トム ヨシダブログ

第597回 令和2年版交通統計から見えてくるもの

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交通事故発生状況の推移の頁には
昭和23年西暦1948年からの交通事故件数/死者数/負傷者数が載っている
表に死亡交通事故件数が追加されたのは昭和38年西暦1963年のこと
しかし類型別交通事故件数等は昭和45年西暦1970年を指標とし
毎年最新の13年間の数字のみ記載されている
 
交通事故総合分析センターのサイト で探すと
最も古い数字として昭和21年西暦1946年の交通事故件数12,504件が載っている

・免許人口は1980年の4千3百万人から2008年には倍の8千万人の大台を超え、2018年には過去最多の8千2百30万人あまりを記録したが、2019年から減少し始めた。
・車両保有台数は2017年に9千1百50万台の最多を記録。その後減少に転じている。
・交通事故件数は2004年に最多の95万3千件を記録したが、2020年には2004年の3分の1に満たない31万件にまで減少を続けてきた。
・死亡事故につながった交通事故件数は1992年の10,892件が過去最多だったが、それ以降は毎年減少を続け2020年には2,784件にまで減少した。
・交通事故で亡くなった方の数は1992年の11,452人が最多だったが、その後は減少に転じ2020年には過去最少の2,839人を記録した。
・車両単独の交通事故が最も多かったのは2001年の5万3千件あまりだが、それ以降は連続して減少を続け2020年には過去最少の10,099件を記録した。
・死亡事故にいたった単独事故件数は1992年の2803件が過去最多で、その後減少を続け2019年には最少の814件を記録したが、2020年には825件に増加。
・近年の交通事故に占める単独事故の割合は1993年の5.92%をピークに年々減少を続け2018年には2.62%を記録したが、2019年、2020年と増加に転じている。
・交通事故全体に占める単独事故の割合は記載が始まった1970年の7.30%から減少を続け、2018年には過去最少の2.62%を記録したが、2019年からは増加に転じ2020年には3.27%に達した。
・死亡事故全体に占める単独事故による死亡事故件数の割合は1985年が最多の27.26%だったが、その後減少に転じ2011年には最少の20.04%を記録。しかしながらその後増加に転じ2016年~2019年は25%前後で推移していたが、2020年には29.63%に増加し、死亡事故のうちの3割が防ごうとすれば防げたであろう単独事故によるものだった。
交通事故件数、単独事故件数とも昭和35年西暦1960年以降で最少を記録した2020年。しかしながら見逃せない数字がある。交通事故が100件起きるとそのうちの3件が車両単独で他は相手のある事故なのだが、死亡事故に限ると100件の事故のうちの30件が単独事故によるものという、いささか残念な数字がそれだ。
・単独事故を類型別にみると転倒は2008年の31.82%をピークに減少傾向にあったが、2018年から増加し2020年には過去最多の36.30%を記録した。2輪車の転倒事故が増加しているのが原因か。
・単独事故のうち2割強を占めていた路外逸脱による事故は年々減少を続け2020年には過去最低の5.62%を記録した。
・その形態を問わす交通事故で亡くなった方の数は第2次交通戦争期の1990年に記録した11,227人をピークに減少を続け2020年には4分の1の2,839人になったが、交通事故で亡くなる高齢者数は増加を続け2020年には70歳以上の死者数が全体の48%に達した。

自動車技術の発達で運転という行為自体が平易なものになり手軽に移動することができるようになった。交通体系の熟成が進んだ結果として交通事故件数が減少したのも間違いないところだろう。救急救命医療の発達が交通事故による死者数の減少に貢献しているのも明白だ。しかしその一方で、運転に対する危険意識が薄らいでいることはないのだろうか。
交通事故が減ったと言っても皆無になったわけではない。数字的に見れば単独事故そのものは年間1万件にすぎず、日常的に運転している人にとっても現実感が薄いかも知れないが、運転という行為をしている以上誰にでも事故を起こす可能性がないわけではない。相手がいる「車両相互」や「車両対人」の事故なら避けられない要素がからんでくるかも知れないが、避けようと思えば自分の意志で避けられたはずの「車両単独」の事故は起きるべきではないと考えている。
手軽さを気軽さと履き違えて自動車を自分の意志通りに自由に動かせると思い違いをし、運転という技術と集中力が必要な人間の行為を軽んじた結果、独り相撲で事故を起こしてしまっては本末転倒だ。自動車の便利さや楽しさを享受することは大いに奨励するけれど、人間より速く移動することができる自動車を操るのだから、畏怖の念だけはなくさないようにしたいし、してほしいと思う。

595-1
表1:全ての交通事故に占める単独事故の割り合い
および総死亡事故件数に対する単独死亡事故件数の割り合い
 
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595-2
表2:単独事故件数の推移および類型別単独事故の割り合い
 
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595-3
表3:単独死亡事故件数の推移および類型別単独死亡事故の割り合い
 
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595-4
表4:第1当事者から見た類型別死亡事故件数
 
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595-5
表5:年齢層別交通事故死者数の推移と割り合い
 
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※自動車保有台数とは自家用および事業用の乗用車、貨物車、大型小型特殊、特殊用途車、二輪車を含んだ数字をいう
※文中あるいは表中の交通事故死者数は24時間死者の数で事故後24時間以内に亡くなった方をさす



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