トム ヨシダブログ

第487回 ユイレーシングスクール卒業生が織りなす作品 の1

こんな時だから、 良かったらYRSオリジナルビデオをご覧になりませんか。

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ユイレーシングスクールが開催していたスクールレースは
耐久レースのYRSエンデューロと複数のヒートレースからなるYRSスプリント
周回数を稼げる筑波サーキットコース1000とFSWショートコースで開催
写真は2006年YRSスプリント第2戦FSW
ロードスタークラスのローリングラップ
ロードスター20台の競演です


ユイレーシングスクールが先鞭をつけたライセンスのいらないレース(※1)があちこちで開催されるようになった。ある意味で喜ばしいことだ(※2)。

最近ではオーバルレースしか主催していないけど、2001年からユイレーシングスクール卒業生を対象にYRSスプリントとYRSエンデューロのスクールレースも開催していた。ユイレーシングスクールは受講者に「思い通りにクルマを動かして目的を達成する」ことを目指して欲しいと考えているから、それには単に操作の仕方を教えるだけでなく、どんな場面でも置かれている状況とクルマの状態を冷静に把握分析し、五感から得た情報を元に最善の操作を導びき出す作業を、繰り返して身につける環境が必要だと考えていたからだ。それには秩序ある環境で他人と競争してみることが効果的だ。

日本でスクールを始めた当初の参加者はサーキットの走行経験がある人がほとんどだったけど、そのうちにサーキットを走ったことのない人の比率が高まる。運転というものを掘り下げたいというのが受講の理由だった。サーキットを走るつもりはなくて単に運転に磨きをかけたかっただけの人がドライビングスクールでサーキットを体験し、次に速く走ることに目覚めサーキットに通いつめ、思うように走れなかったりタイムアップに行き詰まるとまたユイレーシングスクールに参加する。そんな循環を実現できたのは幸いだった。

だから、けっこうな頻度でサーキットを走り、ユイレーシングスクールに何度も足を運んでくれる人にレースをやりませんかと水を向けたのも自然な流れだった。当初は「レースなんて危なくないんですか」とか「テレビで見たけどぶつかることもあるんですよね」といった反応だったけど、「サーキットを走ること自体危険をはらんでいるんですよ」、「サーキットをちゃんと走れれば大丈夫です」、「ぶつかるのはクルマをコントロールできていないからです」、「危ないと思ったら競うのをやめればいいんですから」としつこく迫ったせいか(笑)、最終的にはロードスターだけで2クラスできるほどの卒業生が参加してくれた。

今回のYRSオリジナルビデオは2006年3月11日にFSWショートコースで開催した2006YRSスプリント第2戦ロードスタークラスの模様。他の主催者の場合は1度にコースに入れる台数が15台と決められているけど、ドライビングスクールやスクールレースでほとんどスピンやコースアウトのないユイレーシングスクールは20台の出走が許されているのでフルグリッドの3ヒートレースが実現した(映像はヒート1)。

・2006YRSスプリント第2戦結果
参加した全クラス全車のラップタイムの記録があります。

車載映像:2006YRSスプリント第2戦 ロードスタークラス ヒート1
(数周のローリングラップが含まれます。お急ぎの方は2分15秒あたりからのフォーメーションラップからご覧下さい)

 
 

(※1) 先進国には複数のASN(国内モータースポーツ権能)があるが、日本にはJAF(日本自動車連盟)がひとつあるだけなので、国内でモータースポーツを開催する場合はJAFに申請して公認されなければならない。つまり日本で行われるモータースポーツは全てJAFの規定に則って開催しなければならず例外はない。過去にはそれに従わなかったという理由で罰則が適用されたこともあった。
いきおい日本で行われてきたモータースポーツは、その規模の大きさこそ異なれ内容は同じようなもので、言い方は適当ではないけどどこを切っても金太郎飴が太いか細いかで、桃太郎飴や長髪の金太郎飴はなく、モータースポーツにおける拡張性に乏しかった。2000年ごろ国内にひとつしかないASN(先進国には複数のASNがありアメリカは6つもある)であるJAFの規定を押し付けるのが独占禁止法に抵触するのではないかという声があがり、最終的に、この表現自体がおかしいのだけど、非公認競技が黙認されるようになった。
ユイレーシングスクールはその流れを確認して、それまでだったら参加者や主催者にペナルティが与えられていた非公認競技を開催することにした。ユイレーシングスクールが実現したかったのはプロのレーサーを目指すのではなく、プロのレーサーを真似するのでもなく、アメリカのように、クルマ好きの隣のおじさんが運転に目覚め、サーキット走行が楽しくなり、やがて好き者同士が顔を見合わせて笑いながらコーナーに並んで突っ込ん行くような光景だった。自動車レースと言っても、ふだん乗っているクルマで参加してできて、レーシングスーツを着る人もまれで、ただただヨーイドンを体験してみたいという人たちが創った社交場。だから参加者の意識を統一するために一度は座学を聴いてもらったユイレーシングスクール卒業生だけを対象に開催した。

(※2)ライセンスのいらないレースもワンメイクレースとか長時間耐久レースとか多岐に渡っている。ユイレーシングスクールの卒業生もそれらのレースに参加している。ただ気になるのが、誰でも参加できるからというのは理由にならないと思うけど、残念なことに事故が実際に起きているという事実。レースでの勝者はひとりだけだから参加者全員が先を争うのはわかるけど、競争するということに対しての共通認識を育むことが必要ではないだろうか。そうでなければ、競争であるはずのレースが闘争になってしまう可能性がある。なので、参加希望者に対して門戸を閉ざすことになったけれど、参加資格をクルマを思い通りに動かそうとする努力を怠らないユイレーシングスクール卒業生に限定した経緯がある。


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