トム ヨシダブログ


第170回 プレシーズンセール開催

今回はまんまユイレーシングスクールの宣伝です。

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ユイレーシングスクールは実際のスクールで理にかなった運転がどういうものなのかお伝えしていますが、それ以外にもいろいろなコンテンツを用意しています。今回紹介するYRS座学オンCDもそのひとつです。

桶川スポーツランドで初めてのスクールを開催してから筑波サーキット、浅間台スポーツランド、成田スポーツランドと活動の輪を広げ、富士スピードウエイ、鈴鹿サーキットでも開催、最近では和歌山や三重や徳島でもドライビングスクールを開催しました。

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しかしながら「九州ではやらないのですか?」とか「筑波は遠いのですが」といったメールをいただくこともあり、なんとかドライビングスクールに来るのが難しい方々にも理にかなった運転のいろはをお伝えできないか、と考えたあげくに作ったのが今回紹介するYRS座学オンCDです。
で、実際のスクールに来れない方にも同等の情報を提供したいと思っていたら、最終的には音声だけの5時間30分のCDになってしまいました。

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ですが収録されている内容はクルマの運転に役に立つことばかりです。運転技術に後退はありません。学ぼうとする限り向上していきます。将来のため、明日のために聞いてみてはいかがですか。

そのYRS座学オンCDのプリシーズンセールを行ないます。以下の申し込みフォームに記入の上で送信。3日以内に料金をお支払い下さい。

プレシーズンセール期間:2016年1月4日(月)から9日(土)
価格:通常送料込み4,500円のところ3,990円(消費税込み)
発送:セール期間に申し込まれた全数を14日(木)にクロネコネコポスでお送りします。

※ 振込先:ジャパンネットバンク スズメ支店(002) 普通預金 2047309 有限会社ユイレーシングスクール

・YRS 座学オンCD 購入申込みフォーム

参考のために収録されている音声の一部を聞くことができます。数字をクリックすると再生が始まります。

[6] 道具を使う
[11] アンダーステアとは
[12] オーバーステアとは
[32] こんなことがありました
[42] 運転の決まり
[49] ドライビングポジション
[53] 試してみましょう
[59] こんなことがありました
[63] 加速の意味

行頭の数字がテーマです。テーマは全部で124あります。全てのテーマをご覧になりたい方はYRS座学オンCDのさわりをご覧下さい。


※ YRS座学オンCDはmp3フォーマットで録音しています


第166回 ルノー・スポール スペシャリストディーラー研修

ずっと晴天がつづいていたのに、『よりによって雨だよ』となった11月9、10日。筑波サーキットで行なわれたルノー・ジャポンのルノー・スポール スペシャリスト ディーラー研修会にインストラクターとして参加した。
昨年11月のFSWでの研修に続いて2回目。「販売する人にも、クルマの面倒を見る人にももっと運転を楽しんでほしいから」とは、ルノー・ジャポンのTさん。それでユイレーシングスクールのカリキュラムを体験してもらうことになった。いわばルノー版YRSツーデースクール。

全国からルノー・スポールのスペシャリストとテクニシャン41名が筑波に集合。1日目はジムカーナ場にパイロンで作ったオーバルコースでコーナリングの練習。「あと5キロ高い速度でターンインして下さいねぇ」、「ブレーキをあとパイロン1本分引きずってぇ」、「速度を落としすぎるとクルマがロールしませんよぉ」と次から次へと愛のムチ(笑)でせかされながら、全員無事にカリキュラムを終了。

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夕方になって雨がポツポツ。真っ暗な中でコース2000の照明とヘッドライトだけを頼りに走る、走る。
滑るからクルマがよく曲がる! 面白い、面白い。

前回は日程の関係で1日目にショートコースを走り2日目にオーバルコースを走ることになったのだけど、今回はYRSらしく2日目がサーキット走行でコース1000へ。2回目ということもあるのだろうけど、リードフォローで遅れると指差されたこともあるのだろうけど、オーバル練習の効果てきめんでウエットなのにも関わらず全員がスロットルペダルを床まで踏んでいた。朝から雨で憂鬱そうな顔はどこへやら、走り終えればみんな笑顔。

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全員がコース1000を走るのが初めて。スタッフの先導でリードフォロー。遅れると指差されるは、腕をグルグル回してあおられるは、路面は濡れているは。それは、それは楽しい時間でした。

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雨は1時的にやんでもまた降り出す。降っている時間のほうが長い。走り始める頃には池はなくなったのが幸いと言えば幸い。

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コースに慣れたところで、次は

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ルーテシアRSトロフィーに乗ります。

クルマを購入する人に最も近い位置にいるみなさんが腕をあげていくのを見るのはとても、とても嬉しい。今回参加されたみなさんもそれなりに楽しめたと思う。もっと楽しむことに貪欲になってほしいし、その楽しさをもっと広めてほしいと思う。所有欲から使用欲への転換。ユイレーシングスクールが目指すところです。

クルマはただ移動に使うだけではその価値がわかりません。運転を楽しもうとすると見えてくるものがあります。

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参加されたみなさんの順応性は高いから、もっと楽しもうと思うともっと高くなる。





【スペシャリストディーラー研修に参加されたみなさんへ】
最近、クルマを買った方にユイレーシングスクールを勧めてくれるポルシェのディーラーがあります。勧めに乗って受講したその方、クルマの魅力を再発見。大喜びでした。
ユイレーシングスクールの宣伝をするつもりは、あるんですけど、カングーでもキャプチャーでもタイヤが4本ついていれば、基本同じです。よろしくお願いします。


第165回 ルーテシアRS YRSストリートを駆ける

3つ目のユイレーシングスクールオリジナルパイロンコースがYRSストリート。既に紹介したYRSオーバルロンガーとYRSトライオーバルが時計回りか反時計回りのどちらかのコーナーを徹底的に練習してもらうために考えたのに対し、YRSストリートは左右のコーナーがあるロードコースを模したレイアウト。

どこのサーキットも理論的な攻略法方があるし、どんなコーナーでも練習に役立つのだけれど、『こういう練習をしてほしい』というコーナーに出会うことはまれ。で、ユイレーシングスクールが教える操作方法と、走り方の組み立て方を練習しやすいようにレイアウトしたのがYRSストリート。

速いクルマで全開で行くと1mぐらい横に飛ぶ3速全開のコーナーや、早めにインにつくとタイムが伸びないコーナーや、1速に落としたくなるようなヘアピンや、アウトインアウトで走ろうとすると失速するコーナーや、速度の最下点をどこにするかで脱出速度が大幅に違うコーナーがあって、しかも次から次へとコーナーが現れるから考えて走っている時間がないという、練習にはうってつけのレイアウトにしたつもりだ。

今年最後のYRSドライビングワークアウトの時に、参加者のIさんのポルシェ911にカメラを取り付けてルーテシアRSを追いかけてもらった時の動画がこれ。
※ Iさんありがとうございました。

来年もYRSドライビングワークアウトを開催する予定なので、ぜひ皆さん走りに来て下さい。速い人は1周38秒で走るYRSストリート。1日で2秒タイムアップするアドバイスを約束します。


第163回 KさんとメガーヌRSトロフィー

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YRSオーバルを走るKさん

先日のYRSオーバルスクールに大阪のKさんが申し込んでくれのだけど、申し込みフォームを見て、「あれ? フェアレディじゃないね。クルマ換えたのかな」。
Kさんは2014年9月のエンジンドライビングレッスンに初めて、はるばると大阪から参加してくれた。しばらく間が空いて、今年4月、鈴鹿ツインサーキットで開催したYRSドライビングワークショップ鈴鹿にも参加してくれた。どちらもすばらしく速いフェアレディに乗ってこられたので、てっきり今回もそうだと思い込んでいた。

そして。YRSオーバルスクール当日。Kさんは、秋空の下でまばゆいばかりに輝くメガーヌRSトロフィーで現れた。

で、「フェアレディを乗りこなしたいからスクールに来た」と言っていたハズのKさんに後日、イキサツを書いてもらったのが以下の文。

『 確か46年前の大阪モーターショーに、サファリラ リーで優勝した初代フェアレディーZが展示してありました。その姿には、とても感動を覚えました。周りをロープで囲まれて、「入るな」「触るな」の状況で、見張りのいない時に乗り込んでつまみ出された思い出があります。思いの外極めて狭い一体成型のプラスチックの硬いシートで、当時50kg程度の細身の骨格の私ですらきつく感じたのが印象的でした。つまみ出されたが故に、何が何でもいつかZを 手に入れるぞ、という思いをこの40年抱き続けました。子供も大きくなって、60歳にしててやっと夢がかない、一生乗り続けるつもりで40周年記念車を手に入れました。

 去年の9月に、”いつかは参加したいと思っていた”,「エンジン」のドライビングレッスンにZで参加、トム吉田校長に出会って、指導を受けました。 シートポジションは、かなり前に変わりました。このポジションになってから運転中の腰痛がなくなりました。ニーパッドの使い方を知ったのもこの時でした。教科書を読んでいなかったので、トレイルブレーキングやイーブンスロットルのことはほとんど理解できなかったものの、家に帰って ブログや教科書を読んで、何とか理解しました。が、実践しないとわからないじゃないですか。。それで、和歌山と鈴鹿ツインサーキットのスクー ルに参加しました。和歌山で「ブレーキを蹴とばすな」と怒られたのですが、意味不明でした。鈴鹿でブレーキ練習をして、やっと意味するところ を理解できましたが、咄嗟の時にはまだ蹴とばしています。日々の練習が非常に大事なのがよくわかります。なかなか無意識にうまくブレーキが踏めません。オートマのZはVDCが効いている時には、パドルシフトが作動しない事に、鈴鹿で初めて気が付きました。VDCを切ると、私の腕ではいつスピンするかわからないので、切ると恐ろしい。

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ルーテシアRSで参加したSさんと記念撮影

 金沢が好きで、時々行くのですが、Zでは冬には行けない。冬には、とてもおいしいカニのおでんがあるらしい。冬のノド黒の握りずしも食べたい。冬に走れる車、できれば3人は乗れる車、後方視界(Zは特に左後方が見にくいので、だいぶ前からいつか事故につながるのではと不安でした)のいい車が欲しくなりました。校長のブログを読んでいると、ルノーはとてもいい車に思えるじゃないですか。”エンジン”の副編集長、塩澤さん(ドライビングレッスンの時には迷子になってしまって、電話した相手が塩澤さんで、”エンジンの長期レポート・メガーヌRS ”は何度も読み返しています )の「メガーヌRSは、FF、戦闘機」の表現も、私を鼓舞しました。で、試乗。広さを考えるとメガーヌしか選択の余地がなかったのでRSを試乗しました。6年ぶりのマニュアル(Zの前はス カイラインクーペのマニュアルでした)も、すんなりと違和感なく使えるではありませんか。見切りもいい。アイドリングストップなどというものまで付いています。仕事の都合で外車はちょっとということもあって、ベンツでもBMWでもポルシェでもない、ルノーなら? Zを手放すことには、かなり迷いましたが(今でも駐車スペースに余裕があれば残しておけばよかったと思っています)、ルノーに決めました。シートの質感から、トロフィーに目が行きました。サーキットより普段乗りの方がはるかに多いはずなので、SやRの超扁平タイヤは無理、迷うことなくトロフィーに決めました。

 この6月にメガーヌがやってきて、3度金沢に行きま したが、体の疲れ方がまるで違いますし、腰痛もありません。色々あるそうですが(私の乗ったルフトハンザのシートもそうでした)、このレカロ のシートはとても私の体に合っています。SONYヨー ロッパのオーディオも低音は出ないもののとても音がいいです。慣らし運転中だったので、RSスイッチも入れなかったので、燃費もいいです。色は黄色ですが、目の悪くなった年寄りには愛車をとても見つけやすくて、重宝しています。 』

以上、原文ママ。

>>>>>> Kさんへ
メガーヌを手足のように操れるようになるまでお付き合いさせてもらいますから、また遊びに来て下さい。

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本当にすがすがしい秋晴れの一日で、もったいないから黄金に輝く2台を連れ出した時のビデオがこれ。

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前日。コースを作る前にいつものところに行ってみたのだけれど・・・。
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爆弾低気圧が通過した直後だっただけに、富士山の全貌は見えず。残念。

それでも四季のある日本は嬉しいよね。


第162回 ルーテシアRS走る 2

レースに参加したいと思っている人も応援したいからレーシングスクールと名乗っているけれど、基本は安全にクルマを動かすための知識と操作の手順を提供することがユイレーシングスクールの目的。
だから、走って気持ちのいいサーキットではなくて、あえて広場にパイロンでコースを設定し、1周にかかる時間を短くして反復練習をしてもらっている。

運転操作には再現性が重要だから、単位時間あたりの移動距離が長いサーキットでは操作とクルマの挙動の因果関係を検証しながら修正し続けることが難しい、という理由もある。

ユイレーシングスクールでは近年、3種類のパイロンコースを使っている。ひとつが前回紹介したYRSオーバルロンガー。今回紹介するのがYRSトライオーバル。ヘアピン、3速全開のコーナー、回り込んだディクリーシングラジアスのコーナー。3種類の異なる特性のコーナーを「できるだけ速く」をテーマに繰り返し走ると、運転操作でやってはいけないことと、やるべきことと、やったほうがいいことの仕分けが進む。

初めてYRSトライオーバルを走る受講者に、事前に送って予習をしてもらうためのビデオがこれ。

臨機応変に対応できる運転を目指したい方は、YRSトライオーバルを体験することをお勧めします。


第161回 ルーテシアRS 走る

SnapShot(15)

1周20秒の間に2回も、加速減速旋回の練習ができるYRSオーバルロンガー。半径22m、直線130m、幅員14.1mのパイロンで作ったコースは、YRSオーバルスクールとYRSドライビングワークショップとYRSツーデースクールで体験することができる。

とてつもないエネルギーを抱えるクルマの方向を変えるということは、クルマにとってはストレスを溜め込むことに他ならず、もちろん人間にとっても難しい作業だ。けれどクルマの性能は我々が想像するよりはるかに高いから、クルマが求める操作の手順を覚えてしまえば、クルマが自動的に曲がってくれるようになる。だから自動車。

オーバースピードでコーナーに入ってもアンダーステアが顔を出すでもなく、リアタイヤをうまく使うことができれば十二分に速い速度でコーナリングすることができる。
※だから、結局のところ速度を控え目に走った場合には、安全性がグッと高まるという理屈だ。

ユイレーシングスクールでは単純なレイアウトだけど、否、だからこそ奥の深いオーバルコースでの練習を積極的に取り入れている。
ルーテシアRS シャーシスポールの懐の深い足は、手順さえあっていれば無類のロードホールディングを発揮してくれる。

そんなシーンをイメージしてもらおうと作ったのがこのビデオ。途中からスローモーションになって、最後にはアップになるのでぜひご覧いただきたい。

過去に掲載したYRSオーバルロンガーに関する記事もある。こちらも目を通していただければと思う。
・YRSオーバルロンガーを走る
・YRSオーバルロンガーを裸にする
安全に快適にクルマを走らせたい方は、一度YRSオーバルロンガーを体験することをお勧めします。


第159回 YRSドライビングスクール阿讃

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明石海峡大橋を渡り

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淡路ハイウエイオアシスから本州を望み

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大鳴門橋をわたり

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阿波パーキングエリアでひと休み

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高速を降りて東みよし町の山あいに分け入り

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阿讃山脈を駆け上がり

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阿讃サーキットに到着

5月4日にルノーネクストワン徳島が主催した走行会のお手伝いをした時、会場となった阿讃サーキットがいたく気に入った。

阿讃サーキットは1周1004mと長くはないし、エスケープゾーンはほとんどないに等しい。アップダウンに富んでいてすごく面白いけど、コース後半の下りは回りこんだコーナーの連続で速度は乗らない。路面も決してスムースとは言えない。

なのになぜ気に入ったかと言うと、考えていては速く走ることができない、からだ。
次から次へと迫り来るコーナー。ブレーキングゾーンが登っていたり下っていたり。走行ラインを間違えると立ち上がりが苦しくなったり。1周50秒ちょっとの間、瞬間瞬間で反応して走ることを求められる。まさに、スポーツドライビングに求められる「無意識行動」を養うのには絶好のレイアウト。

あらゆる区間でクルマの性能をキチンと発揮することができないと、単位時間あたりの移動距離が短いから速く走れない。クルマをキチンと動かすために理にかなった操作が必要だけど、それが自然に身につく。大きなサーキットを走った時の爽快感はないかも知れないけど、運転というものが分かっているかどうか確認するにはうってつけ。

そこで、無謀にも連休の中日に四国初のYRSドライビングスクールを試験的に開催してみた。
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まずは記念撮影

集まってくれたのは75歳のMさんを初めとする10名。阿讃サーキット経験者が5名、サーキット未経験者が3名。快晴ではない代わりに暑くもない1日、多い人は130周近く阿讃サーキットを走り回った。

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メガーヌRSで参加のFさんがストレートを駆け上る!

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Fさん1コーナーに飛び込むの図

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ルノーネクストワン徳島のIさんも元気、元気

もちろん、走行の合間にはアドバイスをしたり質疑応答をしたのだが、この日、一皮むけたのは阿讃サーキットを走りこんでいる最年少25歳のOさん。

あるセッション中に異音が発生したとかで、調べるとエアコンのコンプレッサーからと判明。悪化させたくないから走行をやめると言うOさんに、無理ではなければベルトを外して走ってみないかともちかけた。パワーステアリングのポンプも回しているベルトだから、当然ステアリングにアシストは期待できなくなる。けれど構造上の問題はないし、せっかくのスクールなのだからと。

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ピットで出番を待つOさん

ベルトを外してコースに出たOさん。戻ってくるなり、「重~い」。で、「じゃぁ、次のセッションではこうやってステアリングを回してみては?」とアドバイス。それで、だいぶ重ステに煩わされることがなくなったようだ。

で、最後のセッション前。ガソリンが少ないから走らないというOさんに、「ならば、こうやってセッションを走ってみてはどうだろう」と提案した。

全ての走行が終わり全車がピットに戻ってきてからOさんに「どうだった?」と聞くと、「これまでのベストタイムを更新しました!」。「やったじゃない」。握手を求めた時のOさんの笑顔が忘れられない。

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IさんのルーテシアRSとFさんのメガーヌRSとパチリ

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楽しければ速い遅いはどうでもいいんです
サーキット未経験者も最後には「粋に」クルマを走らせてました

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標高が高いのでパドックにはもう秋の気配

う~ん、運転は楽しいし面白い。


第157回 エンジンドライビングレッスン

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エンジンドライビングレッスンの朝は早く7時集合

エンジンという雑誌があって、男が憧れるクルマや時計やファッションがこれでもかと載っていた。
あくまでも個人的な意見だけど、ことクルマに関しては所有するだけではもったいない、というのが持論。

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仲間が参加していたのでパチリ

だから、憧れのクルマを手に入れた人が飾っておくだけでなく、そのクルマを使い倒せる場所を提供しましょうよと編集部に提案した。
企画書の題名は『所有欲から使用欲への転換』。
読者限定の企画として開催する意義は大きいとなって、2003年に第1回目のエンジンドライビングレッスンを開催した。

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村上編集長がドライビングレッスンの主旨とクルマを楽しむ極意を語る

あれから12年。9月3日に52回目のエンジンドライビングレッスンを無事終了。

リピーターが多くもう何年も通ってくれている人も多い。1回目から30回近く来てくれているYさんは、当時に比べて12歳も年をとった。

一方、初めてエンジンドライビングレッスンに参加してくれる人も増えている。今回は29名中10名が初めてオーバルコースでイーブンスロットルとトレイルブレーキングを練習した。

ユイレーシングスクールのカリキュラムと同じで、おべんちゃらは言わないけれどどうすればクルマを思いのままに動かすことができるか、そのコツは徹底してお話している。

遠く山形から初めて参加してくれたルーテシアRS乗りのKさんもそのひとり。時々二本松にあるエビスサーキットを走っているそうだけど、エンジンドライビングレッスンに参加してクルマの動かし方がわかった、と嬉しい一言。

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KさんのルーテシアRSが最終コーナーを立ち上がる

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編集長は早引けで参加者2名も早退だけど恒例の本誌掲載用記念撮影

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ルノー・ジャポンのブログを読んでいてくれたKさんと

この日、初めてサーキットを走った人。もう50時間以上サーキットを走っている人。乗っているクルマも違えば経験も違うけど、共通しているのはクルマが、運転が好きなこと。

エンジンドライビングレッスンでは、「運転は一生モノです。運転に興味を持つのは早くても遅くてもかまいません。自分の中に積み上げたものが多いほどクルマの動きを理解しやすくなります。やってはいけないことがわかって、やったほうがいいことを自然にできるようになると運転が楽しくなります。また機会があれば遊びに来て下さい」と結びます。


第154回 TさんとルーテシアRS

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今年2回目のYRS筑波サーキットドライビングスクール

2011年10月8日。買ったばかりのルーテシア3RSでTさんがYRSツーデースクールに参加してくれた。
それまで過給器付きのシルビアに乗っていたのだが、面白いクルマだけど運転していて急かされるような気がすることが多くて乗換えを考えていたそうだ。

FFのルーテシア3RSを選んだ理由を聞いてみると、購入を決めたのは勘みたいなもの、との答え。試乗してみてなんとなくいいなと思ったからだそうだ。駆動方式の違いは気にならなかった、と言うよりもFRとFFでどのような違いがあるのかのほうに興味があったと言う。

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インフィールドのストレートを加速するTさんのルーテシア3RS

その後、Tさんはルーテシア3RSともにYRSツーデースクールに3回、YRSオーバルスクールに1回、YRSドライビングワークアウトに2回、鈴鹿サーキットレーシングコースで開催したYRSドライビングスクール鈴鹿や富士スピードウエイのショートコースとレーシングコースで開催したYRSドライビングスクールFSW、筑波サーキットコース1000で開催したYRS筑波サーキットドライビングスクールにも参加してくれた。

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最終コーナーを立ち上がるTさんのルーテシア3RS

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最終コーナーを立ち上がるTさん運転のルーテシア4RS

「実際に所有してみて、選んで正解だったと思います。エンジンを回しても、のんびり走っても、クルマが対応してくれている感じを受けるます」とルーテシア3RSの感想を語るTさんに、12回めのユイレーシングスクール参加になった筑波サーキットドライビングスクールでルーテシア4RSに乗ってもらうことにした。いつもきれいな破綻のない走りをするTさんが、成り立ちが少しばかり違うルーテシア4RSをどう動かすか見てみたかったから。

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Tさんがルーテシア4RSに乗り込み

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インフィールドでいい音を響かせ

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1コーナーに向けてGTRを追いつめる

結果は? セッション毎に3と4を交互に乗り換えることにはなったものの、どちらも同じような、流れるようでいて決して遅くないペースを刻んでいた。

以下は後日、Tさんから届いた感想。

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猛暑のなか有意義な時間を過ごせました。ブレーキのコントロールは前回よりも進歩したのではないかと勝手に思っています。まだ繊細な調整ができるまでには至っていませんが…。

また、現行ルーテシアをお借りして走る事ができたのも貴重な体験でした。私の先代ルーテシアと比較した感想は以下の通りです。

【エンジン】
カタログでの最大出力はほぼ同じですが、現行の方が低~中回転の蹴りだしがずっとよかったです。以前乗っていた車もターボエンジンでしたが低回転域は弱かったのでルーテシア4RSのトルク特性が印象的でした。

【ブレーキ】
効きは十分でした。自分でコントロールしてるつもりでしたが、車のアシスト制御が働いていた様です。

【操舵感】
型が違うので別モノの感覚かと思っていましたが動きに共通性がある印象でした。どちらの車でも同様の操作をしたつもりですが旋回したい方向に巻き込んでいくところは同じメーカーが作っただけあるなと興味深く思いました。(午前中にしたブレーキのトレーニング効果があった、という事でもあるかと思います)

【トランスミッション】
オートマチックでも想像よりスムーズにアップダウンするなと感じました。パドルシフトのマニュアル操作も試しましたが、慣れが要るかなと思いました。

【見た目】
現行の方がスマートな印象ですが、個人的には車幅の広がった先代の方が好みです。

書いてみると、何かありきたりな内容ですね。

異なる車を乗り比べる事ができたのは非常に面白かったです。次の機会にまたいろいろ試せる様、日常でも車の姿勢を意識して操作しようと思います。

* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * ここまで * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *

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ルーテシア4RSとTさんと

Tさんも楽しんでくれたようだし、自分で運転していては見ることのできないルーテシア4RSの走りを拝むこともできたし、とんでもなく暑い日だったけど気分は爽快だったことを付け加えておこう。

Tさん、また遊びに来て下さい。


第151回 人の速さとクルマの速さ

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YRSストリートの一番奥のコーナーを抜けると富士山がお出迎え

ドライビングスクールを続けているとたくさんの嬉しいことや楽しいことに出会う。毎回なにかしら心に残るシーンがあるものだけど、先日のYRSドライビングワークアウトでもそんな時間があった。

サーキットでなくても同時に複数のクルマが走るユイレーシングスクールのオーバルスクールやドライビングワークアウトでは、時として追いかけっこが始ることがある。競争するのがドライビングスクールの目的ではないけれど、一方では運転が上手くなっていく過程で他人と競うことが大切な場合もある。

今回追いかけっこをしていたのはこのふたりだけではなかったけれど、ブログに登場してもらうのはポルシェ911に乗るNさんとBRZに乗るKさん。
ふたりともユイレーシングスクールに足しげく通ってくれるいわば常連。二人とも思うところがあってYRSドライビングワークアウトに参加してくれた。

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1速に落としたくなるようなヘアピンを我慢してストレートの速さにつなげる
※写真は慣熟走行

YRSドライビングワークアウトを開催するのは広大な駐車場に作った1周840メートルの俗称YRSストリート。昨年の春、夜な夜な水割りを片手に考えに考え抜いた【ここをマスターしたら運転が上手くなる】というレイアウト。

1日の始まりは何のアドバイスもなしに参加者にコースを走ってもらうのだけど、初めての人はストレートを下って行くと正面に立ちふさがるガードレールに驚く。3速からフルブレーキングで2速に落とし、このコースで最もタイムをかせげるキンクに続く大事な「下のコーナー」を回る時、いやでも目に入るのだから。

それでも、たっぷりと時間をとったスレッショールドブレーキングの練習が終わるとガードレールが不安ではなくなって、参加者は徐々にペースを上げていく。ブレーキングのコツを覚えるとイニシャルで瞬時に速度を落とすことができるようになるから、真っ直ぐ行ってしまうような可能性は限りなくゼロになる。

以前に走ったことのあるNさんとKさんは日常からのリセットが終わると41秒前後で周回。YRSドライビングワークアウトでは5分程度のセッションを何回も繰り返すのだが、同じグループになったNさんとKさんは、やがてテールツーノーズで走り始めた。

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下のコーナーでテールツーノーズのNさんとKさん

直線での加速に勝るNさんと軽さが生きるコーナーが速いKさん。Nさんが前でKさんが後というパターンでセッションが続く。Kさんは「下のコーナー」のブレーキングでNさんに近づこうとするが、なかなかNさんと同じような立ち上がりができない。結局、ツイスティなセクションで間合いをつめ、再び「下のコーナー」でNさんに挑むという膠着状態が数セッション。

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ストレート駆け下ってブレーキングからターンイン
その瞬間、瞬間のお互いの気持ちが手にとるようにわかるのが嬉しい

そこであるセッションが終わったところでKさんに耳打ち。『あのね、「下のコーナー」のブレーキング。今はこうなっているけど、実際はムニョムニョしているから次はこうしてみたら』。

次のセッション。何度かトライしたKさんはムニョムニョを克服。「下のコーナー」を抜けて2速から3速に上げるころにはパワーの差が現れるけど、コーナーの立ち上がりではNさんのテールにしっかりと貼りつけるようになった。

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車間に惑わされないためにも相対的速さを理解できる感性が重要

何をアドバイスしたかというと、人間が考える速さとクルマの速さが必ずしも一致しないということ。運転しながらこの区別ができるかどうかが肝心だ、という話をした。ある現象をだけをとらえて近づいたと思っても、それはあくまでも人間から見ているだけで、クルマから見れば『その操作では近づくことはできませんよ』と言っているかも知れない。

今回の例では、ブレーキングで速さに勝るNさんに近ずくことを見つけたKさんは、できる限りブレーキングを遅らせてさらにNさんに近ずく努力を続けた。しかしそれを続けていても、加速性能はNさんのほうがいいのだから、それ以上局面が変わるわけはなかった。

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1000分の1まで計測できるYRSオリジナルの計測装置
運転中の耳に毎周のラップタイムが届く
タイムが伸びないと「起きて下さい」の声も

これは今回のNさんとKさんにに限らず、JAFの公認レースでも頻繁に見られる考え違い。

ブレーキングで前のクルマに近づく。思いの外に近づく。それを自分の手柄だと勘違いするから、さらにブレーキングを我慢する。我慢した結果、間合いを詰められて、かつ前のクルマと同じように立ち上がれるかと言うと、そんな保障はどこにもない。
3速全開の時に「ある車間」で走っていたとする。ブレーキングして2速に落とした時点で、単位時間あたりの移動量が減るわけだから、自ずと前のクルマとの距離は「ある車間」よりずっと短くなる。車速が変化すれば車間も変化する道理なのだけど、運転していると絶対的な速さに夢中になっているから、近づくと『ヤッター』となって、次にはもっとやってやろうとなってしまう。
本当にブレーキングが上手ければ、頑張らなくても、多少の性能差があっても前のクルマについていけるはずなのに。誰かを追いかけている時、相手に近づくのが自分のブレーキングが上手いせいなのか、それとも単に速度が落ちたからなのか見極められなければもったいない。

頑張ってそれなりの効果のようなものが現れると安心して、その先のことまで頭が回らなくなるのが人間の生理。ある意味でしかたのないことかもしれないけど、その状況を打破する工夫が次のステップにつながる。それがユイレーシングスクールがレースを勧め、ライセンスもいらない手軽なスクールレースを開催している理由でもある。

で、こうしたらとアドバイスをしてKさんがやってみたら、それまでとは全く違う展開になったという話。Kさんは宿敵ポルシェに届かんとする走りに、たいそう喜んでいた。

Nさんの名誉のために付け加えておくと、動力性能に大きな開きがあるのに同じような速さで走っていたのはNさんのせいではない。
ポルシェのように動力性能の高いクルマはそれなりのデザインがなされている。タイヤが太いのもその性能を生かすためだ。しかしながら、どんな場合でもその性能を発揮できるとは限らない。特にYRSストリートのようないやらしいコースだと、太いタイヤが走行抵抗となり、BRZより重い車重もコーナリングスピードを殺ぐから、その性能を生かせる区間が短くなる。どんなクルマでも40秒を切れれば95点、というレイアウトにしたのだから、ポルシェはポルシェ、ロードスターはロードスターなりに、それぞれコースに合わせてそれなりの走り方を構築する必要がある。

速い人は、ポルシェ乗りも39秒、ロードスター乗りも39秒で走ることができる、YRSストリートとはそんなコース。

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YRSではどんなクルマでも同乗走行で性能を引き出すコツをアドバイスします

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YRSでは受講生の走りを見ただけで何が足りないか、何が過ぎているかアドバイスします
写真はアンダーステアを出しながらコーナリングのKさん
※いつもはこんな走りではありません

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アドバイスを受けた受講生はやってはならないこと、やるべきことを区分けしながら速さを身につけます

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YRSドライビングワークアウトではコースに一度に入るのは4台まで
コース幅が14メートルもあるので安全に余裕をもって練習することができます

Kさんと『楽しかったねぇ』と話し込んでいたNさんだけど、ポルシェ乗りとしての自尊心に傷がつかなかったと言ったら嘘になるだろう。次に同じようなシチュエーションがあったら、今度はNさんにポルシェの特性を生かす走り方をアドバイスして、コーナリングの速いクルマを引き離すコツをアドバイスをしたいと思う。

クルマを上手く運転するには一つひとつの操作を自分のものにすることも大切だけど、同時にある場面で何をするべきかという答えを引き出しに溜め込むことも重要だ。

ユイレーシングスクールに来てくれた運転大好きの人達が、一日中心底運転に没頭しているのを目の当たりにするのは楽しいし、スクール終了後にお互いの進歩を披瀝しあっているのを小耳にはさむのは本当に嬉しい。ドライビングスクールをやってて良かったと思えるのは、幸せなことだ。