トム ヨシダブログ

第426回 YRSツーデースクール

クルマの運転を学び楽しんでもらうためには、クルマがどうやって動くかを説明し、物理学で動くクルマの操作方法を理論的に解説することが非常に大切だけれど、一方では知識と理論を実際に応用するための練習も負けないぐらい重要だ。ドライビングスクールはそうあるべきだと考える。これはユイレーシングスクールの思想であるけれど、実は80年代に出会ったジムラッセルレーシングスクールカリフォルニア校の校長ジャック・クチュアの考えでもある。
だからユイレーシングスクールは年に2回、理論を実際の走りに結び付ける時間を長くしたいので2日間のドライビングスクール、YRSツーデースクールを開催している。であるから、受講する人にとってはインストラクターと一緒にいる時間の長いYRSツーデースクールが効率が良いことになる。

今年2回目のそれは、1日目が過去に例がないほどの豪雨に見舞われて駐車場が冠水し、2日目も予報はかんばしくなかったけど最終的には秋晴れで、スマホの天気予報を片目でにらみながらの2日間になった。走行時間を増やすための進行をしていたので、つい集合写真を撮るのを忘れてしまったのが悔やまれる。それでも2日目の最後には参加者全員の笑顔が見れたのが救い。


426-01
ユイレーシングスクールの全てのドライビングスクールは約40分の座学から始まる。
道具の使い方の話
タイヤのグリップの話
クルマが旋回する時の動き方の話
クルマが嫌う操作の話
もっと話したいことはあるのだけれど

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座学で使うイラスト
公開しているユイレーシングスクールの教科書を簡略化したものだ

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幸いにも(?)雨
蹴とばしブレーキングとスレッショルドブレーキングの違いを体感してもらう
助手席の参加者は一応に大きな減速Gに驚く
雨でも生産車でもマイナス0.8Gぐらいは達成できる

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ルノー組がスラロームを走る
今回に限りガードレールすれすれで練習するフィギュア8は冠水で中止
基礎練習はブレーキングとスラロームとした

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左からスラロームを走るクルマがやってくる
右からブレーキング練習のために床まで踏んでいるクルマがやってくる
雨なんか目じゃない

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YRSツーデースクール常連のIさんのスラローム
毎回四国香川から来てくれる

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今回ユイレーシングスクール参加が初めてのKさんのスラローム
最初のうちはリズムに乗れなかったみたいだけど
次第にステアリングを戻してスロットルを開けるように

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Kさんの重量級アウディSQ5がフル加速
音も迫力あるけど速いのなんのって

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ブレーキングとスラロームの練習が終わったらオーバルコースにレイアウト変更
イーブンスロットルとトレイルブレーキングの練習
イーブンスロットルはクルマを前のめりにさせないため
トレイルブレーキングはより高い速度からのターンインに有効だから
安定したコーナリングの要
それにしても路面をたたく雨粒の大きいこと

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Nさんのマクラーレン600LTがまるでモーターボート
それでもNさん全開を試していました

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午後になると雨は小降りに
ルーテシアⅢRSの先輩IsんをOさんが追いかける
コースはYRSオーバルロング
半径22m直線130m

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コース幅は14m
高速道路の3車線より広い
アウトインアウトでもインベタでも練習
クルマの巨大なエネルギーの向きを変えるコツがわかる

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2日目の朝は早い
教室が開く前に朝一番でコース歩行
御殿場上空にただよう雲海が印象的で

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そこの路面がこうなっているでしょ
だからね
クルマがこうなるから
こうやって対処します

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遠くに見えるのが5%勾配のストレートの先にある1コーナー
S字様のコーナーを経て8%の登り勾配のヘアピン
登りは荷重が後ろに移動します
前輪のグリップが低下します
フラットな路面と異なる操作が求められます

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コース歩行が終わってから座学
1周880mと大きくないけれどサーキットはサーキット
安全を第一にペースを徐々に上げていきます

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サーキット走行の最初はリードフォロー
インストラクターが運転するクルマの後ろについて真似っこしながら走ります
リードカーはサーキット走行未経験者かYRSが初めての方のクルマを借ります
もちろんオーナーは助手席からインストラクターの操作を観察してもらいます

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単独走行の最初のセッションは追越禁止
久しぶりのサーキット
初めて走るサーキット
を自分の目で確認します
その後は単独走行のセッションの繰り返し
合間をぬって同乗走行を行います

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あらゆる面ですごいクルマでした

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1セッションを長くすると進行は楽ですが参加者が集中して運転するには不向き
短いセッションを繰り返します
合間にミーティングをはさんで質疑応答や全般的な傾向対策の伝達

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前のグループの走行中に次のグループがクルマをピットロードに並べます
前のグループがチェッカーフラッグを受けたら次のグループのセッション開始
基本的にユイレーシングスクールは昼休み以外の休憩はなし
参加者は自身とクルマと相談して自主的に休みます
とにかく走って経験します
再現性のある操作を意識しながら
反復練習の先にある無意識行動を目指して

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FSWショートコースの管理室2階にある展望室からは
ヘアピンを駆け上ったクルマがインフィールドのライトハンダーを抜けるのが見えます

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セッション終了でチェッカーフラッグを受けるKさん

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KさんがOさんのインを刺します
サーキットでの追越はストレートエンドで
抜くクルマは次のコーナーのイン側にラインを換えて追い越します

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メガーヌトレインその1

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メガーヌトレインその2

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秋の日差しがやさしいFSWショートコース
チェッカーフラッグを受けるKさん
結局Kさんは計測ラップだけで118周を走破
この日最も走ったのはNさんで131周
次いでBMW M3のUさんの129周でした


来年1回目のYRSツーデースクールは3月20、21日(祝日、土曜)に開催する予定です。

スクールの合間に撮影した動画から当日の状況がうかがえます



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