第203回 懐かしい嬉しさ
隣町に用事があって行った時に、今ではめったに見ることのできないクルマに出会うことができた。なんか懐かしい友達に会ったような感じがして嬉しくて、忙しそうに作業をしているオーナーにずうずうしくも声をかけてしまった。
なんと、そのマツダT2000は現役なんだそうで、運転がちょっと独特で難しいね、とおっしゃるオーナーがたまに転がしているそうだ。
1960年代のクルマがまだ現役で走っているのはすごいことだ。古いクルマに優しくない我が国にあって、維持してその上運転を楽しんでいるというのだから。
その昔。東京の下町にあった自宅の前の道を行き来するのはアメリカ兵が乗るジープ、八百屋さんのオート三輪、米屋さんのオート三輪、近所のお偉いさんを乗せた大きな外車と、汲み取りにくるバキュームカーだった。
八百屋さんも米屋さんも、バキュームカーから伸ばしたホースでたくみにボールを吸い込んでいた人も、みんなみんなボクのヒーローだった。小学校時代の作文に「将来はバキュームカーの運転手になりたい。毎日クルマに乗れるから」と書いたことがあると、いつだったか法事の時にいとこに聞いたことがある。
懐かしさと嬉しさを運んできてくれた出会いだった。
オーナーのこだわり の1
なんとブレーキラインはステンレスブレイデッドホースに換えてある!
オーナーのこだわり の2
乗る頻度が少ないのかバッテリーには保護のためにカットオフスイッチが追加されている
気持ち大径のステアリングホイール
シフトレバーはステアリングコラム右にある
現代の水準からするとクルマとしての機能は低いかも知れないけれど、それだけで存在が否定されるべきではないし、人間を乗せて走り回れるうちは長く長く現役でいてほしいと思うぞ。