トム ヨシダブログ


第626回 悩ましい

この22日で新東名高速道路の浜松いなさ~御殿場間が全線制限速度120Kmで走れるようになって1年。  さて、

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クルマは移動のための道具であるとの側面が強いから効率良く使いたいと強く思ってきたし、そういう使い方ができるように努力してきたつもりだ。

で、クルマにまつわる効率と言えば時間とコストが真っ先にあげられる。A地点からB地点に移動するのが目的ならば所要時間は短いほうがいい。A地点とB地点の物理的距離は縮まらないけど、速く目的地に到達することができれば移動以外の時間的拡大が可能になる。一方でA地点からB地点に移動するためのコストは安いに越したことはない。移動にかかるコストを抑えることができれば経済的な余裕が生まれるから、その分を他の生産性向上に回せる。速さとコスト。この両方の効率を高めたいとずっと思ってきたのだけど。

しかし内燃機関を動力とする自動車は本来、移動の速さと移動のコストを同時に追い求めることが難しい類いの道具だ。クルマ自体が重いしタイヤは転がり抵抗を生じながら回っているし、クルマはもろに向かい風を切り裂いて走っているわけで、速く走らせるということはクルマにそれだけ大きな推進力を求めることになる。つまり、スロットルを開ける量を増やさなければならない。しかも、転がり抵抗にしても空気抵抗にしても速度の二乗に比例して大きくなっていくから、クルマを速く走らせれば走らせるほどエンジンの負担は増加し燃費は悪くなっていく。だから、あの日が来るまでは速さとコストを天秤にかけその都度妥協点を探ることを常としてきた、ずっと。

ところが昨年12月22日。新東名浜松いなさICと御殿場IC間の完全6車線化が完了し制限速度が一律120キロに引き上げられた。これはこれで喜ばしいことではある。それまでは後ろめたい気持ちで速さを手に入れていたのに、この日から合法的にある速度までは速さを追求できるようになったのだから。

しかし、この日を境に悩ましい日々が訪れる。

長距離の移動と言えば富士スピードウエイや筑波サーキットで開催するドライビングスクールに出向く時や東京に住む母をご機嫌伺い行く時なのだけれど、基本的に移動する時のテーマは「できるだけ速くかつ省エネ」だ。優先するのは速さだ。その上で許容できる程度の燃費を維持できるのが理想だ。

で、かの145Km区間を初めて走り切った時、確かに所要時間は目に見えて短くなったけれど、同時に燃費が思いのほか低下していた。

『えっ‼』だった。

それ以降、新東名に乗るたびにいろいろな走り方をしてみた。クルマも異なれば風向きも違っただろうから一概には言えないけれど、結論として『制限速度の引き上げをもろ手を挙げて歓迎している場合ではないな』と思ったものだ。

昔から発信加速をどうすれば燃費にいいのかとか、定速で走っている時にどこまでスロットルを抜いて速度を維持できるかとか、あれこれ燃費を向上させる方法を模索してみたけど、高速道路に関しては速さが優先事項でその上で燃費が良ければ、というスタンスだった。で、高速道路ではできるだけ速度を一定に保ち、流れを先まで読んで無駄なブレーキは使わず、上り坂は中間地点で制限速度になるようにスロットル一定で走るようにして、それなりの燃費を達成することができていた。

ところがである。同じような走り方をしても巡航速度が20キロ近く上がった結果、手に入れた速さを単純には喜べないほど燃費が低下してしまうことに気が付いた。これは誤算だった。もちろんコスト度外視で速さを求める手もあるけれど、やはりものには程度がある。リッター当たり13キロは最低でも確保しないと、出費が惜しいわけではないけど=少しは惜しい気もするけど、移動の速さを手に入れるためとは言え矛盾が生じる。

で、これはあくまでも想像で検証したことはないしするつもりもないけど、クルマの空気抵抗はだいたい110~115キロぐらいで急激に増加し始めるのではないかと考えた。

空気抵抗はCD値X前面投影面積X速度の二乗で求められると言うけどCD値は乗用車なら0.3ぐらいだろうし、メガーヌRSとルーテシアⅢRSの全幅X全高を比べても4%ぐらいの差しかないし、結局は上昇した速度が走行抵抗に大きく影響しているのではないか。むろん高出力なのに前面投影面積が小さいクルマや空気抵抗係数が極端に小さいクルマには当てはまらないと思うけど、一般的なクルマだとこのあたりで速度の二乗に比例し加速度的に大きくなる空気抵抗に抗うため、エンジンが我々が思っている以上に頑張り始め、その結果予想以上に燃費が低下したのではないかと想像したわけだ

あぁ悩ましい。選択肢は自分の手の中にあるとは言え、速さをとるのかコストをとるのか。できればどちらも手に入れたい。この1年間の経験を元に理想的なクルマ移動の方法を模索する日々が続きそうだ。

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空いていれば第1車線でも120キロで巡行できる

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120キロで巡行していてもかなりの速度差で追い抜いていくクルマがある
このシーンでの速度差は10キロではすまないはず

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そういったクルマはずっと追い越し車線を走り続ける

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メーター読みで100キロの時
GPS内蔵の速度計の数値は96キロ

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同じくメーター読み120キロの時には115キロ
速度を上げれば上げるほど誤差が大きくなる傾向にある

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メーター読みで118キロということは実車速なら112キロ程度か
クルマはともにメガーヌRSトロフィー

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ある程度速さをあきらめるとかなり燃費が良くなることを経験的に知ってはいるけど
速さを抑えると雑多な交通の流れに奔騰されることも知っている

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ルーテシアⅢRSのモニターに平均燃費を呼び出す
9.1リッターで100キロを走る
つまり10.99Km/ℓ
どんなに速く走ってもここまで悪くなることはない

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120キロで巡行中にスロットルを抜き気味にして速度を維持した場合

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120キロで巡行中に右足に集中しないで速度を維持した場合

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おだやかに加速しても
増える走行抵抗に抗うためにクルマへの負担は増える

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なんちゃって7速パドルシフトのフィットRS CVTだと

 

※ 助手席から撮影した写真以外はウェアラブルカメラで撮影したものです。

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第625回 モノの見方

スタッフのFからメールが届いた。

意外なところで運転の話にでくわしたのでお報せします。上原浩治という引退したプロ野球投手がユーチューバーをやっているのですが、おなじく引退した審判を招いての会話の中で、運転の話が出ていました。さもありなん、という話です。

・教えてもらったYouTubeの運転にまつわるところを抽出したのが次の動画

・対談のフルバージョンは こちら です。


第622回 こういう人がいるとは ‼

大阪狭山市のスーパーでの事故。パーキングブレーキをかけて停車していなかったことが暴走の原因ではないかという意味の報道があったけど、ATのセレクタをDレンジに入れたままフットブレーキだけでクルマを止めていたということか。ならば足の力を抜けばクルマが動き出して当たり前。駐車するならPレンジに入れるのが正しいクルマの使い方。その上でパーキングブレーキをかける。クルマは扱った通りに動く。横着はいけない。クルマに罪はない。

クルマの運転をなめないでいただきたい、心からそう思う。



第620回 来た~ぁ‼

ムフッ!
楽しみ。
実技があるらしい。

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第605回 リジェンドクラブカップレース生中継

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YouTube「Inter Proto Series x KYOJO CUP CHANNEL」で
9月26日(日) 15時30分~15時55分の間
『AIM Legend’s Club Cup 2021』レース
がライブ配信されます

 

リジェンドクラブカップレースはモータースポーツ界で活躍してきた名ドライバー達がVITAというマシンで戦うワンメイクレース。今回は最高齢87歳の多賀さんを初めとする17名が参加予定。お遊びではなく本当の本当の真剣勝負に参加するドライバーの平均年齢は72.7才です。みなさん競技ライセンスもお持ちです。驚いて下さい。

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AIM Legend’s Club Cup 2021 エントリーリスト
お名前を耳にされた方もいると思います
ぜひご覧下さい

 

いささかこじつけがましいのはわかっているけれど、レースともなれば危険が伴うというのが定説。なのに、なぜリジェンドドライバーたちは丁々発止のレースをしても事故を起こさないのか。
ひとつだけ答えを探すとするなら、それはクルマの動かし方を体と頭で理解しているから、になるだろう。この方達がその昔クルマを動かすことに一生懸命だったのは想像に難くない。どうすれば人より速くクルマを動かせるか頭を使い仮説を立ててそれを検証し、その結果として、運転していて次に起きることがあらゆる場面で連続的に読めるようになり、間違いのない対応をとることができるようになったからだと思う。

そして、加齢だけが高齢者交通事故多発の要因ではないとも思っている。確かに若者より年寄りのほうが事故を起こす可能性は高いだろうけれど、若者が無事故なわけでもない。高齢者でも事故とは無縁の人もいる。筆者が高齢者マークだからいきおい年寄りの話題が登場することにもなるけれど、今若い人もいずれは歳を取る。歳をとっても安全に思うようにクルマを操る人達がいる。運転というものは一生ものだ。早いほうがいいに決まっているけど、だからと言って遅すぎるということはない。今や高齢ドライバーの仲間入りをした名運転手同士のつばぜり合いを見ながら、これから自分が運転とどう向き合っていくかに思いを巡らすのも悪くはないと思う。

#リンク #ブログ #高齢者 #運転 #安全運転 #事故
・第556回 高齢者安全運転診断サービス その後
・第566回 高齢者と運転
・第579回 レーサーだって歳をとる!
・第597回 令和2年版交通統計から見えてくるもの

 

※ レジェンドクラブカップレース広報資料



第599回 確信と憶測

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やはり天候が不順なのだろう今年は雨のスクールが多い
雨と言ってもそぼ降る雨ではなく豪雨+強風
YRS鈴鹿もエンジンドライビングレッスンもYRS筑波も
 
それでも参加者は冠水した路面をものともせず
確信を持って十二分に速いペースで
クルマを操っていた

 

ユイレーシングスクールではスクールの始まりに必ず座学を行うのだけど、雨のスクールでは特に強調して伝えることがある。

『 雨だから滑ります。ズルッとくるかも知れません。だからと言って慎重になりすぎるのは得策ではありません。みなさんが走っていてズルッとくる時は、例外なく前か後ろどちらかの2輪が流れています。それは2輪だけ流れるような操作をしているからです。今日はどうすると2輪ではなく4輪を流すことができるかを意識してみて下さい。秘訣は滑りやすい路面ではトランジッションを大切に、明確に行うことです 』。

言うまでもなく雨の日に陥りやすいスピンやコースアウトは、前者はリアタイヤがフロントタイヤよりも、後者はフロントタイヤがリアタイヤよりも余計に流れることで起きる。流れるということは、後ろなり前なりどちらかの両輪が路面をつかむ力が不足している=グリップが不足していることになる。そして、スピンやコースアウトが起きるのはコーナリングの始まりに集中しているのを経験的に知っている。

で、なぜそうなるかはここでは省くが、仮にフロントタイヤとリアタイヤの流れる量が同じだとしたら、コーナリングの軌跡は変わる可能性はあるがスピンやコースアウトは起きないだろう、と推察できる。そうあくまでも推察だ。次に、4輪に均等な仕事をしてもらえる状態にしてからターンインすれば、流れたとしても流れる量は4輪とも同じになるのではないか、そうすれば少なくともオーバーステアやアンダーステアにならずにすむのではないかと想像できる。さらに言えば、コーナリングを始めたクルマの荷重は直後に外側に移動し始めるけれど、可能な限りアウト側の前後輪同士、イン側の前後輪同士の荷重に差が生まれないような操作ができれば、オーバーステアやアンダーステアとは顔を出さずにすむはずだ、という結論に達する。

そこで、加速➡減速➡ターンインの流れにあって、クルマは直進状態で進んでいるのだから、まずターンインの前に前後輪のグリップが均等になるな時間を設ける。4輪が等しく路面をつかまえることができる状況を作る。加速中も減速中も前後輪の荷重が異なっているからグリップにも差が生じている。それを自身の意識である瞬間に前後輪の荷重が均等になるように操作をする。その状態と時間が速い速度でのターンインを可能にする肝になる。トランジッション。

速さを追いかける前に、コーナーの大きさや速度に関わらずターンインする前にクルマを必ずフラットにすることができさえすれば、それが根拠となる。自分がそうしているのだから、2輪だけが流れる可能性は限りなく低いはずだという拠り所になる。それを、少しばかりゆっくりとしたペースから始めて徐々にペースを上げていけば、自分がトランジッションを意識しているのだから、速い速度でターンインしてもバランスを崩すことはないという確信に変わる。タイヤがズルッときても4輪が流れることになるので流れる速度は遅いし、流れる量も2輪だけに比べて極端に少なくなる。経験するとわかるけど、4輪が流れている状況というのは、流れているのを察知できないほど穏やかだ。だから、意図的に流れるであろう速度でターンインして限界を探ることすらできる。もちろんさらに速い速度になれば、クルマはコーナリングをしながらプラスマイナスのヨーイングを起こすことになるから、クルマの動きはもう少し複雑になる。けれど、ペースを上げてもターンインでアンダーステアもオーバーステアも出さずにクルマを曲げることができるようにならなければ、その領域を覗くことは不可能だ。

路面に水幕が張るようなコンディションの中、運転の手続きを省かなかった人たちは、こちらが心配になるぐらいの速さでコーナーにアプローチしていた。

雨の日に限らずスピンやコースアウトをする人は、その人が十分速く走っていても走っていなくても根拠のない操作をしている場合がほとんどだ。言葉を換えれば、行き当たりばったり、あるいは出たとこ勝負ということになろうか。盲目的に速さだけを追いかけている、と言ったら言い過ぎか。
漠然とした速さだけを追いかける大丈夫だろう運転ではうまくいく時もあればいかない時もある。憶測でクルマを走らせているからだ。けれどクルマは道具だから使い方がある。あてずっぽうに操作しても思い通りには動いてくれるわけがない。スクールでは何度でも言う。『 何人もクルマの速さ以上に走ることはできない。速く走りたければ、まずクルマの性能を引き出すことに腐心すべきだ 』 と。

運転操作には根拠が必要だ。なぜそうするのか。なぜそうしてはいけないのか。なぜそうしたほうがいいのか。まずは4輪自動車の運動特性を理解することが大切だ。クルマを速く走らせたいと思うのなら、こう言うと若い人には嫌われるかも知れないけど、まず自分を律することだ。クルマが動く仕組みを理解し、動いているクルマの挙動を感じ、その上でどんな場面でも自分は理にかなった操作をしているとの確信が持てるようになれば、我々が想像するより高い性能を発揮し目的をかなえてくれる。クルマとはそういう乗り物だ。

 

9月16日(木)に筑波サーキットコース1000で速いターンインを実現するための練習、イーブンスロットルとトレイルブレーキングに特化したプログラムYRS筑波サーキットドライビングスクールを開催します。4輪を使ったコーナリングを会得するために参加してみてはいかがですか。

・YRS筑波サーキットドライビングスクール開催案内&申込みフォームへのリンク
・ユイレーシングスクールの感染対策



第597回 令和2年版交通統計から見えてくるもの

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交通事故発生状況の推移の頁には
昭和23年西暦1948年からの交通事故件数/死者数/負傷者数が載っている
表に死亡交通事故件数が追加されたのは昭和38年西暦1963年のこと
しかし類型別交通事故件数等は昭和45年西暦1970年を指標とし
毎年最新の13年間の数字のみ記載されている
 
交通事故総合分析センターのサイト で探すと
最も古い数字として昭和21年西暦1946年の交通事故件数12,504件が載っている

・免許人口は1980年の4千3百万人から2008年には倍の8千万人の大台を超え、2018年には過去最多の8千2百30万人あまりを記録したが、2019年から減少し始めた。
・車両保有台数は2017年に9千1百50万台の最多を記録。その後減少に転じている。
・交通事故件数は2004年に最多の95万3千件を記録したが、2020年には2004年の3分の1に満たない31万件にまで減少を続けてきた。
・死亡事故につながった交通事故件数は1992年の10,892件が過去最多だったが、それ以降は毎年減少を続け2020年には2,784件にまで減少した。
・交通事故で亡くなった方の数は1992年の11,452人が最多だったが、その後は減少に転じ2020年には過去最少の2,839人を記録した。
・車両単独の交通事故が最も多かったのは2001年の5万3千件あまりだが、それ以降は連続して減少を続け2020年には過去最少の10,099件を記録した。
・死亡事故にいたった単独事故件数は1992年の2803件が過去最多で、その後減少を続け2019年には最少の814件を記録したが、2020年には825件に増加。
・近年の交通事故に占める単独事故の割合は1993年の5.92%をピークに年々減少を続け2018年には2.62%を記録したが、2019年、2020年と増加に転じている。
・交通事故全体に占める単独事故の割合は記載が始まった1970年の7.30%から減少を続け、2018年には過去最少の2.62%を記録したが、2019年からは増加に転じ2020年には3.27%に達した。
・死亡事故全体に占める単独事故による死亡事故件数の割合は1985年が最多の27.26%だったが、その後減少に転じ2011年には最少の20.04%を記録。しかしながらその後増加に転じ2016年~2019年は25%前後で推移していたが、2020年には29.63%に増加し、死亡事故のうちの3割が防ごうとすれば防げたであろう単独事故によるものだった。
交通事故件数、単独事故件数とも昭和35年西暦1960年以降で最少を記録した2020年。しかしながら見逃せない数字がある。交通事故が100件起きるとそのうちの3件が車両単独で他は相手のある事故なのだが、死亡事故に限ると100件の事故のうちの30件が単独事故によるものという、いささか残念な数字がそれだ。
・単独事故を類型別にみると転倒は2008年の31.82%をピークに減少傾向にあったが、2018年から増加し2020年には過去最多の36.30%を記録した。2輪車の転倒事故が増加しているのが原因か。
・単独事故のうち2割強を占めていた路外逸脱による事故は年々減少を続け2020年には過去最低の5.62%を記録した。
・その形態を問わす交通事故で亡くなった方の数は第2次交通戦争期の1990年に記録した11,227人をピークに減少を続け2020年には4分の1の2,839人になったが、交通事故で亡くなる高齢者数は増加を続け2020年には70歳以上の死者数が全体の48%に達した。

自動車技術の発達で運転という行為自体が平易なものになり手軽に移動することができるようになった。交通体系の熟成が進んだ結果として交通事故件数が減少したのも間違いないところだろう。救急救命医療の発達が交通事故による死者数の減少に貢献しているのも明白だ。しかしその一方で、運転に対する危険意識が薄らいでいることはないのだろうか。
交通事故が減ったと言っても皆無になったわけではない。数字的に見れば単独事故そのものは年間1万件にすぎず、日常的に運転している人にとっても現実感が薄いかも知れないが、運転という行為をしている以上誰にでも事故を起こす可能性がないわけではない。相手がいる「車両相互」や「車両対人」の事故なら避けられない要素がからんでくるかも知れないが、避けようと思えば自分の意志で避けられたはずの「車両単独」の事故は起きるべきではないと考えている。
手軽さを気軽さと履き違えて自動車を自分の意志通りに自由に動かせると思い違いをし、運転という技術と集中力が必要な人間の行為を軽んじた結果、独り相撲で事故を起こしてしまっては本末転倒だ。自動車の便利さや楽しさを享受することは大いに奨励するけれど、人間より速く移動することができる自動車を操るのだから、畏怖の念だけはなくさないようにしたいし、してほしいと思う。

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表1:全ての交通事故に占める単独事故の割り合い
および総死亡事故件数に対する単独死亡事故件数の割り合い
 
表1のpdfファイルダウンロード

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表2:単独事故件数の推移および類型別単独事故の割り合い
 
表2のpdfファイルダウンロード

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表3:単独死亡事故件数の推移および類型別単独死亡事故の割り合い
 
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表4:第1当事者から見た類型別死亡事故件数
 
表4のpdfファイルダウンロード

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表5:年齢層別交通事故死者数の推移と割り合い
 
表5のpdfファイルダウンロード

 

※自動車保有台数とは自家用および事業用の乗用車、貨物車、大型小型特殊、特殊用途車、二輪車を含んだ数字をいう
※文中あるいは表中の交通事故死者数は24時間死者の数で事故後24時間以内に亡くなった方をさす



第592回 交通統計

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令和2年版の交通統計が届いた
 
COVID-19に翻弄された2020年
交通事情もそれなりに変化が
数字にも表れているのだろうか



第587回 ワクワク感

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前回のブログ をアップしてからルノーRSの印象はとあちこち見ていたら
前回のブログ で言いたかったことにぴったりのSNSを発見
エクゾー777 さんに連絡して承諾をもらい全文紹介です
 
ルノー滋賀栗東でエンジンオイル交換と点検を終えた9代目相棒のメガーヌRS
今回のマイナーチェンジでメガーヌRSトロフィーと同じ瞬発力を得た
これからじっくりと味わいます
今週は筑波のスクールだし
 

——————————– ここから ——————————–

 納車を待ちながら、相反する気持ちが錯綜している。勢いで契約してしまったこともあるが、①「一日も早く新しい車でドライブしたい自分。」ソワソワして何となく落ち着かない日々。②「自問自答する自分。」4年前、財政的に厳しい家計状況の中、奥さんに何とか資金を捻出してもらい、やっとのことで、手に入れた憧れの「STI限定車」をこうもあっさりと手放してしまって良かったのか。

 普通なら、乗り続けるのが正解だろう。小さな不満はあったにせよ、90%は幸福感と満足感に満ち溢れていたのだから…。

  以前のブログにも書いたが、メガーヌRSの初試乗の時、ハンドルを握り、走らせた時、どこか懐かしく、ただ、ただ、「楽しかった。」純粋に運転が楽しいと感じた。こんな気持ちは久しぶりだ。初めての試乗だったからかもしれないと、そのあとも、何回か試乗したが、楽しさは全く変わらなかった。S4-tsもS#モードに入れて、アクセルを全開にすれば、スピードも出るし、アイサイトも付いていて安心快適であった。スタイルも恰好いい。(不満な点は以前にも書いたので、ここでは割愛)

 メガーヌRSにあって、S4-tsにないもの。それは、ずばり「ワクワク感。」奥さんに「何それ?全然わからないんだけど。そのために車を買い替えるの?そもそもこんな金額出すなら、安全性や先進性、最新性を考慮して、スバルなら新しいレヴォーグのSTIスポーツ、輸入車が欲しいなら、新型のGOLF8やAUDIのA3も買えるしょ。なんでメガーヌRSトロフィーなの?」と言われてしまった。奥さんの言うことが正解だろう。普通の人なら、そうすると思う。

 車に何を求めるかの価値観は人によって違う。安全性を求める人もいれば、快適性を求める人もいる。スタイルやステイタスを求める人もいるだろう。自分は何だろう?あまり定まってはいないが、メガーヌRSに乗って「楽しかった、ワクワクした」。それが、この車を選ぶ理由だ。エンジンをかけて、ハンドルを握って走る。それだけで楽しいと思えたのがこの車だった。今思うと、若い頃、180SXやツアラーVを走らせていた頃の運転感覚と言えばよいだろうか。

結婚して、家庭を持ち、いつの間にか忘れてしまっていたあの感覚。

 納車が待ち遠しくて仕方がない。

 でも、いつも思う…。納車を待つこの期間がまたイイのだと。

——————————– ここまで ——————————–

エクゾー777さん 機会があればユイレーシングスクールに遊びに来ませんか。お待ちしています。



第586回 「車はちょっと悪めが素敵」

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我が終の相棒
 
NAリッター100馬力エンジン
レッドゾーン7500rpm
クロスレシオ6速MT
ダブルアクシスストラット
車重1240Kg
トレッド/ホイールベース比0.588

2017年2月に 『今は昔』 と題したブログをアップした。

その中身はFB友達でクルマ雑誌界の知己とのやりとり。簡潔に言えば、純粋にクルマの運転そのものを楽しむ風潮が衰退したことへの嘆き節、になるのか。無情無常を憂いているのだけれど、でもあながち間違いではない。自動車技術の発達とともにクルマが平易な道具になり運転することへの意識が薄らいできている今、運転するということの意味、運転という人間の営みに思いをめぐらす必要は大いにある。青春時代から、そして自動車媒体の責任者としての肩の荷を下ろすまで何10年もの間クルマ一筋に走ってきたそれぞれがあの日どんな思いでいたのか、目を通してもらえると筋が見えると思う。

まして、内燃機関を動力とするクルマの先行きに展望を持てない現在においては、クルマの価値についても再考する必要があると考えている。

閑話休題。それにしても、不明にも4年前にはクルマ社会がこれほどの変貌をとげるとは思っていなかったし想像もしなかった。油断があった。それほど現代社会を取り巻く大気汚染の問題が深刻だったのにもかかわらず。いずれそんな日が来るだろうと漠然とは感じていたけど見通しが甘かった。

今年1月。EUが2020年に導入した新しい二酸化炭素(CO2)規制をわずか0.5g超過したとしてVWが200億円(‼)の罰金を受けることになったというニュースを目にした。クルマを売ると罰金? 排出ガスの規制は車種ごとの違いや排気量の違いで数値が異なり、1Kmあたり排出量50g以下のクルマは複数台に数えられるという補足があるから単純な計算では算出できないだろうけど、少なくとも二酸化炭素の排出量を減らさなければ罰金を払わなければならないのだから、EUに軸足を置くメーカーはこぞってEVやPHVの増販にやっきにならざるを得ない。
※2021年規定によるとEUでクルマを販売するメーカーは全販売台数平均で1Km走行時にCO2の排出量を95g以下に抑えなければならない。クルマに造詣の深い人に聞いた話だけど、1Kmあたり95gというのは燃費に換算すると24Km/Lになるらしいから簡単には達成できないだろうな。

その上、現状では脱炭素化がユーザーにも負担を強いている。1998年に欧州自動車工業会が欧州委員会と協議し自主規制によるCO2排出削減目標を設定し、同年フランスが自動車登録税の課税標準の算出にCO2排出量を織り込んだのを皮切りに、ヨーロッパ各国は横へ倣えで取得や所有に係る自動車税の税率にCO2排出量を加味することになった。国によっては排気量による課税を追加している例もあるようだ。聞くところによると、ヨーロッパではメガーヌRSの税金はCO2排出税が加わり500万円の車両価格に対して100万円近くになるという。取得や保有に係る税金が車両価格の5分の1ほどにもなるのだから、まだCO2排出税が現実のものではない日本に住むユーザーは幸いということか。

VWが規制未達成を発表した1週間前の1月14日。ルノーグループは2025年までのビジネス戦略を発表した。その中にはCセグメントでのシェア拡大を目指しながら、2025年までにグループで導入する25車種のうちの10車種がフルEV(‼)になると付け加えられていた。またルノーとアルピーヌの立ち位置を明確により鮮明にするとも。

4月26日:ルノーグループはルノー・サンクの再来と目するルノーR5をフルEVとして2025年に発売すると発表
5月1日:ルノーグループはルノー・スポール・カーズをアルピーヌ・カーズの名の元に再編したと発表
5月6日:ルノーグループは次世代メガーヌにフルEVを設定し近い将来発売すると発表
6月7日:ルノーグループはメガーヌE-TECHエレクトリックプロトタイプを発表

1月14日の発表には、フルEVのBセグメントハッチバックとフルEVのCセグメントクロスオーバーがアルピーヌの新型車として登場するとも明記されていた。さらにアルピーヌはロータス社との協業を進め、A110の後継車はフルEVになるとの記述もあった。大筋としては今後、RS=ルノースポールのバッヂをまとったモデルが出てくる可能性は限りなく低く、ルノーグループが新たに投入するスポーツカー、スポーティカーはアルピーヌの名を冠したフルEVになる可能性が高い、ということになる。

どうやら流れは完全にEV化に向いていると言わざるを得ない。EVはスクールの時に乗ったBMWのi8と日産リーフしか経験がないから、これからやって来るであろうクルマ社会を想像することは難しいし自分がEVにどんな印象を持つのか大いに不安がある。大気汚染の悪化を防ぐためにはEVがマストだと言われても、深夜のサービスエリアでエンジンをかけっぱなしにしている無数のトラックを見るとなんだかなぁと思うし、クルマを作るのにもエネルギーを消費するわけだし。排気ガスをきれいにする、出さないようにすることが求められていることは重々承知しているけれど。  130年余り自動車という世紀の発明を動かして続けてきた内燃機関。それを動力とした自動車が将来的には姿を消していくことは確かなようで寂しさもあり、爆発力と瞬発力が魅力のホットハッチの新型車はもう出現しないかも知れないという落胆もあり、延命策はないのかなとかあれこれ考えてしまうと頭の中のモヤが深まるばかり。

だから、ここはひとつ。ひんしゅくを買うかも知れないことを覚悟で、SさんとMさんが同意してくれることを期待しつつ、今のうちに買える人はルーテシアでもメガーヌでも構わないからルノーのRSモデルを買っておきましょう、と声を大にして訴えておきたい。

高校1年で免許をとってから56年間。内燃機関の爆発力と雄たけびに心奪われてきた身としても、ルノー・ジャポンのおかげで1台のGTとRSの全てのタイプ8台を堪能することができた身としても、ルノー・スポール・カーズが送り出すあのエンジンと足回りを今のうちにできるだけ大勢の人に味わってほしいと切実に思う。個人的には速いクルマが好きだ。かと言って圧倒的に速い必要はない。日常の現実的な等身大の速さが卓越していて手足のように動いてくれればそれでいい。走りを高い次元でまとめてあるRSはふつうのクルマよりちょっと悪めだから、自分とそして運転に向き合うにはうってつけなのだ、と言ったら誤解を生むか。

それほど遠くない将来、もうあの背筋がゾクッとくる刺激が味わえなくなる日が来そうなのだから。そして、わが国では車歴13年を超えると維持するのが重荷になってしまうけど、旧モデルのRSを含めできるだけたくさんのRSの個体がクルマ好きの手によって日本の道を走り続けてほしいと思うから。RSはただただ楽しむために走らせる価値が十分にあるクルマであることは間違いないし、スクールに来てくれれば楽しみを倍加させる方法は教えることができますから。

同時に、すでにRSを手にしている方はぜひその良さを満喫しつつ大切に乗り続けてほしいと心から思う。

 

【追記】   ブログに登場してもらったMGミジェットとアバルト595を所有していたSさん。最後のステージとしてミジェットとアバルト595を次々に処分してNDロードスターを買ったそうな。SさんはSさんらしく、人生オープン日和を貫く覚悟やよし。  ただただ楽しむために走らせるんですよね、Sさん。

 

586gt
1台目相棒

135-12
2代目相棒

305-02
3代目相棒

586-L1
4代目相棒

586-l
5代目相棒

586-m
6代目相棒

483-2
7代目相棒

550-0
8代目相棒

583-1
9代目相棒