トム ヨシダブログ

第103回 ホットハッチ考 2

GD1フィットをそう呼ぶのには異論があるだろうが、1.3リッターSOHCエンジンにCVTの動力性能であっても自分にとってはまぎれもないホットハッチだった。
移動の道具として、機材を運ぶ手段として、現在の日本の交通事情を考えて、なおかつ燃費とか税金とかを含めた効率を考慮に入れればクルマとして十分な価値を備えていた。しかも、9万キロ余りドライビングスクールを支えてくれたのだからお互いに良い出会いだったと思う。


最後に撮った写真 タイヤは14インチのスタッドレス

そんなGD1フィットなのだが、最初に乗った時には少しばかり戸惑ったことがある。減速中に停止寸前の速度になると、フットブレーキ以上の減速度が立ち上がるのだ。CVTの構造からしておおよその想像はついたが、どう踏力を変えてもその性癖は治まらなかった。
技術的に確かめたわけではないのだが、おそらくある一定の速度まで減速するとドライブ側のプーリー径が機械的(電気的?)に小さくなる設定なのだろう。それで、車速に忠実なドリブン側のプーリーの回転に抵抗が生じて急激なエンジンブレーキがかかったような速度の落ち方をしたのだろう。特に減速の直前までしっかり加速をしていた時にその傾向が強かった。

そんなCVTだったが、非力な1.3リッターエンジンを補う活躍をしてくれたのも事実。これがGD1フィットをホットハッチだらしめた大きな理由でもある。
CVTとしては初期のデザインに属するのだろう、急加速が必要な時にスロットルを開けてもエンジン回転が上がるだけで車速が伸びない。スロットルを開けても、まるで駆動力が必要だと判断されたかのようにドライブ側のプーリーが小さくなる、当然ギア比(?)が大きいままなので加速しない、そんな感じだ。
そこで一計を案じた。急加速が必要な場合にはローレンジにダウンシフトする。当然エンジン回転はそれ相応に上昇する。それを待って、少しばかりスロットルを開ける。開け続けても車速は伸びないので、ある程度開けたところで止める。セレクタをドライブレンジに戻してから、今度はスロットルをゆっくり少しずつ戻す。すると、GD1フィットは2クラス上のセダン並みの加速をしてみせる。

ストットルを開けてもドリブン側のプーリーが小さくならないようなので、エンジン回転を下げることでドライブ側のプーリーが大きくならないかなと考えたのだ。

そんな使い方が正しいのかどうかわからないが、時たまそんな使い方をしながらもエアコンのコンプレッサー以外に不具合もなく走り回ってくれた。

なにしろ全くのノーマルで乗り続けていたのだが、重い機材を乗せて走っていると踏ん張りが足りないと思っていた。それで、純正のタイヤの溝が少なくなってきたのを期に、タイヤとホイールを換えることにした。
ホイールは純正の5.5Jx14のスチールから6.0Jx13のアルミホイールに。オフセットは15mm小さくした。タイヤは純正の175/65R14からごくふつうのBSスニーカーの185/60R13に換えた。

これが大当たり。踏ん張りがきくようになり、ごくわずかな舵角でも前輪にかかる応力が診てとれるようになった。もっとも、ハイトが高くなった分だけほんの少しだけ応答性は悪くなったが、そこはそれ、操作の開始を手前にもってくることでなんなく修正した。
コーナーの続く道ではサスペンションに手を入れたロードスターになんなくついていけたほどにロードホールディングが高まり、タイヤ幅の増加に合わせて空気圧を5%ほど高めていたから、燃費はついぞ16キロを割ることはなかった。

結局、オイル交換以外はエアコンのガスを1度、ブレーキパッドとブレーキシューを1度交換しただけ。タイヤとホイール以外はショールームストックの状態での9万キロだから、クルマの使い方としてはそれほど悪くはなかったかなぁ、と思っている。

ホットハッチ考 続く


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