トム ヨシダブログ

第222回 ルノーで良かった

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某社がアメリカ市場に投入しているハイブリッド車の現行モデルの売れ行きがかんばしくないとのニュースに触れた。理由はデザインがアニメから飛び出したようで奇抜すぎる、ということで敬遠されているらしい。

夜間後ろについて走っていると、なぜテールライトの意匠があれでなくてはならないのかね、と思うし、フロントグリルがこわい気がするし、どちらかというとコンサバティブなアメリカでは苦しいのかなと想像したり。

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もっとも、アメ車もこれでもかこれでもかと、ずいぶん押し出しの強いデザインが当たり前になってきて、仮に今アメリカに戻ることになっても欲しいクルマはない。プレーンな面で構成されたデザインが好きで買った80年代中期から90年代前期までののサバーバンとクルーキャブが懐かしい。

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デザインの好みは人によってまちまちだということは承知しているけれど、個人的に今の自動車のデザインを見ると心穏やかではない。あくまでも個人的な意見だけど、美しいとは思えないクルマが多い。
デザインに必然はないのだろうけど、なぜそんな形にしなければならないの、と戸惑うことが多い。

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その点、ルノーのデザインはいい。

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ルーテシアⅢRSのリアの張りとフロントのフェンダーラインに魅せられて始まったルノー車との付き合いだけど、ルノーを選んで良かった。
面の使い方が気に入っている。なんと言ったらいいのか、子供っぽくないし、幼稚に見えないし、薄っぺらくないし、デザインのためのデザインに見えないし。要するに、しとやかで、品があって、成熟さを感じるってことが大事なんだ。

そしたら開幕したジュネーブショーのニュースが入ってきた。最大の驚きと落胆は、某社が発表したホットハッチのデザイン。前後バンパーに施すデザインは某社のアイデンティティかも知れないけれど、いくら動力性能が売りとは言え、やりすぎだ。とてもバランスのとれたデザインとは言えないし、デザインの目的が他との差別化にあるのではないかと勘ぐってしまう。

クルマのデザインはクルマのある風景を変えるだけでなく、人のクルマに対する意識も変えてしまう可能性がある。さらに言えば、人の心も変えてしまうかも知れない。

クルマはクルマ単独で存在意義があるのではなく、所有者と対になって初めてクルマとしての価値が生まれるのだと思う。だから、クルマのデザインは平和であってほしいのだ。

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ルノーで良かった。


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