トム ヨシダブログ


第635回 魔の交差点 ?

自宅から滋賀医大病院までクルマで急ぐと1時間10分強。朝のラッシュに重なるともう10~15分ほどかかることがある。その元凶がこの交差点。

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交差するのが大動脈の国道1号線だから信号機のサイクルはそちらのほうが長いのはいたしかたないとしても(計ってはいないけど3倍はゆうに長い)、信号待ちの列に左折車が2台もいればまず1回や2回で交差点を渡ることはできない。

原因は他人のことと交通の流れを考えられないドライバーとクルマの流れをとんと意識できない歩行者が多いこと、信号機のシステムがあいまいだから。

写真のように南進では左折するとすぐに横断歩道がある。それでも横断歩道近くまで進んで歩行者が渡るのを待ってくれればいいのだけど、私は安全運転をしていますよ、とばかりに横断歩道から離れたところ、停止線のはるか手前で停止する人があとを絶たない。その後ろも左折車で、そのドライバーが後続車のことなど考えない人だともうだめ。最初のクルマとの車間をとりすぎるから進路をふさがれる格好になって直進車は身動きがとれない。
自分がこういう状況に遭遇したら、横断歩道手前の停止線ギリギリまで躊躇なく進んでクルマを止める。歩行者に近くなるからにらまれることもあるけど、横断歩道の幅は広いし歩行者を妨げているわけではないし停止線を越えることはしない。2台目や3台目に止まることになったら、前のクルマのドライバーにルームミラーを通してにらまれようと前のクルマにピッタリとつけて止める。何を言われようと、人よりも単位時間あたりの移動量が格段に大きいクルマの流れを促進することのに寄与するならばそのほうが合理的だ。

日本は歩行者優先がいわゆる常識でお題目なのだろうけど、クルマと人の共存を考えた場合、クルマの犠牲の上に立って歩行者が過剰に優先されている。歩行者はそれが当たり前だと思っているから始末が悪い。
かの信号でも、歩行者用信号が赤の点滅を初めてからならまだしも、赤になってから横断歩道に飛び出す人がいてクルマ側がその人を待つことになり、結局横断歩道の手前で待っていたクルマ1台しか左折できないこともある。その上、歩行者用信号が赤になると同時くらいに車両用信号が黄色点滅を始める。歩行者用信号が青である間は歩行者が気ままに渡ることができるから、まばらではあっても歩行者の横断が途切れない。今までの経験だと歩行者用信号が赤にならないと左折車が進めなかったことがほとんどだ。結局、左折車がいると1号線を横切れるクルマが数台という悲惨な事態になる。信号が青になってもなかなか発信しないご仁もいるし。

アメリカの歩行者信号は青になった次の瞬間に赤の点滅が始まる。つまり、原則的に信号待ちをしていた歩行者しか道路を横断できない仕組みだ。歩行者が多いであろうニューヨークではどうかわからないけど、すごく理にかなっている。歩行者用信号が青になれば信号待ちをしていた人に横断の優先権があるけど、その人、その人達が渡り終えればクルマに通行の優先権が移る。人とクルマ、どっちかはっきりしている。人とクルマが共存できる好例だ。

それに、アイドリング時のCO²排出量は走行中のそれよりも多いから、車両のCO²排出量を減らすにはエンジンをかけたままでクルマを止めている時間を短くすることが理にかなっている。前のクルマにつまって交差点を渡れないなんて回数が減れば、ガソリンの消費量も減らせるしCO²排出量も減らすことができる。今さら言うのもなんだけれど、アイドリングストップとかのデバイスの開発と並行してクルマの流れが滞るのを防ぐ手立てを始めるべきだったのではないか。
これは私見だし歩行者からブーイングがくるかも知れないけど、横断歩道の位置を左折したクルマが2台くらい止まれるくらい交差点から離れたところに移動するのもありだと思う。交差点の渡り方によっては歩行者が歩く距離が増えるかもしれないけど、歩行者優先と刷り込まれているからか、歩行者が歩いていると横断歩道との距離を開けてクルマを止め、後続のクルマが直進できずに次のサイクルまで待たなければならない例は枚挙にいとまがない。

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信号機の点灯サイクルは変更できるはずだから日本もやればいいのにとは思うのだけど、どんな場合でもグレイエリアが好き、と言うより、グレイエリアの住み心地が快適だと思っている日本人と日本の行政はやらないだろうな、と毒づきながら毎回、次の青信号で渡れるかなと悩ましい時間を送っている。自分自身も日本人だけど。(笑)



第633回 クルマの動かし方

ワインディングロードの下りのコーナーでクルマの向きが変わらずガードレールに一直線、という経験をお持ちの方は少ないかも知れないがいるだろう。
鈴鹿サーキットの130Rでインに巻き込んでスピン。最悪の場合クルマを壊した方もいるだろう。富士スピードウエイのコカコーラコーナーや筑波サーキットコース2000のダンロップコーナーでインに巻き込んでスピンしたことのある方も多いだろう。

峠道やサーキットに限らずどんな場面でも、そうするつもりは全くないのにそうなってしまうということはあり得ることだ。なぜならばクルマの動きは操作の結果であるからして、運転手が間違っていないと思ってやった操作が実は理にかなっていなかったり、あるいは慌てた結果クルマがいやがる操作をやってしまったとか、クルマの動きを感じることができないうちに操作したとか、クルマが思い通りに動いてくれなかった原因が100%運転手にあるのは明白。

そんな話、サーキットを走るつもりはないから、スピードを出しては走らないから関係ないと言う向きもあるだろう。きょうびのクルマは何げなく乗っても運転手の意思通りに動いてはくれるからね。だからサーキットは走らない、制限速度の範囲でしか走らないという人は間違った操作が原因で事故を起こす可能性は極めて低いかも知れない。

でもその人達は実にもったいないことをしているのに気が付いていない。

クルマの運転にはやってはならないこと、やるべきこと、やったほうがいいことがある。やってはならないことをやらなければクルマが言うことを聞かなくなることはまずない。やるべきこととやったほうがいいことを知識として持っていてそれを実行できればクルマはイキイキと動く。自分がクルマを動かしているという意識が高まるから運転が楽しくなるし、クルマを所有するという価値そのものが上がるというものだ。
それにも増して、クルマの性能を引き出す方法を知っていればクルマ側に余裕が増すことになるから相対的に運転中の安全率が高まる。どんな状況でもクルマを安定させて走ることができれば、クルマがバランスを崩す可能性が低くなり、速く走ろうと思えば速く走れるし、スピンやコースアウトとは無縁になる。

座学で理論的にクルマの動かし方を解説し、走行中にリアルタイムのアドバイスで参加者の操作を修正しやってはならないことを減らし、やったほうがいいことを増やすことを主眼に練習する。ユイレーシングスクールの受講をお勧めする理由だ。

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減速中のクルマの重心は前方に移動するから前輪の荷重が増える
荷重が増えるとフロントタイヤのグリップは高まるけど
相対的にリアタイヤのグリップは減少する
 
ガードレールに一直線は前輪に荷重がかかりすぎてタイヤの限界を越えたから
130Rでスピンしたのは
高速コーナーなのに後輪のグリップが足らない状態でターンインしたから
コカコーラコーナーやダンロップコーナーでスピンしたのは
短いコーナーなのに前のめりでターンインしたから
全て前後輪のグリップレベルに差があったから

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加速中のクルマの重心は後方に移動するから後輪の荷重が増える
荷重が増えるとリアタイヤのグリップは高まるけど
相対的にフロントタイヤのグリップは低下する
 
走ってくるクルマの前に割り込もうと駐車場から
ステアリングを切ったままスロットルを大きく開けて道路に飛び出し
対向車線にはみだしそうになってスロットルを閉じたものだから
今度はインに巻き込みそうになって慌てている人がいる
フロントタイヤのグリップが常にそこにあるとは限らない
そんな人こそユイレーシングスクールに来てほしい

※ 図のタイヤに網をかけてある部分は疑似的にグリップの大きさを表しています
※ 便宜上フォーミュラカーをノーズダイブ/テールスクワットさせていますが実際にはこれほどの姿勢変化はありません

 

◎ ユイレーシングスクール受講生募集中です。みなさまの参加をお待ちしています。
・1月29日(土) YRSオーバルレースFSW 開催案内と申し込みフォームへのリンク
・1月30日(日) YRSオーバルスクールFSW 開催案内と申し込みフォームへのリンク
・2月13日(日) YRSドライビングワークショップFSW 開催案内と申し込みフォームへのリンク
・3月19,20日(土日) YRSツーデースクールFSW 開催案内と申し込みフォームへのリンク
※ すでに初めてYRSに参加されるルーテシアシャーシカップに乗られるNさんが申し込んでくれました



第632回 23年目始動

ユイレーシングスクールの22年目はオリンピック/パラリンピックでFSWが4か月も使えなかったりコロナ禍の影響で参加者が減ったり、いささか元気のないシーズンでした。それでも21回のドライビングスクールを開催しました。内訳は次の通りですが、延べ311名の方が受講してくれました。
  YRSオーバルスクールFSW6回
  YRSオーバルスクールFSWロンガー2回
  YRSオーバルレースFSW3回
  YRS筑波サーキットドライビングスクール2回
  YRSツーデースクールFSW2回
  YRS+雑誌エンジンドライビングレッスン2回
  ポルシェクラブ東京銀座ドライビングレッスン4回

そんなわけですが今月末には23年目の活動を開始します。このブログをご覧のみなさまもぜひご参加下さい。

・1月29日(土) YRSオーバルレースFSW 開催案内&申込みフォームへのリンク
(YRSオーバルレースFSWはYRSオーバルスクールFSWに参加されたことのある方が対象です)

・1月30日(日) YRSオーバルスクールFSW 開催案内&申込みフォームへのリンク

 

YRSオーバルFSWロングを走ります

YRSオーバルFSWロングを走ります

日本で最も敷居の低いモータースポーツです



第630回 新年

明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

ところで、年末に高齢者講習に行ってきた。

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一番乗りで講習会場の大津市堅田にある真野自動車教習所へ

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受付で手数料5,100円を払って教室へ
一昨年から講習時間が3時間から2時間へと短くなったらしい
最初の30分は安全運転にまつわる講義
休憩をはさんで適正検査
視力と動体視力と視野を測定
次いで実技

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遠くに蓬莱山が見える住宅地にある真野自動車教習所
 
16歳の時に平針運転免許試験場で軽免許の実技を一発で
18歳の時に松橋運転免許センターで普通免許を一発で合格したから
自動車学校には行ったことがないので自動車教習所を走るのは3回目
 
実際の道路との乖離がとはここでは言わないけれど

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教習車
 
実技は1時間割り振られていたけど
教官1人で3人の受講生を担当するので待ち時間のほうが長い
ボクより若いのに誕生日の関係で先に高齢者講習を受けたスタッフのOが
教官1人と受講生3人が乗ってと言っていたけど
今はコロナ禍なので教官と1対1にしてるらしい

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講習会修了書
 
これで免許証の更新ができる
と言っても早くて4か月先だけど

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そうそう
 
スムースに運転しますねウィンカーの出し忘れがないのもいい
運転に慣れてますね
ハンドルさばきがいいし特にブレーキがいいですね
ほとんどの人がカックンブレーキなんですよ

 
と褒められたことを特筆大書しておこう
 
運転は好きですかと聞かれたから
大好きですと答えておいた
 
ちなみに視野検査では40代だからとりあえず
目指せユイレーシングスクール25周年 かな



第626回 悩ましい

この22日で新東名高速道路の浜松いなさ~御殿場間が全線制限速度120Kmで走れるようになって1年。  さて、

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クルマは移動のための道具であるとの側面が強いから効率良く使いたいと強く思ってきたし、そういう使い方ができるように努力してきたつもりだ。

で、クルマにまつわる効率と言えば時間とコストが真っ先にあげられる。A地点からB地点に移動するのが目的ならば所要時間は短いほうがいい。A地点とB地点の物理的距離は縮まらないけど、速く目的地に到達することができれば移動以外の時間的拡大が可能になる。一方でA地点からB地点に移動するためのコストは安いに越したことはない。移動にかかるコストを抑えることができれば経済的な余裕が生まれるから、その分を他の生産性向上に回せる。速さとコスト。この両方の効率を高めたいとずっと思ってきたのだけど。

しかし内燃機関を動力とする自動車は本来、移動の速さと移動のコストを同時に追い求めることが難しい類いの道具だ。クルマ自体が重いしタイヤは転がり抵抗を生じながら回っているし、クルマはもろに向かい風を切り裂いて走っているわけで、速く走らせるということはクルマにそれだけ大きな推進力を求めることになる。つまり、スロットルを開ける量を増やさなければならない。しかも、転がり抵抗にしても空気抵抗にしても速度の二乗に比例して大きくなっていくから、クルマを速く走らせれば走らせるほどエンジンの負担は増加し燃費は悪くなっていく。だから、あの日が来るまでは速さとコストを天秤にかけその都度妥協点を探ることを常としてきた、ずっと。

ところが昨年12月22日。新東名浜松いなさICと御殿場IC間の完全6車線化が完了し制限速度が一律120キロに引き上げられた。これはこれで喜ばしいことではある。それまでは後ろめたい気持ちで速さを手に入れていたのに、この日から合法的にある速度までは速さを追求できるようになったのだから。

しかし、この日を境に悩ましい日々が訪れる。

長距離の移動と言えば富士スピードウエイや筑波サーキットで開催するドライビングスクールに出向く時や東京に住む母をご機嫌伺い行く時なのだけれど、基本的に移動する時のテーマは「できるだけ速くかつ省エネ」だ。優先するのは速さだ。その上で許容できる程度の燃費を維持できるのが理想だ。

で、かの145Km区間を初めて走り切った時、確かに所要時間は目に見えて短くなったけれど、同時に燃費が思いのほか低下していた。

『えっ‼』だった。

それ以降、新東名に乗るたびにいろいろな走り方をしてみた。クルマも異なれば風向きも違っただろうから一概には言えないけれど、結論として『制限速度の引き上げをもろ手を挙げて歓迎している場合ではないな』と思ったものだ。

昔から発信加速をどうすれば燃費にいいのかとか、定速で走っている時にどこまでスロットルを抜いて速度を維持できるかとか、あれこれ燃費を向上させる方法を模索してみたけど、高速道路に関しては速さが優先事項でその上で燃費が良ければ、というスタンスだった。で、高速道路ではできるだけ速度を一定に保ち、流れを先まで読んで無駄なブレーキは使わず、上り坂は中間地点で制限速度になるようにスロットル一定で走るようにして、それなりの燃費を達成することができていた。

ところがである。同じような走り方をしても巡航速度が20キロ近く上がった結果、手に入れた速さを単純には喜べないほど燃費が低下してしまうことに気が付いた。これは誤算だった。もちろんコスト度外視で速さを求める手もあるけれど、やはりものには程度がある。リッター当たり13キロは最低でも確保しないと、出費が惜しいわけではないけど=少しは惜しい気もするけど、移動の速さを手に入れるためとは言え矛盾が生じる。

で、これはあくまでも想像で検証したことはないしするつもりもないけど、クルマの空気抵抗はだいたい110~115キロぐらいで急激に増加し始めるのではないかと考えた。

空気抵抗はCD値X前面投影面積X速度の二乗で求められると言うけどCD値は乗用車なら0.3ぐらいだろうし、メガーヌRSとルーテシアⅢRSの全幅X全高を比べても4%ぐらいの差しかないし、結局は上昇した速度が走行抵抗に大きく影響しているのではないか。むろん高出力なのに前面投影面積が小さいクルマや空気抵抗係数が極端に小さいクルマには当てはまらないと思うけど、一般的なクルマだとこのあたりで速度の二乗に比例し加速度的に大きくなる空気抵抗に抗うため、エンジンが我々が思っている以上に頑張り始め、その結果予想以上に燃費が低下したのではないかと想像したわけだ

あぁ悩ましい。選択肢は自分の手の中にあるとは言え、速さをとるのかコストをとるのか。できればどちらも手に入れたい。この1年間の経験を元に理想的なクルマ移動の方法を模索する日々が続きそうだ。

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空いていれば第1車線でも120キロで巡行できる

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120キロで巡行していてもかなりの速度差で追い抜いていくクルマがある
このシーンでの速度差は10キロではすまないはず

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そういったクルマはずっと追い越し車線を走り続ける

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メーター読みで100キロの時
GPS内蔵の速度計の数値は96キロ

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同じくメーター読み120キロの時には115キロ
速度を上げれば上げるほど誤差が大きくなる傾向にある

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メーター読みで118キロということは実車速なら112キロ程度か
クルマはともにメガーヌRSトロフィー

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ある程度速さをあきらめるとかなり燃費が良くなることを経験的に知ってはいるけど
速さを抑えると雑多な交通の流れに奔騰されることも知っている

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ルーテシアⅢRSのモニターに平均燃費を呼び出す
9.1リッターで100キロを走る
つまり10.99Km/ℓ
どんなに速く走ってもここまで悪くなることはない

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120キロで巡行中にスロットルを抜き気味にして速度を維持した場合

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120キロで巡行中に右足に集中しないで速度を維持した場合

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おだやかに加速しても
増える走行抵抗に抗うためにクルマへの負担は増える

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なんちゃって7速パドルシフトのフィットRS CVTだと

 

※ 助手席から撮影した写真以外はウェアラブルカメラで撮影したものです。

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第625回 モノの見方

スタッフのFからメールが届いた。

意外なところで運転の話にでくわしたのでお報せします。上原浩治という引退したプロ野球投手がユーチューバーをやっているのですが、おなじく引退した審判を招いての会話の中で、運転の話が出ていました。さもありなん、という話です。

・教えてもらったYouTubeの運転にまつわるところを抽出したのが次の動画

・対談のフルバージョンは こちら です。


第622回 こういう人がいるとは ‼

大阪狭山市のスーパーでの事故。パーキングブレーキをかけて停車していなかったことが暴走の原因ではないかという意味の報道があったけど、ATのセレクタをDレンジに入れたままフットブレーキだけでクルマを止めていたということか。ならば足の力を抜けばクルマが動き出して当たり前。駐車するならPレンジに入れるのが正しいクルマの使い方。その上でパーキングブレーキをかける。クルマは扱った通りに動く。横着はいけない。クルマに罪はない。

クルマの運転をなめないでいただきたい、心からそう思う。



第620回 来た~ぁ‼

ムフッ!
楽しみ。
実技があるらしい。

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第605回 リジェンドクラブカップレース生中継

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YouTube「Inter Proto Series x KYOJO CUP CHANNEL」で
9月26日(日) 15時30分~15時55分の間
『AIM Legend’s Club Cup 2021』レース
がライブ配信されます

 

リジェンドクラブカップレースはモータースポーツ界で活躍してきた名ドライバー達がVITAというマシンで戦うワンメイクレース。今回は最高齢87歳の多賀さんを初めとする17名が参加予定。お遊びではなく本当の本当の真剣勝負に参加するドライバーの平均年齢は72.7才です。みなさん競技ライセンスもお持ちです。驚いて下さい。

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AIM Legend’s Club Cup 2021 エントリーリスト
お名前を耳にされた方もいると思います
ぜひご覧下さい

 

いささかこじつけがましいのはわかっているけれど、レースともなれば危険が伴うというのが定説。なのに、なぜリジェンドドライバーたちは丁々発止のレースをしても事故を起こさないのか。
ひとつだけ答えを探すとするなら、それはクルマの動かし方を体と頭で理解しているから、になるだろう。この方達がその昔クルマを動かすことに一生懸命だったのは想像に難くない。どうすれば人より速くクルマを動かせるか頭を使い仮説を立ててそれを検証し、その結果として、運転していて次に起きることがあらゆる場面で連続的に読めるようになり、間違いのない対応をとることができるようになったからだと思う。

そして、加齢だけが高齢者交通事故多発の要因ではないとも思っている。確かに若者より年寄りのほうが事故を起こす可能性は高いだろうけれど、若者が無事故なわけでもない。高齢者でも事故とは無縁の人もいる。筆者が高齢者マークだからいきおい年寄りの話題が登場することにもなるけれど、今若い人もいずれは歳を取る。歳をとっても安全に思うようにクルマを操る人達がいる。運転というものは一生ものだ。早いほうがいいに決まっているけど、だからと言って遅すぎるということはない。今や高齢ドライバーの仲間入りをした名運転手同士のつばぜり合いを見ながら、これから自分が運転とどう向き合っていくかに思いを巡らすのも悪くはないと思う。

#リンク #ブログ #高齢者 #運転 #安全運転 #事故
・第556回 高齢者安全運転診断サービス その後
・第566回 高齢者と運転
・第579回 レーサーだって歳をとる!
・第597回 令和2年版交通統計から見えてくるもの

 

※ レジェンドクラブカップレース広報資料



第599回 確信と憶測

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やはり天候が不順なのだろう今年は雨のスクールが多い
雨と言ってもそぼ降る雨ではなく豪雨+強風
YRS鈴鹿もエンジンドライビングレッスンもYRS筑波も
 
それでも参加者は冠水した路面をものともせず
確信を持って十二分に速いペースで
クルマを操っていた

 

ユイレーシングスクールではスクールの始まりに必ず座学を行うのだけど、雨のスクールでは特に強調して伝えることがある。

『 雨だから滑ります。ズルッとくるかも知れません。だからと言って慎重になりすぎるのは得策ではありません。みなさんが走っていてズルッとくる時は、例外なく前か後ろどちらかの2輪が流れています。それは2輪だけ流れるような操作をしているからです。今日はどうすると2輪ではなく4輪を流すことができるかを意識してみて下さい。秘訣は滑りやすい路面ではトランジッションを大切に、明確に行うことです 』。

言うまでもなく雨の日に陥りやすいスピンやコースアウトは、前者はリアタイヤがフロントタイヤよりも、後者はフロントタイヤがリアタイヤよりも余計に流れることで起きる。流れるということは、後ろなり前なりどちらかの両輪が路面をつかむ力が不足している=グリップが不足していることになる。そして、スピンやコースアウトが起きるのはコーナリングの始まりに集中しているのを経験的に知っている。

で、なぜそうなるかはここでは省くが、仮にフロントタイヤとリアタイヤの流れる量が同じだとしたら、コーナリングの軌跡は変わる可能性はあるがスピンやコースアウトは起きないだろう、と推察できる。そうあくまでも推察だ。次に、4輪に均等な仕事をしてもらえる状態にしてからターンインすれば、流れたとしても流れる量は4輪とも同じになるのではないか、そうすれば少なくともオーバーステアやアンダーステアにならずにすむのではないかと想像できる。さらに言えば、コーナリングを始めたクルマの荷重は直後に外側に移動し始めるけれど、可能な限りアウト側の前後輪同士、イン側の前後輪同士の荷重に差が生まれないような操作ができれば、オーバーステアやアンダーステアとは顔を出さずにすむはずだ、という結論に達する。

そこで、加速➡減速➡ターンインの流れにあって、クルマは直進状態で進んでいるのだから、まずターンインの前に前後輪のグリップが均等になるな時間を設ける。4輪が等しく路面をつかまえることができる状況を作る。加速中も減速中も前後輪の荷重が異なっているからグリップにも差が生じている。それを自身の意識である瞬間に前後輪の荷重が均等になるように操作をする。その状態と時間が速い速度でのターンインを可能にする肝になる。トランジッション。

速さを追いかける前に、コーナーの大きさや速度に関わらずターンインする前にクルマを必ずフラットにすることができさえすれば、それが根拠となる。自分がそうしているのだから、2輪だけが流れる可能性は限りなく低いはずだという拠り所になる。それを、少しばかりゆっくりとしたペースから始めて徐々にペースを上げていけば、自分がトランジッションを意識しているのだから、速い速度でターンインしてもバランスを崩すことはないという確信に変わる。タイヤがズルッときても4輪が流れることになるので流れる速度は遅いし、流れる量も2輪だけに比べて極端に少なくなる。経験するとわかるけど、4輪が流れている状況というのは、流れているのを察知できないほど穏やかだ。だから、意図的に流れるであろう速度でターンインして限界を探ることすらできる。もちろんさらに速い速度になれば、クルマはコーナリングをしながらプラスマイナスのヨーイングを起こすことになるから、クルマの動きはもう少し複雑になる。けれど、ペースを上げてもターンインでアンダーステアもオーバーステアも出さずにクルマを曲げることができるようにならなければ、その領域を覗くことは不可能だ。

路面に水幕が張るようなコンディションの中、運転の手続きを省かなかった人たちは、こちらが心配になるぐらいの速さでコーナーにアプローチしていた。

雨の日に限らずスピンやコースアウトをする人は、その人が十分速く走っていても走っていなくても根拠のない操作をしている場合がほとんどだ。言葉を換えれば、行き当たりばったり、あるいは出たとこ勝負ということになろうか。盲目的に速さだけを追いかけている、と言ったら言い過ぎか。
漠然とした速さだけを追いかける大丈夫だろう運転ではうまくいく時もあればいかない時もある。憶測でクルマを走らせているからだ。けれどクルマは道具だから使い方がある。あてずっぽうに操作しても思い通りには動いてくれるわけがない。スクールでは何度でも言う。『 何人もクルマの速さ以上に走ることはできない。速く走りたければ、まずクルマの性能を引き出すことに腐心すべきだ 』 と。

運転操作には根拠が必要だ。なぜそうするのか。なぜそうしてはいけないのか。なぜそうしたほうがいいのか。まずは4輪自動車の運動特性を理解することが大切だ。クルマを速く走らせたいと思うのなら、こう言うと若い人には嫌われるかも知れないけど、まず自分を律することだ。クルマが動く仕組みを理解し、動いているクルマの挙動を感じ、その上でどんな場面でも自分は理にかなった操作をしているとの確信が持てるようになれば、我々が想像するより高い性能を発揮し目的をかなえてくれる。クルマとはそういう乗り物だ。

 

9月16日(木)に筑波サーキットコース1000で速いターンインを実現するための練習、イーブンスロットルとトレイルブレーキングに特化したプログラムYRS筑波サーキットドライビングスクールを開催します。4輪を使ったコーナリングを会得するために参加してみてはいかがですか。

・YRS筑波サーキットドライビングスクール開催案内&申込みフォームへのリンク
・ユイレーシングスクールの感染対策