスクールが終わるとここへ
道の駅富士小山にあるレストランふじおやま?
メニューが豊富です
あさりクリームコロッケ定食が逸品です
ご飯は小盛中盛大盛から選べます
写真は小盛
FSWのスクールの時は金曜日の食事が楽しみで今回のムフフ
御殿場にはうなぎ料理店のひろ田が2軒あります
いつもは定宿に近い御殿場駅前のひろ田を利用していましたが
今回初めて駒門のひろ田に
これが大正解
メニューにあった肉厚うな重をいただいたのですが
今まで食べたことのないうなぎの厚みで食べ応えありあり
値段ははりますがお勧めです
第744回 ブログ記事へのコメント それから
ブログ 第716回 続・人間の操作がクルマを動かす を読まれたユイレーシングスクール卒業生が記事にコメントを寄せてくれていた。気づくのが遅くなってしまったけれど。
いつもお世話になっております。 スクールだけでなく、ブログの内容もいつも興味深く拝読させていただいています。 今回の比較、とても勉強になります。 前半のブレーキング操作の違い(特に抜き方)も大きいですが、更にコーナリング中のイーブンスロットル操作の差が大きいように感じます。 私もよくやってしまいますが、Sさんの6-7.5秒あたりのGの落ち込みに対して、トムさんはずっと加速Gを保つようにイーブンスロットルから全加速につなげていますが、このような操作の違いを生む要因は何だとお考えですか?
以下がコメントへの返信。
無意識に身体が動いてくれるのでどういう操作をしているかあまり認識はしていないのですが、強いてあげるのならば、
・スロットルペダル(ブレーキペダルも)を戻すことを前提に踏んでいる
・オンオフのオフ時に100%オフにしないで、スロットル一定でも回れる位置までしか戻さない、でしょうか。
トレイルブレーキングが終わった時点で、それ以降マイナス加速度が発生しないようにすることがイーブンスロットルの目指すところだと思います。
改めて読み返して、回答がありまいで中途半端だったような気がする。自分でどのような操作をしているか、ホントに無意識というか条件反射的に身体が動いているので流れが止まることはなく、行動そのものを認識してはいないようだ。ただ、振り返って自分の操作を俯瞰するとこんなことではないかと。
・スロットル、ブレーキ、ステアリングの各操作がON/OFFにならないように意識している
・ボリューム(可変抵抗器)を回したり戻したりするようなイメージの操作をするように意識している
・具体的には各操作において操作の開始から操作の終了まで同じ速度で行わない
・操作の速さから見た場合に操作の最初は遅くその後クルマの動きを感じながら加速度的に速くする
・クルマの動きを細大漏らさず感じることができるようなドライビングポジションをとる
・走行中に身体がシートの上で少しもズレないようなドライビングポジションになるよう修正を続ける
・加減速Gでお尻が前後にずれないように床の上に置く踵を意識して座る
・横Gに負けて背骨がシートバックの中心からずれないように膝を開いて座る
・下半身だけで上半身の動きを制限して上半身の力を抜く
・ステアリングホイールはにぎらず手のひらの摩擦で重さを感じながら回す
・ステアリングホイールを左右の手の力五分五分では回さない
以上、「操作の違いを生む要因」に対する回答になっているかどうかは?だけど、自分なりに思いめぐらせてみた。
あと付け加えるなら、敢えて操作の開始を早めて常により効率的=理論的に理想だと思われる操作を過不足なくできるように心掛けているのと、どんな場合でも100%ではなく手を抜いて走った上で速さを得ることを目指す、くらいだろうか。
要は、速さに対するイメージより早めに操作を開始しすることを躊躇せず、その代わりにできるだけ速度を落とさないことに集中する。なにしろ加速度から見れば、クルマは減速より加速のほうが苦手なのだから。
頑張ってしまうと、クルマさんの言っていることを聞き逃しかねないことを経験的に知っている。だから、アメリカでレースをやっていた頃を含めてサーキットを走る時に必死になった覚えはない。なにしろ臆病なもので。でも、それが奏功しているのかも知れない。だからスピンもしたことがなかったのが自慢だ。
第743回 スタート&ストップ
たまに写真のようなメッセージが出る。 『もっと強くブレーキペダルを踏みなさい!』 と。
メガーヌRSトロフィーが完全に停止した後、エンジンがかかった状態の時に現れるこのメッセージ。現れる原因は単純に、スタート&ストップを解除するのを忘れていたから。本来なら停止と同時にエンジンも止まるはずなのだけど、エンジンは回り続けている。 つまるところ、ブレーキ操作、要するにブレーキペダルの踏み方や踏力がブレーキシステムが想定している値と異なるとコンピューターが判断した結果、修正しなさいと警告されたのかなと。
過去に運転診断でブレーキング区間で減速Gが変化している点を指摘された。
市街地走行でもブレーキング初期に大きな減速Gを立ち上げイニシャルの慣性力を減らし、その後踏力を連続して減らすことで減速Gの減少を図る。それはカックンブレーキはかっこう悪いと思っているから、結果的に停止する寸前の減速Gを限りなくゼロにするための手段。停止寸前から完全停止までの姿勢変化=荷重移動がゼロで減速Gの変化も限りなくゼロ、いつ停止したかわからないけど目的の場所に停める、そんな運転がかっこういいと個人的に勝手に思っているし、それを常に意識することが運転力の維持に役立つを思っている。
ふだんからそんな運転をしているものだから、右足はブレーキペダルにのっているしメガーヌRSトロフィーは完全に停止しているのだけど、エンジンを止めるにはもっと強い踏力が必要だとコンピューターが要求するのだろう。
実は、ふだんの足に使っている7速パドルシフトのフィットRSにもアイドリングストップ機構がついているのだけど、今や解除スイッチをオンにしてもオフにしても停止時にエンジンが止まることはない。どのような働きになっているか、機能に変化があったのかは知る由もないけど、ブレーキをかけて停止する最後の瞬間の減速Gと踏力が無視できるほどなので、速度がゼロになってもクルマとしてはまだ動いていると認識してエンジンを止めるには至らない、とコンピューターがが判断しているのではないかと想像している。だからフィットRSではアイドリングストップはオンにしたままでもさしつかえないので、ついメガーヌRSトロフィーでもスタート&ストップの解除をしないまま運転してしまう。
第742回 ユイレーシングスクールのススメ
ユイレーシングスクールは今から23年前、1999年12月の開校と前後して、Webサイトで84頁にわたる教科書を公開した。
クルマは人や物を載せて移動するための道具だから必然的に人間が扱うことになるのだけれど、そこはそれ、それなりの扱い方がある。
クルマは良くできた道具だから、クルマが動きやすい操作をしてあげれればクルマは機能=性能を発揮しやすい。けれど運転者がクルマが動きやすい状況がどのようなものか理解できていない場合が多い。その状況を作り出すための努力をしているという保証もない。
なにしろスロットル、ブレーキ、ステアリングを操れば、とりあえずクルマは動いてくれるけど、サーキット、公道を問わずクルマが性能を発揮しやすい状況を作り出すために適切な操作が行われているか、運転中の運転者自身が検証することが難しいのも事実だ。
そこで、ユイレーシングスクールではクルマが動きやすい操作がどういうものか理論と実践の両面から理解してもらい、スロットル、ブレーキ、ステアリングの各操作が、運転者が意図した加速、減速、旋回と連動しているかをアドバイスすることによって、運転する人が自分の操作を連続して自身で見直せるコツをつかんでもらうようにしている。
あるコーナーへの進入から脱出までのスロットル、ブレーキ、ステアリングの各操作とそれらをまとめた結果をイメージした下のイラストで例えるのなら、イラスト1ではなくイラスト2でもなく、最終的にイラスト3のような操作が常にできるようになってもらうのがユイレーシングスクールが目指すところだ。
イラスト1
サーキットを速く走ろうとしている時の操作と挙動の関係
いわゆるオンオフ操作
人間がクルマより速く走ろうとしている場合に見られます
図の黄色い部分ではアンダーステアが発生しているはずです
イラスト2
サーキットを速く走ろうとしている時の操作と挙動の関係
いわゆる間延びした操作
速さに対して慎重すぎるのか
クルマの動きがわかっていないのか
クルマと運転者の距離が遠い場合に見られます
図の黄色い部分ではアンダーステアが発生しているはずです
イラスト3
サーキットを速く走ろうとしている時の操作と挙動の関係
クルマの性能を引き出そうとする操作
クルマが動きやすい状態を作ろうとしている
操作が重なっていない
クルマが前に進んでいる
ユイレーシングスクールはビークルダイナミックスを説明したイラストを使った朝一番の座学でクルマの動かし方を理論的に説明します。実技では理論に基づいたアドバイスをFMラジオを使ってリアルタイムで繰り返し、参加された方の操作と理論との乖離を修正し続けます。
9月のユイレーシングスクールは
・9月16日(土) YRSオーバルスクールFSW 開催案内
・9月17日(日) YRSドライビングワークショップFSW 開催案内
のふたつです。愛車に生き生きと走ってもらう運転を練習しにきてみませんか。
第741回 交通統計令和4年度版から
交通事故総合分析センターから最新版の交通統計(令和4年度版)が届いた。警察庁に集められた全国の交通事故のデータがもれなく統計として整理され掲載されている。詳しくひも解けば日本の交通事故の全てがわかると言っても過言ではない一冊だ。
ユイレーシングスクールでは例年通り膨大なデータからユイレーシングスクールならではの数字を抽出し以下の数表を作成した。そこから見えてきたものは・・・、
・交通事故の発生件数は、2004年度の95万件をピークに連続して減少を続け2022年は30万件に。死亡事故件数も1992年の1万9百件のピークから2022年には2,550件まで減少した。
・交通事故による死者数も近年では1992年の11,452人をピークに年々減少を続け2022年度は2,610人となった。
・2019年度から3年連続で1万1千件を下回っていた単独事故発生件数が2022年度には12,148件に増加。
・2016年度から4年連続で3%を割っていた交通事故総件数に対する単独事故発生件数の割合は、2020年度から3.27%、2021年3.55%、2022年4.04%と増加に転じた。
・死亡交通事故件数に占める単独事故によるものの割合は2009年度から上昇傾向にあり2022年度には28%に達した。
・2022年度、交通事故100件のうち単独事故はわずか4件なのに、死亡事故に限ると100件中28件が単独事故によるものだったことになる。
・警察庁の分類による単独事故類型別割合では、2022年度は駐車車両衝突、路外逸脱、防護柵衝突、分離帯安全島衝突、その他工作物衝突の全てで減少しているのに。転倒だけが前年の42.2%から47.5%に増加。二輪車と四輪車を含めた数字ではあるが、転倒が運転者本人が避けようと思えば避けられたはずの事故の半数に迫る状況にある。
・2022年度の死亡事故に至った単独事故件数の割合を見ると、路外逸脱と防護柵衝突だけが高まっているのが見てとれる。
さて、自分は事故を起こさないと思っていても、事故を起こさないように注意して運転していても、クルマを運転している限り人対車両、車両相互の事故の当事者になる可能性がゼロになるわけではない。相手があることだから、自分ひとりの問題ではありえない。交通法規を守っていれば安全なのではなく、ゆっくり走れば安全というわけでもない。交通という流れの中にあって、自分本位にではなく、常に周囲の中の自分を意識することが大切だ。
ところが単独事故は原因の全てが運転している人間にある。理由はどうあれ、事故にいたる過程をさかのぼって見れば、結果的に事故を避けることができたであろう選択肢が必ず存在するはずだ。そこを見過ごした、あるいはおろそかにしたあまり悲惨なことになった例は枚挙にいとまがない。
交通事故件数にしても交通事故死者数にしても、8千万人という免許人口を比べれば無視してもさしつかえない数字かも知れない。人生で交通事故に遭遇しない人もいるだろう。交通事故を他人事と思っている向きもあるだろう。けれど、自ら事故を起こさないという保証はどこにもない。クルマという便利な道具の恩恵を被るためにも、運転そのものを楽しむためにも自身の運転を俯瞰する習慣をつけ、また運転技術の向上を怠らないようにしたいと、自戒をこめてそう思う。
資料8-01
全ての交通事故に占める単独事故の割り合い
および総死亡事故件数に対する単独死亡事故件数の割り合い
<資料8-01
pdfファイル> 新しいウインドウに展開します
資料8-02
単独事故件数の推移および類型別単独事故の割り合い
<資料8-02 pdfファイル> 新しいウインドウに展開します
資料8-03
単独死亡事故件数の推移
および類型別単独死亡事故の割り合い
<資料8-03 pdfファイル> 新しいウインドウに展開します
資料8-04
交通統計から見えてくるもの
<資料8-04 pdfファイル> 新しいウインドウに展開します
※ 交通事故総合分析センターのサイトから1年落ちの「交通統計」(2021年以前の歴年)を無料でダウンロードできます。交通事故がいつ、どんなところで、どのように起きるか。交通事故にまつわる数字がこれでもかと並んでいます。興味のある方は覗いてみてはどうでしょう。
第740回 遠い昔の思い出 4
アメリカンモータースポーツの頂き 長文です。よろしかったら最後までお付き合い下さい。
小林可夢偉選手がNASCARストックカーレースに参加した。ニュースでも紹介されテレビでも大々的に放映されたからご存知の方も多いと思う。
簡単に言うと、アメリカにはストックカーレース、ドラッグレース、インディカーレースの3つの大きなレースシリーズがある。この順に人気度が高く、すそ野まで含んだ競技参加人口が多く、またカテゴリーも日本では想像もつかないほど多く従ってシリーズ全体の開催数は多い。今回可夢偉選手が参加したNASCARカップカーレースはストックカーレースのトップカテゴリーだ。つまりアメリカのモータースポーツにあって頂点に君臨するレースシリーズだ。今回はインディアナポリスレースウエイのロードコースでのレースだったけど、可夢偉選手にはぜひつばぜり合いの連続のショートオーバルや大迫力のスーパースピードウエイのカップレースにも挑戦してほしいと思う。今年もカップカーレースは年間36戦もあるのだから。
しかしながらその昔。アメリカ的なオーバルレースやストックカーレースが日本では馴染みのないものであったことも事実。1990年代終わりには日本で唯一のスーパースピードウエイとしてツインリンクもてぎがオープンすることが決まっていたし、NASCARストックカーレースを招聘することも織り込み済みだった。アメリカに住みストックカーレーシングのお膝元にいたクルマ好きとして、なんとかカップシリーズの実体を少しでも日本に伝えたいとCG誌に寄稿した。時は流れ、記事にしたのは1993年のことではあるが。
当時も今もアメリカを代表するスポーツではあるけど、レーシングカー作りの技術も進歩しNASCARのレギュレーションも変わったから、記事の内容は現代のカップカーと異なる点は多いことをお断りしておく。それでも記事にあるカップカーが、1980、1990年代にまぎれもなくアメリカのモータースポーツをけん引していたことは間違いない。
※ 写真はユイレーシングスクール卒業生のFさんが保存していたカーグラフィックのバックナンバー1994年10月号、『アメリカンレーシングスクール体験入学記 280Km/hのコーナリングにしびれる』の頁を撮らせていただいたもの。
※ こちらから記事中のリード、ネーム、注釈をpdfファイルで読むことができます
以下は記事から写真の抽出とキャプションを文字起こししたもの。
念願かなってカップカーのシボレー・ルミナのコクピットに座る.ストックカーのドライビングポジションはたいていの場合こんなもの.窮屈そうに見えるかも知れないが,これが微妙な操作を可能にする秘訣.ペンスキー・チームのラスティ・ウォレスなんてもっとステアリングホイールに近い.手前に見えろ箱はラップタイマーで,上級クラスでインストラクターが横|こ乗った時|こ生徒を監視するためのもの.ドライバー横のセーフティネットはアメリカで全てのレースに義務づけられる.安心感が増すと同時に,それらしい雰囲気で身がしまる思いがする,
24度のパンクだといっても具体的なイメージはわかないだろう.しかも見るのと,足で登るのと,カップカーで走るのとどれも感じ方が違うから,正確なところは伝え難い.ということで,この記事を読まれた方は自分で体験されることを薦める.
2日目にリチャード・ペティが登場.インストラクターが僕が最初に40秒を切ったと告げるとつかつかとそぱに寄ってきて,「スーパースピードウェイの経験はあるの?えっ,ない.うーん,なかなか.コンスタントにタイムも縮まっているし,いいヨ,君.そうだ,記念にサインしてあげよう」.すっかりi-ハー気分まで堪能してしまった.
リチャード・ペティがどんな人なのか調べてみて下さい
それとデイル・アーンハートも
カップカーに窓から乗り込むのを一度はやってみたかった.ピットウォ-ルに設置されているのは夜間照明用ライト.影を作らないために,反射角度を任意に変えられる鏡を持つ間接照明である.同様のライトはコースの全周にみられる.シャーロットモータースピードウエイは世界で初めて,ヘッドライトなしのナイトレースを可能にしたレース場だ.
これがシャーロット・スーパースピードウェイ.トライオーバルを舞台にしたストックカー・レースはオーバルトラック・レーシングの頂点こ位置している.
(CMS photo)
270km/hでパンクを駆け抜ける.傾斜角24度のバンクでは速度が上がるほどに視野が狭くなるのを実感する.本来なら相当の横Gがかかるはずなのだが,ショートトラックより感じない.パンクでは縦Gと相杖されるのか.それでも速度を上げるほどにヘルメットが重くなる.
特別に許可を得て,カメラマンを助手席に押し込んで撮ってもらったのがこのカット.写真では緊迫感が薄れるが,いやでも壁が目に入ったというカメラマンは青い顔をして降りてきた.速いラップだと瞬間的にだが,ウォールから50cmまで寄ることになり,あまり気持ちのいいものではない.
カップカーの5.8lのV8ブッシュロット・エンジン.タイアがエンジン・ベイに露出したチューブラーフレームの有様がわかる.エンジンはフルチューンではないが,それでも600馬力強.優にリッターあたり100馬力を超す実力を備える.
簡素なコクピット.エキパイの熱を遮断する断熱パッドが床に敷かれているが,それでも右足は赤い痣が残るほど熱い.かつてペティがウェスタンブーツで乗っていた理由がわかった.シフトレバ-のストロークはとんでもなく大きいが,一旦走り出したらギアチェンジする必要はない.
講師のあとについてパンクを走る.この距離だと前車をウインドシールド越しに捉えることができるが,この倍だとバンク通過中は視界から消える.講師用のカップカーはペティプルーに塗られたポンティアック.92年までリチャード・ペティ白身が乗っていた車そのものだ.
左側のタイアを比べると,前輪に明確なポジティブキャンバーがついているのがわかる.レーシングカーはすぺてネガティブキャンバーが似合う(注9)と信じていると大間違い.後輪はリジッドアクスルだからキャンパーはゼロとして,シャーロットでは前輪に3.5度ものポジティブキャンパーがつけられる.
今回使われたカップカー用のタイア(メイクはグッドイヤー).アウト側用はイン側用に比較してコンマ5インチ直径が大きい.つまり左右のタイアの外周の差は約1.5インチだという.インナーライナーを持つ二重構造のタイアが義務付けられているので,ホイールにはエア注入用パルプが2本ある.
カップカーを頂点としたアメリカのモータースポーツのルーツでもあるストックカーレーシング。そのピラミッドの大きさを伝えたいと寄稿したこともある。 ブログ 第274回 遠い昔の思い出 2 CG誌1994/3号 ストックカーレースの門を叩く/アメリカンレーシングスクール体験入学記
【独白】
1980年秋から米国トヨタのOさんとアメリカでトヨタがモータースポーツ活動を行うための準備に入った。それまで得た知識を総動員して最も現実味のあるIMSA(インターナショナル・モーター・スポーツ・アソシエーション)のGTUクラスへの参入を提案し採用された。並行してSCCA(スポーツ・カー・クラブ・オブ・アメリカ)のクラブレースに参加を認めてもらうためにトヨタ車のホモロゲーション(車両認定)の取得に奔走した。
ラリー以外のモータースポーツ活動を一切していなかったトヨタが初めてアメリカでレースに打って出るというので期待は高く、米人の間では当然NASCAR参戦を希望する声もあった。しかしこの時代、アメリカのビッグ3以外がアメリカンオリジナルのストックカーレーシングに参加することは絶望的に不可能だった。それは、NASCARに参加の打診をした時の回答が、「トヨタはOHVエンジンを作っていないだろ。NASCARに参加するならOHVエンジンを作ることだ」だったことに集約されていた。吸排気効率を向上させるためにOHCからDOHCへの進化が当たり前の日本の技術に対するホームタウンデシジョンのようなものだった。
そんな時代があり、NASCARもアメリカのモータースポーツも様変わりした。個人的にはトヨタがNASCARカップレースで勝ち、日本人ドライバーがカップレースに挑戦する。あの時代からすれば考えられないことだ。そして自分にとってアメリカを初体験した1976年以前の日本と、アメリカのあの時代、そして21世紀の日本を経験できたことは大いなる学びがあり、そこから得ることができた幸せを今かみしめている。
第739回 Tさんの場合
今年からサーキットを使ったドライビングスクールの内容を見直しコーナーを区切って反復練習する時間を増やした。8月のYRS筑波サーキットドライビングスクールではコース1000のキンクと外周に出る右コーナーの連携のアドバイスを追加した。参加者が周回を重ねる時間は少なくなるけど、サーキット攻略に大切なコーナーに的を絞っての練習は大好評。参加者全員がクルマの姿勢制御に一皮むけたのが見てとれた次第。
そんな今年2回目のYRS筑波サーキットドライビングスクール。アルピーヌA110Sに乗るユイレーシングスクールは初めてのTさんが参加してくれた。
先日、トムヨシダ先生主宰のユイレーシングスクールのレッスンに初めて参加しました。
元々こちらを知ったのはネットでサーキットの走り方をなんとなく検索していた時でした。
2022年6月にアルピーヌA110Sを手にしてからA110オーナー向けのサーキット走行会に誘われ参加する運びとなり、初めてのサーキット走行にあたりコースマナーや走り方のポイントなど何か予備知識をと思い情報収集していた時に当スクールのウェブサイトに出会いました。
ページを一通り拝読しのぞんだ初めてのサーキット走行(袖ヶ浦)。実際走ると良く出来たクルマに助けられそれなりに楽しめましたがおっかなびっくりのハラハラドキドキ場当たり運転でもありました。
レッスン会ではないので基本的に各自ラッピングするだけの走行会です。自分で色々考えつつもどこをどうしたら良いのか何がいけない操作なのか実際には全く分からない状態で、ただ場当たり的に周回しているのが現状でした。
もちろんそれでも十分楽しいわけですが完全な我流ですし、基本をしっかりと学ばないと何回走行会を経験しようにもただ走ってるだけであまり進歩しないだろうなと2回目の走行会参加後に痛感しました。
これはスキーで経験済みです。きちんと指導者から教わらないとスキーは何年やろうが検定には絶対合格しません。
そんな思いで参加することにした当スクールのレッスン。私以外は皆様リピートの生徒さんばかりでしたが入りにくい空気感などなく心地よい距離感で迎え入れて下さりました。トム先生のお人柄ですね。すごくお気遣い頂き気にかけて下さいました。
前置きが長くなりましたが結論から申し上げますと
「参加して本当に良かった!!」です。
稚拙ながらもクルマを自分の意思で動かす感覚が分かったような気がします。
「偶然そうなった、たまたま走れた、たまたま失敗した」などそういうことではなく、「あれが出来なかったからこうなった、あれをきちんと出来たからこう走れた」と理屈と因果関係をおぼろげながら理解することが出来ました。もちろん一朝一夕で極めることなど出来ませんが入り口には立てたと思います。
イーブンスロットルやトレイルブレーキなど事前にウェブサイトで読んでいた事も、実際はイメージとかなり異なりダイナミックなものでした。というか積極的にアプローチしていくものだと学びました。イーブンスロットルとは言いながらもコーナー後半に向けアクセルを踏み込んでいかないとイーブンが維持できない事(踏み増して行くからこそイーブンが保てる)を無線を通したり同乗走行時にリアルタイムにご指導頂けたことが大きな収穫でした。
コーナーリング中、ハンドルを敢えて小刻みに動かしさらなる奥を探る、アクセルも「セナ足」よろしく小刻みに煽りより限界を探る。
~クルマ全体の挙動の変化が起こらない範囲の中でクルマを騙す~
これを学んだ後半から自身の走りが激変しました。「クルマを自らの意思で動かしている、怖くない」ことです。
それ以前は「おっとっとっと(冷汗) 」、「コワイコワイ」と そんな心理状態がほとんどでした(笑)。
それともう一つとても印象に残ったトム先生の無線でのアドバイス。「腹にぐっと力を入れてアゴ引いて遠くを見る!」。専門的な知識ももちろん大事ですがこのアドバイスが初心者のワタシには一番変化をもたらしてくれたお言葉でした。
とても暑い晴天の真夏日でのレッスンでしたが楽しく過ごせました。参加して良かったです。仕事の関係で参加機会も限られてはしまいますがあまり間を開けずにまた参加したいと思います。
トム先生はじめスタッフの皆様、有難うございました。
インフィールドの直線部分に全参加者のクルマを停め
2班に分かれて1コーナーで
イーブンスロットルとトレイルブレーキングの練習
1班が走るのをもう1班が見学
1コーナーに進入するTさんの走りを見学班が注視
コース1000のストレートを1コーナーに向けて加速する
TさんのA110