トム ヨシダブログ


第712回 続・YRSオーバルスクールのススメ

YRSオーバルスクールFSWは次のように進行します。

座学でタイヤは地面と擦れながら回っていることや、タイヤのグリップの変化はクルマの荷重移動によって引き起こされる等、クルマの運動特性についてとクルマの性能をスポイルすることのないように4本のタイヤを使った走り方の説明をします。

その後、下図のようにYRSオーバルFSWをインベタでイーブンスロットルで走る練習をします。
イーブンスロットルはスロットルだけでクルマが加速も減速もしていない状態を作ることです。いわゆるアクセル一定とは違います。ということは前後輪の荷重が均等=前後輪のグリップも均等な状況を走行中に作り出せることになります。インベタで走るのは直線の後に突然円弧が始まるので正確なステアリング操作が必要なので、自身の操作の検証のためです。

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次に同じYRSオーバルFSWをトレイルブレーキングを使って走ります。もちろん直線ではスロットル全開。スロットルオフからブレーキングしてターンインに移りますが、直線が短いので到達速度が高くはありません。なので直線で減速のためのブレーキングをすると速度が落ちすぎます。トレイルブレーキングと同じような踏力のかけ方で減速を最小限にしてコーナーの60度付近までブレーキを引き摺ります。
コーナーは最初の3分の1が進入、中3分の1がコーナリング、最後の3分の1が脱出と考えますが、この場合はインベタなので後半の120度がコーナリング=イーブンスロットル区間です。

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YRSオーバルFSWでの練習が終わると直線130mのYRSオーバルFSWロングを走ります。図ではアウトインアウトのラインになっていますが、大きなオーバルをインベタで走る練習もします。
直線が長くなり到達速度が高くなったのでスロットルオフの後には明確なブレーキングが必要になります。続いてトレイルブレーキングに移行するわけですが、オーバルコースを速く走る秘訣は減速のためのブレーキングとフロント荷重を抜かないためのブレーキングを明確に区別することです。

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トレイルブレーキングはヨーモーメントが発生する位置をホイールベース内におさめるのに有効なため、3速までのコーナーや回り込んだコーナーでより高い速度でターンインする時に効果を発揮します。

YRSオーバルスクールFSWは加速、減速、旋回の手順を高い次元でまとめる練習にうってつけです。サーキットを走る方も走るつもりのない方もコーナリングの極意が学べます。安全な場所で、いつもより高い速度でラジオから流れるアドバイスを聴きながらご自分の運転を見直してみませんか。ユイレーシングスクールからの提案です。

 

・4月2日(日) YRSオーバルスクールFSW開催案内 へのリンク



第711回 エンジンドライビングレッスン

所有欲から使用欲への転換と題した企画書から始まったエンジンドライビングレッスン。2003年11月に第1回を開催。基本的に午前中は筑波サーキットジムカーナ場でイーブンスロットルとトレイルブレーキングの練習。午後はコース1000を走行(例外として富士スピードウエイジムカーナ場で午前中にオーバルコースを午後ショートコースを走った回が1回)。2022年末までに73回開催し延べ1,858名が参加。

2023年1回目の今回が74回目。参加申し込みは30名の定員いっぱい。しかしながら急用ができたとかでキャンセルが2名。28名中初めてエンジンドライビングレッスンに参加される方が10名。そのうち3名が初めてのサーキット走行。23歳から70歳まで平均年齢53.9歳の若者が1日中運転に集中していました。

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「運転が上手くなればクルマがもっと楽しくなります」
「免許を手にして以来、改めて運転を教わってみませんか」
村上編集長の言葉です

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コース1000に移動して昼食
参加者を4グループに分けてセッションを繰り返します

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雨も上がり
今回はコース上の記念撮影が再開
みんな笑顔笑顔笑顔
 
次は5月25日(木)開催
またお会いしましょう

 

行き当たりばったりで操作していては運転はうまくならない。その場しのぎの操作うまさにはつながらない。上達するには理論に基づいた知識と走行中のクルマの状況を知る感性と、理にかなった練習が必要だ。

練習に多くの時間をさけることができればそれにこしたことはないけど、ふつうは十分な練習ができる環境にはないだろう。だから練習の仕方も工夫が必要だ。午前中に運転の基本であるイーブンスロットルとトレイルブレーキングの練習を集中して行い、午後は短いセッションを繰り返して参加者にリズムを作ってもらう。

「最初からペースを上げるのは得策ではありません。ある程度の速さで走って不快な感じがしなければそれを2~3周続けます。同じような速さで走ることができたと思ったら、その時に少しペースを上げてみます。走っている周より次の周が遅くならないように、その時その時の速さを感じながら操作してみて下さい」。

1回目のセッションが終わってミーティングをしていたらけっこうな雨がおちてきた。

「最高のコンディションですね。恵みの雨です。路面がウエットだからといって極端にタイヤのグリップが低下するわけではありません。路面が濡れている時は操作と操作の間で何もしない時間を長めにとって、次の挙動に移る時にクルマをフラットにして安定させます」。

考えすぎてリズムに乗れなかった方も見かけたけど、大方はアドバイス通りセッションの後半でベストラップを刻んでいた。路面が濡れていたのでスピンが皆無と言うわけにはいかなかったが、まだウエットパッチの残る2回目のセッションでベストラップをたたき出した方もいる。おそらくほとんどの方が透明な気持ちで集中して運転していたに違いないと思う。運転がこなれたからだと思う。

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参加者名簿から改造の有無とサーキット走行の経験
エンジンドライビングレッスンの参加回数と筑波コース1000の走行経験を軸に
 
セッションごとのベストラップとベストラップが何周目に出たかを集計
エンジンドライビングレッスンの面目躍如

 

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2021年10月のエンジンドライビングレッスンに続いて
高知から駆けつけてくれたOさん
 
写真を撮り忘れたのでOさんに拝借
2021年8月のルノー・ミーティング@岡山サーキット

 

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参考までに
筑波サーキット発行の13:00~1420の第1セッションの結果

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参考までに
筑波サーキット発行の14:30~16:00の第2セッションの結果



第710回 YRSオーバルスクールのススメ

富士スピードウエイ(FSW)の東ゲートをくぐり正面の坂を上っていくと右手の高いところにFSW最大の駐車場があります。下の図のように南北に270m余り、東西に150m余の広大な駐車場です。その駐車場、FSWの協力を仰ぎユイレーシングスクールが最初にドライビングスクールの会場として使うことができました。当時はガードレールも教室もなくトイレがあるだけの単なる駐車場でした。駐車場でドライビングスクールなんてできるの、なんて声が聞こえてきた時代です。それでも広々とした舗装された駐車場のような空間でドライビングスクールをやりたい理由がありました。

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ジムラッセルレーシングスクールのアドバンストコースは、カリフォルニアはラグナセカレースウエイの広大なパドックを使って受講生同士に追いかけっこをさせるオーバルトレーニングをカリキュラムに組み込んでいました。これが実に効果的で、なんとか日本でも実現したかったのです。2002年に筑波サーキットジムカーナ場で初のYRSオーバルスクールを開催。翌2003年からは千葉県の浅間台スポーツランドでも開催しました。年に11回開催した年もあります。その後富士山のスキー場Yeti、関越スポーツランド、ツインリンクもてぎ、大阪の舞洲、和歌山マリーナシティ、奥伊吹スキー場で、新しいマーケットを模索しながら変化に富んだオーバルコースの設定を目指してきました。ですが徐々に大きなオーバルコースを作ることができてエスケープゾーンも広くとれるFSWの駐車場にしぼって開催するようになりました。とにかくスピードの出るコースで思い切り走ってもらいたいという気持ちと、速度域が高いほうが参加する人も操作と挙動の因果関係がわかりやすいと思ったからです。

2023P2レイアウト

 

ユイレーシングスクールの活動の骨格をなすYRSオーバルスクールFSWはコーンを立て、図のようなオーバルコースを作って開催します。基本的には半径22m直線130mのYRSオーバルFSWロングを使いますが、コース幅は14.1mもあります。車線の区分線が描いてないのでにわかには信じがたいですが、高速道路の1車線は幅3.5mですから3車線の高速道路より幅が広いのが特長です。アウト側のコーンの外側にも十分なエスケープゾーンを設けているので安全性は十分に確保してあります。アメリカ製の軟質PVCのコーンを使っているので、コーンと接触してもクルマに傷はつきません。

「クルマは持っているだけでも楽しいけど、走らせるともっと楽しい。うまく走らせられるようになるともっともっと楽しくなる。100年に1度の自動車の変換期にあって、あなたも運転と向き合ってみませんか」。村上編集長のエンジンドライビングレッスン開会の辞です。
いつもより少しばかり速いペースで走っても安全なYRSオーバルFSWで、ご自身の愛車のスロットルを床まで踏んでみませんか。4月2日(日)に富士スピードウエイの駐車場で開催するYRSオーバルスクールFSWへのお誘いです。

・4月2日(日)に開催するYRSオーバルスクールFSWの案内頁へのリンクです

 


第709回 人間の操作がクルマを動かす

第708回 加速度と速さ で取り上げたSさんとボクの走行データ。

速さから見ればSさんが20秒10でボクが19秒70で高齢者(!)の勝利となったけど、この時は5周した中のベストタイム。Sさんの名誉のために付け加えれば、間際になって「データロガーを積んで走ってみて!」と言われたSさんが実力を発揮できなかった可能性は十分にある。それにYRSオーバルレースFSWでもYRSオーバルスクールFSWでも200周近く走る人もいるから、ラップタイムだけを見て一喜一憂するのはあまり意味がない。Sさんも無心に走っていた時は20秒を切っていたと想像できる。データを取るということは、むしろ子細を見てどうやって走っているか想像できることに価値がある。

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グラフはどちらも速度と横Gを同じ座標軸に置いている。グラフは赤が速度、緑が横Gを表し、赤の横線が横Gゼロを示す。コーナリングの比較のためにスタート後11.5秒で本来ならつながっている1ラップのグラフを2分割して横に並べてみた。どちらも左側がSさんで右がボクのグラフ。何が見える?

・Sさんの速度変化を見るとスタートからコンマ5秒あたりで加速から減速に転じているが、グラフが尖がって折れている。おそらくスロットルオフと同時にブレーキペダルを踏み込んでいるので、加速の終わりに続いて減速が始まっているものと思われる。ボクの場合はSさんより加速が終わっている地点が手前(スタート後コンマ3秒)でトランジッションを意識してブレーキをかけ始めているから速度が落ち始めるのが1テンポ遅い。
・Sさんは加速から減速に移る区間で横Gが減少している。コースは左回りだったのでクルマが右に流れたのだろうか。スタートから4秒あたりまではコーナーのアプローチでおそらく3秒ぐらいまではトレイルブレーキングを使っているのだが、Sさんの横Gの立ち上がり方が急だ。クルマが前に進まずに横(右方向)に流れている可能性がある。それに対しボクの場合は速度の低下に反比例するように横Gが増えウづけている。
・このグラフは進入が下り坂で脱出が上り坂の通称「下のコーナー」の走りを表しているが、Sさんはスタート後4.5秒の地点でボトムスピードを記録している。その後速度は上昇するのだが、横Gがほぼ一定の状態なのに速度が低下してから上昇に転じるのはクルマが前に進んでいない可能性もある。ボクの場合は4秒から5.5秒くらいの間で速度がほぼ一定だからイーブンスロットルの効果だろう。ボトムスピードはSさんのほうが速いがクルマの向いている方向と運動エネルギーの方向が一致しているか検証する必要がある。
・ボトムスピードを記録した後の加速もボクの方は横Gの減少にともない滑らかだが、Sさんの場合は横Gが急激に減少するのにフルトラクションでの加速開始が遅れている(Sさんがスタート後8秒あたりでボクが6.5秒付近)。結果、スタート/フィニッシュ地点と反対側の通称「裏のストレート」での到達速度はSさんが10.8秒あたりで100キロなのに対し、ボクは10.5秒手前で108キロ弱まで達している。

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・裏のストレートでスロットルオフから瞬間的なブレーキング。踏力を抜いてトレイルブレーキングでフロントのロールを抑えてアプローチ。ここでもSさんの横Gの立ち上がり方が急なように見える。パフォーマンスボックスをフロントウインドの真下に取り付けた結果、ヨーモーメントの中心より前にセンサーがあるので前輪にかかる横Gを拾いやすくなったせいなのかも知れない。
・上のコーナー(下のコーナーの反対側でほぼフラットなコーナー)でのSさんのコーナリングは、やはりボトムスピードがある地点だけで記録されているようだ。その後速度は上昇するがアンダーステアが出ていたのか19.5秒まで横Gが残っているのでストレートに出てスロットルを開けてもフル加速には及ばなかったはずだ。対してボクは19秒で横Gを消すことができているのでしっかり加速できたということになる。
・結果として、この周に限ってみれば1周20秒ほどの周回路で、Sさんより1.1キロ速い到達速度と0.4秒速いラップタイムを刻むことができたことになる。

閑話休題。運転とは走行中のクルマの状態を把握し、自分の経験なり知識を基にして目的を達成するためにはこういう操作が必要だという仮説を立て、それを実行に移す作業だと考える。ところが仮説がいつも正しいとは限らないから、経験と知識を積み重ねる努力は続けたい。また特にタイヤへの負担が大きい高速で走る時とか小さなコーナーを回る時など、仮説が正しくてもわずかな操作の違いで結果が目的から外れることが多くなる。場合によってはそのつもりなのに自分の立てた仮説通りに操作できていないこともあるだろう。つまり目的を達成するためには、必然的に操作の修正が求められる場面が無数にあるということだ。

YRSオーバルスクールFSWに参加する人はラインから外れそうになるとなんらかの方法で修正する。10秒後に同じ曲率のコーナーに、20秒後には全く同じコーナーにアプローチするのだから、操作を修正する回数は天文学的になるはずだ。しかし、だから徐々に仮説の正確さが増し、修正の幅が少なくなり、冷静に走ればクルマを前に前に進めることができるようになる。それこそ前後輪のスリップアングルの均等化を目指すこともできる。ユイレーシングスクールがオーバルスクールを潜在的ドライビング技術向上ために勧める理由だ。

 

このブログをお読みのみなさん。ぜひ1度YRSオーバルFSWロングを走ってみませんか。仮説の立て方を理論的に説明します。FMラジオを使ったリアルタイムアドバイスで理論と操作の乖離を指摘します。仮説に見合う修正の方法をアドバイスします。クルマとの対話が間違いなく進みます。

・4月2日(日) YRSオーバルスクールFSW開催案内 へのリンク

 


第707回 2月の富士山とFSWと食

東京での所用を終えて木曜日午後に御殿場入り。土日がスクールだから金曜日にコース設定をする予定だった。ホテルの部屋で2週間天気とナウキャストをパソコンで見ているといやな予感。

翌朝カーテンを開けてさぁ大変。やっぱり。雪が舞ってるし地面がどんどん白くなっていく。

前日富士スピードウエイのコース営業の担当者とどうなるかね、って話していたけどどうにかなってしまいそう。慌てて身支度してFSWへ向かう。246号線はところどころシャーベット。走れなくはない。小山工業団地に上る道もシャーベット。試しにドンとスロットルを開けると前輪が空転。下りで瞬間的に制動力を立ち上げるとツツツツッって。8時半。なんとかFSWに到着するして遠くを眺めると、東ゲートの先の上り坂が真っ白。東ゲートの駐車場はかなりの水深のシャーベット。事務所前の駐車場は積雪。これは無理だなと、土曜日は朝から晴れの予報だから朝一番にコースを作ってもいいし、と担当者に伝えるも、「明日の営業の判断は昼過ぎに」と。降り続く雪の中をホテルに取って返す。
午後になって担当者から「明日の営業は中止です」と電話。FSWを後にしてからずいぶんと降ったみたい。2022年2月のスクールも雪で中止になったけど。2月は鬼門か。急いで参加申込みをした人に連絡。YRSオーバルスクールFSWの中止を伝える。

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金曜日朝8時
ホテルの駐車場に出たらこの通り
粉雪が舞う
どうなる!

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土曜日
快晴
様子を見にFSWに向かう途中
御殿場市山の尻から8時55分の富士山を仰ぐ

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土曜日だから沼津港は混んでいるに違いないと
今回は海鮮料理をあきらめて
御殿場インター近くの大和田さんに

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白焼き
胆も焼いてあります

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うな重
胆はお吸い物ではなく焼いて出てきます

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土曜日の夕食の写真はなし
6時20分
日曜日の朝食
須走の扇屋旅館さんで

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このところ頻繁に来てくれているSさん
実は土曜日のYRSオーバルスクールFSWにも申し込んでくれていた

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日曜日は予報が外れ終日曇り
その上風が強い
それでもYRSオーバルレースFSW参加者は全開に次ぐ全開

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パワーが武器のFFか
計量が利点のFFか
SさんとAさんのバトル



第702回 嬉しいね X 2

2020年からポルシェクラブ東京銀座の依頼でドライビングレッスンを開催している。昨年はFSWの駐車場でオーバルレッスンと散水車で水を撒いてのドリフト練習、それと筑波サーキットコース1000でイーブンスロットルとトレイルブレーキングの練習をした3回。カリキュラム自体はユイレーシングスクールのそれに準じるものだけど、ポルシェ乗りに向けてプラスアルファも加味している。
今年は4回の開催を予定していて1回目はFSWの駐車場でのYRSオーバルロングが舞台。ドライビングポジションの確認に始まりブレーキペダルの踏み方、ステアリングホイールの回し方の説明、イーブンスロットルとトレイルブレーキングの練習をした後は全開で走りっぱなし。参加した人全員がふだんはなかなかできない愛車の全開走行をを堪能していた。

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あれこれ説明するのだけれど
参加された方は真剣そのもの
聞く方の熱意が伝わり説明に力が入る

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全ての走行が終わればこの通り
「先生は真ん中に!どうぞどうぞ」
それではと
和気あいあいのクラブミーティングです

 

それはそうと、朝座学を始めようとすると会長のFさんが「トムさん ちょっと待って。プレゼントがあるので」 と。 ついぞプレゼントなどもらったことがないのでドギマギしているうちに渡されたのが写真の人形。 嬉しいね。なんか照れくさいけど。

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ちゃんと包装がしてあって

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可愛らしいレーシングドライバー
クルマのウインドウに吸盤で取り付けるタイプかな

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レーシングスーツにはちゃんと『TOM』の名前入り
ありがとうございました
クラブ員のみなさん

 

翌日は同じコースでYRSオーバルスクールFSW。遠路はるばる神戸からKさん、大津からTさんが来てくれました。感謝です。

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左からTさん、ワタクシ、Kさん
朝一で写真を撮っていたら雨が
結局最後まで路面はウエット
それなりに滑ったから大いに収穫はあったけど

 

帰宅してパソコン立ち上げたらKさんからのメールが届いていた。嬉しいね

トム先生
本日はありがとうございました♪ 久しぶりに参加させていただきましたが、やはり目から鱗が多々ありました!
トレイルブレーキの1なんかはまさに中低速コーナーのコーナリングスピードを上げるには必須だし、フルブレーキの練習も大いに役立ちました。ドンブレーキのやり方を誤解しているところがありました。
何よりも先生の横乗りでのコーナリングは、FF車を早く走らせる為のベストな解を体感させていただいたと思っております、まさに私が求めている運転技術でした。
また、天候はあいにくの雨でしたが、スリッピーな路面を出来るだけハイスピードで抜ける経験は一般道ではリスクが高すぎて出来ないので、今日はとてもラッキーでした。また参加させていただきますので、その折には宜しくお願い致します。先ずはお礼まで!


第699回 YRSオーバルスクールのススメ

謹賀新年    ユイレーシングスクールの24年目が始まります。

さて、クルマの機能は加速、減速、旋回の3つだけ。クルマを操る人間の操作はアクセル、ブレーキ、ステアリングの3つだけ。理論上はこの3つと3つがうまく連動してくれればクルマは操縦する人間の思い通りに動いてくれることになる。
ところが厄介なことに、往々にして人間が行う操作がクルマさんがやってほしくない操作である場合が多い。特に速度の高い時に起こりがちだ。要するに人間の考える速さと、クルマさんが速く走れる状態の間にズレが起きるからだ。
そこでユイレーシングスクールは、加速減速旋回が連続する、つまりアクセルブレーキステアリングを次から次へと繰り出さなければならない状況で、まずやらない方がいい操作とやった方がいい操作の仕分けをやるためにオーバルスクールを考案した(もっともオリジナルはジムラッセルレーシングスクール上級者クラスの追いかけっこだが)。

オーバルコースではイーブンスロットルとトレイルブレーキングを駆使してできるだけ速く周回する。いち方向にしかコーナリングしないオーバルコースでは加速減速旋回で発生する加速度を感じやすい。反復練習をするうちに「今のは良かった、今のは駄目だった」と連続して検証できる。ユイレーシングスクールがオーバルスクールを勧めるゆえんだ。

クルマが最も嫌がるのは、人間がついつい犯してしまう操作が重なること。加速、減速、遠心力の加速度を感じることができれば、最終的にクルマさんの向いている方向と運動エネルギーの方向を一致させることができる。一致させる前提で運転をすればクルマがバランスを崩すことはないから、走行中の安全率を高めることができるし、速く走ろうと思えば速くも走れる。

 

イーブンスロットルとトレイルブレーキングは運転操作の基本中の基本です。このふたつを安全な場所で日常ではできない速度で反復練習するうちに、クルマが動く仕組みが理解できるようになり間違いなくドライビングポテンシャル=運転力が高まります。クルマを思い通りに動かす練習を始めてみませんか。

次回YRSオーバルスクールFSWの開催は1月15日(日)と2月11日(土)です。詳しくは開催案内をご覧下さい。
・YRSオーバルスクールFSW開催案内へのリンク

YRSオーバルスクールFSW:半径22m直線60mのオーバルでトレイルブレーキングの練習

YRSオーバルスクールFSW:半径22m直線130mのオーバル車載映像 ルーテシアRS

YRSオーバルスクールFSW:半径22m直線130mのオーバル車載映像 メガーヌRS

YRSオーバルスクールFSW:半径22mのコーナリングを内側から

YRSオーバルスクールFSW:半径22m直線130mのオーバル外撮り



第698回 ユイレーシングスクールは満23歳

1999年12月8日に埼玉県は桶川スポーツランドで産声を上げたユイレーシングスクール。先日のYRSオーバルスクールFSWロンガーで23年目の活動は全て終了。今年、何事もなく延べ30回、32日に渡るドライビングスクールを開催できたことに安堵しているとともに、参加して下さったみなさん、スタッフ、ユイレーシングスクールを応援してくれているルノー・ジャポン、エンジン、ポルシェクラブ東京銀座に感謝の気持ちでいっぱいです。

YRSオーバルスクールFSW 8回
YRSオーバルスクールFSWロンガー 1回
YRSドライビングワークショップ 3回
YRSドライビングワークアウト 1回
YRS筑波サーキットドライビングスクール 2回
YRS鈴鹿サーキットドライビングスクール 1回
YRSツーデースクールFSW 2回
YRSオーバルレースFSW 5回
エンジンドライビングレッスン 2回
ポルシェクラブ東京銀座ドライビングレッスン 3回
アルピーヌドライビングレッスン 2回

まだユイレーシングスクールを体験していない方はぜひ来年遊びに来て下さい。クルマの人間能力拡大説をひも解きます。

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今年最後の座学

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今年最後のリードフォロー

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今年最後のミーティング

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今年初めてのラップタイム計測

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最後だから全員こっちを向いてライト点けて下さ~い
 
クルマに乗ってラジオを聞いてなかった2人が点灯なし

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2日続けて参加のOさん

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2日続けて参加のSさん

 

どなたさまも良いお年をお迎え下さい。



第697回 YRSドライビングワークアウト

ユイレーシングスクールとしての新しいカリキュラムを実施した。題してYRSドライビングワークアウト・アドバンストコーチング。

この12月で23年目の活動を終えるユイレーシングスクール。過去の経験を踏まえて一歩も二歩も進んだカリキュラムを模索してきた。もっとこちらが意図することを効率良く正確に伝える手立てを探していたのだけれど、スタッフYが見つけてきたGセンサーを手にして腹が決まった。これがあればアドバイスを口頭だけでなく受講者の視覚にも訴えることができるだろうと、「あなたの運転を科学します」を副題にしアドバンストコーチングの名(Yが名付け親)を付した。

コミュニケーションの時間を十分に取りたいから定員を12名にしぼった。その分受講料が高くなってしまったので果たして申し込みがあるか不安ではあったけど、結果的には8名の申込みがあった。

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この日集まったのは8名8台
さまざまなクルマが富士山の元に

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いつもの座学はそこそこに
まず運転の基本
正確な操作の源である
ドライビングポジションの話と
検証の仕方の説明

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スタッフYのクルマを借りて定員乗車でデモ
クルマの動きに身体が翻弄されてないか確認してもらう
 
お尻の後ろに空間を作らないように奥深く座って
膝を開いて下っ腹に力を入れて顎を引いて
そして・・・

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「こんなこと考えたことがなかった」とは同乗した人の声
 
これは好評だった
参加した人はクルマと一体になって
クルマと同じ速度でロールし
クルマと同じ量だけロールすることを覚えたはずだ
ステアリングワークの正確さが増したはずだ

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ドライビングポジションの方向性が見えてきたところで
教室に戻り
 
ブレーキング練習のために
ブレーキングのXと〇を録画した
YRSオリジナルビデオを見てもらって
イメージ作りを

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聞いてみると
 
Xと〇違いはわかるけど
実際にどういう操作をしたらいいかとつながらない
 
という声が

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なので
スタッドレスタイヤを履いているスタッフYのクルマを借りて
 
タイヤのグリップが低い分
クルマの挙動がよくわかるから

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いいブレーキと悪いブレーキを実際に見てもらう
 
今やった操作はこうなので×
今度は〇の操作をします
クルマの姿勢変化を見ていて下さい
リアが伸びずにフロントが沈みます

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今回
とりつけ方はまだ試行中だけど
とりあえず動かないように
Gセンサーを水平方向に固定

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参加者全員にできるだけ短い距離で減速する
できるだけ大きな減速Gを発生させるをテーマに
ブレーキングしてもらう
 
だから
ABSがついていないクルマだと
たまにはこんなシーンも

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67年製のクルマもABSはなし
それでもスレッショルドブレーキングができないわけではない
 
タイヤロックするとわずかにリアが流れる
オーナーはリアブレーキが片効きなのをご存知だった

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全員のブレーキングでのマイナス加速度の測定が終わり
教室へ戻ってモニターに
 
このグラフの伸び方はこうだよ
グラフの本数が急に増えているよね
ということは・・・と説明

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コースに戻りドライビングポジションの確認を兼ねてスラローム
 
ステアリングを切り返し続けるとロードホールディングは低下する
ステアリングを戻して戻した分だけ加速して
スロットルを閉じてステアリングを切れば
スラローム区間全体の通過速度を上げることができる

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ドライビングポジション、ブレーキング、スラロームで基本を押さえたから
舞台を半径22m直線160mのYRSオーバルFSWロンガーに
 
最初にリードフォローで
インベタのラインとアウトインアウトのラインを
徐々にペースを上げながら

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リードフォローのコツは
何も考えずに前のクルマの真似をすること
車間距離はもっと近いほうがいい
 
前のクルマのリアウインドウを通して
その前を見て運転する

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YRSオーバルFSWロンガーを走り込んだところで
再度Gセンサーを取り付けて測定し教室に持ち帰り
全参加者の縦Gと横Gの立ち上がり方を検証してアドバイス
 
こうなっているということは・・・
これは・・・しているから
これはいいねできている

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スロットルブレーキステアリングの操作で
クルマの向きと運動エネルギーの方向を一致させているか
対角線の荷重移動が起きていないか
確認したところで体力測定
 
ルーテシアⅢRSのOさんが光電管を切ります

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100分の1まで計測し
コントロールラインを通過するごとに
ラジオでラップタイムを伝えます
周回ごとにタイムが縮まれば〇
 
メガーヌⅢRSのSさんが光電管を切ります

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Oさんは5、6、7、11月のYRSオーバルFSW
今回のYRSドライビングワークアウトFSW
そして翌日のYRSオーバルスクールFSWロンガーにも参加
 
Oさん来年も遊びに来て下さい

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Sさんは
4月のYRSオーバルスクールFSWとYRSドライビングワークショップ連荘
9月のYRSオーバルレースとYRSオーバルスクールFSW連荘
10月のYRSツーデースクールFSW
今回のYRSドライビングワークアウトFSW
そして翌日のYRSオーバルスクールFSWロンガーにも参加
 
Sさん来年も楽しみにきて下さい

 

参考のために参加した方に感想を聞いた。初めて開催したYRSドライビングワークアウト・アドバンストコーチングがどのように受け入れられたか、寄せられた感想文から抜粋してお届けする。

Mさん:今回のレッスンは大変良かったです。
自分のイメージしていた走り方がどのようにデータとして表現されるのか期待して参加しましたが、想像通りでした。やはりイメージとデータには違いがありました。
つまり車を上手く乗りこなしていないことが分かった訳です。今までのレッスンではトムさんによる言葉でのアドバイスのみでしたので、例えば、「タメを作る」とかのアドバイスでもトムさんの意図するタメと私が理解するタメは同じ言葉でも違うことが分かったりします。データの見てコメント頂いたときに気づきました。そうすると恐らくトムさんの言葉でのアドバイスを頂いただけでは、認識違いのままになってしまうケースも多々ありそうです。このあたりが今回の収穫でした。

Wさん:良かった点
・自分の運転操作をGセンサーの画面を通じて客観的に確認することができた
→たまたまかもしれませんが、いつも座学で説明されている事が自分なりにできていることがわかって少し安心しました。
→GoPro等で撮影した車載動画と組み合わせて確認できると更に面白いかなと思いました。
・台数が少ないため、指導の密度が濃かった。

Wさん:
Gセンサーによる可視化は、
・自分の走り方を知れた点(減速Gと横Gが同時にかかっている等、言い訳できない事実が突きつけられる)、
・Gセンサーを想像することで自分の操作による車の動き(正しく走れているか?)がイメージし易くなった点

Oさん:
スマホアプリによる簡易計測とはいえ、運転を可視化するには十分でした。蹴飛ばしブレーキの方が止まらないのは体験として持っていますが、数値で比較すると納得感ありますね。みなさんの運転と対比することで、何が違うのかではなく、どの程度違うのか。度合いを測れたことが、今回の肝であり、価値なのだと思います。

誤解のないように付け加えますが、MさんもWさんもWさんもOさんも速さから見ればかなり高いレベルにあります。ボクはまだ伸びしろがあると思うのでスクールで褒めることはありませんが、一般的にはスゴイね、となるはずです。ですが参加された方全員がもっとうまくなりたいと思っている点は共通していて、YRSドライビングワークアウトFSWアドバンストコーチングを始めて良かったと思っています。進行上の課題の対策をして、次回は来年4月に開催予定です。



第696回 YRSオーバルスクールFSWロンガー

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今年初めてYRSオーバルスクールFSWロンガーを開催した
安全マージンをとって作るオーバルでは今のところ最大
半径22mの180度コーナーを2本の160mの直線で結ぶ
コース幅は14m
アメリカ的に言えば
クォーターマイルオーバル

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先日のENGINExALPINEドライビングスクール@鈴鹿に参加してくれた
大阪のMさんが参加してくれた
初めてのオーバルコースだったけれど
それなりのスピードで走っていた
 
YRSオーバルスクールFSWロンガーがどうだったか
感想を聞いてみたいものだ

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Mさんが光電管を切る
 
計測ラップをリアルタイムで伝える
 
背中を押されるかもしれないけれど
これもスポーツドライビング

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右回り左回りとグルグル回って
最後はコース幅14mのYRSオーバルスクールFSWロンガーで
ローリングスタートの練習
YRSオーバルFSWロンガーを味わった方は
ぜひ来年のYRSオーバルレースにも参加してほしい

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体力測定の結果がこれ